図1〜図9は、本発明の実施例1を示す。
最初に、プロジェクションボルトについて説明する。
以下の説明において、プロジェクションボルトを単にボルトと表現する場合もある。
図9に示すように、鉄製のプロジェクションボルトは符号1で示されている。ボルト1は、雄ねじが形成された軸部2と、軸部2と一体に形成されている円形のフランジ部3と、軸部2とは反対側のフランジ部表面の中央部に形成されている溶着用突起4によって構成されている。なお、溶着用突起4は小さな複数の突起を円周上に配置したものであってもよい。
ボルト1の各部の寸法は次の通りである。軸部2の直径と長さがそれぞれ6mmと24mm、フランジ3の直径と厚さがそれぞれ12mmと1.1mm、溶着用突起4の直径と隆起高さが6.5mmと1mmである。
つぎに、装置の全体的な構造を説明する。
溶接機5は、下アーム部材6と上アーム部材7を有している。下アーム部材6は、鋳造などで剛性が高められた細長い高剛性部6Aと、機械加工などが施された細身の電極バー6Bが接合部8において一体化されている。高剛性部6Aは真鍮などの銅合金で作られている。また、電極バー6Bもクロム銅などの銅合金で作られている。上アーム部材7は、鋳造などで剛性が高められた細長い高剛性部7Aと、機械加工などが施された細身の電極バー7Bが接合部9において一体化されている。高剛性部7Aは真鍮などの銅合金で作られている。また、電極バー7Bもクロム銅などの銅合金で作られている。
電極バー6Bの先端側に、電極10がほぼ鉛直方向に起立した状態で設けられている。同様に、電極バー7Bの先端側にも電極11が設けられている。後述のように、電極11が電極10に対して進退するので、電極11が可動電極であり、電極10が固定電極である。これとは逆に電極10を可動電極に、電極11を固定電極にすることも可能である。また、両電極10、11双方を進退させるようにすることも可能である。
下アーム部材6および上アーム部材7は、ほぼ水平方向に延びた姿勢で配置してある。高剛性部6Aの電極10とは反対側の端部が起立状態の基部材6Cとされ、高剛性部7Aの電極11とは反対側の端部が下方に延びた基部材7Cとされている。基部材6Cと基部材7Cが軸12で結合され、上アーム部材7が下アーム部材6に対して揺動するようになっており、これによって電極11が進退するようになっている。
基部材6Cに設けた突片6Dと基部材7Cに設けた突片7Dの間に、揺動手段であるエアシリンダ13が配置してあり、このエアシリンダ13が出力すると、上アーム部材7が揺動するようになっている。
上記のように軸12によって上アーム部材7と下アーム部材6が結合されている形式の溶接機5は、一般にXガンと呼ばれている。一方、図示していないが、上アーム部材7と下アーム部材6の基部材7Cと6Cが一体的に結合されている形式の溶接機5は、一般にCガンと呼ばれている。このCガンタイプの場合には、上アーム部材7にエアシリンダが取り付けられて、このエアシリンダの出力で電極11が進退するようになっている。
ロボット装置14は、簡略的に図示してあるが6軸タイプのような一般的なものであり、下アーム部材6に結合してある。このロボット装置14の動作で溶接機5が上下・左右・回転などの方向に移動する。
つぎに、支持部材について説明する。
支持部材16は、後述の部品供給装置100を下アーム部材6または上アーム部材7に取り付ける役割を果たすものであり、縦部材16Aと横部材16Bを含む部材である。ここでは断面円形の棒材をL字型に成型したものとされている。縦部材16Aは、ほぼ鉛直方向に延びた姿勢で配置され、横部材16Bは、ほぼ水平方向に延びた姿勢で配置されている。
ここでは、部品供給装置100が下アーム部材6に取り付けられている場合が例示されているが、上アーム部材7に取り付けられている場合は、図1を上下逆にして見た状態となる。
つぎに、縦部材結合部について説明する。
縦部材16Aは、縦部材結合部17を介して高剛性部6Aに結合されている。この縦部材結合部17は、縦部材16Aと高剛性部6Aを一体化するものであればよく、ここでは図2に示す構造とされている。すなわち、下向きに開放している断面コ字型の本体18の中に高剛性部6Aが収容され、押し付けボルト19が本体18の両片18Aを貫通した状態でねじ込まれ、その先端で押し付け片20が高剛性部6Aの両横側面に押し付けられている。これによって、本体18が高剛性部6Aに対して図2(A)の左右方向に傾かないようになっている。そして、本体18の両片18Aの下部に貫通した締め付けボルト21によって、本体18が高剛性部6Aに結合されている。
