JP6429948B2 - 発射薬を製造するための固形物質の使用 - Google Patents

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Description

本発明は、殊に中口径及び大口径用の発射薬(Treibladungspulver)を製造するための固形物質を、混合及び乾燥法において当該固形物質を液体と一緒に未加工の粒状体(Gruenkorn)のチャネル内に組み込んで、そこで固化して栓状物(Zapfen)を形成する方法において使用することに関し、ここで、固形物質は、融点が発射薬の最大使用温度を少なくとも10℃、殊に20℃上回り、かつ未加工の粒状体に対して不活性な物質である。さらに、本発明は、発射薬の製造法及びこの方法に従って得られる発射薬に関する。
発射薬が適用温度に応じて異なる燃焼挙動を示すことは公知の問題である。温度依存性が顕著なことから、現行のウェポンシステムでは性能を最適には活かし切ることができていない。それゆえ、既存のウェポンシステムを用いて、より良好な性能を得るために、発射薬の温度依存性を目的に合わせて減少させる需要が存在している(砲内弾動性能の増大)。
特許文献1(Rheinmetall)には、未加工の粒状体のグラファイト化に際して、熱挙動(Temperaturverhalten)において説明がつかない、かつ再現可能ではない変化若しくは改善が起こり得ることが言及されている。このことは、多孔粉末の孔内へのグラファイトの浸入及び閉塞の形成が原因とされていた。ところが、偶然に生じる改善は、実際には有効ではないため、特許文献1には、グラファイトが浸入しないように、チャネルの開口部の断面を圧搾することによって閉塞させることが提案されていた。
粒状体の形状の選択によって熱挙動を制御する1つの手段が、特許文献2(Dynamit Nobel)から公知である。提案されるのは、3.5mmの外径を有する19×0.13mmの多孔粉末において、大きさの異なる孔を形成することであり、その際、孔の一部は、火炎拡大の臨界値を下回っている。この未加工の粒状体は、次いで表面処理にかけられ、ドラム中で、まず1質量%のアルコールがそれに噴霧され、それから10%のアルコール溶液に溶かした1%のフタレートで処理される。最後に0.1質量%のグラファイトが研磨のために加えられる。別の実施形態においては、押出された未加工の粒状体が0.03質量%のグラファイトで処理され、その結果、新たに押出された未加工の粒状体の伝導性が高められ、かつ乾燥中に個々の粒状体が癒着することが回避される。
特許文献2においては、熱挙動を制御するための更に別のコンセプト、すなわち、鈍感剤による粉末粒状体の表面のカプセル化が指摘される。特許文献3(Etat Francais)からは、例えば、チャネルの内径、処理中の温度及び使用される物質の粘度の適した選択によって、表面を鈍感剤(セントラリット(Centralit) I)でコーティングし、かつ同時にチャネルを空けておくことが公知である。この試みは、鈍性化する多量の処理剤(2〜5%)及び着火遅れにより好ましくなく、かつ不十分な信頼性及び再現性を有する。
特許文献4(Dynamit Nobel)に記載の方法は、粉末を安定化するためにと、進行する燃焼に影響を及ぼすために、可塑剤(セントラリット I)による表面コーティングから出発する。ニトロセルロース系の発射薬の着火感度をより良好に制御できるようにし、かつグラファイトの凝固を防止するために、特別な金属酸化物及び金属硫化物が添加剤として用いられる。有利な実施例によれば、多孔粉末の表面処理において4%の樟脳、0.1%のグラファイト及び1.0%のチタン白が、着火遅れを約30%減少させるために用いられる。使用される固形物質は熱挙動に影響を及ぼしていなかった。
温度依存性を減少させる更に別の例が、特許文献5(Recherche Chimiques)から読み取られる。ニトロセルロースを基礎とする押出された多孔粉末が、溶液に溶かした調節剤及び硝酸エステルで表面処理にかけられる。調節剤として、例えば2質量%のセントラリット I又は3質量%の樟脳が使用される。2つの実施例には、セントラリット I若しくは樟脳がアルコールに溶解され、そしてグラフファイトが加えられて施与される。その後、処理された粉末は、公知の方法で溶媒を除去するために洗浄及び乾燥される。それにより、より低い温度係数が達成される。つまり、温度特性は、特定の量の調節剤で調整される。
適した調節剤若しくは鈍感剤の使用によって温度依存性を減少させる更に別の例が、特許文献6(Nitrochemie Aschau)に記載されている。本質的にマイグレーションを示さない鈍感剤が使用される。表面処理は、鈍感剤の溶液又はエマルジョンの吹き付けによって行われる。例えば非エネルギーポリエステル、高エネルギーポリマー、アルキルニトラトエチルニトラミン、ジニトロジアザアルカン、硝酸エステル等のような物質が用いられることになる。例3によれば、エネルギー担体としてNC及び安定剤としてセントラリット Iを有するシングルベースの7個の孔を有する(7-Loch)発射薬が、水に溶かしたニトログリセリンのエマルジョン中で、回転ドラムにおいて30℃でインキュベートされる。顕微鏡試験は、内側の孔も鈍感剤によって部分的又は完全に充填されていることを示していた。この処理は、120mm及び35mmの弾薬について試験されていた。つまり、燃焼挙動は調節剤によって制御される。
特許文献7(Nitrochemie Wimmis,Nitrochemie Aschau)からは、多孔発射薬(略して発射薬)が公知であり、これは、温度依存性の移動度を有する栓状物に基づき温度依存性の燃焼挙動を有する。栓状物は、(まだ処理されていない未加工の粒状体を基準として0.085〜0.4質量%の量における)固形物質及び0.05〜0.5質量%の量における調節剤を用いた表面処理によって製造されている。発射薬は、中口径及び大口径用に定められており、かつ少なくとも3mmの直径及び0.02〜0.5mmの内径を有する連続チャネル若しくは孔を有する粒状体から成る。
この種類の発射薬は、実際には多岐にわたる利点を有する。しかしながら、製造法は比較的煩雑であり、かつ発射薬の温度特性の最適化はいくらか困難を伴う。
欧州特許出願公開第0290718号明細書 独国特許発明第2520882号明細書 仏国特許出願公開第1300941号明細書 米国特許第3,506,505号明細書 仏国特許出願公開第1205433号明細書 欧州特許出願公開第1031548号明細書 米国特許第7,051,658号明細書
本発明の課題は、冒頭に挙げた技術分野に属し、温度特性のより簡単な調整を可能にする方法を生み出すことである。
課題の解決手段は、請求項1及び2の特徴によって定義されている。
発射薬の温度依存性は、添加される固形物質量の選択により調整することができる。使用される固形物質は、融点が発射薬の最大使用温度を少なくとも10℃、殊に20℃上回り、かつ未加工の粒状体に対して不活性な物質である。調節剤を使う公知の方法とは対照的に、固形物質の量を介した発射薬の本発明による調整により、これまで実際に可能ではなかったような長期安定性及び効果の再現性を達成することができる。このことは、なかでも、固形物質が不活性であり、すなわち、それが変化せず、かつ移動しないことに起因しており、なぜなら、当該固形物質は、発射薬のマトリックス中には拡散し得ず、かつマトリックスの物質とほとんど反応しないからである。
固形物質は、混合法に従って、液体と一緒に未加工の粒状体のチャネル内に組み込まれ、そこで栓状物へと固化される。未加工の粒状体の粉粒体は、典型的にはペースト状の材料の押出によって作り出される。押出に際しては、当該粉粒体に1つ以上のチャネルが備え付けられる。粒径は、典型的には3〜15mm(中口径及び大口径の弾薬)の範囲にある。或いは、例えば20mmまでのより大きい粉粒体を製造することもできる。非円形の断面形状(例えば矩形の形状)の場合、最小断面寸法が直径の代わりに用いられる。
固形物質は、それ以外は同様の方法条件下で>0〜0.5質量%の調整範囲に調整され、その際、より大きい固形物質量は、適用温度範囲の上方の温度範囲における最大圧力をより低下させるために、かつ適用温度範囲の下方の温度範囲における最大圧力をより増大させるために用いられる。">0質量"とは、原則的に、任意の測定可能な量を意味する。実際には、下限値は、少なくとも0.01質量である。
ここで、本発明の詳細な説明において、百分率における質量の値(質量%)は、他に特に明示されていなければ、又は関係が別様にはっきりと読み取れなければ、未加工の粒状体の量に常に関するものであることを指摘しておく。
本発明は、なかでも、未加工の粒状体の調節において固形物質の臨界的な量範囲が存在しているという認識に基づいている。固形物質量がこの臨界的範囲内(本発明の意味によれば"調整範囲"と呼ばれる)で変化すれば、これは使用において温度勾配を大いに変化させることになる。この調整範囲外だと、使用される固形物質量と温度勾配との間に実質的な依存性はなくなる。
主として、調整範囲は、発射薬のチャネルの数に依存している。19個の孔を有する形状の粉末の場合、調整範囲は、7個の孔を有する形状の粉末の場合より広くなる。なぜなら、全てのチャネル孔が充填されるまでに多くの固形物質が必要とされるからである。
調整範囲は、ある一定の範囲において、発射薬の比表面積に依存する。19個の孔を有する形状(粒径3.5〜7mm、比表面積500mm2/gから)による中口径の場合、調整範囲は0.25〜0.5質量%の範囲の幅を有している。19個の孔を有する形状(粒径7mmから、比表面積500mm2/gまで)による大口径の場合、調整範囲の上限値は最大で0.25質量%である。
高い比表面積を有する発射薬の場合、調整範囲は、当該発射薬の表面が含浸された状態とはっきり区別することはできない。表面はまだ含浸されていないが、すでに固形物質がチャネル中に浸入している幅広い遷移範囲が生じる。
調整範囲は、具体的な方法において使用される固形物質量と同じに見なされない。本発明による栓状物作製が、従来の表面グラファイト化と組み合わせて行われる場合、必要なグラファイト量は、絶対値として見ると調整範囲を"上回る"。栓状物作製が、従来の表面処理と切り離された方法(若しくは工程段階)において実施される場合、表面は、例えば早くも固形物質で含浸され、また、栓状物作製そのものに必要とされる固形物質分だけを用意しなければならない。この場合、別個の栓状物形成法において使用される量は、本発明による調整範囲内にある。なぜなら、通常の表面コーティングのための固形物質の"基本量"を準備する必要がないからである。
したがって、本発明の1つの側面は、殊に中口径及び大口径用の発射薬を製造するための固形物質を、混合及び乾燥法において当該固形物質を液体と一緒に未加工の粒状体のチャネル内に組み込んで、そこで固化して栓状物を形成する方法において新規に使用することに関する。固形物質は、融点が発射薬の最大使用温度若しくは適用温度を少なくとも10℃、殊に20℃上回り、かつ未加工の粒状体に対して不活性な物質である。固形物質は、他の同じ方法条件下で、未加工の粒状体の質量を基準として>0〜0.5質量%の調整範囲内で調整される。本発明による使用の意味に従った調整は、適用温度の上方温度範囲における最大圧力をより強く低下させるために、かつ適用温度の下方温度範囲における最大圧力をより強く増大させるために、より多量の固形物質を用いることによって行われる。換言すると:上方の温度範囲(例えば21℃から最大適用温度の範囲)における最大圧力を下げるために、本発明による栓状物若しくはチャネル孔閉塞物の製造法において多くの固形物質が加えられる。下方温度範囲における最大圧力を目指すためにも、多くの固形物質が加えられる。
本発明によれば、所定の適用温度範囲内での温度依存性を減少させて発射薬を製造するための方法は、以下の工程段階a)〜f)を有する:
a)最大0.3mmの特徴的な横断寸法を有し、かつ未加工の粒状体の外面に通じる少なくとも1つの連続チャネルを備えた所定の幾何学的寸法を有する膨潤可能な未加工の粒状体を準備する工程;
この未加工の粒状体は、例えばニトロセルロース(NC)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、ポリグリシジル酸ジオール(GAP)又は他のゲル形成ポリマー又はこの種の物質の組合せ物から成る。ごく一般的に、シングルベース、ダブルベース及びトリプルベースの未加工の粒状体が可能であり、その際、本発明によれば高エネルギーベース物質の数は、決定的に重要なものではない。大切なことは、固形物質によって閉じることが可能な開口部若しくはオリフィスを有するチャネルが存在していることである。チャネルの数は未加工の粒状体の燃焼の制御に影響を及ぼし、そして一般に少なくとも2個、好ましくは少なくとも7個であることが望ましい。未加工の粒状体の形状寸法が小さければ小さいほど、それだけ一層、実際にはチャネルの数は少なくなり、逆になる。チャネルの数が少なすぎると、形状関数に殆ど影響を及ぼすことができず、すなわち、燃焼に僅かにしか影響を及ぼすことはできない。未加工の粒状体は、典型的には、成形可能な混練材料の押出によって製造され、その際、孔(及びその数)は、押出機ダイの形態によって作り出され、かつ定義される。チャネルは大きくなりすぎてはならない。さもなければ、それらは本発明による処理によって塞ぐことができなくなる。試験では、チャネル径が丸い断面形状の場合、0.3mmを上回るべきでないことが示された。なぜなら、それを上回ると塞ぐというプロセスをもはや確実に行うことができなくなるからである。丸い断面ではなく、長方形又は楕円形の断面の場合は、小さい直径軸が重要である。同様に、スロット形状のチャネルの場合には、短軸が重要であり、長軸は重要ではない。したがって、各々の断面形状に特徴的な横断面寸法が特定されている。
b)適用温度範囲において安定しており、かつ該未加工の粒状体に対して不活性であり、該連続チャネル内に挿入可能な粒径を有し、そして混合及び乾燥法の範囲内で圧縮され得る固形物質を準備する工程;
本発明によれば、任意の粒状の物質を、固形物質として、それらが時間の経過とともに未加工の粒状体によって特定される粒体マトリックス中に拡散又はそれと反応しない限りにおいて使用することができる。換言すれば:固形物質は、未加工の粒状体の配合物に対して不活性でなければならない。適用温度範囲は、発射薬の適用によって規定される範囲である。この範囲は、典型的には−40℃〜80℃に及ぶ。当然の事ながら、本発明は、この温度範囲に制限されていない。今日でも、90℃までの適用温度範囲を予定する米国国防軍用規格(MIL−Standard)が既に存在している。個々の事例において、適用温度範囲は、低くてもよい(例えば70℃又は60℃までにのみ及ぶか、若しくは−40℃を上回って初めて開始する)。有利には、融点が最大使用温度を少なくとも10℃、殊に20℃上回る物質が選択される。
固形物質の粒径は、チャネルの特徴的な横断面寸法より小さいことから、当該固形物質は本発明による処理に過程でチャネル内に入り込むことが可能である。固形物質から栓状物をチャネルオリフィスに形成することができるように、粉状の固形物質は圧縮されなければならない。これは、特定の圧力下で緩い材料を所望の形状にもたらすことができ、かつ外部圧力をなくしてもこの形状を維持することである。"特定の圧力"とは、本発明による処理の間に混合装置中で発生する圧力を意味する。これは、混合装置中の材料によって定義される。大きい材料若しくは多い量が使用されると、(例えば混合材料のいちばん下で)発生する圧力、若しくは量の低下によって生まれる圧力は、小さい材料の場合より高い。必要な場合、簡単なプレス試験で、不活性の粉状固形物質を成形体にするためにどの圧力が必要であるか、ひいては試験された固形物質が適しているか否かを突き止めることができる。
使用される固形物質は昇華せず、その機能に関して調節剤と混同されない(調節剤と一緒に栓状物が形成されえた場合であっても)。
c)未加工の粒状体を膨潤させることができ、そして該発射薬の製造の最後に完全に除去することができるか又は発射薬に均一に分布して含まれる液体を準備する工程;
