JP6485086B2 - 多孔質膜およびその製造方法並びに装置 - Google Patents

多孔質膜およびその製造方法並びに装置 Download PDF

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本発明は、多孔質膜およびその製造方法並びに装置に係り、例えば、ポーラスアルミナメンブレンフィルタとして用いることができる多孔質膜およびその製造方法並びに装置に関する。
精密濾過分野において実用化されているメンブレンフィルタとして、アルミニウムの陽極酸化皮膜を利用した、ポーラスアルミナメンブレンフィルタが知られている(特許文献1,2)。アルミニウムを酸性電解液中で陽極酸化処理することで、細孔径分布の狭い独立した細孔を有した多孔質膜が製造される。
特許文献1の製造方法では、アルミニウム膜をシュウ酸又は硫酸を電解液として用いて陽極酸化処理した後、地金アルミニウムを、リン酸、クロム酸混合溶液で除去し、さらに細孔底部をリン酸による溶解等により除去することにより、貫通孔を形成する。
特許文献2の製造方法では、アルミニウム基材(膜)をシュウ酸、硫酸等の液中で陽極酸化処理した後、加熱処理して陽極酸化膜を安定化させる工程と、次いでさらに陽極酸化処理する工程と、次いでアルミニウム基材を除去する工程と、次いで孔底の陽極酸化膜を酸又はアルカリに浸漬して溶解除去する工程とにより、貫通孔を有した多孔質膜を製造する。この貫通孔の孔径は40〜60nmである(0052段落)。
特許文献3には、アルミニウム部材を、酸による脱脂工程とアルカリによるエッチング工程と酸による中和工程とで前処理した後、5ppmのオゾンを溶解した15wt%硫酸水溶液中で電解処理して表面に陽極酸化皮膜を形成することが記載されている。
特許文献4には、エッチング処理後のアルミニウム箔を0.1〜5.0重量%の過酸化水素を含んだ化成液中で電解処理して陽極酸化皮膜を形成することが記載されている。
特許文献5には、チタニウム材の陽極酸化処理に、リン酸と硫酸と過酸化水素を含む混合浴を用いることが記載されている。
特開2005−272886号公報 特開2011−179103号公報 特開2001−49492号公報 特開2007−273903号公報 特開平4−107294号公報
特許文献1,2に記載の多孔質膜の製造方法では、アルミニウム膜を陽極酸化処理する工程だけでなく、その後、アルミニウム膜を除去する工程と、さらに孔底の陽極酸化膜を除去して孔を貫通させる工程とが必要であり、工程数が多く、多孔質膜の製造に多くの手間を要すると共に、材料の無駄も多い。また、形成される細孔の孔径も比較的大きい。
特許文献3,4に記載の方法は、アルミニウムの表面に陽極酸化皮膜を形成する方法であり、いずれもオゾンや過酸化水素の濃度は低く、特許文献3,4には、アルミニウムの多孔質膜を製造するとの記載はない。
特許文献5に記載の方法は、チタニウムに陽極酸化皮膜を形成する方法であり、アルミニウムに適用するとの記載はない。
本発明は、陽極酸化処理工程のみで微細な貫通孔を有した多孔質アルミナ膜を製造することができる多孔質膜およびその製造方法と、そのための製造装置とを提供することを目的とする。
本発明者が種々検討を重ねた結果、陽極酸化処理に用いる処理液として、酸化還元電位が所定の範囲であるものを用いることで、微細な細孔を有する多孔質アルミナ膜を製造することができることを見出した。
本発明はこのような知見に基づいて達成されたものであり、以下を要旨とする。
[1] アルミニウムまたはアルミニウム合金よりなるアルミニウム膜を処理液中で陽極酸化処理することにより該アルミニウム膜に細孔を形成する工程を有する多孔質膜の製造方法において、該処理液の酸化還元電位が+1.5〜+3.5Vであることを特徴とする多孔質膜の製造方法。
[2] [1]において、前記処理液がリン酸、シュウ酸、酢酸、硫酸、ホウ酸及びフッ酸よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を含むことを特徴とする多孔質膜の製造方法。