縦部材16Aを本体18に一体化するために、四角いベース板22が固定ボルト23を用いて片側の片部材18Aに固定され、このベース板22に2つのクランプ部材24が溶接してある。2つのクランプ部材24は上下方向に配置され、挿入孔25が鉛直方向に形成してある。この挿入孔25に連通する切り割り26が形成され、この切り割り26の隙間を狭くする方向に作用する締め付けボルト27がねじ込んである。
締め付けボルト27を緩めておいて挿入孔25に縦部材16Aを挿入し、適当な挿入位置で締め付けボルト27を締め付けると、縦部材16Aが挿入孔25の内面で強固に締め付けられて、縦部材16Aが高剛性部6Aに取付けられる。したがって、縦部材16Aの位置調整を行うことにより、部品供給装置100全体を鉛直方向に移動・調整できる。
部品供給装置100が取り付けられている下アーム部材6または上アーム部材7には溶接電流が通電されるので、部品供給装置100の一部が何らかの原因で近隣の部材に接触した場合には、その部材の方へ通電されて接触箇所から火花が散ったりする、という問題がある。このような問題を回避するために、ベース板22が本体18に対して絶縁された構造とされている。本体18の横板である片部材18Aとベース板22の間にベークライトのような材料で作られた絶縁板29が介装してあり、固定ボルト23は同様な材料で作られた絶縁筒30内を貫通し、固定ボルト23の頭部とベース板22の間に同様な材料で作られた絶縁ワッシャ31が介在している。このような絶縁構造によって、溶接電流が下アーム部材6から縦部材16Aに流れることが防止される。
本体18は、高剛性部6Aの長手方向に対してもずれ止めがなされている。これは、図8に示されている。本体18の先端に細長いずれ止め部材32が溶接してあり、その先端のフック部32Aが高剛性部6Aの先端面にひっかかっている。これによって本体18が図8の右方へ移動することが禁止されている。また、高剛性部6Aの横側面に形成されている突起33にずれ止め部材32の中央部に形成した係合面32Bが当接しており、これによって本体18が図8の左方へ移動することが禁止されている。
つぎに、接合部について説明する。
高剛性部6Aと電極バー6Bの接合、あるいは高剛性部7Aと電極バー7Bの接合は、接合部8および9においてなされているが、その具体的な構造は種々なものが採用できる。ここでは、いわゆる差込み型が採用されている。図3および図1に示すように、高剛性部6Aの先端部に長手方向に挿入孔34が開けられ、切り割り35が外側から挿入孔34に連通する状態で形成されている。この切り割り35の隙間を狭くする方向に作用する締め付けボルト36がねじ込んである。
締め付けボルト36を緩めておいて挿入孔34に電極バー6Bを挿入した後、締め付けボルト36を締め付けると、電極バー6Bが挿入孔34の内面で強固に締め付けられて、電極バー6Bが高剛性部6Aに接合される。
つぎに、横部材結合部について説明する。
部品供給装置100は、横部材結合部38を介して横部材16Bに取り付けられている。したがって、横部材結合部38はこのような機能を果たす機構であればよい。ここでは、横部材16Bと部品供給装置100の一部を構成する横基部材39を結合するジョイント部材の形式である。
図4に示すように、直方体形状のブロック状鉄鋼材料で形成された本体部材40に、横部材16Bが挿入される挿入孔41が開けられ、この挿入孔41に外部から連通する切り割り42が設けられている。この切り割り42の間隙を狭くする方向に作用する締め付けボルト(図示していない)がねじ孔43にねじ込まれるようになっている。
上記締め付けボルトを緩めておいて挿入孔41に横部材16Bを挿入した後、締め付けボルトを締め付けると、横部材16Bが挿入孔41の内面で強固に締め付けられて、横部材16Bが本体部材40に結合される。
一方、挿入孔41に対して直角に食い違う方向に他の挿入孔44が開けられ、この挿入孔44に外部から連通する切り割り45が設けられている。この切り割り45の間隙を狭くする方向に作用する締め付けボルト46が本体部材40にねじ込まれるようになっている。
