JP5649948B2 - 硫酸電解方法及び硫酸電解装置 - Google Patents

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Description

本発明は、導電性ダイヤモンド電極を用いて硫酸を直接電解し、酸化性物質を安定して生成させる、硫酸電解方法及び硫酸電解装置に関するものである。
金属の電解めっきの前処理剤やエッチング剤、半導体デバイス製造における化学的機械的研磨処理における酸化剤、湿式分析における有機物の酸化剤、シリコンウェハの洗浄剤等の、様々な製造プロセスや検査プロセスに用いる薬剤として、過硫酸や過硫酸塩が用いられている。これら過硫酸や過硫酸塩等は、「酸化性物質」と呼ばれ、この「酸化性物質」は、硫酸の電解によって生成することが知られており、既に工業規模で電解製造されている。
本発明において、「酸化性物質」とはペルオキソ二硫酸、ペルオキソ一硫酸を総称する過硫酸、過酸化水素を指す。電解生成物である「酸化性物質」を部材の洗浄や表面処理等に使用する時、多くの場合では、これら総濃度が高いほど効果の高い薬液となるため、高濃度な液を作製する方法が求められる。また、これらの製造においては電解法が用いられるが、セル電圧、電解電流、電流効率から算出される電力原単位を小さくすること、及び経時的に安定かつ高い電流効率を維持することは、生産に必要なエネルギーを小さくするため生産性向上に有効である。
特許文献1には、導電性ダイヤモンド陽極を用いて硫酸を電解し過硫酸を製造する硫酸電解方法、及び製造された過硫酸を用いてシリコンウェハ加工物を洗浄する洗浄方法が記されている。この導電性ダイヤモンド電極は、従来、過硫酸塩を生成する電極として多用されてきた白金電極と比較して、酸素発生の過電圧が大きいため、硫酸を過硫酸に電解酸化する効率に優れている。また優れた化学安定性を有し、電極寿命が長いという特長を有している。
即ち、導電性ダイヤモンド電極は、他の電極触媒(Pt、PbO2等)と比較して過硫酸生成効率が高く、耐久性が高く、電極からの汚染発生がないクリーンな電解液を作製できることなどから、特に半導体ウェハ等の洗浄液製造用途などで開発を進められている。
然るに、特許文献1に記載の導電性ダイヤモンド陽極を用いて、濃硫酸を電解し、過硫酸を製造する硫酸電解方法は硫酸を電解して過硫酸を含む洗浄液を生成し、該洗浄液をレジスト付きシリコンウェハ等の被洗浄物へ供給して洗浄を行ない、更に過硫酸濃度の低下した使用済み洗浄液を回収して再度電解することで過硫酸濃度を増加させて繰り返し同一洗浄液を洗浄に用いる方法であり、ペルオキソ二硫酸等の過硫酸や洗浄液中の酸化性物質の電流効率及び生産性について検討していない。
特許文献2によれば、隔膜で陽極室と陰極室を区画した電解反応槽に硫酸溶液を通液して電解し、過硫酸イオンを生成させ、電解反応槽と洗浄槽との間で過硫酸イオンを循環させることで、電解反応槽での過硫酸イオンの還元反応を防止し、効率よく過硫酸イオンを生成し、効果的な洗浄を可能にする方法が開示されている。更に、特許文献2には、電解温度を10〜90℃の範囲とすることが記載されている。しかし、陽極側での副電解反応による効率低下について特許文献2では考慮されていない。
特許文献3によれば、洗浄に使用した硫酸を含む溶液を希釈し、この希釈溶液を電解反応に使用し、過硫酸を生成し、これを洗浄に供給する方法が開示されている。更に、特許文献3には、洗浄に供給される溶液の硫酸濃度が60〜90質量%であり、電解反応に使用される硫酸濃度が15〜55質量%とすることが記載されている。しかし、硫酸濃度と電解条件との関係性については特許文献3では考慮されていない。
特許文献4によれば、硫酸アンモニウムを含む硫酸溶液を電解し、過硫酸を製造し、硫酸溶液の全硫酸濃度を、6.5〜12mol/lの範囲とし、そのうち、0.01〜3mol/lの範囲は、硫酸アンモニウム由来のものとし、硫酸及び過硫酸が高濃度で共存する過硫酸溶解水を製造する方法が開示されている。硫酸イオンから過硫酸イオンを生成する電解反応槽と洗浄槽との間で過硫酸イオンを循環させ、電解反応槽での過硫酸イオンの還元反応を防止し、効率よく、過硫酸イオンを生成し、効果的な洗浄を可能にする方法が開示されている。しかし、陽極側での副電解反応による効率低下について特許文献4では考慮されていない。
然るに、上記特許文献1〜4に記載の方法では、高濃度の酸化性物質を高電流効率で製造することができなかった。
特開2006−278838号公報 特開2006−228899号公報 特開2008−244310号公報 特開2010−156033号公報
