JP6284666B1 - ハードディスク用スペーサー部品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】形状精度が良好で、残留応力を低減したハードディスク用スペーサー部品の製造方法を提供する。【解決手段】本発明は、金属素材からブランク材を作製する第1の工程と、前記ブランク材に閉塞熱間鍛造を施して成形品を作製する第2の工程と、前記成形品の表面にバレル研磨を施して、スペーサー部品を作製する第3の工程と含む、ハードディスク用スペーサー部品の製造方法である。前記第1の工程は、金属板の打抜き又は金属管の切断によって前記ブランク材を作製することができる。前記第2の工程は、前記ブランク材を500〜1100℃に加熱した後、閉塞熱間鍛造を行うことができる。前記第3の工程の後、前記スペーサー部品にラッピング加工を施してもよい。【選択図】図2

Description

本発明は、ハードディスク用スペーサー部品の製造方法に関する。
磁気ディスク装置(ハードディスク)は、磁気ディスクに情報の読み取りや記録が行なわれる。大容量のハードディスクは、通常、複数枚の磁気ディスク12を有しており、当該磁気ディスク12は、磁気ディスク間にスペーサー13を介在して回転ハブ11に装着されている。磁気ディスク12及びスペーサー13は、回転ハブ11の上部に設けたクランプ部材14で押圧されて固定されている(図4)。磁気ディスクを回転させ、磁気ヘッドを備えたスイングアームを磁気ディスク表面に移動させて、情報の読み取り及び記録が行われる。
従来のスペーサー部品は、切削性に優れる快削ステンレス鋼の棒材を切削加工して製造されることが多い。快削ステンレス鋼は、切削性を高めるため、鋼成分としてSやPbが添加されている。しかし、Sの添加は、硫化ガスを生成して、当該硫化ガスが銅や銀からなる配線箇所または接点箇所を劣化させるという、いわゆる「アウトガス問題」を引き起こす。Pbは、環境負荷の高い元素であり、環境や人体への影響を抑制するため、添加を避けることが望ましい(非特許文献1を参照)。
また、一般に、切削加工による製造は、成形に要する時間が長く、加工素材の歩留まりが低いため、製造コストが高くなる場合がある。そこで、切削加工に代えてプレス加工により、スペーサー部品を製造する方法が検討されている。
例えば、特許文献1には、従来のパンチで打ち抜くことによりスペーサーリングを形成する方法は、上面にダレが生じるとともに、下面にバリが生じることから、上下面の間に良好な平行度が得られない旨記載されている。そのような問題を解決するため、特許文献1は、金属板からリング状の素リングを打ち抜く工程、当該素リングをコイニング工具により押圧して、素リングの外周側に環状凹部を形成する工程、環状凹部をフォージング工具により押圧して環状凹部を薄肉に形成するとともに、環状舌片を形成する工程、当該環状舌片の基端を剪断工具により剪断する工程とを備えた製造方法を提案している。
特許文献2には、従来の棒鋼を切削加工してパイプを形成し、これを輪切りにしてスペーサーリングを作製する製造方法は、作製されたリングの表面硬度、結晶粒度、残留歪み等のバラツキが非常に大きいため、スペーサーの歪みが大きくなり、磁気ディスクの変形の要因となる旨を記載されている。そのため、特許文献2は、表面硬度のバラツキを平均値を中心にして上下4%以内であるもの、結晶粒度が5〜9であるもの、あるいは、残留圧縮応力が80MPa以下であるものとなるように製造されたフェライト系ステンレス鋼の圧延板材を用いて、打ち抜き加工してスペーサーリングを作製する方法を提案している。
特許文献3には、ハードディスク用ハブ等の部員を、製品部位による厚み差の付与が可能で、寸法精度良く、生産性良く製造する方法の提供を目的する旨記載されている。この目的を達成するため、特許文献3は、押え量の調整による製品フランジ部の肉厚制御と、ポンチ押込み量とカウンターパンチ押え量の調整による製品ポンチ底部の肉厚制御とを、それぞれ独立させて制御しながら、熱間プレス加工する成形方法を提案している。