当該液体により、十分に粒が細かい固形物質(これはbに記載している)が本発明による処理によりチャネル中に輸送され、そこで適用圧力下で粉末材料が固化され得る。処理の間、固形物質が液体によって湿らされると、固形物質の局所的な接着がチャネル中で促される。液体は溶媒(若しくは複数の溶媒の混合物)か、或いは調節剤と溶媒の混合物であってもよい。溶媒は、本発明による混合処理(又は混合処理の最後、工程段階dも参照されたい)に従って完全に除去(蒸発及び/又は乾燥)されることができる。液体の一部が処理の最後に(意図的に)除去されない(又はその特性に基づき除去されることができない)場合、残留する液体は、(典型的には数年間の)発射薬の貯蔵中に(不所望な拡散プロセスが原因で)特性が変わり得ることがないように、少なくともほぼ均一に未加工の粒状体(若しくは発射薬のマトリックス)に分散しているべきである。
調節剤は、液体の、又はそれが低粘性の液体に溶解する場合は、固体の、低分子量物質であってよい。
未加工の粒状体の処理中の膨潤及び引き続き行われる液体の除去若しくは安定化により、固形物質はチャネル中で、定義されたかつ(統計学的に)予測可能な温度挙動を有する栓状物を形成することになる。膨潤した未加工の粒状体においては、膨潤作用が再び終わると、チャネルは断面について僅かに処理後より大きくなる。"完全に除去された"とは、本発明によれば、数年間の求められる寿命にわたって、処理により調整された発射薬の温度特性を維持するのに十分な程度を意味する。
溶媒として良く適しているのは、高い極性又は低い極性を有する低粘性の液体である。液体の沸点は、表面処理温度より高くなければならない。それにも関わらず、液体は、処理温度での蒸発が短時間で起こり得る(5〜60分間)のに十分な揮発性を有していることが望ましい。液体は、圧力低下によってか又は温かいガス流を用いて除去することもできる。表面処理のために、0.1%〜5%の量の液体(未加工の粒状体の量を基準として)が使用される。有利には、0.5〜2%の液体が用いられる。液体が調節剤を含有する場合、当該調節剤は、溶媒(これは液体の他の一部分を成す)に溶けているか又は微細に乳化しているべきである。液体の量は、ふつう可能な限り低いことが望ましく、すなわち、未加工の粒状体は液体中で浮遊すべきではない。
使用される溶媒は、未加工の粒状体中に良好に拡散し得るように、当該未加工の粒状体の配合物に合わせられる。未加工の粒状体は、しかしゲル化すべきではない。
d)液体は、調節剤として機能するオリゴマー又はポリマーの物質を(未加工の粒状体の質量を基準として)0.5質量%を上回って含有しない。当該液体のそれ以外の部分は、実質的に低粘性溶媒である;
調節剤は、処理中に固形物質の固化及び接着を助ける。それは混合装置中での処理間に固形物質と一緒に未加工の粒状体のチャネルに組み込まれ、最終的に当該未加工の粒状体のマトリックス中に拡散する。調節剤の最も大きな部分は、乾燥後には、もはやチャネル中の固形物質栓状物にはなく、多かれ少なかれ均一に未加工の粒状体のマトリックス中に分散している。燃焼特性において、調節剤は重要な役目を担わない。なぜなら、それは僅かな量でしか存在していないからである。従来技術の場合とは異なり、調節剤は、処理及び乾燥後に表面に近い層又は表面上に直接蓄積しない。表面上での蓄積及びそれにより遅延される燃焼は、少量の調節剤及び長い乾燥時間によって防がれる。そのうえ、調節剤は、それがあまり多すぎると本発明によればエネルギー密度の悪化につながるゆえ欠点であることから、0.5質量%の上限値が選択される。
調節剤の使用を省くこともできる。その場合、液体は、低粘性の溶媒によってのみ形成される。
e)未加工の粒状体を、液体及び固形物質で、混合装置中で所定の時間にわたって処理する工程;
混合装置中では、加工材料の撹拌若しくは転動が行われる。そのつど上から残りの材料に落ちる部分的な材料は、下に位置する材料中の粉末材料の圧力を生み、そうして固形物質−液体混合物が未加工の粒状体のチャネル中に浸入すること、並びに当該チャネル中に存在する固形物質の圧縮及び固化をもたらす。処理時間は、個々の事例において、未加工の粒状体の形状及び固形物質−液体混合物の粘稠性に依存する。しかし、それは温度依存性の制御が確実にかつ予測可能に働くようにするために予め定められるか若しくは規定されているべきである。混合装置は、例えば、混合プロセスを支持するために適した内部構造物(バッフル)を備えた回転式の処理ドラムであってよい。
f)処理した未加工の粒状体を乾燥する工程;
乾燥工程の目的は、液体を、それが揮発性である場合に除去し、かつチャネル中の固形物質を固体様の栓状物へと固化することである。乾燥は、典型的には、制御した乾燥条件下(例えば高められた温度)での比較的長い(例えば少なくとも3日間の)貯蔵を含む。
g)発射薬の温度依存性の調整のために、固形物質の量を、栓状物を形成するため>0〜0.5質量%の調整範囲内で、その他の点では該方法の同じ量で、適用温度範囲の上方温度範囲においては最大圧力をより強く下げるために、かつ適用温度範囲の下方温度範囲においては最大圧力をより強く上げるために、より多量の固形物質量を用いることによって調整する工程;
使用した固形物質量によって最大圧力の温度依存性を調整することができる微妙な範囲が存在することを見出した。調整範囲において、混合及び乾燥法において製造された圧縮栓状物の移動度を、適用温度に依存して調整することができる。この微妙な範囲を、本発明に従って調整範囲と呼ぶ。
グラファイト化は、この場合、グラファイトによる表面の含浸を意味する。原則的に、表面は他の固形物質で含浸されてもよい。しかしながら、グラファイトは、粒体の静電帯電を防止することから有利である。グラファイト化は、実際に、未加工の粒状体の表面を平滑にし、かつ電気伝導性にするために必要なプロセスである。グラファイトの量は、未加工の粒状体の比表面積に依存する。比表面積は、個々の粒体の数(例えば100)の全体の表面(チャネルを含む)と、これらの粒体を合わせた質量との比である。未加工の粒状体の形状寸法が小さければ小さいほど、それだけ一層、比表面積は大きい。チャネルの数が多ければ多いほど(その他の点では粒体の外部寸法は同じである)、それだけ一層、比表面積は大きい。
本発明による調整範囲は、慣例のグラファイト化のために知られている量範囲と混同されてはならない。グラファイト化そのものは、栓状物形成につながらない表面処理プロセスである。組合せ処理(栓状物形成+グラファイト化)の場合、本発明によれば、グラファイト化量(例えば最大0.05質量%)と栓状物形成量(例えば0.01〜0.5質量%)とから生じる量範囲で処理される。本発明による方法は、既にグラファイト化されている未加工の粒状体に適用されることができる。この場合、調整範囲は、本発明による処理に従って用いられる固形物質の量を規定する。しかし、グラファイト化は、本発明による方法と同時に(組み合わせて)行ってもよい。その場合、固形物質の量は、グラファイト化に必要とされる固形物質の量と、温度依存性を制御するために所望される固形物質の量との合計より出され、ここで、所望の量は、>0〜0.5質量%の調整範囲内になければならない。組合せ処理の場合、使用される固形物質は必ずしもグラファイトから成っている必要がないことが確認される。使用される固形物質(これは絶対にグラファイトでなければならないという訳ではない)によって表面伝導性を高めることができれば十分である。表面伝導性を高めるために、組合せ処理においてグラファイトも使用される場合、グラファイトのこの量は、過去に慣例のグラファイト化に際して使用されていた量に必ずしも相当している必要はない:それは、より低い量であってもよく、かつ他の固形物質の量で補ってよい。固形物質は、本発明によれば様々な物質の混合物(例えばグラファイトとタルクから成る)であってもよい。
本発明による方法は、発射薬の温度勾配を簡単かつ確実に調整できるという主要な利点を有する。たしかに、温度勾配に影響を及ぼし得る多くのパラメータが存在している。しかし、固形物質の量を変えるように簡単かつ確実に取り扱えるものは存在していない。固形物質は未加工の粒状体中に拡散し得ず、殆ど化学的に反応しないので、固形物質の量を変えることによって、発射薬の化学システムは変化させられず、栓状物の移動度のみが変えられる。
温度依存性の栓状物移動度とは、以下の意味を有する:発射薬の点火プロセスに際して、当該栓状物は、高い粉末温度(ひいては迅速な燃焼速度)でチャネル孔に留まる。したがって、最小表面積を燃焼のために提供する。(遅い燃焼速度で)低い温度の場合、栓状物は全て点火衝撃波によって取り除かれ、そして最大表面積を燃焼のために提供する。理想的には、燃焼速度×表面積の積は、あらゆる衝撃温度において一定であり、これが温度依存性の燃焼挙動に等しい。よって、本発明による発射薬は、温度増大とともに僅かなチャネルを提供する。
任意に、本発明による方法は、2段階で実施することができる。1つ目の段階では、未加工の粒状体が、伝導性を高めるために及び当該未加工の粒状体の癒着を回避するために利用されるグラファイト化に従って、前もってグラファイトでコーティングされる。このグラファイト化後に、当該未加工の粒状体が、上記工程e)によって構成される2つ目の工程段階のために準備される。この様式は、グラファイト化を、温度曲線若しくは温度依存性の栓状物移動度を調整するための本発明による表面処理と切り離すことを可能にする。
グラファイトによる処理を本発明による工程段階e)の後に行うことも可能である。これは、まず温度依存性を調整し、その後に表面伝導性を高めることを意味している。
任意に、固形物質はグラファイトを包含してよい。ここで、固形物質の量は、伝導性を高めるために及び未加工の粒状体の癒着を回避するために利用されるグラファイト化の意味において必要とされるグラファイト量と、調整範囲内で選択される固形物質量との合計に相当する。この組合せ順は、非常に効果的であり、かつ通例有利である。
任意に、固形物質の量は、最適な式
M(固形物質)=K_opt×F(比表面積)+オフセット
を基準として±20%の範囲内で選択される。ここで、式中:
M(固形物質)は、未加工の粒状体の質量を基準として質量%で表される固形物質の量であり、
F(比表面積)は、単位質量当たりの表面積で表される未加工の粒状体の比表面積であり、かつ
K_opt=0.0012[g/mm2]は、単位面積当たりの質量で表される係数であり、
並びにオフセットは−0.14である。
上記式に従って計算した固形物質の最小量の最適値は、原則的に、いかなる割合の固形物質が組合せ法において表面上に蓄積し、かつ温度係数の制御に寄与しないのかを示す。この最適値は、実際には、ある一定の不正確さと結び付いている。±20%の範囲の差違は、依然として最適なものとして見なされる。
しかし、この最適値抜きで作用することも可能であり、その際、発射薬の性能は漸次的に悪化し得る。温度勾配が固形物質量の変化に反応する調整範囲において作業することが決定的に重要である。
任意に、固形物質量は、上方及び下方の温度係数を定義する温度勾配曲線が交差範囲において選択される。
下方の温度係数は、−40℃での最大圧力p_max(−40℃)に対する適用温度21℃での最大圧力p_max(21℃)の比によって定義される。同じように、上方の温度係数は、21℃での最大圧力p_max(21℃)に対する適用温度63℃での最大圧力p_max(63℃)の比によって示される(−40℃、21℃及び63℃の温度記載値は、他にも選択することができる。大切なことは、これと関連して、適用温度範囲の下限値又は下限値付近の最大圧力及び適用温度範囲の上限値又は上限値付近の最大圧力値を、適用温度範囲の平均範囲における最大圧力値に対する比とすることだけである)。
下方及び上方の温度勾配曲線の交差範囲は、非常に平坦な温度プロファイルを生む(つまり、燃焼の温度依存性が僅かである)。固形物質量は、双方の温度勾配曲線の交点に正確にある必要はない。固形物質量が、交点より10%を超えて逸脱しない量範囲内で選択されれば十分である。
調節剤は、未加工の粒状体のチャネル中で固形物質が固化し始めることを助ける。この場合、可溶性(それゆえ流動性の)調節剤及び不溶性(なぜなら、それらは適切に固定された)調節剤が存在する。当該調節剤は、可能な限り少ない量で使用されるべきである。栓状物中には、製造法の終了後、実際に調節剤はもはや含まれていない。例えば0.1質量%だけの調節剤(未加工の粒状体を基準として)が使用される。固定されていない調節剤は未加工の粒状体中に分布しているので、栓状物中にはそれらは非常に僅かにしか留まらない。栓状物は、実際にもっぱら固形物質(少なくとも90質量%、殊に少なくとも95質量%)から成る。本実施形態によれば、2種類の調節剤が可能である。すなわち、可溶性調節剤("A型")及び固定された調節剤("B型")である。
"A型"調節剤として、溶媒及び発射薬に良く溶ける低分子量のオリゴマー物質が使用される。かかる調節剤は、未加工の粒状体の分子(例えばNC分子)間に堆積し、それによって膨潤の一助となる。それらは溶媒(例えばアルコール)と結合して未加工の粒状体を膨潤させる。付加的に調節剤は、後で行われる乾燥前に粉状の固形物質をある程度接着させる。しかしながら、調節剤の量が多すぎると、未加工の粒状体の接着にもつながり得る。通例、調節剤の量は、弾動の安定性を悪化させないために少なく選択されるべきである。有利には、調節剤の量は、未加工の粒状体を基準として0.1〜0.2質量%のオーダーである。調節剤量は、(未加工の粒状体を基準として)0.5質量%未満である。
"B型"調節剤として、未加工の粒状体に可溶性ではないオリゴマー又はポリマーの物質が選択され、そのためマイグレーションは起こらない。同様に、架橋され得る物質が考慮される。
調節剤として、発射薬粉末のマトリックス中に本発明による処理に従って目立って拡散し得ない物質が使用されることができる。これは2つの方法で達成されることができる:
そのため、一方では、例えば、未加工の粒状体マトリックス中に良好に溶解し、かつ2個以上のラジカル重合可能な基を有する調節剤を使用してよい。調節剤が拡散して取り込まれた後、これらは重合される。生じるネットワークは、高分子量、不溶性であり、かつ粉末マトリックスと絡み合っており、ひいては拡散安定性である。
ダブルベース及びマルチベースの発射薬粉末の処理に適している低分子量の可溶性調節剤は、可能な限り低い蒸気圧を21℃で有し、かつ液状である。それが特徴c)に記載の低粘性液体中で可溶性である場合、固形物質であってもよい。適した物質のクラスは、エーテル、エステル、ウレタン、尿素及びケトンを包含する。例は、樟脳、ジブチルフタレート、ジアミルフタレート、セントラリット、ジプロピルアジペート、ジ(2−エチルヘキシル)アジペート、ジフェニルウレタン、メチルフェニルウレタン、ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート等である。
同様に適しているのは、オリゴマーの可溶性調節剤、例えば500〜3000ダルトンの分子量を有するポリエーテル及びポリエステルである。例は、ポリ(テトラヒドロフラン)、ポリメチルビニルエーテル、ポリ(オキシエチレン)、ポリエチレングリコール、ポル(ブタンジオール)ジビニルエーテル、ポリエステル、例えばSANTICIZER 431、PARAPLEX G−54、又はポリ[ジ(エチレングリコール)アジペート]、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール)ジアクリレート、ポリ(プロピレングリコール)エーテル、ポリカプロラクトンジオール、ポリカプロラクトントリオール及びそれらより誘導されたコオリゴマーである。ここで、アクリレート/メタクリレートの場合、重合反応は実施されない。
ラジカル架橋可能な調節剤は、1分子当たり少なくとも2個のラジカル重合可能な基を有する低分子量の化合物若しくはオリゴマー又はポリマーを包含する。
ラジカル架橋可能な調節剤は、
・ 1分子当たり少なくとも1個の重合可能な基を有する低分子量の化合物若しくはオリゴマー又はポリマーと
・ 少なくとも2個の重合可能な基を有する化合物との
混合物も包含する。
これらの化合物は、発射薬マトリックス中で不溶性であり、したがって発射薬表面に留まるか、又はそれらは可溶性であり、それゆえ本発明による処理の過程で発射薬の最上層に拡散する。そのうえ、架橋可能な調節剤には、熱により活性化可能な適したラジカル開始剤(開始剤)を添加しなければならない。開始剤は、これが調節剤に均一に分散して存在するように調節剤に良好に溶けるべきである。処理条件及び開始剤は、開始剤が表面処理プロセスの間に研磨ドラム中で可能な限りラジカルに分解し得ないように選択されなければならない。開始剤及び重合可能な調節剤が発射薬表面上で層として存在するか、又は発射薬の最外層に拡散している場合、空気中酸素及び部分的に発射薬の最外層に存在している酸素が真空下で室温にて除去され、そして不活性ガスで置換される。これは、ラジカル反応(重合、架橋)が、妨げとなる副反応を生じずに、かつ高い収率で行われるために必要である。不活性ガス下では、発射薬の温度は、開始剤が可能な限り迅速かつ完全にラジカルに分解するように発射薬の温度を高める。これらのラジカルは、次いで調節剤の重合若しくは架橋を開始させる。
