JP5556119B2 - コーティング発射薬 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば大口径の戦車砲、野戦砲等に使用される弾薬に用いられるコーティング発射薬に関するものである。さらに詳しくは、射撃時の燃焼速度の温度による変化を抑制できると共に、機械的特性にも優れたコーティング発射薬に関するものである。
発射薬の分野において、ニトロセルロースを主成分とするシングルベース発射薬、ニトロセルロースとニトログリセリン等のエネルギー可塑剤を主成分とするダブルベース発射薬、及びニトロセルロース、ニトログリセリン等のエネルギー可塑剤及びニトログアニジンを主成分とするトリプルベース発射薬は、大口径の戦車砲、野戦砲等の弾薬として広く使用されている。しかし、それら発射薬は、射撃時の温度環境により燃焼速度が異なり、砲から発射される弾丸の初速が大きく変化するため、時限空中起爆した際に起爆位置が大幅にばらつくことが問題となっている。さらに、高温での射撃時には砲内の腔圧が高くなり、砲身を摩耗させるため、砲身寿命が短くなることも問題となっている。
そこで近年、射撃時の燃焼速度の温度による変化が抑制された発射薬の開発が進められ、提案されている。すなわち、ベースとなる未処理の発射薬の内孔内に固形物質、又は固形物質及び調節剤が入り込み、内孔を塞いだ構造を備えた発射薬が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。係る発射薬として具体的には、ベースとなる発射薬に、固形物質としてのグラファイトの添加量がベースとなる発射薬に対して0.2質量%であり、調節剤としてのポリテトラヒドロフランの添加量がベースとなる発射薬に対して0.25質量%に設定されている(特許文献1の第9頁に記載のEXAMPLE1)。
また、ベースとなる発射薬に、固形物質としてグラファイト及びタルクを使用し、グラファイトの添加量がベースとなる発射薬に対して0.075質量%、タルクの添加量がベースとなる発射薬に対して0.1質量%に設定されている(特許文献1の第12頁に記載のEXAMPLE9)。
米国公開特許US2006/0266451号公報(第9頁、第12頁及び第13頁)
上記特許文献1に記載された発射薬は、その内孔がグラファイト及びポリテトラヒドロフランにて塞がれた構造を有しており、射撃時の温度により発射薬の燃焼パターンを調整できることから、燃焼速度等の燃焼特性の温度による変化を抑制することができる。しかしながら、この発射薬はベースとなる発射薬を、有機溶剤等を使用しない無溶剤圧伸式製造法で製造して得られたものであることから、発射薬の原料組成物の混練性が悪く、得られる発射薬の機械的特性に欠けるという問題があり、改善の余地があった。加えて、仮にベースとなる発射薬を、有機溶剤を使用した溶剤圧伸式製造法によって製造した場合、発射薬表面の表面積が大きくなるため、特許文献1におけるグラファイトの添加量が最大で0.2質量%という少量であり、そのときには発射薬の表面をグラファイトで十分に被覆することができない。その結果、発射薬の燃焼特性の温度による変化を抑制することができなくなるという問題がある。
そこで、本発明の目的とするところは、燃焼特性の温度による変化を抑制しつつ、機械的特性にも優れるコーティング発射薬を提供することにある。
本発明における第1の発明のコーティング発射薬は、溶剤圧伸式製造法にて製造され内孔を有する有孔状発射薬であって、前記内孔の少なくとも開口部が成分(a)融点−10〜50℃のポリマー及び成分(b)平均粒子径が1〜100μmの無機固形物質にて塞がれており、成分(a)の含有量が有孔状発射薬100質量部に対して0.10〜0.40質量部であり、かつ成分(b)の含有量が有孔状発射薬100質量部に対して0.25〜0.50質量部であることを特徴とする。
第2の発明のコーティング発射薬は、第1の発明において、前記成分(b)の無機固形物質は、95%粒子径が20〜200μmであることを特徴とする。
第3の発明のコーティング発射薬は、第1又は第2の発明において、前記成分(a)のポリマーは、ポリエーテルポリオール類であることを特徴とする。
第4の発明のコーティング発射薬は、第1から第3のいずれか1項の発明において、前記有孔状発射薬の原料であるニトロセルロースが綿花を起源とするリンター繊維より製造されていることを特徴とする。
第5の発明のコーティング発射薬は、第1から第4のいずれか1項の発明において、前記有孔状発射薬の内孔は、直径が0.14〜0.24mmの貫通孔であることを特徴とする。
第6の発明のコーティング発射薬は、第1から第5のいずれか1項の発明において、前記有孔状発射薬は、ダブルベース発射薬又はトリプルベース発射薬であることを特徴とする。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
第1の発明のコーティング発射薬においては、有孔状発射薬の内孔の少なくとも開口部が成分(a)融点−10〜50℃のポリマー及び成分(b)平均粒子径が1〜100μmの無機固形物質にて塞がれている。そのため、低温時にはポリマーが脆くなり内孔の開口部から取り除かれて内孔を有する発射薬としての機能が高められ、高温時にはポリマーが粘性を示し内孔の開口部を塞いで内孔を有しない発射薬として機能する。従って、燃焼速度等の燃焼特性が低温時、常温時及び高温時において差を生じないようにすることができる。
さらに、コーティング発射薬を形成する有孔状発射薬が溶剤圧伸式製造法により製造されることから、発射薬原料の混練性を高めることができ、その結果得られる有孔状発射薬の圧縮強度、圧縮率等を向上させることができる。従って、コーティング発射薬は、燃焼特性の温度による変化を抑制しつつ、機械的特性にも優れている。
第2の発明のコーティング発射薬では、成分(b)の無機固形物質は95%粒子径が20〜200μmである。このため、第1の発明の効果に加えて、無機固形物質の粒度分布が十分にシャープ(狭く)であり、発射薬の内孔への無機固形物質の進入性及び内孔の開口部への無機固形物質の付着性がよく、燃焼特性の温度による変化を一層抑制することができる。