特開2001−167548号公報 特開2013−222487号公報 特開2004−9080号公報
清水哲也ほか3名、「特殊鋼鋼材(II):ステンレス鋼,耐食・耐熱材料,Ti合金,金型材料」、電気製鋼,Vol.80,p87〜99,2009年
特許文献1の形成方法は、バリのないスペーサー部品を製造できる。しかし、当該スペーサー部品は、打ち抜き、コイニング、フォージング及び剪断の各機械的処理が施されているため、残留応力を有している。この残留応力の存在は、スペーサー部品がハードディスクに組み込まれた際に、形状を不安定にし、磁気ディスクを歪ませる要因となる。
特許文献2の作製方法は、打ち抜き加工の素材として、表面硬度または結晶粒度のバラツキを低減させ、残留応力を低減させた圧延板材を製造する必要がある。さらに、特許文献2に記載された具体例は、外径23.8mmという小径である。サーバー用の大容量ハードディスクのニーズが増大しており、それに対応して大径のスペーサー部品が必要とされる。特許文献2の作製方法を大径リングに適用した場合、スペーサー部品において十分な形状精度や十分に低減された残留応力が得られなかった。
特許文献3は、熱間プレス方法を用いたものであり、残留応力の除去が可能である。熱間プレス加工する際、良好な形状精度を確保するため、製品フランジ部の肉厚と、製品ポンチ底部の肉厚とを、それぞれ独立に制御することが必要とされている。
本発明は、形状精度が良好で、残留応力を低減したハードディスク用スペーサー部品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題に鑑みて検討した結果、リング状ブランク材を熱間で閉塞熱間鍛造することでバリのない成形品が得られることを見出し、その知見に基づいて本発明を完成した。具体的には、本発明は、以下のようなものを提供する。
(1)本発明は、金属素材からブランク材を作製する第1の工程と、前記ブランク材に閉塞熱間鍛造を施して成形品を作製する第2の工程と、前記成形品の表面にバレル研磨を施して、スペーサー部品を作製する第3の工程と、を含むハードディスク用スペーサー部品の製造方法である。
(2)本発明は、前記第1の工程は、金属板の打抜き又は金属管の切断によって前記ブランク材を作製する、(1)に記載のハードディスク用スペーサー部品の製造方法である。
(3)本発明は、前記第2の工程は、前記ブランク材を500〜1100℃に加熱した後、閉塞熱間鍛造を行う、(1)または(2)に記載のハードディスク用スペーサー部品の製造方法である。
(4)本発明は、前記第3の工程の後、前記スペーサー部品にラッピング加工を施す工程を含む、(1)〜(3)のいずれかに記載のハードディスク用スペーサー部品の製造方法である。
本発明によれば、バリのない、形状精度が良好なスペーサー部品を効率的に製造できる。とくに、大径スペーサー部品の製造に適しており、大容量ハードディスク用に対応できる。また、スペーサー部品の材質として、磁気ディスクのガラス基板と熱膨張係数が近いフェライト系ステンレス鋼を用いているので、磁気ディスクとの間で歪みの発生が抑制される。
本実施形態に係るブランク材を示す図であり、(a)が断面図、(b)が断面図である。 本実施形態に係る閉塞熱間鍛造を説明するための模式図であり、(a)が中間型4を示す平面図であり、(b)が型全体の断面図である。 実施例における測定箇所を示す図である。 ハードディスクの要部を示す図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明は、これらの記載により限定されるものではない。
本発明に係る実施形態は、金属素材からブランク材を作製する第1の工程と、前記ブランク材に閉塞熱間鍛造を施して、成形品を作製する第2の工程と、前記成形品の表面にバレル研磨を施して、スペーサー部品を作製する第3工程と、を含むハードディスク用スペーサー部品の製造方法である。
(第1の工程)
