JP5720546B2 - 歯磨剤組成物及び歯牙の再石灰化促進剤 - Google Patents
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Description
なお、本発明においては、高重合ポリエチレングリコールにより再石灰化促進効果が増強し格別の作用効果を奏するものであり、歯磨剤組成物の保湿剤、粘稠剤としてのポリエチレングリコールの配合から、(A)、(B)成分の併用による上記格別の作用効果は予想できない。
〔1〕
(A)平均一次粒子径が1μm以下である微細炭酸カルシウム、
(B)粘度平均分子量10万〜500万の高重合ポリエチレングリコール
を配合してなり、(A)成分の配合量が0.1〜10質量%、(B)成分の配合量が0.01〜0.5質量%であることを特徴とする歯磨剤組成物。
〔2〕
(A)成分/(B)成分が質量比として0.2〜1,000である〔1〕記載の歯磨剤組成物。
〔3〕
更に、(C)エリスリトールを5〜30質量%配合してなる〔1〕又は〔2〕記載の歯磨剤組成物。
〔4〕
組成物中の水分量が50質量%以下である〔1〕、〔2〕又は〔3〕記載の歯磨剤組成物。
〔5〕
更に、(D)フッ素化合物を配合してなる〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の歯磨剤組成物。
〔6〕
更に、シリカ系研磨剤を配合してなる〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の歯磨剤組成物。
〔7〕
練歯磨剤である〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の歯磨剤組成物。
〔8〕
う蝕予防用である〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の歯磨剤組成物。
〔9〕
(A)平均一次粒子径が1μm以下である微細炭酸カルシウムと、(B)粘度平均分子量10万〜500万の高重合ポリエチレングリコールとからなる歯牙の再石灰化促進剤。
〔10〕
(A)成分/(B)成分が質量比として0.2〜1,000である〔9〕記載の歯牙の再石灰化促進剤。
〔11〕
更に、(C)エリスリトールを含む〔9〕又は〔10〕記載の歯牙の再石灰化促進剤。
(A)成分の微細炭酸カルシウムは、平均一次粒子径が1μm以下であり、好ましくは0.04〜0.5μmである。平均一次粒子径が1μmを超えると、有効性が低下し満足な再石灰化促進効果が得られない。なお、平均一次粒子径が0.04μm未満のものは製造が困難な場合がある。
ここで、微細炭酸カルシウムの一次粒子径は、電子顕微鏡で粒子の大きさを測定した値であり、測定法は下記の通りである。
粒子を水に分散し、更に超音波を数分間照射して高度に分散し、この分散液を電子顕微鏡観察用の保持台に少量滴下して乾燥させ、最後に蒸着して電子顕微鏡観察を行った。粒子径の計測には、異なった4つの視野から一次粒子と認めることができる粒子のみを選択して(1視野あたり25個)計測した。粒子が不定形の場合は、最長径と最短径の積の平方根を一次粒子径とした。合計100個の一次粒子径を平均したものを一次粒子の平均粒子径とした。
上記微細炭酸カルシウムは、遊離のカルシウムイオンを放出しミネラル(カルシウムアパタイト)の溶解を抑制し、同時に再石灰化(ミネラルの再沈着)を促進する。上記一次粒子径を超えるものではかかる作用効果に劣る。通常、研磨剤として使用される炭酸カルシウムの平均一次粒子径は1μmを超え、多くは5〜8μmである。この場合、一次粒子径0.5μm以下の粒子を累積値として1〜3質量%程度含むが、このような炭酸カルシウムでは再石灰化促進効果はない。
なお、この粘度平均分子量は、粘度測定から換算した値であり、具体的には分子量との間にシュタウジンガーの式で表わされる関係が成り立つ鎖状高分子の極限粘度測定による値である(以下、同様)。
また、上記粘度平均分子量に代わる代用特性として、B型粘度計で測定した25℃での4質量%水溶液の粘度(B8H型粘度計、ローターNo.4、20rpm、2分間、25℃)を用いることもできる。この方法で測定した場合の高重合ポリエチレングリコールの粘度としては、50〜50,000mPa・sのものが好ましく、70〜10,000mPa・sのものがより好ましく、100〜5,000mPa・sのものが特に好ましい。
エリスリトールを配合する場合、その配合量は組成全体の5〜30%、特に10〜25%が好ましい。5%に満たないと配合効果が期待できないことがあり、30%を超えるとこれ以上の効果が期待できない上、歯磨剤の安定性が低下する場合がある。
フッ素化合物としては、フッ化ナトリウム、フッ化アンモニウム、フッ化カリウム等のアルカリフッ化物、モノフルオロリン酸ナトリウム、モノフルオロリン酸アンモニウム、モノフルオロリン酸カリウム等のモノフルオロリン酸塩などの可溶性フッ素化合物が挙げられる。
フッ素化合物を配合する場合、その配合量は組成全体に対して、フッ素イオンとして400〜1,500ppm、特に500〜1,000ppmが好ましい。400ppmに満たないと配合効果が得られない場合があり、1,500ppmを超えると歯磨剤組成物の安定性が低下する場合がある。
