以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
[第1の実施形態]
まず、第1実施形態に係る画像形成装置について説明する。本実施形態では、画像形成装置の一例として、電子写真方式を採用した画像形成装置のうちで、中間転写ベルトを用いた4ドラムフルカラー画像形成装置を例示する。
<画像形成装置1の構成>
まず、図1を参照して、本実施形態に係る画像形成装置の構成について説明する。図1では、中間転写ベルトを用いた4ドラムフルカラー画像形成装置1の断面図を示している。画像形成装置1は、中間転写体(転写体)である中間転写ベルト51を有する中間転写ベルトユニット5と、定着器7とを備える。画像形成装置1の装置本体2には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のプロセスカートリッジPY,PM,PC,PKが着脱可能である。各プロセスカートリッジPは、メモリータグ(不図示)を有する。装置本体2は、各プロセスカートリッジPとの通信によって、各プロセスカートリッジの残り寿命や交換状況を判別できる。
各プロセスカートリッジPは、像担持体(感光体)である感光ドラム61Y,61M,61C,61Kを有する。感光ドラム61Y,61M,61C,61Kは、被転写体である中間転写ベルト51の周面の移動方向に沿って、順に異なる位置に配置されている。各プロセスカートリッジPは、感光ドラム61の周囲に、1次帯電器62、現像器63、及び感光体クリーナ65を一体で有する。これらのプロセスカートリッジPは、中間転写ベルト51に沿って並列に配置されている。なお、現像器63Y,63M,63C,63Kは、複数の現像手段の一例である。
各プロセスカートリッジPにおいて、1次帯電器62は、感光ドラム61の外周表面上に配置され、感光ドラム61の表面を一様に帯電する。感光ドラム61Y,61M,61C,61K上、即ち複数の像担持体上には、対応するレーザ露光器21Y,21M,21C,21Kからの露光によって静電潜像が形成される。現像器63は、対応する感光ドラム61上の静電潜像を、それぞれ対応する色(Y、M、C、K)の現像剤(トナー)を用いて現像する。ここで、現像器63内の現像ローラ64は、対応する感光ドラム61に対して当接した当接状態と、対応する感光ドラム61から離間した離間状態とを切り替え可能である。現像器63は、現像ローラ64が感光ドラム61にそれぞれ当接した状態で、トナーによって静電潜像を現像することで、感光ドラム61上にそれぞれ色の異なる現像剤像(トナー像)を形成する。なお、現像器63内の現像ローラ64は、感光ドラム61から離間された際にはその回転が停止され得る。これにより、現像器63内の現像剤が劣化することを防止できる。また、感光体クリーナ65は、トナー像が感光ドラム61から中間転写ベルト51に順次転写された後に、感光ドラム61の表面に付着した、転写残りトナーを除去する。
中間転写ベルト51を挟んで感光ドラム61に対向した位置には、1次転写ローラ52が配置されている。感光ドラム61及び1次転写ローラ52は、感光ドラム61上のトナー像を中間転写ベルト51上へ1次転写する1次転写ニップ部を形成する。このように、また、中間転写ベルトユニット5は、中間転写ベルト51、中間転写ベルト51を張架するための、駆動ローラ53、テンションローラ54、及び2次転写対向ローラ55の3本のローラを備える。ベルト駆動モータ(不図示)によって駆動ローラ53が回転駆動されることで、中間転写ベルト51が回転する。テンションローラ54は、中間転写ベルト51の長さに応じて装置本体2の水平方向に移動可能に配置されている。
駆動ローラ53の近傍には、中間転写ベルト51上に形成されたトナーパッチを検出するための2個のレジ検知センサ56が配置される。これらのレジ検知センサ56は、駆動ローラ53の長手方向に対して両端部分にそれぞれ配置されている。ここで、長手方向とは、ローラの軸線方向であり、中間転写ベルト51の周面の移動方向に対して直交する方向である。テンションローラ54の近傍には、ベルトクリーナ58が配置されている。ベルトクリーナ58は、記録材への画像の転写後に中間転写ベルト51上に残留した廃トナーを回収する機能と、当該回収機能によって回収された廃トナーを中間転写ベルト51上(転写体上)に排出する機能とを備える。後述するように、ベルトクリーナ58から中間転写ベルト51上に廃トナーは、中間転写ベルト51によって搬送されることによって、各1次転写ニップ部に所定のタイミングで潤滑剤として供給され得る。
2次転写対向ローラ55及び2次転写ローラ90は、中間転写ベルト51を挟んだ位置に対向して配置されている。2次転写対向ローラ55及び2次転写ローラ90は、中間転写ベルト51に形成されたトナー像を記録媒体(記録材)上に2次転写を行う2次転写ニップ部を形成している。2次転写ローラ90は、転写搬送ユニット8によって保持されている。
画像形成装置1において装置本体2の下部には、2次転写ニップ部に記録媒体Qを給紙及び搬送する給紙部3が配置されている。給紙部3は、複数枚の記録媒体Qを収納したカセット31、給紙ローラ32、重送防止用のリタードローラ対33、搬送ローラ対34,35、レジストローラ対36等を備える。記録媒体Qが搬送される搬送路上で定着器7よりも下流側には、排出ローラ対37,38,39が設けられている。
画像形成装置1は、両面印刷に対応している。画像形成装置1は、両面印刷を実行する場合、記録媒体Qの一方の面に画像を形成し、当該記録媒体Qを定着器7から排出した後、切替部材41を切り替えることで、反転ローラ対42,43側に記録媒体Qを搬送する。その後、記録媒体Qの後端が切替部材44を越えると、切替部材44を切り替えると同時に、反転ローラ43を逆回転させて、記録媒体Qを両面搬送路45に導く。さらに、両面搬送路ローラ対46,47,48を回転駆動して、記録媒体Qを再給紙することで、画像が形成されていないもう一方の面への画像形成を実行する。
次に、図2を参照して、画像形成装置1の制御構成について説明する。画像形成装置1は、ネットワークを介して外部機器と通信が可能である。例えば、画像形成装置1は、外部から接続されたパーソナルコンピュータ等の外部ホスト機器10からジョブを受信する。また、画像形成装置1は、装置本体2が備える原稿読取部(不図示)において読み取った画像についてのRGB画像信号を受信する。画像形成装置1は、このようにして受信したジョブやRGB画像信号に基づいて、記録媒体Qへの画像形成を実行する。
画像処理制御部11は、外部ホスト機器10又は原稿読取部から受信したデータを、CMYK信号に変換するとともに、変換後の信号に対して階調補正及び濃度補正を施す。その後、画像処理制御部11は、補正後の信号からレーザ露光器21用の露光信号を生成する。画像形成制御部12では、以下に説明する画像形成動作全体を制御するとともに、レジ検知センサ56、マークセンサ57を用いた階調補正や濃度補正を行う際に、装置本体2の動作を制御する。画像形成制御部12は、画像形成制御部12による制御処理を実行するCPU121と、CPU121によって実行されるプログラムなどを記憶したROM122と、CPU121による制御処理の際に各種データを一時的に記憶するRAM123とを有する。図2に示すように、画像形成制御部12は、露光制御部13、高圧制御部14、駆動制御部15、定着制御部16、センサ制御部17と接続されており、これらの動作を制御する。
