JP5646876B2 - 回転陽極x線管およびそれを備えたx線管装置 - Google Patents

回転陽極x線管およびそれを備えたx線管装置 Download PDF

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Description

本発明は、回転軸で支持したターゲット(陽極)を高速回転させながら電子線を当ててX線を発生させる構造の回転陽極X線管に係り、特にターゲットとそれを支持する回転軸との接合強度を向上した回転陽極X線管に関する。
回転陽極X線管は、内部を真空に維持する外囲器内に、陰極と、陽極であるターゲットを固定した回転軸とを対向して配置し、陰極と陽極との間に高電圧を印加し、陰極から発生する電子線を回転するターゲットに衝突させることによって、ターゲットから発生するX線を外囲器に設けた窓から外部に取り出すようにしている。回転軸を回転させるために、外囲器の陽極側の周囲にはロータが設けられている。このような回転陽極X線管は、例えば、X線CT装置などのX線装置のX線源として用いられる。
近年、CT装置用の出力を増強するという要請に伴い、より多くの電子線を照射できるようにX線管のターゲットサイズが大型化している。また電子線の照射によるターゲットの過熱を防止するため、回転数も増大している。具体的には、重量2.5kg程度のターゲットを最大10000rpm近い回転数で回転することが求められている。
ターゲットは通常ナット等により回転軸に固定されており、回転軸にはターゲット裏面の受け面となるフランジが一体的に形成されている。ターゲットと回転軸との固定を強固にするために、このフランジ部分をターゲットにろう付けにより接合している(例えば、特許文献1)。しかし、上述のように大型化・大重量化したターゲットを高速で回転させる場合、その起動時のトルクも非常に大きくなるため、ろう付けでは、起動時のトルクに耐えることができず、ターゲットと回転軸との固定部分がゆるみ、回転が不安定になり十分な耐久性が得られないという問題があった。
ろう付けに代わる接合方法として、拡散接合法が採用されている。拡散接合法は、ターゲットと回転軸との間にインサート材を配置し、加圧によってインサート材を構成する金属原子を両者の接合領域に拡散させて接合する方法であり、ろう付けよりも高い接合強度が実現できる。特許文献2には、この拡散接合法を採用するとともに、回転軸のフランジとターゲットの間にピンを挿入してさらに接合強度を高める手法が提案さている。
特許第2697381号公報 特開2002−175768号公報
拡散接合法によって二つの材料を接合する場合、材料間には大きな圧力と熱が印加される。この拡散接合法を回転陽極X線管の回転軸とターゲットとの接合に適用する場合、回転軸と一体に形成されたフランジとターゲットとの間に加圧した後、ターゲットに電子線を当てて加熱して拡散接合を実現している。
この場合、フランジ部分の厚みが厚い場合、例えば5mm以上の場合には、フランジのターゲットとの接触面で圧力に耐える面圧を保つことができ、強固な拡散結合が実現できる。しかしフランジ部分の厚みを厚くした場合には、ターゲットの高速回転時に別の問題を生じる。
すなわち、ターゲットが高速で回転するとき、その遠心力によりターゲットを上向きに変形する力が発生し、ターゲットをフランジとの接合を引き離す方向に作用する。この力は、ターゲットの径が大きいほど、また回転数が高いほど大きく、フランジの剛性が高い場合には、ターゲットとフランジの間にわずかながら隙間を発生させる。その結果、X線の発生が不安定になるとともに、X線管自体の寿命が短縮される。
これに対し、フランジの厚みを薄くした場合には(例えば3mm程度)、フランジの剛性が低くなり、ターゲットの上向きの変形にフランジが追従するので、ターゲットとフランジとの間の接合が保たれ、ターゲット回転時の問題はなくなる。しかし、この場合には、上述した拡散結合の加圧時に、あるいは加圧後に電子ビームによりターゲットを加熱することによってターゲットが下向きに変形した場合、フランジはターゲットとの接触面で面圧を受けることができずに、接合不良を起こすという問題を生じる。
