JP7289775B2 - 高安全化発射薬組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、榴弾砲や野戦砲用の発射薬組成物に関する。より詳しくは、本発明は、従来の発射薬組成物に比べ、メタルジェット衝撃のような過大衝撃に対して安全性を示す発射薬組成物であり、加えて、従来の高モジュールの射撃性能を維持しつつ、燃焼速度に起因する圧力指数を小さくすることで低圧領域から高圧領域までの圧力変動を抑え、低圧領域の射撃安定性を高める発射薬組成物に関する。
りゅう弾砲などの火砲においては、飛しょう体とそれを飛翔させるための発射装薬が用いられる。発射装薬は、発射薬、点火薬、焼食抑制剤、除銅剤等の添加剤、さらにそれらを収納する焼尽容器で構成されている。
近年では発射薬を高エネルギー化するために、環状ニトラミン化合物を含有させた発射薬が研究されている。環状ニトラミン化合物は、一般的に発射薬エネルギーが高く、熱的安定性に優れるといった利点を有する。
以下の特許文献1には、発射薬エネルギーが大きく、低い火炎温度を持つ、不活性物質を使用した発射薬組成物が開示されているが、この発射薬組成物には、着火性(火付き)を悪くする要因である不活性物質が使用されており、更に、トリプルベース並みの発射薬エネルギーを得るために、圧力指数を上げる要因である高エネルギー物質の環状ニトラミン化合物が多く配合されている。
以下の特許文献2には、衝撃に対する安全性が高い発射薬として、ニトロセルロースを20~35重量%、可塑剤を16~30重量%、環状ニトラミン化合物を46~64重量%、ニトログニジンを0~18重量%、固形添加剤を0~18重量%含有しているニトラミン系発射薬が開示されている。
以下の特許文献3には、環状ニトラミン化合物であるRDX(シクロトリメチレントリニトラミン)、ニトロセルロース、ニトログアニジン、及びエネルギー可塑剤からなる、燃焼温度が低く、取り扱い安全性が高いニトラミン系発射薬組成物が開示されているが、ニトログアニジン+RDXの含有量が32.5~66.5重量%に対して、圧量指数を上げる要因であるRDXを多く配合している。
以下の特許文献4には、メタルジェット衝撃のような過大衝撃に対して安全性を示し、且つ、圧力指数の低い発射薬組成物として、ニトロセルロース、活性可塑剤、ニトログアニジン、環状ニトラミン化合物からなる発射薬組成物が開示されている。
特開2000-272989号公報 特開2008-110892号公報 特開2010-202449号公報 特開2013-230950号公報
特許文献1~3に記載された発射薬では、環状ニトラミン化合物であるRDXを多く使用することにより高エネルギー化は達成しているものの、メタルジェット衝撃のような過大衝撃に対する安全性は十分ではなかった。また、特許文献4に記載された発射薬では、RDXの含有量を規定以下とすることでメタルジェット衝撃に対して安全性を示しているものの、RDXを使用することにより圧力指数が高くなり、初速安定の点では更なる改善が望まれるものであった。
本発明は、これらの従来技術の発射薬組成物の問題に鑑み、メタルジェット衝撃のような過大衝撃に対して安全性を示し、且つ、優れた火薬力と低い圧力指数を両立する発射薬組成物を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究し実験を重ねた結果、発射薬組成物において以下の組成とすることによって、前記課題を解決しうることを予想外に見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は以下の通りのものである。
[1]成分(a)NC(ニトロセルロース)と、成分(b)TMETN(トリメチロールエタントリナイトレート)と、成分(c)NGu(ニトログアニジン)と、を含む発射薬組成物であり、該発射薬組成物の質量を基準としたとき、該成分(a)NC(ニトロセルロース)の含有量が17質量%以上30質量%以下であり、該成分(b)TMETN(トリメチロールエタントリナイトレート)の含有量が7質量%以上20質量%以下であり、そして該成分(c)NGu(ニトログアニジン)の含有量が52.5質量%以上60質量%以下である、発射薬組成物。
[2]成分(d)NG(ニトログリセリン)をさらに含み、該発射薬組成物の質量を基準としたとき、該成分(d)の含有量が10質量%以下である、前記[1]に記載の発射薬組成物。
[3]前記成分(d)の含有量が、1質量%以上10質量%以下である、前記[2]に記載の発射薬組成物。
