既述したように、種々の金融取引契約が存在し、契約で取決められる項目の内容も多岐にわたる。契約の締結から決済の実行までの業務は、一般的には契約系(法務系)業務、精算管理系業務、決済業務に分けられる。契約系業務は、契約の当事者、取引対象、契約期間等の契約条件を確認する業務である。精算管理系業務は、決済を実行するための決済金額の算定や決済金額の承認等を行う業務である。決済業務は、決済用の資金管理や、実際に決済を実行する等の業務である。
このような決済実行のための業務内容は、金融機関、金融機関内の組織、管理担当者、さらには契約の種類によって異なり、標準化が困難であり、その結果、情報システムによる業務支援も十分にはなされていなかった。このため、種々の契約により定められた将来の決済を実行するための多様な業務が、現実には属人的に管理され、また手作業で管理・実行されており、オペレーションリスクが存在した。
また、契約の項目の内容が多岐にわたるため、様々な契約案件を管理するために必要な情報を情報システムに登録するための項目設定は困難であった。このため、金融機関等における従来の契約管理業務では、契約書の書類をバインダーに綴じて保管したり、契約書の文書全体をそのままデータベースに格納したりすることが多かった。すなわち、契約案件に関する情報の管理を、情報システムにより効果的に支援できているとは言えない状況であった。
すなわち、契約書そのものを情報システムに記憶させれば同一案件についての情報を複数人間で共有することはできるが、各担当者が必要とする情報のみを情報システムから抽出することはできない。例えば、決済実行業務を行う担当者の場合、契約当事者や契約日、契約対象といった情報は不要である一方、決済を実行するための決済金額の算定やその承認が終了しているか等の情報は必要であるが、前者を除外しつつ後者だけ取り出すことは困難であった。したがって、従来の仕組みでは、契約に関する管理業務を属人的かつ手作業で行わざるを得ず、そのことに起因するオペレーションリスクが存在し、また担当者の業務負担も大きかった。
そこで実施の形態では、店頭デリバティブ取引契約などの金融取引契約にもとづく決済の実行の効率的な管理、例えば効率的な契約管理や資金管理を実現する情報管理システムを提案する。まず、実施の形態の情報管理システムについて、その第1の特徴を説明する。
本発明者は、店頭取引されるOTC(Over The Counter、店頭)デリバティブや仕組債等、複雑な金融取引契約や有価証券の配当決済といった契約書にもとづかない取決めであっても、取決めの内容を基本情報、キャッシュフロー情報(以下、「CF情報」とも呼ぶ。)、イベント情報の3つの要素に分類して整理できることに想到した。言い換えれば、本発明者は、将来の決済についての取決めの内容を、基本情報、CF情報、イベント情報の3つの共通の基準で整理することで多様な取決めをICTにより標準的に記憶させることができ、決済を実行するための業務を効果的に支援することができると考えた。
基本情報は、取決めの主体と客体および取決め期間、契約であれば契約の終了と開始に関する項目の情報であり、例えば取引対象、取引当事者、契約日、発効日、契約満了日、解約条件等を含む。CF情報は、取決めで定められた決済日に決済を実行するために必要な情報であり、例えば決済日、決済金額の支払元と支払先、決済金額を算出するための条件式、決済金額振込口座の情報、決済通貨等を含む。ここで、決済日とは財の移動を実行する移動日であり、決済とは財を移動させるための移動量の確定等の移動実行に必要な手続きを済ませ財の移動を完了させること、決済金額とは移動させる財の移動量のことである。すなわち、CF情報とは、取り決めが含む情報のうち、財の移動日に財の移動量を確定して財の移動を完了させる条件に関する項目の情報である。イベント情報は、基本情報またはCF情報の少なくとも一方に影響しうる付加的な条件に関する項目の情報であり、例えばノックイン価格、参照インデックス等を含む。
実施の形態のシステムは、複雑な契約内容を基本情報と、CF情報と、イベント情報に分解し、標準化されたデータ構造にて管理する。これにより、少量多品種の金融取引の契約管理・期日管理の一元化を可能にし、業務効率化による扱い件数の増加を支援する。
また金融取引契約に伴い、契約条件の確認作業等の契約系(法務系)業務、契約で定められた決済金額を確定して決済を実行する条件を揃える精算管理系業務、決済期日での決済を実行するための決済系業務等、多様な契約管理業務・期日管理業務が発生する。しかし従来のシステムは、多様な形態の取決めを標準的な形式で情報システムに記憶させ、管理させることが困難であり、そのため、多様な取決めのそれぞれについて発生する多様な業務を一元的に支援することは困難であった。
また従来のシステムでは、1件の契約案件情報をその案件に関する複数の業務に分解することが困難であった。すなわち従来は、1件の契約から発生する複数の業務について、それぞれの業務に必要な情報を抽出・加工して各業務処理を効果的に支援する情報を作成することは困難であった。例えば、1つの契約についてその情報全体は取得できるとしても、その契約に対する法務系業務、精算管理系業務、決済系業務のそれぞれに必要なだけの情報を取得することは困難であった。
実施の形態のシステムは、複数の多様な契約情報の登録を一括して受け付け、各契約の情報を標準的なデータ構造により整理して保管する。そして、各契約の履行に伴い発生する契約系、精算管理系、決済系の各業務を支援するための情報を抽出し、必要に応じて算出する等の加工をして業務別に表示する。これにより、複数の契約情報を同一システムに登録し、契約系業務・精算管理系業務・決済系業務等、複数種類の業務に分けて、各契約について必要な業務の遂行を支援できる。
