JP2022156336A - トリプルベース発射薬組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、ジブチルフタレートの含有量が低減されたトリプルベース発射薬組成物であり、ニトログアニジンの混合性に優れ、さらにトリプルベース発射薬として機械的強度があり、燃焼性に問題の無いトリプルベース発射薬組成物を提供することにある。【解決手段】上記課題を解決するために、(a)ニトロセルロースと、(b)ニトログリセリンと、(c)ニトログアニジンと、(d)アジピン酸のエステル化合物またはクエン酸のエステル化合物とを含有するトリプルベース発射薬組成物であって、(a)ニトロセルロースと、(b)ニトログリセリンと、(c)ニトログアニジンの質量総和100質量部に対して、(d)アジピン酸のエステル化合物またはクエン酸のエステル化合物の含有量が0.5~10質量部であることを特徴とする、トリプルベース発射薬組成物を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、例えば大口径の戦車砲、野戦砲等に使用される弾薬に用いられるトリプルベース発射薬に関するものである。
発射薬の分野において、ニトロセルロース、ニトログリセリン、ニトログアニジンを主成分とするトリプルベース発射薬は大口径の戦車砲、野戦砲等の弾薬として広く使用されている。このトリプルベース発射薬は、燃焼温度を高めずに火薬力(火薬エネルギー)を増大することで、ダブルベース発射薬に比べて砲身へのダメージが小さく、シングルベース発射薬よりもエネルギーが大きいといった特徴がある。トリプルベース発射薬に含まれるニトログアニジンは、針状結晶を有する粉末である。トリプルベース発射薬の製造では、ニトロセルロースとニトログリセリン、可塑剤からなるバインダー中に、粉末であるニトログアニジンを分散させるが、バインダーの組成が悪いと分散がうまく進まず、製造性が悪くなる。またバインダーとニトログアニジンの結着が良くないと成形後の発射薬がもろくなりやすい。そのためトリプルベース発射薬には適切な可塑剤が必要となる。トリプルベース発射薬に使用される可塑剤としてはジブチルフタレートが広く用いられてきたが、ジブチルフタレートは、アメリカの消費者製品安全改善法(CPSIA)や、日本では食品衛生法第18条昭和34年厚生省告示第370号等により使用が制限されている。また、近年では2019年7月22日よりEUにおいてRoHS指令にジブチルフタレートが追加され、電気電子機器への使用の最大許容濃度が0.1wt%以下に制限された。以上の背景のもと、ジブチルフタレートに代わるトリプルベース発射薬の可塑剤が求められている。
「火器弾薬技術ハンドブック」財団法人 防衛技術協会、2005年2月2日 p.351-352
前記非特許文献1に記載されている、可塑剤としてジブチルフタレートを使用したトリプルベース発射薬組成物は、燃焼温度や製造性は問題ないものの、ジブチルフタレートの使用に制限がある。よって、ジブチルフタレートの含有量を低下したトリプルベース発射薬組成物が求められている。
しかしながら、ジブチルフタレートの含有量を低下すると、トリプルベース発射薬組成物に使用するニトログアニジンの混合性(製造性)が低下し、ニトログアニジンの分散時間が増大するという問題がある。また、機械的強度が低下して、トリプルベース発射薬がもろくなるという問題もある。
そこで本発明の目的とするところは、ジブチルフタレートの含有量が低減されたトリプルベース発射薬組成物であり、ニトログアニジンの混合性に優れ、さらにトリプルベース発射薬として機械的強度があり、燃焼性に問題の無いトリプルベース発射薬組成物を提供することにある。
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、成分(a)ニトロセルロース、成分(b)ニトログリセリン及び成分(c)ニトログアニジンに対して、成分(d)アジピン酸のエステル化合物またはクエン酸のエステル化合物を特定の含有量で添加することにより、優れた製造性、機械的特性および燃焼性を有したトリプルベース発射薬組成物を提供することができることを見出して、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下のトリプルベース発射薬組成物である。