第3の発明のコーティング発射薬では、成分(a)のポリマーはポリエーテルポリオール類である。従って、第1又は第2の発明の効果に加えて、このポリエーテルポリオール類の性質により発射薬に対する接着性を高め、無機固形物質との馴染みも向上させることができる。
第4の発明のコーティング発射薬では、有孔状発射薬の原料であるニトロセルロースが綿花を起源とするリンター繊維より製造されている。このため、第1から第3のいずれかに係る発明の効果に加えて、リンター繊維は純度が高く、重合度分布が均一であることから、発射薬としての性能を向上させることができる。
第5の発明のコーティング発射薬では、有孔状発射薬の内孔は、直径が0.14〜0.24mmの貫通孔である。従って、第1から第4のいずれかに係る発明の効果に加え、内孔への成分(b)無機固形物質の進入性が十分であり、燃焼特性の温度による変化を一層抑制することができる。
第6の発明のコーティング発射薬では、有孔状発射薬は、ダブルベース発射薬又はトリプルベース発射薬であることから、第1から第5のいずれかに係る発明の効果に加え、シングルベース発射薬に比べて発射薬としてのエネルギーを向上させることができる。
(a)は実施形態における発射薬を示す斜視図、(b)は発射薬を示す側面図及び(c)は(a)の1c−1c線における断面図。 実施形態における燃焼特性の温度による変化を評価するための密閉ボンブ燃焼装置を示す概略断面図。 実施例1における燃焼割合とビバシチーとの関係を示すグラフ。 比較例10における燃焼割合とビバシチーとの関係を示すグラフ。 実施例13における燃焼割合とビバシチーとの関係を示すグラフ。 比較例16における燃焼割合とビバシチーとの関係を表すグラフ。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態のコーティング発射薬は、溶剤圧伸式製造法にて製造され内孔を有する有孔状発射薬であって、内孔の少なくとも開口部が成分(a)融点−10〜50℃のポリマー及び成分(b)平均粒子径が1〜100μmの無機固形物質にて塞がれているものである。そして、成分(a)の含有量が有孔状発射薬100質量部に対して0.10〜0.40質量部に設定され、かつ成分(b)の含有量が有孔状発射薬100質量部に対して0.25〜0.50質量部に設定される。
上記の有孔状発射薬は溶剤圧伸式製造法すなわち発射薬の原料が有機溶剤を用いて混練されることから発射薬の原料の混練性がよく、得られる有孔状発射薬の機械的特性を高めることができる。さらに、前記の内孔が成分(a)のポリマー及び成分(b)の無機固形物質で塞がれることにより、低温時には内孔を有する発射薬の燃焼パターンにより燃焼が進行し、高温時には内孔を有さない無孔発射薬の燃焼パターンにより燃焼が進行する。従って、コーティング発射薬は、機械的特性に優れると共に、燃焼特性の温度による変化を抑制することが可能となる。ここで、燃焼特性としては、燃焼速度をはじめ、燃焼時のガス発生量、燃焼圧力、燃焼時間、後述するビバシチー等が挙げられる。
上記有孔状発射薬及びコーティング発射薬の典型例を図面に基づいて説明すると、図1(a)及び(b)に示すように、有孔状発射薬(単に発射薬ともいう)10は円柱状に形成され、断面円形状をなす19個の内孔11が一定間隔をおいて軸線方向に貫通形成されている。図1(c)に模式的に示すように、コーティング発射薬12は、内孔11両端の開口部13近傍に成分(b)の無機固形物質14が充填されて塞がれ、有孔状発射薬10の外周面は成分(b)の無機固形物質14及び成分(a)のポリマー15がコーティングされ被覆されている。
以下にこのコーティング発射薬12の構成について順に詳述する。
〔ベースとなる発射薬10〕
ベースとなる発射薬10は、シングルベース発射薬、ダブルベース発射薬又はトリプルベース発射薬である。シングルベース発射薬はニトロセルロースを基剤とするものであるのに対し、ダブルベース発射薬はニトロセルロースとニトログリセリンを基剤とし、トリプルベース発射薬はニトロセルロースとニトログリセリンとニトログアニジンを基剤とするものである。ダブルベース発射薬及びトリプルベース発射薬は、シングルベース発射薬に比べて爆発熱、火薬力等の発射薬としてのエネルギーが高く、大口径の戦車砲、野戦砲用の発射薬として好ましい。
また、発射薬10に使用されるニトロセルロース(硝化綿)は、燃料兼成形体を粒状化(グレイン化)するための結合剤(バインダー)として機能する成分である。該ニトロセルロ−スは、木材を起源とする木材パルプ又は綿花を起源とするリンター繊維を硝酸と硫酸との混酸で処理して得られる硝酸エステルである。ニトロセルロースを製造するために用いられる原料としては、純度が高く、また重合度分布が均一である綿花を起源とするリンター繊維が好ましい。
ニトロセルロースを構成するグルコース1単位分子あたり3箇所で硝酸エステル化することが可能であるため、様々な程度に硝化されたものが得られ、その程度は窒素の含有量で区別される。このニトロセルロース中の窒素量は、11.7〜13.4質量%であることが好ましく、12.2〜13.4質量%であることがより好ましく、12.9〜13.2質量%であることが特に好ましい。この窒素量が、11.7質量%未満の場合には、発射薬10の燃焼性が低下すると共に、ニトロセルロ−スが有機溶剤に溶解し過ぎて粒状に成形することが難しくなる傾向にある。その一方、窒素量が13.4質量%を超える場合には、発射薬10の経時安定性が低下すると同時に、ニトロセルロ−スが有機溶剤に溶解し難くなり、粒状に成形することが困難になる傾向を示す。
係る発射薬10は、有孔状円柱体、有孔状六角柱体、有孔状異形柱体等の形状に成形される。ここで有孔状とは、成形体に1個以上の内孔11を有する形状であることをいう。また、内孔11の数は、特に制限されるものではないが、一般的には単孔(1孔)〜61孔程度のものが使用される。具体的には、単孔、7孔、19孔、37孔及び61孔が挙げられる。
コーティング発射薬12は、発射薬10の内孔11の少なくとも開口部13を成分(a)のポリマー15及び成分(b)の無機固形物質14にて塞ぐことにより燃焼特性の温度による変化を抑えるものであるため、内孔11の数は可能な限り多い方が望ましい。内孔11の数は19孔、37孔及び61孔が好ましく、製造性も考慮すれば、内孔11の数は19孔のものが最も好ましい。