露光制御部13は、レーザ露光器21の駆動、スキャナモータ(不図示)の駆動、レーザ光量の補正等を行う。高圧制御部14は、画像形成の際に感光ドラムの帯電させる。また、高圧制御部14は、画像形成の際に、現像バイアス、中間転写ベルト51への転写用の1次転写バイアス、記録媒体Qへの転写用の2次転写バイアス、ベルトクリーナ用のベルトクリーニングバイアス等を印加する。駆動制御部15は、感光ドラム61の駆動、現像ローラ64の駆動、中間転写ベルト51の作像系モータ(不図示)の駆動、及び記録媒体Qを搬送する搬送モータ(不図示)の駆動を行う。定着制御部16は、定着器7の温度調整を行う。センサ制御部17は、トナー残量の検出や搬送路における記録媒体Qの位置検出を行う。また、センサ制御部17は、レジ検知センサ56を用いた中間転写ベルト51上のトナーパッチの検出や、マークセンサ57を用いた、中間転写ベルト51上に設けられた位置表示マークの検出をを行う。
次に、図3を参照して、高圧制御部14及び駆動制御部15について、更に詳しく説明する。高圧制御部14は、5つの出力チャネルを用いて、画像形成装置1の各ユニットに対するバイアスの印加について制御する。高圧制御部14は、画像形成時には、帯電バイアス141によって帯電ローラ33にマイナスのバイアスを印加し、現像バイアス142によって現像ローラ64にマイナスのバイアスを印加する。高圧制御部14は、1次転写ローラ52に対し、1次転写バイアス143によって、画像形成時にはプラスのバイアスを印加し、廃トナー回収時にはマイナスのバイアスを印加する。高圧制御部14は、2次転写対向ローラ55に対し、2次転写バイアス144によって、画像形成時にはプラスのバイアスを印加する。その一方で、中間転写ベルト51のクリーニング時、及びレジ検知センサ56を用いた中間転写ベルト51上のトナーパッチの検出時には、マイナスのバイアスを印加する。高圧制御部14は、ベルトクリーナ58に対し、ベルトクリーナバイアス145によって、画像形成時にはマイナスのバイアスを印加し、ベルトクリーナ58が中間転写ベルト51上に廃トナーの供給(吐き出し)を行う時には、プラスのバイアスを印加する。駆動制御部15は、感光ドラム61及び中間転写ベルト51を駆動するメイン駆動モータ、及び、現像ローラ64に関する現像状態(当接状態)及び非現像状態(離間状態)を切り替えるステッピングモータ91を制御する。
図4を参照して、中間転写ベルト51及びその周辺の構成について説明する。ベルトクリーナ58は、中間転写ベルト51の周面の移動方向に対して上流側の、感光ドラム61Yの1次転写ニップ部からLcの位置に配置されている。感光ドラム61Y、感光ドラム61M、感光ドラム61C、感光ドラム61Kは、中間転写ベルト51の周面に沿って、それぞれLtの間隔で配置されている。また、各感光ドラム61に対応した各現像ローラ64は、感光ドラム61の周面上において、感光ドラム61の1次転写ニップ部からLdの位置に配置されている。各感光ドラム61は、一般的に、色ずれを低減する観点から、中間転写ベルト51の周面に沿って等間隔に配置される。このため、本実施形態においても、各感光ドラム61を等間隔に配置した場合について説明するものの、等間隔でなくともよい。また、各感光ドラム61の1次転写ニップ部と現像ローラ64との間の距離も、画像形成ステーションごとに異なっていてもよい。
次に、図5(a)及び(b)を参照して、感光ドラム61及び中間転写ベルト51を回転駆動する駆動系について説明する。画像形成装置1は、4つの感光ドラム61及び中間転写ベルト51を回転駆動するための、3つのメイン駆動モータ80(80ab,80c,80d)を備える。第1の駆動モータ80abは、イエロー(第1ステーション)及びマゼンタ(第2ステーション)の感光ドラム61Y及び61Mを回転駆動する。第2の駆動モータ80cは、シアン(第3ステーション)の感光ドラム61Cを回転駆動する。第3の駆動モータ80dは、ブラック(第4ステーション)の感光ドラム61K及び中間転写ベルト51を回転駆動する。中間転写ベルト51は、ギア列88を介して、ギア89から駆動ローラ53軸上のギア(不図示)へ駆動を伝達する。
また、メイン駆動モータ80(80ab,80c,80d)から減速ギア81(81a,81b,81c,81d)を介して、感光ドラム用の駆動ギア82(82a,82b,82c,82d)へ駆動が伝達される。感光ドラム用の駆動ギア82(82a,82b,82c,82d)はカップリング83(83a,83b,83c,83d)と一体となっており、カップリング83(83a,83b,83c,83d)を介して感光ドラム61へ駆動が更に伝達される。この駆動ギア82(82a,82b,82c,82d)には、当該駆動ギアのギア精度の低下による色ずれを低減するために、スリット84(84a,84b,84c,84d)の入った円筒状のフランジ85(85a,85b,85c,85d)が設けられている。駆動制御部15は、スリット84(84a,84b,84c,84d)をフォトインタラプタ86(86a,86c,86d)で検知して、画像位置に対する駆動ギア82(82a,82c,82d)の位相を各色で合わせる制御を行う。
ただし、第1ステーション及び第2ステーションの駆動ギア82(82a,82b)については、ギア列を組立てる際に相対的な位相を一致させている。また、駆動ギア82(82a,82b,82c,82d)については、全て同一キャビティの成形品としており、1回転周期の変動プロファイルを統一できるとともに、位相を合わせることで各色のプロファイルを一致させるによって、色ずれを低減できる。駆動ギア82(82a,82c,82d)の位相合わせ動作は、印刷ジョブの終了時又は開始時の、画像形成動作以外のタイミングにおいて実行される。かかる動作は、基準色の駆動ギア82に対象となる駆動ギア82を加速又は減速させることによって実現される。
次に、図6(a)を参照して、感光ドラム61に対する現像ローラ64の当接及び離間を切り替える機構について説明する。なお、図6(a)では、Y及びMのプロセスカートリッジPY,PMの現像ローラ64Y,64Mは離間状態、C及びKのプロセスカートリッジPC,PKの現像ローラ64C,64Kは当接状態である場合を示している。感光ドラム61に対する現像ローラ64の当接及び離間を切り替えるための駆動源であるステッピングモータ91は、ウォームタイプのピニオンギアを介して駆動切り替えシャフト92と接続されている。また、駆動切り替えシャフト92には、各色のカムギア94を駆動するためのウォームギア93が設けられている。このような機構において、駆動切り替えシャフト92が回転すると、カムギア94のカム95の位相が変化し、プロセスカートリッジPの側面が加圧又は減圧されることによって、感光ドラム61に対する現像ローラ64の当接及び離間を切り替わる。