本発明は、上記の欠点を解消し、高濃度の酸化性物質を高電流効率で製造することのできる、硫酸電解方法及び硫酸電解装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記の課題を解決するため、隔膜により陽極室と陰極室に区画し、前記陽極室内に導電性ダイヤモンド陽極を設け、前記陰極室内に陰極を設け、前記陽極室及び陰極室内に、それぞれ、外部より硫酸イオンを含む電解液を供給して電解を行い、前記陽極室内の陽極電解液中に酸化性物質を生成させる硫酸電解方法において、前記硫酸イオンを含む電解液の硫酸イオン濃度(HSO4 -もしくはSO4 2-)を2〜14mol/lとするとともに、前記硫酸イオンを含む電解液を(1)式、(2)式を満たす条件で電解する硫酸電解方法を提供することにある。
100≦X≦10000 ・・・(1)
25<Y<250 ・・・(2)
X=電流値/陽極液量(A/l)
Y=電流密度(A/dm2
また、本発明による第2の解決手段は前記電解条件において、前記硫酸イオンを含む電解液の酸濃度(H+)を4〜28mol/lとした硫酸電解方法を提供することにある。
また、本発明による第3の解決手段は、前記電条件に加えて、硫酸イオンを含む電解液を(3)式を満たす条件で電解する硫酸電解方法を提供することにある。
18000≦Z≦1080000 ・・・(3)
Z=単位体積あたりの電気量(C/l)=電流値×電解時間/陽極液量(A・s/l)
また、本発明による第4の解決手段は、硫酸電解方法に使用する隔膜として、フッ素樹脂系陽イオン交換膜又は親水化処理を行った多孔質フッ素系樹脂膜よりなる隔膜を用いたことにある。
本発明による第5の解決手段は、前記硫酸電解方法を実施するための硫酸電解装置を提供することにある。
本発明による硫酸電解方法及び硫酸電解装置によれば、従来技術では達成できなかった高濃度酸化性物質溶液を高い電流効率で製造することができる。
本発明による硫酸電解方法及び硫酸電解装置に使用する電解セルの一例を示す全体図。 本発明による硫酸電解方法及び硫酸電解装置の一例を示す全体図。 本発明による硫酸電解方法及び硫酸電解装置の他の例を示す全体図。
本発明者は、電解条件と酸化性物質の電流効率・セル電圧との間に次のような関係があること見出したものである。
硫酸イオン濃度については、低濃度だと電解反応物質が少なくなるため電流効率が低下し、高濃度だと粘性が高くなるために電解によって発生するガスが滞留しやすく気泡率が増加し電解液としての導電率が低下するためセル電圧が上昇して原単位が増加し同時に発熱も増加する。従って、適切な濃度範囲を有することが見出された。
酸濃度については、低濃度だと電荷移動を担うイオンが少なくなるため導電率が低下して原単位と発熱が増加し、高濃度だとペルオキソ二硫酸の分解を促進するため、電解に適切な範囲を有することが見出された。
Xである電流値/陽極液量については、小さい、即ち単位体積あたりの電流値が小さい時は電流効率が小さくなることが、大きい時は電解によって発生するガスが滞留しやすくなりセル電圧が増加して原単位と発熱が増加する。従って、適切な範囲を有することが見出された。
Yすなわち電流密度については、小さい、即ち電流密度が小さい時は電流効率が小さくなり、大きい時は電解によって発生するガスが滞留しやすくなりセル電圧が増加して原単位と発熱が増加する。従って、適切な範囲を有することが見出された。
電気量については、電解によって生成する物質(電解生成物)の質量は、流れた電気量に比例するので、電気量Zの値が小さいときは、硫酸電解によって生成する過硫酸の全生成量が小さくなり、電解生成物中の過硫酸の濃度も低下すること、大きいときは二つの不適切な場合があり、電解時間が長い場合分解中間生成物であり且つ電解によって分解されやすい過酸化水素を生成しやすくなるため電流効率が低下すること、陽極液量が少ない場合電解によって発生するガスが滞留しやすくなりセル電圧が増加して原単位と発熱が増加することから、電解に適切な範囲を有することが見出された。
本発明は、隔膜により陽極室と陰極室に区画し、前記陽極室内に導電性ダイヤモンド陽極を設け、前記陰極室内に陰極を設け、前記陽極室及び陰極室内に、それぞれ、外部より硫酸イオンを含む電解液を供給して電解を行い、前記陽極室内の陽極電解液中に酸化性物質を生成させる硫酸電解方法において、前記硫酸イオンを含む電解液の硫酸イオン濃度(HSO4 -もしくはSO4 2-)2〜14mol/l、好ましくは3〜9mol/lとするとともに、前記硫酸イオンを含む電解液を(1)式、(2)式を満たす条件で電解するものである。
100≦X≦10000 ・・・(1)
25<Y<250 ・・・(2)
X=電流値/陽極液量(A/l)
Y=電流密度(A/dm2
先ず、第1に、硫酸イオン濃度(HSO4 -もしくはSO4 2-)の限定理由について説明する。本発明は、硫酸電解方法において、硫酸イオン濃度(HSO4 -もしくはSO4 2-)が2mol/lより低いと、反応物が少ないため電流効率が低いものとなってしまう。一方、硫酸イオン濃度(HSO4 -もしくはSO4 2-)が14mol/lよりも高い場合は電解液の粘度が高くなりガス抜けが悪く、セル電圧が高いものとなってしまうことを見出したものである。このため、本発明においては、前記硫酸イオンを含む電解液の硫酸イオン濃度(HSO4 -もしくはSO4 2-)は、2〜14mol/lとしたものである。