上記横基部材39は、分厚いステンレス鋼製の板材を長方形に成型したもので、その中央部に丸棒材で形成された支持軸47が溶接してあり、この支持軸47は鉛直方向に配置してある。
上記締め付けボルト46を緩めておいて挿入孔44に支持軸47を挿入した後、締め付けボルト46を締め付けると、支持軸47が挿入孔44の内面で強固に締め付けられて、支持軸47が本体部材40に結合される。したがって、部品供給装置100の基礎的な部材である横基部材39が、本体部材40を介して横部材16Bに結合されることになる。
つぎに、上述の部品供給装置について説明する。
前記横基部材39に挿入駆動手段であるエアシリンダ49が取り付けられている。このエアシリンダ49は下方に突き出ているピストンロッド50が横基部材39の中央部に固定され、作動空気がシリンダ51に給排されると、シリンダボディ52が電極軸線O−O(図1参照)と同方向に進退するようになっている。ピストン53の上側と下側に交互に動作空気を給排することにより、シリンダボディ52が上下方向に進退する。なお、符号54、55は空気の給排通路である。
前記シリンダボディ52を滑らかに進退させるために、横基部材39に2本のガイドロッド56が固定され、このガイドロッド56がシリンダボディ52を貫通して摺動するようになっている。エアシリンダ49は上記のような構成になっているので、動作空気が給排されると、ピストンロッド50は停止したままシリンダボディ52が電極軸線O−Oと同方向に進退する。
図1および図6(B)に示すように、シリンダボディ52の横側面に縦基部材57がボルト付けなどで取り付けられている。この縦基部材57は分厚いステンレス鋼製の板材で作られており、長方形であり、軽量化のために窓孔58が上下に2つ設けてある。この縦基部材57は鉛直方向に上方へ延ばされ、その上端部に仲介ブラケット59がボルト付けなどで結合してある。
この仲介ブラケット59は、細長いブロック状の部材を加工して作られている。仲介ブラケット59は、縦基部材57に密着する本体部60と、この本体部60からその幅方向に突出している突部61を有しており、後述のボルト供給ユニットの配置空間を確保するための切欠き部62が形成されている。前記突部61の下側に後述の停止通過ユニットが取り付けられ、その上側にボルト供給ユニットが取り付けられるようになっている。
つぎに、上記停止通過ユニットについて説明する。
停止通過ユニット全体は、符号64で示され、パーツフィーダ65から高速で移送されてきたボルト1を、一旦停止させたり一旦停止後に送出したりする。このような機能によって、後述の保持ヘッドの内端面にボルト1が高速で衝突することが防止され、これによってヘッド凹部の奥部分の異常変形が回避される。
符号66は、ボルト1を噴射空気で搬送するために配置された空気噴射管であり、図7に示すように、供給ホース67内に空気噴射をするようになっている。供給ホース67は、ウレタン樹脂やポリプロピレン樹脂のような柔軟性のある合成樹脂材料で作られ、ロボット装置14の移動に追従できるようになっている。
停止通過ユニット64は、図7に示すように、少なくともボルト1を停止させたり通過させたりする進退動作式の開閉部材68と、この開閉部材68を進退させる進退ストローク手段69を有する細長い外観形態とされている。前記進退ストローク手段69はエアシリンダで構成されている。開閉部材68は細長いブロック状の部材で構成され、高速で移動してきたボルト1を一旦停止させる中実のストッパ部材70と通過孔71が形成されている。開閉部材68は、細長いケース72内に進退可能な状態で収容され、ケース72の端部に固定したエアシリンダ69によって進退動作をするようになっている。符号73は、開閉部材68に進退動作を伝達するピストンロッドである。このような構成によって、上述のように停止通過ユニット64全体は細長い形状とされている。
また、ストッパ部材70の箇所に通気孔70Aが開けられている。こうすることにより、空気噴射管66からの搬送空気が流動してボルト1が移送される。さらに、ストッパ部材70に突き当たっている次のボルト1に搬送空気の動圧が作用して、ボルト1が後戻りをしないようにしている。
入口側部品供給管74と出口側部品供給管75が、同軸の状態でケース72に固定してある。入口側部品供給管74に前記供給ホース67が接続されている。また、出口側部品供給管75には管の長手方向の厚さを十分に付与した間座フランジ76が形成され、該間座フランジ76の下側は前記仲介ブラケット59の突部61を貫通させてあり、間座フランジ76の上側は後述の傾斜取付け部材を貫通している。