[3] [1]又は[2]において、電解処理、酸化剤の添加、及び高い酸化還元電位を有する液の添加のいずれか1以上の手法により、前記処理液の酸化還元電位を+1.5〜+3.5Vに調整することを特徴とする多孔質膜の製造方法。
[4] [1]ないし[3]のいずれかにおいて、前記処理液の循環処理、前記処理液の一過式添加及び前記処理液へのガス吹き込みのいずれか1以上の手法により、前記処理液の酸化還元電位を+1.5〜+3.5Vに調整することを特徴とする多孔質膜の製造方法。
[5] [1]ないし[4]のいずれかにおいて、前記処理液の温度が0〜30℃、酸濃度が50〜300g/L、酸化剤濃度が1〜30g/Lで、陽極酸化処理時の印加電圧が10〜30Vであることを特徴とする多孔質膜の製造方法。
[6] [1]ないし[5]のいずれかにおいて、膜厚10〜150μmのアルミニウム膜を、膜を貫通する細孔が形成されるまで陽極酸化処理することを特徴とする多孔質膜の製造方法。
[7] [1]ないし[6]のいずれかにおいて、前記処理液が硫酸と過硫酸を含有することを特徴とする多孔質膜の製造方法。
[8] [7]において、前記処理液中の硫酸濃度が50〜200g/Lであり、過硫酸濃度が2〜20g/Lであることを特徴とする多孔質膜の製造方法。
[9] [7]又は[8]において、硫酸を含有する前記処理液を過硫酸生成用電解セルに循環流通させて電解処理することにより過硫酸を含有させることを特徴とする多孔質膜の製造方法。
[10] [7]又は[8]において、前記処理液が硫酸と過酸化水素とを混合することにより過硫酸を生成させてなることを特徴とする多孔質膜の製造方法。
[11] [7]又は[8]において、前記処理液が硫酸とオゾンとを混合することにより過硫酸を生成させてなることを特徴とする多孔質膜の製造方法。
[12] [1]ないし[11]のいずれかにおいて、アルミニウム膜を挟んで両側にそれぞれ陰極を配置して陽極酸化処理を行うことを特徴とする多孔質膜の製造方法。
[13] [1]ないし[12]のいずれかにおいて、形成される細孔の平均孔径が10nm以下であることを特徴とする多孔質膜の製造方法。
[14] [1]ないし[13]のいずれかに記載の多孔質膜の製造方法により製造された多孔質膜。
[15] アルミニウムまたはアルミニウム合金よりなるアルミニウム膜を処理液中で陽極酸化処理することにより該アルミニウム膜に細孔を形成する多孔質膜の製造装置において、該処理液の酸化還元電位を+1.5〜+3.5Vに調整する手段を有することを特徴とする多孔質膜の製造装置。
[16] 硫酸含有処理液を貯留するための処理槽と、該処理槽内においてアルミニウムまたはアルミニウム合金よりなるアルミニウム膜と対面配置された陰極とを有する多孔質膜の製造装置において、該処理槽内の硫酸含有処理液が循環される、過硫酸生成用電解セルを備えたことを特徴とする多孔質膜の製造装置。
本発明によれば、陽極酸化処理時の処理液として、所定の酸化還元電位の処理液を用いることにより、アルミニウム膜の陽極酸化処理工程のみによって貫通孔を形成することができる。このため、本発明によれば、少ない工程数で多孔質アルミナ膜を容易に製造することができる。また、本発明によると、平均孔径が10nm以下の微細孔を形成することができる。
このような微細孔を有する本発明の多孔質膜は、排水や排ガス処理における微粒子除去膜(フィルタ)として工業的に有用であり、例えば、半導体や液晶製造分野で用いられる超純水の製造工程における微粒子除去のための限外濾過膜等として用いることができる。超純水の製造分野では、粒径10nm以上の微粒子を除去することが望まれ、このため、細孔径が10nm以下のフィルタが必要とされているが、本発明により製造された多孔質膜は、このような用途に有効に使用することができる。
なお、本発明の多孔質膜は、フィルタ以外の用途にも適用することができる。
本発明装置の一例を示す模式的な断面図である。 実施例1で製造された多孔質膜の顕微鏡写真である。 実施例1で製造された多孔質膜の顕微鏡写真である。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の多孔質膜の製造方法では、アルミニウムまたはアルミニウム合金よりなるアルミニウム膜を、酸化還元電位が+1.5〜+3.5Vの処理液中で陽極酸化処理することにより細孔を形成する。
