JP5654376B2 - メタルダイアフラム及びその製造方法 - Google Patents
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Description
請求項1に記載の発明は、合金を真空溶解により高清浄度化する溶解工程と、前記溶解工程で溶解された前記合金を棒状に加工する冷間伸線加工工程と、前記棒状に加工された棒材をその中心線に対し直角に円盤形状に切断する切断工程と、前記円盤形状に切断された円盤材をプレス成形する成形工程と、を有することを特徴とするメタルダイアフラムの製造方法である。
以下に、この組成範囲を規定した理由を説明する。
Coは、それ自体加工硬化能が大きく、切り欠け脆さを減じ、疲労強度を高め、高温強度を高める効果があるが、28%未満では疲労強度を高める効果が弱くなり、本組成では38%を越えるとマトリクスが硬くなり過ぎて加工困難となると共に面心立方格子相が最密六方格子相に対して不安定になるため、28〜38%とした。
まず、組成が、質量比でCr:20.11%、Ni:32.07%、Mo:10.02%、Fe:1.9%、Nb:0.91%、Ti:0.49%、残部がCoと不可避不純物よりなる合金を、真空溶解により高清浄度化し、加工率60%で冷間伸線加工を施して、外径20mmの棒材を作製した。
Coは、それ自体加工硬化能が大きく、切り欠け脆さを減じ、疲労強度を高め、高温強度を高める効果があるが、28%未満では疲労強度を高める効果が弱くなり、本組成では38%を越えるとマトリクスが硬くなり過ぎて加工困難となると共に面心立方格子相が最密六方格子相に対して不安定になるため、28〜38%が好ましい。
組成が質量比で、Cr:20.11%、Ni:32.07%、Mo:10.02%、Fe:1.9%、Nb:0.91%、Ti:0.49%、残部がCoと不可避不純物よりなる合金を、真空溶解により高清浄度化し、加工率60%で冷間圧延加工を施して、板材を作成し、プレス抜きにより円盤状に型抜きした後、表面を研磨機により表面粗さRmax0.6μm以下になるように研磨加工を施し、ドーム状に成形することにより、外径Φ=20mm、厚さ0.1mm、空間高さH=1.00mmのメタルダイアフラムを作製し、500℃で真空熱処理(時効処理)を行った。
図2は、本発明のメタルダイアフラムと従来例の輪郭形状を示す断面図である。作製した各メタルダイアフラムに対して、輪郭形状測定機を使用して、メタルダイアフラムの部分球形状の外側部の輪郭を測定した。この測定は、任意の方向であるX方向(第一の断面)と、X方向に直角なY方向(第二の断面)をトレースする。ここで、従来品では圧延方向をX方向として測定した。また、従来品のこれに垂直なY方向を圧延直角方向と呼ぶ。
まず、組成が、質量比でCo:38.0%、Ni:16.7%、Cr:11.8%、W:3.95%、Mo:3.97%、Ti:0.55%、Mn:0.78%、C:0.007%と残部がFeと不可避不純物よりなる合金を、真空溶解により高清浄度化し、加工率60%で冷間伸線加工を施して、外径10mmの棒材を作製した。
Coは、それ自体加工硬化能が大きく、切り欠け脆さを減じ、疲労強度を高め、高温強度を高める効果があるが、28%未満では疲労強度を高める効果が弱くなり、本組成では38%を越えるとマトリクスが硬くなり過ぎて加工困難となると共に面心立方格子相が最密六方格子相に対して不安定になるため、28〜38%が好ましい。
実施例1と同様な研磨加工を施した厚さ0.1mmの円盤材を用い、プレス機にて成形し、曲率半径が100mmのメタルダイアフラムを作製した。作製したメタルダイアフラムは、実施例1同様の耐久試験を行った。
実施例1と同様な研磨加工を施した厚さ0.1mmの円盤材を用い、プレス機にて成形し、曲率半径が150mmのメタルダイアフラムを作製した。作製したメタルダイアフラムは、実施例1同様の耐久試験を行った。
実施例1と同様な研磨加工を施した厚さ0.1mmの円盤材を用い、プレス機にて成形し、曲率半径が15mmのメタルダイアフラムを作製した。作製したメタルダイアフラムは、実施例1同様の耐久試験を行った。
実施例1と同様な研磨加工を施した厚さ0.1mmの円盤材を用い、プレス機にて成形し、曲率半径が10mmのメタルダイアフラムを作製した。作製したメタルダイアフラムは、実施例1同様の耐久試験を行った。
表1より、実施例1から4までは繰返し数が200万回以上と耐久性に優れていることがわかった。一方、比較例1は10万回以下でメタルダイアフラムに割れが発生した。そのためメタルダイアフラムの曲率半径は15mm以上が好ましい。また、曲率半径が限りなく大きい平面状においても、塑性変形しない程度の量をたわませることにより、メタルダイアフラムとして使用することができる。そのため曲率半径が大きく平面に近い状態のものであっても耐久性が優れており、メタルダイヤフラムとして使用可能である。