本発明のトリプルベース発射薬組成物は、(a)ニトロセルロースと、(b)ニトログリセリンと、(c)ニトログアニジンと、(d)アジピン酸のエステル化合物またはクエン酸のエステル化合物とを含有するトリプルベース発射薬組成物であって、
(a)ニトロセルロースと、(b)ニトログリセリンと、(c)ニトログアニジンの質量総和100質量部に対して、(d)アジピン酸のエステル化合物またはクエン酸のエステル化合物の含有量が0.5~10質量部であることを特徴とする。
なお、本発明において数値範囲を示す「〇〇~XX」とは、特に明示しない限りその上限「XX」と下限(〇〇)を含む。したがって、正確に表現すれば「〇〇以上XX以下」となる。
本発明のトリプルベース発射薬組成物によれば、成分(a)ニトロセルロース、成分(b)ニトログリセリン、成分(c)ニトログアニジンに対する、成分(d)アジピン酸のエステル化合物またはクエン酸のエステル化合物の含有量を特定の範囲内とすることにより、優れた製造性、機械的特性および燃焼性を有したトリプルベース発射薬組成物を提供することができる。
なお、本発明においてトリプルベース発射薬組成物の製造性とは、トリプルベース発射薬組成物を混合する工程において、ニトログアニジンを加えてから均一になるまでの時間を意味する。
実施例の密閉ボンブ燃焼試験に使用する密閉ボンブの概略説明図である。
以下に本発明の実施形態について具体的に説明する。
本発明のトリプルベース発射薬組成物は、例えば火砲用弾薬等に使用されるものであって、成分(a)ニトロセルロース、成分(b)ニトログリセリン、成分(c)ニトログアニジン、成分(d)アジピン酸のエステル化合物またはクエン酸のエステル化合物を特定の配合割合で含有するものである。特定の配合割合とすることにより製造性、機械的特性及び燃焼性に優れるトリプルベース発射薬組成物を得られる。
<成分(a)ニトロセルロース>
ニトロセルロース(NC・硝化綿)は、燃料であるとともに、トリプルベース発射薬組成物を粒状化(グレイン化)するための結合剤(バインダー)として機能する。(a)ニトロセルロースは、セルロースを硝酸と硫酸の混酸で処理して得られる硝酸エステルである。
ニトロセルロースの含有量は、ニトロセルロース、ニトログリセリン及びニトログアニジンの質量総和100質量部に対して20~50質量部であり、好ましくは26~44質量部である。ニトロセルロースの含有量が50質量部以下の場合には、エネルギー基材であるニトログアニジンの配合量を相対的に増加することができるため、燃焼温度の低減を図ることができる。ニトロセルロースの含有量が20質量部以上の場合には、結合剤成分が十分に含まれることにより延性の上昇や脆性の低下により、機械的特性が増加する傾向にある。また、延性の上昇により、製造性が優れることになる。
<成分(b)ニトログリセリン>
ニトログリセリン(NG)は、主としてトリプルベース発射薬組成物の火薬力を向上させるために配合するものであって、製造性や低温着火性にも優れる物質である。しかし、衝撃に対する感度が鋭感である特性を有する。
ニトログリセリンの含有量は、ニトロセルロース、ニトログリセリン及びニトログアニジンの質量総和100質量部に対して15~46質量部であり、好ましくは20~35質量部である。ニトログリセリンの含有量が46質量部以下の場合、トリプルベース発射薬の燃焼温度の上昇が抑制されるため、砲身のエロージョンの発生を抑制することができる。一方、ニトログリセリンの含有量が15質量部以上では、製造性が向上する。
<成分(c)ニトログアニジン>
ニトログアニジン(NQ)とは、ニトロ化合物であるエネルギー基剤であり、燃焼温度を下げ、また火薬力を向上させる機能を有する成分である。
ニトログアニジンの含有量は、ニトロセルロース、ニトログリセリン及びニトログアニジンの質量総和100質量部に対して30~55質量部であり、好ましくは35~53質量部である。ニトログアニジンの含有量が55質量部以下の場合、結合剤成分であるニトロセルロースやニトログリセリンの配合量が相対的に増加するため、延性の上昇及び脆性が低下し、機械的特性や製造性が増加する傾向にある。一方、ニトログアニジンの含有量が30質量部以上では、ニトロセルロースやニトログリセリンの配合量が相対的に低下するため、燃焼温度の上昇を抑制するため、砲身のエロージョンを抑制し、砲身寿命を向上することができる。
<成分(d)アジピン酸のエステル化合物またはクエン酸のエステル化合物>
