JP5654856B2 - 油圧ショベル - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、ディーゼル微粒子捕集フィルタや選択還元触媒等を含む排気ガス後処理装置が、カウンタウェイトの凹部に収容された大型の油圧ショベルについて開示されている。
すなわち、上記公報に開示された油圧ショベルでは、ディーゼル微粒子捕集フィルタを含む排気ガス後処理装置をカウンタウェイトの凹部に搭載しているが、いわゆる後方小旋回型の油圧ショベルのように車体前後方向におけるカウンタウェイトの長さが小さい油圧ショベルでは、スペースの問題により、上記公報に開示された大型の油圧ショベルと同様の位置に排気ガス後処理装置を搭載することは困難である。そこで、エンジンルーム側に排気ガス後処理装置を設ける必要がある。ところが、排気ガス後処理装置は、エンジンルームよりも上方に突出すると後方視界性が低下するため、エンジンルーム内に収納している。
なお、上記車体の前後方向とは、油圧ショベルのキャブ内に座ったオペレータの正面を前方向とする前後方向を意味している。また、上記排気ガス後処理装置とは、エンジンの排気ガス中に含まれる微粒子物質を減少させるフィルタ装置であって、ここでは、排気ガス後処理装置を着脱する際にクレーン等によって吊り下げられる排気ガス後処理装置の本体部、本体部とエンジンとをつなぐ配管を含む。また、上記段差部は、カウンタウェイトの凹部の内壁面における上端部付近に沿って形成されており、例えば、カバー部材を閉じた際に、カバー部材の上面とカウンタウェイトの上面とがフラットな面を形成する。そして、上記構造的不連続部(structural discontinuity)は、段差部の断面に直交する方向における構造的に不連続な部分であって、例えば、上記段差部の一部を切り欠いて形成されていてもよいし、あるいは複数設けられた段差部と段差部の間に形成されていてもよい。
そこで、本発明の油圧ショベルでは、カウンタウェイトの凹部の内壁面に沿って、車体の前後方向に対して斜めに形成された段差部の一部に、排気ガス後処理装置を通過させるために必要な空間を確保するための構造的不連続部を設けている。しかも、構造的不連続部は、カバー部材が被されるため、外観上目立たない。
この結果、排気ガス後処理装置のような比較的大きな装置をエンジンルーム内に効率よく配置し、かつこの着脱を容易に実施することができる。
なお、上記排気ガス後処理装置は、長手方向が車体の前後方向に沿って配置されており、第1端部は排気ガス後処理装置の前端、第2端部は排気ガス後処理装置の後端をそれぞれ意味している。また、排気ガス後処理装置の短手方向は車体の左右方向に沿って配置されており、第3端部は排気ガス後処理装置のフレーム部材に対する干渉側の端部、第4端部は排気ガス後処理装置の干渉側の端部(第3端部)とは反対側の端部をそれぞれ意味している。
この結果、エンジンルームの広さを最小限だけ活用しつつ、エンジンルーム内に排気ガス後処理装置を効率的に配置して、着脱も容易に実施することができる。
ここで、上述した後方小旋回型の油圧ショベルでは、後方視界性を向上させるために、エンジンフード等の部材も平板状とし、カウンタウェイトの上面に対してフラットになるように設けられる。
このため、平板状のカバー部材では、箱型のカバー部材と比較して、剛性が低下するため、エンジンルームや排気ガス後処理装置の設置部分までを覆う単一の大きな部材とすることは難しい。
また、このようにカバー部材を分割して設けたために、そのつなぎ目の部分にフレーム部材が配置されて排気ガス後処理装置の直上に配置された場合でも、上述したスライド移動後の持ち上げを実施することで、フレーム部材が干渉して排気ガス後処理装置の着脱ができなくなることを回避できる。
ここでは、エンジンフードとカバーとを平板状の部材によって形成している。
これにより、後方小旋回型の油圧ショベルにおいて、オペレータの後方視界性を向上させることができる。また、平板状の部材としたことによる剛性の低下は、上述したカバー部材の分割によって、最小限の剛性を確保することができる。