本発明は、ターゲットとフランジとを拡散接合してなる回転陽極X線管において、その製造時から使用時(高速回転時)を通して、ターゲットとフランジとの強固な結合を維持すること、これにより安定したX線を発生することができ且つ長寿命のX線管を提供することを目的とする。
本発明のX線管は、ターゲットを支持する支持軸に形成されたフランジ部に、ターゲットとの接合面が受ける応力を低減する応力低減手段を設けることにより、上記課題を解決するものである。応力低減手段は、例えば、フランジ部の少なくとも一部に設けられた柔構造あるいは接合面の面積を少なくするためのスリットである。
すなわち、本発明のX線管は、陰極部と、ターゲットおよび当該ターゲットを支持する支持軸を備えた陽極部と、前記陰極部および陽極部を収納する外囲器と、を備え、前記支持軸は、前記ターゲットの裏面との接合面を有するフランジ部が一体に形成されており、前記フランジ部は、前記陽極の回転時に前記接合面が受ける応力を低減する応力低減手段を備えたものである。
前記応力低減手段は、例えば、前記接合面と支持軸本体との間をつなぐ柔構造であり、前記柔構造は前記応力により変形可能である。
本発明のX線管の一つの態様では、前記フランジ部は、前記接合面を備えた円筒部と、前記円筒部と支持軸本体とをつなぐ円盤部とからなり、前記円盤部は、厚みが前記円筒部の厚みより薄く、前記柔構造を構成する。
また本発明のX線管の別の態様では、前記フランジ部には、前記ターゲットと前記接合面との接合時に加わる圧力によって生じる前記フランジ部のたわみを補償する逆向きの傾斜が形成されている。
本発明のさらに別の態様では、前記応力低減手段は、前記フランジの前記接合面を周方向に分割するスリットである。
本発明のX線管装置は、X線管と、内部に絶縁油が充填され、前記X線管を収納する容器と、前記X線管の陰極と陽極とに電圧を印加する電圧発生装置とを備えたX線管装置であって、前記X線管として、上述した本発明のX線管を備えたものである。
本発明によれば、ターゲットがフランジに強固に結合され、大型化したターゲットを搭載し高速回転するX線管であっても、作動時に結合が維持され、安定したX線の発生が可能である長寿命のX線管を提供することができる。
本発明が適用される回転陽極X線管を備えたX線管装置の概略構成を示すブロック図 第1の実施形態のX線管におけるターゲットとターゲット支持軸(シャフト)の構造を示す部分断面図 シャフトの要部を示す図で、(a)は上面図、(b)は側断面図である。 (a)〜(d)は、X線管におけるターゲットとシャフトとの接合時およびX線管動作時において、ターゲットとシャフトとの接合部にかかる応力を説明する図。 第1の実施の形態のX線管の変形例を示す部分側断面図 第2の実施形態のX線管におけるシャフトの要部を示す図で、(a)はシャフト先端の側断面図、(b)はターゲットが結合される前の状態を示す側断面図である。 第2の実施形態におけるフランジ設計を説明する図 第3の実施形態のX線管におけるターゲット支持軸(シャフト)の構造を示す図で、(a)は上面図、(b)は側断面図を示す。
以下、本発明の回転陽極X線管の実施の形態を説明する。
図1は、本発明が適用される回転陽極X線管を備えたX線管装置の概略構成を示すブロック図である。図示するように、X線管装置10は、絶縁油が充填された略円筒状のX線管容器(以下、管容器という)1の内部に、X線管2を固定した構造を有し、X線管2の陰極側の端部と陽極側の端部が、それぞれ固定部材8によって管容器1の内部に固定されている。また図示していないが、管容器1の円筒部の側面の中央部にはX線を外部に取り出すためのX線放射口が、両端に近い部分にはX線管の両極に高電圧を導入するためのケーブルレセプタクル取付部や絶縁油を循環するための絶縁油出入口が設けられている。
