JP5653058B2 - 油中水型乳化メーキャップ化粧料 - Google Patents
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また、特許文献2には、ポリグリセリン脂肪酸エステルの一種又は二種以上を配合した油中水型乳化化粧料が開示されている。しかしこの油中水型乳化化粧料は低粘度タイプであるため、肌に塗布した際に皮溝落ちが生じ、仕上がりのつや感に劣るという欠点がある。
そこで本発明は、なめらかな使用性を有し、仕上がりのつや感に優れ、高い保湿性を有する油中水型乳化メーキャップ化粧料を提供することを目的とする。
(a)ポリグリセリンイソステアリン酸エステル(ただし、グリセリンの重合度が4〜10であり、イソステアリン酸の付加モル数が3〜6である。)
(b)シリコーン系活性剤
(c)水性成分
(d)油性成分
従来は、油分量を多くしてつやを付与していたが、べとべとしたり、化粧持ちが良くないといった問題点がある。また板状のシリカを配合してつやを付与する方法もあるが、この場合はのびが重くなったり、粉っぽくなったりする。
また、本発明においては塗布膜が肌を均一に覆うことにより、閉塞効果が高まり、その結果、保湿効果に優れたものとなる。通常、保湿効果を高めるためにはポリオールなどの保湿剤を配合するが、この場合には、保水効果は親水部で発現し、閉塞効果は疎水部で発現し、それぞれが別々の領域となるため、保湿効果の持続性は期待できない場合が多い。本発明においては、塗布膜が均一に肌を覆って閉塞効果を発揮するために、長時間保湿効果が持続する。
また、上記ポリグリセリンイソステアリン酸エステルとシリコーン系活性剤とを併用することで、安定性のよいものとすることができる。
以下、各構成成分について詳細に説明する。
本発明で用いられる成分(a)のポリグリセリンイソステアリン酸エステルは、平均重合度が4〜10のポリグリセリンに、イソステアリン酸が場所を特定せずに3〜6個付加した界面活性剤である。グリセリンの平均重合度は5のポリグリセリンが好ましい。
本発明において(a)成分は塗布時には、肌上に均一に液晶様の構造をとるため塗布膜が平滑かつ均一になり、つや感に優れたものとなる。
かかるイソステアリン酸ポリグリセリルは、例えば特許第3487881号や特開2006−111539号公報(水酸基価が1200以下であり、全ての水酸基のうち1級水酸基が50%以上であるポリグリセリンと脂肪酸とがエステル化されたポリグリセリン脂肪酸エステル)に記載の方法によって製造することができる。
このうち特に好ましいのは、重合度5のイソステアリン酸ポリグリセリルが(a)成分全量中、40質量%以上であるようなイソステアリン酸ポリグリセリル−5である。
このイソステアリン酸ポリグリセリル−5は種々の公知の合成法により提供され得る。本発明においては、低重合度のポリグリセリンが少なく、かつ重合度の分布が狭いポリグリセリン−5とイソステアリン酸を原料にして得られるイソステアリン酸ポリグリセリル−5が好ましく、特に重合度5のイソステアリン酸ポリグリセリル−5が(a)成分全量中、40質量%以上であるものが好ましい。
また、イソステアリン酸残基は3〜6のトリイソステアリン酸ポリグリセリル−5が好ましい。
製造方法を例示すると第一工程として、ジグリセリン1モルとして、水酸化ナトリウム1モルを加えて加熱脱水してジグリセリンモノアルコラートを生成し、第二工程として得られたジグリセリンモノアルコラート2モルにジクロロヒドリン1モルを添加して加熱すると重合度5の分布が狭いポリグリセリン1モルを得ることができる。
狭分布のポリグリセリンの製法の詳細については、例えば特許第3487881号に記載されている。
本発明において、成分(b)のシリコーン系活性剤を用いることで、塗布時の伸ばしやすさが向上し、安定性も良くなる。
(a)/(b)が小さすぎると、均一な塗布膜が形成されず、(a)/(b)が大きすぎると、伸びが重く使用感に劣る。
本発明に用いられる(c)水性成分は化粧品、医薬品などに通常使用可能なものを、乳化物の安定性を損なわない範囲で配合することができる。
(c)水性成分としては、水の他に、無機塩、有機塩、保湿剤、水溶性高分子が含まれる。