[アルミニウム膜]
陽極酸化処理に供するアルミニウム膜は、特に限定されず、例えば、純アルミニウム膜や、アルミニウムを主成分とし微量(例えば5重量%以下)の異元素を含む合金膜が挙げられる。アルミニウム膜の厚さは10〜150μm特に15〜85μm程度が好ましい。
アルミニウム膜の表面は、あらかじめ脱脂処理や電解研磨、鏡面仕上げ処理等の前処理が施されてもよい。
[陽極酸化処理]
<処理液>
本発明においては、上記のアルミニウム膜を酸化還元電位が+1.5〜+3.5Vの処理液中で陽極酸化処理する。
酸化還元電位が+1.5〜+3.5Vの処理液中で陽極酸化処理することで、微細な細孔を有する多孔質膜を製造する本発明の作用機構は以下の通りである。
一般に、アルミニウムを陽極酸化処理すると、陽極では、
Al→Al3++3e …(1)
の反応に従ってAl3+が溶出する。
溶出したAl3+は、陽極反応として一部または局部電池で起こる次式(2)で表わされる水分解反応によって発生する酸素と反応し、Alとなる。
3HO→3(O)+6H+6e …(2)
式(1),(2)の総括反応は次式(3)の通りとなる。
2Al+3HO→Al+6H+12e …(3)
アルミニウムの陽極酸化処理は式(1)のAl溶解と式(2)、(3)のAl酸化(Al生成)との競争反応であり、Al酸化速度が速くなるほど微細な孔を開けることが可能となる。
本発明に従って、陽極酸化処理時の処理液として酸化還元電位が+1.5V以上のものを用いると、Alの酸化反応が加速する。これにより、膜を貫通する孔径10nm以下、例えば6〜10nmの微細孔が多数効率よく形成される。また、アルミニウムの酸化が十分に速く進行し、アルミニウムの全量が酸化アルミニウム(アルミナ)となるので、陽極酸化膜(アルミナ)膜とアルミニウム膜とを分離することも不要となる。
処理液の酸化還元電位は高い程好ましいが、酸化還元電位を最も高くするためにフッ酸を用いた際に得られる酸化還元電位は+3.5Vであるので、酸化還元電位の上限は+3.5Vである。ただし、フッ酸を使用すると処理液寿命が短くなるため、フッ酸以外の例えばフッ素等による酸化還元電位として、処理液の酸化還元電位は好ましくは+1.7〜+3.0Vであり、より好ましくは+2.0〜+2.1Vである。
処理液としては、アルミニウムの陽極酸化処理に一般的に用いられているものをいずれも使用することができ、これらの一般的な処理液の酸化還元電位を上記範囲に調整して用いることが好ましい。
処理液としては、リン酸、シュウ酸、酢酸、硫酸、ホウ酸及びフッ酸よりなる群から選ばれる1種又は2種以上の酸を含む水溶液に対して、酸化還元電位の調整のために、電解処理、酸化剤の添加、及び高い酸化還元電位を有する液(以下、「高ORP液」と称す場合がある。)の添加のいずれか1以上の処理を施したものが好ましい。
例えば、酸化剤としては、オゾンや過酸化水素、過硫酸、過酢酸、過ホウ酸等の1種又は2種以上を用いることができ、高ORP液としては、フッ酸、フッ素等を用いることができる。
電解処理については後述する。
処理液の酸化還元電位調整のための上記の処理は、例えば以下のような方法で行うことができる。
(1) 陽極酸化を行うための処理液を貯留した処理槽(以下、単に「処理槽」と称す場合がある。)と、酸化還元電位調整のための調整槽とに処理液を循環させて、調整槽において電解処理、酸化剤添加又は高ORP液の添加を行う(循環処理)。
(2) 処理槽に所定の酸化還元電位の処理液を一過式で添加する(一過式添加)。
(3) 処理槽内の処理液にオゾンガス等のガスを吹き込む(ガス吹き込み)。
処理液は、例えば前述の酸の濃度が50〜300g/L、特に50〜200g/Lであり、酸化剤濃度が1〜30g/L、特に2〜20g/Lである水溶液が好ましく、このうち、酸濃度や酸化剤濃度は、用いる酸や酸化剤の種類に応じて、即ち生成するHイオン量に応じて、適宜決定される。
酸濃度が上記下限よりも低いと陽極酸化処理を行っても孔が形成されず、上記上限よりも高いと形成される孔の孔径が大きくなり過ぎる。