[4]前記成分(a)NC(ニトロセルロース)中の窒素量(硝化度)が、該成分(a)を基準として11.0%以上13.5%以下である、前記[1]~[3]のいずれかに記載の発射薬組成物。
]前記成分(c)の含有量が、55質量%以上60質量%以下である、前記[1]~[]のいずれかに記載の発射薬組成物。
本発明の発射薬組成物は、高モジュールの射撃性能を損なうことなく、低モジュールの初速安定を有し、発射薬の圧力指数が従来品より低いため、メタルジェット衝撃のような過大衝撃に対しても爆轟しない。具体的には、本発明の発射薬組成物は、発射薬の火薬力が1010J/g以上であり、高モジュールの射撃性能を維持し、圧力指数が0.8以下であり、低モジュールの初速安定を達成し、且つ、メタルジェット衝撃に対しても爆轟しない安全な発射薬組成物である。
成型炸薬ジェット試験の試験配置図である。 成形炸薬の概略図である。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本実施形態の発射薬組成物は、成分(a)NC(ニトロセルロース)と、成分(b)TMETN(トリメチロールエタントリナイトレート)と、成分(c)NGu(ニトログアニジン)と、を含む発射薬組成物であり、該発射薬組成物の質量を基準としたとき、該成分(a)NC(ニトロセルロース)の含有量が17質量%以上30質量%以下であり、該成分(b)TMETN(トリメチロールエタントリナイトレート)の含有量が7質量%以上30質量%以下であり、そして該成分(c)NGu(ニトログアニジン)の含有量が50質量%以上60質量%以下である、発射薬組成物である。
本実施形態の発射薬組成物は、好ましくは、成分(d)NG(ニトログリセリン)をさらに含み、該発射薬組成物の質量を基準としたとき、該成分(d)の含有量が10質量%以下である。
これらの成分の配合割合であれば、高モジュールの射撃性能のための必要な火薬力と、初速安定に寄与する圧力指数の改善と、メタルジェット衝撃のような過大衝撃に対しても爆轟しない安全な発射薬組成物となる。
成分(a)NC(ニトロセルロース)の含有量は、発射薬組成物の質量を基準として、17質量%以上30質量%以下、好ましくは19質量%以上28質量%以下、より好ましくは20質量%以上27質量%以下である。ニトロセルロースはバインダであり、ニトロセルロースの含有量が、17質量%以上であれば、機械強度が良好であり、30質量%以下であれば火薬のエネルギーを十分確保することができる。
成分(a)NC(ニトロセルロース)中の窒素量(硝化度)は、原材料を捏和し、発射薬形状を成型できるものであればよいが、発射薬としてのエネルギー、及び製造時に使用する溶剤に対する溶解性を確保するため、成分(a)を基準として11.0%以上13.5%以下であることが好ましく、より好ましくは12.0%以上13.2%以下である。
成分(b)TMETN(トリメチロールエタントリナイトレート)の含有量は、発射薬組成物の質量を基準として、7質量%以上30質量%以下であり、好ましくは7質量%以上20質量%以下である。TMETNは活性可塑剤であり、TMETNの含有量が前述の範囲であると、成形性が良好であり、発射薬の圧力指数が低くなり、初速が安定する。
本実施形態における発射薬組成物は、成分(d)NG(ニトログリセリン)を含んでもよい。NGは、活性可塑剤の中でも火薬力が高くエネルギー可塑剤として非常に優れているが、メタルジェット衝撃に対する感度も高まるため、発射薬組成物の質量を基準として、10質量%以下の範囲で添加することが好ましい。NGの含有量が前述の範囲であることにより、十分な安全性を確保しつつ、火薬力を向上させることができ、NGが微量でも含んでいれば、火薬力の向上には有効であるため、NGの含有量の下限値は特に限定されないが、好ましい範囲としては1質量%以上である。NGの含有量としては、より好ましくは3質量%~10質量%であり、さらに好ましくは5質量%~8質量%である。
エネルギー固形分としての成分(c)NGu(ニトログアニジン)の含有量は、発射薬組成物の質量を基準として、50質量%以上60質量%以下であり、好ましくは55質量%以上60質量%以下である。通常、燃焼温度と火薬力は相関関係にあり、火薬力が大きくなると燃焼温度も高くなる傾向があるが、ニトログアニジンは火薬力が上昇しても、燃焼温度を比較的低く抑える効果を有する。また、ニトログアニジンは効果的に圧力指数を下げる原料であり、ニトログアニジンを多量に含むことにより、圧力指数を大きく下げることができる。ニトログアニジンの含有量が前述の範囲であると、火薬力と圧力指数のバランスが良好である。
