JP5660783B2 - スルホン基含有ポリヒドロキシポリエーテル樹脂、該樹脂を含有する樹脂組成物、該樹脂を含有する硬化性樹脂組成物、及びそれらから得られるフィルム - Google Patents

スルホン基含有ポリヒドロキシポリエーテル樹脂、該樹脂を含有する樹脂組成物、該樹脂を含有する硬化性樹脂組成物、及びそれらから得られるフィルム Download PDF

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Description

本発明は、異方導電接着フィルム、電気用積層板、磁気テープバインダー、絶縁ワニス、自己融着エナメル電線ワニス等の電気・電子分野及び接着剤、絶縁塗料及びフィルム等として用いられる耐熱性、耐水性及び密着性に優れた熱可塑性ポリヒドロキシポリエーテル樹脂及び、該樹脂を含有する樹脂組成物、硬化性樹脂組成物、絶縁性樹脂フィルムに関する。
従来から熱可塑性ポリヒドロキシポリエーテル樹脂は一般にフェノキシ樹脂として知られており、可撓性、耐衝撃性、絶縁性、密着性、機械的性質等が優れている事から、電気・電子分野では、磁気テープバインダー、モーター等の電気機械の絶縁ワニスや、回路基板用の接着剤やフィルム等、広範囲の用途に使用されている。しかし従来の熱可塑性ポリヒドロキシポリエーテル樹脂は、耐熱性に劣り、更に高温・高湿といった環境下においては急激に物性が低下する、特に密着性が低下するという欠点があった。
そこで、耐熱性を上げる為に特許文献1及び特許文献2では、フルオレン骨格及びハイドロキノン骨格を導入する事が提案されている。また特許文献3ではビスフェノールS骨格及びビフェノール骨格を導入する事により、耐熱性ばかりでなく線膨張率が低下し歪みや反りがなく寸法安定性に優れる事が開示されている。特にヘテロ原子である硫黄原子を有するビスフェノールS骨格樹脂に関しては、金属との密着性に優れている事が特許文献4に記載されている。しかし特許文献5に記載してある様にビスフェノールS骨格樹脂は、耐吸湿性に劣るという欠点があった。
通常、熱可塑性ポリヒドロキシポリエーテルを使って絶縁性樹脂フィルムを成形する場合、有機溶剤に溶かして使用する。特に異方導電性フィルム用途では、特許文献6で指定する有機溶剤であるトルエン/酢酸エチル=2/1(重量比)を使用する事がポットライフ後の接着剤の接着力を保つ為に最適であると記載されている。しかしスルホン基含有ポリヒドロキシポリエーテル樹脂は前記有機溶剤に対する溶解性が悪く樹脂が溶剤と相分離して均一で透明な樹脂溶液にならない為、溶液表面に膜が形成され、糸引きが発生するなど作業性が低下し良好なフィルムが作成できない。
スルホン基含有ポリヒドロキシポリエーテル樹脂はシクロヘキサノン、シクロペンタノン等の高沸点ケトン溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のカルビトール系溶媒等の溶解性の高い有機溶媒への溶解性は比較的良好であり、透明な樹脂溶液は作成可能であるが、これらの溶剤は沸点が150℃以上と高い。その為、通常のフィルム作成時の加熱条件では温度が不十分で、フィルム中に溶剤が残ってしまい実用的で必要十分な接着力及び耐熱性を持つ良好なフィルムが形成出来ない問題があった。
特開1999-302373号公報 特開2008-143971号公報 特開2001-261789号公報 特開2008-130796号公報 特開2009-046631号公報 特開2005-325161号公報
絶縁性樹脂フィルムを用いた回路接続構造体で、耐熱性、金属との密着性を上げる為にフィルム材料としてスルホン基含有ポリヒドロキシポリエーテル樹脂を使用する事は効果的である。しかし揮発性の悪いシクロヘキサノン、シクロペンタノン等の高沸点ケトン溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のカルビトール系溶媒にしか溶解しないと言う溶剤溶解性の問題がある為、電気絶縁フィルム、特に異方導電性フィルム用途では良好なフィルムの形成に至らなかった。またフィルムが形成されても耐吸湿性が悪く電気信頼性に劣る問題があった。本発明が解決しようとする課題は、良好な絶縁性フィルムを形成し得る溶剤溶解性が良好で耐吸湿性に優れるスルホン基含有ポリヒドロキシポリエーテル樹脂、該ポリヒドロキシポリエーテル樹脂からなる樹脂組成物及び硬化性樹脂組成物または絶縁性樹脂フィルムを提供する事にある。
