JP5656338B2 - 新規な1,10−フェナントロリン誘導体、電子輸送材料、電子注入材料およびそれを含有する有機電界発光素子 - Google Patents

新規な1,10−フェナントロリン誘導体、電子輸送材料、電子注入材料およびそれを含有する有機電界発光素子 Download PDF

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本発明は電気エネルギーを光に変換して発光する発光素子および各種有機半導体デバイス等に用いることが可能な新規なヘテロ環化合物、すなわち、1,10−フェナントロリン誘導体、それよりなる電子輸送材料、電子注入材料、およびそれを含有する有機電界発光素子に関する。
近年、様々な有機化合物が、種々の機能を有することが見いだされ、これを表示素子材料、記憶材料等に利用する研究が盛んに行われている。中でも、有機電界発光素子(有機EL素子;有機エレクトロルミネッセンス素子)は比較的低電圧で高輝度の発光が可能であることから特に注目を集めている。代表的な例として、有機化合物の蒸着で形成した有機薄膜からなる発光素子が良く知られている[非特許文献1]。この発光素子は、電子輸送兼発光材料であるトリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq)と正孔輸送材料である(トリアリールアミン化合物)を積層した構造からなり、これまでの単層型素子に比較して発光特性が大幅に向上している。
しかしながら、有機電界発光素子を実用化する上で、素子の安定性、耐久性、発光輝度、発光効率、低電圧化等の解決すべき問題が数多く残されている。発光輝度、発光効率を向上させる手法として、例えばトリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq)層にクマリン誘導体等の蛍光性色素をドープする方法が知られている。この方法によって、ドープする色素を選択することにより所望の色の光を出すことができる。しかし、高輝度を得るために駆動電圧を高くしてしまうとAlqからの発光が混入してしまい色純度が低下する問題が出てきてしまう。また、Alqは緑色の発光材料でもあるため、緑色より短い波長の青色を取り出したい場合にはAlqは使用できない。そこで大きなバンドギャップを持つ1,10−フェナントロリン誘導体の一種である下式で示されるバソフェナントロリン(BPhen)やバソクプロイン(BCP)が電子輸送材料として使用されている[特許文献1〜2]。
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特に、バソフェナントロリンは、電子の移動度が高いことが知られている[非特許文献2]。しかし、これらの材料を用いた発光素子は、高温保存時および連続発光時に素子の劣化が著しいことが問題となっている。この劣化原因は、材料の耐熱性が乏しく、結晶性が非常に良いために、蒸着膜の再結晶化が起こってしまうためである。1,10−フェナントロリン誘導体を発光素子等に使用した例としては、1,10−フェナントロリン骨格の特定の位置に置換基を有する化合物を電子輸送層に用いた有機電界発光素子が開示されている[特許文献1〜7]。
また、材料の特性を損なうことなく耐熱性を持たせるために、一分子の中に1,10−フェナントロリン骨格を複数導入する方法が検討されている。実際、1,10−フェナントロリン骨格を2〜3つ有する化合物を電子輸送層に用いた有機電界発光素子についての文献が開示されている[特許文献8〜13]。いずれの場合にも1,10−フェナントロリン骨格の2位で結合が繋がった構造を有しているが、その化合物を用いた素子の耐久性は不十分であった。
一方、1,10−フェナントロリン誘導体の合成については、いくつかの合成法が既に報告されている[非特許文献3、4]。
C.W. Tang et al.,Appl.Phys.Lett.,51,913(1987) S.Naka et al.,Appl.Phys.Lett.,76,197(1998) E.C.Riesgo et al.,J.Org.Chem.,61,3017(1996) C.−Y.Hung et al.,Tetrahedron,36,10685(1994) 特開平5−331459号公報 特開平7−82551号公報 特開平10−79297号公報 特開2001−267080号公報 特開2001−131174号公報 特開2004−107263号公報 特開2006−151866号公報 特開2001−267080号公報 特開2003−115387号公報 特開2003−338377号公報 特開2003−206278号公報 特開2004−281390号公報 特開2004−311184号公報
本発明の課題は、耐久性に優れた新規な1,10−フェナントロリン誘導体、それよりなる電子輸送材料、電子注入材料および該化合物を含有する有機電界発光素子を提供する点にある。
上記課題の解決を目的に鋭意研究した結果、本発明者等は、1,10−フェナントロリン構造を有する特定の化合物が、高い電子輸送性能を有し、耐久性に優れていることを初めて発見し、本発明の完成に至ったものである。
本発明の第1は、下記一般式(1)で示される1,10−フェナントロリン誘導体に関する。
