JP5720546B2 - 歯磨剤組成物及び歯牙の再石灰化促進剤 - Google Patents

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Description

本発明は、歯牙の再石灰化促進効果に優れ、う蝕予防に有効な歯磨剤組成物及び歯牙の再石灰化促進剤に関する。
一般にヒトの唾液中のカルシウム濃度は1.0〜3.0mM程度といわれ、更に多くのカルシウムイオンが存在すると、ハイドロキシアパタイトに対する飽和度が上昇し、再石灰化が促進されることは、以前から知られている。
口腔内にカルシウムを供給する公知技術としては、歯垢で産生される酸の中和剤としてコロイド性炭酸カルシウムを用い、中和した結果、Ca2+イオンとして口腔内に放出される技術(特許文献1;特開平9−295924号公報)や、リン酸カルシウム系化合物と、卵殻、穀類粉末等を混合・発酵させ、液状化した物質を口腔内に用い、再石灰化の促進、歯の美白効果をもたらす技術(特許文献2;特開平8−319224号公報)等が知られている。
一方、オーラルケア分野において、ポリエチレングリコールは保湿剤又は粘稠剤として一般的に使用されている。しかし、分子量が10万以上の高重合ポリエチレングリコールを製剤に配合した例は少なく、液体歯磨剤の泡立ち性能の向上に使用した例(特許文献3;特開2006−506359号公報)がある程度であり、高重合ポリエチレングリコールが再石灰化に何らかの影響を及ぼすという記載はない。高重合ポリエチレングリコールによる再石灰化については言及されていない。
また、最近では、代用甘味剤としてキシリトールやエリスリトールなどが注目され、飴やガム、清涼飲料水などに配合されている。このキシリトールを代表とする多価アルコールの機能としては、非発酵性、う蝕原因菌といわれるストレプトコッカス ミュータンス(S.mutans)菌の増殖抑制、再石灰化促進作用などが報告されている。エリスリトールを用いた抗う蝕に関する公知技術としては、エリスリトールを含有するチューインガム、糖菓、アイスクリーム、炭酸飲料、口腔洗浄液を提供する技術(特許文献4;特開昭55−34098号公報、特許文献5;特開平10−33138号公報)などが提案され、特許文献5には、エリスリトールの抗う蝕性が、キシリトールのそれとかなり類似していることが示されている。しかし、エリスリトールに関し、脱灰作用に言及した文献は見当たらない。
特開平9−295924号公報 特開平8−319224号公報 特開2006−506359号公報 特開昭55−34098号公報 特開平10−33138号公報
このように、従来から再石灰化について種々の提案がなされているが、再石灰化促進に対してより有効な歯磨剤組成物を与える新たな技術が求められている。
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、歯牙の再石灰化促進効果に優れ、高いう蝕予防効果を奏する歯磨剤組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、(A)平均一次粒子径が1μm以下である微細炭酸カルシウムと(B)高重合ポリエチレングリコールとの併用系において、歯牙の再石灰化促進に対して優れた効果を有することを知見し、本発明をなすに至った。更に、上記併用系にエリスリトールを添加すると、再石灰化促進効果に加えて脱灰を防ぐ効果が向上し、また、特に組成物の水分量が25質量%以下である場合、清涼感が向上し、良好な使用感となることを知見した。
即ち、出願人は、歯垢の酸中和能或いはう蝕予防効果を発揮できる炭酸カルシウムとして、50質量%以上の粒子が一次粒子の大きさとして粒子径0.04〜0.5μmの範囲にある微細炭酸カルシウムが有効であることを特許文献1に提案したが、微細炭酸カルシウムによる再石灰化促進効果は十分とは言い難く改善の余地があった。そこで、本発明者らは微細炭酸カルシウムによる再石灰化の促進について更に検討を進めた効果、(A)成分の微細炭酸カルシウムに(B)成分の高重合ポリエチレングリコールを併用すると、意外にも両成分が相乗的に作用し、格段に高い再石灰化促進効果を奏することを見出した。一般に歯の再石灰化とは、歯垢内のpHが酸性に傾いてミネラル(Ca2+とHPO4 2-)の溶出が生じた後、唾液等の作用によりpHが中性方向に傾き、一度溶け出したミネラルが再び歯の表面に戻って、溶かされた歯の表面を修復する作用のことであり、上記併用系により、微細炭酸カルシウムが口腔内の細部にまで行き渡り、歯垢による酸の中和及びカルシウムイオンの補給によりミネラルの再沈着が促進し、再石灰化が促進されると推測される。