上記の課題を解決するために本発明は、スルホン基含有ポリヒドロキシポリエーテル樹脂の骨格中に、メチル基を有する炭素数1〜4のアルキル基をある一定量導入する事により、ビスフェノールS骨格の有する高耐熱性、金属との高密着性と言う特徴を生かしつつ、溶剤溶解性が良好で耐吸湿性に優れる絶縁性樹脂フィルムを形成し得るスルホン基含有ポリヒドロキシポリエーテル樹脂を得るものである。
〔1〕すなわち本願発明は、硫黄含有量が3〜8重量%、メチル基含有量が10〜30重量%、且つ重量平均分子量10,000〜200,000である〔化1〕で表されるスルホン基含有ポリヒドロキシポリエーテル樹脂を提供する。
Figure 0005660783
式中Aは、〔化2〕または〔化3〕のいずれかから選ばれる単独、または、それらを複数組み合わせたものであり、Bは水素原子、又は〔化4〕で表され、式中Rは、水素原子、又は炭素数1〜4の炭化水素基を表し、それぞれ単独でも同一でも良いものであり、nは10〜400の正数である。
Figure 0005660783
式中Rは、水素原子、又は炭素数1〜4の炭化水素基を表し、それぞれ単独でも同一でも良く、Xは直接結合、−CH2−、−C(CH3)2−、−CHCH3−、−O−、−CO−、−SO2−、又は−S−である。
Figure 0005660783
式中Rは、水素原子、又は炭素数1〜4の炭化水素基を表し、それぞれ単独でも同一でもよい。
Figure 0005660783
〔2〕本発明はまた、上記〔1〕に記載のスルホン基含有ポリヒドロキシポリエーテル樹脂と熱硬化性樹脂を必須成分として含有する硬化性樹脂組成物を提供する。
〔3〕本発明は更に、上記〔1〕記載のスルホン基含有ポリヒドロキシポリエーテル樹脂から得られる事を特徴とする絶縁性樹脂フィルムを提供する。
〔4〕本発明はまた、上記〔2〕記載の硬化性樹脂組成物から得られる事を特徴とする絶縁性樹脂フィルムを提供する。
上記〔1〕記載の硫黄含有量は、スルホン基含有ポリヒドロキシポリエーテル樹脂中の硫黄含有量を重量%で表すものであり、JIS K 2541に定められた方法で燃焼分解し、硫酸イオンとしてイオンクロマトにて測定し、スルホン基含有ポリヒドロキシポリエーテル樹脂の硫黄含有量に換算したものである。ここで硫黄含有量は3〜8重量%が望ましく、3重量%未満では耐熱性の付与に関与するスルホン骨格の導入効果が十分でなく耐熱性が得られない。また8重量%を超えると十分な溶剤溶解性が得られないばかりでなく、耐吸湿性も悪くなる。さらに好ましい硫黄含有量としては3.5〜7重量%であり、より好ましくは3.8〜6重量%である。
上記〔1〕記載のメチル基含有量は、スルホン基含有ポリヒドロキシポリエーテル樹脂中に含有する全メチル基の総重量をスルホン基含有ポリヒドロキシポリエーテル樹脂中に対する重量%で表したものであり、核磁気共鳴分析(1H-NMR)のプロトン積分値により算出したものである。具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基中の末端メチル基の事であり、たとえばターシャリーブチル基に於いては末端メチル基を3個有している。またビスフェノールAに於いては結合基である−C(CH3)2−に中に2個有している。スルホン基含有ポリヒドロキシポリエーテル樹脂中のメチル基含有量は10〜30重量%が望ましく、13〜24%が更に好ましい。10重量%未満だと十分な溶剤溶解性が得られないばかりでなく、耐吸湿性も悪くなる。またメチル基含有量が30重量%を超えるものは構造上製造が難しい。