図5に示すように、細長い形状の停止通過ユニット64は、その長手方向が下アーム部材6と平行になっており、入口側部品供給管74と供給ホース67は下アーム部材6に沿って延ばされており、パーツフィーダ65に達している。このように停止通過ユニット64、入口側部品供給管74、供給ホース67などが下アーム部材6に沿って延ばされていることにより、装置全体のコンパクト化が促進される。そして、供給ホース67のような長尺な部材を下アーム部材6に沿わせて配置することにより、ロボット装置14によって溶接機5が種々な方向に変向されても、供給ホース67が近隣の部材に干渉することが回避できる。
このように供給ホース67を配置するための構造は図示されていないが、下アーム部材6に沿って延びている供給ホース67を図1に示す下アーム部材6の右端近くに保持金具などを用いて止めつけることによって実施することができる。供給ホース67が下アーム部材6に沿って平行に配置されている状態は、図5に示されている。
つぎに、上記ボルト供給ユニットについて説明する。
ボルト供給ユニット全体は、符号78で示され、進退駆動手段である長尺なエアシリンダ79と、このエアシリンダ79で進退する供給ロッド80と、供給ロッド80の先端部に設けられた保持ヘッド81などが主要な部材となって構成されている。ボルト供給ユニット78は、エアシリンダ79によって保持ヘッド81に保持されたボルト1を、前述の停止通過ユニット64の出口側部品供給管75から電極10へ到達させる、細長い外観形態とされている。つまり、ボルト供給ユニット78は、ボルト1を離隔した遠い箇所まで供給する必要があるので、細長い形状となる。
図7に示すように、保持ヘッド81には、下向きに開放された円形の凹部82が形成され、その奥の内端面83にボルト1のフランジ部3が着座するようになっている。この着座に必要な吸引力は、保持ヘッド81の内部に埋設した永久磁石84によって確保されている。内端面83に着座しているボルト1は、供給ロッド80が進出したときに、その軸部2が電極軸線O−Oと同軸状態となるので、保持ヘッド81では軸部2が上下方向、すなわち鉛直方向に保持されている。
凹部82の奥に空気通路85が開口しており、軸部2の先端部2Aがわずかに電極10の受入孔10Aに進入したときに、空気を噴射してボルト1を受入孔10Aの奥まで進入させるようになっている。保持ヘッド81の進退に応じて伸縮できるコイル状の伸縮ホース87が、空気供給源(図示していない)と空気通路85を接続している。
前記間座フランジ76の上側に配置された上記傾斜取付け部材88は、屈曲された形状の部材が分厚い板状の部材で構成されたもので、水平状態の固定部89と、傾斜した傾斜部90がくの字型とされている。エアシリンダ79は傾斜部90に取付けられ、傾斜部90の傾斜角度を選定することによって、供給ロッド80の傾斜角度が決定される。供給ロッド80の傾斜角度は、水平線と供給ロッド80の軸線とのなす角度であり、符号θ3で示され、ここでは45度である。なお、図7に示されているように、出口側部品供給管75が貫通している固定部89、間座フランジ76、突部61、ケース72は、2点鎖線で示す箇所に結合ボルトを貫通させて一体化されている。この結合ボルトは、図5に符号91で4本図示されている。
上述のようにして、前記部品供給装置100は、前記横部材16Bに固定された横基部材39と、この横基部材39に結合され鉛直方向に進退出力をする挿入駆動手段であるエアシリンダ49と、この挿入駆動手段49に取り付けられ鉛直方向に上方へ延びている縦基部材57と、この縦基部材57の上部に結合された仲介ブラケット59と、この仲介ブラケット59の下側に取り付けられ送給されてきたプロジェクションボルト1を一旦停止させてから送出する停止通過ユニット64と、前記仲介ブラケット59の上側に取り付けられた進退動作式の供給ロッド80を備えたボルト供給ユニット78を含んで構成されている。
つぎに、ボルトの溶接状態を説明する。
図9は、ボルト1の溶接状態を示している。電極10に前述の受入孔10Aが開けられ、その奥にボルト1を吸引する永久磁石92が設けられている。この永久磁石92によってボルト1が吸引されているので、ロボット装置14の上下左右回転方向など動作でボルト1が容易に脱落しないようになっている。