また、酸化剤濃度が上記下限よりも低いと、形成される孔の孔径が過大となり、上記上限よりも高いと、後述の過硫酸生成用電解セル等の酸化還元電位調整のための設備が過大となり、或いは酸化剤添加コストがかさみ好ましくない。
なお、Alの溶解を防止して、陽極酸化による電解処理のみで多孔質膜を得るために、処理液のpHは低い方が好ましく、−0.2〜+0.3程度であることが好ましい。
処理液としては、特に硫酸と過硫酸を含有するものが好ましく、硫酸濃度が50〜200g/L、特に75〜150g/Lで、過硫酸濃度が2〜20g/L、特に5〜15g/Lの水溶液を用いることが好ましい。
硫酸を含有する処理液に過硫酸を存在させる方法としては特に制限はなく、以下の方法を採用することができる。
(1) 硫酸溶液を硫酸電解セルに導入し、電解処理して過硫酸を生成させる。
(2) 硫酸と過酸化水素水を混合して過硫酸を生成させる。
(3) 硫酸とオゾンを混合して過硫酸を生成させる。
上記(2)の方法の場合、例えば、硫酸濃度が96〜98重量%の硫酸溶液に、過酸化水素濃度が30〜35重量%の過酸化水素溶液を容積比で1対35から4対30の範囲で混合することにより、前述の陽極酸化処理に好適な処理液を得ることができる。
また、上記(3)の方法の場合、硫酸濃度が50〜200g/Lの硫酸溶液に、オゾン濃度20ppm以上、例えば20〜60ppmとなるようにオゾンを添加することにより、前述の陽極酸化処理に好適な処理液を得ることができる。
硫酸と過酸化水素を混合したときに生成する過硫酸はペルオキソ一硫酸(HSO)で、混合直後の過硫酸濃度は高いが、過硫酸の自己分解に伴う減少分を補うために過酸化水素を繰り返し添加しなければならない。その添加により硫酸濃度が低下するという課題がある。硫酸にオゾンを溶解させたときに生成する過硫酸はペルオキソ一硫酸とペルオキソ二硫酸(H)であるが、それらの生成濃度は非常に低い。これに対して、硫酸を電気分解して得られる過硫酸はペルオキソ二硫酸であり、時間とともに化学平衡によりペルオキソ一硫酸との両種が存在することになるものの、それらの濃度は高く、かつ硫酸濃度を変化させることなく過硫酸濃度の調整ができるので、本発明では硫酸を電気分解して過硫酸を生成させることが好ましい。電気分解に供する処理液の硫酸濃度は、陽極酸化処理に用いる処理液の硫酸濃度と同程度である。
図1は、このような硫酸電解セルを備えた多孔質膜製造装置の一例を示す模式的断面図である。
陽極酸化処理用の処理槽1の外周に恒温ヒータ2が設けられている。槽1内には、枠状ホルダ4によって周縁部が保持されたアルミニウム膜3が膜面を上下方向として配置されている。アルミニウム膜3を挟んで両側にカーボン等よりなる板状の陰極5,5が配置されている。陰極5は、アルミニウム膜3と略同一の大きさのものであり、板面をアルミニウム膜3と平行としている。
処理槽1内の処理液は、配管7、ポンプ8、電解セル9及び配管10を介して循環される。電解セル9内にダイヤモンド電極よりなる陽極9a及び陰極9bと、両者間に配置されたバイポーラ電極9cとが設置されている。陽極9a及び陰極9bに電源ユニットから所定の電流が通電され、硫酸が電解されてペルオキソ二硫酸等の過硫酸が生成する。
処理槽1内には、処理液を撹拌するための散気管11が設置されており、ブロワ(エアポンプ)13、配管12を介して空気が供給される。
図1の装置では、アルミニウム膜3を挟んで両側に陰極5,5を配置しているので、アルミニウム膜の両面から陽極酸化が進行すると共に、両面から細孔が形成されるので、陽極酸化処理を短時間で効率よく行うことができる。
なお、上記の説明では、硫酸の電解処理や酸化で過硫酸を生成させる場合を例示したが、過硫酸に限らず、炭酸の電解処理或いは酸化で過炭酸(ペルオキソ一炭酸(HCO)、ペルオキソ二炭酸(H))を生成させることができ、また、ホウ酸の電解処理或いは酸化で過ホウ酸を、更に酢酸の電解処理或いは酸化で過酢酸を生成させることができ、いずれも本発明における陽極酸化処理液として使用することができる。
<陽極酸化処理条件>