第1の工程は、金属素材からブランク材を作製する工程である。冷間加工であらかじめブランクを得る。これによって、その後の熱間鍛造加工における寸法精度を高めることができる。また、当該工程では、切削加工を使用しないでブランク材を作製するので、切削加工による製造方法に比べて、材料歩留及び製造効率の点で有利である。
当該ブランク材の一例を図1に示す。図1の(a)平面図および(b)断面図に示すように、ブランク材1は、外周と内周との間に一定幅の平坦状のリング部分を有している。その後の閉塞熱間鍛造において、バリのないリング状の成形品を作製できるように、当該ブランク材は、最終製品の寸法に近い形状となるように作製されることが好ましい。例えば、外径は、15〜50mm、内径は、12〜48mm、厚みは、1.0〜8.0mmの範囲が好ましい。
具体的には、第1の工程における金属素材は、金属板または金属管を用いて、金属板の打抜き加工、または金属管の切断加工によって、リング状のブランク材を作製することができる。これらの加工または切断の各処理は、冷間で行うことが好ましい。
(第2の工程)
第2の工程は、第1の工程で得られたブランク材に対して、閉塞熱間鍛造を施して成形品を作製する工程である。閉塞鍛造は、素材を金型内に閉じ込めた後、複数個のパンチあるいはダイスを駆動して素材を鍛造する方法である。素材の全面が拘束されるため、ほとんどバリが生じない精密成形が可能である。さらに、素材を加熱した後に鍛造する熱間鍛造で加工されるため、素材の変形が容易であって、残留応力が低減し、良好な形状精度を有する成形品が得られる。
図2の(a),(b)は、閉塞熱間鍛造の金型に、リング状のブランク材1を装填した形態を模式的に示したものである。当該ブランク材1は、中間型4を介して、下型3の上に載置される。中間型4は、ブランク材1の外周側と内周側にそれぞれ配置されている。上型2が降下してブランク材1を押圧すると、ブランク材1は、上型2、中間型4および下型3によって形成された空間(キャビティ)に閉じ込められた状態で所定寸法に成形される。このように閉塞鍛造による加工ではバリがほとんど生じない。
リング状成形品に残存するバリは、小さければ、後工程のバレル研磨、ラッピング加工によって除去可能である。しかし、閉塞鍛造以外の加工手段を用いると、大きなバリを生じることがある。当該バリを除去するには、後工程で切削または冷間成形を行う必要があり、そのため、製造コストの上昇、被加工品における残留応力の増大を招く。
第2の工程におけるブランク材の加熱温度は、500〜1100℃を行うことが好ましい。加熱温度が500℃未満であると、容易に変形しないため、大きな加圧力を必要とする。また、残留応力を十分に低減することが困難である。その一方で、加熱温度が1000℃超えると、鍛造されるブランク材の表面における酸化が過度に進行して、酸化スケールの厚みが大きくなる恐れがある。その場合、仕上げ処理において酸化スケールを除去する量が増加し、製品本体の寸法精度に影響する。そのため、加熱温度の下限は、600℃以上がより好ましく、上限は、1000℃以下がより好ましい。鍛造加工時の雰囲気は、被加工品の表面酸化を防止するため、減圧雰囲気または不活性雰囲気が好ましい。鍛造加工後に加工品の表面を研磨する処理が施される場合は、コストの低減や加工装置の簡略化を考慮し、大気中で鍛造加工してもよい。
(第3の工程)
第3の工程は、第2の工程で得られた成形品の表面にバレル研磨を施して、スペーサー部品を作製する工程である。バレル研磨は、被加工物と研磨材を研磨槽(バレル)に投入して、相互に擦れ合う研磨作用によって被加工物の表面を平滑にする研磨手段である。第2の工程の熱間鍛造で得られた状成形品は、その表面に酸化スケールが存在する。また、第1の工程および第2の工程を経ても、バリが僅かに残存する場合がある。バレル研磨によって、上記の酸化スケールやバリが除去されるので、リング状成形品の表面が平滑になる点で好ましい。本実施形態に適用されるバレル研磨は、例えば研磨材としてアルミナ系研磨材、有機質研磨剤、セラミック系研磨材などを用い、回転速度を10〜100rpmとして行うことができる。