内孔11の直径は0.14〜0.24mm(140〜240μm)であることが好ましく、0.17〜0.21mm(170〜210μm)であることがより好ましい。内孔11の直径が0.14mmを下回る場合には、無機固形物質14が発射薬10の内孔11に入り難くなる傾向を示す。その一方、0.24mmを上回る場合には、内孔11の開口部13が大きくなり、ポリマー15及び無機固形物質14で内孔11の開口部13を塞ぐことが困難になる。その上、発射薬10の燃焼時に発生する燃焼ガスで容易にポリマー15が取り除かれてしまうため、高温時における効果の発現が弱くなり、燃焼特性の温度による変化を十分に抑えることができなくなる。
ベースとなる発射薬(成形体)10は、溶剤圧伸式製造法により製造される。溶剤圧伸式製造法とは、発射薬原料に有機溶剤を添加混合し、押出成形装置で押出成形して内孔11を有する柱状に形成した後、裁断機にて所望の長さに裁断し、次いで乾燥室にて発射薬原料中に含まれる有機溶剤を揮散させて成形する製造法である。有機溶剤としては、好ましくはアセトンとエチルアルコールとの混合溶液又はジエチルエーテルとエチルアルコールとの混合溶液が用いられる。裁断機としては、ロータリーカッター裁断機又はギロチン裁断機が用いられる。この溶剤圧伸式製造法によれば、無溶剤圧伸式製造法に比べ、発射薬原料の混練性が良く、得られる発射薬10の圧縮率等の機械的特性を高めることができる。
〔成分(a)のポリマー15〕
成分(a)のポリマー15は、成分(b)の無機固形物質14と共に発射薬10の内孔11に入り込み、内孔11の少なくとも開口部13を塞ぐことにより、発射薬10の燃焼特性の温度による変化を抑える機能を発揮するものである。すなわち、温度の低い環境に発射薬10が晒されている場合には、発射薬10の内孔11内及び内孔11の開口部13を塞いでいるポリマー15の性状が脆いものとなり、発射薬10との接着性が低下する。そのため、発射薬10の燃焼時に発生する燃焼ガスにより、ポリマー15が内孔11内及び内孔11の開口部13から容易に取り除かれてしまう。よって、低温時(例えば、−30〜−50℃)においては、内孔11を有する発射薬10の燃焼パターンにより燃焼が進行する。
一方、温度の高い環境に発射薬10が晒されている場合には、発射薬10の内孔11内及び内孔11の開口部13を塞いでいるポリマー15は粘性の高い状態となっており、発射薬10との接着性が維持される。そのため、発射薬10の燃焼時に発生する燃焼ガスではポリマー15は容易に取り除かれることなく、内孔11内及び内孔11の開口部13が塞がれたままの状態が維持される。従って、高温時(例えば、50〜70℃)においては、内孔11を有さない無孔発射薬の燃焼パターンにより燃焼が進行する。以上の原理により、低温、高温さらに常温における燃焼特性の変化を抑制し、燃焼特性の均一性を高めることができる。
成分(a)のポリマー15は、成分(b)の無機固形物質14と共に発射薬10の内孔11に入り込むことができ、かつ内孔11の開口部13を塞ぐことが可能な物質の全てを使用することができる。該ポリマー15としては、例えばポリエーテル、ポリオール、ポリエステル、ポリウレタン、ポリブタジエン、セルロース誘導体、天然高分子等が挙げられる。これらの物質は、単独で又は2種以上の混合物として用いられる。これらのうち、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリカプロラクトンジオール等のポリエーテルポリオール類が特に好ましい。ポリエーテルポリオール類は、発射薬10に対する接着性が良く、無機固形物質14との馴染みも良好である。
発射薬10の内孔11への進入性及び燃焼特性の温度による変化の抑制を考慮すれば、ポリマー15の融点は−10〜50℃である。この融点は、0〜30℃であることが好ましく、10〜20℃であることがさらに好ましい。ポリマー15の融点が−10℃未満の場合には、低温においても発射薬10への接着性が高いため、発射薬10の燃焼時に発生する燃焼ガスではポリマー15が内孔11内及び内孔11の開口部13から取り除かれなくなる。その結果、低温時においても内孔11を有さない無孔発射薬の燃焼パターンで燃焼が進行するため、燃焼特性の温度による変化を抑制することができなくなる。一方、融点が50℃を超える場合には、内孔11の開口部13への発射薬10の接着性が不足するという問題が生じる。
ポリマー15の含有量は、有孔状発射薬10の100質量部に対して0.10〜0.40質量部であり、好ましくは0.10〜0.20質量部である。ポリマー15の含有量が0.10質量部未満の場合、ポリマー15が不足し、燃焼特性の温度による変化を抑えることができなくなる。一方、0.40質量部を超える場合、コーティング発射薬12同士の固着が激しくなり、燃焼性が悪化する。
〔成分(b)の無機固形物質14〕
成分(b)の無機固形物質14は、成分(a)のポリマー15と共に発射薬10の内孔11に入り込み、内孔11の少なくとも開口部13を塞ぐことにより、燃焼特性の温度による変化を抑制する機能を発揮するものである。該無機固形物質14は、成分(a)のポリマー15と共に発射薬10の内孔11に入り込むことができ、かつ内孔11の開口部13を塞ぐことが可能な物質の全てを使用することができる。無機固形物質14としては、例えばグラファイト、活性炭、アセチレンブラック、カーボンブラック、シルカ、アルミナ、タルク、酸性白土、ベントナイト、ケイ酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、窒化ケイ素、炭酸コバルト、炭酸カルシウム等が挙げられる。これらの無機固形物質14は、単独で又は2種以上の混合物として用いられる。無機固形物質14のうち、滑性により発射薬10の内孔11に入りやすい性質を有するタルクや、発射薬10の燃焼時において発射薬10の内孔11の開口部13を塞ぐことができる高融点のグラファイトが好ましい。さらに、無機固形物質14として、タルクとグラファイトを併用したものが特に好ましい。