クランプ機構93で保持された鋼板部品94とボルト1が両電極10、11によって加圧されており、この状態で溶接電流が通電されると、溶着用突起4が鋼板部品94に溶着する。
つぎに、部品供給装置の保護構造を説明する。
部品供給装置100の外側に、部品供給装置100を構成する各ユニット等を保護する部材が配置されている。保護機能を果たす部材は、図5のように平面的に見て、縦基部材57と下アーム部材6または上アーム部材7である。一方、保護される部材は、図5のように平面的に見て、縦基部材57と下アーム部材6または上アーム部材7の間に配置してある部品供給装置100の主要構成部材である。
この主要構成部材は、横部材16Bに固定された横基部材39と、この横基部材39に結合され鉛直方向に進退出力をする挿入駆動手段であるエアシリンダ49と、この挿入駆動手段49に取り付けられ鉛直方向に上方へ延びている縦基部材57と、この縦基部材57の上部に結合された仲介ブラケット59と、この仲介ブラケット59の下側に取り付けられ送給されてきたプロジェクションボルト1を一旦停止させてから送出する停止通過ユニット64と、前記仲介ブラケット59の上側に取り付けられた進退動作式の供給ロッド80を備えたボルト供給ユニット78である。
図5から明らかなように、縦基部材57は鉛直方向の姿勢で配置され、縦基部材57と下アーム部材6の間隔は、電極10側が狭くなったくさび形の空間を形成している。下アーム部材6と縦基部材57の成す狭角θ2は35度である。なお、図5から明らかなように、ボルト供給ユニット78は縦基部材57と平行になっているので、ボルト供給ユニット78と下アーム部材6の成す狭角は同様にθ2である。
ロボット装置14の動作により溶接機5の電極10側が鋼板部品94の方へ進出して行く際にロボット装置14に誤作動が発生したりすると、部品供給装置100が近在の部材に接触する虞がある。このようなときに、部品供給装置100の前記主要構成部材が縦基部材57と下アーム部材6の間に存在しているので、近在の部材には縦基部材57と下アーム部材6がプロテクタのようにして接触する。したがって、前記主要構成部材そのものは近在の部材に接触することがなく、装置の損傷を防止することができる。
縦基部材57には、軽量化のために窓孔58が開けられているが、この窓孔58から近在の異物が進入するする虞があるときには、窓孔58を小さくするか、あるいは窓孔58を止めることが望ましい。
さらに、縦基部材57のプロテクト機能を高めるために、図5および図6に2点鎖線で示すように、縦基部材57の電極10側を電極10の方へ延ばした延長部95を設けたり、屈曲部96を設けたりすることが望ましい。
つぎに、本装置の取り付け調整について説明する。
本調整によって、供給ロッド80が最も進出したときに、保持ヘッド81に保持されたボルト1が電極軸線O−Oと同軸になり、しかもボルト1の先端が電極10の間近に位置するようにする。そのために、縦部材結合部17において下アーム部材6に対する縦部材16Aの鉛直方向の相対位置をもとめる。同時に、横部材16Bを縦部材16Aを中心にして揺動方向に変位させる。さらに、横部材結合部38を調整して、部品供給装置100を水平方向に移動させたり、支持軸47を中心にして横基部材39を回したりして部品供給装置100を回転させる。これらの調整作業を繰り返して上記のようにボルト1を電極軸線O−Oに合致させる。
つぎに、本装置の動作について説明する。
パーツフィーダ65から高速で送給されてきたボルト1は、停止通過ユニット64のストッパ部材70に受止められる。その後、エアシリンダ69の動作で開閉部材68が移動して通過孔71が出口側部品供給管75に合致すると、継続して空気噴射管から噴射されている空気流によって、ボルト1が低速で保持ヘッド81に保持され、保持ヘッド81に対する衝撃力が緩和される。このとき軸部2の向きは、図7に示すように、鉛直方向とされている。このように保持ヘッド81によってボルト1が保持された状態では、エアシリンダ49のシリンダボディ52は最も高い位置となっている。
ついで、エアシリンダ79の動作で供給ロッド80が進出し、図1に示すように、軸部2が電極軸線O−Oと同軸になった位置で停止する。この状態からエアシリンダ49のシリンダボディ52が下降すると、停止通過ユニット64、ボルト供給ユニット78が一体になって降下し、ボルト1の先端部2Aが受入孔10Aの入り口付近に入った位置でシリンダボディ52の降下が停止する。