また、図6(b)を参照して、現像ローラ64の当接時及び離間時における、現像ローラ64の駆動状態及び非駆動状態について説明する。なお、図6(b)では、Y及びMのプロセスカートリッジPY,PMの現像ローラ64Y,64Mが非駆動状態、C及びKののプロセスカートリッジPC,PKの現像ローラ64C,64Kが駆動状態である場合を示している。また、プロセスカートリッジPの側面に圧力をかける方法は、図6(a)と同様であるため説明を省略する。感光ドラム61を駆動する感光体ギア97は、上述のカップリング83及び減速ギア81を介してメイン駆動モータ80と接続されている。現像ローラ64を駆動する現像ローラギア98は、感光ドラム61及び現像ローラ64が当接状態である場合に、感光体ギア97と噛み合うことで、現像ローラ64に動力が伝達される。これにより、現像ローラ64は駆動状態となる。感光ドラム61及び現像ローラ64が離間状態である場合には、現像ローラギア98は感光体ギア97と噛み合わないため、現像ローラ64に動力が伝達されない。これにより、現像ローラ64は、非駆動状態となる。
<画像形成装置1の画像形成動作>
次に、画像形成装置1の画像形成動作について、再び図1を参照しながら説明する。画像形成装置1は、複数色(ここでは4色)のトナーからなる画像を記録媒体Qに形成する。画像形成動作が開始されると、まず、カセット31内の記録媒体Qが、給紙ローラ32によって給紙される。記録媒体Qは、リタードローラ対33によって一枚ずつ分離されるとともに、搬送ローラ対34,35等によってレジストローラ対36の位置まで搬送路上を搬送される。この時、レジストローラ対36は回転を停止している。レジストローラ対36のニップに対して記録媒体Qの先端が突き当たることによって、記録媒体Qの斜行が矯正される。
記録媒体Qの給紙及び搬送動作と平行して、記録媒体Qへ形成すべきトナー像の形成が開始される。例えば、YのプロセスカートリッジPYにおいて、感光ドラム61Yの表面が1次帯電器62によって一様にマイナス帯電されると、感光ドラム61Yはレーザ露光器21Yによって露光される。これにより、感光ドラム61Yの表面には、画像信号に含まれるイエロー画像成分に対応した静電潜像が形成される。
次に、現像器63内の現像ローラ64は、回転駆動されながら、感光ドラム61Yに当接する。現像器63は、マイナス帯電させたイエロー(Y)トナーを用いて、感光ドラム61Y上に形成された静電潜像を現像する。これにより、感光ドラム61Y上の静電潜像は、Yのトナー像(現像剤像)として可視化される。このようにして得られたYのトナー像は、1次転写バイアスが印加された1次転写ローラ52によって、感光ドラム61Yから中間転写ベルト51上に1次転写される。トナー像の1次転写後に、感光ドラム61Yの表面に付着している転写残りトナーが、感光体クリーナ65によって除去される。
上述した一連の画像形成動作は、他のプロセスカートリッジPM,PC,PKにおいても、プロセスカートリッジPYと同様に、所定のタイミングにおいて順次実行される。ここで、現像ローラ64は、当該プロセスカートリッジにおける画像形成動作の開始前に、中間転写ベルト51の周面の移動方向に対して上流側の他のプロセスカートリッジにおいて、1次転写が実行中であっても、回転しながら感光ドラム61に当接する。これは、当該プロセスカートリッジ内の現像剤の劣化を防止するためである。さらに、各感光ドラム61上に形成された各色のトナー像は、1次転写ニップ部において、中間転写ベルト51上に順に重ねて1次転写される。これにより、中間転写ベルト51上に4色のトナーによるカラーのトナー像が形成される。なお、現像ローラ64は、現像動作を終了すると、中間転写ベルト51の周面の移動方向に対して下流側の他のプロセスカートリッジにおいて1次転写が実行中であっても、現像剤の劣化を防止するために、感光ドラム61から離間され、回転が停止される。
このようにして中間転写ベルト51上に形成された4色のトナー像は、中間転写ベルト51の回転に伴って、2次転写ニップ部へ移動する。一方で、レジストローラ対36の位置において斜行が矯正された記録媒体Qは、中間転写ベルト51上のトナー像が2次転写ニップ部に到達するタイミングに合わせて、レジストローラ対36の位置から2次転写ニップ部へ搬送される。2次転写ニップ部においては、2次転写ローラ90が記録媒体Qを挟んで中間転写ベルト51に当接することによって、中間転写ベルト51上のカラーのトナー像が記録媒体Q上へ2次転写される。トナー像が転写された記録媒体Qは、定着器7に搬送される。定着器7は、記録媒体Qに対して加熱及び加圧することによって、記録媒体Q上のトナー像を当該記録媒体Qに定着させる。その後、記録媒体Qは、排出ローラ対37,38,39によって装置本体の上面に排出されて、積載される。
2次転写が終了すると、テンションローラ54近傍に設置されたベルトクリーナ58に対してバイアスが印加される。これにより、中間転写ベルト51の表面に残留した廃トナーが、ベルトクリーナ58によって一時的に回収される。本実施形態では、後述するタイミングにおいて、ベルトクリーナ58は、廃トナーを回収する場合とは逆のバイアスを印加されると、いったん回収した廃トナーを中間転写ベルト51上に供給する。なお、画像形成時とは逆のバイアスが1次転写ローラ52に対して印加されると、中間転写ベルト51上に排出された廃トナーは、感光ドラム61上に移動するとともに、感光体クリーナ65によって除去される。
<中間転写ベルトの周面速度Vdの変動>
次に、中間転写ベルト51に形成したトナーパッチをレジ検知センサ56で検知した結果を用いた色ずれ補正を行った場合に問題となり得る、中間転写ベルト51の周面速度Vdの変動が発生するメカニズムについて説明する。まず、図7〜図10を参照して、中間転写ベルト51にかかる負荷(駆動トルク)Tの変動について説明する。図7〜図10は、画像形成装置1における画像形成動作の開始に伴って、中間転写ベルト51が停止状態から起動して、中間転写ベルト51上に画像が形成された後、再び停止するまでの様子とともに、中間転写ベルト51の駆動トルクTの変化を示している。ここで、感光ドラム61Y,61M,61C,61Kと中間転写ベルト51との間の1次転写ニップ部にトナーが存在する場合の、感光ドラム61と中間転写ベルト51との間の摩擦係数をμ1とする。また、1次転写ニップ部にトナーがない場合の、感光ドラム61と中間転写ベルト51との間の摩擦係数をμ2とする。
摩擦係数μ1及びμ2を用いると、図7〜図9(a)に示す順に、画像形成状態が変化するに従って、中間転写ベルト51の駆動トルクTは、1次転写ニップ部におけるトナーの有無に依存して以下のように変化する。
T=Tb+μ1F×4 (1)(図7(a)に対応)
T=Tb+μ1F×3+μ2F (2)(図7(b)に対応)
T=Tb+μ1F×2+μ2F×2 (3)(図8(a)に対応)
T=Tb+μ1F+μ2F×3 (4)(図8(b)に対応)
T=Tb+μ2F×4 (5)(図9(a)に対応)
さらに、図9(b)、図10(a)、図10(b)、図7(a)に示す順に画像形成状態が変化する。その際、中間転写ベルト51の駆動トルクTは、式(4)、(3)、(2)、(1)の順に変化する。ここで、μ1とμ2との間には、一般に(μ1>μ2)の大小関係が成立する。このため、中間転写ベルト51の駆動トルクTは、1次転写ニップ部におけるトナーの有無に依存して変化する。具体的には、現像ローラ64が感光ドラム61に当接することで感光ドラム61上に生じたトナーが1次転写ニップ部に到達すると、トルクTは軽くなる。一方で、現像ローラ64が感光ドラム61から離間することで感光ドラム61上にトナーが生じなくなり、1次転写ニップ部にトナーが到達しなくなると、トルクTは重くなる。