以下に、上記のような処理液を用いる本発明の陽極酸化処理条件について説明する。
陽極酸化処理時の温度(処理液の温度)は、0〜30℃程度が好ましい。この温度が低すぎると処理時間が長くなり、高すぎると孔が開かなくなるおそれがある。
印加電圧は10〜30V、電流密度は2.5〜6A/dm程度が好ましい。印加電圧及び電流密度が低すぎると孔が開かなくなり、高すぎると膜が破れるおそれがある。
陽極酸化の処理時間は、膜に貫通孔が形成されるまでとする。上記の条件下では、通常、1.5〜3時間程度の陽極酸化処理により、膜厚50μmのアルミニウム膜に貫通孔が形成され、多孔質アルミナ膜を得ることができる。アルミニウム膜の膜厚が50μmよりも薄い場合は、処理時間は更に短くてよい。
本発明によると、陽極酸化処理のみによって貫通孔が形成されるため、陽極酸化処理後のアルミニウム膜の除去工程は不要となる。
以下、実施例及び比較例について説明する。
[実施例1]
図1に示す装置を用いて、純度99.85%、厚さ15μmのアルミニウム膜を陽極酸化して多孔質アルミナ膜を製造した。主な条件は次の通りである。
<陽極酸化槽>
処理槽1の容積:1L
アルミニウム膜の大きさ:50mm×50mm×厚さ15μm
陰極の大きさ:50mm×50mm×厚さ5mm
陰極材料:カーボン
アルミニウム膜と陰極との距離:30mm
印加電圧:20V(一定)
処理液の硫酸濃度:100g/L
処理液の過硫酸濃度:10g/L
処理液の含水率:90重量%
処理液の酸化還元電位:+2.0V
処理液のpH:0.0
処理液の温度:20℃
散気空気量:6NL/hr
<過硫酸生成用電解酸化セル9>
セル容積液:0.5L
陽極及び陰極:ダイヤモンド電極(直径150mm)
バイポーラ膜材質:陽極と同じ
電流密度:50A/dm
液流量:52L/h
処理槽1内に硫酸含有処理液を入れ、ポンプ8及び電解セル9を作動させて過硫酸濃度が10g/L、酸化還元電位が+2.0V、pH0.0となった後、アルミニウム膜を浸漬し、陰極との間に20Vの電圧を印加して陽極酸化を開始した。開始当初の電流値は0.1A(電流密度6A/dm)であった。通電を継続すると、電流値は徐々に低下した。電流値が0.01Aになるまで陽極酸化を継続した。この実施例1では、電流値が0.01Aとなるまで30分を要した。その後、酸化処理された膜を処理槽1から取り出し、純水で水洗した後、乾燥窒素ガスを1分間吹き付けて乾燥した。得られた多孔質アルミナ膜の表面を電子顕微鏡観察した結果を図2,3に示す。図2は膜の一方の面の顕微鏡写真であり、図3は膜の他方の面の顕微鏡写真である。
図2,3の通り、平均孔径7nm、最大孔径10nmの貫通孔が、アルミニウム膜の中心部分に、直径15mm程度の領域にわたって形成されていることが認められた。当該領域における開孔率はおよそ30%であった。また、多孔質膜部分の表面をEPMA分析したところ、膜の両面とも、Alであることが認められた。
なお、処理液の過硫酸濃度は以下の方法で測定し、酸化還元電位は、ボルタンメトリー法で、pHはpH計で測定した。
<過硫酸濃度測定方法>
まず、ヨウ素滴定により処理液中に含まれる全酸化剤濃度を測定する。このヨウ素滴定とは、Klを加えてlを遊離させ、そのlをチオ硫酸ナトリウム標準溶液で滴定してlの量を求め、そのlの量から、酸化剤濃度を求めるものである。次に過酸化水素濃度のみを過マンガン酸カリウム滴定により求め、ヨウ素滴定−過マンガン酸カリウム滴定より過硫酸濃度を求めた。
[実施例2]
処理液の過硫酸濃度を5g/L、酸化還元電位を+1.7Vとしたこと以外は実施例1と同様にしてアルミニウム膜の陽極酸化処理を行い、得られた多孔質アルミナ膜部分の表面の観察を行ったところ、平均孔径10nm、最大孔径15nmの貫通孔が面積率約30%で形成されたことが認められた。
[実施例3]
処理液の過硫酸濃度を20g/L、酸化還元電位を+2.0Vとしたこと以外は実施例1と同様にしてアルミニウム膜の陽極酸化処理を行い、得られた多孔質アルミナ膜部分の表面の観察を行ったところ、平均孔径7nm、最大孔径10nmの貫通孔が面積率約30%で形成されたことが認められた。
[比較例1]