第3の工程で得られたスペーサー部品の表面にラッピング加工を施すことが好ましい。ラッピング加工は、定盤の上に被加工物が配置され、定盤と被加工物との隙間に、遊離砥粒を含むスラリーが供給されるとともに、定盤および被加工物に圧力を加えながら回転させる。遊離砥粒によって被加工物が研磨されて、高精度な表面が得られる。本実施形態に適用されるラッピング加工は、例えば、ダイヤモンド、アルミナ、炭化珪素などを含む研磨液を用い、回転速度を5〜80rpmとして行うことができる。
例えば、HDDに使用されるスペーサーリングは、HDDの高速回転部および磁気ディスク部を構成する精密部品であるため、一個のスペーサーリング内における外径、内径および上下面の厚さは、一定の範囲内に収める必要がある。さらに、成形されたスペーサーリング内の残留応力が高い場合、バレル研磨やラッピング加工等の後処理工程において残留応力が解放されると、スペーサーリングに反りが発生し、生産効率が低下する。また、HDD使用の際に発生する熱によってスペーサーリング内の残留応力が解放されると、反りが生じて、HDD装置の耐久性の低下につながる。
一般的に、リング状のスペーサー部品で要求される精度は、次のとおりである。
(1)高さの寸法精度:±1%以下
(2)平面度:10μm以下
(3)内径および外径の寸法精度:それぞれ±1%以下
(4)残留応力:100MPa以内
上記の平面度は、次のように定義される。平面度は、JIS B0621のとおり、「平面度とは,平面形体の幾何学的に正しい平面(以下,幾何学的平面という。)からの狂いの大きさ」をいう。平面形体(P)を幾何学的平行二平面で挟んだとき、平行二平面の間隔が最小となる場合の、二平面の間隔(f)の数値で表示する。本実施形態においては、部品を定盤に載置し、定盤との間に生じる隙間距離を測定することで求めた。
硫黄(S)に関する耐アウトガス性の観点では、ステンレス鋼のS含有量が少ないことが好ましい。例えば、質量%で、C:0.08%以下、Si:1.0%以下、Mn:1.0%以下、Ni:0.5%以下、Cr:10〜21%、P:0.05%以下、S:0.015%以下、N:0.03%以下、Ti:0.5%以下、Nb:0.8%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるフェライト系ステンレス鋼が好ましい。
それ以外の成分の限定理由は、次のとおりである。化学組成の%表示は、以下、特に断らない限り、質量%を意味する。
Cは、ステンレス鋼中に不可避的に含まれる元素である。C含有量を低減すると、炭化物の生成が少なくなり、耐食性が向上する。しかし、低減のためには精錬時間が長くなり、ステンレス鋼製造のコスト上昇を招くため、Cは、0.08%までの含有を許容する。
Siは、ステンレス鋼の脱酸剤として添加される。しかし、過剰のSi含有は、フェライト相を硬質化させ、加工性や靭性を劣化させる要因となることから、Si含有量は、1.0%以下が好ましい。
Mnは、ステンレス鋼の脱酸剤として添加される。しかし、過剰のMn含有は、ステンレス鋼に不純物として含まれているSと結合し、化学的に不安定な硫化物であるMnSを形成して、耐食性の低下を招く。そのため、Mn含有量は、1.00%以下が好ましい。
Crは、10%未満では、耐酸化性が十分でないため、熱間鍛造加工時に表面に酸化スケールが過度に生じる。一方、Cr含有量を高くすると、原料費および製造費の上昇を招くことから、Cr含有量は、21%以下が好ましい。
Niは、耐食性を向上させる作用がある。他方、過剰の含有は、加工性を低下させるとともに、コスト上昇につながるから、Ni含有量は、0.5%以下が好ましい。
Pは、ステンレス鋼の靭性を損なうので、P含有量は、低いことが望ましい。ただし、ステンレス鋼の精錬工程における脱りんは、困難であることから、P含有量を低減するには原料の厳選などに過剰なコスト増を伴う。そのため、一般的なフェライト系ステンレス鋼と同様に、0.05%までのP含有が許容される。
Sは、ステンレス鋼の靭性を損なう不純物である。さらに、MnSを形成して腐食の起点となるため、S含有量は、0.015%以下が好ましい。