本発明においては、油性成分は化粧品、医薬品に通常使用可能なものを、乳化物の安定性を損なわない範囲で使用することができる。
液状油分としては、好ましくはシリコーン油であり、さらに好ましくは環状シリコーン油である。シリコーン油としては、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサンなどに代表される鎖状シリコーン油、およびオクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンなどに代表される環状シリコーン油がある。
固形油分としては、カカオ脂、ヤシ油、馬油、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化ヒマシ油などの固体油脂、パラフィンワックス(直鎖炭化水素)、マイクロクリスタリンワックス(分岐飽和炭化水素)、セレシンワックス、モクロウ、モンタンワックス、フィッシャートロプスワックスなどの炭化水素類、ミツロウ、ラノリン、カルナバワックス、キャンデリラロウ、米ぬかロウ(ライスワックス)、ゲイロウ、ホホバ油、ヌカロウ、モンタンロウ、カポックロウ、ベイベリーロウ、セラックロウ、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリル酸ヘキシル、還元ラノリン、硬質ラノリン、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテルなどのロウ類、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベへニン酸などの高級脂肪酸、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコールなどの高級アルコールなどが挙げられる。
本発明においては、さらに(e)L−グルタミン酸ナトリウムおよび/又はエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)を配合することが好ましい。
L−グルタミン酸ナトリウムおよび/又はエチレンジアミンテトラ酢酸を配合することにより、高温での粘度低下を抑えることができ、乳化安定性を高めることができる。
L−グルタミン酸ナトリウムおよび/又はエチレンジアミンテトラ酢酸の好ましい配合量は、0.1〜2質量%である。
本発明の油中水型乳化メーキャップ化粧料には、上記必須成分の他に、粉末、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、酸化防止剤、各種薬剤を配合することができる。
酸化防止剤としては、アスコルビン酸、α−トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール等が挙げられる。
上記薬剤は遊離の状態で使用されるほか、造塩可能なものは酸または塩基の塩の形で、またカルボン酸基を有するものはそのエステルの形で使用することができる。
実施例の説明に先立ち本発明で用いた効果試験方法について説明する。
測定方法
専門パネルに試料を塗布した時の、0〜8時間後(初期、30分後、1時間後、4時間後、8時間後)の水分量をコルネオメーターによる単回保湿試験(n=5)により測定し、その平均値を「水分量平均」とした。また、S.Eは、標準誤差を示す。
5名の専門パネルによる実使用性試験を行った。評価は、各項目について下記の評価点基準に基づいて5段階官能評価(スコア)した。そのスコア平均値により、下記評価基準で判定した。
5点:非常に優れている。
4点:優れている。
3点:普通。
2点:劣る。
1点:非常に劣る。
◎:評価値(平均値)4.5点以上5.0点以下
○:評価値(平均値)4点以上4.5点未満
○△:評価値(平均値)3.5点以上4点未満
△:評価値(平均値)2.5点以上3.5点未満
×:評価値(平均値)1.0点以上2.5点未満
製剤を50mLスクリュー管に約40mL充填し、50℃の恒温槽で4週間保管した後の外観を目視により下記評価基準で判定した。
○:外観上異常を認めない
△:僅かな油相分離が認められる。