無機固形物質14は、発射薬10の内孔11への進入性及び内孔11の開口部13への付着性を考慮すれば、その形状は粉末であり、該粉末の平均粒子径が1〜100μmである。この平均粒子径は10〜60μmであることが好ましく、15〜40μmであることがさらに好ましい。無機固形物質14の平均粒子径が1μm未満の場合にはその製造が困難となる。一方、平均粒子径が100μmを超える場合には、発射薬10の内孔11に入ることが難しくなり、また内孔11の開口部13への付着性が悪くなる。
当該無機固形物質14の95%粒子径は、20〜200μmであることが好ましく、40〜150μmであることがより好ましく、50〜100μmであることがさらに好ましい。この95%粒子径は狭い範囲に設定されるほど無機固形物質14の粒度分布がシャープ(狭く)になり、発射薬10の内孔11への無機固形物質14の進入性を高め、内孔11の開口部13への無機固形物質14の付着性も高めることができる。係る95%粒子径が20μm未満の場合には、無機固形物質14の製造が難しくなって好ましくない。その一方、95%粒子径が200μmを超える場合には、無機固形物質14が発射薬10の内孔11に入ることができず、内孔11の開口部13への付着性も悪くなる傾向にある。ここで平均粒子径とは、粒度累積分布の50%に相当する粒子径を意味し、95%粒子径とは、粒度累積分布の95%に相当する粒子径を意味する。
無機固形物質14の含有量は、有孔状発射薬10の100質量部に対して0.25〜0.50質量部であり、好ましくは0.30〜0.35質量部である。無機固形物質14の含有量が0.25質量部未満の場合、燃焼特性の温度による変化を抑えることが困難になる。その一方、0.50質量部を超える場合、燃焼特性の温度による変化を抑える効果は多大となる反面、発射薬10の燃焼性及び着火性が悪化する。
〔実施形態により発揮される作用及び効果のまとめ〕
(1) 本実施形態におけるコーティング発射薬12においては、有孔状発射薬10の内孔11の少なくとも開口部13が成分(a)のポリマー15及び成分(b)の無機固形物質14にて塞がれている。そのため、低温時にはポリマー15が脆くなって内孔11の開口部13から取り除かれて内孔11を有する発射薬10として機能し、高温時にはポリマー15がその粘性により内孔11の開口部13を塞いで内孔11を有しない発射薬10として機能する。さらに、常温時においては、コーティング発射薬12は低温時と高温時の中間の挙動を示す。加えて、成分(a)の含有量が発射薬10の100質量部に対して0.10〜0.40質量部、及び成分(b)の含有量が発射薬10の100質量部に対して0.25〜0.50質量部という十分な含有量に設定されている。そのため、溶剤圧伸式製造法で得られた表面積の大きい有孔状発射薬10であっても、成分(a)のポリマー及び成分(b)の無機固形物質で十分に内孔11を十分に塞ぐことができる。従って、燃焼速度、ビバシチー等の燃焼特性が低温時、常温時及び高温時において差を生じないようにすることができる。
しかも、コーティング発射薬12を形成する有孔状発射薬10が溶剤圧伸式製造法により製造されることから、有機溶剤の添加混合により発射薬10の原料の混練性を高めることができる。その結果、得られる発射薬10の圧縮強度、圧縮率等を向上させることができる。従って、コーティング発射薬12では、燃焼特性の温度による変化を抑制し、その均一性を高めることができると共に、圧縮強度、圧縮率等の機械的特性を向上させることができる。
(2) 前記成分(b)の無機固形物質14は95%粒子径が20〜200μmであることにより、無機固形物質14の粒度分布が十分にシャープであり、発射薬10の内孔11への無機固形物質14の進入性及び内孔11の開口部13への無機固形物質14の付着性がよく、燃焼特性の温度による変化を一層抑制することができる。
(3) 前記成分(a)のポリマー15はポリエーテルポリオール類であることにより、その性質に基づいて発射薬10に対するポリマー15の接着性に優れ、無機固形物質14との馴染みも良好になる。
(4) 前記発射薬10の原料であるニトロセルロースが綿花を起源とするリンター繊維より製造されていることにより、リンター繊維は純度が高く、重合度分布が均一であることから、発射薬10としての燃焼性、着火性等の性能を向上させることができる。
(5) 発射薬10の内孔11は、直径が0.14〜0.24mmの貫通孔であることにより、内孔11への無機固形物質14の進入性が十分であり、燃焼特性の温度による変化を一層抑制することができる。
以下、製造例、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はそれら実施例の範囲に限定されるものではない。表1及び表2中における略号は次の意味を表す。
PTMEG:ポリテトラメチレンエーテルグリコール〔BASFジャパン(株)製、商品名ポリテトラハイドロフラン650〕
PEG:ポリエチレングリコール〔第一工業製薬(株)製、商品名PEG20000〕
(各試験の評価方法)
まず、機械的特性を評価するための圧縮強度試験方法について説明する。圧縮強度試験は、ミネベア(株)製の引張圧縮試験機を用いて行った。試料としてコーティング発射薬12の成形体12aを試料台中央部に載せた後、長さ方向に30mm/分の速度で圧縮して圧縮試験を行った。そして、応力ひずみ曲線より最大荷重値及び圧縮量を読み取り、機械的特性の評価を行った。試験数は、全てのサンプルともN=20とした。
次に、燃焼特性の温度による変化を評価するための密閉ボンブ燃焼試験について説明する。
図2に示すように、ボンブ本体21内には容積が70mlの円柱状をなす燃焼空間22が設けられ、その燃焼空間22にはコーティング発射薬12が成形された成形体12aが装填されている。ボンブ本体21の基端側(図2の左側)には燃焼空間22内にコーティング発射薬12の成形体12aを装填後、密閉するための栓体23が装着され、ボルト24により着脱可能に構成されている。上記燃焼空間22の容積は、直径35mm、深さ75mmの円柱体の容積から栓体23の一部等の容積を差し引いくことによって算出される。栓体23の内端面には一対の電極25、26が取着され、両電極25、26には接続線を介して点火玉(黒色火薬0.5g及びシングルベース発射薬1.5g付き)27が取付けられている。
