JP5655303B2 - シングルベース発射薬 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば大口径の戦車砲、野戦砲等に使用される弾薬に用いられるシングルベース発射薬に関する。さらに詳しくは、機械的特性及び燃焼性の経時変化を抑制することができるシングルベース発射薬に関する。
発射薬の分野において、ニトロセルロースを主成分とするシングルベース発射薬は大口径の戦車砲、野戦砲等の弾薬として広く使用されている。しかし、多くのシングルベース発射薬には、発ガン性や環境に対して悪影響を与えることが懸念されるジニトロトルエンが含有されているため好ましい組成物とはいえない。なお、ジニトロトルエンは、PRTR〔Pollutant Release and Transfer Register(環境汚染物質排出・移動登録)〕法に規定された第一種指定化学物質に該当する物質である。
そこで近年、このジニトロトルエンを使用しないシングルベース発射薬の開発が進められ、提案されている。例えば、ジニトロトルエンの代わりにクエン酸化合物及びアジピン酸化合物から選ばれる可塑剤を使用するシングルベース発射薬が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
国際公開WO99/59939号公報(第1頁、第16頁及び第20頁)
上記特許文献1に記載されたシングルベース発射薬は、ジニトロトルエンを使用していないため、人体及び環境に優しい組成物である。しかしながら、そのシングルベース発射薬には可塑剤としてクエン酸化合物及びアジピン酸化合物、例えばアセチルクエン酸トリエチル(ATEC)やアジピン酸ジイソブチル(DIBA)など低分子量の可塑剤が使用されている。このため、可塑剤の溶出や揮散などにより、シングルベース発射薬について性能の経時変化が懸念される。
そこで、本発明の目的とするところは、人体及び環境に優しい組成物であり、さらに機械的特性及び燃焼性の経時変化を抑制することができるシングルベース発射薬を提供することにある。
本発明における第1の発明のシングルベース発射薬は、成分(a)ニトロセルロースと成分(b)安定剤とを含むシングルベース発射薬において、成分(a)ニトロセルロース100質量部に対して成分(c)ポリエステル系可塑剤を3〜20質量部含有することを特徴とする。
第2の発明のシングルベース発射薬は、第1の発明において、前記成分(c)ポリエステル系可塑剤が下記式(1)で示される連鎖部分を有し、数平均分子量が500〜10000のポリエステルであることを特徴とする。
式(1)
[−O−CO−R−CO−O−R’−]
(ここでRはC2mで表される鎖状炭化水素基で主鎖部分の炭素数は2〜6の整数、側鎖に伸びる炭素数は2以下の整数、R’はC2nで表される鎖状炭化水素基で主鎖部分の炭素数は2〜8の整数、側鎖に伸びる炭素数は2以下の整数を示す。)
第3の発明のシングルベース発射薬は、第2の発明において、前記成分(c)ポリエステル系可塑剤がグルタル酸ポリエステル又はアジピン酸ポリエステルであることを特徴とする。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
第1の発明のシングルベース発射薬は、成分(a)ニトロセルロースと成分(b)安定剤とを含むシングルベース発射薬において、成分(a)ニトロセルロース100質量部に対して成分(c)ポリエステル系可塑剤を3〜20質量部含有するものである。成分(c)ポリエステル系可塑剤は成分(a)ニトロセルロースとの相溶性に優れており、且つ高分子量であるため揮散や溶出が少ない。このため、シングルベース発射薬の機械的特性及び燃焼性の経時変化を抑制することができる。また、成分(b)安定剤を含有するため、ニトロセルロースの自然分解を抑制し、シングルベース発射薬の安定性を高めることができる。
第2の発明のシングルベース発射薬は、前記成分(c)ポリエステル系可塑剤が下記式(1)で示される連鎖部分を有し、数平均分子量が500〜10000のポリエステルである。
式(1)
[−O−CO−R−CO−O−R’−]
(ここでRはC2mで表される鎖状炭化水素基で主鎖部分の炭素数は2〜6の整数、側鎖に伸びる炭素数は2以下の整数、R’はC2nで表される鎖状炭化水素基で主鎖部分の炭素数は2〜8の整数、側鎖に伸びる炭素数は2以下の整数を示す。)