ラジカル開始剤として、有利には、表面処理温度、例えば室温で、高い分解安定性を示す物質が用いられる。殊に、ラジカル形成剤の半分の分解時間は10時間より長い。それに対して、例えば60〜90℃の重合温度では、ラジカル開始剤は相応するラジカルに素早く分解し、殊に、ラジカル形成剤の半分の分解時間は1時間未満である。これは、重合可能な調節剤の素早く、慎重かつ完全な反応を保証する。
任意に、調節剤の架橋は、不活性ガス下で、常圧にて、90℃未満の温度で、かつこの温度におけるラジカル形成剤の6倍の分解半減期より少ない期間にわたって行われる。
用いられる重合開始剤の量は、用いられる架橋可能な調節剤の量に従う。そのため、架橋可能な調節剤1モルを基準として0.1〜5モル%の開始剤が使用される。有利なのは、1〜4モル%の開始剤量である。
適した開始剤の例は、t−ブチル−ペルオキシネオデカノエート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)−ペルオキシジカーボネート、t−ブチルペルオキシピバレート、ジラウロイルペルオキシド、アゾビス(イソブチロニトリル)等である。
発射薬に溶ける架橋可能な調節剤として、ジアクリレート、トリアクリレート、テトラアクリレート、ジメタクリレート、トリメタクリレート、テトラメタクリレート、ジアクリルアミド、トリアクリルアミド、ジメタクリルアミド、トリメタクリルアミド、ジビニルエステル、トリビニルエステル、ジビニルエーテル、トリビニルエーテル、ジビニル芳香族化合物、トリビニル芳香族化合物等が適している。
低分子量のラジカル架橋可能な調節剤の例は、ヘキサンジオールジアクリレート、ヘキサンジオール−ジメタクリレート、エチレングリコール−ジメタクリレート、トリエチレングリコール−ジアクリレート、テトラエチレングリコール−ジアクリレート、ジプロピレングリコール−ジアクリレート、トリメチロールプロパン−トリアクリレート、ペンタエリスリトール−テトラアクリレート等である。
オリゴマーのラジカル架橋可能な調節剤の例は、低分子量のポリエチレングリコール−ジアクリレート、低分子量のポリエチレングリコール−ジメタクリレート、エトキシ化されたビスフェノール−A−ジアクリレート、プロポキシ化されたネオペンチルグリコール−ジアクリレート、エトキシ化されたネオペンチルグリコール−ジアクリレート、プロポキシ化されたグリセリン−トリアクリレート、エトキシ化されたペンタエリスリトール−テトラアクリレート等である。
ポリマーのラジカル架橋可能な調節剤の例は、ポリブタジエンジオールジアクリレート、高分子量のポリエチレングリコール−ジアクリレート、高分子量のポリエチレングリコール−ジメタクリレート、高分子量のポリプロピレンオキシド−ジアクリレートである。
他方で、発射薬粉末に僅かに溶けるか又は全く溶けない調節剤を使用することができる。これは、低粘性液体に溶けるか又は少なくとも微細に乳化し得る固体又は液体の化合物である。考慮に入れられる化合物は、不活性又は高エネルギーの物質であってよい。発射薬粉末の表面上での調節剤濃度が昇華又は拡散によって変化し得ないことが前提とされなければならない。これは、高融点の低分子量若しくはオリゴマー又はポリマーの化合物の使用によって達成されることができる。そのうえ、重合可能な基を有する不溶性の化合物における揮発度は、発射薬粉末の粒体に施与した後、付加的に重合反応(上に記載している)によって低下させることができる。
不溶性の調節剤として、重合可能な基を有するか又は有さない、無極性のポリマー及びオリゴマー又は極性の強いポリマー及びオリゴマーが適している。
それらに関する例は、完全に又は部分的に加水分解されたポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリ(ビニルアルコール−co−エチレン)、ポリブタジエン、ポリブタジエンジオール、ポリブタジエンジメタクリレート、ポリブタジエンジオールジアクリレート、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリ(アクリロニトリル−co−ブタジエン)、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリ(ビニルアルコール−co−ビニルアセテート)、ポリ(ビニルトルエン−co−α−メチルスチレン)等である。
任意に、調節剤の量は、上方の温度係数を規定する温度勾配曲線が最小値を有する範囲で選択される。これは、調節剤の固化若しくは接着効果が、初めの栓状物形成時に利用され、しかし、発射薬粉末の安定性は、(たいていの場合、防止されない拡散プロセスにより)悪化しないという利点を有する。
温度勾配曲線の最小値は、本発明の意味によれば、個々のデータポイントとしてではなく、使用される調節剤量の最大圧力との依存関係が比較的小さいある程度の広がりを持った範囲として解される。この広がりは、約0.1質量%の調節剤である。試験により、最小値は(未加工の粒状体の質量を基準として)0.05〜0.2質量%の調節剤の範囲にあることがわかった。
特に好ましいのは、調節剤の量が最少範囲の下限値で選択されることである。試験により、下限値は調節剤0.05から0.1質量%の間にあることがわかった。
しかし、調節剤量は、より少ない量で選択してもよい。殊に、調節剤は全く省き、液体としてもっぱら低粘性の揮発性溶媒を使用することが可能である。
任意に、溶媒は、未加工の粒状体が液体及び固形物質と混合装置中で処理される所定の時間内に完全に取り込まれることができる量で準備してよい。未加工の粒状体は、その場合、浮遊せずに処理される。むしろ、未加工の粒状体は、単に十分に湿らされ、そしてこの湿らされた状態において混合装置中で転動される。
液体の量は、(未加工の粒状体の量を基準として)0.1〜5質量%の範囲にある。有利なのは、0.5〜1質量%の範囲の量である。個々のケースにおいては、固形物質がそれでもチャネル中に組み込まれない場合は、それより高くてもよい。
任意に、固形物質量を調べるために、未加工の粒状体の3つのバッチを異なる固形物質量で処理してよく、その際、固形物質量は、未加工の粒状体を基準として最大0.2質量%異なる。これに従って、第一のバッチにはX質量%の量を、第二のバッチにはX+0.1質量%の量を、そして第3のバッチにはX+0.2質量%の量を使用してよい。Xとは、例えばグラファイト化のために必要とされる固形物質量である。準備された未加工の粒状体がすでにグラファイト化されている場合、X=0質量%又は非常に少ない量で選択してもよい(例えばX=0.015質量%)(質量%は、使用される未加工の粒状体の質量を常に基準としている)。
3つのバッチの温度勾配曲線を手がかりにして、どれが温度勾配曲線の交差範囲であるのかを確認することができる。これに基づき、具体的なケースにおいて(すなわち、具体的な適用温度において)、製造のための最適な固形物質量を調べることができる。任意に、普通は、発射薬の挙動がほぼ温度に依存することになる量となる。例えば21℃〜63℃の温度係数は、その場合、100±2%である。
この手法は、発射薬の温度依存性を、典型的には0.25質量%の幅を有する範囲内で固形物質量を変えることによって適切に制御できるという知見に基づいている。上述の調整範囲は、未加工の粒状体が小さい場合(中口径)完全に0.25質量%より大きくてよい(例えば0.25〜0.5質量%)。大きい粒体の場合(大口径)、調整範囲は狭くてもよい(例えば固形物質0.1質量%)。
任意に、固形物質量はバッチと、およそ0.1質量%異なる。これは、非常に多岐にわたった各種未加工の粒状体を迅速かつ確実に交差範囲に至らしめるための良好な仕組みである。交差範囲をより正確に同定するために、バッチの数を増やしかつ/又は拡散量は減らしてもよい。
代替的に、様々なバッチを規定するために、固形物質の範囲をより大まかに又はより細かに分類することも可能である。さらに、温度勾配の調整を最適なものにすることが重要ではない場合、固形物質量は別の計算を基にして選択することも考えられる。
任意に、固形物質の量は調整範囲内で、下方及び上方の温度範囲における温度係数が95〜105%、殊に97%〜103%となるように選択することができる。これは、バランスのとれた発射薬のビバシティーに相当する。栓状物の形成なしでは上方の温度範囲(例えば21℃〜63℃)におけるp_max/p_max(21℃)の比は110%のオーダーにあるので、それによって、温度挙動の本質的な改善につながる固形物質量が選択される。
任意に、固形物質量は、比表面積について(平均という形で)、相対最大圧力を上方の温度範囲内で比例して105%〜95%に下げるために、比例して>0〜0.2質量%に高めてよい。この単純な寸法決定のやり方により、簡単な手段で若しくは煩雑さをあまり伴わずに比較的良好な結果が得られる。たしかに、温度勾配曲線と選択された固形物質量との関係は、実際には線形ではない(S形)。しかしながら、臨界的な範囲における線形性のずれは少ないことから、この単純な寸法決定のやり方は良好な結果をもたらす。
代替的に、他の(例えば非線形であるS形の)寸法決定も、所望された温度挙動のために必要とされる固形物質量を決めるために適用することもできる。
任意に、チャネルは、0.1〜0.2mmの特徴的な横断寸法を有する。この範囲では、問題なく固化及び固定された栓状物を作り出すことができ、そのうえ、このような横断寸法は押出法において上手く作り出すことが可能である。チャネルに上手く組み込むことができるようにその粒径が選択されている粉末状の固形物質は、チャネル断面が大きすぎると、定着させることは可能にしても行い難い。チャネル断面が小さすぎると同様に、固形物質はもはや迅速には開口部に導入されることができなくなる。固形物質の(平均)粒径は、典型的にははっきりと0.2mm未満であってよい。すなわち、粒径は、普通はチャネルの特徴的な横断寸法のせいぜい半分であり、殊に5分の1の大きさである。
典型的には、チャネルは大体円のように丸く、そのため横断寸法は直径に相当する。しかし、それは楕円形又は星形であってもよい。
任意に、固形物質はチャネルの横断寸法に応じて0.01〜100マイクロメートルの範囲の粒径、特に有利には0.1〜50マイクロメートルの範囲の粒径を有し、その際、該粒径は、好ましくはチャネルの横断寸法の10分の1より大きくはない。しかしながら、この寸法は、以下の説明で示している通り、強制的なものではない。
グラファイト層は非常に"可動性"若しくは"滑動性"であることがわかっているので、これらは、例えばチャネルの横断寸法よりほんの少しだけ小さくてもよく、それにも関わらず栓状物が生じ得る。またグラファイト粒子は良好に圧縮され得るので、意想外にも、比較的大きなグラファイト粒子でも安定した栓状物を形成することができる。
任意に、固形物質量は(平均という形で)、相対最大圧力を下方の温度範囲内で(平均という形で)比例して86%〜105%に上げるために、比例して>0〜0.2質量%に高めてよい。上方の温度範囲に関する上で説明した考察は、その意味内容に則って、下方の温度範囲にも適用される。
任意に、11〜14mmの範囲の直径、16〜24の範囲のチャネル数及び0.14〜0.18mmの範囲のチャネルの横断寸法を有する粒マトリックスの場合、固形物質量は、達成されるべき相対最大圧力に従って図5に示した曲線に応じて選択される。通常、7又は9個のチャネル、そのうえまた38又は64個のチャネルも用いられる。
他の比表面積を有する他の粒形状についても、グラファイト量は相応して、グラファイト化が前提にある付加的な又は減少させられた需要量が補われるように変えられる。この寸法決定のやり方によれば、面倒な試験なしに目的に合わせて温度依存性を調整することが可能である。
任意に、600mm2/g±20%の範囲の比表面積を有する未加工の粒状体の場合、固形物質は、該未加工の粒状体を基準として0.12〜0.21質量%の範囲で選択してよい。この量により、同時にグラファイト化と最適な温度非依存性を達成することができる。
より僅かな温度効果が所望されている場合、上述の有利な範囲外で作業することも可能である。
任意に、調節剤の量を測定するために、下方の温度範囲においての(未加工の粒状体を基準として)0から0.4質量%への上昇が相対最大圧力を比例して97%から88%に低下させるという規則を前提にしてもよい。
更に別の任意の寸法決定のやり方は、上方の温度範囲において相対最大圧力を105%から100%に下げるために、調節剤量を0質量%から0.15質量%に高めることである。この方法では、大いに煩雑な試験を行うことなく、所望の温度効果に適した調節剤量を、十分な信頼性でもってして決めることができる。殊にこれは、調節剤量が可能な限り少なく保たれるべき場合に役立つ。
調節剤物質は、ある特定の適用事例においては、それが同時に鈍感剤として作用するように選択することができる。係る事例においては、調節剤量の測定のために、更なる判断基準が考慮される。その場合、上記の寸法決定のやり方は適用しないか又は条件付きでのみ適用することが場合によってはより好ましい。
任意に、調節剤は、0.05〜0.2質量%の量で、殊に0.1〜0.15質量%の量で用いてよい。これらの調節剤量は比較的少なく、それゆえ有利である。この算定は、未加工の粒状体の配合物が一連の試験によって最適な調節剤量と適合されない場合にも、温度勾配に関して良好な結果を得ることができる。
固形物質の最適な量を調べるために、以下の通りに行ってよい:
特定のバッチから製造されている未加工の粒状体を出発材料とする。未加工の粒状体すべてを同じバッチから(可能な限り均一であることが望ましい)押出されているという点で、個々の粒は、組成及び特性に関して互いに本質的には異ならない。少なくとも第一と第二の部分量を、特定の混合及び乾燥法において、固形物質の特定の試験量及び調節剤の2つの異なる試験量で加工する。そこから、上方の温度範囲における温度勾配の最小範囲が突き止められる。換言すると、調節剤量が最小範囲内で変化する場合、燃焼挙動は、上方の温度範囲において実質的に変化しない。しかしながら、最小範囲外では、温度勾配は、使用される調節剤に依存する。適した調節剤量が選択される。
更なる段階において、未加工の粒状体の上述のバッチから少なくとも2つの更なる部分量を取り出し、そして特定の混合及び乾燥法において(最小範囲内で)選択された調節剤量及び2つの異なる固形物質試験量で加工する。つまり、調節剤量は、前述の工程段階において突き止めた最小範囲内で選択される。異なる固形物質量による少なくとも2つの処理から、上方及び下方の温度勾配曲線の交差範囲が突き止められる。
その後、上述のバッチから製造量を取り出してよく、そして特定の混合及び乾燥法において、選択された調節剤量及び固形物質の最適量で加工してよい。
広範な製造の意味において、未加工の粒状体の複数のバッチを製造及び加工してもよい。その場合、未加工の粒状体の各々のバッチについて上記方法に従って行う必要は必ずしもない。前述のバッチの差違は看過できないが、それでも大きすぎるというものではない場合、簡単な試験法により、固形物質量(及び場合により調節剤量)がなお正確であるか否かを調べることが可能である。
任意に、混合及び乾燥法は、以下の工程を包含する:
a)未加工の粒状体、固形物質及び低粘性液体を、混合装置に加える:
b)固形物質は、融点が発射薬の最大使用温度を少なくとも10℃、殊に20℃上回り、かつ未加工の粒状体に対して不活性な物質であり、そして、以下の式に従ったK_minとK_maxによって定義される範囲内の量で用いる:
M(固形物質)=K_min×F(比表面積)+オフセット
M(固形物質)=K_max×F(比表面積)+オフセット
を選択し、ここで、
M(固形物質)は、未加工の粒状体の質量を基準として質量%で表される固形物質の量であり、
F(比表面積)は、単位質量当たりの表面積で表される未加工の粒状体の比表面積であり、かつ
K_min=0.0009[g/mm2
K_max=0.0014[g/mm2
オフセット=−0.14であり、
固形物質量の最適な量は、
M(固形物質)=K_opt×F(比表面積)+オフセットであり、ここで
K_opt=0.0012[g/mm2
オフセット=−0.14である、
c)調節剤は、未加工の粒状体のベース配合物と良好な化学的相容性及び僅かな揮発性、すなわち21℃で<10-2barの蒸気圧を有する物質であり、かつ未加工の粒状体の質量を基準として0.5質量%未満の量で用いる;好ましくは、調節剤量は0.2%を上回らない;