前記電極25は接続配線28を介して外部に位置する点火装置29の一方の電極に接続されると共に、電極26はボンブ本体21に接続されている。また、点火装置29の他方の電極は接続配線30を介してボンブ本体21に接続されている。そして、点火装置29を作動させることにより接続配線28、30、電極25、26などを経て点火玉27が点火し、燃焼空間22内のコーティング発射薬12の成形体12aを着火させて燃焼させるようになっている。
ボンブ本体21の側部にはガス抜き用バルブ31が取付けられ、サンプリング管32を介して燃焼空間22に連通されている。このガス抜き用バルブ31から燃焼空間22内のガスをサンプリングし、その燃焼特性を評価できるようになっている。また、ボンブ本体21の先端部には圧力変換器33が取付けられ、連通管34を介して燃焼空間22に連通されている。この圧力変換器33により通電開始から最大圧力までの燃焼圧力カーブを求めることができるようになっている。
そして、栓体23を抜いた状態で燃焼空間22内にコーティング発射薬12の成形体12aを装填する。その際に装填する薬量は、装填比重が0.1g/mlとなるように設定した。次いで、栓体23を閉じた後、点火装置29にて燃焼空間22内のコーティング発射薬12の成形体12aを着火する。そして、燃焼した際の燃焼時間と燃焼圧力との関係を、圧力変換器33を介してオシロスコ−プ(図示せず)にて計測した。
次いで、その燃焼圧力カーブより、燃焼割合とビバシチーとの関係を求めた。ここで、燃焼割合とは、発射薬10の燃焼時における進行度合いの指標となるものであり、各燃焼時間における燃焼圧力を最大燃焼圧力で除した値である。また、ビバシチーとは、発射薬10の燃焼性能を評価する上で指標となるものであり、単位時間当たりのガス発生量をその時点での燃焼圧力で除し、さらにその値を最大燃焼圧力で除したものである。試験数は、全てのサンプルともN=5とした。
(製造例1、ベースとなる発射薬10の製造)
ベースとなる発射薬10を以下に示す溶剤圧伸式製造法により作製した。綿花を起源とするリンター繊維から作製したニトロセルロース(窒素量は13.2質量%)100質量部、可塑剤としてジエチレングリコールジナイトレート56.0質量部、ニトログリセリン27.9質量部、安定剤としてメチルジフェニルウレア(アカルダイトII)1.4質量部、滑剤として酸化マグネシウム0.1質量部、帯電防止剤としてグラファイト0.1質量部の割合になるように混合した混合物に対し、アセトン33質量部及びエチルアルコ−ル33質量部の混合溶液を加え、いわゆるウェルナ−混和機で均一に混合した。なお、ウェルナ−混和機は、横方向に延びる回転軸に取付けられた撹拌羽根により撹拌、混合する装置である。
次いで、この混合物を押出装置に装填した。押出装置には予め12.0mmのダイス及び0.2mmのピンが取り付けられており、発射薬10の原料は圧力をかけることにより、このダイスを通りながら押出され、19個の内孔11を有する19孔円柱状に成形された。この成形物をロータリーカッター裁断機にて10.9mmの長さに裁断し、乾燥することにより粒状の発射薬10の成形体12aを得た。乾燥後の形状は、外径が10.6mm、薬長が10.6mm、内孔11の直径が0.17mm及び薬厚が1.70mmであった。なお、薬厚は、図1(b)に薬厚tとして示すように、内孔11間の厚さ又は内孔11と発射薬10表面との間の厚さを意味する。
(製造例2、ベースとなる発射薬10の製造)
ベースとなる発射薬10を以下に示す無溶剤圧伸式製造法により作製した。木材を起源とする木材パルプにて作製したニトロセルロース(窒素量は13.2質量%)100質量部を水の張ってある混和槽に仕込み攪拌した。その後、攪拌中に可塑剤としてジエチレングリコールジナイトレート56.0質量部、ニトログリセリン27.9質量部を混和槽に流し込み十分に混合を行った。次に、混和槽内の混合物を遠心除水し、その後篩を通して細かい粒子とし、膠化を促進させるために3週間の熟成を行った。その後、安定剤としてメチルジフェニルウレア(アカルダイトII)1.4質量部、滑剤として酸化マグネシウム0.1質量部、帯電防止剤としてグラファイト0.1質量部及び熟成させた湿餅薬をウェルナ−混和機に仕込み均一に混合した。
均一に混合した混餅薬を、異速高温ローラーを通しながら練成する捏延工程及び等速高温ローラーにてさらに厚みを薄くし膠化を促進させる圧延工程を行うことにより薬厚が1.5mmの薬板を得た。次いで、この薬板をカーペットロール状に巻き、押出装置に装填した。押出装置には予め10.6mmのダイス及び0.17mmのピンが取り付けられており、発射薬は圧力をかけることにより、このダイスを通りながら押出され、19個の内孔11を有する19孔円柱状に成形された。この成形体を10.6mmの長さに裁断し、粒状の発射薬10の成形体を得た。この成形体の形状は、外径が10.6mm、薬長が10.6mm、内孔11の直径が0.17mm及び薬厚が1.70mmであった。
(製造例3、ベースとなる発射薬10の製造)
木材を起源とする木材パルプから作製したニトロセルロース(窒素量は13.2質量%)を使用する以外は、全て製造例1と同様の方法により発射薬10を製造した。乾燥後の形状は、外径が10.6mm、薬長が10.5mm、内孔11の直径が0.17mm及び薬厚が1.70mmであった。
(製造例4、ベースとなる発射薬10の製造)
ベースとなる発射薬10としてトリプルベース発射薬を以下に示す溶剤圧伸式製造法により作製した。綿花を起源とするリンター繊維から作製したニトロセルロース(窒素量は12.6質量%)100質量部、ニトログリセリン84.5質量部、ニトログアニジン197.6質量部、ジブチルフタレート4.0質量部、安定剤として1,3-ジエチル1,3-ジフェニルウレア(セントラリットI)6.0質量部、消炎剤として硫酸カリウム6.4質量部の割合になるように混合した混合物に対し、アセトン230質量部及びエチルアルコ−ル150質量部の混合溶液を加えた。それ以外は、全て製造例1と同様の方法により発射薬10を得た。
次いで、製造例1と同様の方法により発射薬10を押出成形した。ただし、押出装置には14.0mmのダイス及び0.2mmのピンが取り付けられており、ロータリーカッター裁断機にて12.6mmの長さに裁断し、乾燥することにより粒状をなす発射薬10の成形体12aを得た。乾燥後の形状は、外径が12.0mm、薬長が12.0mm、内孔11の直径が0.15mm及び薬厚が1.95mmであった。