アジピン酸のエステル化合物またはクエン酸のエステル化合物は、成分(c)ニトログアニジンと優れた相溶性を示し、ニトログアニジンの混合性を向上することができる。アジピン酸のエステル化物またはクエン酸のエステル化合物以外のジカルボン酸又はトリカルボン酸のエステル化合物では、ニトログアニジンの混合性を向上することができない。また、アジピン酸のエステル化合物またはクエン酸のエステル化合物は、トリプルベース発射薬組成物中に含有させることにより、当該組成物が十分な機械的特性を持つような可塑剤としての機能を発現することができ、柔軟性のあるトリプルベース発射薬組成物を得ることができる。そのため、トリプルベース発射薬組成物を成形して得られたトリプルベース発射薬は機械的特性が得られ、強い衝撃が与えられた場合でもその成形物の形状を維持することができる。
この場合のアジピン酸のエステル化合物またはクエン酸のエステル化合物は、アジピン酸に2-ヘキサノールを反応させて得られるアジピン酸ジオクチルや、アジピン酸にイソノナノールを反応して得られるアジピン酸ジイソノニルがある。クエン酸のエステル化合物には、クエン酸をアセチル化した後にエタノールと反応して得られるアセチルクエン酸トリエチルや、クエン酸をアセチル化した後にブタノールと反応して得られるアセチルクエン酸トリブチル、クエン酸にブタノールを反応させたクエン酸トリブチルなどがある。これらは単独で又は2種以上の混合物として使用することができる。
アジピン酸のエステル化合物またはクエン酸のエステル化合物の含有量は、ニトロセルロース、ニトログリセリン及びニトログアニジンの質量総和100質量部に対して0.5~10質量部であり、好ましくは0.5~5.0質量部であり、より好ましくは1.0~3.0質量部である。アジピン酸のエステル化合物またはクエン酸のエステル化合物の含有量が10質量部を超えると、トリプルベース発射薬の燃焼性が低下する傾向にある。一方、アジピン酸のエステル化合物またはクエン酸のエステル化合物の含有量が0.5質量部未満では、ニトログアニジンの混合性が低下する。また、トリプルベース発射薬の機械的特性も低下する傾向にある。
<その他の添加剤>
本発明のトリプルベース発射薬組成物には、上記(a)~(d)の成分以外に、必要に応じてこの種の発射薬組成物において一般的に使用されている安定剤、消炎剤、光沢剤等を含有してもよい。また、ジブチルフタレートを含有してもよいが、実質的に含有しないことが好ましい。
安定剤としては、例えばジフェニルウレア、メチルジフェニルウレア、エチルジフェニルウレア、ジエチルジフェニルウレア、ジメチルジフェニルウレア、メチルエチルジフェニルウレア等のジフェニルウレア誘導体、ジフェニルアミン、2-ニトロジフェニルアミン等のジフェニルアミン誘導体、エチルフェニルウレタン、メチルフェニルウレタン等のフェニルウレタン誘導体、ジフェニルウレタン等のジフェニルウレタン誘導体、レゾルシノール等が挙げられる。これらの化合物は、単独で又は2種以上の混合物として用いられる。
これらの安定剤の中では、融点が120℃以上であるため高温時においても(a)ニトロセルロ-スから発生する窒素酸化物を確実に捕捉し、(a)ニトロセルロ-スの自然分解を抑制する効果の高いジフェニルウレア誘導体、具体的にはメチルジフェニルウレア、ジフェニルウレア又はジメチルジフェニルウレアが好ましく、メチルジフェニルウレア又はジメチルジフェニルウレアが特に好ましい。
消炎剤としては、例えば硫酸カリウム、硝酸カリウム等が挙げられる。
光沢剤としては、例えば黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック等を挙げることができる。
添加剤の配合割合は、この種のトリプルベース発射薬組成物における通常の範囲で添加すればよい。具体的には、(a)ニトロセルロース、(b)ニトログリセリン及び(c)ニトログアニジンの質量総和100質量部に対して、1~6質量部程度とすればよい。
本発明のトリプルベース発射薬組成物からなるトリプルベース発射薬を製造する場合は、各原料及び必要に応じて各種添加剤を所定の配合バランスで有機溶剤と共に捏和機に入れて均一に混練し、次いで押出装置によって押出成形した圧出薬を所定の長さに裁断することで、所定の形状及び寸法に成形し、その後乾燥することでトリプルベース発射薬を製造することができる。
