JP5660681B2 - アナログ時計のムーブメント - Google Patents

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Description

本発明は、針合せ機能を備えたアナログ時計のムーブメントに関する。
時計の指針を駆動するムーブメントは、指針パイプが減速機構を介してモータにより駆動する構成となっている。一般に、指針パイプとしては、時針を装着する時針パイプと分針を装着する分針パイプとを備え、分針パイプに伝達されたモータの動力が日の裏車を介して時針パイプに伝達される構成となっている。また、日の裏車には針合せカナが連結され、この針合せカナを回転することにより、ムーブメントのケースの外部から指針の表示時刻を修正することができる構成となっている。特許文献1には、この種の針合せ機構が開示されている。また、特許文献2にも記載されているように、針合せ機構は、標準時刻電波を受信してその表示時刻を修正する電波修正時計のムーブメントにも設けられている。
特に、電波修正時計の場合、指針パイプの位置は、所定の位置検出手段による位置検出及びモータの制御によって、自動的に修正される。故に、通常は針合せ機構を操作する必要はない。針合せ機構は、もっぱら製造時や検査時において便宜的に利用されている。つまり、使用者が誤ってこれを操作すると、むしろ正確な時刻表示の妨げになる場合がある。特許文献3には、このような事情を考慮して工夫されたムーブメントが開示されている。
特許第3050788号公報 特開2005−189084号公報 特開2010−38584号公報
さて、従来の針合せ機構は、前述したように針合せカナにて日の裏車を回転するものである。日の裏車を回転することによれば、減速比の関係から指針の位置の微妙な調整が可能となる。但し、製造時や検査時において指針を動かす場合は、指針を一度に数時間分動かすなど、微妙な調整とは異なる大まかな操作も必要とされる。
すなわち、現状では製造時や検査時においても日の裏車を回転する針合せ機構が利用されているものの、その作業性や労力を考慮すると、より速やかに指針を動かすことができる構成が必要であると考えられる。
特に、電波修正時計であれば、使用時における針合せの機能は不用となる。故に、製造時や検査時においてのみ大まかな針合せ操作を行なうものであれば、日の裏車を回転する針合せカナを設けずに、適度な減速比で指針を動かすことができるように工夫することが望ましい。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、構成部品が少なく且つ製造時や検査時における針合せの操作性に優れたアナログ時計のムーブメントを提供することである。
本願第1請求項に記載した発明は、モータ(100)と、前記モータ(100)に連結された歯車列からなる減速機構(110)と、前記減速機構(110)に連結された分針パイプ(120)と、日の裏車(140)を介して前記分針パイプ(120)に連結された時針パイプ(130)と、それらを支持するケース体(300)とを備えたアナログ時計のムーブメント(1)において、
前記ケース体(300)は、第1ケース部材(310)と第2ケース部材(320)を備えるとともに、これら第1、第2ケース部材(310,320)の間に中板(330)を備え、
前記減速機構(110)の歯車のうちの1つ(111)は、前記第1ケース部材(310)と前記中板(330)との間に設けられるとともに、その回転軸方向の一方の端面に、回転工具をさし込むための溝部(111c)を設けてなるものであり、
前記第1ケース部材(310)は、前記溝部(111c)を露呈する開口部(301)と、前記開口部(301)からその内側に向って突出する円筒ボス部(302)とを備え、
前記溝部(111c)を設けてなる前記歯車(111)は、その回転軸方向の一方の端部を前記円筒ボス部(302)に遊嵌して設け、更に、前記歯車(111)の前記溝部(111c)とは反対側の歯車面部を前記中板(330)のボス部(330a)に装着して設け、
前記分針パイプ(120)及び前記時針パイプ(130)は、前記回転工具を用いて前記溝部(111c)を操作することにより回転することができるようにした構成のアナログ時計のムーブメント(1)である。
本願第2請求項に記載した発明は、請求項1において、前記溝部(111c)を設けてなる前記歯車(111)の一方の端部及び前記円筒ボス部(302)には、前記歯車(111)の回転軸方向に対して垂直なリング面(111R,302R)をそれぞれ設け、これらのリング面(111R,302R)は、互いに対向している構成のアナログ時計のムーブメント(1)である。
本発明によれば、構成部品が少なく且つ製造時や検査時における針合せの操作性に優れたアナログ時計のムーブメントを得ることができる。