スルホン基含有ポリヒドロキシポリエーテル樹脂に於いて、重量平均分子量が10,000未満では自己造膜性を示さない。また重量平均分子量が200,000を超えるとたとえシクロヘキサノン、シクロペンタノン等の高沸点ケトン溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のカルビトール系溶媒等の溶解性の高い有機溶媒でも、70重量%から30重量%の樹脂濃度では、溶液粘度が高すぎ、このため製膜使用可能な溶液粘度にするために溶剤を多量に加えなければならず、プロセス経済上好ましくない。また溶剤溶解性も悪くなりフィルム成形上も問題がでてくる。こうした事から、重量平均分子量は好ましくは15,000〜200,000、より好ましくは20,000〜100,000である。
本願発明のスルホン基含有ポリヒドロキシポリエーテル樹脂は、主にフィルム化して用いるものであり、例えば異方導電性フィルム、ビルドアップ積層用フィルム等の電気絶縁層として使用する。該スルホン基含有ポリヒドロキシポリエーテル樹脂はスルホン基骨格の特徴である耐熱性が高く、且つ線膨脹率が低い特性を有しながらもメチル基を有する為、溶剤溶解性が従来のスルホン基含有ポリヒドロキシポリエーテル樹脂より向上するばかりでなく吸水率も低くなり絶縁フィルムとしての電気信頼性も格段に向上する。
実施例1のポリヒドロキシポリエーテル樹脂(Z-1)を核磁気共鳴分析(1H-NMR)で測定した結果を図1に示す。
スルホン基含有ポリヒドロキシポリエーテル樹脂の製造には、二価フェノール類とエピクロルヒドリンの直接反応による方法、二価フェノール類のジグリシジルエーテル樹脂と二価フェノール類の付加重合反応による方法が知られているが、本発明に用いられるスルホン基含有ポリヒドロキシポリエーテル樹脂は何れかの方法によるものであってもよい。
二価フェノール類とエピクロルヒドリンとを直接反応させる場合を例にとり説明する。二価フェノール類として、〔化5〕に表されるビスフェノールS類、例えばビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールS等を必須成分として含有し、他の二価フェノール類としては〔化6〕または〔化7〕で表される二価フェノール類が使用できる。〔化6〕の二価フェノールとしては、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、テトラメチルビスフェノールF、4,4−ビスヒドロキシビフェニル等があり、〔化7〕の二価フェノールとしては、例えばハイドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン等があげられるが、これらに限定されるものではなく、また、これら二価フェノール類は、単独で使用しても良いし、2種類以上を併用してもよい。
Figure 0005660783
式中Rは、水素原子、又は炭素数1〜4の炭化水素基を表し、それぞれ単独でも同一でもよい。
Figure 0005660783
式中Rは、水素原子、又は炭素数1〜4の炭化水素基を表し、それぞれ単独でも同一でも良く、Xは、単結合、又は、−CH2−、−C(CH3)2−、−CHCH3−、−O−、−CO−、−SO2−、−S−である。
Figure 0005660783
式中Rは、水素原子、又は炭素数1〜4の炭化水素基を表し、それぞれ単独でも同一でもよい。
二価フェノール類1モルとエピクロルヒドリン0.9〜1.1モル、好ましくは0.95〜1.08モル、より好ましくは0.99〜1.03モルとをアルカリ金属水酸化物存在下、非反応性溶媒中でエピクロルヒドリンを二価フェノールと反応させ、重量平均分子量が10,000以上になるように縮合反応させる事によりスルホン基含有ポリヒドロキシポリエーテル樹脂を得ることができる。