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(式中、R〜Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜30のアリール基よりなる群から選ばれた基であり、Aはフェニレン基であり、nは2または3である)
すなわち、本発明は、フェナントロリンの3位でAと結合していることが大切である。
本発明の第2は、請求項1記載の一般式(1)で表される1,10−フェナントロリン誘導体よりなる電子輸送材料に関する。
本発明の第3は、請求項1記載の一般式(1)で表される1,10−フェナントロリン誘導体よりなる電子注入材料に関する。
本発明の第4は、一対の電極間に請求項1記載の一般式(1)で表される1,10−フェナントロリン誘導体を少なくとも一種含有する層を含む有機電界発光素子に関する。
前記炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、2−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、2−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−ブチルヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。
前記置換または無置換の炭素数6〜30のアリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、4−フェニル−1−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、10−フェニル−9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、2−ペリレニル基、3−ペリレニル基、1−フルオランテニル基、2−フルオランテニル基、3−フルオランテニル基、8−フルオランテニル基、2−トリフェニレニル基、9,9−ジメチルフルオレン−2−イル基、9,9−ジブチルフルオレン−2−イル基、9,9−ジヘキシルフルオレン−2−イル基、9,9−ジオクチルフルオレン−2−イル基、9,9−ジフェニルフルオレン−2−イル基、2−ビフェニリル基、3−ビフェニリル基、4−ビフェニリル基、p−テルフェニル−3−イル基、p−テルフェニル−4−イル基、m−テルフェニル−3−イル基、m−テルフェニル−4−イル基、o−テルフェニル−3−イル基、o−テルフェニル−4−イル基、4−(1−ナフチル)−1−ナフチル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−メチル−1−ナフチル基、4−フェニル−1−ナフチル基、10−メチル−9−アントリル基、4−フェニル−8−フルオランテニル基等が挙げられる。
本発明の一般式(1)で表される新規な1,10−フェナントロリン化合物の好ましい具体例を下記に示すが、本発明は、これらに限定されるものではない。
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本発明の新規な1,10−フェナントロリン化合物は以下の方法により製造することができるが、特に限定されるものではない。
本発明の新規な1,10−フェナントロリン化合物は、ハロゲン化物とアリールボロン酸誘導体のカップリング反応(Suzuki反応)により製造することができる[Chem.Rev.,vol.102,1359(2002).Tetrahedron,58,9633(2002).]。具体的には、下式に示すような一般式(2)で示されるアリールボロン酸誘導体と一般式(3)で示される3−ブロモ−1,10−フェナントロリン誘導体をカップリングする方法が好ましい。
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本発明の新規な1,10−フェナントロリン誘導体の製造に用いられる一般式(2)で示される3−ブロモ−1,10−フェナントロリン誘導体は、公知の製造方法により製造することができる[Tetrahedron Lett.,36,3489(1995).]。
一般式(3)で示されるアリールボロン酸誘導体は、対応するハロゲン化アリールなどから公知の製造方法により製造することができる[Tetrahedron,58,9633(2002).]。
本発明の新規な1,10−フェナントロリン誘導体の製造は、通常、塩基の存在下で遷移金属錯体を触媒として用いたカップリング反応で行う。
塩基の例としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸セシウム、リン酸三カリウムなどが挙げられるが、とくに炭酸ナトリウムが好ましい。
遷移金属錯体は、あらかじめ合成したものを使用しても良く、遷移金属錯体の前駆化合物と配位子を同時に使用して反応系内で発生させても良い。遷移金属錯体としては、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)が好ましい。遷移金属錯体の前駆化合物の例としては、例えば、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、パラジウム−炭素などが挙げられるが、とくに酢酸パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)が好ましい。また、配位子の例としては、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ(tert−ブチル)ホスフィン、亜リン酸トリメチルなどが挙げられるが、とくにトリフェニルホスフィンが好ましい。