本発明の実施例に係り、アナログ時計のムーブメントを示す側面断面図である。 本発明の実施例に係り、アナログ時計のムーブメント(第1ケース部材を除いた状態)を示す背面図である。 本発明の実施例に係り、アナログ時計のムーブメントの要部を示す側面断面図である。 本発明の実施例に係り、溝部を設けた歯車、及びケース体の要部を示す側面断面図である。
以下に、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1乃至図4に示すアナログ時計のムーブメント1は、第1ステッピングモータ100と、第1ステッピングモータ100に連結された歯車列からなる第1減速機構110と、第1減速機構110に連結された分針パイプ120と、日の裏車140を介して分針パイプ120に連結された時針パイプ130と、第2ステッピングモータ200と、第2ステッピングモータ200に連結された歯車列からなる第2減速機構210と、第2減速機構210に連結された秒針パイプ220と、それらを支持するケース体300とを備えたものである。
具体的には、分針を装着する分針パイプ120、時針を装着する時針パイプ130、及び秒針を装着する秒針パイプ220が同心軸状に設けられている。そして、第1ステッピングモータ100に連結された減速機構110が分針パイプ120の基端部に設けられた歯車部120aと連結されている。更に、分針パイプ120の基端部に設けられたカナ120bが日の裏車140と連結されており、時針パイプ130の基端部に設けられた歯車部130aが日の裏車140のカナ140bと連結されている。また、第2ステッピングモータ200に連結された第2減速機構210が秒針パイプ220の基端部に設けられた歯車部220aと連結されている。分針パイプ120及び時針パイプ130が第1ステッピングモータ100によりそれぞれ所定の速度で回転駆動し、秒針パイプ220が第2ステッピングモータ200により所定の速度で回転駆動する。
ケース体300は、背面側の第1ケース部材310及び正面側の第2ケース部材320をその厚さ方向に組付けてなる扁平型のものである。第1ケース部材310及び第2ケース部材320の間には、第1ステッピングモータ100及び第2ステッピングモータ200を装着した中板330が設けられている。第2ケース部材320には、第1ステッピングモータ100及び第2ステッピングモータ200を制御する回路基板400が設けられている。
このケース体300の内部には、第1ステッピングモータ100、第2ステッピングモータ200、第1減速機構110、第2減速機構210、日の裏車140、及び各指針パイプ120,130,220の基端部が収納されている。第1ケース部材310、第2ケース部材320、及び中板330の要所には、各構成部材を保持する凹凸、ボス、及び支軸等が形成されている。各指針パイプ120,130,220の先端部は、第2ケース部材320から正面に向けて突出している。第1ケース部材310及び第2ケース部材320は、互いにねじ止めされている。回路基板400は、第2ケース部材320の正面に重ねてねじ止めされている。回路基板400には、各指針パイプ120,130,220を挿通する孔部が設けられている。
本例のムーブメント1は、標準時刻電波を受信してその表示時刻を修正する電波修正時計を構成するものであって、標準時刻電波を受信するアンテナ500をケース体300に設けるとともに、受信の動作を制御する受信回路を回路基板400に設けてなるものである。第1ケース部材310は、ケース体300の正面側から見て第2ケース部材320の側部に食み出した部位にアンテナ500の装着部311を一体に備えている。この装着部311は、正面側を開口した箱型を呈するものであり、その内部には、アンテナ500の端部を固定するスナップが設けられている。
また、ムーブメント1の要所には、分針パイプ120及び時針パイプ130の位置と、秒針パイプ220の位置とをそれぞれ検出する位置検出手段(図示は省略)が設けられている。各指針パイプ120,130,220の位置は、位置検出手段による位置検出及び回路基板400による各ステッピングモータ100,200の制御により、受信した標準時刻電波に応じて自動的に修正される構成となっている。
