JP5659801B2 - ゴム配合用樹脂補強剤 - Google Patents
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Description
一方、地球温暖化防止のための二酸化炭素排出削減の観点から、自動車のさらなる燃費向上の要求が強まっている。タイヤは燃費に大きく影響する自動車部材の一つであり、タイヤの転がり抵抗を低減させることにより燃費を改善する取り組みが活発に行なわれている。転がり抵抗を低減させる手法として、ゴムポリマーのガラス転移点を低減したり、充填剤の配合量を低減したり、充填剤にシリカを用いたりすることが知られている。これらのうち、充填剤の配合を低減する手法が比較的容易で、その効果も大きいが、反面、ゴム組成物の弾性率が低下してしまう問題がある。
このような低下した弾性率を向上させる手法としてフェノール樹脂の添加が考えられるが、一般的にフェノール樹脂が配合されたゴム組成物は、弾性率は高いものの、低発熱性が悪化してしまうため、弾性率は向上できるものの、せっかく低減した転がり抵抗が再度悪化してしまい好ましくない。そのため、発熱性の悪化を抑制しながら、弾性率の向上を目指す手法として、ゴム配合物への添加条件の最適化(例えば、特許文献1参照)や、特定の化合物と組み合わせて使用する(例えば、特許文献2参照)ことなどが開発されているが、満足できるレベルに至っていないのが現状である。
[1] フェノール及びクレゾール類とアルデヒド類とを反応させて合成されるノボラック型フェノール・クレゾール共縮合樹脂からなるゴム配合用樹脂補強剤であって、フェノール(A)とクレゾール類(B)の重量比(A/B)が15/85〜85/15で、クレゾール類(B)がメタクレゾ−ル(C)とパラクレゾール(D)からなり、メタクレゾ−ル(C)とパラクレゾール(D)の重量比(C/D)が50/50〜75/25であり、カシューオイルまたはトールオイルで変性されたものであるノボラック型フェノール・クレゾール共縮合樹脂からなることを特長とするゴム配合用樹脂補強剤。
[2] フェノール(A)、メタクレゾール(C)及びパラクレゾール(D)とアルデヒド類(E)とを酸性触媒のもとで反応させて得られる前記[1]に記載のゴム配合用樹脂補強剤。
[3] フェノール(A)とメタクレゾール(C)とパラクレゾール(D)の合計に対するアルデヒド類(E)のモル比率が、0.3〜0.8である前記[1]又は[2]に記載のゴム配合用樹脂補強剤。
[4] 軟化点が80〜180℃である前記[1]ないし[3]のいずれか1項に記載のゴム配合用樹脂補強剤。
[5] ノボラック型フェノール・クレゾール共縮合樹脂とエタノールとの重量比が1/1の溶液において、溶液粘度が20〜150μm2/sである前記[1]ないし[4]のいずれか1項に記載のゴム配合用樹脂補強剤。
[6] 天然ゴム、スチレンブタジエン共重合ゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、アクリロニトリルブタジエン共重合ゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム及びエチレン・プロピレンゴムからなる群から選ばれる少なくとも1種からなるゴムと、フェノール及びクレゾール類とアルデヒド類とを反応させて合成されるノボラック型フェノール・クレゾール共縮合樹脂からなるゴム配合用樹脂補強剤であって、フェノール(A)とクレゾール類(B)の重量比(A/B)が15/85〜85/15で、クレゾール類(B)がメタクレゾ−ル(C)とパラクレゾール(D)からなり、メタクレゾ−ル(C)とパラクレゾール(D)の重量比(C/D)が50/50〜75/25であるノボラック型フェノール・クレゾール共縮合樹脂からなるゴム配合用樹脂補強剤と、その硬化剤とを含有することを特徴とするゴム組成物。
[7] 硬化剤がヘキサメチレンテトラミン、多価メチロールメラミン誘導体から選んだ少なくとも一種である前記[6]に記載のゴム組成物。
本発明に用いるノボラック型フェノール・クレゾール共縮合樹脂は、フェノール(A)とクレゾール類(B)の重量比(A/B)が15/85〜85/15で、クレゾール類(B)がメタクレゾ−ル(C)とパラクレゾール(D)からなり、メタクレゾ−ル(C)とパラクレゾール(D)の重量比(C/D)が50/50〜75/25であることを特長とする。
これらのアルデヒド類の中でも、反応性が優れ、安価であるホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドから選ばれるものが好ましく、ホルムアルデヒドが特に好ましい。
本発明のゴム配合用樹脂補強剤は、前記のノボラック型フェノール・クレゾール共縮合樹脂からなるものである。