本発明の新規な1,10−フェナントロリン誘導体の製造は、遷移金属錯体触媒を使用するので、通常、窒素、アルゴンなどの酸素を含まない不活性雰囲気下で行われる。
また、本発明の新規な1,10−フェナントロリン誘導体の製造に使用される溶媒は、通常、塩基を溶かすための水と混合して用いることが多いが、単独で用いても良い。その例としては、メタノール、エタノール、ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。好ましくは、エタノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンである。また、水−エタノール−トルエン系のような三種類の混合溶媒も良く用いる。溶媒の使用量は、一般式(2)で示される化合物に対して、3〜100重量倍が一般的であるが、好ましくは3〜50重量倍である。反応温度は、20℃から200℃の範囲であるが、好ましくは50℃から120℃である。反応時間は、1〜100時間程度である。
本発明の新規な1,10−フェナントロリン誘導体は、反応終了後、冷却し、析出してきた結晶をろ過し、メタノール、水で洗浄し、乾燥すれば得られる。また、冷却しても、結晶が析出しない場合には、反応液をメタノールまたは水に注ぎ、析出してきた結晶をろ過し、メタノールまたは水で洗浄し、乾燥すると目的生成物が得られる。反応液をメタノールまたは水に注いでも結晶が析出しない場合には、トルエン、酢酸エチル等の溶媒で抽出し、洗浄、乾燥、濃縮すると目的生成物が得られる。
本発明の新規な1,10−フェナントロリン誘導体は、カラムクロマトグラフィー、再結晶、昇華により精製することができる。また、必要に応じて、前記3つの精製方法を組み合わせてもよい。カラムクロマトグラフィーでは、充填剤としてシリカゲル、アルミナ、フロリジルなどを用いて、適切な溶媒で溶離することにより精製することができる。精製溶媒の例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、酢酸エチルなどが挙げられる。
本発明の新規な1,10−フェナントロリン誘導体に置換基を導入する場合、一般式(2)で示される3−ブロモ−1,10−フェナントロリン誘導体にあらかじめ所望の置換基を導入しておいて、次いで、一般式(3)で示されるアリールボロン酸誘導体とカップリングする方法で合成できる。
次に本発明の有機電界発光素子について説明する。本発明の有機電界発光素子は、陽極と陰極間に一層もしくは多層の有機化合物層を積層した素子であり、該有機化合物層の少なくとも一層が本発明の新規な1,10−フェナントロリン化合物を含有する。有機電界発光素子が一層型の場合、陽極と陰極間に発光層を設けている。発光層は、発光材料を含有し、それに加えて陽極から注入した正孔もしくは陰極から注入した電子を発光材料まで輸送する目的で、正孔輸送材料もしくは電子輸送材料を含有してもよい。正孔輸送層、電子輸送層、および発光層のそれぞれの層は、一層構造であっても、多層構造であってもよい。また、正孔輸送層、電子輸送層は、それぞれの層で、注入機能を受け持つ層(正孔注入層および電子注入層)と輸送機能を受け持つ層(正孔輸送層および電子輸送層)を別々に設けることもできる。また、複数の発光材料を混合してもよい。多層型の有機電界発光素子の構成例としては、例えば、陽極/正孔輸送層/発光層/陰極、陽極/発光層/電子輸送層/陰極、陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極等の多層構成で積層したものが挙げられる。また、必要により陰極上に封止層を有していてもよい。
本発明の有機電界発光素子は、上記構成例に限らず、種々の構成とすることができる。必要に応じて、正孔輸送層成分と発光層成分、あるいは電子輸送層成分と発光層成分を混合した層を設けても良い。
以下、本発明の有機電界発光素子の構成要素に関し、陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極からなる素子構成を例として取り上げて詳細に説明する。本発明の有機電界発光素子は、基板に支持されていることが好ましい。基板の素材については特に制限はなく、従来の有機電界発光素子に慣用されているものであればよく、例えば、ガラス、透明プラスチック、石英ガラスなどからなるものを用いることができる。本発明の有機電界発光素子の陽極としては、その金属の持つ仕事関数の大きな(4eV以上)金属、その合金の持つ仕事関数の大きな(4eV以上)合金または導電性物質およびこれらの混合物を電極材料とすることが好ましい。このような電極材料の具体例としては、例えば、金、銀、銅などの金属、ITO(インジウム・チン・オキサイド)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)などの導電性透明材料、ポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性高分子材料が挙げられる。陽極はこれらの電極材料を、例えば、蒸着、スパッタリング、塗布などの方法により基板上に形成することができる。陽極のシート電気抵抗は数百Ω/cm以下が好ましい。陽極の膜厚は材料にもよるが、一般に5〜1,000nm程度、好ましくは10〜500nmである。