なお、押出成形において用いられる有機溶剤としては、結合剤である(a)ニトロセルロースを溶かすものまたは膨潤させるもの全て使用可能である。例えば、アセトン、メチルアルコ-ル、エチルアルコール、イソプロピルアルコ-ル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジエチルエ-テル、トルエン、メチルエチルケトン等の有機溶剤が挙げられる。これらの混合溶液も使用可能である。特に、(a)ニトロセルロースとの相溶性に優れる点で、アセトン、エチルアルコール、ジエチルエーテルが好ましい。
トリプルベース発射薬は、用途に応じて適宜の大きさ・形状にすることが可能である。形状の例としては、例えば無孔管状、単孔管状、多孔管状等である。単孔管状とは軸線方向に延びる1個の貫通孔を有する円柱体や六角柱体のことであり、多孔管状とは軸線方向に延びる複数(例えば7個、19個及び37個)の貫通孔を有する円柱体や六角柱体のことである。
以下、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はそれらの実施例の範囲に限定されるものではない。表1中における略号は次の意味を表す。
NC:ニトロセルロース
NG:ニトログリセリン
NQ:ニトログアニジン
DOA:アジピン酸ジオクチル
DINA:アジピン酸ジイソノニル
ATEC:アセチルクエン酸トリエチル
ATBC:アセチルクエン酸トリブチル
TBC:クエン酸トリブチル
DBP:ジブチルフタレート
DOZ:アゼライン酸ジオクチル
DBS:セバシン酸ジブチル
TCP:リン酸トリクレシル
TOTM:トリメット酸トリオクチル
<実施例1>
表1に記載の組成で、以下の方法によりトリプルベース発射薬の成形物を製造した。窒素量12.6質量%のニトロセルロースを26質量部、ニトログリセリンを21.9質量部、アジピン酸ジオクチルを1.6質量部の割合になるように混合した混合物に対して、アセトン55質量部及びエチルアルコール45質量部の混合溶液を加え、いわゆるウェルナー混和機で均一に混合する。この混合物をバインダーとし、ニトログアニジン52.1質量部を加えてさらに均一に混合することにより、トリプルベース発射薬組成物の混練物を得た。
次いで、このトリプルベース発射薬組成物の混練物を押出装置に装填した。押出装置には予め12.5mmのダイス及び0.5mmのピンが取り付けられており、トリプルベース発射薬組成物の混練物は圧力をかけることにより、このダイスを通りながら押し出され、19個の貫通孔を有する19孔6角柱状に成形された。この成形物を10.0mmの長さに裁断し、乾燥することにより粒状のトリプルベース発射薬の成形物を得た。その際に製造性について後述する方法にて評価した。
<実施例2~7>
実施例2~7では上記の製造において表1の組成で同様に作成した。また、このトリプルベース発射薬を用い、後述する方法にて機械的特性、燃焼性の評価を行った。それらの結果を表1に示す。なお表1において組成を示す数値は質量部である。
<比較例1~6>
表2に示した組成で、実施例1と同様の方法によりトリプルベース発射薬に製造し、各特性を実施例と同じ方法で評価した。それらの結果を表2に示す。なお表2において組成を示す数値は質量部である。
実施例及び比較例におけるトリプルベース発射薬組成物の特性を評価する方法について以下に示す。
(ニトログアニジンの混合性の評価方法)
ニトログアニジンの混合性(製造性)の評価方法について説明する。実施例及び比較例の製造においてバインダー(黄色)に対してニトログアニジン(白色)を加えてから目視によって全体が均一に白くなったこと確認するまでの時間を測定する。可塑剤にジブチルフタレートを使用した場合の製造時の時間は60分である。よって70分以下の場合を合格「○」、それより長い場合を不合格「×」とした。
(機械的特性の評価方法)
機械的特性を評価するための圧縮強度試験方法について説明する。圧縮強度試験は、ミネベア(株)製の引張圧縮試験機(AL-50kNB)を用いて行った。試料のトリプルベース発射薬は事前に-32℃で24時間以上の調温を行い、トリプルベース発射薬の成形物を試料台中央部に載せた後、長さ方向に30mm/分の速度で圧縮して圧縮試験を行った。そして、応力ひずみ曲線より弾性率を読みとり、機械的特性の評価を行った。本試験条件下では、弾性率が70MPa以上~100MPa以下を合格「○」とし、それ以外を不合格「×」とした。さらに弾性率が80MPa以上~100MPa以下を最良「◎」とした。
(燃焼性の評価方法)
続いて、燃焼性を評価するための密閉ボンブ燃焼試験について説明する。