反応時に用いる非反応性溶媒としては、例えばトルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、シクロヘキサノン等が挙げられるが、特にこれらに限定されるわけではなく、これらの溶剤は単独でも良いし、2種類以上を併用しても良い。また、反応温度は40〜150℃が好ましく、特に好ましくは60〜120℃である。反応圧力は通常、常圧であるが、加圧及び減圧下でも良い。また、反応熱の除去が必要な場合は、反応熱による使用溶媒のフラッシュ蒸発・凝縮還流法、間接冷却法、またはこれらの併用により行われるがこれに限られたものではない。
二価フェノール類のジグリシジルエーテルと二価フェノールの重合付加反応による製法に於いては、二価フェノール類のジグリシジルエーテルに、〔化5〕記載のビスフェノールS型骨格類フェノールのジグリシジルエーテルを必須成分として使用する場合は、二価フェノールは〔化5〕、〔化6〕、〔化7〕記載のもの何れでも良く、単独でも、2種類以上組み合わせたものを併用してもよい。
二価フェノール類のジグリシジルエーテルに、〔化5〕記載のビスフェノールS型骨格類フェノールのジグリシジルエーテルを使用しない場合は、二価フェノールに〔化5〕記載のビスフェノールS型骨格類フェノールの使用が必須になる。また、他の二価フェノールである〔化6〕、〔化7〕記載のものを単独でも、2種類以上組み合わせたものを併用しても使用してもまたは使用しなくともよい。
アミン系、イミダゾール系、ホスフィン系、ホスホニウム塩系、アルカリ金属水酸化物系の触媒存在下に、上記二価フェノールのジグリシジルエーテルと上記二価フェノールのフェノール性水酸基:エポキシ基比が、0.9:1〜1.1:1、好ましくは0.95:1〜1.05:1、最も好ましくは0.98:1〜1.02:1で反応させる事により製造される。
但し、〔化1〕で表せられる様にビスフェノールS型骨格は必須成分であり、硫黄含有量は3〜8重量%の範囲とする。反応温度は60〜200℃が好ましく、特に好ましくは90〜180℃である。反応圧力は通常、常圧である。また、反応熱の除去が必要な場合は、通常、反応熱による使用溶媒のフラッシュ蒸発・凝縮還流法、間接冷却法、またはこれらの併用により行われる。
反応時に用いる非反応性溶媒としては、例えばトルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、シクロヘキサノン等が挙げられるが、特にこれらに限定されるわけではなく、これらの溶剤は単独でもよいし、2種類以上を併用してもよい。
この様にして合成されたスルホン基含有ポリヒドロキシポリエーテル樹脂は耐熱性、可撓性のある物質であり、単独で用いることもできるが、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、イソシアネート樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂や、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂を含有せしめることができる。また、耐熱性、難燃性の付与、低線膨張率化等の為に、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、水酸化カルシウム、アルミナ、マイカ等あげられるが、これに限られたものではない。また、接着力改善の為にシランカップリング剤や、ゴム成分等をスルホン基含有ポリヒドロキシポリエーテル樹脂の物性を落とさない程度に加えてもよい。
本願発明のスルホン基含有ポリヒドロキシポリエーテル樹脂は、該樹脂硬化組成物を作成する上に於いて、硬化剤として次のものを使用する。例えば、芳香族ポリアミン、ジシアンジアミド、酸無水物、各種フェノールノボラック樹脂等が挙げられる。また、その硬化促進剤としては、例えば、ベンジルジメチルアミン、各種イミダゾール系化合物のアミン類、トリフェニルホスフィンなどの三級ホスフィン類等があげられるが、これに限られたものではない。
以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明する。以下の実施例及び比較例に於いて、「部」は「重量部」を示す。
実施例1〜7.