ここに記載されている「部」は「重量部」を、「%」は「重量%」を示す。
撹拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応装置に、フェノール200部、メタクレゾール440部、パラクレゾール360部、37%ホルマリン392部及び蓚酸20部を仕込み後、徐々に昇温し温度が95℃に達してから120分間還流反応を行った。次いで、系内を650mmHgの真空下で脱水を行ないながら、系内の温度が200℃に達したところで反応器より取り出して常温で固形のノボラック型フェノール・クレゾール共縮合樹脂720部を得た。
撹拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応装置に、フェノール400部、メタクレゾール330部、パラクレゾール270部、37%ホルマリン402部及び蓚酸20部を仕込み後、徐々に昇温し温度が95℃に達してから120分間還流反応を行った。次いで、系内を650mmHgの真空下で脱水を行ないながら、系内の温度が200℃に達したところで反応器より取り出して常温で固形のノボラック型フェノール・クレゾール共縮合樹脂725部を得た。
撹拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応装置に、フェノール600部、メタクレゾール220部、パラクレゾール180部、37%ホルマリン412部及び蓚酸20部を仕込み後、徐々に昇温し温度が95℃に達してから120分間還流反応を行った。次いで、系内を650mmHgの真空下で脱水を行ないながら、系内の温度が200℃に達したところで反応器より取り出して常温で固形のノボラック型フェノール・クレゾール共縮合樹脂730部を得た。
メタクレゾール560部、パラクレゾール240部とすること以外は、実施例1と同様にして、常温で固形のノボラック型フェノール・クレゾール共縮合樹脂720部を得た。
(実施例5)
メタクレゾール420部、パラクレゾール180部とすること以外は、実施例2と同様にして、常温で固形のノボラック型フェノール・クレゾール共縮合樹脂725部を得た。
メタクレゾール280部、パラクレゾール120部とすること以外は、実施例3と同様にして、常温で固形のノボラック型フェノール・クレゾール共縮合樹脂730部を得た。
(実施例7)
37%ホルマリンを275部にすること以外は、実施例1と同様にして、常温で固形のノボラック型フェノール・クレゾール共縮合樹脂660部を得た。
(実施例8)
37%ホルマリンを533部にすること以外は、実施例1と同様にして、常温で固形のノボラック型フェノール・クレゾール共縮合樹脂800部を得た。
撹拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応装置に、フェノール1000部、37%ホルマリン586部及び蓚酸20部を仕込み後、徐々に昇温し温度が95℃に達してから120分間還流反応を行った。次いで、系内を650mmHgの真空下で脱水を行ないながら、系内の温度が200℃に達したところで反応器より取り出して常温で固形のノボラック型フェノール樹脂870部を得た。
37%ホルマリンを733部にすること以外は、比較例1と同様にして、常温で固形のノボラック型フェノール樹脂950部を得た。
撹拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応装置に、メタクレゾール550部、パラクレゾール450部、37%ホルマリン306部及び蓚酸20部を仕込み後、徐々に昇温し温度が95℃に達してから120分間還流反応を行った。次いで、系内を650mmHgの真空下で脱水を行ないながら、系内の温度が200℃に達したところで反応器より取り出して常温で固形のノボラック型クレゾール樹脂650部を得た。
37%ホルマリンを421部にすること以外は、比較例3と同様にして、常温で固形のノボラック型クレゾール樹脂710部を得た。
(比較例5)
37%ホルマリンを497部にすること以外は、比較例3と同様にして、常温で固形のノボラック型クレゾール樹脂750部を得た。
撹拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応装置に、フェノール50部、メタクレゾール523部、パラクレゾール427部、37%ホルマリン387部及び蓚酸20部を仕込み後、徐々に昇温し温度が95℃に達してから120分間還流反応を行った。次いで、系内を650mmHgの真空下で脱水を行ないながら、系内の温度が200℃に達したところで反応器より取り出して常温で固形のノボラック型フェノール・クレゾール共縮合樹脂715部を得た。