成分(c)ポリエステル系可塑剤は嵩高い側鎖を持たないことから、成分(a)ニトロセルロースの高分子鎖間に容易に侵入することができる。従って、成分(a)ニトロセルロースの柔軟性が高まり、シングルベース発射薬の機械的特性を高めることができる。
第3の発明のシングルベース発射薬は、成分(c)ポリエステル系可塑剤がグルタル酸ポリエステル又はアジピン酸ポリエステルから選ばれるものである。このため、好適な可塑剤により第2の発明の効果を一層高めることができる。
実施形態における燃焼性を評価するための密閉ボンブ燃焼装置を示す概略断面図。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<シングルベース発射薬>
本実施形態のシングルベース発射薬は、成分(a)ニトロセルロースと成分(b)安定剤とを含むシングルベース発射薬において、成分(c)ポリエステル系可塑剤を含有するものである。係るシングルベース発射薬はジニトロトルエンを配合していないため人体及び環境に優しい組成物であり、且つ機械的特性及び燃焼性の経時変化を抑制することができる。該シングルベース発射薬には、さらに成分(d)光沢剤、成分(e)消炎剤等の添加成分を配合することができる。
以下に、このシングルベース発射薬の構成について順に説明する。
〔成分(a)ニトロセルロース〕
係る成分(a)のニトロセルロース(硝化綿)は、燃料兼成形物を粒状化(グレイン化)にするための結合剤(バインダー)として機能する成分であり、特に限定されず、従来からシングルベース発射薬として使用されているニトロセルロースの全てが使用できる。
一般的には、このニトロセルロース中の窒素量は、11.7〜13.4質量%であることが好ましく、12.2〜13.4質量%であることがより好ましい。この窒素量が、11.7質量%未満の場合には、シングルベース発射薬の燃焼性が低下すると共に、ニトロセルロースが有機溶剤に溶解しすぎて粒状に成形することが困難になる傾向にある。その一方、窒素量が13.4質量%を超える場合には、シングルベース発射薬の安定性が低下すると同時に、ニトロセルロースが有機溶剤に溶解し難くなり、粒状に成形することが困難になる傾向を示す。
シングルベース発射薬における成分(a)ニトロセルロースは主成分であり、その配合量は前記成分(a)ニトロセルロース、成分(b)安定剤及び成分(c)ポリエステル系可塑剤の合計質量を基準にして、79〜97質量%であることが好ましく、82〜94質量%であることが特に好ましい。成分(a)ニトロセルロースの含有量が79質量%を下回る場合、シングルベース発射薬の燃料としての機能が低下すると共に、シングルベース発射薬の成形物を成形することが難しくなる可能性がある。一方、97質量%を上回る場合、相対的に成分(b)安定剤や成分(c)ポリエステル系可塑剤の含有量が低下し、シングルベース発射薬の機械的特性や安定度が低下する傾向を示す。
〔成分(b)安定剤〕
成分(b)安定剤は、シングルベース発射薬中に含有させることにより、シングルベース発射薬の安定性を高める機能を発現するものである。この安定剤は特に限定されず、従来からシングルベース発射薬の安定性を向上させるために使用されている化合物の全てが使用できる。例えばジフェニルウレア、メチルジフェニルウレア、エチルジフェニルウレア、ジエチルジフェニルウレア、ジメチルジフェニルウレア、メチルエチルジフェニルウレア等のジフェニルウレア誘導体、ジフェニルアミン、2−ニトロジフェニルアミン等のジフェニルアミン誘導体、エチルフェニルウレタン、メチルフェニルウレタン等のフェニルウレタン誘導体、ジフェニルウレタン等のジフェニルウレタン誘導体、レゾルシノール等が挙げられる。これらの化合物は、単独で又は2種以上の混合物として用いられる。
安定剤の含有量は、成分(a)ニトロセルロース100質量部に対して0.5〜3.5質量部が好ましく、1〜2.5質量部が特に好ましい。安定剤の含有量が0.5質量部未満の場合、シングルベース発射薬の安定性を高める効果が不足する可能性がある。一方、3.5質量部を超える場合、シングルベース発射薬の安定性を高める効果は多大となるが、その反面シングルベース発射薬の燃焼性が悪化する傾向を示す。
〔成分(c)ポリエステル系可塑剤〕
成分(c)のポリエステル系可塑剤は、シングルベース発射薬中に含有させることにより、組成物が十分な可塑性を持つような可塑剤としての機能を発現することができ、柔軟性のあるシングルベース発射薬を得ることができる。そのため、シングルベース発射薬は機械的特性が向上し、強い衝撃が与えられた場合でもその成形物の形状を維持することができる。また、成分(c)ポリエステル系可塑剤は成分(a)ニトロセルロースと優れた相溶性を示し、且つ低揮発性であることから機械的特性及び燃焼性の経時変化を抑制することができる。