次に、X=電流値/陽極液量(A/l)とY=電流密度(A/dm2)の限定理由について説明する。本発明は、硫酸電解方法において、Xが100より小さいと、酸化性物質の電流効率が低いものとなってしまい、一方、Xが10000より大きいと、セル内に発生したガスが充満し、セル電圧が高くなってしまうことを見出したものである。また、本発明は、硫酸電解方法において、電流密度Y(A/dm2)が25以下では、酸化性物質の電流効率が低いものとなってしまい、一方、Yが250以上では、発熱が著しくなるため、電解液の温度制御が困難となってしまう。またガス抜けが悪く気泡率が増加し電解液の導電率が低下してセル電圧が高いものとなってしまう。このため、本発明においては、X=電流値/陽極液量(A/l)とY=電流密度(A/dm2)は、次式を満たす電解条件とする必要がある。
100≦X≦10000 ・・・(1)
25<Y<250 ・・・(2)
また、硫酸電解における電解反応を以下に示す。
1)陽極反応
2SO4 2-→S28 2-+2e- ・・・(4)
2HSO4 -→S28 2-+2H++2e- ・・・(5)
2H2O→O2+4H++4e- ・・・(6)
3H2O→O3+6H++6e- ・・・(7)
(4)式、(5)式で生成したペルオキソ二硫酸イオンは以下の自己分解反応によって経時的に分解する。
2)自己分解反応
228+H2O→H2SO5+H2SO4 ・・・(8)
2SO5+H2O→H22+H2SO4 ・・・(9)
22→1/2O2+H2O ・・・(10)
電解時間が長い場合、自己分解反応(8)、(9)式が進行し、過酸化水素が生成していく。(9)式により生成した過酸化水素は、(10)式により更に分解し、酸化力が失われる。
更に、自己分解反応(9)式により生成した過酸化水素は、(11)式により、陽極における副反応である、陽極酸化によって電気分解して酸素となり、酸化力が失われる。
3)過酸化水素の電気分解
22→O2+2H++2e- ・・・(11)
上記のように、過酸化水素は、(10)式により自己分解すると同時に、(11)式に示した陽極での電解反応により瞬時に分解してなくなる。(11)式の電解反応は、過酸化水素を分解することによって酸化性物質濃度を減少させるのみならず、陽極電流の一部を使って行われる電解反応であるため、(4)式及び(5)式などの酸化性物質生成反応の妨げになりそれらの電流効率を低下させるため、過酸化水素はできるだけ電解液の中に存在しないように電解条件を適切な範囲にすることが好ましい。
本発明者は、「所定の単位体積あたりの電気量に達成するまでの電解時間を短くする」ことにより、酸化性物質生成効率が高くなることを見出したものである。酸化性物質は、0.05mol/l以上が好ましく、濃いほど酸化性が強いが、通常は、溶解度の上限から3〜4mol/l程度を上限として使用される。
また、本発明によれば、不適切な電解条件、例えば、硫酸イオン濃度(HSO4 -もしくはSO4 2-)は低すぎると、酸化性物質原料が少ないため、発生量が少なくなってしまい、逆に、高いと電解液の粘度が高くなりガス抜けが悪く、セル電圧が高いものとなってしまう。
更に、本発明では、前記硫酸イオンを含む電解液の酸濃度(H+)は、4〜28mol/lの範囲とすることが好ましいことを見出したものである。酸濃度が4mol/lよりも低いと、電解液の導電率が低く、セル電圧が高いものとなってしまう。一方、酸濃度(H+)が28mol/lよりも高い場合は、ペルオキソ二硫酸が容易に自己分解するため、過酸化水素が多く発生しやすくなってしまう。また、過酸化水素は即座に電解によって酸化され酸素になるため、酸化性物質の電流効率が低いものとなってしまう。
ペルオキソ二硫酸の自己分解による過酸化水素の発生は経時的に増加する。これを防ぐためには、短時間で単位体積あたりの電気量を高めることが重要であると考え、本発明は、(1)式、(2)式を満たす条件とともに、硫酸イオンの硫酸イオン濃度(HSO4 -もしくはSO4 2-)および酸濃度(H+)を上記の範囲の濃度とすることに加えて、硫酸イオンを含む電解液を(3)式を満たす条件で電解するものである。
18000≦Z≦1080000 ・・・(3)
Z=単位体積あたりの電気量(C/L)=電流値×電解時間/陽極液量(A・s/L)
Zが18000より小さいと、電解によって生成する物質の質量は、流れた電気量に比例するので、電解生成物中の過硫酸濃度が低くなる、一方でZが1080000より大きいと、電流効率が低くなってしまうので、その範囲は18000≦Z≦1080000とすることが必要である。