撹拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応装置に、フェノール900部、メタクレゾール55部、パラクレゾール45部、37%ホルマリン503部及び蓚酸20部を仕込み後、徐々に昇温し温度が95℃に達してから120分間還流反応を行った。次いで、系内を650mmHgの真空下で脱水を行ないながら、系内の温度が200℃に達したところで反応器より取り出して常温で固形のノボラック型フェノール・クレゾール共縮合樹脂830部を得た。
上記実施例及び比較例で得られたノボラック型樹脂の特長を見るため、ゴムに配合しその物性を確認した。
(1)天然ゴム:RSS3
(2)カーボンブラック:三菱化学社製、HAF
(3)硫黄:鶴見化学工業社製金華印油入微粉硫黄
(4)亜鉛華:堺化学社製、酸化亜鉛
(5)ステアリン酸:日油社製ビーズステアリン酸YR
(6)加硫促進剤:N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド
(7)ヘキサメチレンテトラミン:三菱ガス化学製
JIS K 6300に準拠して、東洋精機社製ムーニー粘度計を用いムーニー粘度、スコーチタイムを測定した。
(b)硬さ(タイプD)
JIS K 6253に準拠して、東洋精機社製デュロメーターを用い硬さ(タイプD)を測定した。
(c)貯蔵弾性率、tanδ
TAインスツルメント社製動的粘弾性測定装置を用い、動的歪2%の条件下で、50℃における貯蔵弾性率とtanδを測定した。tanδが低いほど低発熱性が良好で、タイヤにしたときの転がり抵抗が低くなると言える。
ノボラック型フェノール樹脂を配合した比較例1、2のゴム組成物は、tanδが高いうえに、硬さ、貯蔵弾性率は高くなかった。ノボラック型クレゾール樹脂を配合した比較例3、4、5のゴム組成物は、硬さ、貯蔵弾性率が高い値を示したものの、低tanδ、低ムーニー粘度、長スコーチタイムの全てを満たすことはできなかった。所定内のフェノール/クレゾール比率ではないノボラック型フェノール・クレゾール共縮合樹脂を配合した比較例6、7のゴム組成物も、高硬さ、高貯蔵弾性率、低tanδ、低ムーニー粘度、長スコーチタイムの全てを満たすことはできなかった。
Claims (7)
- フェノール及びクレゾール類とアルデヒド類とを反応させて合成されるノボラック型フェノール・クレゾール共縮合樹脂からなるゴム配合用樹脂補強剤であって、フェノール(A)とクレゾール類(B)の重量比(A/B)が15/85〜85/15で、クレゾール類(B)がメタクレゾ−ル(C)とパラクレゾール(D)からなり、メタクレゾ−ル(C)とパラクレゾール(D)の重量比(C/D)が50/50〜75/25であり、カシューオイルまたはトールオイルで変性されたものであるノボラック型フェノール・クレゾール共縮合樹脂からなることを特長とするゴム配合用樹脂補強剤。
- フェノール(A)、メタクレゾール(C)及びパラクレゾール(D)とアルデヒド類(E)とを酸性触媒のもとで反応させて得られる請求項1に記載のゴム配合用樹脂補強剤。
- フェノール(A)とメタクレゾール(C)とパラクレゾール(D)の合計に対するアルデヒド類(E)のモル比率が、0.3〜0.8である請求項1又は2に記載のゴム配合用樹脂補強剤。
- 軟化点が80〜180℃である請求項1ないし3のいずれか1項に記載のゴム配合用樹脂補強剤。
- ノボラック型フェノール・クレゾール共縮合樹脂とエタノールとの重量比が1/1の溶液において、溶液粘度が20〜150μm2/sである請求項1ないし4のいずれか1項に記載のゴム配合用樹脂補強剤。
- 天然ゴム、スチレンブタジエン共重合ゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、アクリロニトリルブタジエン共重合ゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム及びエチレン・プロピレンゴムからなる群から選ばれる少なくとも1種からなるゴムと、フェノール及びクレゾール類とアルデヒド類とを反応させて合成されるノボラック型フェノール・クレゾール共縮合樹脂からなるゴム配合用樹脂補強剤であって、フェノール(A)とクレゾール類(B)の重量比(A/B)が15/85〜85/15で、クレゾール類(B)がメタクレゾ−ル(C)とパラクレゾール(D)からなり、メタクレゾ−ル(C)とパラクレゾール(D)の重量比(C/D)が50/50〜75/25であるノボラック型フェノール・クレゾール共縮合樹脂からなるゴム配合用樹脂補強剤と、その硬化剤とを含有することを特徴とするゴム組成物。
- 硬化剤がヘキサメチレンテトラミン、多価メチロールメラミン誘導体から選んだ少なくとも一種である請求項6に記載のゴム組成物。
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