その後、空気通路85から空気が噴射されると、この噴射による推力が永久磁石84の吸引力に打ち勝って、ボルト1は受入孔10A内に挿入され、今度は、永久磁石84の吸引力を受けて受入孔10Aから抜け落ちないようになり、ボルト1の供給動作が完了する。
上記の供給動作完了に引き続いて、上記の動作とは逆の動作が付与されて、保持ヘッド81が出口側部品供給管75の間近に復帰し、つぎのボルト1の到来に待機した状態になる。
このようにしてボルト1が電極10に供給されると、今度は、ロボット装置14が動作し、鋼板部品94の所定箇所に対応した箇所でロボット装置14が停止し、次いでエアシリンダ13が動作して鋼板部品94と溶着用突起4が図9に示すように、両電極10と11の間で加圧され、溶接電流が通電されて、溶接が完了する。
なお、上記の各エアシリンダに対する作動空気の吸排管の図示は省略してある。上記各種のエアシリンダに換えて、進退出力をする電動モータを採用することもできる。また、上記各種の永久磁石を電磁石に置き換えることも可能である。
上述の供給ロッドの進退動作や空気噴射などの動作は、一般的に採用されている制御手法で容易に行うことが可能である。制御装置またはシーケンス回路からの信号で動作する空気切換弁や、エアシリンダの所定位置で信号を発して前記制御装置に送信するセンサー等を組み合わせることによって、所定の動作を確保することができる。
以上に説明した実施例1の作用効果は、つぎのとおりである。
前記部品供給装置100は、通常、保持ヘッド81を備えた供給ロッド80、それを進退させる進退駆動手段であるエアシリンダ79、ボルト1を電極10の受入孔10Aに保持させるための挿入駆動手段であるエアシリンダ49などの機構がユニット化されていて所定の質量を有している。この部品供給装置100を前記溶接機5に取り付ける際には、下アーム部材6に対する取り付け強度が十分に確保されなければならない。同時に、部品供給装置100にはそれ自体の大きさがあるので、下アーム部材6が長尺である場合には部品供給装置100を電極10に近づけて配置する必要がある。さらに、部品供給装置100とボルト1が供給される電極10との相対位置を、正確にしかも簡単な作業で調整できることが重要である。さらに、溶接装置の分解整備を行う場合には、電極10だけを取り外したり、部品供給装置100だけを取り外したりすることのできる構造が、保守整備の簡素化の点で重要である。
前記横部材16Bに、電極10に鋼板部品94に溶接されるプロジェクションボルト1を供給する部品供給装置100が取り付けられているとともに、前記縦部材16Aが、下アーム部材6の前記電極10から離隔した箇所の高剛性部6Aに取り付けられている。
ロボット装置14の左右上下回転などの種々な動きによって、部品供給装置100が下アーム部材6に結合されている箇所には、慣性的な大きな荷重が作用するのであるが、上記のように縦部材16Aがアームの高剛性部6Aに取り付けられているので、慣性的な大きな力は高剛性部6Aに作用してこの結合部における結合強度の不足を招くようなことがなく、信頼性の高い部品供給装置100の取り付け剛性が確保できる。
換言すると、縦部材16Aと横部材16Bを有する支持部材16を用いることにより、前記電極バー6Bに部品供給装置100を取り付けることが回避できて、電極バー6Bの変形ないしは両電極10、11の相対位置のずれ変位を防止することができる。このようなずれ変位が発生すると、プロジェクションボルト1が電極軸線O−Oからずれるため、プロジェクションボルト1への正常な溶接電流の通電に支障をきたして、溶接不良が発生する。さらに、電極バー6Bに部品供給装置100を取り付けた場合には、電極バー6Bが高剛性部6Aに接合されている接合部8に部品供給装置100の慣性的な荷重が作用するので、この接合部8の接合構造を強化して十分な接合強度を付与する必要があり、構造的に複雑なものとなったり、重量が増大したりして溶接装置としてのコンパクト化が行いにくくなる。上記構成においては、高剛性部6Aに依存する構造であるから、このような問題の心配がない。
部品供給装置100を横部材16Bに沿って水平方向に移動させたり、縦部材16Aに沿って鉛直方向に移動させたりすることが簡単に行えるので、部品供給装置100を電極10に近づけて配置することが行いやすくなる。