次に、実施の形態の情報管理システムについて、その第2の特徴を図1を参照して説明する。図1は実施の形態の情報管理システムの概要を示す。情報管理システム10は、将来時点における金銭または物品の移動を定めた種々の取決めに関する財の移動を示すフロー情報を一元的に管理する。各種取決めは、様々な金融取引契約・物品取引契約を含む。金銭は現金・貨幣・各国の通貨を含み、電子データ(電子マネー等)含む。物品は現物・実物を含み、小切手や手形、株券等の金融商品を含む。金銭または物品に対する権利とは、売掛債権、買掛債権、仕組債、オプション取引等の各種債権・債務を含む。このように、将来時点における財の移動を定めた取決めであれば情報管理システム10の管理対象となり得るが、以下では説明の簡明化のために、管理対象の取決めを金融取引契約とし、移動対象の客体を金銭として説明する。
情報管理システム10は、デリバティブ契約、仕組債契約をはじめ、株式売買契約、先物取引契約等を含む多種多様な金融取引契約が定める将来時点における金銭の移動を示すキャッシュフロー情報を一元的に管理する。言い換えれば、キャッシュフローに分解できる取決めであれば、情報管理システム10による管理の対象となる。例えば、図1には不図示だが、会社から社員への給与支払も金銭の移動が発生するものであるため、情報管理システム10による管理が可能である。
実施の形態の情報管理システム10は、デリバティブ契約・仕組債契約については、その契約書に記載された基本情報、イベント情報、CF情報のそれぞれを管理する。その一方、他の種類の金融取引契約についてはCF情報、特に後述するようにキャッシュフロー明細を管理することとする。変形例として、デリバティブ契約・仕組債契約以外の金融取引契約についても基本情報およびイベント情報を含めて管理してもよい。
情報管理システム10は、複数種類の金融取引契約に共通する基準(以下「共通管理基準」とも呼ぶ。)、例えば精算日・利率日・決済承認有無等にもとづいて、複数種類の金融取引契約のCF情報をまとめて示す管理画面を提供する。また、複数種類の金融取引契約のCF情報について、複数の共通管理基準にもとづく複数の管理画面を集約した画面であり、複数の共通管理基準による契約やキャッシュフローの抽出状況をまとめて示すダッシュボード画面を提供する。
図2は、実施の形態の情報管理システム10の構成を示す。情報管理システム10は、決済の実行を支援する決済支援システムと言え、将来の決済を定めた契約を管理する契約管理システムとも言える。情報管理システム10は、企業の資金繰り(キャッシュフロー)を管理するキャッシュフロー管理システムとも言える。情報管理システム10は、例えば銀行や証券会社等の金融機関に構築された情報処理システムである。
情報管理システム10は、情報管理サーバ12と管理業務端末14を備える。情報管理システム10は、LAN・WAN・インターネット等を含む通信網18を介して契約情報登録端末16、外部システム17、CF情報登録端末19と接続される。契約情報登録端末16は、金融機関の担当者や顧客が契約情報を入力するPC等の情報端末である。
管理業務端末14は、種々の金融取引契約に関してそれらを管理する業務を遂行すべき担当者により操作されるPC等の情報端末である。具体的には、契約条件の確認や、契約にもとづく決済の承認・実行といった契約案件に関わる業務を管理・実行するための端末である。管理業務端末14は、管理業務端末14a、管理業務端末14b、管理業務端末14cを含む。例えば、管理業務端末14aは契約系(法務系)業務担当者の端末であり、管理業務端末14bは精算管理系業務担当者の端末であり、管理業務端末14cは決済系業務担当者の端末でもよい。
外部システム17は、CF情報を発生させる外部のシステムであって例えば金融機関における勘定処理・決済処理を実行する金融取引の基幹系システムである。実施の形態では、外部システム17は、図1の株式売買契約・債券売買契約・オプション契約・先物取引契約を管理し、各契約が定めるCF情報を情報管理サーバ12に登録する。CF情報登録端末19は、金融機関の担当者により操作される端末であり、金融取引契約が定めるCF情報を、担当者の操作に応じて情報管理サーバ12に登録する。実施の形態では、CF情報登録端末19は、図1のローン契約が定めるCF情報を情報管理サーバ12へ登録する。
情報管理サーバ12は、図1に示した複数種類の金融取引契約の情報を一元管理し、決済の実行に関する業務を含む契約管理業務を支援するユーザインタフェースを管理業務端末14、契約情報登録端末16、CF情報登録端末19へ提供する。なお、図2の各装置の筐体数等、物理的な構成に制限はない。例えば、情報管理サーバ12は、通信網18を介して接続された複数のサーバ装置が連携することで実現されてもよい。
図3は、図2の情報管理サーバ12の機能構成を示すブロック図である。情報管理サーバ12は、通信部20と、制御部22と、データ保持部24を備える。通信部20は、所定の通信プロトコルにしたがって、通信網18を介して外部装置とデータを送受する。制御部22は、金融取引契約に関する業務を支援するための各種データ処理を実行する。データ保持部24は、各種データを記憶する記憶領域である。
本明細書の各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUやメモリをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
例えば、図5に関連して後述する制御部22の各機能ブロックに対応するプログラムモジュールを格納した記録媒体を介して、それらのプログラムモジュールが情報管理サーバ12のストレージにインストールされてもよい。そして、情報管理サーバ12のCPUが、それらのプログラムモジュールを適宜メインメモリへ読み出して実行することにより、制御部22の各機能ブロックの機能が発揮されてもよい。また、データ保持部24の各機能ブロックは、ストレージやメインメモリ等の記憶装置が所定もしくは外部から入力された電子データを記憶することにより実現されてよい。
データ保持部24は、契約情報保持部30と、マスタ情報保持部38と、ウィジェット情報保持部42と、ユーザ情報保持部44を含む。契約情報保持部30は、情報管理サーバ12に登録された複数の金融取引契約それぞれの内容を、基本情報とCF情報とイベント情報の3要素に分類して保持する。契約情報保持部30は、基本情報保持部32と、CF情報保持部34と、イベント情報保持部36を含む。