Nは、Cと同様にステンレス鋼中に不可避的に含まれる元素である。N含有量を低減すると、窒化物の生成が少なくなり、耐食性が向上する。しかし、N量を低減させるための精錬時間が長くなり、ステンレス鋼製造のコスト上昇を招くため、N含有量は、0.03%以下で許容される。
Tiは、C、Nを固定し、加工性および耐食性を向上させる元素である。しかし、過剰のTi含有は、ステンレス鋼が硬質化し、加工性を損なう。そのため、Ti含有量は、0.50%以下が好ましい。
Nbは、Tiと同様、C、Nを固定し、加工性および耐食性を向上させる元素である。しかし、過剰のNb含有は、ステンレス鋼が硬質化し、加工性を損なう。そのため、Nb含有量は、0.80%以下が好ましい。
以下、本発明の実施例について説明する。本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内で適宜変更して実施できる。
表1に示すに示す成分を有するフェライト系ステンレス鋼およびマルテンサイト系ステンレス鋼について、真空溶解で溶製し、得られた鋼塊を30mm厚の板に鍛造した後、熱間圧延を行って4mm厚の熱延板を得た。次いで、焼鈍、酸洗および冷間圧延を行って、所定の厚さの冷延板を得た。その後、該冷延板に1050℃の焼鈍処理を施して冷延焼鈍板を製造し、これを供試材とした。表1の合金組成は、質量%であり、残部がFeおよび不可避的不純物である。
Figure 0006284666
上記の冷延焼鈍板を打ち抜き加工して、図1の(a)平面図および(b)断面図に示す形状のリング状ブランク材を作製した。当該ブランク材は、表2に示すNo.1〜No.4の各寸法(外径φ、内径φ、板厚)を有するように作製された。その後、当該リング状ブランク材は、図2の(a)平面図および(b)断面図に示すような鍛造手段を用いて、800℃の大気中で閉塞熱間鍛造加工が施された。この鍛造加工によって、表2に示すNo.1〜No.4の各寸法を有するリング状成形品の試験体が作製された。
Figure 0006284666
閉塞熱間鍛造で得られた試験体は、バレル研磨を施した。その後、一部の試験体には、ラッピング加工が施された。バレル研磨は、粒子径4mmのアルミナ質焼結メディアおよび珪石粉、無機塩、界面活性剤が含まれた粉末コンパウンドを用いた。水5Lに対し、コンパウンドを2質量%、メディア体積2Lを装入し、その中へ当該成形品を投入した。バレル研磨槽の容積に対して、全内容物の装入量は、55%とし、20rpmの速度で4時間実施した。ラッピング加工は、粒子径8μmのアルミナ3wt%、粒子径2μmの酸化タングステン1wt%、水96wt%の割合で調製された研磨液が使用された。研磨条件は、研磨圧力:50g/cm、加工速度:30rpm、研磨時間:60分、研磨液流量:25ml/分とした。
(実施例1)耐アウトガス性に関する試験
表1に示された鋼材について、耐アウトガス性を評価するための試験を行った。鋼材から生じる硫黄(S)の発生量を規定することにより評価した。具体的には、供試材の冷間焼鈍板から、30mm縦×30mm横×1mm厚さの板材を切り出して、その全面を番手#400エメリー紙によって研磨加工された試験片を作製した。そして、容積が100ccの密閉容器中に、当該試験片と銀箔(寸法:10mm縦×10mm横×0.1mm厚さ、純度:99.9%以上)と0.5ccの純水とを装入し、容器内の温度を90℃に維持しつつ、50時間を保持した。上記の銀箔は、Sを含有するガスが発生したときのゲッターとして機能し、Sガスの発生を確認するため、試験片と一緒に装入された。銀箔に吸着したS成分が多くなると、硫化銀の生成により銀箔表面が黒色に変化した。
銀箔表面の変色の有無を目視で観察し、変色が確認されなかったものを、耐アウトガス性が良好(○)、変色したものを耐アウトガス性が不良(×)と評価した。その結果を表3に示す。表3に示すように、本発明鋼A1〜A7および比較鋼B2は、良好な耐アウトガス性を有していた。
Figure 0006284666
(実施例2)残留応力に関する試験