更に、本発明においては、電解の電解温度を0〜50℃とすることが好ましい。前記自己分解反応は、温度が高いほど起こりやすいため、電解温度を0〜50℃とすることにより、ペルオキソ二硫酸の自己分解が抑制される。
以下、本発明による硫酸電解方法及び硫酸電解装置の実施の一例を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明による硫酸電解方法及び硫酸電解装置に使用する電解セルの一例を示したものである。
この電解セルは、隔膜9により導電性ダイヤモンド陽極10が収容され、かつ前記硫酸イオンを含む電解液が満たされた陽極室3と導電性ダイヤモンド陰極12が収容され、かつ陽極室3と同濃度の硫酸が満たされた陰極室4に区画されている。陽極室3には陽極液供給口7が接続され、この陽極液供給口7を通して陽極液である硫酸が陽極室3に供給される。又、陰極室4には陰極液供給口8が接続され、この陰極液供給口8を通して陰極液が陰極室4供給される。
陽極室3において生成した酸化性物質溶液は、陽極液排出口1より排出される。また、陰極室4において生成した水素及び硫酸溶液は、陰極液排出口2より排出される。
尚、5は、陽極給電端子、6は、陰極給電端子、11は、導電性ダイヤモンド陽極10の導電性基板、13は、導電性ダイヤモンド陰極12の導電性基板、14は、電解セルのシール材、15は、冷却ジャケット、16は、冷却水排出口、17は、冷却水供給口である。
本発明における導電性ダイヤモンド陽極10及び導電性ダイヤモンド陰極12は、導電性基板11、13の表面に被覆された導電性ダイヤモンド層で構成される。
導電性ダイヤモンド層の被覆方法は特に限定されず、任意のものを使用できる。代表的な方法として、熱フィラメントCVD法、マイクロ波プラズマCVD法、DCアークジェットプラズマCVD法などが選択できる。
導電性ダイヤモンド陽極10及び導電性ダイヤモンド陰極12の導電性ダイヤモンド層は導電性を付与するため、炭素とは原子価の異なる不純物を含むことが好ましい。濃度は特に限定されないが、1000〜6000ppm、より好ましくは3000〜5000ppm含むことが好ましい。不純物濃度が高くなるほど、導電性が高くなり好ましい。然るに、不純物濃度が高くなりすぎ、6000ppmより大きくとなると、ススが付着したような電極となり、耐久性が乏しいため、本発明による導電性ダイヤモンド陽極及び陰極は、1000〜6000ppmのボロンを含むことが好ましい。尚、不純物の種類は特に限定されず、窒素、ホウ素、リンなどが用いられる。
該導電性ダイヤモンド層の厚さは、特に限定されないが、0.1〜100μm、より好ましくは1〜25μmであることが好ましい。該導電性ダイヤモンド層の厚さが薄くなるほど、該導電性ダイヤモンド層の製作時間を短縮することができるため好ましい。然るに、膜厚が薄くなりすぎ、0.1μmより薄くなると、基体が露出したり、電解中に膜が剥がれ落ちるなど、耐久性が乏しいものとなってしまうため、本発明による導電性ダイヤモンド電極の膜厚は、0.1〜100μmが好ましい。
前記導電性基体は特に限定されず、タンタル、タングステン、チタン、ニオブなどが使用できるが、シリコン基板を用いた場合、より密着性が良い電極を作製できる。尚、前記導電性基体の形状は特に限定されず、板状、棒状、パイプ状、球状などが使用できる。シリコン基板はホウ素、炭素などの不純物を含んでいてもよい。
尚、陰極としては、導電性ダイヤモンド陰極12に変えて白金その他の陰極を使用してもよい。
本発明における隔膜9とは、陽極室3と陰極室4を区画しつつ、イオン交換作用や、隔膜内の孔を通して電解液が陽極室3と陰極室4の間を移動することによって導電性を発現させるものである。構成材料は特に限定されないが、耐久性の面からフッ素樹脂系陽イオン交換膜又は親水化処理を行った多孔質フッ素系樹脂膜よりなる隔膜を用いることが好ましい。本発明において、隔膜がないと、酸化性物質が陰極で電解還元され、酸化性物質濃度が低下するため隔膜9を設けることを要する。
本発明における硫酸の電解セル、配管、ポンプ、気液分離タンク等の硫酸電解液との接液部の構成材料は特に限定されないが、耐硫酸性を有するPTFE、PFAなどのフッ素樹脂、ガラス、石英であることが好ましい。
本発明における硫酸電解液とは、硫酸イオンを含む電解液を示すものである。硫酸イオンの他に不純物を含んでいてもよいが、硫酸もしくは硫酸アンモニウム等の硫酸塩と、水から構成されている電解液は過硫酸製造の電流効率が高くなるため好ましい。また、有機物は電解によって生成した酸化性物質と反応し、電解液の酸化性物質濃度を減少させる原因となりうるため、含まないことが好ましい。また、半導体デバイス製造における洗浄剤等に使用する場合は、金属が不純物としてデバイスに悪影響を及ぼすため金属イオンを含まないことが好ましい。