本実施形態の発射薬組成物には、成分(a)~(d)の他、安定剤、消炎剤等、既知の添加剤を使用することができる。安定剤としては、例えば、ECL(エチルセントラリット)、ジフェニルアミン、2-ニトロジフェニルアミン、アカルダイトIIの単独又は2種以上の混合物が挙げられる。また、消炎剤としては、KS(硫酸カリウム)、硝酸カリウム、氷晶石のようなアルカリ金属塩等が挙げられる。
本実施形態の発射薬組成物の製造方法は、特に限定されないが、一例として、溶剤成型法を挙げられる。溶剤成型法とは、具体的には、捏和機(素材を混合し、捏ねることで、圧伸成型前の捏和薬を作製する機械)にニトロセルロース、酸化剤、可塑剤、添加剤等の各種成分を所定量投入し、アセトン、アルコール、酢酸エチル、ジエチルエーテル等の溶剤を、ニトロセルロースが溶解する程度の量を投入する。その後、圧伸機に捏和薬を投入し、圧力をかけて圧伸し、所望の形状に圧伸薬を裁断し、風せい後、乾燥して発射薬組成物を得る方法である。
本実施形態の発射薬(組成物)は、モジュール式発射装薬として使用することが好ましい。モジュール式発射装薬とは、同一形状のモジュールを1個から複数個積み重ねて使用する発射装薬のことで、1つの火砲で様々な距離に弾丸(飛翔体)を飛翔できる特徴がある。最大のモジュール数で射撃すると最も遠方に弾丸が飛翔し、発射装薬には従来と同等の最大飛距離が求められる。従来同等の最大飛距離を達成するためには、従来の発射薬と同等レベルの火薬力が求められる。
発射装薬は、任意のモジュール数での射撃において、安定した初速性能が求められるが、1モジュールでの射撃においては、次の理由により、初速の安定が難しいことがわかっている。
飛翔体は、砲内で発射装薬が燃焼した際に発生する圧力を受けて、弾帯を切開しながら進行するが、1モジュールでは、弾帯切開に伴い飛翔体が砲から受ける阻害抗力に対し、飛翔体を常に加速するだけの十分な圧力を発生することができていない。そのため、飛翔体は砲内で減速やときには一旦停止し、その挙動が射撃毎で異なるため初速が安定しない。
不安定な飛翔体の挙動を改善するためには、弾帯を切開する低圧域(25MPa~40MPa)において、従来よりも圧力の上昇速度を上げ、飛翔体へ与える力を増加させることで、飛翔体の減速又は一旦停止の現象をより軽減し、より安定した飛翔体挙動とする。
圧力指数を低くすると発射薬量に対する圧力変動が小さくなるため、高モジュールの射撃性能を合わせたとき圧力指数の低い発射薬は低モジュールの初速、圧力が高くなる。従来品の圧力指数は、0.8であり、この圧力指数より低くすることで、1モジュールの初速、圧力は従来品より高くなり、ガス発生速度も高くなるため、初速安定に寄与する。
ここでいう圧力指数とは、下記式:
r = aP
{式中、rは、燃焼速度であり、aは、係数であり、Pは、圧力であり、そしてnは、圧力指数である。}のnの値である。
本明細書中、火薬力とは、下記式:
f = p/T
{式中、fは、火薬力、pは、1気圧、Vは、発射薬1kgの燃焼によって生成される燃焼ガスの1気圧、273Kにおける容積(l)、Tは、燃焼ガス温度(K)、そしてTは、273Kである。}で表される火薬の持つエネルギーを表す指標である。これは、化学平衡計算により理論値として算出することができる。
最大飛距離を達成するための火薬力は、1010J/g以上であり、高い火薬力が要求される。
以下、実施例、比較例により、本発明を具体的に説明する。尚、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
実施例、比較例で用いた成分の略号を以下に示す。
NC:ニトロセルロース
RDX:シクロトリメチレントリニトラミン
NGu:ニトログアニジン
TMETN:トリメチロールエタントリナイトレート
NG:ニトログリセリン
DBP:ジブチルフタレート
ECL:エチルセントラリット
KS:硫酸カリウム
以下の参考例1、実施例2~5、参考例6~9、比較例1~6において、材料及び配合比率を変えて発射薬のサンプルを作製し、圧力指数の測定を行った。各サンプルにおける材料の配合比率及び圧力指数の測定結果を以下の表1に示す。
比較例1が従来の発射薬である。表1中に示す火薬力は、化学平衡計算により求めた理論値であり、圧力指数、1モジュール圧力上昇速度変化率、SCJ反応レベルは試験から得られた測定結果を示している。
[発射薬の製造]
