JP5652192B2 - 時計用文字板および時計 - Google Patents
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Description
従来、時計用文字板としては、高級感のある外観を得るために、一般に、金属材料で構成されたものが用いられてきた。そして、純金、純銀等の無垢材料では表現が困難な外観を得るために、複雑な組成を有する合金で構成された文字板を用いる試みもある(例えば、特許文献1参照)。
また、例えば、装飾品の中には、毛皮を用いたものがあるが、時計は、精密機器であるため、脱落した毛による弊害等が懸念されることから、毛皮調の時計用文字板を提供することができなかった。
一方の主面に多数の角錐状の突部が設けられた層とを備え、
前記層は、前記突部として、三角錐状の突部を有するものであり、
前記層は、前記突部として、時計用文字板を平面視した際に、前記三角錐状の突部の底面の三角形の重心と、当該突部の頂点とが一致しない変形三角錐状突部を備えており、
前記変形三角錐状突部として、底面の三角形の一つの辺を共有する隣接する前記突部との間で、前記辺を含み時計用文字板の法線方向と平行な面を対称面とする対称関係、および/または、前記辺上の点を含み時計用文字板の法線方向と平行な線を対称軸とする対称関係を満足するものを有し、
平面視した際に、前記板状部材と前記層とが重なり合うものであることを特徴とする。
これにより、従来表現することのできなかった毛皮調の外観を呈する時計用文字板を提供することができる。
これにより、時計用文字板の外観を、より立体感に溢れ、より高級感のあるものとすることができる。
本発明の時計用文字板では、時計用文字板が備える前記変形三角錐状突部のうち前記対称関係を満足するものの数の割合は、70%以上であることが好ましい。
これにより、時計用文字板の外観を、より立体感に溢れ、より高級感のあるものとすることができる。
これにより、時計用文字板の外観を、より立体感に溢れ、より高級感のあるものとすることができる。
本発明の時計用文字板では、前記凸条についての接線に垂直な方向でかつ前記板状部材の厚さ方向の断面における前記凸条の平均ピッチは、20μm以上100μm以下であることが好ましい。
これにより、時計用文字板の美的外観を特に優れたものとすることができる。
これにより、時計用文字板の美的外観を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計用文字板では、前記板状部材は、時計用文字板を平面視した際に、同心円状に設けられた複数の前記凸条を有するものであることが好ましい。
これにより、時計用文字板の美的外観を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計は、本発明の時計用文字板を備えたことを特徴とする。
これにより、従来表現することのできなかった毛皮調の外観を呈する時計用文字板を備えた時計を提供することができる。
まず、本発明の時計用文字板の好適な実施形態について説明する。
<時計用文字板>
(第1実施形態)
図1は、本発明の時計用文字板の第1実施形態を示す断面図、図2〜図6は、板状部材が有する凸条の配置パターンの例を模式的に示す平面図、図10は、本実施形態の時計用文字板が有する層12の一例を示す写真、図11は、図10に示す層12を備えた本実施形態の時計用文字板を示す写真である。
また、時計用文字板1は、板状部材11の凸条113が設けられた面(第1の面)111とは反対の面(第2の面)112側に、それ単独では、ラメ調の外観を呈する層12を備えている。
時計用文字板1が、このような構成を有することにより、従来表現することのできなかった毛皮調の外観を呈することができる。
特に、本実施形態の時計用文字板は、層12として、光を反射する機能を有する粉末121が多数個分散した層(分散層)12を有している。これにより、時計用文字板1の毛皮調の外観を特に優れたものとすることができる。
時計用文字板1は、板状部材11の第1の面111側が観察者側(外表面側)を向くようにして用いられるものである。