基本情報保持部32は、情報管理サーバ12に登録された契約情報の中の基本情報を保持する。言い換えれば、契約情報に含まれる複数の項目のうち基本情報に属する項目に対して設定された情報であり、例えば文字列や数値を保持する。
CF情報保持部34は、情報管理サーバ12に登録された契約情報の中のCF情報を保持する。言い換えれば、契約情報に含まれる複数の項目のうちCF情報に属する項目に対して設定された情報を保持する。またCF情報保持部34は、図2で示した複数種類の金融取引契約(デリバティブ、仕組債、・・・、先物取引、ローン等)のそれぞれで定められた将来時点で発生するキャッシュフローの明細情報を一括して蓄積する。
具体的にはCF情報保持部34は、CF情報により定められる将来時点での金銭の移動と、その移動量(金額)を示す情報であるCF明細46を保持する。CF情報保持部34は、利率等のキャッシュフロー決定条件が確定した、例えば、支払日や支払金額が確定したキャッシュフローの情報(CF確定明細)を保持する。CF情報保持部34はまた、利率等のキャッシュフロー決定条件が未確定、例えば、支払日や支払金額が未確定のキャッシュフローの情報も保持する。
図4は、CF情報保持部34が保持するキャッシュフロー明細(CF明細46)を示す。同図は、米国ドルと日本円とのスワップを行う1つのスワップ契約に関するCF明細46を示している。同図で示すように、CF明細46は、第1の契約当事者から第2の契約当事者へのキャッシュフロー(例えば図5のキャッシュフローA)と、第2の契約当事者から第1の契約当事者へのキャッシュフロー(例えば図5のキャッシュフローB)を含む。
また、1つの契約当たり1つ以上のキャッシュフローを含む。図4では、時系列に複数個のキャッシュフローを並べたキャッシュフローリスト118を示しており、このキャッシュフローリスト118では、契約の開始日から終了日までの間に、3ヶ月ごとに発生する金利支払のキャッシュフローを示している。CF明細46には、確定しているキャッシュフローであるCF確定明細についてCF番号00001、00002、00009のレコードが記録される。例えばCF番号0002は、利率日(利率確定日、Reset Date)を経過して金利が確定し、支払金額が確定した金利支払のキャッシュフローである。CF明細46は、未確定の状態で入力されたCF情報を保持し、未確定のCF明細が確定された場合、そのステータスが「確定」に変更される、またはその明細に「確定」を示すフラグが立てられる等することによりCF確定明細を含んでよい。あるいはCF情報保持部34にCF明細46と別に、CF確定明細のみを格納する記憶領域を設けてもよい。
図3に戻り、イベント情報保持部36は、情報管理サーバ12に登録された契約情報の中のイベント情報を保持する。言い換えれば、契約情報に含まれる複数の項目のうちイベント情報に属する項目に対して設定された情報を保持する。複数の契約案件にはそれぞれ、各契約を一意に特定するための識別符号が付与される。例えば、同一の契約に関する基本情報、CF情報、イベント情報には、同一の契約IDが含まれ、契約IDにより相互に対応づけられる。またキャッシュフローについては、キャッシュフローの1つ1つに識別符号(例えば図5のキャッシュフロー番号、CF No)がさらに付与される。
契約情報保持部30は、基本情報、CF情報、イベント情報のそれぞれについて、金融機関の担当者による承認がなされたか否かを示す情報を対応づけて保持する。例えば、基本情報保持部32、CF情報保持部34、イベント情報保持部36には、基本情報、CF情報、イベント情報のそれぞれに対応づけて、金融機関の契約系(法務系)業務担当者による承認がなされたか否かを示すフラグが格納される。またCF情報保持部34には、CF明細46として格納されたキャッシュフローそれぞれのレコードに対応づけて、金融機関の精算管理系業務担当者または決済系業務担当者による承認がなされたか否かを示すフラグが格納される。
なお、承認の有無を示す情報は、基本情報、CF情報、イベント情報そのものとは別個に保持されてもよい。例えば、契約情報のIDと、契約系(法務系)業務担当者による承認がなされたか否かを示すフラグを対応づけて保持するテーブルと、CF情報と、精算管理系業務担当者または決済系業務担当者による承認がなされたか否かを示すフラグとを対応づけて保持するテーブルとを別個に設けてもよいことはもちろんである。
マスタ情報保持部38は、複数の契約それぞれのキャッシュフローの金額を確定させるために参照される情報であるマスタ情報を保持する。マスタ情報は例えば、決済金額、言い換えれば、キャッシュフローの金額を算出するために参照する金利や、為替レート、各種の指標値(経済指標値)等のマーケット情報を含む。また、決済金額を算定する日付が定められている場合に必要となるワールドカレンダー情報、具体的には、世界の各市場の現在日時等を示す日時情報を含む。
このようにマスタ情報は、複数の契約に亘り共通して適用される情報を含むが、さらに、個々の契約ごとに適用される情報であり、契約ごとに異なり得る情報を含む。例えば、契約当事者、具体的にはキャッシュフローの支払人または受取人に関する属性情報として、決済銀行・決済口座の識別情報や、ネッティングの有無を示す情報を含む。契約情報やCF情報を登録する際に、契約ごとのマスタ情報が登録されてもよい。
ウィジェット情報保持部42は、後述のダッシュボード画面に表示される複数のウィジェットについて、各ウィジェットで表示される情報項目と、その項目値を作成するロジックを保持する。このロジックは、契約情報保持部30の契約情報を参照して特定のデータを抽出し、また、抽出したデータを用いた計算結果を算出するためのロジックやアルゴリズムが実装されたプログラムである。例えば、新規登録された契約について、承認処理が完了済みの契約数(案件数)を集計し、また承認処理が未完了の契約数(案件数)を集計するプログラムを含む。また、登録後の契約について、その精算金額の承認処理が完了済みの契約数を集計し、また承認処理が未完了の契約数を集計するプログラムを含む。