なお、本発明においては、高重合ポリエチレングリコールにより再石灰化促進効果が増強し格別の作用効果を奏するものであり、歯磨剤組成物の保湿剤、粘稠剤としてのポリエチレングリコールの配合から、(A)、(B)成分の併用による上記格別の作用効果は予想できない。
従って、本発明は下記の歯磨剤組成物及び歯牙の再石灰化促進剤を提供する。
〔1〕
(A)平均一次粒子径が1μm以下である微細炭酸カルシウム、
(B)粘度平均分子量10万〜500万の高重合ポリエチレングリコール
を配合してなり、(A)成分の配合量が0.1〜10質量%、(B)成分の配合量が0.01〜0.5質量%であることを特徴とする歯磨剤組成物。
〔2〕
(A)成分/(B)成分が質量比として0.2〜1,000である〔1〕記載の歯磨剤組成物。

更に、(C)エリスリトールを5〜30質量%配合してなる〔1〕又は〔2〕記載の歯磨剤組成物。

組成物中の水分量が50質量%以下である〔1〕、〔2〕又は〔3〕記載の歯磨剤組成物。

更に、(D)フッ素化合物を配合してなる〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の歯磨剤組成物。

更に、シリカ系研磨剤を配合してなる〔1〕〜〔〕のいずれかに記載の歯磨剤組成物。
〔7〕
練歯磨剤である〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の歯磨剤組成物。
〔8〕
う蝕予防用である〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の歯磨剤組成物。
〔9〕
(A)平均一次粒子径が1μm以下である微細炭酸カルシウムと、(B)粘度平均分子量10万〜500万の高重合ポリエチレングリコールとからなる歯牙の再石灰化促進剤。
〔10〕
(A)成分/(B)成分が質量比として0.2〜1,000である〔9〕記載の歯牙の再石灰化促進剤。
〔11〕
更に、(C)エリスリトールを含む〔9〕又は〔10〕記載の歯牙の再石灰化促進剤。
本発明によれば、歯牙の再石灰化を促進する効果が向上し、高いう蝕予防効果を奏する歯磨剤組成物を提供できる。また、再石灰化促進効果と共に脱灰抑制効果が向上し、う蝕予防効果をより改善できる。更に、清涼感が向上し、良好な使用感の製剤を提供できる。
以下、本発明につき更に詳述する。本発明の歯磨剤組成物は、(A)平均一次粒子径が1μm以下である微細炭酸カルシウム、(B)高重合ポリエチレングリコールを配合してなることを特徴とする。更に、(C)エリスリトールを好適に配合することができる。
(A)平均一次粒子径が1μm以下の微細炭酸カルシウムは、再石灰化促進剤として配合される。
(A)成分の微細炭酸カルシウムは、平均一次粒子径が1μm以下であり、好ましくは0.04〜0.5μmである。平均一次粒子径が1μmを超えると、有効性が低下し満足な再石灰化促進効果が得られない。なお、平均一次粒子径が0.04μm未満のものは製造が困難な場合がある。
ここで、微細炭酸カルシウムの一次粒子径は、電子顕微鏡で粒子の大きさを測定した値であり、測定法は下記の通りである。
粒子を水に分散し、更に超音波を数分間照射して高度に分散し、この分散液を電子顕微鏡観察用の保持台に少量滴下して乾燥させ、最後に蒸着して電子顕微鏡観察を行った。粒子径の計測には、異なった4つの視野から一次粒子と認めることができる粒子のみを選択して(1視野あたり25個)計測した。粒子が不定形の場合は、最長径と最短径の積の平方根を一次粒子径とした。合計100個の一次粒子径を平均したものを一次粒子の平均粒子径とした。
(A)成分の微細炭酸カルシウムとしては、特に50質量%以上、とりわけ90質量%以上の粒子が一次粒子の大きさとして粒子径0.04〜0.5μmの範囲にあるものが、再石灰化促進効果の有効性の点からより好適である。