また、本発明において、電解液の循環の有無は限定されないが、循環を行うと、電解液冷却を効率的に行うことができるため好ましい。電解液の循環を行う場合の陽極液量とは、電解セル、配管、気液分離タンク、ポンプ等、循環系内の陽極側全ての電解液の量の和を意味するものである。尚、本発明においては、電解液の循環を行わず、電解液を一度だけ電解セルに流通させる、いわゆるワンパスの場合も含むものであり、ワンパスの場合の陽極液量は、電解セル内に存在する陽極側の電解液量を意味する。
図2−1は、陽極液及び陰極液をそれぞれ循環しながら硫酸を電解する、本発明による硫酸電解方法及び硫酸電解装置の一例を示したものである。硫酸イオンを含む電解液は、陽極液供給ライン18より、陽極液供給ポンプ19、流量計20を用いて電解セル21の陽極室3に供給され、陽極室3で電解され、流量計22、陽極液循環/排出ポンプ23を用いて陽極液循環ライン25により、陽極室3に循環される。そのとき、発生ガスは、陽極側気液分離器26より分離され、発生ガス排出口27より排出される。電解が終了すると、製造された酸化性物質溶液は流量計22、陽極液循環/排出ポンプ23を用いて酸化性物質溶液排出ライン24より排出される。一方、陰極には、硫酸イオンを含む電解液を、陰極液供給ライン28より、陰極液供給ポンプ29、流量計30を用いて電解セル21の陰極室4に供給され、陰極室4で電解され、流量計31、陰極液循環/排出ポンプ32を用いて陰極液循環ライン34により、陰極室4に循環される。そのとき、発生ガスは、陰極側気液分離器35より分離され、発生ガス排出口36より排出される。電解が終了すると、陰極液は流量計31、陰極液循環/排出ポンプ32を用いて陰極液排出ライン33より排出される。尚、電解セル21は、冷却ジャケット15及び冷却水循環ライン37により、冷却されている。尚、電解液の温度は、図1に記載の陽極液排出口1の電解液温度を測定した。
図2−2は、陰極液のみを循環し、陽極液の循環を行わず、ワンパスで酸化性物質溶液を製造する、本発明による硫酸電解方法及び硫酸電解装置の他の例を示したものである。図2−2は、陽極液の循環を行わず、ワンパスで酸化性物質溶液を製造する点以外、図2−1と全く同一の工程であり、符号も同一の符号を用いているので、図2−2の工程の説明を省略する。
次に、本発明を実施例及び比較例を挙げて、具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
尚、本発明における電解液は次の計算から求めた硫酸重量を用いて調整した。また、電解液の酸濃度、作製した酸化性物質溶液の酸化性物質の濃度測定、過酸化水素の濃度測定は、次の方法により行った。
<電解液作製に必要な硫酸質量>
1lの電解液を作製するのに必要な98%硫酸の質量を式(12)に基づき算出し、1lメスフラスコに、98%硫酸(関東化学(株)製)を採取し、超純水を加えて全1lの電解液とした。
Figure 0005649948
A(g):1lの電解液を作製するのに必要な98%硫酸の質量
<酸濃度>
式(12)で採用した作製したい硫酸イオンを含む電解液濃度(mol/l)に基づき、以下式(13)から酸濃度を算出した。
酸濃度=作製したい硫酸イオンを含む電解液濃度×2・・・(13)
<酸化性物質の濃度測定>
製造された酸化性物質溶液を100ml三角フラスコに0.4ml計り取り、超純水を加えて全3mlの試料液とし、ヨウ化カリウム(和光純薬工業(株)製)を超純水で調整し200g/lとした溶液を5ml添加して遊離ヨウ素にて着色させ、三角フラスコ内を窒素で満たしシリコンゴムで密閉した状態で30分間放置した後、0.02mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液(和光純薬工業(株)製)を試料液が無色になるまで滴下した。測定回数は各試料3回とし、その平均値を用いて、以下(14)式により酸化性物質の濃度を算出した。
Figure 0005649948
<酸化性物質の電流効率>
製造された酸化性物質溶液の酸化性物質濃度を前記、酸化性物質の濃度測定で算出した値を用いて、以下式(15)により電流効率を計算した。
Figure 0005649948
<過酸化水素の濃度測定>
製造された酸化性物質溶液を50mlビーカーに0.6ml計り取り、超純水を加えて全12mlの試料液とし、98%硫酸(関東化学(株)製)を超純水にて希釈し0.1mol/l硫酸溶液とした溶液を5ml加え、5分間揺り動かした後、0.02mol/l過マンガン酸カリウム溶液(和光純薬工業(株)製)で液の色が薄紅色を呈するまで滴定した。測定回数は各試料3回とし、その平均値を用いて、以下(16)式により酸化性物質の濃度を算出した。
Figure 0005649948
尚、(16)式に本試験で用いたビュレットの1滴分0.04mlを挿入すると、過酸化水素濃度は0.003mol/lとなるため、検出限界は0.003mol/lである。
実施例1〜4は、X=電流値/陽極液量(A/l)の値を変化させた例を示したものである。