ここでは、カウンタウェイトの凹部の内周面に沿って形成された段差部のうち、車体の前後方向に対して斜めに形成された部分に構造的不連続部を設けている。
これにより、構造的不連続部を設けるためにカウンタウェイトの一部を切り欠く必要がないため、カウンタウェイトの重量が減ってしまうことを回避することができる。
これにより、簡素な構成により、構造的不連続部を設けることができる。
なお、上記車体の前後方向とは、油圧ショベルのキャブ内に座ったオペレータの正面を前方向とする前後方向を意味している。また、上記排気ガス後処理装置とは、排気ガス規制に対応するために、エンジンの排気ガス中に含まれる微粒子物質を減少させるフィルタ装置であって、ここでは、排気ガス後処理装置を着脱する際にクレーン等によって吊り下げられる排気ガス後処理装置の本体部と本体部に接続された配管も含む。また、上記段差部は、カウンタウェイトの凹部の内壁面における上端部付近に沿って形成された突出部であって、例えば、カバー部材を閉じた際に、カバー部材の上面とカウンタウェイトの上面とがフラットな面を形成する。そして、上記構造的不連続部は、例えば、上記段差部の一部を切り欠いて形成されていてもよいし、あるいは複数設けられた段差部と段差部の間に形成されていてもよい。
そこで、本発明の油圧ショベルは、カウンタウェイトの凹部の内壁面に沿って、車体の前後方向に対して斜めに形成された段差部の一部に、排気ガス後処理装置を通過させるために必要な空間を確保するための構造的不連続部を設けている。しかも、構造的不連続部は、カバー部材が被されるため、外観上目立たない。
この結果、排気ガス後処理装置のような比較的大きな装置をエンジンルーム内に効率よく配置し、かつこの着脱を容易に実施することができる。
なお、以下の説明において使用する「前後方向」「左右方向」とは、キャブ10(図1等参照)内でオペレータが椅子に座って正面を向いた状態を基準とする「前後方向」、「左右方向」を示すものとする。
本実施形態に係る油圧ショベル1は、図1および図2に示すように、下部走行体2と、旋回台3と、作業機4と、カウンタウェイト5と、エンジン6と、機器室9と、キャブ10とを備えている。そして、油圧ショベル1は、旋回時に車体後方の安全が保障されるように、後端旋回半径が下部走行体2の幅Bの120%以内であって、フロント最小旋回半径は120%を超える、いわゆる後方小旋回型(日本工業規格による定義(JIS A 8340-4))の油圧ショベルである。
旋回台3は、下部走行体2上において、旋回中心Oを中心として任意の方向に旋回可能であって、上面に作業機4と、カウンタウェイト5と、エンジン6と、キャブ10と、を搭載している。なお、この旋回台3上におけるエンジン6が搭載された空間(エンジンルーム11)とカウンタウェイト5との境界部分に配置された排気ガス後処理装置20(図3(a)参照)周辺の構成については、後段にて詳述する。
カウンタウェイト5は、例えば、鋼板を組み立てて形成した箱の中に屑鉄やコンクリート等を入れて固めたものであって、採掘時等において車体のバランスをとるために旋回台3の後端部に設けられている。また、カウンタウェイト5は、図3(a)に示すように、エンジンルーム11に面する側に、凹状に切り欠かれた凹部5aを有している。
機器室9は、作業機4の側方に配置されており、図示しない燃料タンク、作動油タンクおよび操作弁等を収容する。
キャブ10は、油圧ショベル1のオペレータが乗降する運転室であって、作業機4の先端部を見通せるように、旋回台3上における作業機4の側方となる左側前部に配置されている。
本実施形態の油圧ショベル1では、図2に示すように、カウンタウェイト5の凹部5aとエンジンルーム11との境界部分付近に、排気ガス後処理装置20が設けられている。
排気ガス後処理装置20は、エンジン6の排気ガス中に含まれる粒子状物質を減少させる後処理装置として搭載されており、図3(a)に示すように、排気ガス後処理装置20の本体部20aと、配管21と、を備えている。
具体的には、排気ガス後処理装置20の周辺には、図3(a)および図3(b)、図4に示すように、段差部24、フレーム部材31、仕切り板32、カバー(カバー部材)33、およびエンジンフード(カバー部材)34が設けられている。