上記微細炭酸カルシウムは、遊離のカルシウムイオンを放出しミネラル(カルシウムアパタイト)の溶解を抑制し、同時に再石灰化(ミネラルの再沈着)を促進する。上記一次粒子径を超えるものではかかる作用効果に劣る。通常、研磨剤として使用される炭酸カルシウムの平均一次粒子径は1μmを超え、多くは5〜8μmである。この場合、一次粒子径0.5μm以下の粒子を累積値として1〜3質量%程度含むが、このような炭酸カルシウムでは再石灰化促進効果はない。
微細炭酸カルシウムとしては、粒子径分布を制御し易いなど製法上の点から軽質炭酸カルシウムが好適に使用できる。
(A)成分の微細炭酸カルシウムとしては、例えば白石カルシウム(株)製の商品名 カルエッセン−A、コロカルソ−EX、コロカルソ−MG等の市販品を使用できる。
(A)成分の配合量は、組成全体の0.1〜10%(質量%、以下同様。)、特に0.5〜10%、とりわけ0.5〜2%が好ましい。配合量が0.1%に満たないと配合効果が得られないことがあり、10%を超えて配合しても効果の向上が期待できない場合がある。
本発明では、(A)微細炭酸カルシウムに(B)高重合ポリエチレングリコールを併用することで、(A)成分の再石灰化効果が向上し、高い再石灰化促進効果を奏するもので、(A)成分を欠くと再石灰化促進効果が発揮されず、また、(B)成分を欠くと再石灰化促進効果に劣り、本発明の目的が達成されない。
(B)高重合ポリエチレングリコールとしては、粘度平均分子量が10万以上、特に10万〜500万の高重合ポリエチレングリコールが好適であり、より好ましくは粘度平均分子量10万〜400万、とりわけ20万〜100万の範囲にあるものが好ましい。粘度平均分子量が10万に満たないと再石灰化促進効果が期待できないことがある。500万を超えると再石灰化促進効果が認められないことがあり、また歯磨剤の安定性が低下する場合がある。
なお、この粘度平均分子量は、粘度測定から換算した値であり、具体的には分子量との間にシュタウジンガーの式で表わされる関係が成り立つ鎖状高分子の極限粘度測定による値である(以下、同様)。
また、上記粘度平均分子量に代わる代用特性として、B型粘度計で測定した25℃での4質量%水溶液の粘度(B8H型粘度計、ローターNo.4、20rpm、2分間、25℃)を用いることもできる。この方法で測定した場合の高重合ポリエチレングリコールの粘度としては、50〜50,000mPa・sのものが好ましく、70〜10,000mPa・sのものがより好ましく、100〜5,000mPa・sのものが特に好ましい。
高重合ポリエチレングリコールは、市販品を使用でき、例えばポリオックス(POLYOX) WSR N−10、N−20、N−80、N−750、N−12K、N−60K等のポリオックスWSRシリーズ(ユニオンカーバイド社製)などとして商業的に入手できる。
高重合ポリエチレングリコールの配合量は、組成全体の0.01〜0.5%が好ましく、より好ましくは0.03〜0.2%、とりわけ0.05〜0.1%が好ましい。配合量が0.01%に満たないと再石灰化促進効果の向上が認められないことがあり、0.5%を超えるとそれ以上の効果が期待できないことがあり、また、歯磨剤の安定性が低下する場合がある。
微細炭酸カルシウム(A)と高重合ポリエチレングリコール(B)との配合比率は、特に限定されないが、質量比として(A)/(B)が好ましくは0.2〜1,000、より好ましくは5〜100の範囲であることが望ましい。0.2に満たないと再石灰化促進効果が期待できないことがあり、1,000を超えると再石灰化促進効果の向上が認められないことがある。
本発明組成物には、更に(C)エリスリトールを配合することが好ましい。エリスリトールを配合すると、再石灰化促進効果がより一層向上し、また、再石灰化促進効果に加えて脱灰抑制作用が向上し、う蝕予防効果がより高まる。更に、清涼感が向上し、良好な使用感を与えることができる。
エリスリトールは糖アルコールであり、市販のものを使用できる。
エリスリトールを配合する場合、その配合量は組成全体の5〜30%、特に10〜25%が好ましい。5%に満たないと配合効果が期待できないことがあり、30%を超えるとこれ以上の効果が期待できない上、歯磨剤の安定性が低下する場合がある。
本発明組成物には、更に(D)フッ素化合物を配合することが好ましい。フッ素化合物の配合により歯牙の脱灰抑制効果がより向上し、う蝕予防効果をより高めることができる。