このように中間転写ベルト51の駆動トルクTが変化するメカニズムについて、より詳しく説明する。例えば、図7(b)は、現像ローラ64Yが感光ドラム61Yに当接した状態を示している。現像ローラ64Yが回転駆動された状態で、感光ドラム61Yに当接すると、感光ドラム61Y上に静電潜像が形成されたか否かにかかわらず、現像ローラ64のトナーが感光ドラム61上に付着する。(以下では、これを「かぶりトナー」と称する。)感光ドラム61上に付着したかぶりトナーが、図7(b)に示すように、一次転写ニップ部に到達すると、トナーの作用によって、中間転写ベルト51にかかる負荷(駆動トルクT)が減少する。その結果、中間転写ベルト51全体にかかる負荷も減少する。さらに、図8(a)、図8(b)、図9(a)へと画像形成状態が遷移するに従って、1次転写ニップ部へ到達するかぶりトナーの総量が増加する。これにより、中間転写ベルト51にかかる負荷が減少する。その後、図9(b)、図10(a)、図(b)へと画像形成状態が遷移するに従って、各現像ローラ64が感光ドラム61から離間されることによって、感光ドラム61上にかぶりトナーが生じなくなる。これにより、1次転写ニップ部におけるかぶりトナーが減少するとともに、中間転写ベルト51にかかる負荷が増大する。
ここで、中間転写ベルト51上にトナーパッチを形成し、レジ検知センサ56でそれを検知した検知結果を用いて、色ずれ補正を行う場合を想定する。この場合に、レジ検知センサ56で中間転写ベルト51上のトナーパッチを検出する間、中間転写ベルトの駆動トルクTは式(5)の値で一定であり、中間転写ベルト51の周面速度も一定であるとする。このような色ずれ補正を行った後、実際に記録材への画像形成を行う場合に、中間転写ベルト51の駆動トルクTが、上述のように変化することを想定する。
中間転写ベルト51を駆動するギア列で構成される中間転写ベルト駆動伝達系は、フックの法則等で表されるように、その駆動トルクによって発生する応力に比例して弾性変形することが知られている。このように、中間転写ベルト51に生じる弾性変形は、駆動伝達系の伝達速度を一時的に変動させる。言い換えると、当該弾性変形によって、中間転写ベルト51の周面速度が一時的に変動する。弾性変形には連続性があり、連続性を有する弾性変形に起因して、中間転写ベルト51の位置が一時的に変動するとともに、かかる位置変動は周面の速度変動として表れる。即ち、式(1)〜(5)のように中間転写ベルト51の駆動トルクTが変化することによって、中間転写ベルト51の周面速度が変化する。例えば、中間転写ベルト51の駆動トルクTが増加する場合、中間転写ベルトの周面速度は遅くなる一方で、駆動トルクTが減少する場合、中間転写ベルト51の周面速度は速くなる。なお、中間転写ベルト51の周面速度の変動は、中間転写ベルト51の位置変動によるものと考えることもでき、一時的な負荷変動に伴う中間転写ベルト51の位置変動と理解してもよい。
このように、中間転写ベルト51の周面速度が変動しない状態で色ずれ補正を行ったとしても、実際の画像形成時に周面速度が変動すると、当該周面速度の変動に起因して、色ずれを適切に低減することができず、色ずれが生じてしまう。色ずれを適切に低減するために、中間転写ベルト51の周面速度の変動を低減する方法としては、例えば以下の3つの方法が挙げられる。
第1の方法は、中間転写ベルトの駆動伝達系の剛性を高めることで、弾性変形を抑制する方法である。一般的に、中間転写ベルトの駆動伝達系の剛性を高めることで、上述の弾性変形が低減される。例えば、駆動伝達系の一要素であるギアの材質を、ポリアセタールなどの樹脂から黄銅などの金属に変更することで、剛性を高めることができる。出願人による実験では、ギアの金属化によって剛性を高めることで、中間転写ベルト51の速度変動を低減できることが確認されている。しかしながら、金属ギアは剛性が高すぎるため、噛み合いによる振動が発生し、当該振動によって画像形成品質が劣化する問題がある。また、金属ギアは切削加工によって製造されるため、射出成形によって製造される樹脂ギアに比較して、製造コストが著しく増大してしまう問題がある。
第2の方法は、中間転写ベルト51と感光ドラム61と間の摩擦係数μの変動を抑圧する方法である。理論的には、摩擦係数μ1及びμ2を同一にすることで、摩擦係数μの変動を抑圧することができる。しかしながら、現状の感光ドラム61の表層は平滑であり、中間転写ベルト51と貼り付き易いために、非常に大きな摩擦力が発生する。感光ドラム61の表面に微小な凸凹を設けることで、接触面積を低減することも考えられるが、画像形成品質が劣化するおそれがあり、現実的ではない。
また、第3の方法は、全ての現像ローラ64を感光ドラム61に当接状態とし、中間転写ベルト51の駆動トルクTが式(5)で安定した状態で常に画像形成を行う方法である。この方法は、中間転写ベルト51へのトナー像の転写タイミング以外のタイミングにおいて、駆動トルクTの変動要因となり得る帯電、現像等のオンオフを行うことで実現可能である。しかしながら、中間転写ベルト51へのトナー像の転写タイミング以外のタイミングにおいて常に帯電、現像等のオンオフを行うと、画像形成時間が長くなり、装置の生産性が低下する問題がある。即ち、画像形成装置内の各ユニットの寿命を短くしてしまう問題があり、ランニングコストの増大を招いてしまう。
このため、色ずれを適切に低減するためには、上述の第1〜第3の方法以外の方法を用いて、中間転写ベルト51の速度変動を低減することが必要である。次に、中間転写ベルト51の駆動トルクの変動について、実際の画像形成装置において実際に測定した結果に基づいて、当該速度変動を低減する方法について、更に説明する。
図11(a)には、実際の画像形成装置において3枚のLTR用紙を連続して印刷した場合の、駆動ローラ53の回転トルク(駆動トルク)の変動の測定結果を示している。なお、当該測定では、感光ドラム61の回転速度を変化させることによって、中間転写ベルト51と感光ドラム61との間に故意に周速度差を生じさせている。
図11(a)からわかるように、感光ドラム61と中間転写ベルト51との間に周速度差を与えた状態では、画像形成動作における初期及び最後にトルク変動(負荷変動)が発生している。具体的には、現像器63Y内の現像ローラ64Yが回転駆動された状態で、現像器63YがYの感光ドラム61Yへの当接を開始すると、感光ドラム61上にはわずかに現像されたかぶりトナーが付着する。感光ドラム61上において現像器63が当接する部分において生じたかぶりトナーが、1次転写ニップ部へ到達するタイミングにおいて、中間転写ベルト51の駆動トルクの変動が始まっている。その後、中間転写ベルト51の周面の移動方向に対して下流側の現像ローラ64が順に感光ドラム61に当接し、それによって生じたかぶりトナーが1次転写ニップ部へ到達するにつれて、駆動トルクが減少した後、その変動が収束している。なお、図11(a)に示すように、各色の現像ローラ64が、対応する感光ドラム61に順に当接するにつれて、連続的にトルクが減少している。