×:明らかな油相分離が認められる。
5リットルの四ツ口フラスコにジグリセリン3300gと50%水酸化ナトリウム水溶液800gを入れ、窒素気流下で水を除去しながら140℃まで加熱した。水の留出が終わった後ジクロロヒドリン640gを2時間かけて滴下した。滴下後120℃で2時間攪拌する。これを分子蒸留にて過量のジクリセリンを除去後水に希釈して活性炭,イオン交換樹脂で脱色,脱塩し、水を除いてポリグリセリンを得た。本品をTMS化し、GC法により分析を行ったところ、重合度5の成分が60%であった。
得られたポリグリセリン−5をイソステアリン酸と常法により反応させて、イソステアリン酸の付加モル数を変化させたイソステアリン酸ポリグリセリル−5を得た。
温度計、ジムロートおよび攪拌装置を付けた3つ口フラスコに、太陽化学社製のポリグリセリン(グレートオイルDE−1、デカグリセリン;水酸基価890、1級水酸基の割合46.6% 、2級水酸基の割合53.4%)200gおよびピリジン600mlを加えた。ここへ1級水酸基に選択的に反応する試薬であるクロロトリフェニルメチル370g(和光純薬社製)を加えて100℃で1時間攪拌後室温に戻し、24時間攪拌した。さらに反応液を減圧下でピリジンの大部分を除去した。得られた反応物に水800mlを加え、分液ロートに移して酢酸エチル400mlで3回抽出した。酢酸エチル層を合わせて濃縮し、得られた残渣156gおよび酢酸300gを温度計、ジムロートおよび攪拌装置を付けた3つ口フラスコに加えて8時間加熱還流し、トリメチルフェニル基を脱離させた。上記工程を繰り返し、精製したポリグリセリンを混合し、一定量のポリグリセリンを得た。得られたポリグリセリンの水酸基価は886、1級水酸基の割合は61.3%、2級水酸基の割合は38.7%であった。
得られたポリグリセリン−10をイソステアリン酸と常法により反応させて、イソステアリン酸の付加モル数を変化させたイソステアリン酸ポリグリセリル−10を得た。
次の表1に示す処方で下記の方法により油中水型乳化メーキャップ化粧料を調製し、仕上がりの均一性、キメ落ちのなさ、仕上がりのつや、化粧持ちのよさ、べたつきのなさについて、上記した基準で評価した。その結果を併せて表1に示す。トリイソステアリン酸ポリグリセリル−5は、上記製造例1で得られたもので、イソステアリン酸の平均付加モル数が3のものである。
活性剤、油性成分およびその他の油溶性成分を混合した後、油性成分に粉末成分を分散する。水溶性成分およびその他の水溶性成分を混合、溶解し、油溶性成分のパーツを強く攪拌しながら水溶性成分のパーツを徐添する。
次に、表1試験例1の油中水型乳化メーキャップ化粧料を用いて、他処方(試験例10)の油中水型乳化メーキャップ化粧料との保湿効果の比較を行った。試験例10の処方を表2に示す。またその結果を表3に示す。
Claims (4)
- 次の(a)〜(d)を含み、(a)の配合量が化粧料全量に対して0.1〜5質量%であり、(a)と(b)の合計量が化粧料全量に対して2〜7質量%であり、
重合度5のイソステアリン酸ポリグリセリル−5が(a)成分全量中、40質量%以上であることを特徴とする油中水型乳化メーキャップ化粧料。
(a)ポリグリセリンイソステアリン酸エステル(ただし、グリセリンの重合度が4〜10であり、イソステアリン酸の付加モル数が3〜6である。)
(b)シリコーン系活性剤
(c)水性成分
(d)油性成分 - (a)と(b)の配合比(質量基準)が(a)/(b)=0.5〜4であることを特徴とする請求項1に記載の油中水型乳化メーキャップ化粧料。
- (c)水性成分の配合量が化粧料全量に対し40〜70質量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の油中水型乳化メーキャップ化粧料。
- さらに、(e)L−グルタミン酸ナトリウムおよび/又はエチレンジアミンテトラ酢酸を配合することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の油中水型乳化メーキャップ化粧料。
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