フッ素化合物としては、フッ化ナトリウム、フッ化アンモニウム、フッ化カリウム等のアルカリフッ化物、モノフルオロリン酸ナトリウム、モノフルオロリン酸アンモニウム、モノフルオロリン酸カリウム等のモノフルオロリン酸塩などの可溶性フッ素化合物が挙げられる。
フッ素化合物を配合する場合、その配合量は組成全体に対して、フッ素イオンとして400〜1,500ppm、特に500〜1,000ppmが好ましい。400ppmに満たないと配合効果が得られない場合があり、1,500ppmを超えると歯磨剤組成物の安定性が低下する場合がある。
本発明の歯磨剤組成物は、練歯磨剤、液状歯磨剤等として、特に練歯磨剤として好適に調製される。また、その剤型に応じて、上記成分以外に通常使用される公知の成分を必要に応じ配合できる。例えば、研磨剤、粘稠剤、粘結剤、界面活性剤、香料、甘味料、防腐剤、着色剤、上記以外の有効成分などを、本発明の効果を妨げない範囲で通常量で用いることができる。
(A)微細炭酸カルシウムは研磨剤としての機能はほとんどないため、別途研磨剤を配合する。研磨剤としては、従来使用されている平均一次粒径5〜8μm程度の研磨剤用炭酸カルシウムをはじめ、シリカゲル、沈降シリカ、アルミノシリケート、ジルコノシリケート等のシリカ系研磨剤、第二リン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、炭酸マグネシウム、第3リン酸マグネシウム、ゼオライト、ケイ酸ジルコニウム、第3リン酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、第4リン酸カルシウム、合成樹脂系研磨剤等が挙げられる。中でも、シリカ系研磨剤が、歯磨剤組成物の安定性が良好となることから、好適に配合される。研磨剤の配合量は通常、組成全体の5〜50%である。
粘稠剤としては、ソルビット、キシリット、マルチット、ラクチット等のエリスリトール以外の糖アルコール、グリセリン、プロピレングリコール、平均分子量190〜1,540のポリエチレングリコールなどの多価アルコールが挙げられる。これら粘稠剤の配合量は通常、5〜50%である。
粘結剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、カラギーナン、ポリアクリル酸ナトリウム等が挙げられる。粘結剤の配合量は通常、0〜5%、特に0.1〜5%である。
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤を配合できる。具体的に、アニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸ナトリウム、N−ラウロイルサルコシンナトリウム、N−ミリストイルサルコシンナトリウム等のN−アシルサルコシンナトリウム、α−オレフィンスルフォン酸ナトリウムなどが挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどの糖アルコール脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル等の多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などのエーテル型又はエステル型の活性剤、ラウリン酸ジエタノールアミド等の脂肪酸アルカノールアミド類が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、アルキルアンモニウム、アルキルベンジルアンモニウム塩等が挙げられる。両性界面活性剤としては、酢酸ベタイン、イミダゾリニウムベタイン、レシチンなどが挙げられる。
界面活性剤の配合量は、組成全体の0.5〜5%が好ましい。
甘味剤としてはサッカリンナトリウム等、防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。着色剤としては、青色1号、黄色4号等が挙げられる。