その後、最上流側のYのトナー像についての1次転写の終了後、現像ローラ64Yが感光ドラム61Yから離間して、かぶりトナーが生じなくなると、再びトルクが増加している。さらに、他の色についても、順に現像ローラ64が感光ドラム61から離間するにつれて、感光ドラム61上にかぶりトナーが生じなくなり、さらに駆動トルクが増加している。
次に、このトルク変動についてさらに詳しく説明する。ここでは、(感光ドラムの周面速度<中間転写ベルトの周面速度)としており、感光ドラム61に対する現像ローラ64の当接が開始されると、中間転写ベルト51の駆動トルクが減少する。即ち、現像ローラ64の当接によって感光ドラム61上に生じたかぶりトナーが1次転写ニップ部に到達し、当該かぶりトナーが潤滑剤の役割を果たすことで、感光ドラム61と中間転写ベルトとの間の摩擦力が弱まる。これにより、中間転写ベルト51に対する負荷となっていた感光ドラム61からの反力が減少する。
また、感光ドラム61と中間転写ベルト51との間のニップ部におけるトナーの有無は、静電潜像を現像することによって感光ドラム61上にトナー像が形成されたか否かのみならず、感光ドラム61に対する現像ローラ64の当接又は離間状態に依存する。なお、図11(a)に関する測定において、かぶりトナーが1次転写ニップ部へ到達することによって中間転写ベルト51に負荷変動が生じると、その後に画像形成トナーが当該ニップ部に到達したとしても、当該負荷が更に変動することはないことが確認されている。即ち、一転写ニップ部に到達したトナーが、かぶりトナー及び画像形成トナーの何れであっても、トナーが当該ニップ部に到達していない場合に比較して、一定の量だけ負荷が減少することが明らかとなっている。
一方で、画像形成動作の終了タイミングに近づいて、上流側の感光ドラム61から順に中間転写ベルト51への1次転写が終了するにつれて、感光ドラム61からの現像ローラ64の離間が開始されると、1次転写ニップ部へ供給されるトナー量が減少する。その結果、感光ドラム61と中間転写ベルト51との間の摩擦力が強くなることによって、中間転写ベルト51の駆動トルクが増加する。
次に、図11(b)は、図11(a)と同一の測定条件において、記録媒体上に形成されたブラック(K)のトナー像に対するイエロー(Y)のトナー像の相対的な位置ずれ(色ずれ)の測定結果を示している。ここで、図11(b)の横軸(紙搬送方向距離)は、トナー像を転写する際の記録媒体の移動方向に沿った、記録媒体の先端を基準とした後端の方向への距離を表す。また、縦軸は、記録媒体上でKのトナー像の位置を基準としたYのトナー像の位置のずれを表し、後端側にずれている場合を正としている。なお、KとYとの間の色ずれに着目するのは、感光ドラム61から中間転写ベルト51へトナー像が最初に転写される色(Y)と最後に転写される色(K)との間で、色ずれが顕著に発生するためである。
図11(b)における測定結果において、1枚目の記録媒体については、紙搬送方向距離で0〜250mm付近において色ずれが発生している一方で、3枚目の記録媒体については、紙搬送方向距離で100mm以降で、1枚目とは逆方向に色ずれが発生している。ここで、1枚目の色ずれについては、図11(a)においても観察されたように、現像ローラ64の当接開始に伴って中間転写ベルト51の駆動トルクが減少し、ベルト周面速度が徐々に増加していることが関係する。特に、これは、4色のトナー像のうち転写順序が1番目であるYのトナー像の1次転写中に、ベルト周面速度が徐々に増加していることに起因する。一方で、3枚目の色ずれについては、図11(a)においても観察されたように、現像ローラ64の離間の開始に伴って中間転写ベルト51の駆動トルクが増加し、ベルト周面速度が徐々に減少していることが関係する。特に、これは、4色のトナー像のうち転写順序が最も遅い(4番目の)Kのトナー像の1次転写中に、ベルト周面速度が徐々に減少していることに起因する。
図11(b)からわかるように、2枚目の記録媒体については、ほとんど色ずれは生じていない。これは、2枚目の記録媒体に転写すべきトナー像の1次転写の際には、中間転写ベルト51の駆動トルクの変動が少なく、ベルト周面速度の変動も少ないためである。なお、出願人による検証の結果、図11(b)には示していないが、マゼンタ(M)、シアン(C)についても色ずれが同様に発生することが明らかとなっている。しかしながら、図11(b)に示すY及びBほど顕著ではないことも明らかとなっている。また、図11(a)に示す駆動トルクの変動は、感光ドラム61と中間転写ベルト51との間の周速度差が大きいほど顕著になることが明らかとなっている。かかるトルク変動によって中間転写ベルト51の速度変動が発生してしまうのは、主に中間転写ベルト51の駆動伝達系の剛性不足が原因である。このように、中間転写ベルト51の駆動トルクの変動は、感光ドラム61と中間転写ベルト51との間の摩擦力が変化すること、及び、感光ドラム61と中間転写ベルト51との間の周速度差があることに依存して発生する。
中間転写ベルト51の駆動トルクの変動を低減し、かつ色ずれを低減するために、感光ドラム61と中間転写ベルト51との間の周速度差を小さくすることは、各々の周面速度を定める部品の製造公差を小さくすることによって、ある程度は可能である。しかしながら、製造される部品間で寸法誤差を小さくしようとすると、製造コストが増加することを避けることは難しい。また、感光ドラム61及び中間転写ベルト51の駆動源が同一である場合、それらの周面速度を個別に調整することは難しい。一方で、感光ドラム61及び中間転写ベルト51の駆動源が異なる場合であっても、それらの周面速度を個別に検出しようとすると製造コストの増加を招いてしまう。
そこで、本実施形態では、図11(a)に示した中間転写ベルト51の駆動トルクの変動を低減するために、画像形成中における感光ドラム61と中間転写ベルト51との間の摩擦力を、潤滑剤を利用して、複数の1次転写ニップ部間で同程度にする。そのために、画像形成動作の開始後に、感光ドラム61への現像ローラ64の当接によって感光ドラム61上に付着するかぶりトナーが、何れかの1次転写ニップ部に到達するタイミングに応じて、中間転写ベルト51上に廃トナーを潤滑剤として供給する。より具体的には、当該到達タイミングにおいて、かぶりトナーが未だ到達していない他の1次転写ニップ部に対して、廃トナーが潤滑剤として供給されるように、ベルトクリーナ58からの廃トナーの排出を制御する。このような潤滑剤(廃トナー)の供給制御によって、1次転写ニップ部において感光ドラム61と中間転写ベルト51との間に生じる摩擦を低減し、中間転写ベルト51の駆動トルクの変動を低減する。その結果、中間転写ベルト51の周面の速度変動を低減するとともに、色ずれを低減することを可能にする。
<画像形成装置1における制御シーケンス>
次に、図12のフローチャートを参照して、本実施形態に係る画像形成装置1において、複数ページの画像を印刷するジョブが入力された場合の、1ページ目の画像形成についての制御シーケンスについて説明する。このように、1ページ目の画像形成についての制御に着目するのは、図11に示したように、1ページ目の画像形成において、感光ドラム61への現像ローラ64の当接及び離間状態に依存して、中間転写ベルト51の周面速度に変動が生じるためである。