実施例1と同様に外径10mmの棒材を作製し、円盤形状に切断した。円盤形状に切断された円盤材に研磨加工を施し、厚さ0.1mmの円盤材を用い、曲率半径が50mmのメタルダイアフラムを作製した。作製したメタルダイアフラムは、実施例1同様の耐久試験を行った。
実施例1と同様に外径10mmの棒材を作製し、円盤形状に切断した。円盤形状に切断された円盤材に研磨加工を施し、厚さ0.3mmの円盤材を用い、曲率半径が50mmのメタルダイアフラムを作製した。作製したメタルダイアフラムは、実施例1同様の耐久試験を行った。
実施例1と同様に外径10mmの棒材を作製し、円盤形状に切断した。円盤形状に切断された円盤材に研磨加工を施し、厚さ0.05mmの円盤材を用い、曲率半径が50mmのメタルダイアフラムを作製した。作製したメタルダイアフラムは、実施例1同様の耐久試験を行った。
実施例1と同様に外径10mmの棒材を作製し、円盤形状に切断した。円盤形状に切断された円盤材に研磨加工を施し、厚さ0.4mmの円盤材を用い、曲率半径が50mmのメタルダイアフラムを作製した。作製したメタルダイアフラムは、実施例1同様の耐久試験を行った。
表2より、実施例5から7までは繰返し数が200万回以上と耐久性に優れていることがわかった。一方、比較例2は10万回以下でメタルダイアフラムに割れが発生した。そのためメタルダイアフラムの厚みは0.3mm以下が好ましい。また、厚みが0.05mm未満となると、所定量たわませてからの戻りが弱く、メタルダイアフラムとして機能しなくなる。そのため、厚みは0.05mm以上であることが望ましい。
実施例1と同様な外径10mmの研磨加工を施した厚さ0.1mmの円盤材を用い、プレス機にて成形し、空間高さが1mmのメタルダイアフラムを作製した。作製したメタルダイアフラムは、実施例1同様の耐久試験を行った。
実施例1と同様な外径10mmの研磨加工を施した厚さ0.1mmの円盤材を用い、プレス機にて成形し、空間高さが2mmのメタルダイアフラムを作製した。作製したメタルダイアフラムは、実施例1同様の耐久試験を行った。
実施例1と同様な外径10mmの研磨加工を施した厚さ0.1mmの円盤材を用い、プレス機にて成形し、空間高さが2.5mmのメタルダイアフラムを作製した。作製したメタルダイアフラムは、実施例1同様の耐久試験を行った。
実施例1と同様な外径10mmの研磨加工を施した厚さ0.1mmの円盤材を用い、プレス機にて成形し、空間高さが0.2mmのメタルダイアフラムを作製した。作製したメタルダイアフラムは、実施例1同様の耐久試験を行った。
実施例1と同様な外径10mmの研磨加工を施した厚さ0.1mmの円盤材を用い、プレス機での成形し円盤材のゆがみを取り除き、空間高さが0mmのメタルダイアフラムを作製した。作製したメタルダイアフラムは、実施例1同様の耐久試験を行った。
実施例1と同様な外径10mmの研磨加工を施した厚さ0.1mmの円盤材を用い、プレス機にて成形し、空間高さが3mmのメタルダイアフラムを作製した。作製したメタルダイアフラムは、実施例1同様の耐久試験を行った。
表3より、実施例8から12までは繰返し数が200万回以上と耐久性に優れていることがわかった。一方、比較例3は10万回以下でメタルダイアフラムに割れが発生した。そのためメタルダイアフラムの空間高さは0mm超過2.5mm以下が好ましい。空間高さ0mmにおいても、塑性変形しない程度の量をたわませることにより、メタルダイアフラムとして使用することができた。そのため、少しでも空間高さがあり、均一な曲率半径を有する部分球形状のメタルダイアフラムであれば、優れた耐久性を有することがわかる。
実施例1と同様な組成の合金を真空溶解により高清浄度化し、加工率60%で冷間伸線加工を施して、外径10mmの棒材を作製した。次に、この棒材を切断機により棒材の中心線に対し直角に円盤形状に切断した。さらに、円盤形状に切断された円盤材の表面を研磨機により表面粗さRmax0.6μm以下になるように研磨加工を施し、厚さ0.1mmの円盤材を作製した。その後、円盤材をプレス機にて成形し、曲率半径が150mmで外径が10mmのメタルダイアフラムを作製した。作製したメタルダイアフラムは、実施例1同様の耐久試験を行った。
実施例1と同様な組成の合金を真空溶解により高清浄度化し、加工率60%で冷間伸線加工を施して、外径20mmの棒材を作製した。次に、この棒材から円盤材を切り出し、研磨加工を施し、厚さ0.1mmの円盤材を作製した。その後、円盤材をプレス機にて成形し、曲率半径が150mmで外径が20mmのメタルダイアフラムを作製した。作製したメタルダイアフラムは、実施例1同様の耐久試験を行った。