香料としては、ペパーミント油、スペアミント油、アニス油、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、カシア油、クローブ油、タイム油、セージ油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、カルダモン油、コリアンダー油、マンダリン油、ライム油、ラベンダー油、ローズマリー油、ローレル油、カモミル油、キャラウェイ油、マジョラム油、ベイ油、レモングラス油、オリガナム油、パインニードル油、ネロリ油、ローズ油、ジャスミン油、グレープフルーツ油、スウィーティー油、柚油、イリスコンクリート、アブソリュートペパーミント、アブソリュートローズ、オレンジフラワー等の天然香料、及びこれら天然香料の加工処理(前溜部カット、後溜部カット、分留、液液抽出、エッセンス化、粉末香料化等)した香料、及び、メントール、カルボン、アネトール、シネオール、サリチル酸メチル、シンナミックアルデヒド、オイゲノール、3−l−メントキシプロパン−1,2−ジオール、チモール、リナロール、リナリールアセテート、リモネン、メントン、メンチルアセテート、N−置換−パラメンタン−3−カルボキサミド、ピネン、オクチルアルデヒド、シトラール、プレゴン、カルビールアセテート、アニスアルデヒド、エチルアセテート、エチルブチレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、バニリン、ウンデカラクトン、ヘキサナール、ブタノール、イソアミルアルコール、ヘキセノール、ジメチルサルファイド、シクロテン、フルフラール、トリメチルピラジン、エチルラクテート、エチルチオアセテート等の単品香料、更に、ストロベリーフレーバー、アップルフレーバー、バナナフレーバー、パイナップルフレーバー、グレープフレーバー、マンゴーフレーバー、バターフレーバー、ミルクフレーバー、フルーツミックスフレーバー、トロピカルフルーツフレーバー等の調合香料等、歯磨剤組成物に用いられる公知の香料素材を組み合わせて使用することができる。
有効成分としては、水溶性リン酸化合物、デキストラナーゼ、ムタナーゼ等の酵素、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、ヒノキチオール、アスコルビン酸、塩化リゾチーム、グリチルリチン酸及びその塩類、塩化ナトリウム、トラネキサム酸、イプシロンアミノカプロン酸、酢酸dl−トコフェノール、α−ビサボロール、イソプロピルメチルフェノール、クロロヘキシジン塩類、塩化セチルピリジニウム、アズレン、グリチルレチン酸、銅クロロフィリンナトリウム、グルコン酸銅等の銅化合物、乳酸アルミニウム、塩化ストロンチウム、硝酸カリウム、ベルベリン等が挙げられる。なお、これら有効成分は、本発明効果を妨げない範囲で有効量を配合することができる。
本発明組成物の水分量は、特に制限されないが、脱灰抑制効果、清涼感付与の点から、組成全体の50%以下が好ましく、特に25%以下、とりわけ15%以下がより好ましい。
特にエリスリトールを添加する場合、とりわけエリスリトールを10%以上の高濃度で配合する場合は、水分量が25%以下であることが望ましく、これにより、エリスリトールとの相互作用によって、清涼感がより向上し、使用者が満足できる非常に良い清涼感を付与できる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において%は特に断らない限りいずれも質量%を示す。
[実施例、比較例]
表1〜4に示す組成の歯磨剤組成物を常法により調製し、下記方法で再石灰化促進効果を評価した。結果を表1〜4に示す。
また、使用原料の詳細は下記の通りである。微細炭酸カルシウムの平均一次粒子径は、上記と同様に電子顕微鏡により測定した値である。また、高重合ポリエチレングリコールは、上記と同様に測定した粘度平均分子量である。
(A)微細炭酸カルシウム
コロカルソ−EX(白石カルシウム(株)製、平均一次粒子径0.25μm)
カルエッセン−A(白石カルシウム(株)製、平均一次粒子径0.07μm)
(B)高重合ポリエチレングリコール
POLYOX WSR N−80(ユニオンカーバイド社製、粘度平均分子量20万)
POLYOX WSR N−10(ユニオンカーバイド社製、粘度平均分子量10万)
POLYOX WSR N−750(ユニオンカーバイド社製、粘度平均分子量30万)
POLYOX WSR N−12K(ユニオンカーバイド社製、粘度平均分子量100万)
(C)エリスリトール(カーギル社製、60メッシュ品)
(1)再石灰化促進効果の評価方法