各ウィジェットのロジックは、情報管理サーバ12が管理する複数種類の金融取引に亘る複数個の契約の中から、複数種類の金融取引に共通する基準、例えば利率日や、精算日、承認有無等を検索キーとして、特定の契約情報(キャッシュフロー明細を含む)を抽出するものを含む。また、各ウィジェットのコンテンツデータは、ロジックによる1つ以上の契約情報の抽出状況、例えば抽出件数であり、言わば検索ヒット数を示すものを含む。
また、ウィジェット情報保持部42が保持する各ウィジェットのデータには、対応する管理画面を示すリンク情報が設定される。「対応する管理画面」は、例えば各ウィジェットのロジックが示す契約情報の抽出基準について、その基準により抽出された契約情報(キャッシュフロー明細を含む)を表示する管理画面である。管理画面は、精算日等の特定の基準に合致した契約情報(キャッシュフロー明細を含む)の内容を示すものであり、ウィジェットのコンテンツは、その基準に合致した契約情報の件数を示すものとも言える。後述の表示制御部50は、ダッシュボード画面において特定のウィジェットが選択されると、選択されたウィジェットに対応する基準で抽出した契約情報を示す管理画面を表示させるよう切り替える。
ユーザ情報保持部44は、情報管理サーバ12のユーザ、例えば金融機関の契約系・精算管理系・決済系それぞれの業務担当者個別に設定された情報であり、複数のウィジェットの中から後述のダッシュボード画面で表示させるべきウィジェットを指定した情報(以下、「ユーザ情報」と呼ぶ。)を保持する。
図5は、図3の制御部22を詳細に示すブロック図である。制御部22は、表示制御部50、契約登録画面生成部52、契約情報登録部54、CF登録画面生成部66、CF情報登録部68、金額計算部56、CF明細更新部58、管理画面生成部60、承認状況更新部62、ウィジェット情報更新部64、決済処理部65を含む。
表示制御部50は、契約管理のためのユーザインタフェースの表示を制御する。具体的には、表示制御部50は、契約情報登録端末16の要求に応じて、契約登録画面生成部52により生成された契約情報の登録画面を契約情報登録端末16へ提供する。同様に、CF情報登録端末19の要求に応じて、CF登録画面生成部66により生成されたキャッシュフロー明細の登録画面をCF情報登録端末19へ提供する。また、管理業務端末14の要求に応じて契約管理のための管理画面を管理業務端末14へ提供する。表示制御部50は、各端末に表示させる画面の切替、言い換えれば画面遷移も制御する。
契約登録画面生成部52は、契約情報を情報管理サーバ12に登録するための画面である契約登録画面のデータを生成する。契約登録画面は、基本情報入力画面と、キャッシュフロー情報入力画面(以下、「CF情報入力画面」とも呼ぶ。)と、イベント情報入力画面を含む。
図6に関連して後述するが、基本情報入力画面は、契約の主体(例えば当事者名)、契約の客体(例えば取引の対象となる金品)、契約期間(例えば開始日や終了日)を含む基本情報の入力フィールドを有する。また図7〜図9に関連して後述するが、CF情報入力画面は、金銭授受に関する取決め内容を含むCF情報の入力フィールドを有する。また図10に関連して後述するが、イベント情報入力画面は、基本情報とCF情報の少なくとも一方に影響を与える付加的な条件であるイベント情報の入力フィールドを有する。
なお、データ保持部24は、デリバティブ契約やスワップ契約等の金融取引契約の種類ごと、言い換えれば、取引対象となる金融商品の種類ごとに、基本情報入力画面・CF情報入力画面・イベント情報入力画面の組み合わせを保持してもよい。契約登録画面生成部52は、契約情報登録端末16により指定された金融取引の種類を、表示制御部50を介して受け付け、その種類に応じた契約登録画面のデータをデータ保持部24から取得してもよい。
契約情報登録部54は、契約登録画面に入力された契約情報を契約情報登録端末16から受け付け、その契約情報を契約情報保持部30へ格納する。契約情報登録部54は、複数の契約それぞれの契約情報の登録を契約ごとに受け付ける。具体的には、契約情報登録部54は、基本情報入力画面に入力された基本情報を取得して基本情報保持部32へ格納する。また、CF情報入力画面に入力されたCF情報を取得してCF情報保持部34へ格納する。また、イベント情報入力画面に入力されたイベント情報を取得してイベント情報保持部36へ格納する。契約の種類によっては、イベント情報を含まない契約情報が登録される。
CF登録画面生成部66は、金融取引契約(実施の形態ではローン契約)にもとづき発生するキャッシュフローを情報管理サーバ12に直接登録するための画面(以下「CF登録画面」と呼ぶ。)のデータを生成する。
CF情報登録部68は、CF登録画面に入力されたキャッシュフローデータ(ここでは図4の明細データとする)をCF情報登録端末19から受信する。またCF情報登録部68は、キャッシュフローデータを登録するためのインタフェース(API)を外部システム17に提供する。外部システム17は、そのAPIを介して、キャッシュフローデータを情報管理サーバ12へ送信する。CF情報登録部68は、CF情報登録端末19および外部システム17から受信したキャッシュフローデータをCF明細更新部58に渡し、CF情報保持部34のCF明細46に記録させる。
金額計算部56は、登録された各契約のCF情報で定められた規則にしたがって契約当事者間に生じる決済金額(キャッシュフローの金額であり、精算金額とも言える。)を計算する。この規則は、決済金額を算定すべき期日や、金額算定に使用する金利や為替レート等の経済指標、金額算定のための計算式を含む。実施の形態では、金額計算部56は、CF情報保持部34のCF明細46の各レコードについて、キャッシュフローの確定金額を算出する。
例えばCF情報では、約定日後の将来日付における経済指標値にもとづいて精算金額や決済金額を決定することが定められる。金額計算部56は、約定日に対する所定の将来時点であり、情報管理サーバ12への契約登録日に対する所定の将来時点である、CF情報で定められた決済金額を算定すべき期日に至った場合、その事実を検出する。このとき金額計算部56は、マスタ情報保持部38にマスタ情報として保持された現在の経済指標値にもとづいて、契約当事者間での決済の確定金額を算出する。