実施例1と同様な組成の合金を真空溶解により高清浄度化し、加工率60%で冷間伸線加工を施して、外径30mmの棒材を作製した。次に、この棒材から円盤材を切り出し、研磨加工を施し、厚さ0.1mmの円盤材を作製した。その後、円盤材をプレス機にて成形し、曲率半径が150mmで外径が30mmのメタルダイアフラムを作製した。作製したメタルダイアフラムは、実施例1同様の耐久試験を行った。
実施例1と同様な組成の合金を真空溶解により高清浄度化し、加工率60%で冷間伸線加工を施して、外径8mmの棒材を作製した。次に、この棒材から円盤材を切り出し、研磨加工を施し、厚さ0.1mmの円盤材を作製した。その後、円盤材をプレス機にて成形し、曲率半径が150mmで外径が8mmのメタルダイアフラムを作製した。作製したメタルダイアフラムは、実施例1同様の耐久試験を行った。
実施例1と同様な組成の合金を真空溶解により高清浄度化し、加工率60%で冷間伸線加工を施して、外径6mmの棒材を作製した。次に、この棒材から円盤材を切り出し、研磨加工を施し、厚さ0.1mmの円盤材を作製した。その後、円盤材をプレス機にて成形し、曲率半径が150mmで外径が6mmのメタルダイアフラムを作製した。作製したメタルダイアフラムは、実施例1同様の耐久試験を行った。
表4より、実施例13から16までは繰返し数が200万回以上と耐久性に優れていることがわかった。一方、比較例4は10万回以下でメタルダイアフラムに割れが発生した。そのためメタルダイアフラムの外径は8mm以上が好ましい。メタルダイアフラムの外径が100mm以上になると耐久性が悪いため、100mm以下が好ましい。
Claims (15)
- 合金を真空溶解により高清浄度化する溶解工程と、
前記溶解工程で溶解された前記合金を棒状に加工する冷間伸線加工工程と、
前記棒状に加工された棒材をその中心線に対し直角に円盤形状に切断する切断工程と、
前記円盤形状に切断された円盤材をプレス成形する成形工程と、
を有することを特徴とするメタルダイアフラムの製造方法。 - 前記冷間伸線加工工程において、前記棒材は20〜90%の冷間加工が施されていることを特徴とする請求項1に記載のメタルダイアフラムの製造方法。
- 前記切断工程と前記成形工程の間に、前記円盤材を研磨する研磨工程を有することを特徴とする請求項1または2に記載のメタルダイアフラムの製造方法。
- 前記成形工程のあとに、前記円盤材を300℃〜700℃で時効処理を行う工程を有する事を特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のメタルダイアフラムの製造方法。
- 前記成形工程はメカプレス成形による成形であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のメタルダイアフラムの製造方法。
- 前記成形工程は流体プレス成形による成形であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のメタルダイアフラムの製造方法。
- 均一な曲率半径を有する部分球形状のメタルダイアフラム。
- 第一の断面と前記第一の断面に直角方向に交差する第二の断面の形状が同一な曲率半径を有する部分球形状であることを特徴とする請求項7に記載のメタルダイアフラム。
- 前記曲率半径は15mm以上であることを特徴とする請求項7または8に記載のメタルダイアフラム。
- 前記第一の断面と前記第二の断面の空間高さ比率が0.9〜1.1であることを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項に記載のメタルダイアフラム。
- 前記メタルダイアフラムに用いられる合金の組成は、質量比でCo28〜38%、Ni10〜20%、Cr5〜20%、W3〜5%、Mo3〜15%、Ti0.1〜1%、Fe0.1〜26%、Mn≦1.5%、C≦0.1%及び不可避不純物からなるCo基合金であることを特徴とする請求項7〜10のいずれか一項に記載のメタルダイアフラム。
- 前記メタルダイアフラムに用いられる合金の組成は、質量比でCo28〜38%、Ni12〜54.9%、Cr12〜25%、Mo8〜15%、Nb0.1〜3%、Ti0.1〜1%、Fe0.1〜3%、及び不可避不純物からなるNi基合金であることを特徴とする請求項7〜10のいずれか一項に記載のメタルダイアフラム。
- 厚みが0.05〜0.3mmであることを特徴とする請求項7〜12のいずれか一項に記載のメタルダイアフラム。
- 空間高さが0超過2.5mm以下であることを特徴とする請求項7〜13のいずれか一項に記載のメタルダイアフラム。
- 外径が8〜100mm以下であることを特徴とする請求項7〜14のいずれか一項に記載のメタルダイアフラム。
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