板状部材11は、光透過性を有する材料で構成されたものである。本発明において、「光透過性を有する」とは、可視光領域(380〜780nmの波長領域)の光の少なくとも一部を透過する性質を有することを指し、好ましくは可視光領域の光の透過率が50%以上であり、より好ましくは可視光領域の光の透過率が60%以上である。このような光の透過率は、例えば、光源として、白色蛍光灯(東芝社製、検査用蛍光灯 FL20S−D65)を用い、1000ルクス下で、測定対象の部材(または時計用文字板)と同一形状のソーラーセル(太陽電池)のみで発電した際の電流値(X)に対する、当該ソーラーセルの光源側の面に測定対象である部材(または時計用文字板)を載せた以外は、前記と同一の状態で発電した際の電流値(Y)の比率((Y/X)×100[%])を、採用することができる。以下、本明細書中において、特に断りのない限り、「光の透過率」とは、このような条件で求められる値のことを指す。
板状部材11の屈折率(絶対屈折率)は、1.500以上1.650以下であるのが好ましく、1.550以上1.600以下であるのがより好ましい。これにより、後に詳述するような光の反射・散乱を好適に生じさせることができ、時計用文字板1の美的外観および光の透過性をいずれも優れたものとすることができる。
上述したように、板状部材11は、第1の面111に、第1の面111側から入射した光を、反射・散乱させる機能を有する凸条113を有するものである。
凸条113の配置パターン(平面視した際の配置パターン)としては、例えば、複数の凸条113が同心円状に配置されたパターン(図2参照)、凸条113が渦巻状に配置されたパターン(図3参照)等が挙げられる。また、例えば、一次元方向に多数の凸条113が配置されたパターン(図4参照)、二次元方向に多数の凸条113が配置されたパターン(図5、図6参照)等であってもよい。
凸条113についての接線に垂直な方向でかつ板状部材11の厚さ方向の断面における凸条113のピッチP1の平均値(平均ピッチ)は、特に限定されないが、20μm以上100μm以下であるのが好ましく、30μm以上70μm以下であるのがより好ましい。凸条113のピッチP1の平均値(平均ピッチ)が前記範囲内の値であると、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。
凸条113の頂点の角度(図中のθ1)は、特に限定されないが、70°以上100°以下であるのが好ましく、90°であるのがより好ましい。これにより、第1の面111側から入射した光を適度に反射・散乱させることができ、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。
また、板状部材11の形状、大きさは、特に限定されず、通常、製造すべき時計用文字板1の形状、大きさに基づいて決定される。なお、図示の構成では、板状部材11は、平板状をなすものであるが、例えば、湾曲板状等をなすものであってもよい。
層12は、それ単独では、ラメ調の外観を呈するものである。このような層12を、板状部材11が備えることにより、板状部材11を透過した光が層12によって反射されることとなるが、層12によって反射された光は、板状部材11が有する凸条113によって引き伸ばされたものとして観察者に認識されるため、動物の毛のような外観を呈するものとなり、時計用文字板1全体としての外観は、光沢感のある動物の毛皮のようなものとなり、高級感に溢れたものとなる。
また、層12が上記のような構成を有し、層12全体として光透過性を有するものである場合、層12の内部に入射した光を多数個の粉末121の表面で繰り返し反射をさせつつ、その光の一部を図1中の上側から出射させ、また、その光の他の一部を図1中の下側から出射させることができる。その結果、時計用文字板1の背面側の様子を観察者に直接視認させることを防止することができ、時計用文字板1の美的外観を優れたものとしつつ、時計用文字板1全体としての光の透過性を十分に優れたものとすることができる。このため、時計用文字板1は、その背面に太陽電池を備えたソーラー時計に好適に適用することができる。
光沢性粉末121の平均粒径は、30μm以上200μm以下であるのが好ましく、40μm以上180μm以下であるのがより好ましく、50μm以上160μm以下であるのがさらに好ましい。光沢性粉末121の平均粒径が前記範囲内の値であると、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。また、光の透過性を特に優れたものとすることができるため、時計用文字板1をソーラー時計により好適に適用することができる。本発明において、粉末の粒径とは、粉末を平面視したときの周囲長と同じ長さの周囲長を有する真円の直径の値を指す。より具体的に説明すると、粉末の平面視したときの形状が一辺の長さがa[μm]の正方形である場合、当該粉末の粒径は、4a/π[μm]である。