具体的には、ポリエステル系可塑剤は、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸のような2価のカルボン酸と、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチルー1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチルー1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,4−ヘキサンジオール、2,3−ジメチル−1,6−ヘキサンジオールのような2価のアルコールの重縮合体であり、その両末端が一価カルボン酸又は一価アルコールのいずれかで封鎖されたものを意味する。これらは単独で又は2種以上の混合物として使用することができる。
また、成分(c)ポリエステル系可塑剤は、下記式(1)で示される連鎖部分を有し、数平均分子量が500〜10000のポリエステルがより好ましい。
式(1)
[−O−CO−R−CO−O−R’−]
(ここでRはC2mで表される鎖状炭化水素基で主鎖部分の炭素数は2〜6の整数、側鎖に伸びる炭素数は2以下の整数、R’はC2nで表される鎖状炭化水素基で主鎖部分の炭素数は2〜8の整数、側鎖に伸びる炭素数は2以下の整数を示す。)
ポリエステル系可塑剤を構成するジカルボン酸残基部分は、RがC2mで表される鎖状炭化水素基で主鎖部分の炭素数が2〜6の整数、側鎖に伸びる炭素数は2以下の整数のものである。また、2価アルコール残基部分は、R’がC2nで表される鎖状炭化水素基で主鎖部分の炭素数が2〜8の整数、側鎖に伸びる炭素数は2以下の整数のものである。
このような構造を有する成分(c)ポリエステル系可塑剤は、嵩高い側鎖を持たないことから、成分(a)ニトロセルロースの高分子鎖間に容易に侵入することができる。このため、成分(a)ニトロセルロースの柔軟性が高まり、可塑剤としての効果を一層高めることができる。
また、成分(a)ニトロセルロースの高分子鎖間への侵入のし易さを考慮すれば、側鎖を持たない直鎖状のジカルボン酸及び直鎖状の2価アルコールからなる直鎖状のポリエステル系可塑剤であることがより好ましい。
ポリエステル系可塑剤の数平均分子量は500〜10000であることが好ましく、1000〜9000であることが好ましく、1000〜3000であることが特に好ましい。数平均分子量が500〜10000のポリエステル系可塑剤は、成分(a)ニトロセルロースとの相溶性が良好であり、シングルベース発射薬の機械的特性を優れたものとすることができる。また、数平均分子量が500〜10000のポリエステル系可塑剤は揮散や溶出が少なく、且つ取扱いも容易となる。数平均分子量が500を下回る場合、揮散や溶出が起こりやすくなり、シングルベース発射薬の機械的特性及び燃焼性の経時変化が大きくなる傾向を示す。一方、数平均分子量が10000を上回る場合、ポリエステル系可塑剤の粘度が高まり、取扱いが困難になる可能性がある。
また、これらのポリエステル系可塑剤のうち、特に可塑剤としての効果に優れ、機械的特性及び燃焼性の経時変化を抑制することができるグルタル酸ポリエステル又はアジピン酸ポリエステルがより好ましいものである。なぜならば、グルタル酸やアジピン酸の持つ2つのカルボニル基間の距離が、ニトロセルロースのニトロ基間の距離と近似しているため、強い相互作用を築くことが可能となる。そのため、グルタル酸ポリエステルやアジピン酸ポリエステルは、ニトロセルロースとの親和性が高くなって移行が抑制されるため、可塑剤としての効果に優れ、且つ経時変化を抑制できると考えられる。
成分(c)ポリエステル系可塑剤の含有量は成分(a)ニトロセルロース100質量部に対して3〜20質量部であり、6〜16質量部が好ましい。成分(c)ポリエステル系可塑剤の含有量が3質量部を下回る場合、シングルベース発射薬の可塑性が不十分となり、脆くなる。一方、20質量部を上回る場合、相対的に成分(a)ニトロセルロースの含有量が低下し、シングルベース発射薬の燃焼性能が低下する。
〔成分(d)光沢剤〕