次に、成形品における残留応力を調べるための試験を行った。実施例1において耐アウトガス性が良好であった本発明鋼A1〜A7および比較鋼B2のフェライト系ステンレス鋼の供試材(冷延焼鈍板)を用いて、冷間打抜き加工により、表2のNo.2の寸法を有するリング状のブランク材(外径φ29.5mm、内径φ22mm、厚さ4.0mm)を作製した。800℃、10分間で当該ブランク材を加熱した後、金型(部品形状:外径φ30mm、内径φ20mm、厚さ3.0mm)を用いて、当該ブランク材に対し、板厚方向に高さ減少率25%の密閉鍛造を施して、表2のNo.2の寸法を有するリング状の成形品を得た。この密閉鍛造加工は、プレス機の加圧が200トン、ストローク速度が40rpmであり、黒鉛系潤滑剤を使用した。
得られたリング状の成形品に対し、表面の酸化スケールを除去するとともに所定寸法の形状にするため、バレル研磨およびラッピング加工を行った。バレル研磨は、粒子径4mmのアルミナ質焼結メディアおよび珪石粉、無機塩、界面活性剤が含まれた粉末コンパウンドを用いた。水5Lに対し、コンパウンドを2質量%、メディア体積2Lを装入し、その中へ当該成形品を投入した。バレル研磨槽の容積に対して、全内容物の装入量は、55%とし、20rpmの速度で4時間実施した。
バレル研磨された成形品に対して、ラッピング加工が施された。ラッピング加工は、粒子径8μmのアルミナ3wt%、粒子径2μmの酸化タングステン1wt%、水96wt%の割合で調製された研磨液が使用された。研磨条件は、研磨圧力:50g/cm、加工速度:30rpm、研磨時間:60分、研磨液流量:25ml/分とした。
本試験では、以下の成形法A〜Dにより試験片を作製し、得られた成形品を用いて表面の残留応力を測定し、成形法による影響について評価した。成形法Dの冷間打抜は、φ30mmの円形状ブランク材に打抜いた後、そのブランク材の中心を再びφ25mmで打抜いて作製した(クリアランス:1%)。
成形法A:冷間打抜、熱間鍛造、およびバレル研磨
成形法B:冷間打抜、熱間鍛造、バレル研磨、およびラッピング加工
成形法C:冷間打抜、および熱間鍛造
成形法D:冷間打抜
成形法A〜Dによる得られた試験体5(成形品)の表面において、X線測定法により、図3に示す4箇所(P1〜P4)で周方向の残留応力(MPa)を測定した。それぞれの測定値がいずれも±100MPa以下であるときを良好(○)と評価し、いずれかが±100MPaを超えるときを不良(×)と評価した。各測定箇所における試験体5の表面の残留応力を表4に示す。
Figure 0006284666
表3に示すように、本発明に相当する成形法A、Bは、残留応力が±100MPa以内であり、冷間打抜の成形法Dに比べて、残留応力が十分に低減された。また、成形法Cの熱間鍛造だけでも残留応力が低減された。
(実施例3) 成形温度に関する試験
次に、残留応力と成形温度との関係を調べるための試験を行った。鋼種A5の板材を打ち抜いて、表2のNo.2の寸法を有するリング状のブランク材(外径φ29.5mm、内径φ22mm、厚さ4.0mm)を作製し、実施例2の成形法Bによって所定の加工を行った。加熱時間10分で、種々の加熱温度を選定して、熱間鍛造を行って、表2のNo.2の寸法を有するリング状の成形品を作製し、その残留応力を測定した。表4に、成形温度と残留応力(絶対値)の最大値との関係を示す。上記の熱間鍛造は、外径φ30mm×内径φ20mm×厚さ3.0mmの部品形状を有する金型で実施した。
実施例2と同様にX線測定法により、図3に示す4箇所における周方向の残留応力を測定した。4箇所の測定値における絶対値の最大が100MPa以下であるときを良好(○)と評価し、100MPaを超えるときを不良(×)と評価した。測定結果を表5に示す。
Figure 0006284666
熱間鍛造の加熱温度が500℃以上である場合、成形品における残留応力の絶対値の最大が100MPa以下であり、残留応力の発生が抑制された。加熱温度が高温になるほど残留応力が低減する傾向を示した。他方、加熱温度が1000℃より高いと、成形品の表面酸化が顕著になるため、バレル研磨あるいはラッピング加工に要する時間が増えることから、熱間鍛造の加熱温度は、500〜1000℃が好ましいといえる。