陰極としては、その金属の持つ仕事関数の小さな(4eV以下)金属、その合金の持つ仕事関数の小さな(4eV以下)合金または導電性物質およびこれらの混合物を電極材料とすることが好ましい。このような電極材料の具体例としては、リチウム、リチウム−インジウム合金、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム、アルミニウム−リチウム合金、アルミニウム−マグネシウム合金などが挙げられる。陰極はこれらの電極材料を例えば、蒸着法、スパッタリング法などの方法により、薄膜を形成させることにより、作製することができる。陰極のシート電気抵抗は数百Ω/cm以下が好ましい。陰極の膜厚は材料にもよるが、一般に5〜1,000nm程度、好ましくは10〜500nmである。本発明の有機電界発光素子の発光を効率よく取り出すために、陽極または陰極の少なくとも一方の電極は、透明または半透明であることが好ましい。
本発明の有機電界発光素子の正孔輸送層は、正孔伝達化合物からなるもので、陽極より注入された正孔を発光層に伝達する機能を有している。電界が与えられた2つの電極間に正孔伝達化合物が配置されて陽極から正孔が注入された場合、少なくとも10−6cm/V・秒以上の正孔移動度を有する正孔伝達化合物が好ましい。本発明の有機電界発光素子の正孔輸送層に使用する正孔伝達化合物は、前記の好ましい性質を有するものであれば特に制限はない。従来から光導電材料において正孔の電荷注入輸送材料として慣用されているものや有機電界発光素子の正孔輸送層に使用されている公知の材料の中から任意のものを選択して用いることができる。
前記の正孔伝達物質としては、例えば、銅フタロシアニンなどのフタロシアニン誘導体、N,N,N′,N′−テトラフェニル−1,4−フェニレンジアミン、N,N′−ジ(m−トリル)−N,N′−ジフェニル−4,4′−ジアミノビフェニル(TPD)、N,N′−ジ(1−ナフチル)−N,N′−ジフェニル−4,4′−ジアミノビフェニル(α−NPD)などのトリアリールアミン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、および水溶性のPEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)−PSS(ポリスチレンスルホン酸)が挙げられる。正孔輸送層は、これらの正孔伝達化合物一種または二種以上からなる一層で構成されてもよく、前記の正孔伝達化合物とは別の化合物からなる正孔輸送層を積層したものでもよい。
本発明の有機電界発光素子の発光層に用いられる発光材料については特に制限されることはなく、従来の公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。
発光材料としては、アクリドン誘導体、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体(例えば、クマリン1、クマリン6、クマリン110、クマリン153)、ピラン誘導体(例えば、DCM1,DCM2)、オキサゾン誘導体(例えば、ナイルレッド)、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、縮合多環式芳香族炭化水素およびその誘導体(例えば、ピレン、ペリレン、クリセン)、トリアリールアミン誘導体、有機金属錯体[例えば、トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq)]などを挙げることができる。
発光層は、ホスト材料とゲスト材料(ドーパント)から形成することもできる[Appl.Phys.Lett.,65,3610(1989)]。発光層に使用する発光材料は、ホスト材料のみでも、ホスト材料とドーパント材料の組合せでもよい。
有機電界発光素子において、発光層のホスト材料と電子輸送層の材料が異なるとき、発光層にホスト材料とドーパン材料(ゲスト材料)の混合物、その上層の電子輸送層に電子輸送材料が積層した構造となる。この場合、ホスト材料の全般にドーパント材料が含まれていることになる。一方、発光層のホスト材料と電子輸送層の材料に同じ材料を使用した場合、発光層にホスト材料とドーパント材料の混合物、その上層の電子輸送層にホスト材料が積層した構造となる。この場合、ホスト材料の一部にドーパント材料が含まれていることになる。いいかえれば、「ドーパント材料はホスト材料の全般に含まれていても、部分的に含まれていても良い。」ということになる。
ドーパント材料は、ホスト材料に対して、好ましくは、0.01〜40重量%であり、より好ましくは、0.1〜20重量%である。ドーパント材料は、単独で使用しても、複数の材料を併用してもよい。