実施例5〜6は、Y=電流密度(A/dm2)の値を変化させた例を示したものである。
実施例7〜9は、硫酸イオン濃度および酸濃度を変化させた例を示した例を示したものである。
実施例10〜13は、電解温度範囲を変化させた例を示したものである。
実施例14〜17は、Z=単位体積あたりの電気量(C/l)=電流値×電解時間/陽極液量(A・s/l)を変化させた例を示したものである。
<実施例1>
図1に示す電解面積0.785dm2の導電性ダイヤモンド電極を陽極、陰極共に用いた隔膜付き電解セル21を組み込んだ、図2−1で示す硫酸電解装置を用いて、陽極液及び陰極液をそれぞれ循環しながら硫酸を電解し、次の条件にて酸化性物質溶液の製造を行った。
電解液は、1lメスフラスコに、98%硫酸(関東化学(株)製)を式(12)に基づき712g採取し、超純水を加えて全1lに希釈し、硫酸イオンを7.12mol/l含む電解液とし、内40mlを陽極液、残り40mlを陰極液として使用した。酸濃度は式(13)に基づき算出したところ14.24mol/lであった。
セル電流 40A
電流密度 51A/dm2
電解時間 12分
陽極液量 40ml
電流値/陽極液量 1000A/l
単位体積あたりの電気量 720000As/l
電解液温度 28℃
冷却水温度 15℃
陽極液流量 1l/min
陰極液流量 1l/min
陽極電解液 7.12mol/l硫酸
陰極電解液 7.12mol/l硫酸
隔膜(住友電工ファインポリマー(株)製のポアフロン(登録商標))
得られた酸化性物質溶液の酸化性物質の濃度測定、過酸化水素の濃度測定を行った。
測定結果と計算結果を以下および表1に示す。
1)得られた酸化性物質溶液の酸化性物質の濃度測定
製造した酸化性物質溶液を用い、前記、酸化性物質の濃度測定方法に従い、滴定を行ったところ、0.02mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液を74.65ml滴下したところで溶液が無色になった。さらに同手段で測定を2回繰返したところ、その測定結果は各々、74.60、74.70mlであった。それら平均値74.65mlを用いて、(14)式により酸化性物質濃度を計算したところ、1.866mol/lであった。また酸化性物質濃度を用いて、(15)式により電流効率を計算したところ、50%であった。
2)得られた酸化性物質溶液の過酸化水素の濃度測定
製造した酸化性物質溶液を用い、前記、過酸化水素の濃度測定方法に従い、滴定を行ったところ、0.02mol/l過マンガン酸カリウム溶液を1滴(約0.04ml)滴下したところで溶液が薄紅色になった。さらに同手段で測定を2回繰返したところ、ともに1滴滴下したところで薄紅色を呈した。
尚、式(16)式に1滴分0.04mlを挿入すると、0.003mol/lとなるため、本実施例における作製した酸化性物質を含む電解液の過酸化水素濃度は0.003mol/lより低い。
<実施例2〜3>
電解時間、陽極液量、電流値/陽極液量を表1に記載のように変更した以外は、実施例1と同様の方法で酸化性物質溶液を得た。得られた酸化性物質溶液の結果を表4に示す。
<実施例4>
電解時間、陽極液量、電流値/陽極液量を表1に記載のように変更し、図1に示す電解面積0.785dm2の導電性ダイヤモンド電極を陽極、陰極共に用いた隔膜付き電解セル21を組み込んだ、図2−2で示す硫酸電解装置を用い、陽極液の循環を行わず、ワンパスで酸化性物質溶液を製造したこと以外は、実施例1と同様の方法で酸化性物質溶液を得た。得られた酸化性物質溶液の結果を表4に示す。
<実施例5〜6>
電流値、電流密度、電解時間、電流値/陽極液量を表1に記載のように変更した以外は、実施例1と同様の方法で酸化性物質溶液を得た。
得られた酸化性物質溶液の結果を表4に示す。
<実施例7>
陽極電解液を3.97mol/l硫酸とした以外は実施例1と同様の方法で酸化性物質溶液を得た。得られた酸化性物質溶液の結果を表4に示す。
<実施例9>
陽極電解液を7.12mol/l硫酸と9.2mol/l過塩素酸の体積比が1:1となるよう混合した溶液とした以外は実施例1と同様の方法で酸化性物質溶液を得た。得られた酸化性物質溶液の結果を表4に示す。
<実施例10〜13>
電解液温度を表2に記載のように変更した以外は、実施例1と同様の方法で酸化性物質溶液を得た。得られた酸化性物質溶液の結果を表5に示す。
<実施例15、16
電解時間、単位体積あたりの電気量を表2に記載のように変更した以外は、実施例1と同様の方法で酸化性物質溶液を得た。得られた酸化性物質溶液の結果を表5に示す。
1)実施例1〜4の結果、X=電流値/陽極液量(A/L)が大きい程、過酸化水素濃度が低く、電流効率が高く、それに伴い酸化性物質濃度が高い液を得られることが分かった。これは、X=電流値/陽極液量(A/L)を大きくすることで、所定の単位体積あたりの電気量に達成するまでの電解時間を短くし、ペルオキソ二硫酸の自己分解による過酸化水素の生成を抑制し、続く過酸化水素の自己分解、陽極酸化による過酸化水素の減少を抑制し、また、過酸化水素による硫酸イオンの電解反応の妨害を阻止することができたことによるものと考えられる。
