JP5663759B2 - 蝶番 - Google Patents

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Description

本発明は、容易に分解できる蝶番に関するものであり、特に分電盤や配電盤などの電気機器収容用ボックスに用いるに適した蝶番に関する。
分電盤や配電盤等の電気機器収納用ボックスには、内部の電気機器が不用意に操作されることを防止するための扉が蝶番によって取り付けられている。この扉は本体内部への機器取付や配線作業を行う際には、その作業性のため扉を取り外して作業を行い、その後に、再度扉を取り付ける。また、扉への孔加工時や、塗装色の塗り替え時なども、扉の取外しと取り付けが生じる。現地において扉を取り外して内部の配線工事を行った後に、再度扉を取り付けることがある。
このような場合、従来はベビーハンマー等の工具により蝶番ピンの頭を叩きながら蝶番ピンを抜いて扉を本体から取り外し、工事の終了後に再び蝶番ピンを蝶番本体に叩き込んで扉を本体に取り付ける方法が一般的であった。しかし、この方法は作業性が悪く、誤って扉に傷を付けてしまうことがあり、また現場に特別な工具を持っていく必要があるという問題があった。そこで、特許文献1に示されるように、蝶番ピンの軸部にラック歯を形成するとともに、蝶番本体に前記ラック歯と噛合する歯形軸を回転可能に設け、歯形軸の回転により蝶番ピンをスライドできるように構成した蝶番が提案されている。この蝶番であれば、ドライバー等によって、歯形軸を回すだけで蝶番ピンを容易にスライドさせることができ、扉等の回動部の脱着を特別な工具を必要とせずに容易に行うことができる。
特開平10−212855号公報
しかしながら、前記歯形軸を製造するのにコストがかかり、更に歯形軸を回転可能に取り付ける蝶番本体を鋳造部品で構成する必要があり、蝶番として高価なものとなってしまっていた。
本発明は、上記問題を解決し、高価とならずに、蝶番本体から容易に蝶番ピンを所定の位置まで引き抜くことができ、蝶番を分離できる構造を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、
軸部にラック歯が形成された蝶番ピンと、
前記蝶番ピンが挿入されるピン挿入穴が形成されるとともに、前記ピン挿入穴内に連通する工具挿入孔が形成された蝶番本体とを有し、
前記工具挿入孔に前記蝶番ピンのラック歯と係合する工具を差し込み、当該工具を回転させることにより、前記蝶番ピンをスライドできるように構成した蝶番であって、
前記蝶番本体には、工具挿入孔から所定距離内部側に進入した位置に、工具の工具挿入孔からの進入距離を規制する進入距離規制部が形成されていることを特徴とする。
このため、ユーザーが工具の先端を工具挿入孔内に挿入させるという簡単な作業により、工具の先端が、蝶番ピンのラック歯と係合するので、容易に蝶番ピンを蝶番本体からスライドさせることが可能となる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
蝶番ピンのラック歯に弾性的に当接する係止部が形成された抜け止め部材を有することを特徴とする。
これにより、蝶番ピンが軸方向に移動すること無く、蝶番ピンが不用意にピン挿入穴から抜けることが防止される。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、
蝶番本体には、工具挿入孔の内部側に進入した位置に、ピン挿入穴から所定距離離間したガイド面を有する工具ガイド部が形成されていることを特徴とする。
これにより、ユーザーが工具の先端を工具挿入孔内に挿入させるだけで、工具の先端が前記工具ガイド部のガイド面でガイドされて、蝶番ピンのラック歯と係合する。このため、ユーザーが工具の先端を工具挿入孔内に挿入させるという簡単な作業により、工具の先端が、蝶番ピンのラック歯と係合するので、容易に蝶番ピンを所定の位置まで蝶番本体から引き抜くことが可能となる。
本発明によれば、軸部にラック歯が形成された蝶番ピンと、前記蝶番ピンが挿入されるピン挿入穴が形成されるとともに、前記ピン挿入穴内に連通する工具挿入孔が形成された蝶番本体とを有し、前記工具挿入孔に前記蝶番ピンのラック歯と係合する工具を差し込み、当該工具を回転させることにより、前記蝶番ピンをスライドできるように構成した。これにより、高価とならずに、容易に回動部を着脱させることができる蝶番を提供することが可能となる。
本発明の蝶番を電気機器収納用ボックスに取り付けた状態の斜視図である。 本発明の蝶番の斜視図である。 本発明の蝶番の分解斜視図である。 本発明の蝶番の斜視図である。 ピン保持部の断面図である。 抜け止め部材の作用を表した説明図である。 蝶番ピンを工具で引き抜いている状態を表した説明図である。
以下に図面を参照しつつ、本発明の好ましい実施の形態を示す。図1に示されるように、本発明の蝶番20により、電気機器収納用ボックス100の扉12はボックス本体11に回動可能に取り付けられている。図2や図3に示されるように、蝶番20は、蝶番本体21、蝶番ピン22、抜け止め部材23とから構成されている。
蝶番本体21は、ボックス本体11にネジ止め又は溶接により取り付けられている。蝶番本体21は、鋼板等の板材の曲げ加工により製造される。図2や図3に示されるように、蝶番本体21の両端には、曲げ加工により、ピン挿入穴21bが形成されたピン保持部21aが形成されている。ピン保持部21aには、ピン挿入穴21b内に連通する工具挿入孔21cが形成されている。図1から図4のものでは、工具挿入孔21cから内部に進入した位置には、曲げ加工により、工具挿入孔21cの周縁部と一体に工具ガイド部21eが形成されている。また、図5のものでは、工具ガイド部21eは、ピン保持部21aと一体に形成されている。工具ガイド部21eは、ピン挿入穴21bから所定距離離間したガイド面21dを有し、ガイド面21dは工具挿入孔21c内への進入方向に沿って形成されている。工具挿入孔21cから所定距離内部側に進入した位置には、後述する工具99の先端の外径よりも小さい内径の孔である工具進入距離規制部21hが形成されている。本実施形態では、蝶番本体21は、板材を曲げ加工により製造されるので、鋳造と比較して安価に製造することができる。
