JP2015105219A - トリプルベース発射薬組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(a)エネルギー可塑剤と、(b)ニトロセルロースと、(c)ニトログアニジンとを含有するトリプルベース発射薬組成物であって、前記(a)エネルギー可塑剤として、(a−1)ニトログリセリンと、(a−2)ジエチレングリコールジナイトレートとを含み、前記(a)〜(c)の質量総和100質量部に対して、前記(a−1)ニトログリセリンの含有量が3〜11質量部であり、前記(a−2)ジエチレングリコールジナイトレートの含有量が5〜30質量部であり、前記(a−1)と前記(a−2)の合計含有量が13〜35質量部であり、前記(b)ニトロセルロースの含有量が20〜50質量部であり、前記(c)ニトログアニジンの含有量が30〜55質量部であることを特徴とする、トリプルベース発射薬組成物。
【選択図】なし
Description
本発明のトリプルベース発射薬組成物は、例えば火砲用弾薬等に使用されるものであって、(a)エネルギー可塑剤と、(b)ニトロセルロースと、(c)ニトログアニジンの三成分を基本組成としながら、(a)エネルギー可塑剤として(a−1)ニトログリセリンと、(a−2)ジエチレングリコールジナイトレートとを併用している。
ニトログリセリン(NG)は発射薬組成物の火薬力を向上させる機能を有し、且つ機械的物性も向上させることができる物質である。特に、低温での着火性に優れるが、その反面衝撃に対する感度が鋭感である特性を有する。
ジエチレングリコールジナイトレート(DEGDN)は、硝酸エステルを含むエネルギー可塑剤である。(a−2)ジエチレングリコールジナイトレートは(a−1)ニトログリセリンと比べて低温着火性には劣るが、衝撃に対する感度は鈍感であり、安全性が高い物質である。但し、(a−2)ジエチレングリコールジナイトレートは、硝酸エステル系エネルギー可塑剤の中では低温着火性が優れている。したがって、例えば硝酸エステル系エネルギー可塑剤としてトリエチレングリコールジナイトレート(TEGDN)等も挙げられるが、(a−2)ジエチレングリコールジナイトレートを使用していれば、その他の硝酸エステル系エネルギー可塑剤を使用した場合よりも低温着火性に優れる。
なお、(a)エネルギー可塑剤の含有量、すなわち(a−1)ニトログリセリンと(a−2)ジエチレングリコールジナイトレートの合計含有量は、(a−1)ニトログリセリン、(a−2)ジエチレングリコールジナイトレート、(b)ニトロセルロース、及び(c)ニトログアニジンの質量総和100質量部に対して、13〜35質量部、好ましくは16〜24質量部とする。(a)エネルギー可塑剤の含有量が35質量部を超えると、発射薬の可塑剤成分が過剰となり、圧出薬の粘性低下による取扱性の低下や、乾燥工程における裁断薬の収縮率のばらつき増加が発生し、発射薬組成物の製造性が低下する。一方、(a)エネルギー可塑剤の含有量が13質量部未満では、発射薬組成物の可塑剤成分が過小となって発射薬組成物の製造性が低下のみならず、機械的物性も低下する。すなわち、可塑剤成分の不足により延性の低下及び脆性が増加し、射撃時に発射薬が破壊しやすくなる。
ニトロセルロース(硝化綿)は、燃料であるとともに、発射薬を粒状化(グレイン化)するための結合剤(バインダー)としても機能する。(b)ニトロセルロ−スは、セルロ−スを硝酸と硫酸との混酸で処理して得られる硝酸エステルである。
ニトログアニジンとはニトロ化合物であるエネルギー基剤であり、燃焼温度を下げ、また火薬力を向上させる機能を有する成分である。
本発明のトリプルベース発射薬組成物には、前記(a)〜(c)の成分以外に、必要に応じて、この種の発射薬において一般的に使用されている安定剤、消炎剤、光沢剤等を含有してもよい。安定剤としては、例えばジフェニルウレア、メチルジフェニルウレア、エチルジフェニルウレア、ジエチルジフェニルウレア、ジメチルジフェニルウレア、メチルエチルジフェニルウレア等のジフェニルウレア誘導体、ジフェニルアミン、2−ニトロジフェニルアミン等のジフェニルアミン誘導体、エチルフェニルウレタン、メチルフェニルウレタン等のフェニルウレタン誘導体、ジフェニルウレタン等のジフェニルウレタン誘導体、レゾルシノール等が挙げられる。これらの化合物は、単独で又は二種以上の混合物として用いられる。
表1に示す組成のトリプルベース発射薬組成物100質量部に対し、アセトン55質量%及びエチルアルコ−ル45質量%の混合溶剤を30質量部加え、いわゆるウェルナー混和機で均一に混合した。なお、ウェルナー混和機は、横方向に延びる回転軸に取付けられた撹拌羽根により撹拌、混合する装置である。次いで、この混合物(捏和薬)を押出装置に装填した。押出装置には予め12.5mmのダイス及び0.5mmのピンが取り付けられており、捏和薬は圧力をかけることにより、このダイスを通りながら押出され、19個の貫通孔を有する19孔管状円柱薬の圧出薬を成形した。この圧出薬を10.0mmの長さに裁断し、乾燥することにより粒状のトリプルベース発射薬を得た。その際の製造性について後述する方法にて評価した。また、このトリプルベース発射薬を用い、後述する方法にて安全性及び低温着火性の評価を行った。それらの結果を表1に示す。