一方、実施例4においては、X=電流値/陽極液量(A/L)が大きいため、セル内にガスが充填してセル電圧が上昇することが分かった。
2)実施例5の結果、実施例1の結果と比べて、電流密度(A/dm2)が低くなると、電流効率が低く、それに伴い酸化性物質濃度が低くなることが分かった。一方、実施例6の結果、実施例1の結果と比べて、電流密度(A/dm2)が高くなると、セル電圧が上昇することが分かった。これは、電流密度が高いため、発生したガスがセル内に充填したためであると考えられる。
3)実施例7の結果、実施例1の結果と比べて、硫酸イオン、酸濃度が低くなると、電流効率が低く、それに伴い酸化性物質濃度が低くなることが分かった。これは反応物である硫酸イオン濃度が低いことによるものと考えられる。また、実施例9に示すように硫酸と過塩素酸を混合した溶液でも高濃度の酸化性物質溶液を高効率に得られることが分かった。
4)実施例10、11の結果、実施例1の結果と比べて、電解温度が低くなると、電流効率が高く、それに伴い酸化性物質濃度が高くなることが分かった。これは低温ほどペルオキソ二硫酸の自己分解が抑制されるためであると考えられる。また、実施例10、11ではセル電圧が高くなることが分かった。これは電解温度が低くなることで溶液の粘度が高くなり、発生したガスがセル内に充填したためであると考えられる。実施例12、13の結果、実施例1の結果と比べて、電解温度が高くなると電流効率が低く、それに伴い酸化性物質濃度が低くなることが分かった。これは高温ほどペルオキソ二硫酸の自己分解が促進されたためであると考えられる。また、実施例12、13ではセル電圧が低くなることが分かった。これは電解温度が高くなることで電解液の導電率が高くなったことによるものと考えられる。
5)実施例15の結果、実施例1の結果と比べて、単位体積あたりの電気量が低くなると、電流効率が高く、酸化性物質濃度が低くなることが分かった。一方、実施例16の結果、単位体積あたりの電気量が高くなると、電流効率が低く、酸化性物質濃度が高くなることが分かった。
<比較例1>
陽極液量、電解時間、電流値/陽極液量を表3に記載のように変更した以外は、実施例1と同様の方法で酸化性物質溶液を得た。得られた酸化性物質溶液の結果を表6に示す。
<比較例2>
陽極液量、電解時間、電流値/陽極液量を表3に記載のように変更し、図1に示す電解面積0.785dm2の導電性ダイヤモンド電極を陽極、陰極共に用いた隔膜付き電解セル21を組み込んだ、図2−2で示す硫酸電解装置を用いた以外は、実施例1と同様の方法で酸化性物質溶液を得た。得られた酸化性物質溶液の結果を表6に示す。
<比較例3〜8>
電流値、陽極液量、電解時間、電流値/陽極液量、電流密度、硫酸イオン濃度、酸濃度、陽極を表3に記載のように変更した以外は、実施例1と同様の方法で酸化性物質溶液を得た。得られた酸化性物質溶液の結果を表6に示す。
<比較例9>
陽極電解液を13mol/L硫酸と変更した以外は、実施例1と同様の方法で酸化性物質溶液を得た。得られた酸化性物質溶液の結果を表4に示す。
比較例9の結果、実施例1の結果と比べて、酸濃度が高くなると過酸化水素が検出され、電流効率が低くなることが分かった。これは、酸濃度が高いことでペルオキソ二硫酸の自己分解が促進され、過酸化水素が生成したことによるものと考えられる。過酸化水素は自己分解、陽極酸化により酸化性物質総濃度を減少させ、また硫酸イオンの電解反応を妨害してしまう原因となりうる。また、比較例9では硫酸イオン濃度が高いため溶液の粘度が高く、ガス抜けが悪くなってセル電圧が上昇することが分かった。
<比較例10、11>
電解時間、単位体積あたりの電気量を表2の比較例10、11に記載のように変更した以外は、実施例1と同様の方法で酸化性物質溶液を得た。得られた酸化性物質溶液の結果を表5の比較例10、11に示した。
その結果、比較例10においては、単位体積あたりの電気量Z(C/L)の値が、12000であり、18000より低く、酸化性物質の全生成量が小さくなり、表5に示すように、酸化性物質濃度も低下した。
一方、比較例11においては、1200000となり、1080000より大きくなり、表5の比較例11の欄に示すように電流効率が35%と低くなることが分かった。
Figure 0005649948
Figure 0005649948
Figure 0005649948
Figure 0005649948
Figure 0005649948
Figure 0005649948
比較例1〜2は、X=電流値/陽極液量(A/l)の値を変化させた例、比較例3〜4は、Y=電流密度(A/dm2)の値を変化させた例、比較例5〜6は、硫酸イオン濃度及び酸濃度を変化させた例、比較例7〜8は、導電性ダイヤモンド電極のかわりに白金電極を用いた例を示したものである。