d)低粘性液体は溶媒又は溶媒混合物であり、これは、栓状物を安定させる調節剤を非常に良好に溶解するか又は微細に乳化することができ、未加工の粒状体を膨潤させることができ、かつ未加工の粒状体の質量を基準として0.1質量%〜5質量%の量で用いる;
e)固形物質を、混合装置の回転によって、粉末材料による圧力の作用下で漸次的に未加工の粒状体のチャネル内に組み込む;、
f)その後、液体を、混合装置によって続けて加工しながら、未加工の粒状体から、例えば蒸発によって除去する;
g)このようにして処理した未加工の粒状体を、高められた温度で乾燥する;
h)乾燥は、チャネル中に存在する不揮発性固形物質から圧縮によって栓状物が生まれるように行い、該栓状物は、90%、殊に95%が、使用された固形物質から成り、かつ温度依存性の移動度を有し、同時に栓状物は、制御された形で着火圧力波に対する耐性を持ち得;
i)より低い適用温度の場合、より高い適用温度の場合より高い移動度が付与されるように行い、そうして該栓状物は、発射薬燃焼の低下した温度依存性が生じるように、より低い適用温度の場合、より高い適用温度の場合より強い孔燃焼を可能にする。
任意に、調節剤量は、達成されるべき相対最大圧力に応じて図4に記載の曲線に従って選択されることができる。その際に重要なことは、適用温度の下方の範囲(−40℃〜+21℃)において、温度勾配の最小値が存在することであり、これは未加工の粒状体を基準として調節剤の典型的には最大0.2質量%、殊に0.1質量%の幅を有する。その際、調節剤量は、好ましくは可能な限り低く、すなわち、最小範囲の下端で選択される。
任意に、以下の物質の1種以上又はそれらの混合物を固形物質として用いることができる:グラファイト、タルク、酸化チタン、カーボンブラック、硫酸カリウム、カリウム氷晶石、ナトリウム氷晶石、炭酸カルシウム、三酸化タングステン、三酸化モリブデン、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、アカルジット、セントラリット、炭酸カルシウム、オキサルアミド、カルバミン酸アンモニウム、蓚酸アンモニウム、セルロースアセテートブチレート、過塩素酸カリウム、硝酸カリウム、硝酸バリウム、蓚酸ナトリウム、フラーレン、又は官能基を有するか若しくは有さない、線状、分岐状若しくは架橋したポリマー及びコポリマー。
任意に、未加工の粒状体の処理は、固形物質、調節剤及び液体を、0℃〜90℃の範囲の温度で、5分間〜4時間、殊に10分間〜120分間の処理期間中に混合装置中で混合することによって行ってよい。混合装置の回転速度は、例えば毎分2〜30回転であってよい。
任意に、混合装置を作用時間中に気密封止し続け、そして後から液体を蒸発させるために5分間〜4時間、殊に10分間〜120分間の範囲の特定の時間間隔にわたって開放する形で処理を行ってもよい。液体は、蒸発させる代わりに、減圧下又はガス洗浄下で除去してもよい。
任意に、まず固形物質を施与し、そして均一に未加工の粒状体の全表面に分散させ、その後に低粘性液体と調節剤の溶液を加えてもよい。
本発明による発射薬は、複数の連続チャネルを備えた未加工の粒状体マトリックスを有する粒を有し、該チャネルは、最大0.3mmの特徴的な横断寸法を有し、かつ該未加工の粒状体の外側表面に通じている。チャネル中に圧縮された固形物質粒子の栓状物が存在する。固形物質は、適用温度範囲内で安定であり、かつ未加工の粒状体に対して不活性であるものが選択される。粒径の種類は、固形物質粒子が連続チャネル中に本発明に従った混合法によって導入可能なものである。栓状物は、本質的に(すなわち実際にはもっぱら)固形物質から成る。固形物質はすべての適用温度範囲内でその固体構造を維持し、かつ未加工の粒状体に対して不活性であることから、長期的に安定する。微量も未加工の粒状体には拡散せず、固形物質は軟らかくもならない。殊に、栓状物中には(僅かな痕跡量は除く)調節剤又は鈍感剤は含まれていない。
チャネルは、そのつど10〜20μm(マイクロメートル)の範囲の厚さを有するカバーで塞がれており、そこにはそれぞれのチャネルに広がっている栓状物が静止している。栓状物は、固化した固形物質粒子から成り、かつ横断寸法より明らかに大きい長さ全体に広がってチャネルに入り込んでいる。栓状物は、チャネル断面をほぼ満たしている。しかし、固化した栓状物体がその全長に沿ってチャネルと結合しているとは見なされない。
カバー及び栓状物に含まれる固形物質量は、調整範囲において(未加工の粒状体を基準として)>0〜0.5質量%であり、その際、発射薬の温度勾配は、図1に記載の固形物質量によって示されている。
栓状物は、グラファイトを含んでいてもよいが、しかし、それを含んでいる必要もない。完成した発射薬は、静電帯電を防止し、かつ表面を平滑化するために、その表面上にグラファイトを有する。
任意に、栓状物は、僅かな割合の高エネルギー固形物質、殊にニトロセルロース、ヘキソーゲン、オクトーゲン、ニトログアニジン、ニトロトリアゾール、エチレンジニトラミン、エチルテトリル、ピクリン酸アンモニウム、トリニトロトルエン、トリニトロベンゼン、テトラニトロアニリン等を含む。強酸化剤、例えば、硝酸アンモニウム、硝酸カリウム、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸カリウム等もそれらに含めてもよい。殊に、高エネルギー固形物質は、混合法において作り出される未加工の粒状体のラビング部に相当する。
栓状物は、製造温度、貯蔵温度及び/又は適用温度を上回る、殊に90℃を上回る溶融温度を有する。それは、つまり、適用温度範囲において液状である調節剤を含まない。
好ましくは、未加工の粒状体は、少なくとも7個(例えば19個又はそれより多い、殊に38個又は64個)の軸方向の連続チャネルを有する。栓状物によって閉じられるチャネルの空隙は、栓状物の体積の数倍の空隙体積を有していてよい。
本発明による固形物質の使用により、若しくは本発明による方法によって、次の特定を有する発射薬を製造することができ、これは比表面積が420mm2/gより大きく、かつ固形物質量が0.15質量%、殊に0.2質量%より大きく、そして該固形物質が0.5質量%までの調整範囲で、達成されるべき温度依存性に従って選択されており、そうしてチャネル中に存在する非揮発性の固形物質から、使用される固形物質から主として成り、かつ温度依存性の移動度を有する栓状物が得られ、その点で、該栓状物は、制御された形で着火圧力波に対する耐性を持つことができる。
また本発明による固形物質の使用により、若しくは本発明による方法によって、比表面積が310mm2/gより小さく、固形物質量が好ましい効果のために少なくとも0.05質量%であり、かつ最適な効果のために0.075質量%より大きく、かつ頻繁には0.2質量%より大きい発射薬を製造することができる。その際、該固形物質は、0.5質量%までの調整範囲で、達成されるべき温度依存性に従って選択されている。チャネル中に存在する非揮発性の固形物質から、圧縮によって、使用される固形物質から主として成り、総じて、より温度に依存しない発射薬適用をもたらす栓状物が生じる。
本発明は、固形物質量が発射薬の比表面積に従って、チャネル中で圧縮及び固化された固体状の栓状物が温度依存性の移動度を有する固形物質から形成されており、かつ温度勾配が下方及び上方の温度勾配曲線の交差範囲にあるように選択されている発射薬も包含する。
本発明はまた、以下の特徴によって際立っている発射薬に関する:
a)物理的構造が、少なくとも1つの連続チャネルを備えた所定の幾何学的形態を有する膨潤可能な未加工の粒状体によって形作られている。チャネルは、最大0.3mmの特徴的な横断寸法を有し、かつ該未加工の粒状体の外側表面に通じている。
b)発射薬は、好ましくは420mm2/gより大きい比表面積を有する。該比表面積は、310mm2/gより小さくてもよい。しかし、他の粒度も排除されていない。
c)表面上及び少なくとも1つのチャネル内には固形物質が存在し、これは適用温度範囲内で安定であり、未加工の粒状体に対して不活性であり、かつ該連続チャネル内に導入することが可能な粒径を有する。該粒径は、例えばチャネルの半分の直径より小さい。化学的/物理的観点から、該固形物質は、それが混合及び乾燥法において圧縮され得る特性を有する。
d)固形物質の量は、比表面積に依存しており、0.05質量%、有利には0.075質量%、特に有利には0.15質量%、頻繁には0.2質量%より大きく、かつ達成されるべき温度依存性に従って>0質量%〜0.5質量%までの調整範囲内にある。
e)チャネル内には、圧縮及び固化された非揮発性の固形物質の部分が存在している。これは、主として、使用された固形物質と任意に調節剤とから成り、制御された形で着火圧力波に対する耐性を持ち得るように温度依存性の移動度を有する栓状物を形成する。
f)任意に、液体は発射薬中に存在しており、該液体は未加工の粒状体を膨潤させることができ、かつ該発射薬の製造の最後には該発射薬中に均一に分散して含まれている。つまり、未加工の粒状体及び液体の化学組成は互いに合わせられているので、該未加工の粒状体は膨潤することが可能である。液体は、(未加工の粒状体の質量を基準として)0.5質量%を上回らない、調節剤として機能するオリゴマー若しくはポリマー物質を有する。液体のその他の部分は、低粘性の溶媒であってよい。
g)発射薬は、該発射薬の温度依存性の調整のために、>0〜0.5質量%の固形物質の調整範囲を有し、その際、該固形物質量は、栓状物を形成するための調整範囲内で調整される。該調整範囲は、他は同じ条件下で、適用温度範囲の上方の温度範囲における最大圧力をより強く下げるために、かつ適用温度範囲の下方の温度範囲における最大圧力をより強く上げるために、より多くの固形物質量を用いるということによって特徴付けられている。
完全した発射薬は、特定の固形物質割合を有する。これは、特別な発射薬固有の調整範囲内にある。すなわち、他は同じ条件下で、別の(しかし一方では特定の)固形物質割合を有する発射薬も実現することができる。この別の固形物質割合も同様に調整範囲内にある。本発明による調節範囲において特徴的なのは、固形物質量がより高く選択された場合に、上方の温度範囲(粉末を使用することができる範囲)における最大圧力を下げることである。そして下方の温度範囲においては、固形物質量が高められると、最大圧力が高められる。最大圧力が固形物質量によってのみ調節されるというこの特性は、チャネル内の本発明による栓状物の構造及び固定化に条件付けられている。発射薬の分析によって、どの調整範囲をそれが有しているかを確かめることができる。したがって、該調整範囲は、本発明による発射薬の技術的に決定することができる特徴である。
好ましくは、発射薬の固形物質量は(平均という意味で)以下のように選択される:
M(固形物質)=K_max×F(比表面積)+オフセット、
ここで、
M(固形物質)は、未加工の粒状体の質量を基準として質量%で表される固形物質の量であり、
F(比表面積)は、mm2/gで表される未加工の粒状体の比表面積であり、
K_max=0.0014[g/mm2
オフセット=−0.14であり、
そうして、相対最大圧力は大体(すなわち平均という意味で)比例して上方の温度範囲内で105%から95%に下がるか、又は固形物質量は(平均という意味で)比例して>0からM(固形物質)=K_max×F(比表面積)+オフセットに選択されて、そうして下方の温度範囲における相対最大圧力は大体比例して87%から105%に高まる。
理想的な形で処理された発射薬は、最大限良好な燃焼挙動の温度非依存性を示す。それらは上方及び下方の温度勾配曲線の交点に見出すことができる。
発射薬を少なくとも2つの異なる形で処理された発射薬(TLPa、TLPb)の混合物として提供することも本発明の意味に含まれる。異なる発射薬のいずれも、本発明による製造法によって製造される。少なくとも2つの異なる形で処理された発射薬の混合は、その混合物が上方及び下方の温度勾配曲線の交差範囲における固形物質割合を有する最適な発射薬と同じように挙動する比で行われる。好ましくは、異なる形で処理された発射薬は、同じ未加工の粒状体(形状、化学組成)に基づく。
発射薬を、処理していない未加工の粒状体(GK)と少なくとも1つの強く処理した発射薬(これは本発明による方法によって製造されている)との混合物として用いることも可能である。双方の発射薬の混合は、その混合物が上方及び下方の温度勾配曲線の交差範囲における固形物質割合を有する最適な発射薬と同じように挙動する比で行われる。
好ましくは、混合物は、発射薬の点で表される双方の発射薬の温度勾配曲線が直線形であるという想定に基づき計算される。換言すると、少なくとも2つの発射薬の各々が共通の温度勾配に及ぼす影響は線形と見なされ、該混合物は式"TLPaの量"/"TLPbの量"=Δb/Δaに基づいて調べられ、ここで、Δaは、S/Z曲線の交点におけるTLPaの相対最大圧力Pmax/Pmax(23℃)と発射薬の相対最大圧力Pmax/Pmax(23℃)との差である(そしてΔbも同様にTLPbの相対的な圧力差である)。
つまり、好ましくは、異なる形で強く処理された発射薬は、最適に挙動する発射薬を得るために互いに混合される。
それゆえ、弱く処理されたTLPaが、強く処理されたTLPbと混合される。弱く処理されたTLPaは、理想的な形で処理されたTLPより少ない固形物質を有し、その最大ガス圧は、少ししか下げられない。それに対して、強く処理されたTLPbは、理想的な形で処理されたTLPより多い固形物質を有する。その最大ガス圧は、明らかに下げられており、かつ上方及び下方の温度勾配曲線の交点より下にある。TLPbは、逆の温度挙動を示す。好適な比において製造されたTLPaとTLPbとの混合物が、理想的な形で処理されたTLPに相当する温度非依存性の燃焼挙動を有するTLPを生む。
簡単な事例において、発射薬に及ぼす固形物質の影響は少なくとも調整範囲内で線形と見なすことができる。そのために、そのつど処理されたTLPのS/Z曲線の交点の最大ガス圧、つまり、TLPaのΔaとTLPbのΔbとの差が測定される。発射薬のほぼ最適な挙動のために、TLPaとTLPbは、最大圧力における差に反比例する量比(質量)で互いに混合される:
量(TLPa)/量(TLPb)=Δb/Δa
同じ原理に則って、処理していない未加工の粒状体GKを、強く処理したTLPbと混合することも可能である。
この線形の関係は、簡単な例に当てはめられ、かつ良好な結果を生む。非常に正確な調整が求められる場合、非線形の挙動も考慮することが好ましくあり得る。
同様に、ちょうど2つより多い異なる形で強く処理された、若しくは1つの強く処理された発射薬を、処理していない粒と互いに混合し、温度非依存性の燃焼挙動を有する発射薬を得ることが可能である。
後述の詳細な説明及び特許請求の範囲全体から、本発明の更なる好ましい実施形態並びに特徴の組合せが明らかになる。
6つの異なる発射薬に関する、使用した固形物質量と温度勾配曲線との関係を示す図 表面研磨を含む処理の場合の発射薬の比表面積と、固形物質の最適な量並びに上限値及び下限値との関係を示す図 表面研磨と分けて行われる発射薬の処理に際しての固形物質の上限値及び下限値を示す図 異なる形状のバッフルを備える使用したドラムと、固形物質の上限との関係を示す図 図1からの特定の配合物を有するTLP2型の発射薬に関する、固形物質が一定量の場合の、使用した調節剤量と温度勾配曲線との関係を示す部分図 図1からの特定の配合物を有するTLP2型の発射薬に関する、調節剤が一定量の場合の、使用した固形物質量と温度勾配曲線との関係を示す部分図 未加工の粒状体のチャネル中での固化された栓状物の写真を示す図 最適な調節剤量及び固形物質量を決定するための方法を概略的に示す図 温度処理前(a)及び温度処理後(b)の未加工の粒状体マトリックス中での調節剤の濃度を概略的に示す図 兵器中での未加工の粒状体処理の効果を示す図 混合によって実際の発射薬を製造するためのTLP2用に使用した固形物質量と温度勾配曲線との関係を示す図
原則的に、図中、同じ部分には同じ引用符号を付している。
図1には、6つの異なる発射薬TLP1〜TLP6に関する温度勾配曲線を示している。横軸には、未加工の粒状体の量を基準として、添加した固形物質全体を質量%で表しており、かつ縦軸には、温度勾配を百分率でプロットしている。固形物質量は、本発明による栓状物を作り出すためと、表面を研磨するために用いられるよう定められている。
図1に示される発射薬は、以下の通り特徴付けている:
6つの発射薬TLP1〜TLP6の各々に関して、適用温度範囲の下方温度範囲及び上方温度範囲における温度勾配曲線を記している。適用温度範囲は、これらの例では−40℃から+63℃に及ぶ。下方温度範囲は−40℃〜+21℃の範囲を意味し、かつ上方温度範囲は+21℃〜63℃の範囲を意味している(温度範囲の極限値は、別様に定義してもよい。本発明は、当該範囲の定義に直接的には依存しない)。下方温度範囲における温度勾配は、下方温度範囲の上限値(+21℃)での最大圧力p_max(+21℃)に対する下方温度範囲の下限値(−40℃)での最大圧力p_max(−40℃)の比を出すことによって定義している。相応して、上方温度範囲における温度勾配は、上方温度範囲の下限値での最大圧力p_max(+21℃)に対する上限値(+63℃)での最大圧力p_max(+63℃)の比によって定義している。圧力値は、公知の方法で高圧容器内爆発試験(Druckbombenversuch)において測定した(温度勾配は、それぞれの温度範囲の極限値を基準にしている必要はない。温度極限値に近接してはいるが、それぞれの温度範囲内にある測定温度も使用することができる)。
温度勾配曲線は、特定の発射薬配合物を特定の製造パラメータで加工すること、及び処理のための固形物質含有量を段階的に変えることによって生まれる。各々の固形物質含有量に関して、下方及び上方の温度勾配を値として入力している。
同様に、高圧容器内爆発試験から、ビバシティーの比を突き止めることができる。兵器及び高圧容器内爆発の衝撃データから得られる曲線は、非常に同じように延びる;それらはx値について異なっておらず、かつy値について2%だけ小さい。高圧容器内爆発の結果に基づく曲線のいくつかは、相関係数を突き止めて兵器値(Waffenwerte)に変換している。
記載した発射薬は、ダブルベース又はトリプルベースである。
ダブルベースの配合物の場合、ニトロセルロースの割合は50〜65質量%であり、その際、ニトロセルロースの窒素含有量は12.6〜13.5%の間で変化する。高エネルギー可塑剤の割合は、ニトロセルロースの含有量に合わせられ、かつ35〜50質量%であり、すなわち、ニトロセルロースが多く含まれていればいるほど、それだけ一層、使用される高エネルギー可塑剤は少ない。高エネルギー可塑剤として、ニトログリセリン、DEGDN又はそれらの混合物が使用される。同様に可塑剤として、NENA誘導体、例えばMe−NENA、Et−NENA、Bu−NENA及びそれらの混合物が用いられる。安定剤又は難燃剤のような更に別の補助剤は、通常、2質量%未満の割合で存在する。
トリプルベースの配合物におけるニトロセルロース割合は40〜50質量%である。高エネルギー可塑剤の割合は20〜35質量%の間で変化する。ダブルベースの発射薬の製造において使用されるのと同じ可塑剤を使用することができる。付加的に、RDX若しくはニトログアニジンのような結晶成分又は双方の成分の混合物が使用される。その割合は15〜30質量%である。これに加えて、安定剤化剤及び/又は難燃剤のような、通常、2質量%の割合を超えない補助剤が使用される。
TLP1〜TLP6は、ダブルベース又はトリプルベースの配合物に従って製造し、次のようにさらに処理した:
TLP1:回転ドラムに、5.5mmの直径、0.17mmの孔径及び597.47mm2/gの比表面積を有する、19個の孔を有する形状の未加工の粒状体55kgを初めに装入し、かつ30℃に加温した。温かい未加工の粒状体に、13.5rpmで回転させながら、タルクとグラファイト50:50の混合物を加え、その際、固形物質の全体量は、0.3〜0.8質量%(165g〜440g)の間で変化させた。固形物質が均一に未加工の粒状体に分散したらすぐに、溶媒788g(エタノール:水、3:1;未加工の粒状体1kg当たり約17ml)及びポリテトラヒドロフラン55g(0.1質量%)を加え、かつドラムを閉じて30℃で60分間混合した。その後、蓋を取り外し、かつ溶媒を30分間回転させながら蒸発させた。処理した未加工の粒状体を、鈍感剤の濃度勾配が、測定した臨界勾配より低くなるまで約55℃で貯蔵した(約90時間)。
TLP2:回転ドラムに、12.3mmの直径、0.18mmの孔径及び306.06mm2/gの比表面積を有する、19個の孔を有する形状の未加工の粒状体55kgを初めに装入し、かつ30℃に加温した。温かい未加工の粒状体に、13.5rpmで回転させながら、タルク50g(0.10質量%)を加え、そしてグラファイト割合は0〜0.2質量%(0〜16g)で変化させた。固形物質割合全体で0.1質量%未満のサンプルについては、添加したタルク量を相応して減少させた。固形物質が均一に粒状体に分散したらすぐに、溶媒695g(エタノール:水、3:1;未加工の粒状体1kg当たり約15ml)及びポリテトラヒドロフラン55g(0.1質量%)を加え、かつドラムを閉じて30℃で60分間混合した。その後、蓋を取り外し、かつ溶媒を30分間回転させながら蒸発させた。処理した未加工の粒状体を、鈍感剤の濃度勾配が、測定した臨界勾配より低くなるまで約55℃で貯蔵した(約70時間)。
TLP3:回転ドラムに、13.89mmの直径、0.18mmの孔径及び143.03mm2/gの比表面積を有する、19個の孔を有する形状の未加工の粒状体55kgを初めに装入し、かつ30℃に加温した。温かい未加工の粒状体に、13.5rpmで回転させながら、グラファイトを0.02〜0.125質量%(11〜69g)の量で加えた固形物質が均一に粒状体に分散したらすぐに、溶媒512g(エタノール:水、3:1;未加工の粒状体1kg当たり約11ml)及びポリテトラヒドロフラン55g(0.1質量%)を加え、かつドラムを閉じて30℃で60分間混合した。その後、蓋を取り外し、かつ溶媒を30分間回転させながら蒸発させた。処理した未加工の粒状体を、約55℃で70時間乾燥した。
TLP4:回転ドラムに、8.65mmの直径、0.19mmの孔径及び437.5mm2/gの比表面積を有する、19個の孔を有する形状の未加工の粒状体20kgを初めに装入し、かつ30℃に加温した。温かい未加工の粒状体に、13.5rpmで回転させながら、タルクとグラファイト50:50の混合物を加え、その際、固形物質の全体量は、0.3〜0.6質量%(60g〜120g)の間で変化させた。固形物質が均一に未加工の粒状体に分散したらすぐに、溶媒312g(エタノール:水、3:1;未加工の粒状体1kg当たり約18ml)及びポリテトラヒドロフラン20g(0.1質量%)を加え、かつドラムを閉じて30℃で60分間混合した。その後、蓋を取り外し、かつ溶媒を30分間回転させながら蒸発させた。処理した未加工の粒状体を、約55℃で70時間乾燥した。
固形物質量と比表面積との関係を突き止め得るには、処理における発射薬の量を一定に保たなければならない。なぜなら、それは使用されるべき固形物質量に同様に影響を及ぼすからである。発射薬がドラム中に多く存在すればするほど、それだけ一層、必要とされる固形物質量は少なくなる。このことは、材料の圧力及びそれによって改善される、孔内での固形物質の圧縮により説明され得る。したがって、記載した未加工の粒状体55kgを用いた試験を実施した。同じ効果を調整するための固形物質の量は、発射薬20kgの使用と比べて12%減少することが突き止められた。
TLP5:回転ドラムに、9.91mmの直径、0.18mmの孔径及び379.4mm2/gの比表面積を有する、19個の孔を有する形状の未加工の粒状体55kgを初めに装入し、かつ30℃に加温した。温かい未加工の粒状体に、13.5rpmで回転させながら、タルクとグラファイト50:50の混合物を加え、その際、固形物質の全体量は、0.15〜0.37質量%(82.5g〜203.5g)の間で変化させた。固形物質が均一に未加工の粒状体に分散したらすぐに、溶媒670g(エタノール:水、3:1;未加工の粒状体1kg当たり14ml)及びポリテトラヒドロフラン77g(0.14質量%)を加え、かつドラムを閉じて30℃で60分間混合した。その後、蓋を取り外し、かつ溶媒を30分間回転させながら蒸発させた。処理した未加工の粒状体を、55℃で約70時間乾燥した。
TLP6:回転ドラムに、7.99mmの直径、0.18mmの孔径及び455.7mm2/gの比表面積を有する、19個の孔を有する形状の未加工の粒状体55kgを初めに装入し、かつ30℃に加温した。温かい未加工の粒状体に、13.5rpmで回転させながら、タルクとグラファイト50:50の混合物を0.28〜0.52質量%(154g〜286g)の量で加えた。固形物質が均一に未加工の粒状体に分散したらすぐに、溶媒927g(エタノール:水、3:1;未加工の粒状体1kg当たり19.5ml)及びポリテトラヒドロフラン55gを加え、かつドラムを閉じて30℃で60分間混合した。その後、蓋を取り外し、かつ溶媒を30分間回転させながら蒸発させた。処理した未加工の粒状体を、55℃で約70時間乾燥した。
図1から、各々の発射薬配合物について、上方及び下方の温度勾配曲線が重なり合うか若しくは交差する固形物質の濃度範囲が存在していることがわかる。上方の温度勾配曲線("ホットブランチ(Heiss-Ast)")は、固形物質割合の増大とともに、より高い値からより低い値へと延び、それに応じて、下方の温度曲線勾配("コールドブランチ(cold branch)")は、固形物質割合の増大とともに、より低い値からより高い値へと延びる。TLP1について、交点は、固形物質が約0.6質量%の箇所にあり、TLP2については、固形物質が約0.2質量%の箇所にあり、かつTLP3については、約0.08質量%の箇所にある。TLP4の交点は0.45質量%の箇所にあり、かつTLP5の交点は0.27質量%の箇所にある。
TLP6については、21℃及び−40℃でのビバシティーの比が、固形物質割合からの影響をあまり強く受けていなかったことに留意されるべきである。−40℃でのビバシティーは、0.25〜0.85質量%の固形物質量の増大において、21℃でのビバシティーの89%から93%にしか上昇しなかった。予測した通りに延びる上方の温度勾配曲線との交点は0.42質量%である。
さらに図1からは、交点の近傍において、使用される固形物質量が変化すると温度勾配は強く変化することがわかる。強い変化とは、これと関連して、絶対値として20より大きく上昇することである。そのうえ、固形物質量の変化にも関わらず温度勾配が実質的に変化しない固形物質量の範囲が常に存在する。これらの範囲において、曲線は、絶対値として20を下回る上昇を示す。固形物質量と温度勾配との関係が存在する領域は、本発明に従って調節範囲と呼ぶ。換言すると、当該調整範囲においては、固形物質の量の変化を介して温度勾配に影響を及ぼすことができる。つまり、温度勾配は、固形物質の含有量によってのみ制御若しくは決定することができる(それ以外は同じ条件下で)。
グラファイト化されただけの発射薬の相対最大圧力の初期値は、処理されていない粒体の温度勾配に依存し、配合物特有のものである。調整範囲は、発射薬の比表面積に依存する。比表面積(重量当たりの面積)は、形状(チャネルの数を含む)及びバルク材体積によって測定している。粒体が粗い場合(例えば100mm2/gの範囲における、より小さい比表面積)、調整範囲は比較的狭く(例えば0.06質量%の幅)、その一方で、微細な粒体の場合(例えば1000mm2/gの、より大きい比表面積)、調整範囲は0.5質量%の幅を完全に有することができる(非図示)。そのうえ、調整範囲は、例えば19個の孔を有する粉末の場合、7個の孔を有する粉末より大きい。なぜなら、チャネルの数がより多いと、チャネルを含浸するために、それだけ多くの固形物質が必要とされるからである。
上方の温度範囲における温度勾配は、固形物質の量が増大するにつれて減少する。最も大きい粒体(TLP3)の場合、上方の温度勾配、つまり、"ホットブランチ"は、約107%で始まり、それから"Z曲線"を描いて85%に下降する。平均的な粒体(TLP2)の同じ温度勾配は、(固形物質0.1質量%にて)約111%から(固形物質0.25質量%にて)85%に下降する。同じように、TLP5粒体の"ホットブランチ"も延び、これは(固形物質0.16質量にて)109%から(固形物質0.32質量%にて)85%に下降する。TLP6粒体の上方の温度勾配も比較可能なオーダーを有しており、これは(固形物質0.3質量%にて)約110%から(固形物質0.52質量%にて)85%に下降する。TLP4粒体については、曲線は、(固形物質0.7質量%にて)110%から(固形物質0.55質量%にて)85%に流れる。最小の発射薬(TLP1)の場合、"ホットブランチ"は、(固形物質0.4質量%にて)約108%で始まり、そして(固形物質0.7質量%にて)85%に低下する。
下方の温度範囲においては、温度曲線勾配は、そのつどS状に上昇する。TLP3の"コールドブランチ"は、約95%で始まり、そして105%に上昇する、TLP2及びTLP5の曲線は、86%から同様に105%に上昇する。TLP4若しくはTLP1の相応する曲線は、93%若しくは97%で始まり、そして同様に約105%に上昇する。TLP6についてのみ、"コールドブランチ"は目立って平らである。それは89%から93%に延び、かつ固形物質の更なる添加によってさらに影響を及ぼされ得ない。異なる挙動は、未加工の粒状体の別の配合により説明することが可能である。TLP1〜TLP5が、ニトログリセリン(NGL)とジエチレングリコールジニトレート(DEGDN)若しくはNENAの組合せ物を含んでいる一方で、TLP6のマトリックス中には、DEGDNのみが唯一の可塑剤(爆発性油(Sprengoel))として存在する。他の発射薬と比べてDEGDN粉末が−40℃でも脆化せず、かつ一定の弾性を有することが知られている。したがって、TLP6の場合、柔軟であり続け、かつ脆化しない未加工の粒状体配合物が存在する。TLP6は、下方の温度範囲("コールドブランチ")において、配合物の著しい影響に結び付く挙動を示す。
総じて、粒径が小さければ小さいほど、それだけ一層、比表面積は大きくなり、かつ調整範囲の幅が広くなる。
しかしながら、高い比表面積を有する発射薬の場合の調整範囲は、当該発射薬の表面が完全に含浸された状態とはっきり区別することはできない。表面はまだ含浸されていないが、すでに固形物質がチャネル中に浸入している幅広い遷移範囲が生じる。この効果は、本事例の場合、例えばTLP4及びTLP1に当たる。
この関係は、目的に合わせて最適な発射薬につなげるために利用することができる。発射薬の温度依存性は、温度勾配曲線が交差する場合に最も低い。ここで留意されるべき点は、示した曲線が多数の高圧容器内爆発試験の統計学的評価によって生じることである。つまり、所定の固形物質量での温度勾配は、図1から読み取ることができる値に正確に対応している必要はない。むしろ、個々の温度勾配は、ある程度のばらつきを有している。さらに、交点の位置は、製造条件を実質的に変化させた場合、ある一定の限界値内で移動してよい。しかし、決定的に重要なことは、他の点では同じ条件下で最適条件が存在すること、及びこの最適条件をさらに下で記載した試験法によって各事例において確実に見出すことができることである。
温度勾配曲線は、高圧容器内爆発試験から具体的なウェポンシステムに移行される場合、ある程度の変化を被る可能性がある。しかし、本発明による関係性により、移行されても、目的に合わせて最適な性能を得ることができる。突き止めた相関係数により、高圧容器内爆発試験に基づく曲線と、兵器試験の曲線は相互に変換されることができる。ある特定の製造バッチにおいて、温度勾配が、例えば逆転している場合、固形物質の量を減少させることによって、次のバッチでは反対の温度勾配に合わせることができ、そうして双方のバッチを混合すると所望の最小温度依存性が生じる。
図2は、本発明による栓状物生成と一緒に表面も研磨した時の、約150〜600mm2/gの比表面積の範囲における、比表面積(mm2/g)と、固形物質の平均的な最小値(Min)及び平均的な最大値(Max)(未加工の粒状体を基準として質量%表記したもの)との関係を示す。これらの値から、固形物質の最適な量(Opt)を突き止めることができる。そのうえ、調整範囲全体をEで示している。
必要とされる固形物質の下限値及び上限値は、比表面積に大体比例しているとはっきり認めることができる。これより、
M(固形物質)=K_min×F(比表面積)+オフセット
M(固形物質)=K_max×F(比表面積)+オフセット
ということが導き出され得る。
固形物質の最小量は、比表面積から、それと係数K_minとを掛け算することによって出る;これと同じように、固形物質の最大量は、比表面積から、それと係数K_maxとを掛け算することに相当し、ここで
K_min=0.0009[g/mm2