回転陽極X線管2は、電子線を発生する陰極3と、陰極3からの電子線が衝突してX線を発生するターゲット4を有する陽極5と、陰極3と陽極5とを絶縁支持し、真空気密に内包する外囲器6などから構成される。
陰極3は、電子線を放射するフィラメント32や電子線を集束する集束電極や集束電極を支持する集束電極支持体や集束電極支持体を絶縁支持するステム34などから構成される。ステム34は大部分がガラスやセラミックなどの絶縁物から成り、その絶縁物内に陰極3に高電圧やフィラメント加熱電圧を供給するためのリード線が真空気密に封入されている。
陽極5は、ターゲット4と、ターゲットを支持するターゲット支持軸52(以下、シャフトという)と、シャフト52が固定された回転軸54と、回転軸54を回転自在に支持する軸受56と、軸受56を支持する固定部58などから構成される。外囲器6外の、回転軸54の外周には、回転軸54を回転させるためのステータコイル7が配置される。シャフト52は、X線管作動時に発生する高熱に耐えるモリブデン(Mo)、チタニウム−ジルコニウム−モリブデン(TZM)等のモリブデン合金などの高融点金属からなり、一端側にターゲット4が固定され、他端には円筒状のロータ59が一体的に固定されている。ロータ59は一端が開放された円筒状の形状を有し、開放していない底面の内側に回転軸54が固定され、これによりロータ59の円筒内に、回転軸54および軸受56を収納する構造になっている。このような構造とすることにより、ターゲット4で発生する熱が、シャフト52及び回転軸54を介して固定部58に伝達されるのを防止している。
ターゲット4は、タングステン(W)またはその合金からなり、円盤状の形状を有し、その中央にはシャフト52が貫通する貫通孔が形成されている。またターゲット4の裏面(陰極3からの電子線が衝突する面と反対側の面)には、熱輻射を良くするためにグラファイト42などが付着されている。前述したシャフト52の先端は、ボルト状に加工されており、ターゲット4の貫通孔から突出したボルト状の部分をナット44で固定することにより、ターゲット4をシャフト52に固定することができる。
シャフト52には、シャフト52をターゲット4の貫通孔に挿入したときに、ターゲット裏面の受け面となるフランジ部51が形成されており、ターゲット4との接触面となるフランジ部51上端面とターゲット4との間は、拡散接合により接合されている。拡散接合とは、ターゲット4とフランジ部51との接合部に、Pd−Co(パラジウム−コバルト)等のインサート材を挿入し、約50MPa程度の圧力で加圧するとともに加熱して、インサート材を構成する金属原子を、ターゲット4およびシャフト52を構成する金属材料の結晶にそれぞれ拡散せしめ、両者を一体化する接合であり、加圧後の加熱は、例えば、ターゲット4に電子線を照射して加熱することにより行われる。
上述したような構成におけるX線管装置は、ステータコイル7が付勢されると回転磁界が発生して、陽極5のロータ59(回転軸54)とそれにシャフト52を介して固定されたターゲット4が高速回転する。同時に、X線管2の陰極3と回転陽極5との間に高電圧のX線管電圧が印加され、陰極3のフィラメント32にフィラメント加熱電圧が印加されることにより、陰極3から電子線が放出され、これが回転陽極5のターゲット4に衝突してX線が放射される。
本発明のX線管は、ターゲット4を支持するフランジ部51の構造に特徴があり、上述したターゲット4との拡散接合時およびX線管の動作時において、フランジ部51とターゲット4との密着性を良好に保つことができる構造を有している。以下、その具体的な態様を説明する。
<第1の実施形態>
図2および図3に、第1の実施形態のX線管におけるターゲットとシャフトの構造を示す。図2は、シャフト52の回転中心軸(以下、中心軸という)521を通る断面を示す図であり、本実施形態のシャフトは中心軸521を中心にして軸対称であるため、図2では中心軸521の左半分の断面図を示している。図3は、シャフト52の先端を示す図で、(a)は上面図、(b)はシャフト52の回転中心軸521を通る断面を示す図である。