非イオン性界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどの糖アルコール脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル等の多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などのエーテル型又はエステル型の活性剤、ラウリン酸ジエタノールアミド等の脂肪酸アルカノールアミド類が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、アルキルアンモニウム、アルキルベンジルアンモニウム塩等が挙げられる。両性界面活性剤としては、酢酸ベタイン、イミダゾリニウムベタイン、レシチンなどが挙げられる。
界面活性剤の配合量は、組成全体の0.5〜5%が好ましい。
特にエリスリトールを添加する場合、とりわけエリスリトールを10%以上の高濃度で配合する場合は、水分量が25%以下であることが望ましく、これにより、エリスリトールとの相互作用によって、清涼感がより向上し、使用者が満足できる非常に良い清涼感を付与できる。
表1〜4に示す組成の歯磨剤組成物を常法により調製し、下記方法で再石灰化促進効果を評価した。結果を表1〜4に示す。
(A)微細炭酸カルシウム
コロカルソ−EX(白石カルシウム(株)製、平均一次粒子径0.25μm)
カルエッセン−A(白石カルシウム(株)製、平均一次粒子径0.07μm)
(B)高重合ポリエチレングリコール
POLYOX WSR N−80(ユニオンカーバイド社製、粘度平均分子量20万)
POLYOX WSR N−10(ユニオンカーバイド社製、粘度平均分子量10万)
POLYOX WSR N−750(ユニオンカーバイド社製、粘度平均分子量30万)
POLYOX WSR N−12K(ユニオンカーバイド社製、粘度平均分子量100万)
(C)エリスリトール(カーギル社製、60メッシュ品)
ヒト臼歯の歯牙切片をpH4.21の脱灰液に浸漬してう蝕サンプルを作製した。CMR(Contact Micro Radiography)を撮影し、表層化脱灰されているかを確認後、表層ミネラル密度及び脱灰面積を算出した。これを初期う蝕サンプルとした。上記サンプルを用いて、歯磨剤組成物で3分間処置→水洗浄→脱灰液(pH4.5)に4時間浸漬→水洗浄→歯磨剤組成物で3分間処置→水洗浄→再石灰化液(pH6.5)に20時間浸漬→水洗浄というサイクルの試験を3週間繰り返し行った。このう蝕サンプルのCMRを撮影し、画像解析し、ミネラル量の回復率(再石灰化率(%))を下記式により算出し、下記基準で評価した。
◎:再石灰化率が60%以上
○:再石灰化率が50%以上60%未満
△:再石灰化率が30%以上50%未満
×:再石灰化率が30%未満
牛歯の歯根部を切断し、その歯根部表面を300番のサンドペーパーで研磨し、次いで1,500番のサンドペーパーで研磨して平らで滑沢な象牙質面とし、一定の大きさにトリミングして試料片とした。この象牙質試料片を、一定の面積(3mm直径の円。以下、試験面と略す。)を除いて耐水性のマニキュアで被覆した。この試験面を、各歯磨剤組成物を水で2倍希釈したスラリーで3分間浸漬した。その後、水洗して余剰の成分を取り除き、この試験面に象牙質脱灰用の酸(0.6%酢酸溶液、pH4.5)15μLを滴下し、30分間脱灰させた。その後、この試料片を1μLの酢酸溶液と一緒に1mLの蒸留水に投入し、脱灰操作で酢酸に溶解したミネラルイオンを抽出した。次いで、同試料片を蒸留水から取り出し、余剰の水分を除去した後、同様な処置、脱灰、ミネラルイオンの抽出を2回繰り返した。1mLに抽出・累積されたミネラルイオンのうちリン酸濃度(ppm)を、吸光度によるバナドモリブデン酸法を用いて計測した。上記試験面を、水で3分間浸漬し同様に処置したもののリン酸濃度を同様に計測した。脱灰抑制率を下記式により算出し、下記基準で評価した。
◎:脱灰抑制率が70%以上
○:脱灰抑制率が50%以上70%未満
△:脱灰抑制率が30%以上50%未満
×:脱灰抑制率が30%未満
被験者10名を用い、歯磨組成物約1gを歯ブラシにとり、3分間歯磨きを行った際の清涼感について、清涼感が非常に良いを4点、清涼感が良いを3点、清涼感が少ないを2点、清涼感がないを1点として、10名の平均点から以下の基準で使用感を評価した。
清涼感の評価基準
◎:平均点3.5点以上4.0点以下
○:平均点3.0点以上3.5点未満
△:平均点2.0点以上3.0点未満
×:平均点1.0点以上2.0点未満
Claims (11)
- (A)平均一次粒子径が1μm以下である微細炭酸カルシウム、
(B)粘度平均分子量10万〜500万の高重合ポリエチレングリコール
を配合してなり、(A)成分の配合量が0.1〜10質量%、(B)成分の配合量が0.01〜0.5質量%であることを特徴とする歯磨剤組成物。 - (A)成分/(B)成分が質量比として0.2〜1,000である請求項1記載の歯磨剤組成物。
- 更に、(C)エリスリトールを5〜30質量%配合してなる請求項1又は2記載の歯磨剤組成物。
- 組成物中の水分量が50質量%以下である請求項1、2又は3記載の歯磨剤組成物。
- 更に、(D)フッ素化合物を配合してなる請求項1〜4のいずれか1項記載の歯磨剤組成物。
- 更に、シリカ系研磨剤を配合してなる請求項1〜5のいずれか1項記載の歯磨剤組成物。
- 練歯磨剤である請求項1〜6のいずれか1項記載の歯磨剤組成物。
- う蝕予防用である請求項1〜7のいずれか1項記載の歯磨剤組成物。
- (A)平均一次粒子径が1μm以下である微細炭酸カルシウムと、(B)粘度平均分子量10万〜500万の高重合ポリエチレングリコールとからなる歯牙の再石灰化促進剤。
- (A)成分/(B)成分が質量比として0.2〜1,000である請求項9記載の歯牙の再石灰化促進剤。
- 更に、(C)エリスリトールを含む請求項9又は10記載の歯牙の再石灰化促進剤。
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