K_max=0.0014[g/mm2
オフセット=−0.14
である。
固形物質の最適量に当てはめられるのは、
M(固形物質)=K_opt×F(比表面積)+オフセットであり、ここで
K_opt=0.0012[g/mm2
オフセット=−0.14
である。
つまり、上記の係数により、未加工の粒状体の比表面積から出発して、粒体の研磨も固化された栓状物の製造も目的とする有利な方法において温度依存性を調整するために、どれくらいの量の固形物質が使用されるべきか突き止めることができる。
調整範囲は、平均的な直線であるK_min及びK_maxの値によって定義されたものより全体的にいくらか大きい。この範囲は、極限値E_min及びE_max内にあり、ここで
M(固形物質)=E_min×F(比表面積)
M(固形物質)=E_max×F(比表面積)、ここで
E_min=0.007[g/mm2]及び
E_max=0.0017[g/mm2
である。
調整範囲は、必要とされる固形物質量を比表面積に対してプロットした場合、比表面積の増大とともに広がり、そのうえ必要される固形物質量のより高い値に移動する円錐形の範囲に相当する。この調整範囲は、特定の比表面積を有する粒体の特徴を示す。
表面の研磨を、栓状物の形成前又は形成後に置いた別個の工程段階において行う場合、固形物質の必要とされる量は、もはや比表面積に依存しない。これは、図3から読み取ることができる。表面処理のための固形物質の最大量は、
M_max=0.14質量%
である。
それに応じて、表面処理のための固形物質の最小量は、
M_min=0.048質量%
である。
最大量は、さらに添加しても温度勾配がもはや変化しない上限値によって規定している。固形物質の最小量は、温度勾配を2%低下させる。
個々の事例について別記しない限り、質量%は、未加工の粒状体の量に関する。
一般的に、これと関連した表面研磨は、グラファイト化又は、グラファイトと更に別の固形物質の混合物による表面の含浸と同等に扱うことができる。
図4は、TLP粒体の比表面積と、栓状物を形成するために必要とされる固形物質量(グラファイトによる表面コーティングを含む)との関係を再度示す。そのために、固形物質量を、その比表面積によって表される、図1からの上方の温度勾配と個々の粒径の100%曲線との交点に対してプロットしている。点線の曲線は、グラファイト量の最小化に最適化されているドラム内部構造物(バッフル)が使用される場合に、固形物質量が(100%曲線との交点で)比表面積といかなる関係にあるのかを具体的に示す。このグラフが示しているように、20%までの範囲でグラファイト量を減少させることができる。
最適化された方法では、例えば以下の減少させられた固形物質量が生じる:
M(固形物質)=K_min×F(比表面積)
M(固形物質)=K_max×F(比表面積)、ここで
K_min=3/4000[g/mm2]及び
K_max=6/5000[g/mm2
最適な固形物質量は、例えば:
M(固形物質)=K_opt×F(比表面積)、ここで
K_opt=1/1000[g/mm2
である。
特定の構造の(及び特定のバッフルを備えた)ドラム中で様々の未加工の粒状体サンプルが処理される場合、必要とされる固形物質の質量割合は線形上昇する(実線)。(他の)最適化されたバッフルを備えた他のドラムが使用される場合、特定の未加工の粒状体サンプルのために必要とされる固形物質量は比例して減少する可能性がある(点線)。グラファイト量と比表面積との線形関係を、さらにここで付している。よって、様々に最適化されたバッフル若しくは入口が、必要とされる固形物質の量に影響を及ぼし得る。それに対して、ドラムの使用される体積及び使用される充填量、又は未加工の粒状体の表面粗さもグラファイト量に及ぼす量は比較的少ない。
ドラムの周速が固形物質による未加工の粒状体の処理効果に及ぼす影響も留意されるべきである。
更なるパラメータは、ドラムの周速である。したがって、一定の周速を得るために、ドラムの半径若しくは直径に応じて回転速度が合わせられなければならない。より大きなドラムの場合、それゆえ、同じ周速に調整するために、実際に調整パラメータである回転速度が減少されなければならない。TLP2を用いた2つの試験を220kgのドラム中で実施した。それ以外は同じパラメータで、1つ目の試験における周速は380m/分であった。2つ目の試験の場合、それは10%高まった。
220kgのTLP2は、全体で0.1質量%のポリテトラヒドロフラン、0.1質量%のタルク、0.095質量%のグラファイト及び15ml/kgのエタノール溶液(水に溶かした75%のエタノール)とポリテトラヒドロフランにより30℃で処理していた。
120mmの兵器での試験は、試験1に従った処理された粉末に関して、180barの圧力上昇若しくは103.2%のp_max 63℃対p_max 21℃の比を生む。より高い周速で処理された試験2からの粉末に関しては、20barの圧力上昇又は100.3%のp_max(63℃)対p_max(21℃)の比となる。同じ効果は、周速を変えずに固形物質量0.02%を高めることによっても得られることができる。周速をさらに高めると、さらに効果が強まると推測される。
原則的に、同じ周速にて、その他の点で、未加工の粒状体の処理の全てのパラメータが一定に保たれる場合、ほぼ同じ結果物が生じる。
理想的には、粒体直径に対する粒体長さの比は1:1又はそれより20%を超えて異ならない。粒体長さが直径より大きい場合、一般に、同じ比表面積、しかし、1:1の直径に対する粒状体長さの比を有する粒状体の場合に匹敵する効果を得るために、いくらか多量の固形物質を用いる必要がある。
試験は、直径に対する粒体長さの1より小さい比が燃焼特性に悪影響を及ぼす可能性があることを示していた。したがって、長さ対直径の比は、好ましくは1:1又はそれより大きく選択される。
その値を上回ると本発明による処理が上手くいかない臨界比表面積を突き止めた。すなわち、粒体又は粒体中のチャネルが小さすぎると、チャネル孔に栓状物を形成することができない。約1150mm2/gの比表面積を有する粒体の場合、もはや栓状物は形成されないことは明らかである。
600mm2/gの比表面積の場合でさえ、最適な切り込み長さから実質的に逸れると、栓状物が形成されなくなる可能性がある。そのため、例えば、600mm2/gを超える比表面積にて、直径に対する長さの比を1:1から1:2に変えると、もはや所望の信頼性でもって栓状物を形成することができなくなる。
図5は、一定の固形物質量において調節剤が温度依存性に及ぼす影響を示す。その際、固形物質割合は、調整範囲内で選択している。注目すべき点は、ここでは、上方温度範囲と下方温度範囲の温度勾配曲線が成す交点が存在しないことである。下方温度範囲においては、温度勾配曲線が(0質量%の調節剤で)97.5%から(0.4質量%の調節剤で)89%へとほぼ線形に減少する。それに比べて、上方の温度勾配曲線は100%の最小値を0.1〜0.15質量%の範囲において有する。調節剤量を0質量%に減少させた場合、温度勾配は105%に高まり、そして調節剤を0.4質量%に高めると温度勾配は112%に上昇する。
本発明の好ましい観点によれば、調節剤は可能な限り低く選択される。これは、例えば、調節剤を0.1質量%未満の量で用いた場合に達成することができる。ここで、0.1質量%の量が特に有利である。なぜなら、それは最小範囲(0.1〜0.15質量%)の下端にあり、そしてこの場合の温度勾配は100%だからである。
図6は、TLP2の温度勾配曲線の一部を示す。固形物質として0.1質量%のタルクを、異なる量のグラファイト(0.02〜0.11質量%)と組み合わせた。調節剤は、0.1質量%で一定であった(これは図5に記載の最小範囲の下端にある)。上方の温度勾配曲線と下方の温度勾配曲線との交点は、合計してほぼ0.2質量%の固形物質の場合にある(図1を参照されたい)。図6から読み取られる測定値は、2%の統計学的変動幅(温度勾配に関して)を意味している。温度勾配曲線の支点は、経験則による算定規則として利用することができ、具体的な定量値として用いることが可能である。突き止められた曲線は、発射薬配合物、この場合、NC/DEGN/NGLを有するトリプルベース粉末固有のものである。配合を変えると、異なるプロファイルが生じ得る。
図7は、発射薬を切断した写真を示す。ボディー1は、例えば円筒状の外形を有し、例えば5.5mmの直径及び例えば5〜7mmの長さを有する。表面2には、グラファイト層が存在し、これは十分な導電性と平滑な表面をもたらす。ボディー1は、チャネル3を有し、これは、ボディー1の軸方向に向かって延び、例えば0.17mmの直径を有する。図5においては、複数の同様のチャネルの1つだけを見ることができる。チャネル3の口は、固化及び場合により調節剤で接着された固形物質のカバー4で閉じられている。カバー4は気密性であり、火炎の侵入を防ぐ。チャネル3には、栓状物5が静止している。これはカバー4としっかり結合しており、圧縮された(元々は粒状の)固形物質より成る形状安定な部分を形成する。
形作られた栓状物5を有するカバー4は、温度依存性の移動度を有する。すなわち、これは、適用温度の特定の範囲内で着火圧力に耐える。高い温度での燃焼がガス圧のより平坦なプロファイルを生むように、カバー4は、形作られた栓状物5と一緒に、例えば35℃の適用温度から着火圧力に耐え、そのため燃焼するチャネルの数は、この適用温度より高い場合には低い場合より少ない。温度依存性の移動度は、統計学的なパラメータである(すなわち、粒の全ての栓状物が、まさに同じ移動度を有しているというわけではない)ので、多孔粉末は、高い適用温度の場合、低い温度の場合より平均してより少ない孔数で燃焼することができる。
この効果は、US7,051,658(Nitrochemie Wimmis,Nitrochemie Aschau)から自体公知である。本件において新しいのは、温度依存性が基本的に固形物質量の適した選択によってのみ調整され、そしてこの効果を目的に合わせて最適化できることである。
そこで、図8を手がかりにして、発射薬の温度依存性の挙動を最適化するための特に有利な方法を説明する。
概して、以下の通りに行う:
1.発射薬の形状(形、チャネルの数、寸法)を、意図した適用により定める。
2.この所定の形態、ひいては定義された比表面積に基づき、固形物質の最小値を選択する。これは、処理を組み合わせた場合(グラファイト化+栓状物形成)、存在する特定の未加工の粒状体を研磨するために通常必要とされる量を超える。
3.次いで、種々の調節剤量(極めて低い、平均的、比較的高い)を用いて試験処理を実施し、温度勾配曲線の平坦な範囲を調べる。
4.未加工の粒状体が処理中に溶媒量を吸収することができるように、溶媒量を適合させる。
5.次いで、グラファイト量を測定する。試験処理は、温度勾配と固形物質量との関係を試験で確認できるように仕向けられていなければならない。温度効果が確認できない場合、固形物質量は低すぎる。逆の範囲にある場合、固形物質量は高すぎる。
自体公知の方法において、粉末ペースト10を、例えば、ニトロセルロース58質量%、ニトログリセリン26質量%とジエチレングリコールジニトレート16質量%を混練することによって調製する。安定剤として、例えばアカルジットIIを使用してよい。粉末ペーストの量は、例えば8000kgである。このいわゆる"バッチの大きさ"は、適用に応じて別の形で選択されていてもよく、以下では量比の数値例として単に用いる。
粉末ペースト10から、押出11によって未加工の粒状体12を製造する。押出ダイは、例えば、0.15〜0.20mmの範囲の内径を有する19個の孔を作り出す。これらの孔は、すべて同じ大きさである必要はなく、例えば、2つの異なる孔径を提供することが好ましくあり得る。簡略化のために、本実施例では同じ大きさの孔から出発する。
このようにして製造した未加工の粒状体12のバッチから、例えば10kgの3つの等しい部分量12.1を取り出す。1つ目の試験処理16.1においては、1つ目の部分量12.1を、第一の調節剤試験量13.1及び固形物質の試験量14.1と混合装置15(例えば回転式処理ドラム)中で本発明に従って加工することで、固化された栓状物(図6に示す通り)が生じる。2つ目の試験処理16.2においては、同じ混合装置15中で、2つ目の部分量12.1、2つ目の調節剤試験量13.2及び固形物質の試験量14.1を、それ以外は1つ目の試験量12.1と同じ方法条件下で加工する。意味内容に従って、3つ目の試験処理16.3では、部分量12.1、調節剤の試験量13.3及び固形物質の試験量14.1を加工する。これらの3つの試験処理16.1〜16.3においては、単に調節剤の試験量13.1〜13.3のみが異なる。これらは、例えば0.05質量%、0.15質量%及び0.25質量%に規定する。固形物質量の試験量14.1は同じ量であり、例えば未加工の粒状体の比表面積の調整範囲の真ん中にある(図2及び図3)。
これら3つの試験処理16.1、16.2、16.3から取得される発射薬を、高圧容器内でその温度依存性に関して試験し、そして図4に基づき説明される調節剤量に関しての温度依存性の最小範囲を調べる。この試験17.1に基づき、ユーザーは、調節剤量の適した値を選択することができる。その際、調節剤量は、好ましくは最小範囲の下端で選択する。選択した調節剤量13.4(例えば図4に記載の発射薬の場合には0.08質量%)は、次の試験段階(及び後続の製造段階)のために維持する。
次の段階では、未加工の粒状体12のバッチから、3つの更なる等しい部分量12.2を再び10kg毎に分ける。1つ目の部分量12.2は、1つ目の試験処理段階に基づき選択した調節剤の試験量13.4(これは、通常、調節剤量の試験量13.1〜13.3には相当しない)及び1つ目の固形物質の試験量14.2と混合装置15中で本発明に従って加工することで(試験処理16.4)、固化された栓状物が生じる。同じ混合装置15中で、2つ目の部分量12.2、調節剤の試験量13.4及び固形物質の試験量14.3を、それ以外は1つ目の部分量12.2と同じ方法条件下で加工する(試験処理16.5)。意味内容に従って、3つ目の部分量12.2の場合、調節剤の試験量13.4を固形物質の試験量14.4と加工する(試験処理16.6)。これらの3つの試験処理16.4〜16.6においては、単に固形物質の試験量14.2〜14.4のみが異なる。これらは、例えば0.5質量%、0.6質量%及び0.7質量%に、図1におけるTLP1型の未加工の粒状体の場合に規定する。調節剤の試験量13.4は同じ量である。概して、固形物質の試験量は、固形物質の最小値、最適値及び最大値に、図2若しくは図3に従って規定することができる。好ましくは、3つの固形物質の試験量は、温度勾配曲線のプロファイルを確実に突き止めることができ、かつS特性又はZ特性の平坦な範囲において両側で存在しないように、調整範囲の半分未満しか異ならない。
これらの3つの試験処理16.4、16.5、16.6から取得される発射薬を、高圧容器内でその温度依存性に関して試験し、そして図1に基づき説明される固形物質量に関しての温度依存性の交差範囲を調べる。この試験17.2に基づき、ユーザーは、固形物質量の適した値を選択することができる。その際、固形物質量は、好ましくは温度勾配曲線のおよそ交点で選択する。図5に記載の発射薬の場合、最適な固形物質量は、約0.09質量%のグラファイト+0.1質量%のタルクである。図5の例の場合、固形物質量は、全体的に約0.08質量%のグラファイトと0.1質量%のタルク(つまり、計0.18質量%の固形物質)であってもよく、なぜなら、これは依然として十分に交点付近であり(すなわち、固形物質の差が10%未満)、同時に上方の温度範囲(21〜63℃)における温度勾配を100%付近で有しているからである。
選択した調節剤と固形物質量を、製造18において用い、これは典型的には200kg以上のバッチで行う。実際には、ある一定の間隔(すなわち、ある一定の製造バッチにおいて)で、発射薬が依然として目標の特性を有するか否かを調べる。温度依存性が変化する限りにおいては、固形物質量を適宜合わせることにより手を加えてよい。調節剤の含有量を変える必要はなく、変えるべきでもない。固形物質量がどちらかと言えばいくらか高められるべきか又は下げられるべきか否かは、試験17.2の結果を基にして決めることができる。固形物質は発射薬に対して不活性であるので、製造パラメータ(固形物質量)の変化により不所望な副作用が起きないことが保証される。目的に合わせて温度依存性にのみ影響を及ぼすことができる。