(実施例4)寸法精度および平面度に関する試験
次に、寸法精度および平面度を調べるための試験を行った。実施例2と同じ形状のリング状ブランク材を用いて、外径φ30mm×内径φ20mm×厚さ3.0mmの目標寸法(表2のNo.2の成形品寸法)で成形した。成形法Dの冷間打抜による成形品は、実施例2と同様に、φ30mmの円形状ブランクに打抜いた後、その中心を再びφ20mmで打抜いて作製した(クリアランス:1%)。実施例2の測定箇所と同様に、図3に示す位置で寸法を測定し、寸法精度を評価した。外径および内径の寸法精度は、D外径1とD外径2の2箇所の測定値を平均した数値で外径について評価し、D内径1とD内径2の2箇所の測定値を平均した数値で内径について評価した。厚みは、4箇所(P1〜P4)の測定値を平均した数値で評価した。平面度は、スペーサーリングを定盤に載置し、定盤との間に生じる隙間距離が最も大きい箇所の隙間距離により評価した。寸法精度は、±1%以下である場合を合格(○)とし、±1%を越える場合を不合格(×)と評価した。平面度は、10μm以下である場合を合格(○)とし、10μmを超える場合を不合格(×)と評価した。上記の測定結果を表6に示す。
Figure 0006284666
表6に示すように、本発明に相当する成形法Aおよび成形法Bは、寸法精度および平面度が、要求レベルを満たした。ラッピング加工が施された成形法Bは、寸法精度および平面度が従来鋼B2においても満足しており、ステンレス鋼の適用範囲が拡大できることを示した。他方、熱間鍛造法だけが行われた成形法Cは、成形品の寸法精度が不十分であり、冷間打抜だけが行われた成形法Dは、成形品の平面度が不十分であった。
(実施例5)成形可能寸法に関する試験
次に、所定の寸法精度および平面度を満たす成形品が得られる成形可能寸法を調べるための試験を行った。表1に示した本発明鋼A4の供試材(冷間焼鈍板)を打ち抜いて、表2に示すNo.1〜No.4の各寸法のリング状ブランク材を作製し、実施例2と同様の成形法A〜成形法Dにより、表2に示すNo.1〜No.4の外径φを有するリング状の成形品(スペーサーリング)を作製した。得られた成形品について、実施例2および実施例4と同様の手順で、残留応力、寸法精度および平面度を測定して評価した。評価基準は、実施例2および実施例4と同様である。各条件を満たす場合を合格(○)、満たさない場合を不合格(×)と評価した。それらの測定結果を表7に示す。
Figure 0006284666
表7に示すように、本発明に相当する成形法Aおよび成形法Bは、成形品の外径φが15〜50mmの範囲で、残留応力、寸法精度および平面度が、HDDスペーサーリングに必要な条件を満たしていた。3.5型HDDスペーサーリングは、外径寸法が30mm以上必要とすることから、成形法Aまたは成形法Bにより、3.5型HDDに適用可能なスペーサーリングを製造できることが確認された。
1 ブランク材
2 上型
3 下型
4 中間型
5 試験体
11 回転ハブ
12 磁気ディスク
13 スペーサー
14 クランプ部材

Claims (4)

  1. 金属素材からブランク材を作製する第1の工程と、
    前記ブランク材に閉塞熱間鍛造を施して成形品を作製する第2の工程と、
    前記成形品の表面にバレル研磨を施して、スペーサー部品を作製する第3の工程と、
    を含む、ハードディスク用スペーサー部品の製造方法。
  2. 前記第1の工程は、金属板の打抜き又は金属管の切断によって前記ブランク材を作製する、請求項1に記載のハードディスク用スペーサー部品の製造方法。
  3. 前記第2の工程は、前記ブランク材を500〜1100℃に加熱した後、閉塞熱間鍛造を行う、請求項1または2に記載のハードディスク用スペーサー部品の製造方法。
  4. 前記第3の工程の後、前記スペーサー部品にラッピング加工を施す工程を含む、請求項1〜3のいずれかに記載のハードディスク用スペーサー部品の製造方法。
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