成分(d)光沢剤は、シングルベース発射薬の表面にコーティングすることにより成形物の滑りが良くなるため、シングルベース発射薬の装填性を向上させることができる。また、光沢剤は吸湿を抑制し、且つ帯電を防止することができる。この光沢剤としては、例えばグラファイトが用いられる。光沢剤の含有量は、一般的には成分(a)ニトロセルロース100質量部に対して0.03〜0.35質量部である。
〔成分(e)消炎剤〕
成分(e)消炎剤は、シングルベース発射薬に含まれることにより、シングルベース発射薬が燃焼した際に発生する炎を抑制することができる。この消炎剤としては、例えば硝酸カリウム、硝酸バリウム、硫酸カリウム又はこれらの混合物等が挙げられる。消炎剤の含有量は、一般的には成分(a)ニトロセルロース100質量部に対して0.5〜2.5質量部である。
〔シングルベース発射薬の成形〕
シングルベース発射薬は、押出成形装置等の成形装置を使用して所望の形状に成形した成形物として用いられる。該成形物の形状としては無孔円柱状、単孔円柱状、多孔円柱状、多孔六角柱状等が挙げられる。これらのシングルベース発射薬の成形物は、例えばシングルベース発射薬に有機溶剤、好ましくはアセトンとエチルアルコールとの混合溶液又はジエチルエーテルとエチルアルコールとの混合溶液を添加混合し、押出成形装置で押出成形する方法により製造することができる。
得られるシングルベース発射薬又はその成形物は、大口径の戦車砲、野戦砲等に使用される弾薬に用いられるほか、火管のエネルギーをシングルベース発射薬又はその成形物に伝えるための着火薬としても用いられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はそれら実施例の範囲に限定されるものではない。実施例及び比較例におけるシングルベース発射薬の特性を評価する方法について以下に示す。
(経時安定性評価試験方法)
経時安定性を評価するための加速老化試験方法について説明する。
サンプル瓶にシングルベース発射薬の成形物を入れた後、サンプル瓶を65℃に調温された恒温槽に入れて200時間放置した。その後、シングルベース発射薬の成形物を恒温槽より取出し、圧縮強度試験及び燃焼試験を行い、シングルベース発射薬性能の経時変化について確認した。
(機械的特性の評価方法)
機械的特性を評価するための圧縮強度試験方法について説明する。圧縮強度試験は、ミネベア(株)製の引張圧縮試験機(AL−50kNB)を用いて行った。試料としてシングルベース発射薬の成形物を試料台中央部に載せた後、長さ方向に30mm/分の速度で圧縮して圧縮試験を行った。そして、応力ひずみ曲線より弾性率を読みとり、機械的特性の評価を行った。本試験条件下では、弾性率が60〜140kN/cmであることが好ましく、80〜120kN/cmであることが特に好ましい。弾性率が60kN/cmを下回ると、戦車砲などの射撃時における大きな衝撃により、成形物が形状を維持することが困難になる。一方で、弾性率が140kN/cmを超えると、成形物が脆くなる傾向となり好ましくない。また、加速老化試験後の弾性率が加速老化試験前に比べて7%未満の変化率であれば経時変化として優れており、5%以内の変化率であることがより好ましい。
(燃焼性の評価方法)
続いて、燃焼性を評価するための密閉ボンブ燃焼試験について説明する。
密閉ボンブの概略図を図1に示した。ボンブ本体1内には容積が160mlの円柱状をなす燃焼空間2が設けられ、その燃焼空間2にはシングルベース発射薬の成形物3が装填されている。ボンブ本体1の基端側(図1の左側)には燃焼空間2内にシングルベース発射薬の成形物3を装填後、密閉するための栓体4が装着され、ボルト5により着脱可能になっている。上記燃焼空間2の容積は、直径35mm、深さ165.5mmの円柱体の容積から栓体4の一部等の容積を差し引くことによって算出される。栓体4の内端面には一対の電極9、10が取着され、両電極9、10には接続線を介して点火玉(黒色火薬0.5g付き)11が取付けられている。
前記電極9は接続配線6を介して外部に位置する点火装置7の一方の電極に接続されると共に、電極10はボンブ本体1に接続されている。また、点火装置7の他方の電極は接続配線8を介してボンブ本体1に接続されている。そして、点火装置7を作動させることにより接続配線6、8、電極9、10などを経て点火玉11が点火し、燃焼空間2内のシングルベース発射薬の成形物3を着火させて燃焼させるようになっている。