ヒト臼歯の歯牙切片をpH4.21の脱灰液に浸漬してう蝕サンプルを作製した。CMR(Contact Micro Radiography)を撮影し、表層化脱灰されているかを確認後、表層ミネラル密度及び脱灰面積を算出した。これを初期う蝕サンプルとした。上記サンプルを用いて、歯磨剤組成物で3分間処置→水洗浄→脱灰液(pH4.5)に4時間浸漬→水洗浄→歯磨剤組成物で3分間処置→水洗浄→再石灰化液(pH6.5)に20時間浸漬→水洗浄というサイクルの試験を3週間繰り返し行った。このう蝕サンプルのCMRを撮影し、画像解析し、ミネラル量の回復率(再石灰化率(%))を下記式により算出し、下記基準で評価した。
Figure 0005720546
再石灰化促進効果の評価基準
◎:再石灰化率が60%以上
○:再石灰化率が50%以上60%未満
△:再石灰化率が30%以上50%未満
×:再石灰化率が30%未満
(2)脱灰抑制効果の評価方法
牛歯の歯根部を切断し、その歯根部表面を300番のサンドペーパーで研磨し、次いで1,500番のサンドペーパーで研磨して平らで滑沢な象牙質面とし、一定の大きさにトリミングして試料片とした。この象牙質試料片を、一定の面積(3mm直径の円。以下、試験面と略す。)を除いて耐水性のマニキュアで被覆した。この試験面を、各歯磨剤組成物を水で2倍希釈したスラリーで3分間浸漬した。その後、水洗して余剰の成分を取り除き、この試験面に象牙質脱灰用の酸(0.6%酢酸溶液、pH4.5)15μLを滴下し、30分間脱灰させた。その後、この試料片を1μLの酢酸溶液と一緒に1mLの蒸留水に投入し、脱灰操作で酢酸に溶解したミネラルイオンを抽出した。次いで、同試料片を蒸留水から取り出し、余剰の水分を除去した後、同様な処置、脱灰、ミネラルイオンの抽出を2回繰り返した。1mLに抽出・累積されたミネラルイオンのうちリン酸濃度(ppm)を、吸光度によるバナドモリブデン酸法を用いて計測した。上記試験面を、水で3分間浸漬し同様に処置したもののリン酸濃度を同様に計測した。脱灰抑制率を下記式により算出し、下記基準で評価した。
Figure 0005720546
脱灰抑制効果の評価基準
◎:脱灰抑制率が70%以上
○:脱灰抑制率が50%以上70%未満
△:脱灰抑制率が30%以上50%未満
×:脱灰抑制率が30%未満
(3)清涼感の評価方法
被験者10名を用い、歯磨組成物約1gを歯ブラシにとり、3分間歯磨きを行った際の清涼感について、清涼感が非常に良いを4点、清涼感が良いを3点、清涼感が少ないを2点、清涼感がないを1点として、10名の平均点から以下の基準で使用感を評価した。
清涼感の評価基準
◎:平均点3.5点以上4.0点以下
○:平均点3.0点以上3.5点未満
△:平均点2.0点以上3.0点未満
×:平均点1.0点以上2.0点未満
Figure 0005720546
Figure 0005720546
Figure 0005720546
Figure 0005720546

Claims (11)

  1. (A)平均一次粒子径が1μm以下である微細炭酸カルシウム、
    (B)粘度平均分子量10万〜500万の高重合ポリエチレングリコール
    を配合してなり、(A)成分の配合量が0.1〜10質量%、(B)成分の配合量が0.01〜0.5質量%であることを特徴とする歯磨剤組成物。
  2. (A)成分/(B)成分が質量比として0.2〜1,000である請求項1記載の歯磨剤組成物。
  3. 更に、(C)エリスリトールを5〜30質量%配合してなる請求項1又は2記載の歯磨剤組成物。
  4. 組成物中の水分量が50質量%以下である請求項1、2又は3記載の歯磨剤組成物。
  5. 更に、(D)フッ素化合物を配合してなる請求項1〜4のいずれか1項記載の歯磨剤組成物。
  6. 更に、シリカ系研磨剤を配合してなる請求項1〜5のいずれか1項記載の歯磨剤組成物。
  7. 練歯磨剤である請求項1〜6のいずれか1項記載の歯磨剤組成物。
  8. う蝕予防用である請求項1〜7のいずれか1項記載の歯磨剤組成物。
  9. (A)平均一次粒子径が1μm以下である微細炭酸カルシウムと、(B)粘度平均分子量10万〜500万の高重合ポリエチレングリコールとからなる歯牙の再石灰化促進剤。
  10. (A)成分/(B)成分が質量比として0.2〜1,000である請求項9記載の歯牙の再石灰化促進剤。
  11. 更に、(C)エリスリトールを含む請求項9又は10記載の歯牙の再石灰化促進剤。
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