画像形成装置1の装置本体2が外部ホスト機器10からジョブを受信すると、画像形成制御部12のCPU121は、以下の処理を実行する。まず、S101で、CPU121は、駆動制御部15を制御して、メイン駆動モータ80を起動することで、感光ドラム61及び中間転写ベルト51を駆動する。なお、感光ドラム61及び中間転写ベルト51は、(感光ドラムの周面速度Vd<中間転写ベルトの周面速度Vb)の関係であるものとする。次に、S102で、CPU121は、高圧制御部14を制御して、ベルトクリーナ58にプラスのバイアスを印加する。これにより、図13(a)に示すように、ベルトクリーナ58に回収されている廃トナーが、当該ベルトクリーナ58から中間転写ベルト51上に潤滑剤として供給される。ここで、CPU121は、供給制御手段の一例として機能する。
ここで、1次転写ニップ部にトナーが存在する場合の、感光ドラム61と中間転写ベルト51との間の摩擦係数をμ1、1次転写ニップ部にトナーがない場合の、感光ドラム61と中間転写ベルト51との間の摩擦係数をμ2とする。また、各1次転写ニップ部における転写圧をFとする。例えば、図13(a)の場合、感光ドラム61Yについての1次転写ニップ部にのみトナーが存在する。この場合に、各1次転写ニップ部における摩擦係数は、感光ドラム61Yについての1次転写ニップ部ではμ2、感光ドラム61M,61C,61Kについての1次転写ニップ部ではμ1である。従って、図13(a)に示す状態の中間転写ベルト51における駆動トルクTは、中間転写ベルト51のみを動かすトルクTbを含め、次式で表現できる。
T=Tb+μ1F×3+μ2F (2)
ベルトクリーナ58から中間転写ベルト51への廃トナーの供給は、中間転写ベルト51の周面が、感光ドラム61Yと感光ドラム61Kとの間の距離(Lt×3)だけ移動する時間ta=(Lt×3)/Vbに相当する期間行われる。これにより、中間転写ベルト51上には、その周面の移動方向に沿って、距離Lt×3にわたって廃トナーが付着する。これを実現するために、CPU121は、S103で、ベルトクリーナ58から中間転写ベルト51への廃トナーの供給を開始したタイミングから、時間taが経過したか否かを判定する。ここで、CPU121は、当該開始タイミングから時間taが経過していないと判定する限り、S103の判定処理を繰り返し、時間taが経過したと判定すると、処理をS104へ進める。S104で、CPU121は、高圧制御部14を制御して、ベルトクリーナ58から中間転写ベルト51への廃トナーの供給を終了する。
次に、S105で、CPU121は、廃トナーの供給終了タイミングから時間tdが経過したか否かを判定する。S105で、CPU121は、時間tdが経過していないと判定する限り、当該判定処理を繰り返し、時間tdが経過したと判定した場合、S106で、ステッピングモータ91を起動する。
ここで、時間tdは以下のように設定される。まず、ステッピングモータ91の起動後、現像ローラ64Yが感光ドラム61Yに当接するまでの時間をtb、現像ローラ64Yとの当接部から1次転写ローラ52Yとのニップ部までの感光ドラム61Yの移動時間をtc=Ld/Vdとする。これらを用いて、時間td=Lc/Vb−(tb+tc)と設定される。なお、Vdは、Ldは、感光ドラム61Yの周面上における、現像ローラ64Yとの当接部から1次転写ローラ52Yとのニップ部までの距離、感光ドラム61Yの周面速度である。また、Lcは、図13(a)に示すように、中間転写ベルト51の周面上で、ベルトクリーナ58から廃トナーが供給される位置と、感光ドラム61Yの1次転写ニップ部の位置との間の距離である。
S106で、ステッピングモータ91は、図13(b)に示すように、中間転写ベルト51上の廃トナーの後端が、感光ドラム61Yと1次転写ローラ52Yとの間のニップ部から、距離Ls=Vb×(tb+tc)手前の位置に到達したタイミングに起動する。なお、図13(b)に示す状態の中間転写ベルト51における駆動トルクTは、次式で表現できる。
T=Tb+μ1F+μ2F×3 (4)
ステッピングモータ91が起動し、現像ローラ64Yが感光ドラム61Yに当接することによって、かぶりトナーが感光ドラム61Y上に付着する。また、感光ドラム61Yに現像ローラ64Yが当接した状態で、感光ドラム61Y上に形成された静電潜像が当該当接位置に到達すると、現像ローラ64Yから供給されるトナーで静電潜像が現像され、感光ドラム61Yにトナー像が形成される。感光ドラム61Yのかぶりトナー及びトナー像の両方は、感光ドラム61Yの回転に伴って1次転写ニップ部へ移動する。現像ローラ64の当接によって感光ドラム61Y上に付着したかぶりトナーの先端は、ステッピングモータ91の起動から時間tb+tcが経過したタイミングで、図14(a)に示すように、1次転写ニップ部へ到達する。
次に、CPU121は、S107で、ステッピングモータ91の起動から時間tb+tcが経過したか否かを判定する。ここで、CPU121は、時間tb+tcが経過していないと判定する限り、当該判定処理を繰り返し、時間tb+tcが経過したと判定すると、S108へ処理を進める。S108で、CPU121は、ステッピングモータ91の起動から時間tb+tcが経過したタイミングにおいて、高圧制御部14を制御して、1次転写ローラ52YにYのトナー像の転写用バイアスを印加する。これにより、感光ドラム61Y上のかぶりトナーが中間転写ベルト51へ転移し始めるとともに、静電潜像が現像されて形成されたトナー像が中間転写ベルト51へ転写し始める。感光ドラム61Y上のかぶりトナーが1次転写ニップ部へ到達したタイミングにおける、中間転写ベルト51の駆動トルクTは、次式で表現できる。
T=Tb+μ2F×4 (5)
図14(a)に示すように、このタイミングにおいて、中間転写ベルト51の周面の移動方向に対して、最上流側(Y)の1次転写ニップ部と、最下流側(K)の1次転写ニップ部との間の中間転写ベルト51上の領域に、廃トナーが潤滑剤として供給される。
その後、S109で、CPU121は、時間te=Lt/Vbが経過したか否かを判定する。ここで、CPU121は、時間teが経過していないと判定する限り、S109の判定処理を繰り返し、時間teが経過したと判定すると、処理をS110へ進める。なお、時間teは、等間隔に設定された各色の1次転写ニップ部間の距離を、中間転写ベルト51上に転写されたトナー像が移動する時間に相当する。S110で、CPU121は、高圧制御部14を制御して、1次転写ローラ52MにMのトナー像の転写用バイアスを印加する。これにより、中間転写ベルト51上に転写されたYのトナー像に対して、感光ドラム61M上のMのトナー像が重ねて転写される。その後、S111で、CPU121は、時間teが経過したか否かを判定する。ここで、CPU121は、時間teが経過していないと判定する限り、S111の判定処理を繰り返し、時間teが経過したと判定すると、処理をS112へ進める。
S112で、CPU121は、高圧制御部14を制御して、1次転写ローラ52CにCのトナー像の転写用バイアスを印加する。これにより、図14(b)に示すように、感光ドラム61C上のかぶりトナーと静電潜像が現像されて形成されたトナー像とが、中間転写ベルト51へ転写されるようになる。図14(b)に示す状態の中間転写ベルト51における駆動トルクTは、潤滑剤としての廃トナーの作用が最下流側(K)の1次転写ニップ部に存在するため、次式に示すように、図14(a)に示す状態から変化しない。