本実施形態の油圧ショベル1は、後方小旋回型であるため、キャブ10後方のエンジンルーム11は省スペース化されている。そして、この油圧ショベル1のエンジンルーム11内に、メンテナンス時等に車体から着脱する必要がある比較的大きな排気ガス後処理装置20を搭載している。このため、本実施形態では、排気ガス後処理装置20を、エンジンルーム11内におけるカウンタウェイト5に形成された凹部5aに配置し、かつ排気ガス後処理装置20を取り外す際には、排気ガス後処理装置20(配管21)のフレーム部材31等との干渉を回避するためにエンジンルーム11内において所定の位置(図3(a)の符号20の破線参照)まで水平方向にスライド移動させた後、クレーン等によって吊り下げて車体から取り外す。
そこで、本実施形態では、できるだけ少ない移動量で、平面視において排気ガス後処理装置20と他の部材とが干渉しない所定の位置まで移動させることができるように、カウンタウェイト5の凹部5aの内周面に沿って形成された段差部24の一部を切り欠いた切欠き24aを設けている。
ここで、移動量Xは、直上に設置されたフレーム部材31と配管21との干渉が回避されるために最低限必要な移動量X1(ただし、X>X1)より大きい移動量として定義される。一方、移動量Yは、排気ガス後処理装置20を車体の幅方向に移動量Xだけスライド移動させた際に生じる排気ガス後処理装置20の端部とカウンタウェイト5の凹部5aの内壁面との干渉を回避するために最低限必要な移動量Y1(ただし、Y>Y1)として定義される。
tanθ=X/Y ・・・・・(1)
以上のことから、本実施形態では、車体の前後方向においては、仕切り板32と排気ガス後処理装置20の前方側端部(第1端部)との間隔を移動量Y以上確保するように排気ガス後処理装置20の配置位置が決定される。そして、排気ガス後処理装置20を車体の前後方向に移動量Yだけ移動させ、かつ配管21(第3端部)とフレーム部材31との干渉を回避するために必要な移動量Xだけ車体の幅方向に移動させた際に、排気ガス後処理装置20の後方側端部(第2端部)と側面端部(第4端部)とが交差する部分と干渉する段差部24の一部に切欠き24aを設けている。
また、本実施形態の油圧ショベル1では、排気ガス後処理装置20を吊り上げる際に通過させる空間として段差部24の一部を切り欠いているだけで、カウンタウェイト5自体を切り欠いていない。このため、カウンタウェイト5の左右の重量バランスを崩すことなく、上記の効果を得ることができる。
さらに、排気ガス後処理装置20を吊り上げる際に通過させる空間として一部を切り欠いた段差部24は車体表面に露出していない。このため、油圧ショベル1のカウンタウェイト5の付近の外観を損なうことなく、上記の効果を得ることができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
上記実施形態では、排気ガス後処理装置20の配管21の直上に、フレーム部材31が設けられており、排気ガス後処理装置20をそのまま持ち上げた際に配管21とフレーム部材31とが干渉する配置構成を例として挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
この場合でも、上記実施形態と同様に、配管21とフレーム部材31とが干渉しない所定の位置まで排気ガス後処理装置20をスライド移動させた後、排気ガス後処理装置20をクレーン等で持ち上げることで、上記と同様の効果を得ることができる。
上記実施形態では、後方小旋回型の油圧ショベル1に対して、本発明を適用した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、後方小旋回型に限らず、車体前後方向における車体の長さが短い小型や中型の油圧ショベルに対しても本発明の適用は可能である。
上記実施形態では、エンジンルーム11内において所定の位置までスライド移動させた排気ガス後処理装置20を持ち上げる際に通過させる空間を確保するための構造的不連続部として、段差部24の一部を切り欠いた切欠き24aを採用した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