密閉ボンブの概略図を図1に示した。ボンブ本体1内には容積が160mlの円柱状をなす燃焼空間2が設けられ、その燃焼空間2には成形されたトリプルベース発射薬の成形物3が装填されている。ボンブ本体1の基端側(図1の左側)には燃焼空間2内にトリプルベース発射薬の成形物3を装填後、密閉するための栓体4が装着され、ボルト5により着脱可能になっている。上記燃焼空間2の容積は、直径35mm、深さ165.5mmの円柱体の容積から栓体4の一部等の容積を差し引くことによって算出される。栓体4の内端面には一対の電極9、10が取着され、両電極9、10には接続線を介して点火玉(黒色火薬0.5g付き)11が取付けられている。
前記電極9は接続配線6を介して外部に位置する点火装置7の一方の電極に接続されると共に、電極9はボンブ本体1に接続されている。また、点火装置7の他方の電極は接続配線8を介してボンブ本体1に接続されている。そして、点火装置7を作動させることにより接続配線6、8、電極9、10などを経て点火玉11が点火し、燃焼空間2内のトリプルベース発射薬の成形物3を着火させて燃焼させるようになっている。
ボンブ本体1の側部にはガス抜き用バルブ12が取付けられ、サンプリング管13を介して燃焼空間2に連通されている。このガス抜き用バルブ12から燃焼空間2内のガスをサンプリングし、その燃焼特性を評価できるようになっている。また、ボンブ本体1の先端部には圧力変換器14が取付けられ、連通管15を介して燃焼空間2に連通されている。この圧力変換器14により燃焼圧力を求めることができるようになっている。
上記装置を使用した密閉ボンブ燃焼試験では、栓体4を抜いた状態で燃焼空間2内にトリプルベース発射薬の成形物3を装填する。その際に装填する薬量は、装填比重が0.2g/mlとなるように設定した。次いで、栓体4を閉めた後、点火装置7にて燃焼空間2内のトリプルベース発射薬の成形物3を着火する。そして、燃焼した際の燃焼時間と燃焼圧力との関係を、圧力変換器14を介してオシロスコ-プ(図示せず)で圧力履歴を計測し、燃焼完了時間を求めた。燃焼完了時間は、着火から最大圧力を示すまでの時間である。
トリプルベース発射薬の成形物3は、適切な速度で燃焼する必要があり、本試験条件下では燃焼完了が16~25msであることを合格「○」とし、それ以外を不合格「×」とした。
Figure 2022156336000001
Figure 2022156336000002
表1の試験結果より、実施例1~7のトリプルベース発射薬は、いずれも製造性、機械的特性及び燃焼性が良好であった。
一方、表2に示したように、DOAの配合量が少ない比較例1では機械的特性が低く、DOAの配合量が多い比較例2では燃焼性が長くなり問題があった。アジピン酸のエステル化合物と同じジカルボン酸のエステル化合物であるDOZ又はDBSを使用した比較例3又は比較例4では製造性と機械的特性に問題が生じた。クエン酸のエステル化合物と同じトリカルボン酸のエステル化合物であるTCPを使用した比較例5では製造性、機械的特性、燃焼性で問題が生じ、TOTMを使用した比較例6では製造性と燃焼性に問題が生じた。
以上の結果から、製造性、機械的特性および燃焼性の全てが良好なトリプルベース発射薬組成物を得るためには、(a)ニトロセルロース、(b)ニトログリセリン、(c)ニトログアニジンの質量総和100質量部に対して(d)アジピン酸のエステル化合物またはクエン酸のエステル化合物を0.5質量部~10質量部にする必要があることが明らかになった。
1…ボンブ、2…燃焼空間、3…トリプルベース発射薬の成形物、4…栓体、5…ボルト、6,8…接続配線、7…点火装置、9,10…電極、11…点火玉、12…ガス抜き用バルブ、13…サンプリング管、14…圧力変換器、15…連通管

Claims (1)

  1. (a)ニトロセルロースと、(b)ニトログリセリンと、(c)ニトログアニジンと、(d)アジピン酸のエステル化合物またはクエン酸のエステル化合物とを含有するトリプルベース発射薬組成物であって、
    (a)ニトロセルロースと、(b)ニトログリセリンと、(c)ニトログアニジンの質量総和100質量部に対して、(d)アジピン酸のエステル化合物またはクエン酸のエステル化合物の含有量が0.5~10質量部であることを特徴とする、トリプルベース発射薬組成物。

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