図示するように、本実施形態のシャフト52は、中心軸521に沿って断熱用の穴が形成された軸本体522と、軸本体522に対して直交する方向に張り出したフランジ部51とからなり、軸本体522の先端部の外周には、ターゲット4を固定するためのナット44と係合するボルト部が形成されている。軸本体522およびフランジ部51は、同一の材料を加工することにより形成することができ、継ぎ目のない一体の部材である。
フランジ部51は、図3に示すように、軸本体522と中心軸を共通とする円筒部511と、円筒部511と軸本体522とを結ぶ円盤部512とから構成され、円筒部511の端面がターゲット4をシャフト52に固定するときの受け面(接合面)となり、ターゲット4との間にインサート材515が挿入される。フランジをこのような円筒部511と円盤部512とで構成することで、ターゲット4とフランジとの強固な結合が維持できる。以下、この理由を、図面を参照して詳述する。
図4(a)、(b)は、それぞれ、比較的厚みの厚い剛構造のフランジF1を有するシャフト52について、接合時の圧力が印加された状態(a)と、ターゲット回転時にターゲット4が遠心力により変形し応力が生じた状態(b)とを示す。また図4(c)、(d)は、それぞれ、比較的厚みの薄い柔構造のフランジF2を有するシャフト52について、接合時の加圧が印加された状態(c)と、ターゲット回転時にターゲット4が遠心力により変形し応力が生じた状態(d)とを示す。
拡散接合に際し、ナット44を締結して加圧し、フランジに大きな圧力がかかった場合、厚みが厚い(例えば、フランジ径34mmに対し、厚み11mm程度の)剛構造のフランジF1の場合には、図4(a)に示すように、フランジの受け面はその圧力に耐え、受け面とターゲットとが強固に接合される。一方、厚みが薄い(例えば、フランジ径34mmに対し、厚み3mm程度の)柔構造のフランジF2の場合には、図4(c)中、矢印で示すように、圧力によってフランジが変形し、受け面はターゲットからの面圧を逃がしてしまい、受け面とターゲットとの接合が不良になる。
またターゲットが高速回転すると、ターゲットの外縁部には、図4(b)に矢印で示すように、上向きの力が発生し、ターゲットを変形させて接合面から引き剥がすような力が発生する。ここで厚みが薄い柔構造のフランジF2の場合には、図4(d)に示すように、ターゲットの変形に追従してフランジが変形するため、接合部が引き剥がされることなく、強固な結合が維持される。一方、厚みが厚い剛構造のフランジの場合には、図4(b)に示すように、上記引き剥がし応力に抗してフランジF1は変形しないため、力が大きくターゲットが変形した場合には、フランジとの接合が弱まり、最悪な場合、接合が維持できなくなる。
すなわち、フランジの構造を拡散接合時の圧力に耐える剛構造とした場合には、ターゲット回転時には接合部から剥離する可能性があり、フランジ構造をターゲット回転時のターゲット変形に追従して変形する柔構造とした場合には、拡散接合時の圧力に耐えることができず、面圧を逃がし、結合不良を招く。つまりフランジの厚みの調整のみでは、接合時と作動時の両方で結合を維持することは著しく困難である。
本発明者らの解析結果によれば、ターゲットとフランジ間の接合強度は200MPa程度(実験値)であり、ターゲット高速回転時にこのような結合強度を超える応力が働いた場合、フランジの厚みが4mmを超えるとターゲットとフランジとの間の接合が破壊される。また、ターゲットとフランジとの接合時に加圧によってターゲットと接合面との間に1μmを超える隙間が生じた場合、フランジの厚みが10mm未満では圧力を受けることができず、接合不良を生じる。
これに対し本実施形態では、一つのフランジ内に、ターゲットと接合するための剛構造である円筒部とターゲットの変形に追従する柔構造である円盤部とを備えることにより、拡散結合時(加圧、加熱時)にシャフトとターゲットとの強固な結合を実現でき、かつX線管作動時(高速回転時)に強固な結合を維持することができる。