次に、本例のアナログ時計のムーブメント1における針合せについて説明する。分針及び時針の針合せは、第1減速機構110の歯車のうちの1つをプラスドライバーやマイナスドライバーといった回転工具にて直接回転することにより行なう。本例の場合、分針パイプ120に設けられた歯車部120aと噛合するカナ111bを備えた第1減速機構110の歯車111(いわゆる三番車)は、その回転軸方向の一方の端面に、回転工具をさし込むための溝部111cを設けてなるものである。溝部111cを設けてなる歯車111は、回転軸方向の両端部を第1ケース部材310及び中板330にそれぞれ装着して回転可能に設けられている。第1ケース部材310は、溝部111cを露呈する開口部301と、開口部301からその内側に向って突出する円筒ボス部302とを備えている。溝部111cは、ケース体300の表面よりも開口部301の奥に位置している。分針パイプ120及び時針パイプ130は、回転工具を用いて溝部111cを操作することにより回転することができる構成となっている。尚、前記歯車111は、上述のように回転軸方向の両端部を第1ケース部材310及び中板330にそれぞれ装着して回転可能に設けられているところ、本例では、図3に示すように、更に歯車(111)の前記溝部(111c)とは反対側の歯車面部を、前記中板(330)のボス部(330a)に装着して設けられている。
溝部111cを設けてなる歯車111は、回転軸方向の一方の端部を円筒ボス部302に遊嵌して設けられている。このような構成によると、回転工具にて溝部111cを操作する際にも歯車111を安定的に支えることができる。また、この歯車111の一方の端部及び円筒ボス部302には、歯車111の回転軸方向に対して垂直なリング面111R,302Rがそれぞれ設けられており、これらのリング面111R,302Rは、互いに対向している。このような構成によると、ケース体300の外部から内部に開口部301を通じて埃が浸入することを防止することができる。
以上説明したように、本例のアナログ時計のムーブメントは、従来の針合せ機構のように日の裏車を回転する針合せカナを設けずとも、分針及び時針を回転することができるものである。また、日の裏車を回転する場合と比較すると、より速やかに分針及び時針を動かすことができる。すなわち、構成部品が少なく且つ製造時や検査時における針合せの操作性に優れたムーブメントとして極めて合理的に構成されたものである。尚、本例における各部の構成は、特許請求の範囲に記載した技術的範囲において適宜に設計変更が可能であり、図例説明したものに限定されないことは勿論である。例えば、本例では溝部をいわゆる三番車に設けたが、このような溝部は第1減速機構の他の歯車に設けるように構成することも可能である。
本発明は、電波修正時計を構成するアナログ時計のムーブメントとして好適に利用することが可能である。
1 アナログ時計のムーブメント
100 第1ステッピングモータ
110 第1減速機構
111 溝部を設けてなる歯車
111b カナ
111c 溝部
111R リング面
120 分針パイプ
120a 歯車部
120b カナ
130 時針パイプ
130a 歯車部
140 日の裏車
140b カナ
200 第2ステッピングモータ
210 第2減速機構
220 秒針パイプ
220a 歯車部
300 ケース体
301 開口部
302 円筒ボス部
302R リング面
310 第1ケース部材
311 アンテナ装着部
320 第2ケース部材
330 中板
330a ボス部
400 回路基板
500 アンテナ

Claims (2)

  1. モータ(100)と、前記モータ(100)に連結された歯車列からなる減速機構(110)と、前記減速機構(110)に連結された分針パイプ(120)と、日の裏車(140)を介して前記分針パイプ(120)に連結された時針パイプ(130)と、それらを支持するケース体(300)とを備えたアナログ時計のムーブメント(1)において、
    前記ケース体(300)は、第1ケース部材(310)と第2ケース部材(320)を備えるとともに、これら第1、第2ケース部材(310,320)の間に中板(330)を備え、
    前記減速機構(110)の歯車のうちの1つ(111)は、前記第1ケース部材(310)と前記中板(330)との間に設けられるとともに、その回転軸方向の一方の端面に、回転工具をさし込むための溝部(111c)を設けてなるものであり、
    前記第1ケース部材(310)は、前記溝部(111c)を露呈する開口部(301)と、前記開口部(301)からその内側に向って突出する円筒ボス部(302)とを備え、
    前記溝部(111c)を設けてなる前記歯車(111)は、その回転軸方向の一方の端部を前記円筒ボス部(302)に遊嵌して設け、更に、前記歯車(111)の前記溝部(111c)とは反対側の歯車面部を前記中板(330)のボス部(330a)に装着して設け、
    前記分針パイプ(120)及び前記時針パイプ(130)は、前記回転工具を用いて前記溝部(111c)を操作することにより回転することができるようにしたことを特徴とするアナログ時計のムーブメント。
  2. 前記溝部を設けてなる前記歯車の一方の端部及び前記円筒ボス部には、前記歯車の回転軸方向に対して垂直なリング面をそれぞれ設け、これらのリング面は、互いに対向していることを特徴とする請求項1記載のアナログ時計のムーブメント。
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