T=Tb+μ2F×4 (5)
その後、S113で、CPU121は、1次転写ローラ52Cへバイアスを印加したタイミングから、現像ローラ64Kが感光ドラム61Kに当接するタイミングまでの時間tf=Lt/Vb−tcが経過したか否かを判定する。ここで、CPU121は、時間tfが経過していないと判定する限り、S113の判定処理を繰り返し、時間tfが経過したと判定すると、S114へ処理を進める。S114で、CPU121は、ステッピングモータ91の駆動を停止する。その後、S115で、CPU121は、時間tcが経過したか否かを判定する。ここで、CPU121は、時間tcが経過していないと判定する限り、S115の判定処理を繰り返し、時間tcが経過したと判定すると、S116へ処理を進める。
S116で、CPU121は、高圧制御部14を制御して、1次転写ローラ52Kに転写用バイアスを印加する。これにより、感光ドラム61K上に形成されたKのトナー像が、中間転写ベルト51上に転写されるようになる。図15は、最下流側の現像ローラ64Kが感光ドラム61Kに当接されることで、感光ドラム61K上にもトナー像が形成される状態を示す図である。中間転写ベルト51上では、廃トナー、各感光ドラム61から所定の画像形成領域に重ねて転写されたカラーのトナー像の順に、2次転写対向ローラ55の位置へ搬送される。2次転写対向ローラ55にはマイナスバイアスが印加される。このため、プラスに帯電した廃トナーは、2次転写ニップ部において、2次転写対向ローラ55側に静電力を受けることで、中間転写ベルト51上に残留する。中間転写ベルト51上に残留した廃トナーは、その後、ベルトクリーナ58で回収される。一方で、マイナスに帯電したトナー像は、2次転写ニップ部において記録媒体Qへ2次転写される。ここで、図15に示す状態における、中間転写ベルト51の駆動トルクTは、次式に示すように、図14(a)に示す状態から変化しない。
T=Tb+μ2F×4 (5)
このように、かぶりトナー又は静電潜像を現像したトナー像がすべての1次転写ニップ部に到達しているために、感光ドラム61から中間転写ベルト51へ転移するトナーの作用によって、駆動トルクTは式(5)で表現され得る。
以上のように、本実施形態では、複数ページの画像を印刷する場合に、1ページ目の画像形成動作の開始後に、現像ローラ64が離間していることで感光ドラム上のかぶりトナーが到達していない1次転写ニップ部に廃トナーを供給する。これにより、1ページ目の画像形成中において、各1次転写ニップ部における感光ドラム61と中間転写ベルト51との間の摩擦を低減し、中間転写ベルト51の駆動トルクの変動を低減することができる。その結果、装置コストを増大させることなく中間転写ベルト51の周面の速度変動を低減するとともに、色ぞれの発生を低減することができる。
なお、本実施形態では、図14に示すように、中間転写ベルト51の周面の移動方向において、中間転写ベルト51上で廃トナーが供給される領域の後端と、かぶりトナーが感光ドラム61Yから転移する領域の先端とが、一致する場合を示した。しかしながら、本実施形態は、このような場合に限定されない。例えば、図19(a)に示すように、1ページ目の画像形成動作の開始後に、中間転写ベルト51上で廃トナーが供給される領域の後端部分と、かぶりトナーが感光ドラム61Yから転移する領域の先端部分とが重なっていてもよい。この場合、廃トナーが供給される領域は、中間転写ベルト51上で1ページ目の画像が形成される画像形成領域と重ならなければよい。即ち、中間転写ベルト51の周面の移動方向において、中間転写ベルト51上でかぶりトナーが転移する領域の先端から、画像形成領域の先端までの間で、かぶりトナーに重ねて廃トナーが供給される制御を行ってもよい。このような変形例においても、1ページ目の画像形成中における中間転写ベルト51の周面の速度変動を低減することができる。
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、複数ページの画像を印刷するジョブが入力された場合に、1ページ目の画像形成の際に起こり得る中間転写ベルト51の周面の速度変動を低減するための制御シーケンスについて説明してきた。しかしながら、中間転写ベルト51の周面の速度変動は、1ページ目の画像形成の際だけでなく、図11に示したように、最終ページの画像を形成する際にも感光ドラム61への現像ローラ64の当接及び離間状態に依存して起こり得る。そこで、第2の実施形態では、複数ページの画像を連続して形成する場合に、最終ページの画像形成において起こり得る中間転写ベルト51の周面の速度変動を低減するための制御シーケンスについて説明する。なお、以下では第1の実施形態と共通する部分については、簡略化のため説明を省略する。
以下では、図16を参照して、本実施形態に係る制御シーケンスについて説明する。画像形成装置1の構成は第1の実施形態と同様である。なお、第1の実施形態と同様、感光ドラム61及び中間転写ベルト51は、(感光ドラムの周面速度Vd<中間転写ベルトの周面速度Vb)の関係であるものとする。図17(a)に示すように、入力されたジョブにおける最終ページの画像形成の開始後、CPU121は、S201で、時間tgが経過したと判定すると、S202で、ベルトクリーナ58から中間転写ベルト51上へ廃トナーの供給を開始する。その後、CPU121は、S203で、時間th=Lc/Vc−Ld/Vdが経過したと判定すると、S204で、ステッピングモータ91を起動する。その後、CPU121は、S205で、時間tc=Ld/Vdが経過したと判定すると、S206で、高圧制御部14を制御して、1次転写ローラ52YへのバイアスをOFFにする。
次に、ベルトクリーナ58において回収された潤滑剤としての廃トナーの供給開始タイミングについて、詳しく説明する。感光ドラム61Y上でのトナー像の形成が終了すると、CPU121は、ステッピングモータ91を駆動し、現像ローラ64Yを感光ドラム61Yから離間する。ここで、感光ドラム61Y上で現像ローラ64Yが当接する位置と、感光ドラム61Yと1次転写ローラ52Yとの間の1次転写ニップ部までの距離をLd、感光ドラム61Yの周面速度をVdとする。この場合、現像ローラ64Yが感光ドラム61Yから離間された後、感光ドラム61Y上でかぶりトナーが発生していない部分が、感光ドラム61Yの回転に従って1次転写ニップ部へ到達するまでの時間は、Ld/Vdと表現できる。
一方で、中間転写ベルト51上において、ベルトクリーナ58の位置から、感光ドラム61Yと1次転写ローラ52Yとの間のニップ部までの距離をLc、中間転写ベルト51の周面速度をVbとする。この場合、ベルトクリーナ58から中間転写ベルト51への廃トナーの供給が開始された後、当該廃トナーがYについての1次転写ニップ部へ到達するまでの時間は、Lc/Vbと表現できる。従って、廃トナーの供給開始タイミングは、感光ドラム61Yからの現像ローラ64Yの離間が開始されるタイミングよりも、時間Lc/Vb−Ld/Vdだけ早いタイミングとする。即ち、ベルトクリーナ58からの廃トナーの供給が開始された後、時間Lc/Vb−Ld/Vdの経過したタイミングにおいて、現像ローラ64Yの離間が開始されるようにする。これにより、ベルトクリーナ58から供給された廃トナーが、Yの1次転写ニップ部に到達したタイミングで、中間転写ベルト51の周面の移動方向における、中間転写ベルト51上のかぶりトナーの後端と、潤滑剤としての廃トナーの先端とが一致する。この様子を図17(b)に示している。このときの中間転写ベルト51の駆動トルクTは、