本発明の有機電界発光素子の発光層に用いられるホスト材料については特に制限されることはなく、前記発光材料の中から任意のものを選択して用いることができる。その具体例としては、ペンタセン、ルブレンなどの縮合多環式芳香族炭化水素誘導体、ベンズトリアゾール誘導体、スチルベン誘導体、ビスチリルアントラセンなどのビスチリル誘導体、イソベンゾフラン誘導体、クマリン誘導体、ローダミン誘導体、アクリジン誘導体、アクリドン誘導体、キナクリドン誘導体、ピロメテン誘導体などの蛍光性材料が挙げられる。
また、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム、トリス〔2−(2−ベンゾチオフェニル)ピリジン〕イリジウム、トリス(1−フェニルイソキノリン)イリジウム、ビス(1−フェニルイソキノリン)(アセチルアセトナト)イリジウムなどがリン光性材料として挙げられる。
本発明の有機電界発光素子の電子輸送層および/または電子注入層の材料としては、本発明の新規な1,10−フェナントロリン誘導体が好ましい。
本発明の有機電界発光素子は、電子注入性をさらに向上させる目的で、陰極と有機層の間に絶縁体で構成される電子注入層をさらに設けてもよい。ここで使用される絶縁体としては、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、8−キノリノール誘導体のアルカリ金属塩から選択される少なくとも一つの金属化合物を使用することが好しい。アルカリ金属ハロゲン化物としては、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、等が挙げられる。アルカリ土類金属ハロゲン化物としては、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、等が挙げられる。8−キノリノール誘導体のアルカリ金属塩としては、8−キノリノラトリチウム(Liq)が挙げられる。
正孔輸送層、発光層、電子輸送層の形成方法については、特に限定されるものではない。例えば、真空蒸着法、イオン化蒸着法、溶液塗布法(例えば、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法)を使用することができる。また、真空蒸着法と溶液塗布法を併用してもよい。
真空蒸着法により正孔輸送層、発光層、電子輸送層等の各層を形成する場合、真空蒸着条件は、特に限定されるものではない。通常、10−5Torr程度以下の真空下で、50〜500℃程度のボート温度(蒸着源温度)、−50〜300℃程度の基板温度で、0.01〜50nm/秒程度の蒸着速度で蒸着するのが好ましい。また、正孔輸送層、発光層、電子輸送層の各層を真空下で連続して形成することが好ましい。正孔輸送層、発光層、電子輸送層の各層を複数の化合物を使用して形成する場合、化合物を入れた各ボートをそれぞれ温度制御しながら共蒸着することが好ましい。
溶液塗布法により各層を形成する場合、各層を構成する成分を溶媒に溶解または分散させて塗布液とする。溶媒としては、炭化水素系溶媒(例えば、ヘプタン、トルエン、キシレン等)、ケトン系溶媒(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、ハロゲン系溶媒(例えば、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等)、エステル系溶媒(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、アルコール系溶媒(例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、エーテル系溶媒(ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等)、非プロトン性溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等)、水等が挙げられる。溶媒は単独で使用してもよく、複数の溶媒を併用してもよい。
正孔輸送層、発光層、電子輸送層等の各層の膜厚は、特に限定されるものではないが、通常、1〜1,000nmになるようにする。
本発明の有機電界発光素子は、酸素や水分等との接触を遮断する目的で保護層(封止層)を設けたり、不活性物質中に素子を封入して保護することができる。不活性物質としては、パラフィン、シリコンオイル、フルオロカーボン等が挙げられる。保護層に使用する材料としては、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、光硬化性樹脂等が挙げられる。
本発明の有機電界発光素子は、通常、直流駆動型の素子として使用できる。直流電圧を印加する場合、陽極を+、陰極を−の極性として電圧を通常、1.5〜20V程度印加すると発光が観測される。また、本発明の有機電界発光素子は、交流駆動型の素子としても使用できる。交流電圧を印加する場合には、陽極が+、陰極が−の状態になった時に発光する。本発明の有機電界発光素子は、例えば、電子写真感光体、フラットパネルディスプレイ等の平面発光体、複写機、プリンター、液晶ディスプレイのバックライト、計器類等の光源、各種発光素子、各種表示素子、各種標識、各種センサー、各種アクセサリーなどに使用することができる。