発射薬は、各成分の種類、配合比率を変えており、すべて溶剤圧伸法により作製した。発射薬形状は、正確な圧力指数のデータを取得するため、複雑な形状ではなく、同一web寸法の単孔管状の発射薬に統一した。
[密閉ボンブ試験(圧力指数)]
成型後の発射薬について、2.49×10 の密閉ボンブ試験器を使用して圧力指数を求めた。密閉ボンブ試験器の中に、発射薬を2×10g/mに調整した薬量を中央に配置し、点火玉と点火薬(黒色1.3g)を発射薬への着火剤として、使用した。発生する最大圧力は、200~250MPaであり、圧力指数を算出するときの圧力領域は、50~200MPa間で実施した。
[射撃試験(圧力上昇速度変化率)]
燃焼初期の圧力上昇速度変化率を従来品と比較するため、射撃装置を使用した射撃試験を行った。射撃装置は、155mmりゅう弾砲を模擬した装置を使用しており、薬室容積、形状は同一であり、砲身長は約4mと実砲身より短い砲身長のものを使用した。射撃装置には、圧力センサーを4カ所設置し、薬室前方と薬室後方の2点の圧力を測定した。圧力上昇速度変化率は、弾帯切開の弾の移動距離に相当する圧力域である25MPaから40MPaまでの圧力変化と時間変化から圧力上昇速度を算出し、比較例1の発射薬の圧力上昇速度を100%としたとき変化率を100分率で算出した。射撃試験には、成型後の発射薬をモジュール式発射装薬として組立てたものを使用し、6モジュールの射撃性能(弾丸初速)を合わせた発射薬量にて射撃を行い、圧力センサーより得られる1モジュールの圧力-時間曲線から比較例1の発射薬と比較したときの圧力上昇速度変化率を算出した。
[モジュール]
発射装薬は、容器に入った発射薬1個~6個(単位としてはモジュール)を組み合わせて弾丸が飛翔する距離を変える。各モジュールの発射薬量は同じであり、例えば、1モジュールが2kgであれば、6モジュールは、12kgになる。当然、6モジュールが、一番発射薬量が多いため、一番弾丸の飛翔距離が長くなる。射撃に必要な性能として、6モジュールが従来品と同じ飛翔距離を出すかどうかが最重要で、飛翔距離=初速であるため、6モジュールの初速が従来品と同じになる発射薬量を決める。6モジュールの発射薬量が決まれば、1モジュールはその6分割となるため、1モジュールの発射薬量は、6モジュールの性能に合わせた発射薬量を6分割したものと記載する。
[圧力指数が低くなることと、「圧力上昇速度変化率が高くなること」との関係]
圧力指数が低くなることと、圧力上昇速度変化率が高くなることはイコールの関係にある。最終的な評価としては、モジュールを射撃して得られる性能である圧力上昇速度変化率であるが、モジュールではなく、モジュールの中にある発射薬のみを評価する場合(基礎評価)には、圧力指数で評価する。そこで、表1では、圧力上昇速度変化率のみ記載しておくと、なぜ圧力上昇速度変化率が高くなるのかという設計思想が分からないため、発射薬の組成を変えて圧力指数を下げ、燃焼速度をコントロールすることによって圧力上昇速度変化率が大きくなっていることが分かるようにしている。
Figure 0007289775000001
参考例1、実施例2~5と比較例2は、使用材料を統一した条件において、その配合比率を変えたものである。比較例2よりNGuの配合比率が50%より低くなると圧力指数が比較例1の発射薬より高くなった。参考例1、実施例2~5よりNGuの配合比率が50%以上ではすべての水準で比較例1より圧力指数が下がっている。
参考例1、6~9は、NGの配合比率を変えたものである。NGの配合比率が多くなるほど圧力指数が低くなり、火薬力は増加するため射撃性能は良くなる。参考例6で示すように、NGを配合しなくてもNGuの配合比率が50%以上であれば圧力指数を比較例1より下げることができる。
比較例3~6は、RDXを配合したマルチベース組成である。RDXを配合することで火薬力は増加するが、圧力指数を上げるため比較例1より圧力指数を下げることが困難である。比較例1より圧力指数を下げ、初速安定化を行うためには参考例1、実施例2~5、参考例6~9のトリプルベース組成が有用である。
圧力上昇速度変化率は、圧力指数の変動に反比例しており、圧力指数を下げた実施例の水準はすべて圧力上昇速度が比較例より高くなっており、1モジュールの初速安定に寄与する。
[メタルジェット衝撃感度]
メタルジェットに対する衝撃感度を調査するため、以下の手順で材料及び配合比率を変えた発射薬のサンプルを作製し、STANAG4526に記載されている安全性評価試験である「成型炸薬ジェット(SCJ)試験」を実施した。図1に、成型炸薬ジェット試験の試験配置図を示す。成型炸薬を架台上に設置し、成型炸薬の直線上に当該発射薬をいれた装薬缶を設置し、適正な侵徹長となるスタンドオフ(成型炸薬から装薬缶までの距離)を設定した。