ボンブ本体1の側部にはガス抜き用バルブ12が取付けられ、サンプリング管13を介して燃焼空間2に連通されている。このガス抜き用バルブ12から燃焼空間2内のガスをサンプリングし、その燃焼特性を評価できるようになっている。また、ボンブ本体1の先端部には圧力変換器14が取付けられ、連通管15を介して燃焼空間2に連通されている。この圧力変換器14により燃焼圧力を求めることができるようになっている。
上記装置を使用した密閉ボンブ燃焼試験では、栓体4を抜いた状態で燃焼空間2内にシングルベース発射薬の成形物3を装填する。その際に装填する薬量は、装填比重が0.2g/mlとなるように設定した。次いで、栓体4を閉めた後、点火装置7にて燃焼空間2内のシングルベース発射薬の成形物3を着火する。そして、燃焼した際の燃焼時間(t)と燃焼圧力(P)との関係を、圧力変換器14を介してオシロスコ−プ(図示せず)にて計測し、クイックネス(燃焼割合が0.2から0.8におけるΔP/Δt)を求めた。
シングルベース発射薬の成形物3は、適切な速度で燃焼する必要があり、本試験条件下ではクイックネスが18〜28MPa/msであることが好ましく、20〜25MPa/msであることが特に好ましい。また、加速老化試験前後において10%未満の変化率であれば経時変化として優れており、8%以内の変化率であることがより好ましい。
なお、表1及び表2中における略号は次の意味を表す。
NC:ニトロセルロース
AdPE:アジピン酸ポリエステル
GlPE:グルタル酸ポリエステル
SuPE:コハク酸ポリエステル
SebPE:セバシン酸ポリエステル
PhPE:フタル酸ポリエステル
ATEC:アセチルクエン酸トリエチル
DIBA:アジピン酸ジイソブチル
DOP:フタル酸ジオクチル
DBP:フタル酸ジブチル
ESBO:エポキシ化大豆油
AKII:メチルジフェニルウレア
SEII:ジメチルジフェニルウレア
KN:硝酸カリウム
G.P.:グラファイト
(実施例1)
窒素量13.2質量%のニトロセルロース100質量部、安定剤としてメチルジフェニルウレア2.2質量部、可塑剤として数平均分子量が約1800のアジピン酸ポリエステル(2価のカルボン酸としてアジピン酸、2価のアルコールとして1,4−ブタンジオールを使用した重縮合体)11.4質量部の割合で混合した混合物を調製した。この混合物に対し、ジエチルエーテル60質量部及びエチルアルコール40質量部の混合溶液を加え、いわゆるウェルナー混和機で均一に混合した。なお、ウェルナー混和機は、横方向に延びる回転軸に取付けられた撹拌羽根により撹拌、混合する装置である。
次いで、この混合物を押出装置に装填した。押出装置には予め7.8mmのダイス及び0.8mmのピンが取り付けられており、シングルベース発射薬は圧力をかけることにより、このダイスを通りながら押出され、7個の貫通孔を有する7孔円柱状に成形された。この成形物を6.0mmの長さに裁断し、乾燥することにより粒状のシングルベース発射薬の成形物を得た。
このシングルベース発射薬の成形物を用い、前記圧縮強度試験及び密閉ボンブ燃焼試験によるクイックネスの測定を行った。さらに、加速老化試験による経時安定性についても測定を行った。それらの結果を表1に示した。
(実施例2〜10)
表1に示した組成で、実施例1と同様の方法によりシングルベース発射薬を製造し、各々の特性を実施例1と同じ方法で評価した。それらの結果を表1にまとめて示した。なお、今回使用したグルタル酸ポリエステル(2価のカルボン酸としてグルタル酸、2価のアルコールとして1,3−ブタンジオールを使用した重縮合体)の数平均分子量は約2500、コハク酸ポリエステル(2価のカルボン酸としてコハク酸、2価のアルコールとしてエチレングリコールを使用した重縮合体)の数平均分子量は約3000である。セバシン酸ポリエステル(2価のカルボン酸としてセバシン酸、2価のアルコールとして1,3−プロパンジオールを使用した重縮合体)の数平均分子量は約8000、フタル酸ポリエステル(2価のカルボン酸としてフタル酸、2価のアルコールとして2−メチル−1,6−ヘキサンジオールを使用した重縮合体)の数平均分子量は約1300である。
Figure 0005655303
表1の試験結果より次のようなことがわかった。
圧縮強度試験の結果、実施例1〜10に示したシングルベース発射薬は、全てが60〜140kN/cmの範囲内の弾性率を有しており、機械的特性に問題の無いことが確認された。また、加速老化試験後においてもその変化率は7%以内であり、機械的特性の経時変化が抑制されることが確認された。
さらに、クイックネスの値も18〜28MPa/msの範囲内であり、シングルベース発射薬として十分に使用できることが確認された。加えて、加速老化試験後の変化率も8%以内であり、燃焼性能の経時変化が抑制されることが確認できた。