表1に示した配合で2官能エポキシ樹脂(X)、2価フェノール(Y)、触媒及びシクロヘキサノン46部を攪拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入装置を備えた4つ口のガラス製セパラブルフラスコに仕込み、反応温度を145〜160℃に保ち8時間重合反応した後、シクロヘキサノンを加えて希釈し樹脂濃度40重量%の樹脂溶液とした。
この樹脂溶液200部をテフロン(登録商標)コーティングバット(内径309×241×51mm)に流し込み、真空オーブンにて200℃×0.7kPa×60分の条件で脱溶剤を行い固形樹脂を得た。
こうして得られた樹脂の性状値分析は次の方法で行った。
<重量平均分子量>
装 置;東ソー株式会社製ゲルパーミエイションクロマトグラフィーHLC-8020GPC
検出器;示差屈折計
カラム;東ソー株式会社製TSKgelGMHXL×2本+TSKgelG2000HXL
カラム温度;40℃
溶離液/流量;テトラヒドロフラン(以下THF)を1ml/分
サンプル注入量;100μL
サンプル調整;サンプル0.1gをTHF 10mlに溶解。
検量線;予め、標準ポリスチレンを用いて上記装置で分子量と溶出時間との相関の検量線を作成しておき、この検量線を使用して平均分子量を積算解析装置にて求める。
<エポキシ当量>
JIS K 7236に準じて測定し、樹脂固形分値としての値に換算。
<溶解性テスト>
スルホン基含有ポリヒドロキシポリエーテル樹脂溶液(樹脂/トルエン/酢酸エチル=40/40/20部、樹脂/「メチルエチルケトンあるいはシクロヘキサノン」=40/60部)を作成した時の25℃での溶解性。
溶解法;マグネット式回転子の入った冷却管付の200 ml三角フラスコに、上記割合で樹脂及び溶剤を入れて、温調付マグネットスターラーで80℃に加熱しながら攪拌溶解し、完全溶解を確認が出来たら、25℃まで放冷した。
判定基準 ◎:クリアー(完全溶解)、○:微かに濁り有り、△:懸濁、×:分離
<メチル基含有量>
核磁気共鳴分析(1H-NMR)の各測定成分ピークのプロトン積分値と、各測定成分ピーク毎のプロトン数との比から、メチル基含有量を計算した。
測定機器名 :日本電子株式会社製JNM-LA400
観測周波数 :399.65MHZ
観測領域 :7993.6HZ
パルス幅 :45°パルス
パルス待ち時間:100秒
積算回数 :32回
溶媒 :DMSO-d6
内部標準物質 :DMSO-d6・2.49ppm
<硫黄含有量>
JIS K 2541に定められた方法で燃焼し、0.3重量%過酸化水素水に吸収し硫酸とした後、イオンクロマトグラフィーにて測定した。
装 置 ;日本ダイオネクス株式会社製IC20
カラム ;陰イオン交換カラムIonPac AS14
サプレッサー;ASRS-300
検量線;予め濃度が分かっているSO4 -を含んだ混合標準水溶液を測定し検量線を作成。
この検量線を使用して測定したSO4 -含有量を硫黄含有量とした。
<不揮発分>
JIS K 7235に準じ、オーブンにて200℃、60分の乾燥時間で測定した。
分析結果は、表1に示したとおりである。
Figure 0005660783
表1中のE1〜E4、D〜G及びP1〜P3はそれぞれ以下の内容を意味している。
E1:ビスフェノールAジグリシジルエーテル(エポキシ当量:186.0g/eq、商品名:エポトートYD-128(東都化成株式会社製))
E2:テトラメチルビスフェノールSジグリシジルエーテル(エポキシ当量:211.4g/eq)
E3:2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノンジグリシジルエーテル(エポキシ当量:176.0g/eq、商品名:エポトートYDC-1312(東都化成社株式会社製))
E4:テトラメチルビスフェノールFジグリシジルエーテル(エポキシ当量:191.0g/eq、商品名:エポトートYSLV-80XY(東都化成株式会社製))
P1:テトラメチルビスフェノールS(フェノール性水酸基当量:153g/eq)
P2:ビスフェノールA(フェノール性水酸基当量:114g/eq)
P3:ビスフェノールS(フェノール性水酸基当量:125g/eq)
D:トリフェニルホスホニウムブロマイド(北興化学工業株式会社製)
E:2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業株式会社製)
F:49%水酸化ナトリウム水溶液
G:トリフェニルホスフィン(北興化学工業株式会社製)
比較例1〜6.