使用される物質(固形物質、調節剤)と未加工の粒状体との相容性は、個別的に適した測定法を用いて確かめることができる。例えば、未加工の粒状体と表面処理材料との強力な混合操作から、80℃にて熱流束熱量計(WFK)で大規模な発熱について試験するか、又は表面処理材料を過剰量で未加工の粒状体に施与するか若しくは未加工の粒状体に拡散させる。これらの試料は90℃の加熱減量試験に掛けるか又はWFKで試験する。相容性を測定するための更に別の試験が、係る表面処理材料/未加工の粒状体−混合物の爆燃温度の測定である。
液体及び固形物質並びに固形物質/液体の比は、固形物質粒子が凝集せずに、それらが完全な移動性を有するように選択される。このことは、チャネルの口に栓状物を形成するために重要である。
基本的に、発射薬の適用温度範囲内で化学的に安定であり、発射薬の配合物と相容性であり、ひいては化学的な寿命に悪影響を及ぼさない任意の固形物質又は任意の固形物質混合物を使用することができる。そのうえ、固形物質は、全体的な製造範囲、燃焼範囲及び貯蔵温度範囲において溶融してはならず、かつ寿命全体にわたって、発射薬の粒体から本質的な割合が昇華消失及び/又は拡散侵入してはならない。有利には、融点が最大使用温度を少なくとも10℃、殊に20℃上回る物質が選択される。有利なのは、90℃より高い融点を有し、かつ発射薬配合物に溶けないか又はいずれにしても非常に僅かにしかそこに溶けない物質である。
有利なのは、そのうえ、発射薬に好ましい影響を及ぼす固形物質又は固形物質混合物である(LOVA特性=低脆弱性弾薬、高い嵩密度、良好な流動性、焼食抑制性、消炎性、高エネルギー容量、導電性及び良着火性)。
該固形物質又はそれらの混合物は、なかでも不活性の物質である。
発射薬の着火性に基づき、不活性の固形物質又はそれらの混合物は可能な限り少量で使用されなければならない。
調節剤として、固体又は液体の物質が用いられる。その際、固体の調節剤は、第三の成分として用いられる低粘性液体に溶解していなければならない。液体の調節剤又は調節剤溶液は、低粘性液体に乳化した状態で存在していてもよい。
調節剤として適しているのは、原則的に、未加工の粒状体の基本となる配合物との良好な化学的相容性及び僅かな揮発性を示す(例えば21℃にて<10-2barの蒸気圧)あらゆる固体及び液体の物質である。その際、調節剤は、純物質として又は物質混合物として用いることができる。
用いられる調節剤は、一般的に不活性の物質である。しかし、高エネルギー"調節剤"を用いることができるということも全くもって可能である:しかしながら、これらは、表面処理プロセスの間、後の弾薬組み立て若しくは弾薬輸送及び弾薬使用に際しての機械的負荷に対して不感でなければならない。
調節剤は、発射薬マトリックスに可溶性であるか又は不溶性であるかのいずれかであってよい。調節剤が可溶性である場合、これは鈍感剤とも呼ばれ、相応してこの自体公知の作用を用いることもできる。
発射薬マトリックスに可溶性の調節剤を用いた場合、発射薬の最外層での表面処理に際して濃度勾配が形成される。この濃度勾配は、発射薬の寿命が続く間、拡散によって壊れ、これにより発射薬の燃焼特性に必ず変化が加えられる。これは、たいていの場合、より高いビバシティーとピークガス圧となって顕在化し、これは弾動特性に悪影響を及ぼし、かつ極端な場合では兵器を破壊する可能性がある。
発射薬のこの(拡散プロセスが原因の)弾動の不安定性は起こってはならない。それゆえ、調節剤の拡散問題は、発射薬の表面処理における非常に大事な意味を持つ。拡散現象は、発射薬の組成、用いられる調節剤の種類及び温度に依存する。
爆発力を持つ油の高い濃度を有するダブルベース又はマルチベースの発射薬が使用される場合、調節剤の拡散は比較的強く促進される。それゆえ、本発明による表面処理は、発射薬の貯蔵中に、拡散による砲内弾動特性の変化が生じないか又は僅かにしか生じないように仕向けられていなければならない。微量に拡散する調節剤が用いられる場合、十分少ない量が使用されなければならないか、又は拡散プロセスが弾薬組み立て前に実際に終えていることが保証されていなければならない。
特に良く適した低粘性液体の例は、水、水とメタノールの混合物、水とエタノールの混合物、水とプロパノールの混合物、水とアセトンの混合物、水とテトラヒドロフランの混合物、並びにペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、トルエン、塩化メチレン及びそれらの混合物である。
上述の物質を用いて、多孔発射薬が研磨ドラム中で処理される。そのために、鋼製又は銅製の任意の大きさの研磨ドラムの容積(その際、最小容積は約10リットルに制限されている)に、部分的に多孔発射薬が入れられる。目標とされる充填度は、その際、5〜50%、有利には10〜40%である。発射薬は、グラファイト化されていないか又はグラファイト化されていてよい。そのために、回転させながら、まず固形物質又は固形物質混合物が施与され、そして均一に発射薬の表面全体に分散させられる。用いられる発射薬がすでに十分グラファイト化されている場合、場合によっては固形物質をさらに導入しなくてもよいか、又は付加的に別の固形物質をそれに加えてもよい。次いで、低粘性液体と調節剤若しくは調節剤混合物との溶液が加えられる。重合可能な調節剤の架橋が所望される場合、この溶液は、付加的にさらに重合開始剤を含む。
安全技術的な配慮(発射薬の輸送に際しての静電帯電)から、粉末は常に導電性材料で覆われていなければならないので、組合せ処理の場合、固形物質成分の少なくとも1つは、グラファイトダスト又はアセチレンブラックのいずれかであるべきである。
本発明による処理の場合、発射薬粒体の可能な限り最適な流動下で、かつ0℃〜90℃、有利には20℃〜70℃の温度で一定の時間、添加した物質を発射薬表面に作用させることができる。その際、作用プロセスの継続時間は、5分間〜4時間、有利には15分間〜120分間である。研磨ドラムは、作用時間中(使用される液体の蒸気圧に応じて)気密封止されていなければならない。
作用時間後、気密性の処理装置の場合、通常は充填穴の蓋を取り出し、そうして低粘性液体の大部分を揮発させることができる。この蒸発プロセスも時間的に正確に制御しなければならない。その際、時間間隔は5分間〜4時間であってよく、有利には10分間〜120分間蒸発させられる。蒸発は、更に別の措置によってさらに支援若しくは促進させることもできる。例えば空気流又は不活性ガス流を、湿った発射薬に導いてもよい。しかしながら、液体により洗浄を行ってはならず、それというのも、さもなければ栓状物が洗い出されてしまうからである。
非重合性の調節剤の場合、処理された発射薬は、引き続き乾燥プロセスに掛けられる。その際、溶媒の残る痕跡量が除去され、処理工程が安定化される。そのために、発射薬は、典型的には60℃で約3日間、循環空気庫内に静置させられる。それにより、例えばエタノールが完全に(<0.01質量%)除去され得る。仕上がった粉末の乾燥に掛かる時間は、固化された栓状物を固形物質から作り出す必要のないプロセスの時より長い。
ラジカル重合可能な調節剤が用いられ、かつ重合反応が実施されることになる場合、付加的に相応する重合開始剤が添加される。発射薬の処理は、可能な限り低い温度で実施され、かつ低粘性の液体は同じ温度で除去される。有利には、処理は室温で実施される。引き続き、発射薬から真空下で溶媒残分と空気中酸素が除去され、不活性ガス下に置かれる。代替的に、空気中酸素を排出するために、発射薬を不活性ガスのみを用いてパージすることも可能である。不活性ガスとして、例えばアルゴン又は窒素を使用してよい。その時になって初めて、発射薬コンパウンドは必要とされる重合温度に不活性ガス下で加熱され、通常、この温度は処理温度を30℃〜60℃上回る。
例えば室温で処理される場合、室温では熱的に安定であるが、50℃〜80℃では非常に素早く相応するラジカルに分解する重合開始剤が用いられる。
重合開始剤の分解半減期とは、開始剤の半分が特定の温度でラジカルに分解する期間である。この分解半減期は、その非常に大事な意味ゆえに、全ての市販の熱開始剤において知られている。それから重合反応が可能な限り完全に進行するように、特定の温度での重合期間は、この温度で用いられる開始剤の分解半減期の4〜6倍に設定される。次いで、発射薬は直接空気中で又は不活性ガス下で室温に冷却される。重合可能な調節剤の施与のために有利には低沸点の無極性溶媒が使用されるので、発射薬は、真空引き及び重合後、実際には溶媒不含である。
上で説明したプロセスにより、チャネル孔が入口領域で、使用される固形物質又は固形物質混合物から主として成る緻密に圧縮された栓状物により閉じられるようになる(図6)。
その際、低粘性の液体及び/又は発射薬に溶ける調節剤(鈍感剤)により、栓状物は付加的に固化され、かつチャネル孔内に固定されるようになる。
高い粉末温度で燃やされた場合、栓状物はチャネル孔内で実際に安定して固定され、そしてその場に留まることが観察された。それによって、1つ目の燃焼段階において発射薬の着火プロセスは、形状関数の変化によって従来の挙動とは異なっており、それゆえ高い温度での固有の迅速な粉末燃焼が強く補われる。同じ発射薬が室温で着火された場合、形状関数は、より迅速な表面増大が生じるという意味で変化し、それによりガス形成速度は高い使用温度での速度に合わせられることができるようになる。最後に、非常に低い発射薬温度でも、ガス形成速度が、多孔発射薬における形状関数に関して従来の挙動を達成することに基づき、未加工の粒状体のそれに順応することを観察した。
発射薬の穿孔中での燃焼は、それゆえ、粉末温度が上昇する中で形状関数に対して処理に基づく影響を及ぼすことによって抑制される。これは、温度上昇とともにより速度が増すことになる発射薬の燃焼速度を抑える。理想的には、双方の効果が互いに補い合うことで、表面処理された発射薬は温度非依存性の燃焼挙動を示すことになる。
表面処理成分が正しく選択された場合、この効果は、処理された発射薬が促進エージング(例えば63℃で4週間の貯蔵)に掛けられるか、若しくは非常に長期間室温で貯蔵される場合にも引き続き保持される。したがって、表面処理された発射薬は、良好な弾動安定性を有し、すなわち、この発射薬が装填された弾薬は、確実にかつ性能を保ったまま発射されることができる。
図9a,bは、熱処理前(a)と熱処理後(b)の未加工の粒状体マトリックス中での調節剤の分散を概略的に示す。横軸は、チャネルと垂直な未加工の粒状体の断面に相当する。縦軸には、調節剤の濃度をプロットしている。
表面処理の間、調節剤は未加工の粒状体1のマトリックス中にいくらか拡散する。したがってその時、その濃度は、大部分が表面2付近とチャネル3の外側にある(図9a)。
熱処理によって、調節剤の均一な分散が未加工の粒状体マトリックス1中で得られる(図9b)。それによって調節剤の勾配は存在しなくなり、これはさらに拡散し得なくなる。そうして、時間の経過とともに発射薬の弾動変化が起こることが回避される。選択的に、調節剤のマイグレーションは、貯蔵中に調節剤を、例えば重合によって固定することによって防止することもできる。
図10a,bは、兵器中で発射した際の未加工の粒状体の処理の好ましい効果を概略的に示す。図10aには、ピーク圧力が温度に従って示されている。温度値として、例えばTmin=−40℃、Tnorm=+21℃及びTmax=+63℃を想定することができる。一方で他の値も可能である。図10bは、初速と温度の関係を示す。処理していない粒(未加工の粒状体)は、線形の挙動を示し、すなわち、その圧力若しくはその初速は、温度の上昇とともに上昇する。
それに対して、処理された発射薬は、明らかに平坦なプロファイルを示す。殊に、高温時の圧力値、或いはまたそれと同じように初速は、通常の温度の値より低い。
弾薬は、一方ではその性能の点で最適化することができる。相応の発射薬は、処理されていない未加工の粒状体と比較してより平坦な温度挙動を示す。ここで、しかしながら、下方の温度範囲T_minにおける最大圧力は著しく上げられる。これは初速の上昇をもたらし、ひいては性能の上昇につながる。
弾薬はまた、砲身腐食の抑制に関しても改善されていてよい。それは総じて、性能が最適化された発射薬と比べてより低い圧力を有する。重要なことは、上方の温度範囲T_maxにおける最大圧力が著しく下げられていることであり、これにより砲身腐食に対する保護が改善される。
図11からは、異なる強さで処理された発射薬の実際の混合物を導き出すことができる。理想的な形では処理されなかった粒体又は処理されなかった粒体(未加工の粒状体)を、逆の温度挙動を有する(すなわち−40℃でのガス圧が63℃の時より高い)極端に強く処理された粒体と混合することによって、非常に平坦な、ほぼ最適化された温度プロファイルを示す発射薬を作り出すことができる。
図11は、使用される固形物質量に依存したTLP2の温度勾配曲線を示す。2つの点(aとb)を印付けている。TLP2a(上方の点)の場合、処理の効果は非常に乏しく、かつ63℃における最大ガス圧は2.1%しか下がっていない。21℃(Δa)での最大ガス圧に対する63℃での最大ガス圧の比率は、なおも108.8%(初めは110.9%)である。それに対して、TLP2b(下方の点)の処理の効果は非常に強い。21℃(Δb)での最大ガス圧に対する63℃での最大ガス圧の比率は、僅か89.0%にしか過ぎない。
量(TLPa)/量(TLPb)=Δb/Δa
双方の異なる形で処理された発射薬は、それから最適な温度勾配を有する発射薬へと混合してよい。このケースにおいては、TLP2aとTLP2bの混合物は約54:46の比において最適な挙動をもたらす。特別なケースにおいては、非線形の効果を考慮することが好ましいこともある。
選択的に、最適な温度勾配を有する発射薬を得るために、未加工の粒状体GKをTLP2bと混合することも可能である。
後記した例に関して、以下の内容を言及しておく:
・ 発射薬原料は、ニトロセルロース58%、ニトログリセリン26%及びジエチレングリコールジニトレート16%から製造した。安定剤としてアカルジットIIを使用した。
・ 孔を有する未加工の粒状体は、19個のダイ孔を備えた押出プレスにおいて製造した。ダイ寸法は、例でそのつど示している。
・ 実際に温度非依存性の燃焼挙動を有する表面処理された未加工の粒状体は、SCDB(表面被覆ダブルベース(Surface Coated Double Base))発射薬粒体とも呼ぶ。
例1
12.3mmの外径を有し、かつ0.18mmの内径を有する19個の連続チャネルを有する未加工の粒状体を出発材料として用いる。回転ドラム中で、未加工の粒状体220kgを、グラファイト187g(0.085質量%)及びタルク220g(0.16質量%)で10分間処理する。その際、固形物質は未加工の粒状体の表面上に均一に分散させる。その後、液体としてエタノール2780g(75体積%、未加工の粒状体1kg当たり15ml)及びポリテトラヒドロフラン220g(0.16質量%)を添加し、そして気密封止したドラムで1時間処理を行う。次の工程では、ドラムを開放し、かつドラムを30分間にわたり運転させて溶媒を蒸発させる。処理温度は30℃である。その後、処理した未加工の粒状体を55℃にて70時間にわたり乾燥させる。
例2
更に別の例では、例1と同じ(外径12.3mm、19個の孔を持つ粉末、チャネルの内径0.18mm)形状の未加工の粒状体55kgを30℃に予熱し、そしてグラファイト90.75g(0.165質量%)と混合する。固形物質が均一に表面上に分散されたら即座に、エタノール2780g(75体積%、未加工の粒状体1kg当たり15ml)及びポリテトラヒドロフラン165g(0.3質量%)を添加する。ドラムを閉じて30℃で60分間にわたり撹拌し、引き続き30分間にわたりドラムを開けて運転させながら蒸発させる。処理した未加工の粒状体を60℃にて140時間にわたり乾燥させる。
例3
12mmの直径及び0.20mmのチャネルの内径を有する、19個の孔を持つ未加工の粒状体220kgを、30℃にてグラファイト0.40質量%で10分間にわたり処理する。次いで、エタノール(75体積%、未加工の粒状体1kg当たり10.6ml)及びポリテトラヒドロフラン0.08質量%を添加する。混合物を、閉じたドラムで30℃にて60分間にわたり撹拌し、引き続き溶媒を30分間にわたりドラムを開けて運転させながら蒸発させる。処理した未加工の粒状体を60℃にて72時間にわたり乾燥させる。
まとめると、本発明は、固形物質量を適切に変化させることに基づき温度依存性を調整するための方法を提供するものであると言うことができる。この方法は、固化された不活性材料から成る栓状物が発射薬のチャネル内で形成され、これが固形物質量によって制御される温度依存性の移動度を有するという点で、燃焼挙動の形状関数に影響を及ぼす。