上述した剛構造あるいは柔構造を実現するための円筒部511の厚み、高さ、円盤部512の径、厚み等の具体的な数値は、シャフト自体の大きさやターゲットの大きさ等により異なるが、円盤部512の厚みをta、円筒部511の高さ(円盤部512よりも上の部分の高さ)をtbとするとき、ta<tbとする。また円筒部511の内径すなわち円盤部512の径をd2、シャフトの径をd1とするとき、ta<(d2−d1)/2とすることが好ましい。一例として、軸本体の直径が14mmでフランジ全体の直径(円筒部の外径)が34mmのTZM製フランジにおいて、円筒部の厚み(円筒部の外径と内径との差)を3.5mm、円筒部の高さtbを5mm、円盤部の厚みtaを3mmとする。
本実施形態によれば、フランジ部を、加圧時の圧力を支える円筒状の部分を、柔構造を介してシャフト52に連結した構造とすることにより、拡散接合時にフランジのターゲット受面(接合面)が面圧を逃がすことなくターゲットの間に強固な接合が実現できるとともに、ターゲット回転時には柔構造を有していることにより接合を維持した状態で遠心力によるターゲットの変形に追従して変形し(たわみ)、引き剥がしの応力が結合部にかかるのを防止することができる。
なお図3には、円筒部511の下端が円盤部512により軸本体522につながっている実施例を示したが、円筒部511が軸本体522とつながる位置は、底面に限らず、円筒部511の軸方向の任意の位置とすることができる。例えば、図5に示すように、円筒部511の軸方向の中央の部分で軸本体522とつながる構造であってもよい。
<第2の実施形態>
本実施形態のX線管装置も、概略構成は図1に示したものと同様である。ただし本実施形態では、ターゲット支持軸であるシャフト52のフランジ部の形状が第1の実施形態と異なり、第1の実施形態の円筒部511に相当する剛構造を有しておらず且つターゲット4を結合する前の状態において、軸本体522の軸方向と直交する面に対し所定のテーパ角を持ってフランジ部が形成されている点が特徴である。
図6に、本実施形態のX線管のシャフト部分の側断面図を示す。図6(a)は、シャフト52にターゲットが接合される以前の状態を示している。(b)はターゲット4を取り付けた状態(接合前)を示している。図示するように、シャフト52は、軸本体522と円盤状のフランジ部53とがモリブデンあるいはモリブデン合金等の金属材料から一体に形成されたものであり、フランジ53にはターゲットとの接合面53aが設けられている。接合面53aは、フランジ部53の、外周に沿ったリング状の領域を鏡面加工したものであり、ターゲットとの間にインサート材が挿入される部分である。
フランジ部53の厚みは、フランジ部が固定されたターゲットとともに高速回転したときに、ターゲットに生じる変形に追従して変形可能な厚み、例えば、第1の実施形態の円盤部の厚みと同等の厚みに設定されている。またフランジ部53は、フランジ部53の接合面53aとターゲット4とを拡散接合する際に、加圧によってフランジ部53がたわむ量を補償するために、当該たわみ量に対応する傾斜が形成されている。傾斜とは、軸本体522に直交する面に対し接合面が持つ角度を意味する。なお図6では、わかりやすくするために、傾斜θを大きく描写しているが、実際には1°未満の微小な傾斜である。傾斜θは、圧力がかかったときにフランジ部53に発生するたわみ量νから計算することができる。
一般に、図7に示すような片持ち構造の板材70の端部にせん断力Wがかかった場合に、固定されない板材の端部におけるたわみνmax、および傾斜θ(θmax)は、それぞれ式(1)、(2)で表わされる。
(数1)
νmax=WL3/3EI (1)
θmax=−WL2/2EI (2)
式中、Lは板材の長さ(固定部から端部までの距離)、Eは板材のヤング率である。Iは断面2次モーメントで、板材の幅wと厚みtから次式(3)により求められる。
(数2)