本発明の新規な1,10−フェナントロリン誘導体は、高い電子輸送性能と安定性を有している。このため、有機電界発光素子、有機半導体トランジスタ等の有機半導体デバイスに適した材料を提供することが可能となった。また、本発明の新規な1,10−フェナントロリン誘導体を用いることにより、従来の有機電界発光素子よりも、低い駆動電圧で動作し、発光特性に優れ、且つ、安定性に優れた長寿命の有機電界発光素子を提供することが可能となった。従って、本発明の新規な1,10−フェナントロリン誘導体は、工業的に極めて重要なものである。
以下に、本発明の新規な1,10−フェナントロリン誘導体の製造および該化合物を用いた有機電界発光素子の作製の具体的な実施例を例示するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
実施例1
例示化合物番号1−1の化合物{1,4−ビス(1,10−フェナントロリン−3−イル)ベンゼン}の製造
Figure 0005656338
1,4−フェニレンジボロン酸(44.1g、266mmol)のエタノール(1.1L)溶液に3−ブロモ−1,10−フェナントロリン(172g、655mmol)と9%炭酸ナトリウム水溶液(790g)、トルエン(0.56L)を加えた。混合物を75℃にあたため、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(46.2g、40mmol)を加えた。加熱還流下で72時間撹拌した。冷却後、生成した沈殿を濾別し、乾燥した。粗結晶をN−メチルピロリドンから再結晶して1,4−ビス(1,10−フェナントロリン−3−イル)ベンゼン(73.3g)を得た。化学構造はマススペクトル(m/e=434,M)で同定した。このもののマススペクトルを図1に示す。
実施例2
有機電界発光素子の作製
厚さ100nmのITO透明電極を有する25mm×25mmサイズのガラス基板を洗浄剤(商品名:セミコクリーン56)、超純水、アセトン、イソプロパノールを用いて超音波洗浄した。次いで、イソプロパノール中で煮沸した後、UV/オゾン洗浄したものを透明導電性支持基板として使用した。先ず、下記式
Figure 0005656338
で示されるTPDPES(ポリエーテルスルホン化合物、分子量10,000〜30,000)(20mg)と下記式
Figure 0005656338
で示されるTBPAH[トリス(4−ブロモフェニル)アンモニウムヘキサクロロアンチモネート](2mg)の1,2−ジクロロエタン(4mL)溶液をスピンコート(回転数:1,500rpm)した後、加熱乾燥して厚さ10nmの薄膜層を作製し、正孔注入層とした。次に、このガラス基板を真空蒸着装置内に設置し、正孔輸送層として下記式
Figure 0005656338
で示されるN,N′−ジ(1−ナフチル)−N,N′−ジフェニル−4,4′−ジアミノビフェニル(α−NPD)を30nmの厚さに蒸着した後、発光層として下記式
Figure 0005656338
で示されるトリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq)を30nmの厚さに蒸着した。次いで、電子輸送層として例示化合物番号1−1の化合物を30nmの厚さに蒸着した。この上に、下記式
Figure 0005656338
で示される8−キノリノラトリチウム(Liq)を1nmの厚さに蒸着し、次いで、電極としてアルミニウムを膜厚100nmの厚さに蒸着して有機電界発光素子を作製した。この素子に、1.0mAの直流電流を流したところ、輝度1,090cd/mでAlqからの黄緑色の発光が得られた。このときの駆動電圧は4.7Vであった。1.0mAの定電流駆動条件下において1,800時間で初期輝度の55%の輝度を保持した。
比較例1
実施例2において、電子輸送層に例示化合物番号1−1の化合物(フェナントロリンの3位でAと結合している)を使用する代わりに、下記式
Figure 0005656338
で示されるDPB{1,4−ビス(1,10−フェナントロリン−2−イル)ベンゼン}(フェナントロリンの2位でAと結合している)を使用した以外は、実施例2に記載の操作に従い、有機電界発光素子を作製した。この素子に、1.0mAの直流電流を流したところ、輝度1,000cd/mでAlqからの黄緑色の発光が得られた。このときの駆動電圧は4.4Vであった。1.0mAの定電流駆動条件下において1,120時間で輝度が半減した。
図2から図5までに、実施例2および比較例1で作製した有機電界発光素子の初期特性を示す。図2は、有機電界発光素子の電流密度と印加電圧の関係を示す図である。図3は、有機電界発光素子の輝度と印加電圧の関係を示す図である。図4は、有機電界発光素子の視感効率と印加電圧の関係を示す図である。図5は、有機電界発光素子の電流効率と印加電圧の関係を示す図である。図6は、実施例2および比較例1で作製した有機電界発光素子の一定電流下での輝度の経時変化を示す図である。
図2に示すように、実施例2および比較例1で作製した有機電界発光素子の電流密度については、印加電圧2.0Vから10Vを越えるすべての領域で、比較例1で作製した有機電界発光素子の電流密度が高くなっていることがわかる。このことは、実施例2で作製した有機電界発光素子は、比較例1で作製した有機電界発光素子よりも電子の移動度が遅いことを示している。