さらに、支持部材16は縦部材16Aと横部材16Bを有するものであるから、縦部材16Aに沿った位置調整や横部材16Bに沿った位置調整によって簡単に部品供給装置100の取り付け位置を調節することができる。
上記の縦部材16Aと横部材16Bを有する支持部材16は構造的に簡単な形状にすることができるので、支持部材16自体の剛性を高く設定することが簡単に行える。したがって、部品供給装置100を支持部材16を介して間接的に高剛性部6Aに結合するときの結合剛性が十分に確保できる。とくに、ロボット装置14の動作で支持部材16に変形現象が発生すると、電極10にプロジェクションボルト1を正確に供給することが不可能となるが、上記高剛性の支持部材16によってこのような問題が回避できる。
部品供給装置100は縦部材16Aを介して高剛性部6Aに結合されている。一方、電極10は高剛性部6Aに接合された電極バー6Bに設けられている。したがって、電極バー6Bや電極10を保守整備するときには、部品供給装置100を高剛性部6A側に残したまま電極バー6Bを高剛性部6Aから外して取り扱うことができる。また、部品供給装置100の保守整備を行うときには、電極10や電極バー6Bを残したまま高剛性部6Aから縦部材16Aを外して部品供給装置100だけを整備することができる。このように必要な部分だけをそれぞれ独立させて保守整備ができるので、不要箇所の取り外しを行うことなく、作業性向上にとって有効である。
下アーム部材6は、電極10とは反対側に形成されている基部6Cにおいて軸12で開閉可能な状態で結合されている。あるいは、下アーム部材6と上アーム部材7が基部6C、7C側で一体に結合され、この結合部付近にロボット装置14が結合されている場合がある。いずれの場合においても、前記軸構造部分やロボット装置の結合部分に過大な荷重が作用しないようにすることが重要である。本実施例では、縦部材16Aの結合箇所を前記軸12やロボット装置14の結合部分に近づけることができるので、上記の過大な荷重を軽減することが可能となり、装置全体としての耐久性向上にとって効果的である。
前記縦部材16Aは、前記高剛性部6Aに対して鉛直方向に位置調整ができる状態で取り付けられ、前記横部材16Bには、前記部品供給装置100が水平方向に位置調整ができる状態で取り付けられている。
下アーム部材6に対して縦部材16Aを鉛直方向に移動することにより、鉛直方向において電極10に対する部品供給装置100全体の位置調整ができる。また、部品供給装置100全体を横部材16Bに対して移動することにより、水平方向において電極10に対する部品供給装置100全体の位置調整ができる。このように鉛直方向と水平方向の2方向における位置調整ができるので、部品供給装置100と電極10との相対位置を簡単に求めることが可能となる。
前記部品供給装置100は、前記横部材16Bに固定された横基部材39と、この横基部材39に結合され鉛直方向に進退出力をする挿入駆動手段であるエアシリンダ49と、この挿入駆動手段49に取り付けられ鉛直方向に上方へ延びている縦基部材57と、この縦基部材57の上部に結合された仲介ブラケット59と、この仲介ブラケット59の下側に取り付けられ送給されてきたプロジェクションボルト1を一旦停止させてから送出する停止通過ユニット64と、前記仲介ブラケット59の上側に取り付けられた進退動作式の供給ロッド80を備えたボルト供給ユニット78を含んで構成され、平面的に見て前記縦基部材57と下アーム部材6の間に、前記挿入駆動手段49と、前記仲介ブラケット59と、前記ボルト供給ユニット78と、前記停止通過ユニット64が配置されていることにより、縦基部材57と下アーム部材6が部品供給装置100の保護部材としての機能を果たすように構成されている。
前記部品供給装置100は、ロボット装置14の動作で上下左右回転など種々な方向に移動するものであるから、ロボット装置14に間違った動作軌跡を行わせるようなことが発生すると、部品供給装置100が近隣の部材に接触するようなことがあり、このために、前記挿入駆動手段49、前記仲介ブラケット59、前記ボルト供給ユニット78、前記停止通過ユニット64などが損傷する虞がある。しかし、上記縦基部材57と下アーム部材6が部品供給装置100の保護部材としての機能を果たすように構成したものであるから、上記損傷を回避することができる。