表2に示した配合で2官能エポキシ樹脂(X)、2価フェノール(Y)、触媒及びシクロヘキサノン46部を攪拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入装置を備えた4つ口のガラス製セパラブルフラスコに仕込み、反応温度を145〜160℃に保ち8時間重合反応した後、シクロヘキサノンを加えて希釈し樹脂濃度40重量%の樹脂溶液とした。
この樹脂溶液200部をテフロン(登録商標)コーティングバット(前述)に流し込み、真空オーブンにて200℃×0.7kPa×60分の条件で脱溶剤を行い固形樹脂を得た。また表2中Iは、市販の東都化成株式会社製のBPA型フェノキシ樹脂YP-50(固形品)でありそのまま使用した。
分析結果は、表2に示したとおりである。
Figure 0005660783
表2中のE1〜E2、D〜F、H、I、及びP1〜P3はそれぞれ以下の内容を意味している。
E1:ビスフェノールAジグリシジルエーテル(前述)
E2:テトラメチルビスフェノールSジグリシジルエーテル(前述)
P1:テトラメチルビスフェノールS(前述)
P2:ビスフェノールA(前述)
P3:ビスフェノールS(前述)
D:トリフェニルホスホニウムブロマイド(前述)
E:2−エチル−4−メチルイミダゾール(前述)
F:49%水酸化ナトリウム水溶液
H:40%テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド水溶液
I:フェノトートYP-50(東都化成株式会社製)
実施例1〜7及び比較例1〜6で得られたポリヒドロキシポリエーテル樹脂を表1及び表2の溶解性テストで作成した40%(トルエン/酢酸エチル=2/1(重量比))溶液を離型フィルム(PET)へ溶剤乾燥後の樹脂厚みが60μmになるようにローラーコーターにて塗布し、130℃、10分間溶剤乾燥を行って絶縁フィルムを得た。また、標準試験板(PM-3118M、日本テストパネル工業株式会社製)に絶縁フィルムと35μm銅箔を重ねて、ドライラミネーターにより160℃でラミネートして、銅箔剥離強さ測定用試験板を得た。
<フィルム化の可否>
○ :トルエン/酢酸エチル=2/1(重量比)に溶解してフィルム化可能。
△ :トルエン/酢酸エチル=2/1(重量比)に不溶解でフィルム化は不可能であったが、シクロヘキサノンには溶解してフィルム化可能。ただし乾燥条件は180℃×30分でフィルム化を行った。
× :溶解不能な為、フィルム化できない場合。
絶縁フィルムの試験方法及び評価方法は以下の通りである。
<ガラス転移温度(Tg)>
JIS C 6481試験項目5.17に基づき熱機械測定装置(セイコーインスツルメンツ株式会社製、EXSTAR TMA/SS7100)を用いて昇温速度5℃/分にて測定した。ガラス転移温度Tgは温度−変形カーブから決定する。ガラス転移温度Tgの前後の直線部分に接線を引き、その二つの接線の交点をガラス転移温度Tgとする。
<銅箔剥離強さ(kN/m)>
JIS C6481試験項目5.7に従って測定。
測定機器:島津製作所株式会社製オートグラフAGS-X
<吸水率(%)>
JIS C 6481試験項目5.14を基に、ラミネートせずに絶縁フィルムのまま、23℃の蒸留水×24hrでの吸水率の測定を行った。
吸水率(%)=((m2−m1)/m1)×100
1:浸せき前の試験片重量(mg)
2:浸せき後の試験片重量(mg)
<線膨張係数>
JIS K 7197に基づき熱機械測定装置(セイコーインスツルメンツ株式会社製、EXSTAR TMA/SS7100)を用いて測定した。
測定温度範囲:50〜80℃
<フィルム化の可否>
○ :トルエン/酢酸エチル=2/1(重量比)に溶解してフィルム化可能。
△ :トルエン/酢酸エチル=2/1(重量比)に不溶解でフィルム化は不可能であったが、シクロヘキサノンには溶解してフィルム化可能。ただし乾燥条件は180℃×30分でフィルム化を行った。
×:溶解不能な為、フィルム化不可能。
実施例8〜14.