(実施例1)
30℃に調温した回転ドラムに製造例1で得られた発射薬10を100質量部、無機固形物質14としてタルク0.15質量部(平均粒子径:19μm、95%粒子径:58μm)及びグラファイト0.15質量部(平均粒子径:33μm、95%粒子径:85μm)を仕込んだ後、回転ドラムの蓋をして10分間回転させた。その後、蓋を開け、70%エタノール溶液1.2質量部に溶解させたポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)0.14質量部(融点:18℃)を、ドラムを回転させながら発射薬10に噴霧した。次いで、蓋をした状態で60分間回転させた後、蓋を開けてエタノールを揮散させながら30分間回転させ、ドラムより取り出した。
そして、60℃の雰囲気中で3日間乾燥させてコーティング発射薬12の成形体12aを得た。次いで、このコーティング発射薬12の成形体12aを用い、圧縮強度試験を常温(+21℃)で実施した。また、常温(+21℃)、低温(−40℃)及び高温(+63℃)で密閉ボンブ燃焼試験を実施し、各温度におけるビバシチーの最大値を求めた。さらに、各温度のビバシチーの最大値を比較し、最高値と最低値との差を求め燃焼特性の温度による変化の評価を行った。それらの結果を表1に示した。また、参考として燃焼割合とビバシチーとの関係を示すグラフを図3に示した。この図3に示したように、実施例1のコーティング発射薬12では、−40℃、21℃及び63℃におけるビバシチーの最大値の差が小さく、燃焼特性の温度による変化を抑制することができた。
(実施例2〜12)
表1に示した組成で、実施例1と同様の方法によりコーティング発射薬12を各々製造し、各々の特性を実施例1と同じ方法で評価した。それらの結果を表1にまとめて示した。
Figure 0005556119
表1に示す試験結果により次のようなことがわかった。
実施例1〜12に示したコーティング発射薬12は、圧縮強度が12.3〜12.9MPa及び圧縮率が9.7〜10.4%の性能を有しており、機械的特性に優れていることを確認することができた。さらに、ビバシチーの最大値と最小値との差は0.01〜0.07(1/MPa・s)であり、燃焼特性の温度による変化の抑制を確認することができた。
(比較例1〜3)
表2に示した組成で、実施例1と同様の方法によりコーティング発射薬12を各々製造し、各々の特性を実施例1と同じ方法で評価した。それらの結果を表2に示した。
(比較例4)
30℃に調温した回転ドラムに製造例1で得られた発射薬10を100質量部、無機固形物質14としてタルク0.15質量部(平均粒子径:19μm、95%粒子径:58μm)及びグラファイト0.15質量部(平均粒子径:33μm、95%粒子径:85μm)を仕込んだ後、回転ドラムの蓋をして10分間回転させた。その後、蓋を開け、70%エタノール溶液1.2質量部に溶解させたポリエチレングリコール0.14質量部(融点:62℃)を、ドラムを回転させながら発射薬に噴霧した。次いで、蓋をした状態で60分間回転させ、蓋を開けてエタノールを揮散させながら30分間回転させた後ドラムより取り出した。そして、60℃の雰囲気中で3日間乾燥させてコーティング発射薬12の成形体12aを得た。
(比較例5)
30℃に調温した回転ドラムに製造例1で得られた発射薬10を100質量部、無機固形物質14としてタルク0.15質量部(平均粒子径:125μm、95%粒子径:250μm)及びグラファイト0.15質量部(平均粒子径:133μm、95%粒子径:285μm)を仕込んだ後、回転ドラムの蓋をして10分間回転させた。その後、蓋を開け、70%エタノール溶液1.2質量部に溶解させたポリテトラメチレンエーテルグリコール0.14質量部(融点:18℃)を、ドラムを回転させながら発射薬10に噴霧した。次いで、蓋をした状態で60分間回転させ、蓋を開けてエタノールを揮散させながら30分間回転させた後ドラムより取り出した。そして、60℃の雰囲気中で3日間乾燥させてコーティング発射薬12の成形体12aを得た。
(比較例6)
30℃に調温した回転ドラムに製造例1で得られた発射薬10の100質量部を仕込んだ後、回転ドラムの蓋をして10分間回転させた。その後、蓋を開け、70%エタノール溶液1.2質量部に溶解させたポリテトラメチレンエーテルグリコール0.35質量部(融点:18℃)を、ドラムを回転させながら発射薬10に噴霧した。次いで、蓋をした状態で60分間回転させ、蓋を開けてエタノールを揮散させながら30分間回転させた後ドラムより取り出した。そして、60℃の雰囲気中で3日間乾燥させてコーティング発射薬12の成形体12aを得た。
(比較例7)
30℃に調温した回転ドラムに製造例1で得られた発射薬10を100質量部、無機固形物質14としてタルク0.22質量部(平均粒子径:19μm、95%粒子径:58μm)及びグラファイト0.22質量部(平均粒子径:33μm、95%粒子径:85μm)を仕込んだ後、回転ドラムの蓋をして10分間回転させた。その後、蓋を開け、70%エタノール溶液1.2質量部を、ドラムを回転させながら発射薬10に噴霧した。次いで、蓋をした状態で60分間回転させ、蓋を開けてエタノールを揮散させながら30分間回転させた後ドラムより取り出した。そして、60℃の雰囲気中で3日間乾燥させてコーティング発射薬12の成形体12aを得た。
(比較例8〜9)
表2に示した組成で、実施例1と同様の方法によりコーティング発射薬12を各々製造し、各々の特性を実施例1と同じ方法で評価した。それらの結果を表2に示した。
(比較例10〜12)
コーティングを行わない発射薬10の特性を実施例1と同じ方法で評価した。それらの結果を表2に示した。また、比較例10の燃焼割合とビバシチーとの関係を示すグラフを図4に示した。この図4に示したように、比較例10のコーティングを施さなかった発射薬10では、−40℃、21℃及び63℃におけるビバシチーの最大値の差が大きく、燃焼特性の温度による変化を抑えることができなかった。
Figure 0005556119