CF明細更新部58は、契約情報登録部54によりCF情報保持部34に新たなCF情報が格納された場合に、登録対象の契約により定められた将来時点で生じる1つ以上のキャッシュフローをCF情報にしたがって識別し、CF明細46(図4参照)に記録する。例えば、登録された1つの契約のCF情報が、1年に4回の金利支払を定めていれば、当該契約のキャッシュフロー明細として、契約開始日から終了日までの間に、1年当たり4つのキャッシュフロー明細を記録する。同様にCF明細更新部58は、CF情報登録部68から渡されたキャッシュフローの明細データをCF明細46に記録する。
またCF明細更新部58は、CF明細46として記録されたキャッシュフローについて、各キャッシュフローの確定金額が金額計算部56により算出された場合に、その確定金額を含むキャッシュフローの明細データをCF明細46に記録する。
決済処理部65は、マスタ情報保持部38とCF情報保持部34から決済実行に必要な情報を取得し決済実行に必要な情報を生成する。例えば、マスタ情報保持部38から決済銀行や口座、ネッティングの有無に関する情報を取得して決済方法を決定する情報を生成し、CF情報保持部34からCF確定明細の情報を取得して決済を実行するためのデータを生成する。
管理画面生成部60は、契約情報保持部30に保持された契約情報にもとづいて、金融取引契約に関する各種業務を支援するための管理画面のデータを生成する。例えば、契約系(法務系)業務、精算管理系業務、決済系業務のそれぞれに必要な所定項目の情報を基本情報保持部32、CF情報保持部34、イベント情報保持部36から抽出し、抽出した情報を所定フォーマットにしたがって配置した各業務用の画面データを生成する。
例えば、管理画面生成部60は、管理業務端末14のユーザにより入力された検索条件を受け付け、その検索条件に該当する1つ以上のキャッシュフロー明細をCF情報保持部34から検索する。言い換えれば、CF情報保持部34に保持された複数種類の金融取引契約(図2で示すデリバティブ契約〜ローン契約)に亘る複数のキャッシュフロー明細の中から、複数種類の金融取引契約に共通する基準としての検索条件に該当する1つ以上のキャッシュフロー明細を取得する。管理画面生成部60は、検索条件に合致する1つ以上のキャッシュフロー明細をリスト形式で一括表示する管理画面のデータを生成する。
管理画面生成部60が生成する管理画面は、図2の利率日別管理画面、精算日別管理画面、決済承認画面を含む。利率日別管理画面は、検索条件として指定された特定の利率日を有する1つ以上のキャッシュフロー明細を一括表示する。精算日別管理画面は、検索条件として指定された特定の精算日(すなわち決済日)を有する1つ以上のキャッシュフロー明細を一括表示する。決済承認画面は、検索条件として指定された未承認の状態である1つ以上のキャッシュフロー明細を一括表示する。
また、管理画面生成部60は、契約情報保持部30に保持された契約情報と、ウィジェット情報保持部42に保持されたロジックにもとづいて、複数種類のウィジェットそれぞれのコンテンツデータを生成する。そして、それら複数種類のウィジェットを配置したダッシュボード画面のデータを生成する(図14参照)。また管理画面生成部60は、ユーザ情報保持部44に保持された、ダッシュボード画面を提供するユーザの情報を参照し、そのユーザにより選択されたウィジェットを配置したダッシュボード画面を生成する。
例えば、管理画面生成部60は、図2の利率日別管理画面、精算日別管理画面、決済承認画面等、個別の検索条件による複数の管理画面を集約した画面であり、複数のウィジェットを並べたダッシュボード画面のデータを生成する。管理画面生成部60は、複数のウィジェットのコンテンツデータとして、予め定められた複数の検索条件による契約情報(基本情報、CF情報、キャッシュフロー明細等)の抽出状況を示す情報、例えば検索条件に合致する契約数・キャッシュフロー数等を設定する。
承認状況更新部62は、管理画面に入力された情報であり、具体的には、登録を受け付けた契約情報や、決済金額(キャッシュフローの確定金額等)を担当者が承認したことを示す情報(以下「承認通知」とも呼ぶ。)を管理業務端末14から受信する。この承認通知では、承認された契約のIDや、キャッシュフローのIDが指定される。承認状況更新部62は、承認通知で指定された契約ID、キャッシュフローIDにより特定される基本情報、CF情報、イベント情報に対して、承認済みであることを示す情報を記録する。
ウィジェット情報更新部64は、ウィジェットに表示するコンテンツ作成ロジック、言い換えれば、保持された契約情報にもとづく管理画面生成規則の変更情報を管理業務端末14から受け付ける。ウィジェット情報更新部64は、受け付けた変更情報にしたがって、ウィジェット情報保持部42に格納されたロジックを更新する。例えば、ウィジェット情報保持部42に保持されたウィジェットのコンテンツ作成プログラムを、管理業務端末14から受け付けた変更情報を反映するよう更新する。
なお、実施の形態において情報管理サーバ12が備える機能の一部、例えばユーザへのプレゼンテーション機能は管理業務端末14、契約情報登録端末16、CF情報登録端末19が備えてもよい。例えば、表示制御部50および管理画面生成部60は、管理業務端末14が備えてもよい。この場合、情報管理サーバ12は、金額計算部56が算出した金額を含むデータであり、管理画面のコンテンツデータや、ダッシュボード画面の各ウィジェットのコンテンツデータを生成し、管理業務端末14へ提供してもよい。管理業務端末14は、情報管理サーバ12から提供されたコンテンツデータを、管理画面や、ダッシュボード画面の各ウィジェットに表示させてもよい。
同様に、表示制御部50および契約登録画面生成部52は、契約情報登録端末16が備えてもよい。このように、実施の形態において情報管理サーバ12が一元的に備えることとした機能ブロックは、複数の装置に分散され、複数の装置が通信網18を介して連携することにより実現されてもよい。管理業務端末14、契約情報登録端末16、CF情報登録端末19のそれぞれは、ウェブブラウザ等を用いるシンクライアントとして実現されてもよい。また、契約の登録や管理用のクライアントアプリケーション、言い換えれば、プレゼンテーションロジックが実装されたリッチクライアントとして実現されてもよい。