各サンプルにおける材料の配合比率及びメタルジェット衝撃感度の測定結果を、表1に示す。
[発射薬の製造]
表1に示す実施例及び比較例の発射薬では、各成分(素材)の種類、配合比率を変えており、すべて溶剤圧伸法により作製した。発射薬形状は、すべて6角19孔管状であった。
[炸薬の仕様]
試験用成型炸薬として、密度1.60~1.65のHMX系PBX炸薬を使用した。図2に成型炸薬の概略図を示す。成型炸薬用の容器とライナーは、内径φ34、高さ74mmのポリメタクリル酸メチル樹脂の容器と、内径φ32、ライナー角42°の円錐形銅ライナーを使用した。性能確認として、爆轟速度とメタルジェットの侵徹長(鋼板にメタルジェットを貫通させ、入射した距離を測定する)を計測し、STANAGで規定された基準を満足する成型炸薬であることを確認した(爆轟速度は7500~8500m/sであった)。
反応レベルの形態は、STANAGにおいて6種類に分類されており、反応が烈しい順に、「爆轟(I)」、「部分爆轟(II)」、「爆発(III)」、「爆燃(IV)」、「燃焼(V)」、「反応なし(NR)」となっている。爆轟、及び部分爆轟は、反応速度が音速を超えるほどの反応形態であり、STANAG4526には、メタルジェット衝撃に対する火薬の反応は、爆轟や部分爆轟のような激しい反応を起こしてはいけないと明記されている。STANAG4526のメタルジェット衝撃に対する反応レベルは、レベルIII以上(III、IV、V、NR)でなければならない。火薬の反応レベルは、高速度ビデオカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルカメラによる視覚評価、金属管の金属破片数、破片重量、火薬の反前後の重量、爆風圧力、内部圧力による定量評価によって、評価・判定した。また、爆轟の有無は、金属管近傍に設置している証拠板(薄い鋼板)の爆痕、変形状況によっても判断した。
比較例1では、TMETNを配合していないため反応レベルはIIであり、STANAGの要求を満足できていない。参考例6では、活性可塑剤をTMTENへと変えており、STANAG要求を満足する反応レベルIVとなっている。参考例1、実施例2~5、参考例7~9は、TMETNとNGの両方を配合している水準であり、高い火薬力を持ちながら、安全性レベルIII以上を達成している。
比較例3~6は、RDXを配合したマルチベース発射薬であるが、RDX含有量が増えるほど反応レベルはII~Iとなり、メタルジェット衝撃に対して爆轟反応を起こした。
本発明に係る発射薬組成物は、発射薬量による圧力変動が小さく、低圧域から高圧域にかけて安定した射撃を可能とし、かつ、メタルジェット衝撃のような過大衝撃に対しても爆轟しないため、射撃性能が高く、不慮の事故の時の周囲に対する安全性が高い発射薬として好適に利用可能である。

Claims (5)

  1. 成分(a)NC(ニトロセルロース)と、成分(b)TMETN(トリメチロールエタントリナイトレート)と、成分(c)NGu(ニトログアニジン)と、を含む発射薬組成物であり、該発射薬組成物の質量を基準としたとき、該成分(a)NC(ニトロセルロース)の含有量が17質量%以上30質量%以下であり、該成分(b)TMETN(トリメチロールエタントリナイトレート)の含有量が7質量%以上20質量%以下であり、そして該成分(c)NGu(ニトログアニジン)の含有量が52.5質量%以上60質量%以下である、発射薬組成物。
  2. 成分(d)NG(ニトログリセリン)をさらに含み、該発射薬組成物の質量を基準としたとき、該成分(d)の含有量が10質量%以下である、請求項1に記載の発射薬組成物。
  3. 前記成分(d)の含有量が、1質量%以上10質量%以下である、請求項2に記載の発射薬組成物。
  4. 前記成分(a)NC(ニトロセルロース)中の窒素量(硝化度)が、該成分(a)を基準として11.0%以上13.5%以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の発射薬組成物。
  5. 前記成分(c)の含有量が、55質量%以上60質量%以下である、請求項1~のいずれか1項に記載の発射薬組成物。
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