ポンプ8を作動させず、処理槽1内の処理液の電解セル9への循環を行わなかったこと以外は実施例1と同様にしてアルミニウム膜の陽極酸化処理を実施例1と同じく30分行った。
処理後の膜の表面を観察したところ、平均孔径15nm、最大孔径20nmの貫通孔が面積率約30%で形成されたことが認められた。なお、上記30分経過後に処理槽1内の処理液の過硫酸濃度を測定したところ1g/Lで、酸化還元電位は+0.5V、pHは0.0であった。
以上の実施例及び比較例より、本発明によると、陽極酸化処理のみで、平均孔径10nm以下の微細孔を有した多孔質アルミナ膜を効率よく製造することができることが分かる。
1 処理槽
2 恒温ヒータ
3 アルミニウム膜
4 ホルダ
5 陰極
9 過硫酸生成用電解セル
11 散気管

Claims (10)

  1. アルミニウムまたはアルミニウム合金よりなる厚さ10〜150μmのアルミニウム膜を硫酸を含有する処理液中で陽極酸化処理することにより該アルミニウム膜に細孔を形成する工程を有する多孔質膜の製造方法において、
    硫酸を含有する前記処理液を過硫酸生成用電解セルに循環流通させて電解処理することにより該処理液に過硫酸を含有させる多孔質膜の製造方法であって、
    該処理液の酸化還元電位が+1.5〜+3.5Vであることを特徴とする多孔質膜の製造方法。
  2. アルミニウムまたはアルミニウム合金よりなる厚さ10〜150μmのアルミニウム膜を硫酸を含有する処理液中で陽極酸化処理することにより該アルミニウム膜に細孔を形成する工程を有する多孔質膜の製造方法において、
    前記処理液は、硫酸と過酸化水素とを混合することにより過硫酸を生成させてなるものであり、
    該処理液の酸化還元電位が+1.5〜+3.5Vであることを特徴とする多孔質膜の製造方法。
  3. 請求項1又は2において、電解処理、酸化剤の添加、及び高い酸化還元電位を有する液の添加のいずれか1以上の手法により、前記処理液の酸化還元電位を+1.5〜+3.5Vに調整することを特徴とする多孔質膜の製造方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、前記処理液の循環処理、前記処理液の一過式添加及び前記処理液へのガス吹き込みのいずれか1以上の手法により、前記処理液の酸化還元電位を+1.5〜+3.5Vに調整することを特徴とする多孔質膜の製造方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項において、前記処理液の温度が0〜30℃、酸濃度が50〜300g/L、酸化剤濃度が1〜30g/Lで、陽極酸化処理時の印加電圧が10〜30Vであることを特徴とする多孔質膜の製造方法。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項において、膜厚10〜150μmのアルミニウム膜を、膜を貫通する細孔が形成されるまで陽極酸化処理することを特徴とする多孔質膜の製造方法。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項において、前記処理液中の硫酸濃度が50〜200g/Lであり、過硫酸濃度が2〜20g/Lであることを特徴とする多孔質膜の製造方法。
  8. 請求項1ないしのいずれか1項において、アルミニウム膜を挟んで両側にそれぞれ陰極を配置して陽極酸化処理を行うことを特徴とする多孔質膜の製造方法。
  9. 請求項1ないしのいずれか1項において、形成される細孔の平均孔径が10nm以下であることを特徴とする多孔質膜の製造方法。
  10. 酸化還元電位が+1.5〜+3.5Vである硫酸含有処理液を貯留するための処理槽と、該処理槽内においてアルミニウムまたはアルミニウム合金よりなるアルミニウム膜と対面配置された陰極とを有する多孔質膜の製造装置において、
    該処理槽内の硫酸含有処理液が循環される、過硫酸生成用電解セルを備えたことを特徴とする多孔質膜の製造装置。
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