光沢性粉末121を構成する光輝性材料としては、例えば、Fe、Cu、Zn、Ni、Mg、Cr、Mn、Mo、Nb、Al、V、Zr、Sn、Au、Pd、Pt、Agや、これらのうち少なくとも1種を含む合金(例えば、青銅、真鍮、洋白等)等が挙げられるが、中でも、Cu、Al、Au、Pt、Agが好ましい。これにより、製造される時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。
層12の平均厚さは、25μm以上500μm以下であるのが好ましく、30μm以上400μm以下であるのがより好ましく、40μm以上350μm以下であるのがさらに好ましい。
また、時計用文字板1は、図示しないコート層を有するものであってもよい。
上述したように、時計用文字板1は、美的外観に優れるとともに、光の透過性にも優れている。このため、時計用文字板1は、ソーラー時計(太陽電池を内蔵する時計)等に好適に適用することができる。
図1中、層12は、それ自体が、時計用文字板1において、独立して存在するものであるが、層12は、例えば、別途用意された基材の表面に設けられたものであってもよい。これにより、層12の厚さが比較的薄いものであっても、時計用文字板1中における層12の形状の安定性を十分に優れたものとすることができる。このため、時計用文字板1の製造に際し、粉末121の使用量等を抑制することができる。
図7は、本発明の時計用文字板の第2実施形態を示す断面図、図8は、図7に示す時計用文字板が備える、角錐状の突部を有する層の拡大平面図、図13は、本実施形態の時計用文字板が有する層12の一例を示す写真、図14は、図10に示す板状部材11、および、図13に示す層12を備えた本実施形態の時計用文字板を示す写真である。
以下、第2実施形態の時計用文字板について、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項の説明は省略する。
また、図示の構成では、層12は、突部として、三角錐状の突部124(124A、124B)を有するものである。このように、層12が、三角錐状の突部124を有するものであることにより、時計用文字板1を、ミンクの毛皮のような、より高級感に溢れた外観を呈するものとすることができる。
また、時計用文字板1が備える変形三角錐状突部124Bのうち上述したような対称関係(共有辺1243を含み時計用文字板1の法線方向と平行な面を対称面125とする対称関係、および/または、共有辺1243上の点を含み時計用文字板1の法線方向と平行な線126を対称軸とする対称関係)を満足するものの数の割合は、70%以上であるのが好ましく、73%以上であるのがより好ましく、77%以上であるのがさらに好ましい。これにより、時計用文字板1の外観を、より立体感に溢れ、より高級感のあるものとすることができる。
突部124の傾斜面(三角錐の底面以外の面)の層12に対する傾斜角度θ(層12の法線に垂直な面方向と傾斜面とのなす角θ。0°<θ<90°)の平均値θaveは、20°以上80°以下であるのが好ましく、40°以上75°以下であるのがより好ましい。
突部124の平均高さは、10μm以上500μm以下であるのが好ましく、40μm以上350μm以下であるのがより好ましい。これにより、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。
また、本実施形態の時計用文字板1は、図8に示すように、層12(時計用文字板1)を平面視した際に、多数個の突部124がマトリックス状に配置されている。このように、多数個の突部124が規則的に配置されることにより、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。
次に、上述したような本発明の時計用文字板を備えた本発明の時計について説明する。
本発明の時計は、上述したような本発明の時計用文字板を有するものである。上述したように、本発明の時計用文字板は、従来表現することのできなかった毛皮調の外観を呈するものであり、装飾性(美的外観)に優れたものである。また、板状部材11および層12の材料の選択により、上記のような優れた外観を確保しつつ、時計用文字板1全体としての光透過性を優れたものとすることができる。このため、このような時計用文字板を備えた本発明の時計は、ソーラー時計としての求められる要件を十分に満足することができる。なお、本発明の時計を構成する時計用文字板(本発明の時計用文字板)以外の部品としては、公知のものを用いることができるが、以下に、本発明の時計の構成の一例について説明する。