以上の構成による情報管理システム10の動作を以下説明する。
金融機関の契約登録担当者や、金融機関の顧客、契約当事者等、情報管理システム10に対して契約情報を登録すべきユーザは、契約情報登録端末16を操作し、情報管理サーバ12にアクセスする。そして、個々の契約を単位に、その基本情報とCF情報とイベント情報を情報管理サーバ12に登録する。例えば、複数個のデリバティブ契約の情報を、契約ごとに個別に情報管理サーバ12に登録する。
具体的には、契約情報登録端末16は、各契約において取引対象となる金融商品の種類を指定した契約登録画面の提供要求を情報管理サーバ12へ送信する。情報管理サーバ12の契約登録画面生成部52は、金融商品の種類に対応する基本情報入力画面、CF情報入力画面、イベント情報入力画面のデータを生成し、表示制御部50は各画面データを契約情報登録端末16へ送信して表示させる。
図6は基本情報入力画面110を示す。基本情報入力画面110は、取引種類、契約当事者、約定日、取引開始日、取引終了日、元本等の入力フィールドを含む。
図7〜図9はCF情報入力画面を示す。図7のCF情報入力画面112は、1回の金融取引の内容を指定する画面である。図8のCF情報入力画面114は、金利計算の各種パラメータを指定する画面である。例えば、取引期間、取引日、適用する金利・指標の種類、日付(例えば約定日後の将来日付であり、その日付の決定規則)等を含む。例えば図8では、2012年10月12日から2017年10月12日まで、年に4回、指標「3MYL」にしたがった変動金利にて金利を支払うことの取決めが入力されている。
図9のCF情報入力画面116は、金利計算のための任意の計算式の入力フィールドを有する。図9のCF情報入力画面116は、任意の態様の決済金額の決定規則、例えば決済金額の算定式を入力可能にするものである。典型的には、決済金額の決定規則が図7や図8に示した標準的な算定態様に当てはまらない場合に使用される。
任意に取決められた決済金額の決定規則を入力可能にするため、CF情報入力画面116は、指標フィールド170、計算式フィールド172、選択可能計算式フィールド174、上限下限フィールド176を有する。指標フィールド170には、算定式中で用いる経済指標であり、例えば各国の金利や為替レート、各市場の株価指数等の識別情報が入力される。計算式フィールド172には算定式が入力される。選択可能計算式フィールド174には、算定式を構成する各要素の定義であり、例えば算定式に含まれる変数の決定規則が入力される。上限下限フィールド176には、上限および下限値が入力される。
図9の例では、支払額の決定に「IR」という変数を使用し、ドル円相場の値により、IR1とIR2のいずれかを適用することを定めている。図9の選択可能計算式フィールド174には、指標フィールド170で指定された指標の値に応じて、計算式フィールド172に入力された計算式を構成する要素「IR」の値を決定する旨が入力されている。このようにCF情報入力画面116を使用することで、複雑な計算式を含む、非定型のCF情報も情報管理サーバ12に登録することができる。
図7〜図9で示すように、基本情報入力画面およびCF情報入力画面では、その入力フィールドの項目名としてISDAで標準化された名称を表示する。そのため、契約情報の登録者は、基本的には、契約書の項目をそのまま基本情報入力画面およびCF情報入力画面の各項目に対応づけ、契約内容をそのまま転記すればよい。仮に契約書の項目がISDAに未準拠であっても、入力フィールドの項目名としてISDAの標準名称を使用することで、契約書の項目とのマッピングを容易にしている。
図10はイベント情報の例を示す。イベント情報は、契約期間途中で契約解約される早期解約条件などの付帯条項が代表的である。また、マーケット指標値による自動発動型や、決められたタイミングで契約者の任意行使可能なパターンが存在する。図10では、自動発動型の例として、ISDAの金利スワップConfirmationサンプルのオプショナル条件を示している。同図のイベント情報は、条件の内容、判定日、発動条件を含む。基本情報入力画面やCF情報入力画面と同様に、イベント情報入力画面も、条件の内容、判定日、発動条件等、ISDAに準拠した標準項目名称を入力フィールドの項目名として表示する。
契約登録画面において契約情報の登録を指示する所定の操作入力がなされると、契約情報登録端末16は、契約登録画面に入力された契約情報を情報管理サーバ12へ送信する。情報管理サーバ12の契約情報登録部54は、基本情報入力画面に入力された基本情報を基本情報保持部32に格納し、CF情報入力画面に入力されたCF情報をCF情報保持部34に格納し、イベント情報入力画面に入力されたイベント情報をイベント情報保持部36へ格納する。このときCF明細更新部58は、CF情報保持部34に格納されたCF情報にしたがって、当該契約により将来時点で予定される1つ以上のキャッシュフローを示す1つ以上のCF明細46を記録する。なお、新規登録時点では、契約情報(CF明細を含む)に対応づけて未承認を示す承認フラグを記録する。
金融機関におけるローン契約の担当者は、CF情報登録端末19を操作し、情報管理サーバ12にアクセスする。CF情報登録端末19は、CF登録画面の提供要求を情報管理サーバ12へ送信する。情報管理サーバ12のCF登録画面生成部66は、CF登録画面のデータを生成し、表示制御部50はその画面データをCF情報登録端末19へ送信して表示させる。担当者は、ローン契約により生じるキャッシュフローの情報、例えば図4の1レコードに相当する明細情報をCF登録画面に入力し、その登録を指示する所定操作を入力する。CF情報登録端末19は、CF登録画面に入力されたキャッシュフロー情報を情報管理サーバ12へ送信する。