T=Tb+μ2F×4 (5)
である。
次に、CPU121は、S207で、1次転写ローラ52YのバイアスをOFFにしてから、時間te=Lt/Vbが経過したと判定すると、S208で、高圧制御部14を制御して、1次転写ローラ52MのバイアスをOFFにする。また、CPU121は、更に時間te=Lt/Vbが経過したと判定すると、S210で、高圧制御部14を制御して、1次転写ローラ52MのバイアスをOFFにする。その後、CPU121は、S211で、1次転写ローラ52MのバイアスOFFから所定時間ti経過したと判定すると、S212で、廃トナーの供給を終了する。CPU121は、S213で、更に所定時間tjが経過したと判定すると、S214で、ステッピングモータ91を停止する。このとき、現像ローラ64Kは感光ドラム61Kから既に離間している。その後、CPU121は、S215で、ステッピングモータ91を停止してから時間tc=Ld/Vdが経過したと判定すると、S216で、高圧制御部14を制御して、1次転写ローラ52KのバイアスをOFFにする。
ここで、図18を参照して、ベルトクリーナ58からの廃トナーの供給、及び現像ローラ64の離間のタイミングについて更に説明する。本実施形態において、ベルトクリーナ58から中間転写ベルト51上への廃トナーの供給は、図18(a)に示すように、中間転写ベルト51上で距離3×Ltにわたる領域に廃トナーが供給されるように行われる。即ち、最終ページとして形成された感光ドラム61K上のトナー像の後端が、Kの1次転写ニップ部へ到達するタイミングにおいて、中間転写ベルト51上のYの1次転写ニップ部とKの1次転写ニップ部との間の領域に、廃トナーが存在するようにする。このとき、中間転写ベルト51の駆動トルクTは、
T=Tb+μ2F×4 (5)
となる。本実施形態では、上述の制御により、現像ローラ64が離間されることで感光ドラム61上に付着したトナーが到達しなくなった1次転写ニップ部に、最終ページの画像形成中は潤滑剤としての廃トナーが供給されるように、ベルトクリーナ58を制御する。具体的には、最下流側(K)の1次転写ニップ部において感光ドラム61Kからトナー像が転写されている間に、中間転写ベルト51上で、最上流側(Y)の1次転写ニップ部と当該最下流側の1次転写ニップ部との間の領域に、廃トナーが供給されればよい。これにより、最終ページの画像形成中の、中間転写ベルト51の駆動トルクTを式(5)の値に保つことができ、中間転写ベルト51の周面の速度変動を低減することができる。
中間転写ベルト51上への最終ページの画像形成が終了すると、画像形成装置1は、例えば、図18(b)に示すような状態となる。中間転写ベルト51上への画像形成の終了後であれば、中間転写ベルト51の駆動トルクTが変動しても問題がないため、K以外の1次転写ニップ部にはもはや廃トナーが供給されていない。この場合、廃トナーが供給されていない1次転写ニップ部の摩擦係数はμ2からμ1に変化するため、中間転写ベルト51の駆動トルクTは、
T=Tb+μ1F×3+μ2F (2)
となる。
最終的に、CPU121は、S217で、1次転写ローラ52KのバイアスOFFから時間tkが経過したと判定すると、S218で、メイン駆動モータ80を停止して、スタンバイ状態へと移行する。なお、時間tkは、1次転写ローラ52KのバイアスOFFから、中間転写ベルト51上に残留する全ての廃トナーがベルトクリーナ58に回収されるまでの時間に相当する。
以上のように、本実施形態では、複数ページの画像を印刷する場合に、最終ページの画像形成動作の開始後に、現像ローラ64が感光ドラム61から離間することで感光ドラム上のかぶりトナーが到達しなくなった1次転写ニップ部に廃トナーを供給する。これにより、最終ページの画像形成中において、各1次転写ニップ部における感光ドラム61と中間転写ベルト51との間の摩擦を低減し、中間転写ベルト51の駆動トルクの変動を低減することができる。その結果、装置コストを増大させることなく中間転写ベルト51の周面の速度変動を低減するとともに、色ぞれの発生を低減することができる。
なお、本実施形態では、図17及び図18に示すように、中間転写ベルト51の周面の移動方向において、中間転写ベルト51上で廃トナーが供給される領域の先端と、かぶりトナーが感光ドラム61Yから転移する領域の後端とが、一致する場合を示した。しかしながら、本実施形態は、このような場合に限定されない。例えば、図19(b)に示すように、最終ページの画像形成動作の開始後に、中間転写ベルト51上で廃トナーが供給される領域の先端部分と、かぶりトナーが感光ドラム61Yから転移する領域の後端部分とが重なっていてもよい。この場合、廃トナーが供給される領域は、中間転写ベルト51上で最終ページの画像が形成される画像形成領域と重ならなければよい。即ち、中間転写ベルト51の周面の移動方向において、画像形成領域の後端から、かぶりトナーが転移する領域の後端までの間で、かぶりトナーに重ねて廃トナーが供給される制御を行ってもよい。このような変形例においても、最終ページの画像形成中における中間転写ベルト51の周面の速度変動を低減することができる。
[第3の実施形態]
第1及び第2の実施形態では、感光ドラム61と中間転写ベルト51との間の摩擦を低減するための潤滑剤として、廃トナーを用いる場合について説明してきた。しかしながら、潤滑剤は、廃トナーのみに限定されず、他の潤滑剤が使用されてもよい。本実施形態では、潤滑剤として廃トナー以外の潤滑剤を使用する場合について説明する。なお、第1及び第2の実施形態と共通する部分については、簡略化のため、説明を省略する。
図20は、潤滑剤として廃トナー以外の潤滑剤を使用する場合の中間転写ベルト51周辺の構成を示している。第1及び第2の実施形態におけるベルトクリーナ58に代えて、潤滑剤供給器71が、中間転写ベルト51の周面の移動方向に沿って、感光ドラム61Yについての1次転写ニップ部よりも距離Lcだけ上流側の位置に配置されている。また、中間転写ベルト51を挟んで、テンションローラ54と対向した位置には、クリーニングブレード72が設置されている。クリーニングブレード72は、記録材へのトナー像の2次転写後に中間転写ベルト51上に残留した廃トナーを清掃する。クリーニングブレード72によりかき集められた廃トナーは、廃トナー回収容器73内に回収される。
潤滑剤供給器71には、例えば、セントラル硝子株式会社製のセフボンなどに代表される乾式潤滑剤が格納される。本実施形態では、第1及び第2の実施形態で用いた廃トナーの代わりに、潤滑剤供給器71に格納された潤滑剤が用いられればよい。複数ページの画像を印刷するジョブが入力された場合における、1ページ目及び最終ページ目の画像形成における制御シーケンスについては、これまで説明した実施形態と同様である。
以上のように、感光ドラム61と中間転写ベルト51との間の摩擦を低減するための潤滑剤として、廃トナー以外の潤滑剤を使用したとしても、第1及び第2と同様、中間転写ベルト51の周面速度の変動を低減し、色ずれの発生を低減することができる。