図9に示すように、本実施形態の腕時計(携帯時計)100は、胴(ケース)82と、裏蓋83と、ベゼル(縁)84と、ガラス板(カバーガラス)85とを備えている。また、ケース82内には、前述したような本発明の時計用文字板1と、太陽電池94と、ムーブメント81とが収納されており、さらに、図示しない針(指針)等が収納されている。時計用文字板1は、太陽電池94と、ガラス板(カバーガラス)85との間に設けられており、板状部材11の第1の面111が、ガラス板(カバーガラス)85側を向くように配置されている。
ムーブメント81は、太陽電池94の起電力を利用して、指針を駆動する。
図9中では省略しているが、ムーブメント81内には、例えば、太陽電池94の起電力を貯蔵する電気二重層コンデンサー、リチウムイオン二次電池や、時間基準源として水晶振動子や、水晶振動子の発振周波数をもとに時計を駆動する駆動パルスを発生する半導体集積回路や、この駆動パルスを受けて1秒毎に指針を駆動するステップモーターや、ステップモーターの動きを指針に伝達する輪列機構等を備えている。
太陽電池94は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する機能を有する。そして、太陽電池94で変換された電気エネルギーは、ムーブメントの駆動等に利用される。
太陽電池94は、例えば、非単結晶シリコン薄膜にp型の不純物とn型の不純物とが選択的に導入され、さらにp型の非単結晶シリコン薄膜とn型の非単結晶シリコン薄膜との間に不純物濃度の低いi型の非単結晶シリコン薄膜を備えたpin構造を有している。
胴82とベゼル84とは、プラスチックパッキン88により固定され、ベゼル84とガラス板85とはプラスチックパッキン89により固定されている。
また、胴82に対し裏蓋83が嵌合(または螺合)されており、これらの接合部(シール部)93には、リング状のゴムパッキン(裏蓋パッキン)92が圧縮状態で介挿されている。この構成によりシール部93が液密に封止され、防水機能が得られる。
上記のような携帯時計(腕時計)は、各種時計の中でも特に優れた耐久性(例えば、耐衝撃性等)が求められるものであるため、優れた美的外観とともに、優れた耐久性が得られる本発明を、より好適に適用することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記のようなものに限定されるものではない。
また、前述した実施形態では、板状部材が有する凸条は、第1の面の全体に設けられたものとして説明したが、凸条は、第1の面の一部にのみ選択的に設けられたものであってもよい。
Claims (8)
- 光透過性を有する材料で構成され、一方の面に、入射した光を、反射・散乱させる機能を有する凸条が設けられた板状部材と、
一方の主面に多数の角錐状の突部が設けられた層とを備え、
前記層は、前記突部として、三角錐状の突部を有するものであり、
前記層は、前記突部として、時計用文字板を平面視した際に、前記三角錐状の突部の底面の三角形の重心と、当該突部の頂点とが一致しない変形三角錐状突部を備えており、
前記変形三角錐状突部として、底面の三角形の一つの辺を共有する隣接する前記突部との間で、前記辺を含み時計用文字板の法線方向と平行な面を対称面とする対称関係、および/または、前記辺上の点を含み時計用文字板の法線方向と平行な線を対称軸とする対称関係を満足するものを有し、
平面視した際に、前記板状部材と前記層とが重なり合うものであることを特徴とする時計用文字板。 - 時計用文字板が備える前記突部のうち前記変形三角錐状突部の数の割合は、80%以上である請求項1に記載の時計用文字板。
- 時計用文字板が備える前記変形三角錐状突部のうち前記対称関係を満足するものの数の割合は、70%以上である請求項1または2に記載の時計用文字板。
- 前記突部の底面は、二等辺三角形状をなすものである請求項1ないし3のいずれかに記載の時計用文字板。
- 前記凸条についての接線に垂直な方向でかつ前記板状部材の厚さ方向の断面における前記凸条の平均ピッチは、20μm以上100μm以下である請求項1ないし4のいずれかに記載の時計用文字板。
- 前記板状部材が有する前記凸条の平均高さは、10μm以上50μm以下である請求項1ないし5のいずれかに記載の時計用文字板。
- 前記板状部材は、時計用文字板を平面視した際に、同心円状に設けられた複数の前記凸条を有するものである請求項1ないし6のいずれかに記載の時計用文字板。
- 請求項1ないし7のいずれかに記載の時計用文字板を備えたことを特徴とする時計。
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