また、機械的特性、燃焼性の結果及び加速老化試験後の変化率をみると、ポリエステル系可塑剤としてグルタル酸ポリエステル又はアジピン酸ポリエステルを使用することが好ましいことがわかり、特に好ましいものはアジピン酸ポリエステルを使用することであることが明確になった。
(比較例1〜7)
表2に示した組成で、実施例1と同様の方法によりシングルベース発射薬を各々製造し、各々の特性を実施例1と同じ方法で評価した。それらの結果を表2に示した。
Figure 0005655303
表2に示したように、可塑剤としてアセチルクエン酸トリエチルを使用した比較例1では、加速老化試験前では、機械的特性及び燃焼性に問題はないが、加速老化試験後では弾性率、クイックネスの変化率が大きく、経時変化が大きいことが明らかとなった。また、可塑剤としてアジピン酸ジイソブチルを使用した比較例2、フタル酸ジオクチルを使用した比較例3及びフタル酸ジブチルを使用した比較例4でも、比較例1と同様に加速老化試験前後での性能に大きな差が観測され、経時変化が大きいことがわかった。以上のことから、低分子量の可塑剤を使用すると、加速老化試験中に可塑剤の溶出や揮散などが起こり、シングルベース発射薬の性能が低下する傾向にあることが明確となった。
さらに、ポリエステル系可塑剤ではないエポキシ化大豆油(数平均分子量が約1000の高分子可塑剤)を使用した比較例5では、機械的特性及び燃焼性の経時変化は抑制されたが、ニトロセルロースとの相溶性が悪く、機械的特性に問題が生じた。比較例6では、実施例1と同じ可塑剤である数平均分子量が約1800のアジピン酸ポリエステルを使用したが、可塑剤の含有量が少ないため機械的特性が悪く、また相対的にニトロセルロースの量が増えるため、燃焼性にも問題が生じた。一方、可塑剤を多量に配合した比較例7(可塑剤は実施例1と同様)では、成形物の機械的特性に問題が生じ、またニトロセルロースの相対量が減少したため燃焼性にも問題が生じた。以上のことから、高分子量の可塑剤を使用してもニトロセルロースとの相溶性が悪ければ、シングルベース発射薬の性能が低下し、またニトロセルロースとの相溶性に優れた可塑剤を使用しても適切な配合量でなければ満足できる性能は得られないことが確認できた。
なお、前記実施形態を次のように変更して実施することも可能である。
・前記成分(a)ニトロセルロースとして、窒素量の異なるニトロセルロースを複数使用し、シングルベース発射薬の機械的特性又は燃焼性を調整するように構成することも可能である。
・前記成分(b)ポリエステル系可塑剤以外のその他の可塑剤を、ポリエステル系可塑剤と共に使用することも可能である。
・前記成分(b)ポリエステル系可塑剤は、単独重合体のみではなく共重合体としても使用することができる。
・シングルベース発射薬には、その他の添加成分として燃焼圧力の急上昇を防ぐ燃焼抑制剤や砲身の寿命を延ばすための焼食抑制剤などを配合することができる。燃焼抑制剤としては樟脳、フタル酸ジブチルなどが挙げられ、焼食抑制剤としてはピログルタミン酸カルシウム、グルタミン酸ナトリウムなどが挙げられる。
・本発明のシングルベース発射薬をロケットなどの推進薬として使用することも可能である。
3…シングルベース発射薬の成形物。

Claims (3)

  1. 成分(a)ニトロセルロースと成分(b)安定剤とを含むシングルベース発射薬において、成分(a)ニトロセルロース100質量部に対して成分(c)ポリエステル系可塑剤を3〜20質量部含有することを特徴とするシングルベース発射薬。
  2. 前記成分(c)ポリエステル系可塑剤が下記式(1)で示される連鎖部分を有し、数平均分子量が500〜10000のポリエステルであることを特徴とする請求項1に記載のシングルベース発射薬。
    式(1)
    [−O−CO−R−CO−O−R’−]
    (ここでRはC2mで表される鎖状炭化水素基で主鎖部分の炭素数は2〜6の整数、側鎖に伸びる炭素数は2以下の整数、R’はC2nで表される鎖状炭化水素基で主鎖部分の炭素数は2〜8の整数、側鎖に伸びる炭素数は2以下の整数を示す。)
  3. 前記成分(c)ポリエステル系可塑剤がグルタル酸ポリエステル又はアジピン酸ポリエステルであることを特徴とする請求項2に記載のシングルベース発射薬。
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