図3に示すように、実施例2および比較例1で作製した有機電界発光素子の輝度については、印加電圧4.5V付近までほぼ同等であるが、5Vを越えると実施例2で作製した有機電界発光素子の輝度が高くなっていることがわかる。実施例2で作製した有機電界発光素子が、比較例1で作製した有機電界発光素子よりも電子の移動度が遅いにもかかわらず、輝度が高いことから、実施例2で作製した有機電界発光素子では、電子と正孔の注入のバランスが良く、効率的に発光していることを示している。
図4に示すように、実施例2および比較例1で作製した有機電界発光素子の視感効率については、実施例2で作製した有機電界発光素子が、比較例1で作製した有機電界発光素子よりも効率が良いことがわかる。
図5に示すように、実施例2および比較例1で作製した有機電界発光素子の電流効率については、実施例2で作製した有機電界発光素子が、比較例1で作製した有機電界発光素子よりも効率が良いことがわかる。
図6に示すように、比較例1で作製した有機電界発光素子において、一定電流下(1mA)での輝度の経時変化を測定したところ、1,120時間後に初期の輝度(1,000cd/m)の半分の輝度になった。実施例2で作製した有機電界発光素子では、1,120時間経過後の輝度は、初期の輝度(1,090cd/m)を100%としたとき、その62%であった。この図から、比較例1で作製した有機電界発光素子に比べて、実施例2で作製した有機電界発光素子が、より安定性が高く、長寿命であることがわかる。
表1は、図2から図5までから得られた有機電界発光素子の初期特性をまとめた表である。
Figure 0005656338
表1に示すように、印加電圧を5Vにした時の電流密度は、実施例2で作製した有機電界発光素子においては47.5mA/mであり、比較例1で作製した有機電界発光素子においては50.2mA/mである。そのときの輝度は、実施例2で作製した有機電界発光素子においては2,090cd/mであり、比較例1で作製した有機電界発光素子においては1,906cd/mである。そのときの視感効率は、実施例2で作製した有機電界発光素子においては2.8lm/Wであり、比較例1で作製した有機電界発光素子においては2.4lm/Wである。そのときの電流効率は、実施例2で作製した有機電界発光素子においては4.4cd/Aであり、比較例1で作製した有機電界発光素子においては3.8cd/Aである。
これらの値から、実施例2で作製した有機電界発光素子は、比較例1で作製した有機電界発光素子に比べて、電流密度は下まわったものの、輝度においておよそ1割上回っていた。また、視感効率、電流効率とも約2割向上した。これは、比較例1で使用したDPBの電子の移動度が大きすぎて、素子全体に過剰な電子が入ったためキャリアバランスが崩れ、素子の効率が低下したと考えられる。
実施例3
有機電界発光素子の作製
厚さ100nmのITO透明電極を有する25mm×25mmサイズのガラス基板をアセトン、洗浄剤(商品名:セミコクリーン56)、イソプロパノールを用いて超音波洗浄した。次いで、イソプロパノール中で煮沸した後、UV/オゾン洗浄したものを透明導電性支持基板として使用した。先ず、前記のTPDPES(ポリエーテルスルホン化合物、分子量10,000〜30,000)(20mg)と前記のTBPAH[トリス(4−ブロモフェニル)アンモニウムヘキサクロロアンチモネート](2mg)の1,2−ジクロロエタン(4mL)溶液をスピンコート(回転数:1,500rpm)した後、加熱乾燥して厚さ10nmの薄膜層を作製し、正孔注入層とした。次に、このガラス基板を真空蒸着装置内に設置し、正孔輸送層としてN,N′−ジ(1−ナフチル)−N,N′−ジフェニル−4,4′−ジアミノビフェニル(α−NPD)を30nmの厚さに蒸着した。次に、ホスト材料として前記α−NPD、ドーパント材料として下記式
Figure 0005656338
で示されるルブレンを用いて、ドーパント濃度が13wt%になるように膜厚10nmに共蒸着した。次いで、ホスト材料としてトリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq)、ドーパント材料として前記ルブレンを用いて、ドーパント濃度が5wt%になるように膜厚10nmに共蒸着した。さらに、前記Alqを30nmの厚さに蒸着した。電子輸送層として例示化合物番号1−1の化合物を30nmの厚さに蒸着した。この上に、前記8−キノリノラトリチウム(Liq)を1nmの厚さに蒸着し、次いで、電極としてアルミニウムを膜厚100nmの厚さに蒸着して有機電界発光素子を作製した。この素子に、1.0mAの直流電流を流したところ、輝度2,020cd/mでルブレンからの黄色の発光が得られた。このときの駆動電圧は5.6Vであった。
比較例2
実施例3において、電子輸送層に例示化合物番号1−1の化合物を使用する代わりに、トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq)を使用した以外は、実施例3に記載の操作に従い、有機電界発光素子を作製した。この素子に、1.0mAの直流電流を流したところ、輝度1,870cd/mでルブレンからの黄色の発光が得られた。このときの駆動電圧は6.0Vであった。