1 ボディー、 2 表面、 3 チャネル、 4 カバー、 5 栓状物、 10 粉末ペースト、 11 押出、 12 未加工の粒状体、 12.1 3つに等分した部分量、 13.1〜13.3 調節剤の試験量、 14.1 固形物質の試験量、 15 混合装置、 16.1〜16.3 試験処理、 17.1 温度依存性の最小範囲を調べる試験、 12.2 3つに等分した部分量、 14.2〜14.3 固形物質の試験量、 13.4 調節剤の試験量、 16.4〜16.6 試験処理、 17.2 温度依存性の交差範囲を調べる試験、 18 製造

Claims (26)

  1. 射薬を製造するための固形物質の使用であって、混合及び乾燥法において該固形物質を液体と一緒に未加工の粒状体のチャネル内に組み込んで、該チャネル内で固化して栓状物を形成する方法において使用し、その際、該固形物質は、融点が該発射薬の最大使用温度を少なくとも10℃上回り、かつ該未加工の粒状体に対して不活性な物質である、該固形物質の使用において、該固形物質を、固形物質以外の点では該方法の同じ条件下で、該未加工の粒状体の質量を基準として>0〜0.5質量%の調整範囲内で調整することで、より多量の固形物質の量を用いて、適用温度範囲の上方の温度範囲においては最大圧力をより強く下げ、かつ適用温度範囲の下方の温度範囲においては最大圧力をより強く上げ、該固形物質の量を、下方と上方の温度範囲における温度係数が95%から105%の間にあるように前記調整範囲において選択し、かつ調節剤を、0.05〜0.2質量%の量で用いることを特徴とする、該固形物質の使用。
  2. グラファイト化と栓状物形成の双方を実施する組合せ法において、前記固形物質を、該グラファイト化のために必要な前記発射薬の量値と前記調整範囲内にある量値との合計に相当する量で使用することを特徴とする、請求項1記載の使用。
  3. 前記固形物質を、以下の式:
    M(固形物質)=K_min×F(比表面積)+オフセット
    M(固形物質)=K_max×F(比表面積)+オフセット
    に従った、K_minとK_maxによって定義される範囲内の量で選択し、ここで、
    M(固形物質)は、前記未加工の粒状体の質量を基準として質量%で表される固形物質の量であり、
    F(比表面積)は、mm2/gで表される前記未加工の粒状体の比表面積であり、かつ
    K_min=0.0009[g/mm2
    K_max=0.0014[g/mm2
    オフセット=−0.14
    であることを特徴とする、請求項2記載の使用。
  4. 所定の適用温度範囲内での温度依存性が減少した発射薬の製造方法であって、以下の工程:
    a)最大0.3mmの特徴的な横断寸法を有し、かつ未加工の粒状体の外面に通じる少なくとも1つの連続チャネルを備えた所定の幾何学的構造を有する膨潤可能な未加工の粒状体を準備する工程;
    b)適用温度範囲において安定しており、かつ該未加工の粒状体に対して不活性であり、該連続チャネル内に挿入可能な粒径を有し、そして混合及び乾燥法の範囲内で圧縮され得る固形物質を準備する工程;
    c)該未加工の粒状体を膨潤させることができ、そして該発射薬の製造の最後に完全に除去することができるか又は該発射薬に均一に分布して含まれる液体を準備する工程;
    d)ここで、該液体は、調節剤として機能するオリゴマー若しくはポリマーの物質を、該未加工の粒状体の質量を基準として、0.05〜0.2質量%含有し、かつ該液体のその他の部分は低粘性溶媒であり、該低粘性溶媒は、水、水とメタノールの混合物、水とエタノールの混合物、水とプロパノールの混合物、水とアセトンの混合物、水とテトラヒドロフランの混合物、並びにペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、トルエン、塩化メチレン及びそれらの混合物からなる群から選択され
    e)該未加工の粒状体を、該液体及び該固形物質で、混合装置中で所定の時間にわたって処理する工程;
    f)該処理された未加工の粒状体を、所定の時間にわたって乾燥する工程
    )該発射薬の温度依存性を調整するために、固形物質の量を、栓状物を形成するために>0〜0.5質量%の調整範囲内で調整することで、調整範囲以外の点では該方法の同じ条件下で、より多量の固形物質量を用いて、適用温度範囲の上方の温度範囲においては最大圧力をより強く下げ、かつ適用温度範囲の下方の温度範囲においては最大圧力をより強く上げる工程;
    を有する製造方法において、該固形物質量を、下方と上方の温度範囲における温度係数が95%から105%の間にあるように前記調整範囲において選択することを特徴とする方法。
  5. 前記未加工の粒状体を、伝導性の増大及び前記未加工の粒状体の癒着の回避のために用いられるグラファイト化の範囲内で、混合装置中でのその処理に先行して、前記未加工の粒状体の比表面積に合わせられたM(固形物質)量のグラファイトでコーティングすること、並びに前記栓状物を形成するための前記固形物質量を、
    0<M(固形物質)≦M_max
    の範囲内で選択し、その際、
    M(固形物質)は、前記未加工の粒状体の質量を基準として質量%で表される固形物質の量であり、
    M_max=0.14質量%
    であることを特徴とする、請求項4記載の方法。
  6. 前記固形物質がグラファイトを包含すること、並びに前記固形物質の量が、伝導性の増大及び前記未加工の粒状体の癒着の回避のために用いられるグラファイト化の範囲内で必要なグラファイト量と、前記調整範囲内で選択される固形物質量との合計であることを特徴とし、そのため前記固形物質量は、
    K_min×F(比表面積)+オフセット≦M(固形物質)≦K_max×F(比表面積)+オフセット
    の範囲内で選択し、ここで、
    K_min=0.0009[g/mm2
    K_max=0.0014[g/mm2
    オフセット=−0.14
    あることを特徴とする、請求項4記載の方法。
  7. 前記固形物質量は、
    M(固形物質)=K_opt×F(比表面積)+オフセット
    K_opt=0.0012[g/mm 2
    オフセット=−0.14
    によって示されることを特徴とする、請求項6記載の方法。
  8. 前記膨潤可能な未加工の粒状体が、600mm2/gを上回らない比表面積を有することを特徴とする、請求項4からまでのいずれか1項記載の方法。
  9. 前記膨潤可能な未加工の粒状体が、少なくとも1:1の長さ対直径の比を有することを特徴とする、請求項4からまでのいずれか1項記載の方法。
  10. 前記固形物質量を、下方と上方の温度係数を規定する温度勾配曲線の交差範囲において選択することを特徴とする、請求項4からまでのいずれか1項記載の方法。
  11. 前記調節剤量を、上方の温度係数を規定する温度勾配曲線が最小値を示す範囲において選択することを特徴とする、請求項4から10までのいずれか1項記載の方法。
  12. 前記溶媒を、前記未加工の粒状体と前記液体及び前記固形物質との混合装置中での前記処理の所定の時間内で完全に吸収され得る量で準備することを特徴とする、請求項4から11までのいずれか1項記載の方法。
  13. 前記固形物質量を調べるために、異なる固形物質量を有する少なくとも3つのバッチを処理し、その際、前記固形物質量は、前記未加工の粒状体を基準として最大0.2質量%異なることを特徴とする、請求項4から12までのいずれか1項記載の方法。
  14. 前記バッチの前記固形物質量が0.1質量%異なることを特徴とする、請求項13記載の方法。
  15. 前記固形物質量を、ほぼ比例して>0からM(固形物質)に高めて、上方の温度範囲において相対最大圧力を、ほぼ比例して105%から95%に下げるか;ここで、
    M(固形物質)=K_max×F(比表面積)+オフセット、
    ここで、
    M(固形物質)は、前記未加工の粒状体の質量を基準として質量%で表される固形物質の量であり、
    F(比表面積)は、mm2/gで表される前記未加工の粒状体の比表面積であり、かつ
    K_max=0.0014[g/mm2
    オフセット=−0.14である、又は、
    前記固形物質量を、ほぼ比例して>0からM(固形物質)=K_max×F(比表面積)+オフセットに高めて、下方の温度範囲において相対最大圧力を、ほぼ比例して87%から105%に高めることを特徴とする、請求項4から14までのいずれか1項記載の方法。
  16. 前記チャネルが、0.1〜0.2mmの特徴的な横断寸法を有することを特徴とする、請求項4から15までのいずれか1項記載の方法。
  17. 前記調節剤の量を0質量%から0.4質量%の範囲において高めて、前記下方の温度範囲において相対最大圧力を97%から88%に下げるか、又は前記調節剤量を0質量%から0.15質量%に高めて、前記上方の温度範囲において相対最大圧力を105%から100%に下げることを特徴とする、請求項4から16までのいずれか1項記載の方法。
  18. a)押出された前記未加工の粒状体のバッチから、少なくとも1つの第一の部分量及び少なくとも1つの第二の部分量を、特定の混合及び乾燥法において、特定の固形物質試験量及び少なくとも2つの異なる調節剤試験量で加工し、それにより上方の温度範囲における温度勾配の最小範囲を調べ、かつ該最小範囲にある調節剤量を選択し、
    b)前記未加工の粒状体のバッチから、少なくとも2つの更なる部分量を、該特定の混合及び乾燥法において、選択した調節剤量及び少なくとも2つの異なる固形物質試験量で加工し、それにより上方と下方の温度勾配の交差範囲を調べ、かつ固形物質量を選択すること、並びに
    c)前記バッチの製造量を、特定の混合及び乾燥法において、選択した調節剤量及び選択した固形物質量で加工すること
    を特徴とする、請求項4から17までのいずれか1項記載の方法。
  19. 前記混合及び乾燥法が、以下の工程:
    a)未加工の粒状体、固形物質及び低粘性液体を混合装置に加える工程、
    b)その際、該固形物質は、融点が発射薬の最大使用温度を少なくとも10℃上回り、かつ該未加工の粒状体に対して不活性な物質であり、
    c)前記調節剤は、該未加工の粒状体のベース配合物と良好な化学的相容性及び僅かな揮発性、すなわち21℃で<10-2barの蒸気圧を有する物質であり、
    d)該低粘性液体は溶媒又は溶媒混合物であり、これは、栓状物を安定させる固体若しくは液体の調節剤を非常に良好に溶解するか又は微細に乳化することができるが、しかしながら、該未加工の粒状体を膨潤させることができないか又は非常に僅かしか膨潤させることができず、かつ該未加工の粒状体の質量を基準として0.1質量%〜5質量%の量で用いられ、該低粘性液体は、水、水とメタノールの混合物、水とエタノールの混合物、水とプロパノールの混合物、水とアセトンの混合物、水とテトラヒドロフランの混合物、並びにペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、トルエン、塩化メチレン及びそれらの混合物からなる群から選択され、
    e)その際、該混合装置中で回転させながら、該固形物質を、混合物により及ぼされる粉末材料圧力の作用下で漸次的に該未加工の粒状体のチャネル内に組み込む工程、
    f)並びに、その後に該液体を、該混合装置によって続けて加工しながら、該未加工の粒状体から蒸発させることによって除去する工程、
    g)並びに、このようにして処理された該未加工の粒状体を、高められた温度で乾燥する工程であって、
    h)該乾燥を、チャネル内で不揮発性固形物質の圧縮及び固定された部分が作り出されるように行い、これにより、使用した固形物質と任意の調節剤から主として成る温度依存性の移動度を有する栓状物が形成され、同時に該栓状物は、制御された形で着火圧力波に対する耐性を持ち得、その際、該栓状物の強度は、該混合装置中での処理時間によって、より長い処理時間が、より強度のある栓状物をもたらすという意味に従って調整する、
    i)より低い適用温度の場合に、より高い適用温度の場合より高い移動度が付与されるように行い、そうして該栓状物は、より低い適用温度の場合に、より高い適用温度の場合より強い孔燃焼を可能にして、発射薬燃焼の温度非依存性が低下する
    を包含することを特徴とする、請求項18記載の方法。
  20. 前記固形物質が、以下の物質:グラファイト、タルク、酸化チタン、カーボンブラック、硫酸カリウム、カリウム氷晶石、ナトリウム氷晶石、炭酸カルシウム、三酸化タングステン、三酸化モリブデン、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、アカルジット、セントラリット、炭酸カルシウム、オキサルアミド、カルバミン酸アンモニウム、蓚酸アンモニウム、セルロースアセテートブチレート、過塩素酸カリウム、硝酸カリウム、硝酸バリウム、蓚酸ナトリウム、フラーレン、又は官能基を有するか若しくは有さない、線状、分岐状若しくは架橋したポリマー及びコポリマーの1種以上を包含することを特徴とする、請求項4から19までのいずれか1項記載の方法。
  21. 前記発射薬の乾燥を、少なくとも60時間のあいだ、かつ、60℃で行うことを特徴とする、請求項4から20までのいずれか1項記載の方法。
  22. 調節剤として、500〜3000ダルトンの分子量を有するポリエーテルを使用することを特徴とする、請求項4から21までのいずれか1項記載の方法。
  23. 前記混合装置を、作用時間中、気密封止され続けたままであること、及び前記装置が続けて、前記液体の蒸発のために、5分間〜4時間の範囲における特定の時間間隔にわたって開放されていることを特徴とする、請求項4から22までのいずれか1項記載の方法。
  24. なくとも2つの処理の異なる発射薬(TLPa、TLPb)の混合物としての発射薬の製造方法であって、それぞれ以下の工程:
    a)最大0.3mmの特徴的な横断寸法を有し、かつ未加工の粒状体の外面に通じる少なくとも1つの連続チャネルを備えた所定の幾何学的構造を有する膨潤可能な未加工の粒状体を準備する工程;
    b)適用温度範囲において安定しており、かつ該未加工の粒状体に対して不活性であり、該連続チャネル内に挿入可能な粒径を有し、そして混合及び乾燥法の範囲内で圧縮され得る固形物質を準備する工程;
    c)該未加工の粒状体を膨潤させることができ、そして該発射薬の製造の最後に完全に除去することができるか又は該発射薬に均一に分布して含まれる液体を準備する工程;
    d)ここで、該液体は、調節剤として機能するオリゴマー若しくはポリマーの物質を、該未加工の粒状体の質量を基準として、0.05〜0.2質量%含有し、かつ該液体のその他の部分は低粘性溶媒であり、該低粘性溶媒は、水、水とメタノールの混合物、水とエタノールの混合物、水とプロパノールの混合物、水とアセトンの混合物、水とテトラヒドロフランの混合物、並びにペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、トルエン、塩化メチレン及びそれらの混合物からなる群から選択される;
    e)該未加工の粒状体を、該液体及び該固形物質で、混合装置中で所定の時間にわたって処理する工程;
    f)該処理された未加工の粒状体を、所定の時間にわたって乾燥する工程;
    g)該発射薬の温度依存性を調整するために、固形物質の量を、栓状物を形成するために>0〜0.5質量%の調整範囲内で調整することで、調整範囲以外の点では該方法の同じ条件下で、より多量の固形物質量を用いて、適用温度範囲の上方の温度範囲においては最大圧力をより強く下げ、かつ適用温度範囲の下方の温度範囲においては最大圧力をより強く上げる工程;
    を有し、該少なくとも2つの処理の異なる発射薬を、その混合物が上方と下方の温度勾配曲線の交差範囲で固形物質割合を有する最適な発射薬と同じように挙動するような比で混合することを特徴とする発射薬の製造方法。
  25. 前記少なくとも2つの発射薬の各々が共通の温度勾配に及ぼす影響が線形であり、かつ式TLPa/TLPb=Δb/Δaに相当することを特徴とする、請求項24記載の発射薬の製造方法。
  26. 前記少なくとも2つの発射薬を、その混合物が上方と下方の温度勾配曲線の交点にある固形物質割合を有する最適な発射薬と同じように挙動するような比で互いに混合することを特徴とする、請求項24又は25記載の発射薬の製造方法。
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