また金融機関の外部システム17は、自装置で受け付け、勘定処理等を実行する各種金融取引契約(例えば図1の株式売買契約や債券売買契約)で発生するキャッシュフローの情報、例えば図4の1レコードに相当する明細情報を情報管理サーバ12に登録する。具体的には、情報管理サーバ12において予め定められたキャッシュフロー登録用APIをコールすることによりキャッシュフロー情報を情報管理サーバ12へ送信する。情報管理サーバ12のCF情報登録部68は、CF情報登録端末19および外部システム17から受け付けたキャッシュフロー情報をCF明細更新部58に渡す。CF明細更新部58は、CF情報登録部68から渡されたキャッシュフロー情報をCF明細46としてCF情報保持部34に記録する。
情報管理サーバ12の金額計算部56は、情報管理サーバ12に登録された複数の契約情報のそれぞれを参照し、各契約にもとづき契約当事者間で生じる1つ以上のキャッシュフローの確定金額を算出する。例えば、CF情報保持部34に記録された複数のCF明細46のうち金利確定日に至ったCF明細46を特定し、マスタ情報が示す当日の金利を、特定したCF明細46の金額算定式に入力することにより、当該CF明細46の確定金額を算出する。CF明細更新部58は、金額計算部56により確定金額が算出されたCF明細46を、CF確定明細に変更して確定金額を含むようCF明細46を更新する。
金融機関の精算管理系業務または決算業務の担当者は、管理業務端末14を操作し、情報管理サーバ12にログインする。ここでは、担当者がキャッシュフロー明細の承認業務を行うこととする。管理業務端末14は、担当者が入力した検索条件、例えば特定の精算日や利率日(利率確定日)を指定したキャッシュフロー明細の検索要求を情報管理サーバ12へ送信する。情報管理サーバ12の管理画面生成部60は、検索要求を受信し、その要求で指定された検索条件に合致するCF明細46をCF情報保持部34から取得する。そして、取得したキャッシュフロー情報を設定した管理画面を生成する。表示制御部50は、管理画面生成部60により生成された管理画面のデータを管理業務端末14へ送信して表示させる。
図11は、検索条件として特定の精算日が指定された場合に提供する管理画面であり、図1の精算日別管理画面を示す。同図で示すように、精算日別管理画面には、情報管理サーバ12に登録された複数種類の金融取引契約が定めたキャッシュフローのうち、金融取引契約の種類にかかわらず精算日「2013年12月24日」を共通の基準として抽出したキャッシュフローの明細を表示する。例えば、商品種別「ローン」の契約(契約番号001)はCF情報登録端末19が登録したものであり、商品種別「デリバティブ」の契約(契約番号002、004)は契約情報登録端末16が登録したものであり、商品種別「先物」の契約(契約番号005)は外部システム17が登録したものである。
また図11では、1つの契約から1つ以上のキャッシュフローが生成されることを示している。例えばCF番号「002334」「0022335」で識別される2つのキャッシュフローは、契約番号「002」で識別される1つの契約から生じたものである。また、契約番号002のCF番号002335は変動金利が確定していないため、支払額が未確定であることを示している。また、契約番号004の2つのキャッシュフローは、方向が同じであるため、ネッティングの結果、精算金額が合計されている。方向が逆であれば、ネッティングの結果、精算金額は相殺され小さくなる。
金融機関の担当者は、精算日別管理画面のキャッシュフロー明細を確認し、承認する場合は、承認欄にチェックを入力した上で、所定の登録操作を入力する。管理業務端末14は、承認欄にチェックがなされたレコードのCF番号と、承認された旨を示す情報を情報管理サーバ12へ送信する。情報管理サーバ12の承認状況更新部62は、精算日別管理画面において承認された、CF番号により特定されるキャッシュフロー明細に対して承認済みを示すフラグを記録する。以降、承認されたキャッシュフローについては、その決済処理等が実行される。決済処理は外部システム17で実行されてもよく、情報管理サーバ12は承認済みのキャッシュフロー明細(基本情報等を適宜含めてもよい)を外部システム17に送信し、決済を実行させてもよい。
図12は、検索条件として特定の利率日が指定された場合に提供する管理画面であり、図1の利率日別管理画面を示す。同図で示すように、利率日別管理画面には、情報管理サーバ12に登録された複数種類の金融取引契約が定めたキャッシュフローのうち、金融取引契約の種類にかかわらず利率日「2013年12月24日」を共通の基準として抽出したキャッシュフローの明細を表示する。なお同図は、利率日に加え、変動金利が適用されるキャッシュフローを検索条件としており、INDEX欄にはキャッシュフローの算定に適用される経済指標の種類が表示される。Rate欄で「****」の箇所は指標値が未確定であることを示している。承認処理の動作は精算日別管理画面と同様である。
次に、ダッシュボード画面の提供に関する動作を説明する。金融機関の契約系業務・精算管理系業務・決済系業務それぞれの担当者は、管理業務端末14を操作し、情報管理サーバ12にログインする。情報管理サーバ12の管理画面生成部60は、ログイン後のトップ画面としてログインユーザ向けのダッシュボード画面を生成する。具体的には、ログインユーザのIDに対応づけられたウィジェットのロジックにしたがって、ログインユーザ向けのダッシュボード画面で表示させるべき各ウィジェットのコンテンツデータを生成する。そして、ログインユーザのIDに対応づけられた1つ以上のウィジェットを配置したダッシュボード画面のデータを生成する。表示制御部50は、管理画面生成部60が生成したダッシュボード画面のデータを管理業務端末14へ送信して表示させる。
図13はダッシュボード画面を示す。ダッシュボード画面はメインダッシュボード画面120と、サブダッシュボード画面140を含む。この例では、メインダッシュボード画面120は、ユーザにより予め選択された登録管理ウィジェット122、精算管理ウィジェット124、決済管理ウィジェット126、月間スケジュールウィジェット128、タスクウィジェット130を含む。またサブダッシュボード画面140も、登録管理ウィジェット142、精算管理ウィジェット144、決算管理ウィジェット146、月間スケジュールウィジェット148、タスクウィジェット150を含む。