<比較例1>
比較例1では、X=電流値/陽極液量(A/l)が、89A/lと低すぎたため、電流効率が低く、それに伴い得られた酸化性物質溶液の酸化性物質濃度は低いものとなった。これは陽極液量が多かったため、電流値/陽極液量が小さくなってしまったことによるものと考えられる。
得られた液中から過酸化水素が確認された。過酸化水素が検出された条件では電流効率が上がりにくいことが分かった。
<比較例2>
比較例2では、X=電流値/陽極液量(A/l)が、11429A/lと高すぎたため、セル電圧が上昇してしまい、電解ができなかった。これは陽極液量が少なかったため、陽極室にガスが充填してしまったことによるものと推測される。
<比較例3>
比較例3では、Y=電流密度(A/dm2)が24A/dm2と低すぎたため、セル電圧は良好なものの電流効率が低く、それに伴い得られた酸化性物質溶液の酸化性物質濃度は低いものとなった。これは電流値が低かったため、電解によって生成する酸化性物質電流効率が低くなったものと考えられる。電流密度は高いほうが高効率であり、また電解時間を短縮する観点からも高い方が良い。
<比較例4>
比較例4では、Y=電流密度(A/dm2)が255A/dm2と高すぎたため、セルおよび電解液の温度が上昇してしまい、電解ができなかった。これは電流値および電流密度が高すぎたことによるものと考えられる。
<比較例5>
比較例5では、硫酸イオン濃度が1.9mol/lと低すぎたため、電流効率が低く、それに伴い得られた酸化性物質溶液の酸化性物質濃度は低いものとなった。これは、硫酸イオン濃度が低い、すなわち反応物濃度が低かったことによるものと考えられる。
<比較例6>
比較例6では、酸濃度が30mol/lと高すぎたため、電流効率が低く、それに伴い得られた酸化性物質溶液の酸化性物質濃度は低いものとなった。これは、酸濃度が高くペルオキソ二硫酸の自己分解が促進されたことによるものと考えられる。また、セル電圧も高いものとなった。これは、硫酸イオン濃度が高くなったことによって電解液の粘度が高くなりガスがセル内に充填したことによるものと考えられる。
<比較例7、8>
比較例7、8では電流値/陽極液量が大きいほど電流効率は高くなるが、実施例1、2と比較すると電流効率が低いものとなった。これは陽極に白金を用いたことによるものであると考えられる。
本発明は、導電性ダイヤモンド電極を用いて硫酸を直接電解し、酸化性活物質を安定して生成させる、硫酸電解方法及び硫酸電解装置に効果的に利用することができる。
1:陽極液排出口
2:陰極液排出口
3:陽極室
4:陰極室
5:陽極給電端子
6:陰極給電端子
7:陽極液供給口
8:陰極液供給口
9:多孔質PTFE隔膜
10:導電性ダイヤモンド陽極
11:導電性基板
12:導電性ダイヤモンド陰極
13:導電性基板
14:シール材
15:冷却ジャケット
16:冷却水排出口
17:冷却水供給口
18:陽極液供給ライン
19:陽極液供給ポンプ
20:流量計
21:電解セル
22:流量計
23:陽極液循環/排出ポンプ
24:酸化性物質溶液排出ライン
25:陽極液循環ライン
26:陽極側気液分離器
27:発生ガス排出口
28:陰極液供給ライン
29:陰極液供給ポンプ
30:流量計
31:流量計
32:陰極液循環/排出ポンプ
33:陰極液排出ライン
34:陰極液循環ライン
35:陰極側気液分離器
36:発生ガス排出口
37:冷却水循環ライン

Claims (2)

  1. 隔膜により陽極室と陰極室に区画し、前記陽極室内に導電性ダイヤモンド陽極を設け、前記陰極室内に陰極を設け、前記陽極室及び陰極室内に、それぞれ、外部より硫酸イオンを含む電解液を供給して電解を行い、前記陽極室内の陽極電解液中に過硫酸を生成させる硫酸電解方法において、前記硫酸イオンを含む電解液の硫酸イオン濃度を2〜7.12mol/L、酸濃度を4〜14.24mol/Lとするとともに、前記硫酸イオンを含む電解液を下記(1)式、(2)式、(3)式及び(17)式を満たす条件で電解することを特徴とする硫酸電解方法。
    100≦X≦10000 ・・・(1)
    25<Y<250 ・・・(2)
    18000≦Z≦1080000 ・・・(3)
    T≦114×60 ・・・(17)
    X=電流値/陽極液量(A/L)
    Y=電流密度(A/dm2
    T=電解時間(s)
    Z=単位体積あたりの電気量(C/L)=電流値×電解時間/陽極液量(A・s/L)
  2. 前記隔膜として、フッ素樹脂系陽イオン交換膜又は親水化処理を行った多孔質フッ素系樹脂膜よりなる隔膜を用いたことを特徴とする請求項1に記載の硫酸電解方法。
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