Figure 0005660783
比較例7〜12.
Figure 0005660783
実施例1〜7及び比較例1〜6で得られたポリヒドロキシポリエーテル樹脂を表1及び、表2の溶解性テストで作成した40%(トルエン/酢酸エチル=2/1)溶液187.5部とエポキシ樹脂としてエポトートYD-128(前述)25部、硬化剤としてジシアンジアミド(日本カーバイド工業株式会社製、DICY)0.1部、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール(前述)0.02部を加え均一に攪拌混合し、組成物ワニスを得た。これを離型フィルム(PET)へ溶剤溶解後の樹脂厚みが60μmになるようにローラーコーターにて塗布し、130℃、5分間溶剤乾燥を行った後、離型フィルムから剥離することで絶縁性樹脂フィルムを得た。また、標準試験板(前述)に絶縁性樹脂フィルムと35μm銅箔を重ねて、ドライラミネーターにより160℃でラミネートして、銅箔剥離強さ測定用試験板を得た。
実施例15〜21.
Figure 0005660783
比較例13〜18.
Figure 0005660783
発明の効果
本願発明の低沸点溶媒への溶剤溶解性が良好なポリヒドロキシポリエーテル樹脂を用いて作成した硬化性樹脂組成物、絶縁性樹脂フィルムは、溶媒が残存しにくくなる為、スルホン基骨格の特徴である耐熱性、接着性、低線膨張率性を維持できるばかりでなく、吸水率を下げる事ができ信頼性が向上する。

Claims (3)

  1. 硫黄含有量が3〜8重量%、メチル基含有量が10〜30重量%、且つ重量平均分子量10,000〜200,000である、下記式(1)で表されるスルホン基含有ポリヒドロキシポリエーテル樹脂と熱硬化性樹脂を必須とする硬化性樹脂組成物
    Figure 0005660783
    式中Aは、下記式(2)または(3)のいずれかから選ばれる単独、または、それらを複数組み合わせたものであり、Bは水素原子、又は下記式(4)で表され、式中Rは、水素原子、又は炭素数1〜4の炭化水素基を表し、それぞれ単独でも同一でも良いものであり、nは10〜400の正数であり;
    Figure 0005660783
    式中Rは、水素原子、又は炭素数1〜4の炭化水素基を表し、それぞれ単独でも同一でも良く、Xは直接結合、−CH2−、−C(CH3)2−、−CHCH3−、−O−、−CO−、−SO2−、又は−S−であり;
    Figure 0005660783
    式中Rは、水素原子、又は炭素数1〜4の炭化水素基を表し、それぞれ単独でも同一でもよい;
    Figure 0005660783
  2. 硫黄含有量が3〜8重量%、メチル基含有量が10〜30重量%、且つ重量平均分子量10,000〜200,000である、下記式(1)で表されるスルホン基含有ポリヒドロキシポリエーテル樹脂から得られる事を特徴とする絶縁性樹脂フィルム:
    Figure 0005660783
    式中Aは、下記式(2)または(3)のいずれかから選ばれる単独、または、それらを複数組み合わせたものであり、Bは水素原子、又は下記式(4)で表され、式中Rは、水素原子、又は炭素数1〜4の炭化水素基を表し、それぞれ単独でも同一でも良いものであり、nは10〜400の正数であり;
    Figure 0005660783
    式中Rは、水素原子、又は炭素数1〜4の炭化水素基を表し、それぞれ単独でも同一でも良く、Xは直接結合、−CH 2 −、−C(CH 3 ) 2 −、−CHCH 3 −、−O−、−CO−、−SO 2 −、又は−S−であり;
    Figure 0005660783
    式中Rは、水素原子、又は炭素数1〜4の炭化水素基を表し、それぞれ単独でも同一でもよい;
    Figure 0005660783
  3. 請求項に記載の硬化性樹脂組成物から得られる事を特徴とする絶縁性樹脂フィルム。
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