各実施例及び比較例の発射薬組成物を押出成形装置で押出成形する場合の成形しやすさ、及び裁断機まで運搬する際の取扱性に関し、下記の評価基準にて評価を行った。
◎:圧出薬の柔軟性が極めて適正であり、極めて容易に取扱うことができた。
○:圧出薬の柔軟性が適正であり、容易に取扱うことができた。
△:圧出薬の柔軟性が低く又は高すぎるため、注意しながら取扱いを行う必要があった。
×:圧出薬の柔軟性がなく、また、非常に脆いため取扱いに問題が生じた。
製造性に関しては、◎もしくは○とする必要がある。
落槌感度試験は、JIS K−4810(火薬類性能試験方法)に規定されている落槌感度試験方法にて実施し、1/6爆点を求め、相当する等級を表示した。安全性に関しては5級以上とすることが好ましい。
低温着火性を評価するため、密閉ボンブ燃焼試験を行った。その試験方法について説明する。図1に示すように、ボンブ本体50内には容積が150mlの円柱状をなす燃焼空間51が設けられ、その燃焼空間51にトリプルベース発射薬が装填される。ボンブ本体50の一端側には、燃焼空間51内を密閉する栓体52が装着され、ボルト53により着脱可能になっている。なお、燃焼空間51の容積は、直径35mm、深さ165mmの円柱体の容積から栓体52の一部等の容積を差し引いて算出されたものである。また、同じくボンブ本体50の一端側には接続配線54を介して点火装置56が接続されると共に、接続配線55はボンブ本体50に接続されている。
50 ボンブ本体
52 栓体
56 点火装置
57・58 電極
59 点火玉
60 ガス抜き用バルブ
62 圧力変換器
Claims (1)
- (a)エネルギー可塑剤と、(b)ニトロセルロースと、(c)ニトログアニジンとを含有するトリプルベース発射薬組成物であって、
前記(a)エネルギー可塑剤として、(a−1)ニトログリセリンと、(a−2)ジエチレングリコールジナイトレートとを含み、
前記(a)エネルギー可塑剤、前記(b)ニトロセルロース、及び前記(c)ニトログアニジンの質量総和100質量部に対して、
前記(a−1)ニトログリセリンの含有量が3〜11質量部であり、
前記(a−2)ジエチレングリコールジナイトレートの含有量が5〜30質量部であり、
前記(a−1)ニトログリセリンと前記(a−2)ジエチレングリコールジナイトレートとの合計含有量が13〜35質量部であり、
前記(b)ニトロセルロースの含有量が20〜50質量部であり、
前記(c)ニトログアニジンの含有量が30〜55質量部であることを特徴とする、トリプルベース発射薬組成物。
Priority Applications (1)
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JP2013249337A JP2015105219A (ja) | 2013-12-02 | 2013-12-02 | トリプルベース発射薬組成物 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2013249337A JP2015105219A (ja) | 2013-12-02 | 2013-12-02 | トリプルベース発射薬組成物 |
Publications (1)
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Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5595698A (en) * | 1979-01-02 | 1980-07-21 | Nitrochemie Gmbh | Plural radiation gunpowder |
JPH06128069A (ja) * | 1992-10-16 | 1994-05-10 | Tech Res & Dev Inst Of Japan Def Agency | 難燃化ニトロセルロース系無煙火薬 |
WO2012174669A2 (de) * | 2011-06-21 | 2012-12-27 | Nitrochemie Aschau Gmbh | Verwendung eines feststoffs zur herstellung eines treibladungspulvers |
-
2013
- 2013-12-02 JP JP2013249337A patent/JP2015105219A/ja active Pending
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