I=(1/12)×w×t3 (3)
円盤状のフランジの場合にも、その円周に沿って均等にせん断力がかかった場合には、上記片持ち構造の場合と同様に考えることが可能であり、フランジの軸本体522の中心から接合面までの長さをd2/2とすると、円盤の場合の断面2次モーメントは、式(3)から式(4)のように推定できる。
(数3)
I=(1/12)×π×d2×t3 (4)
拡散接合時に接合面にかかる力Wは、接合に必要な圧力Pと接合面積Sとの積で求められるので、圧力P、材料のヤング率E、フランジの厚みt、軸本体522から接合面までの長さLおよび接合面積Sが決まれば、式(1)〜(4)から、圧力Pを受けた時のフランジ53のたわみ量およびフランジ53の傾斜を求めることが可能である。
一例として、各部のサイズが表1に示す値を持つフランジ付きシャフトの場合を説明する。シャフトの材料は、典型的な材料であるモリブデン合金(TZM)(ヤング率E=約300000MPa)とする。接合に必要な圧力Pは通常50MPa程度であり、表1のサイズの場合、フランジの接合面積は335mm2(=π×{(フランジ半径d3/2)2−(接合部までの半径d2/2)2})となるので、フランジ端部にかかるせん断力は16750N(=50×335)となる。
Figure 0005646876
これより、W=16750N、E=300000MPa、t=3mm、L=6.5mm、S=335mm2を用いて、式(1)〜(4)から求められるフランジのたわみ量νは、フランジ端部において0.022mm、傾斜θは0.354°となる。従って、テーパ角度0.354°の上向きの傾斜を持たせたフランジとすることにより、ターゲットを加圧接合したときにフランジが面圧を受けることができ、強固な接合が可能となる。
またX線管の作動時にターゲットが高速回転した場合には、フランジはターゲットの変形に追従する柔構造を有しているので、ターゲットが変形しても、引き剥がしの応力が結合部にかかるのを防止することができる。
例えば、遠心力によってターゲットが持ち上がる角度をjとすると、接合面外周部での移動量νは、式(5)で表わされる。
(数4)
ν=(d3/2)×tan(j) (5)
一方、フランジ部をν移動させるのに必要な力W0は、次式(6)より求められ、またフランジ外周部に発生する最大応力σmaxは式(7)で与えられる。
(数5)
W0=3EIν/L’3 (6)
(式中、L’=(d3−d1)÷2)
σmax=α×W0/S (7)
(式中、αは応力拡大係数:TZMの場合133)
仮に、ターゲットの変形角度jを0.003°(ターゲットを9600rpmで回転させたときの変形角度に相当)とすると、表1の例で、式(5)〜(7)から最大応力σmaxは60.8MPaとなり、接合強度(実験値=200MPa)より小さく、接合が維持されることがわかる。
本実施形態によれば、フランジ部を比較的厚みの薄い柔構造とするとともに、ターゲットを接合しない状態における接合面が、シャフトに直交する面に対し傾斜するようにテーパ角を持たせたことにより、ターゲットとシャフト(フランジ)とが強固に接合された長寿命のX線管を提供することができる。
<第3の実施形態>
本実施形態のX線管装置も、概略構成は図1に示したものと同様である。ただし本実施形態では、ターゲット支持軸であるシャフト52のフランジ部の形状が第1の実施形態と異なり、全体として剛構造で構成されたフランジ部に応力低減手段として半径方向のスリット551を設けた点が特徴である。
図8に、本実施形態のX線管のシャフト部分を示す。(a)は上面図、(b)は側面図である。図示するように、本実施形態のX線管のシャフトは、比較的厚い(例えばフランジ径34mmに対し、厚み5mm以上)フランジ55が形成されており、フランジ55はスリット551によって周方向に8つに分割され、個々の要素は、軸と直交する方向の断面形状が扇状である。フランジの分割された各要素には、ターゲットとの接合面55aが設けられている。ターゲットがこの接合面55aにインサート材を介して接合されることは、上述した第1および第2の実施形態と同様である。