表2に示したように、ポリマー15及び無機固形物質14の含有量を過少量にした比較例1では、機械的特性については問題ないものの、燃焼特性の温度による変化の抑制に問題が生じる結果となった。すなわち、低温で射撃した際の弾丸の速度と高温で射撃した際の弾丸の速度が大きく異なるため、時限空中起爆した際に起爆位置が大幅にばらつくことが明らかとなった。また、ポリマー15及び無機固形物質14の含有量を過剰量にした比較例2では、成形体12aの付着性が激しく、成形体12a同士が固着してしまい、評価をすることが不可能であった。
無溶剤圧伸式製造法で製造した発射薬10を用いた比較例3では、燃焼特性の温度による変化の抑制については問題ないものの機械的特性に問題が生じた。無溶剤圧伸式製造法と溶剤圧伸式製造法で製造した発射薬10では燃焼特性等に大きな違いがないため、どちらの製造法でも同等の性能を有する発射薬10になると思われたが、今回の試験結果から製造法の相違により機械的特性に大きな差が見られ、特に圧縮率に関しては2倍程度の違いを生じるという驚くべき結果となることを確認できた。これは、混餅薬を高温ローラーにて練成させて1〜2mm程度の薄い薬板を押出成形装置で押出成形する無溶剤圧伸式製造法により得られる成形体12aは、有機溶剤を用いて製造する溶剤圧伸式製造法に比べて混練の効率が悪いため、圧縮強度は強いものの圧縮率が低く、硬くて脆い発射薬10になるものと考えられる。
融点が62℃であるポリエチレングリコールをポリマー15として用いた比較例4では、機械的特性については問題がないものの、燃焼特性の温度による変化の抑制に問題が生じる結果を招いた。これは、高温での試験時においてポリマー15が十分に粘着性を有する性状とならなかったため、発射薬10の燃焼ガスにより一部が取り除かれてしまったことが原因であると考えられる。
平均粒子径が100μm以上のタルク及びグラファイトを用いた比較例5では、機械的特性については問題がないものの、燃焼特性の温度による変化の抑制に問題が生じる結果となった。これは、使用したタルク及びグラファイトの平均粒子径が大きいため、発射薬10の内孔11へ入り込むことができず、また内孔11の開口部13への付着が不十分であったことが原因であると考えられる。
コーティング剤としてポリマー15のみとした比較例6及びコーティング剤として無機固形物質14のみとした比較例7では、機械的特性については問題ないものの、燃焼特性の温度による変化の抑制に問題が生じる結果となった。この結果より、コーティング剤としてはポリマー15及び無機固形物質14を併用しなければならないことが確認できた。
加えて、前記特許文献1に記載のコーティング発射薬(特許文献1に記載の実施例1)の組成に準じて製造した比較例8のコーティング発射薬12では、無溶剤圧伸式製造法による発射薬10を用いているため機械的特性に問題が生じた。但し、無機固形物質14であるグラファイトの含有量が0.20質量%であるにもかかわらず、燃焼特性の温度による変化の抑制を十分に満足することがわかった。それに対し、溶剤圧伸式製造法による発射薬10を用いた以外は、全て比較例8と同じ方法で作製した比較例9では、機械的特性には問題ないものの、燃焼特性の温度による変化の抑制に問題が生じることがわかった。すなわち、無溶剤圧伸式製造法で製造した発射薬10と溶剤圧伸式製造法で製造した発射薬10は、同じ原料を使用して製造しているものであるため、発射薬10表面にコーティングを施すための無機固形物質14は同じ配合量でよいと考えられる。しかしながら、溶剤圧伸式製造法で製造した発射薬10に関しては、特許文献1の実施例に開示されている無機固形物質14の最大配合量である0.20質量%を配合しても燃焼特性の温度による変化を抑えることが不可能であった。そのような結果に基づいて鋭意研究を重ねたところ、無溶剤圧伸式製造法で製造した発射薬10には無機固形物質14を0.20質量%配合すればよいものの、溶剤圧伸式製造法により製造した発射薬10には最低でも0.25質量%の配合、好ましくは0.30質量%の配合が必要であるという驚くべき知見を得た。
この理由は、ベースとなる発射薬10の表面積の違いであると考えられる。溶剤を使用しない無溶剤圧伸式製造法より得られる成形体12aは、有機溶剤の揮散がないため、裁断時の形状がそのまま保持される。さらに、有機溶剤の揮散がないため、成形体12aの表面は平滑性のある状態となる。それに対し、裁断後に発射薬原料中に含まれる有機溶剤を揮散させる溶剤圧伸式製造法により得られる成形体12aは、有機溶剤の揮散に伴って収縮し、また成形体12a表面が凹凸のあるざらついた状態となる。このことより、無溶剤圧伸式製造法により得られる成形体12aと溶剤圧伸式製造法より得られる成形体12aとでは、発射薬10表面の表面積が大きく異なる。
無溶剤圧伸式製造法で製造した発射薬(比較例8)10の表面には凹凸がなく、平滑性が高いため少量のポリマー15及び無機固形物質14で確実にコーティングすることができた。それに対し、溶剤圧伸式製造法で製造した発射薬(比較例9)10の表面には凹凸があり、表面積が大きいため、比較例8と同じ含有量では十分なコーティングができなかったものと推測できる。
コーティングを行わない発射薬(比較例10〜12)10においては、全て燃焼特性の温度による変化の抑制に問題が生じる結果となった。また、無溶剤圧伸式製造法で製造した発射薬10では(比較例11)、さらに機械的特性にも問題が生じることがわかった。
(実施例13〜15)
表3に示した組成で、実施例1と同様の方法によりコーティング発射薬12を各々製造し、各々の特性を実施例1と同じ方法で評価した。それらの結果を表3にまとめて示した。
また、参考として実施例13の燃焼割合とビバシチーとの関係を示すグラフを図5に示した。この図5に示したように、実施例13のコーティング発射薬12では、−40℃、21℃及び63℃におけるビバシチーの最大値の差が小さく、燃焼特性の温度による変化を抑制することができた。
Figure 0005556119
表3の結果より、実施例13〜15に示したコーティング発射薬12は、圧縮強度が39.2〜39.5MPa及び圧縮率が9.2〜9.5%の性能を有しており、機械的特性に優れていることを確認することができた。さらに、ビバシチーの最大値と最小値との差は0.02(1/MPa・s)であり、燃焼特性の温度による変化の抑制を確認することができた。