図3に示されるように、蝶番ピン22は、軸部22aと、この軸部22aの一端に形成された頭部22bからなるものである。頭部22bの幅寸法は、軸部22aの外径よりも大きくなっている。軸部22aの外周面には、ラック歯22cが一定ピッチで形成されている。図2に示されるように、蝶番ピン22の軸部22aが、ピン挿入穴21b内に差し込まれた状態では、軸部22aの先端はピン保持部21aから突出している。そして、ピン保持部21aから突出した軸部22aの先端が、扉12のピン挿入部12aに挿入されて、扉12がボックス本体11に回動自在に取り付けられている。
図4の(B)に示されるように、ピン保持部21aには、抜け止め部材取付穴21fが連通形成されている。抜け止め部材取付穴21fには、抜け止め部材23が取り付けられている。図3、図6、図7に示されるように、抜け止め部材23は、薄板鋼板等に薄板材を、曲げ加工により円筒形状に形成されている。抜け止め部材23には、プレス形成により、内側方向に山形に折り曲げられた係止部23aが形成されている。係止部23aの両側には、スリット23bが形成されていて、係止部23aが弾発可能となっている。抜け止め部材23には、取付片23cが形成されていて、この取付片23cがピン保持部21aに形成された取付穴21gに係合して、抜け止め部材23がピン保持部21aに取り付けられている。図5や図6に示されるように、抜け止め部材23の係止部23aは、蝶番ピン22のラック歯22cに弾性的に当接し係合している。このため、蝶番ピン22が軸方向に移動すること無く、蝶番ピン22が不用意にピン挿入穴21bから抜けないようになっている。
次に、蝶番ピン22をピン保持部21aから抜く方法について説明する。図1や図4に示されるように、+ドライバー等の工具99を、工具挿入孔21c内に挿入させる。すると、図5に示されるように、工具99の先端が、工具ガイド部21のガイド面21dでガイドされて、工具挿入孔21cから所定距離進入した位置で工具進入距離規制部21hに当接して停止する。この状態(図7の(A)の状態)では、工具99の先端が蝶番ピンのラック歯と係合している。この状態で、工具99を回転させると、工具99の先端が蝶番ピン22のラック歯22cと係合しているので、図7の(B)に示されるように、蝶番ピン22がピン挿入穴21bから抜ける方向に徐々に移動し、蝶番ピン22がピン挿入穴21bから抜ける。
以上説明した実施形態では、工具挿入孔21cから所定距離内部側に進入した位置に、工具99の先端の外径よりも小さい内径の工具進入距離規制部21hを形成しているが、工具挿入孔21cから所定距離内部側に進入した位置に、工具挿入孔21cから所定距離以上の工具99の先端の移動を規制する壁状の工具進入距離規制部を形成しても差し支えない。
以上説明した実施形態では、抜け止め部材23は、薄板材で構成され、係止部23aは、プレス形成により、内側方向に山形に折り曲げられて形成されているが、抜け止め部材の係止部を、ゴムや合成樹脂等の弾性部材で構成し、前記係止部を蝶番ピン22のラック歯22cに弾性的に当接させても差し支えない。
以上説明した実施形態では、蝶番本体21は、ボックス本体11側に取り付けられているが、扉12側に取り付けられている構成であっても差し支えない。
以上説明した実施形態では、蝶番本体21及び蝶番ピン22は鉄鋼等の金属部材で構成されているが、蝶番本体21及び蝶番ピン22を合成樹脂等で構成しても差し支えない。
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う蝶番もまた技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
11 ボックス本体
12 扉
12a ピン挿入部
20 蝶番
21 蝶番本体
21a ピン保持部
21b ピン挿入穴
21c 工具挿入孔
21d ガイド面
21e 工具ガイド部
21f 抜け止め部材取付穴
21g 取付穴
21h 工具進入距離規制部21g
22 蝶番ピン
22a 軸部
22b 頭部
22c ラック歯
23 抜け止め部材
23a 係止部
23b スリット
23c 取付片
100 電気機器収納用ボックス

Claims (3)

  1. 軸部にラック歯が形成された蝶番ピンと、
    前記蝶番ピンが挿入されるピン挿入穴が形成されるとともに、前記ピン挿入穴内に連通する工具挿入孔が形成された蝶番本体とを有し、
    前記工具挿入孔に前記蝶番ピンのラック歯と係合する工具を差し込み、当該工具を回転させることにより、前記蝶番ピンをスライドできるように構成した蝶番であって、
    前記蝶番本体には、工具挿入孔から所定距離内部側に進入した位置に、工具の工具挿入孔からの進入距離を規制する進入距離規制部が形成されていることを特徴とする蝶番。
  2. 蝶番ピンのラック歯に弾性的に当接する係止部が形成された抜け止め部材を有することを特徴とする請求項1に記載の蝶番。
  3. 蝶番本体には、工具挿入孔の内部側に進入した位置に、ピン挿入穴から所定距離離間したガイド面を有する工具ガイド部が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の蝶番。
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