本実施形態のX線管においては、シャフト52のフランジ部55にターゲット4を接合する場合には、フランジ部自体は厚みの厚い剛構造となっているので、加圧時に圧力がかかってもフランジ部はたわむことなく強固な接合をはかることができる。一方、X線管作動時には、スリットが存在することにより、フランジとターゲットとの接合面にかかる応力をスリット側に逃がすことができ、接合面にかかる応力を低減することができる。これにより、例えば、図4(b)に示すような剛構造のフランジに比べ、接合面からのターゲットの剥離を防止し長寿命化を図ることができる。
なお図8では、8つのスリットが設けられている場合を示したが、スリットの数は特に限定されず、8つより多くても、少なくてもよく、同様の効果を得ることができる。
本発明によれば、ターゲットとそれを支持するシャフトとの結合が強固であり、X線の安定した発生が可能で長寿命のX線管およびそれを用いたX線管装置を提供することができる。本発明のX線管装置は、X線管をX線源として用いる種々の装置に適用することができ、特にX線源自体を回転するX線CT装置等において安定したX線出力を維持することができ、良好な画像を提供することができる。
10・・・X線管装置、2・・・X線管、3・・・陰極、4・・・ターゲット、5・・・陽極、6・・・外囲器、7・・・ステータコイル、51、53、55・・・フランジ部、52・・・シャフト(ターゲット支持軸)、58・・・固定部。

Claims (4)

  1. 陰極部と、ターゲットおよび当該ターゲットを支持する支持軸を備えた陽極部と、前記陰極部および陽極部を収納する外囲器と、を備えたX線管において、
    前記支持軸は、前記ターゲットの裏面との接合面を有するフランジ部が一体に形成されており、前記フランジ部は、前記接合面を備えた円筒部と、前記円筒部と支持軸本体とをつなぐ円盤部とからなり、前記円盤部の厚みが前記円筒部の厚みより薄く、前記接合面と支持軸本体との間をつなぐ柔構造を構成し、当該柔構造は、前記陽極の回転時に前記接合面が受ける応力を低減する応力低減手段であって、前記接合面が受ける応力により変形可能であることを特徴とするX線管。
  2. 陰極部と、ターゲットおよび当該ターゲットを支持する支持軸を備えた陽極部と、前記陰極部および陽極部を収納する外囲器と、を備えたX線管において、
    前記支持軸は、前記ターゲットの裏面との接合面を有するフランジ部が一体に形成されており、前記フランジ部は、前記接合面を備えた円筒部と、前記円筒部と支持軸本体とをつなぐ円盤部とからなり、前記円盤部の厚みが前記円筒部の厚みより薄く、前記接合面と支持軸本体との間をつなぐ柔構造を構成し、当該柔構造は、前記陽極の回転時に前記接合面が受ける応力を低減する応力低減手段であって、前記接合面が受ける応力により変形可能であり、且つ
    前記フランジ部は、前記ターゲットと前記接合面との接合時に加わる圧力によって生じる前記フランジ部のたわみを補償する逆向きの傾斜が形成されていることを特徴とするX線管。
  3. 陰極部と、ターゲットおよび当該ターゲットを支持する支持軸を備えた陽極部と、前記陰極部および陽極部を収納する外囲器と、を備えたX線管において、
    前記支持軸は、前記ターゲットの裏面との接合面を有するフランジ部が一体に形成されており、前記フランジ部は、前記接合面を備えた円筒部と、前記円筒部と支持軸本体とをつなぐ円盤部とからなり、前記円盤部の厚みが前記円筒部の厚みより薄いことを特徴とするX線管。
  4. X線管と、内部に絶縁油が充填され、前記X線管を収納する容器と、前記X線管の陰極と陽極とに電圧を印加する電圧発生装置とを備えたX線管装置であって、前記X線管として、請求項1ないし3いずれか1項記載のX線管を備えたことを特徴とするX線管装置。
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