図7から図10までに、実施例3および比較例2で作製した有機電界発光素子の初期特性を示す。図7は、有機電界発光素子の電流密度と印加電圧の関係を示す図である。図8は、有機電界発光素子の輝度と印加電圧の関係を示す図である。図9は、有機電界発光素子の視感効率と印加電圧の関係を示す図である。図10は、有機電界発光素子の電流効率と印加電圧の関係を示す図である。
図7に示すように、実施例3および比較例2で作製した有機電界発光素子の電流密度については、印加電圧4.5Vから9Vまでは、実施例3で作製した有機電界発光素子が比較例2で作製した有機電界発光素子よりも高く、9V以上では、比較例2で作製した有機電界発光素子が実施例3で作製した有機電界発光素子よりも高くなっていることがわかる。
図8に示すように、実施例3および比較例2で作製した有機電界発光素子の輝度については、印加電圧4.5Vから12Vまでは、実施例3で作製した有機電界発光素子が比較例2で作製した有機電界発光素子よりも輝度がわずかに高いことがわかる。
図9に示すように、実施例3および比較例2で作製した有機電界発光素子の電流効率については、実施例3で作製した有機電界発光素子が、比較例2で作製した有機電界発光素子よりもわずかに効率が良いことがわかる。
図10に示すように、実施例3および比較例2で作製した有機電界発光素子の視感効率については、実施例3で作製した有機電界発光素子が、比較例2で作製した有機電界発光素子よりも効率が良いことがわかる。
表1は、図7から図10までから得られた有機電界発光素子の初期特性をまとめた表である。
Figure 0005656338
表2に示すように、印加電圧を5Vにした時の電流密度は、実施例3で作製した有機電界発光素子においては15.2mA/mであり、比較例2で作製した有機電界発光素子においては10.6mA/mである。そのときの輝度は、実施例3で作製した有機電界発光素子においては1,300cd/mであり、比較例2で作製した有機電界発光素子においては854cd/mである。そのときの視感効率は、実施例3で作製した有機電界発光素子においては5.4lm/Wであり、比較例2で作製した有機電界発光素子においては5.0lm/Wである。そのときの電流効率は、実施例3で作製した有機電界発光素子においては8.6cd/Aであり、比較例2で作製した有機電界発光素子においては8.0cd/Aである。
これらの値から、5V印加時において、電流密度でおよそ1.5倍、輝度も同様に1.5倍、実施例3で作製した有機電界発光素子が、比較例2で作製した有機電界発光素子より上回っている。また、効率に関しても、視感効率、電流効率ともに約1割、実施例3で作製した有機電界発光素子は、比較例2で作製した有機電界発光素子より上回っている。これらの結果から、本発明の化合物を用いた素子がAlqを用いた素子に比べて、キャリアバランスが良く、電子の輸送性に優れていると考えられる。
以上、説明したように、例示化合物1−1を電子輸送層に使用した有機電界発光素子は、DPBを電子輸送層に使用した有機電界発光素子よりも、発光効率が高く、長寿命であることがわかる。すなわち、例示化合物1−1は、電子輸送材料として、DPBよりも優れた材料である。
実施例1で製造した例示化合物番号1−1の化合物のマススペクトルである。 実施例2で作製した有機電界発光素子の電流密度と印加電圧の関係を、比較例1とともに示すグラフである。 実施例2で作製した有機電界発光素子の輝度と印加電圧の関係を、比較例1とともに示すグラフである。 実施例2で作製した有機電界発光素子の視感効率と印加電圧の関係を、比較例1とともに示すグラフである。 実施例2で作製した有機電界発光素子の電流効率と印加電圧の関係を、比較例1とともに示すグラフである。 実施例2で作製した有機電界発光素子の一定電流下での輝度の経時変化を、比較例1とともに示すグラフである。 実施例3で作製した有機電界発光素子の電流密度と印加電圧の関係を、比較例2とともに示すグラフである。 実施例3で作製した有機電界発光素子の輝度と印加電圧の関係を、比較例2とともに示すグラフである。 実施例3で作製した有機電界発光素子の視感効率と印加電圧の関係を、比較例2とともに示すグラフである。 実施例3で作製した有機電界発光素子の電流効率と印加電圧の関係を、比較例2とともに示すグラフである。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)で示される1,10−フェナントロリン誘導体。
    Figure 0005656338
    (式中、R〜Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜30のアリール基よりなる群から選ばれた基であり、Aはフェニレン基であり、nは2または3である)
  2. 請求項1記載の一般式(1)で表される1,10−フェナントロリン誘導体よりなる電子輸送材料。
  3. 請求項1記載の一般式(1)で表される1,10−フェナントロリン誘導体よりなる電子注入材料。
  4. 一対の電極間に請求項1記載の一般式(1)で表される1,10−フェナントロリン誘導体を少なくとも一種含有する層を含む有機電界発光素子。
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