(比較例13〜15)
表4に示した組成で、実施例1と同様の方法によりコーティング発射薬12を各々製造し、各々の特性を実施例1と同じ方法で評価した。それらの結果を表4に示した。
(比較例16)
コーティングを行わない発射薬10の特性を実施例1と同じ方法で評価した。それらの結果を表4に示した。また、比較例16の燃焼割合とビバシチーとの関係を示すグラフを図6に示した。図6に示したように、比較例16のコーティングを施さなかった発射薬10では、−40℃、21℃及び63℃におけるビバシチーの最大値の差が大きく、燃焼特性の温度による変化を抑えることができなかった。
Figure 0005556119
表4に示したように、無機固形物質14の含有量を過剰量にした比較例13では、機械的特性については問題がないものの、燃焼特性の温度による変化に問題が生じる結果となった。難燃性物質の無機固形物質が過剰であるため発射薬に燃焼不良が生じたと考えられる。
無機固形物質14の含有量を過少量にした比較例14では、機械的特性については問題がないものの、燃焼特性の温度による変化に問題が生じる結果となった。これは、無機固形物質が発射薬10の内孔を塞ぐものの、その深さ、塞いだ内孔の数が少なく、十分なコーティングができなかったものと推測できる。
ポリマー15の含有量を過剰量にした比較例15では、機械的特性については問題がないものの、燃焼特性の温度による変化に問題が生じる結果となった。これは、過剰量のポリマーの影響により噴霧した液体の粘度が高くなり、無機固形物質が発射薬10の内孔を塞ぐことを妨げたものと推測できる。
比較例16のコーティングを行わない発射薬10においては、燃焼特性の温度による変化の抑制に問題が生じる結果となった。
なお、前記実施形態を次のように変更して実施することも可能である。
・ 前記発射薬10の内孔11は、貫通孔ではなく、一端が塞がれている孔でもよく、またその深さについても異なる深さの孔の集合体であってもよい。さらに、内孔11の断面形状も円形のほか、楕円形、多角形等であってもよい。
・ 前記発射薬10の内孔11は、その全体が成分(a)及び成分(b)で塞がれていてもよく、その開口部13近傍のみが成分(a)及び成分(b)で塞がれていてもよく、さらにはそれらが混在していてもよい。
・ 前記成分(a)のポリマー15として、融点や分子量の異なる複数種類のポリマー15を適宜組合せて使用することもできる。
・ 前記成分(b)の無機固形物質14として、滑性を有し、かつ高融点の物質を1種類で構成したり、物性の異なる3種類以上の物質で構成したりすることもできる。
・ 前記発射薬10は、その内孔11の開口部13が成分(a)にて塞がれ、該成分(a)上に成分(b)が被覆されるように構成することも可能である。
さらに、前記実施形態より把握される技術的思想について以下に記載する。
(イ) 前記溶剤圧伸式製造法は、発射薬の原料に有機溶剤を添加混合し、押出成形装置で押出成形して内孔を有する柱状に形成した後、裁断機で裁断し、次いで乾燥し有機溶剤を揮散させて製造する方法であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のコーティング発射薬。このように構成した場合、請求項1から請求項6のいずれかに係る発明の効果に加えて、発射薬の圧縮率等の機械的特性を向上させることができる。
(ロ) 前記内孔の開口部及び内孔の開口部近傍が成分(a)及び成分(b)にて塞がれていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のコーティング発射薬。このように構成した場合、内孔の開口部が十分に塞がれ、請求項1から請求項6のいずれかに係る発明の効果を有効に発揮させることができる。
(ハ) 前記成分(b)により内孔の開口部が塞がれていると共に有孔状発射薬の外周面が被覆され、さらに有孔状発射薬の外周面に被覆されている成分(b)上に成分(a)が被覆されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のコーティング発射薬。このように構成した場合、内孔の開口部を成分(a)及び成分(b)により容易に塞ぐことができ、請求項1から請求項6のいずれかに係る発明の効果を有効に発揮させることができる。
10…有孔状発射薬、11…内孔、12…コーティング発射薬、13…開口部、14…無機固形物質、15…ポリマー。

Claims (6)

  1. 溶剤圧伸式製造法にて製造され内孔を有する有孔状発射薬であって、前記内孔の少なくとも開口部が成分(a)融点−10〜50℃のポリマー及び成分(b)平均粒子径が1〜100μmの無機固形物質にて塞がれており、成分(a)の含有量が有孔状発射薬100質量部に対して0.10〜0.40質量部であり、かつ成分(b)の含有量が有孔状発射薬100質量部に対して0.25〜0.50質量部であることを特徴とするコーティング発射薬。
  2. 前記成分(b)の無機固形物質は、95%粒子径が20〜200μmであることを特徴とする請求項1に記載のコーティング発射薬。
  3. 前記成分(a)のポリマーは、ポリエーテルポリオール類であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコーティング発射薬。
  4. 前記有孔状発射薬の原料であるニトロセルロースが綿花を起源とするリンター繊維より製造されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコーティング発射薬。
  5. 前記有孔状発射薬の内孔は、直径が0.14〜0.24mmの貫通孔であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のコーティング発射薬。
  6. 前記有孔状発射薬は、ダブルベース発射薬又はトリプルベース発射薬であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のコーティング発射薬。
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