2 下部走行体
3 旋回台
4 作業機
5 カウンタウェイト
5a 凹部
6 エンジン
6a エンジン配管
7 スライドドア
9 機器室
10 キャブ
11 エンジンルーム
20 排気ガス後処理装置
20a 本体部
21 配管
24 段差部
24a 切欠き(構造的不連続部)
31 フレーム部材
32 仕切り板
33 カバー(カバー部材)
34 エンジンフード(カバー部材)
B 幅
O 旋回中心
P 履帯
R 半径
X,Y 移動量
Claims (7)
- 旋回時にカウンタウェイトの端部が下部走行体からはみ出す量が下部走行体の幅に対して所定の割合以下となる後方小旋回型の油圧ショベルであって、
エンジンが搭載される車体部と、
前記エンジンに隣接配置され、前記エンジンの排気ガス中に含まれる粒子状物質を減少させる排気ガス後処理装置と、
前記車体部に取り付けられており、前記排気ガス後処理装置の略鉛直方向上方に配置されたフレーム部材と、
前記車体部の後部に取り付けられており、前記車体部側に切り欠かれた凹部を有するカウンタウェイトと、
前記凹部の上部開放空間を覆うとともに、前記カウンタウェイトに対して開閉可能な状態で取り付けられるカバー部材と、
前記カウンタウェイトの前記凹部の内壁面に沿って形成されており、前記カバー部材が閉じられた際にその端部が載置される段差部と、
前記車体部の前後方向に対して斜めに形成された前記段差部の一部に設けられており、前記排気ガス後処理装置が前記フレーム部材と干渉しない位置までスライド移動させた状態で上方から吊り下げられた際に前記排気ガス後処理装置の一部が通過する構造的不連続部と、
を備えている油圧ショベル。 - 前記排気ガス後処理装置における前記車体部の前方側の第1端部と前記エンジンが搭載されたエンジンルームを仕切る仕切り板との間における前記車体部の前後方向における距離は、前記排気ガス後処理装置における前記第1端部とは反対側の第2端部と前記構造的不連続部との間の前記車体部の前後方向における距離とほぼ等しく、
前記フレーム部材の下方に配置された前記排気ガス後処理装置の第3端部と前記フレーム部材との距離は、前記排気ガス後処理装置における前記第3端部とは反対側の第4端部と前記構造的不連続部との間の前記車体部の前後方向に直交する左右方向における距離とほぼ等しい、
請求項1に記載の油圧ショベル。 - 前記カバー部材は、エンジンルームの上方の開放空間を覆うエンジンフードと、前記排気ガス後処理装置の上方の開放空間を覆うカバーと、を有している、
請求項1または2に記載の油圧ショベル。 - 前記エンジンフードおよび前記カバーは、ともに平板によって形成されている、
請求項3に記載の油圧ショベル。 - 前記構造的不連続部は、前記段差部における前後方向に対して斜めに配置された部分に設けられている、
請求項1から4のいずれか1項に記載の油圧ショベル。 - 前記構造的不連続部は、前記段差部の一部を切り欠いて形成された切欠き部である、
請求項1から5のいずれか1項に記載の油圧ショベル。 - エンジンが搭載される車体部と、
前記エンジンに隣接配置され、前記エンジンの排気ガス中に含まれる粒子状物質を減少させる排気ガス後処理装置と、
前記車体部の後部に取り付けられており、前記車体部側に切り欠かれた凹部を有するカウンタウェイトと、
前記凹部の上部開放空間を覆うとともに、前記カウンタウェイトに対して開閉可能な状態で取り付けられるカバー部材と、
前記カウンタウェイトの前記凹部の内壁面に沿って形成されており、前記カバー部材が閉じられた際に載置される段差部と、
前記車体部に取り付けられており、前記排気ガス後処理装置の略鉛直方向上方に配置されたフレーム部材と、
前記車体部の前後方向に対して斜めに形成された前記段差部の一部に設けられており、前記排気ガス後処理装置が前記フレーム部材と干渉しない位置までスライド移動させた状態で上方から吊り下げられた際に前記排気ガス後処理装置の一部が通過する構造的不連続部と、
を備えている油圧ショベル。
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