登録管理ウィジェット122および142は契約系業務用のウィジェットであり、実際には契約系業務担当者のダッシュボード画面にのみ配置されてもよい。同様に、精算管理ウィジェット124および144は精算管理系業務用のウィジェットであり、実際には精算管理系業務担当者のダッシュボード画面にのみ配置されてもよい。同様に、決済管理ウィジェット126および146は決済管理系業務用のウィジェットであり、実際には決済系業務担当者のダッシュボード画面にのみ配置されてもよい。
メインダッシュボード画面120の各ウィジェットには、決済の進行状況や承認の有無を含む各種業務の状況を示すデータが円グラフと数値により示されている。例えば、精算管理ウィジェット124には、決済期日が表示日以降であり、表示当日に決済金額を確定する必要がある案件のうち、決済金額の承認が未完了のキャッシュフロー案件が5件、すなわち担当者が未処理の承認タスクが5件あることを示している。また、表示当日に決済金額を確定する必要がある案件のうち、決済金額を承認済みのキャッシュフロー案件が5件あることを示している。このように、メインダッシュボード画面120の各ウィジェットには、ウィジェットのロジックとして定められた条件による契約案件や、キャッシュフロー案件の抽出状況、例えば検索条件に該当する案件数を示す情報が設定される。
なお情報管理サーバ12の表示制御部50は、ダッシュボード画面への所定操作入力を契機にウィジェットのロジックの編集画面を管理業務端末14へ送信して表示させる。管理業務端末14は、編集画面に入力されたロジックを情報管理サーバ12へ送信し、情報管理サーバ12のウィジェット情報更新部64は、受け付けたウィジェットのロジックをウィジェット情報保持部42に格納する。これにより、ウィジェットのコンテンツ生成ロジックをユーザ自身で変更することを可能にする。
図14(a)〜図14(c)は、ダッシュボード画面と、ダッシュボード画面からの画面遷移の例を示す。図14(a)のダッシュボード画面には最小化ボタン152が配置され、最小化ボタン152が押下されるとサブダッシュボード画面140のみの表示に切り替わる。サブダッシュボード画面140のみのダッシュボード画面には最大化ボタン154が配置され、最大化ボタン154が押下されるとメインダッシュボード画面120が再表示される。また、「Configure Dashboard」ボタンがクリックされると、ダッシュボード画面に表示させるウィジェットの選択画面へ遷移する。この選択画面での選択結果は情報管理サーバ12のユーザ情報保持部44に格納される。これにより、ユーザは自身のダッシュボード画面で表示させたいウィジェットをカスタマイズすることができる。
また図14(a)のメインダッシュボード画面120およびサブダッシュボード画面140において特定のウィジェットのリンク文字列が選択されると、管理業務端末14は、選択されたリンク文字列を示す情報を情報管理サーバ12へ送信する。リンク文字列は、例えば、精算管理ウィジェット124の「Today's Settle CF (Unconfirmed)」である。
情報管理サーバ12の管理画面生成部60は、選択されたリンク文字列に対応づけられたロジック(画面生成ロジックと言え、契約情報抽出ロジックとも言える)をウィジェット情報保持部42から取得する。そして、取得したロジックにしたがって、リンク文字列に対応する個別管理画面のデータを生成する。この個別管理画面では、例えば、表示当日に決済金額を確定する必要がある案件のうち、決済金額の承認が未完了のキャッシュフロー案件の検索結果であり、例えば検索にヒットしたキャッシュフロー明細が表示される。表示制御部50は、個別管理画面のデータを管理業務端末14へ送信して、ダッシュボード画面の表示を切り替えさせる。
例えば図14(a)において、メインダッシュボード画面120の精算管理ウィジェット124またはサブダッシュボード画面140の精算管理ウィジェット144のリンク文字列が選択されると、図14(b)に示す精算管理画面160が表示される。同図の精算管理画面160の内容は、図11で示した精算日別管理画面に対応する。
同様に、メインダッシュボード画面120の月間スケジュールウィジェット128またはサブダッシュボード画面140の月間スケジュールウィジェット148のリンク文字列が選択されると、図14(c)に示す月間スケジュール画面162が表示される。一部既述したように、精算管理画面160や月間スケジュール画面162等の個別管理画面においてユーザによる承認操作等の操作入力がなされると、管理業務端末14は、その操作内容を示す情報を情報管理サーバ12へ送信する。情報管理サーバ12は、その操作内容に応じて契約情報保持部30の情報を更新する。例えば、承認状況更新部62は、承認がなされた契約情報やキャッシュフロー明細に対して、承認済みを示す情報を記録する。業務情報保持部40の情報更新は、ダッシュボード画面の表示、すなわちウィジェットの表示コンテンツにフィードバックされる。
なお、情報管理サーバ12の管理画面生成部60は、個別管理画面として、複数の契約それぞれの基本情報を一括して表示する管理画面のデータを生成し、また、複数の契約それぞれのイベント情報を一括して表示する管理画面のデータを生成する。表示制御部50は、管理業務端末14からの要求に応じて、これらの管理画面のデータを管理業務端末14へ送信して表示させる。すなわち情報管理サーバ12は、契約単位で個別に登録された基本情報、CF情報(キャッシュフロー明細を含む)、イベント情報のそれぞれについて、複数個の契約の情報を1つの画面でまとめて表示する管理画面を管理業務端末14へ提供する。これにより、金融機関の契約系・精算管理系・決済系それぞれの業務担当者の作業の効率化を支援する。
以上説明したように、実施の形態の情報管理システム10は、現在は手管理となっている複雑な商品・少量多品種の商品等について、契約単位、キャッシュフロー単位、イベント単位の、標準化したデータ構造を用いたシステム管理を実現する。これにより、期日管理等を手作業で行うことによるオペレーションリスクや、属人化リスクを低減できる。また、システム化により担当者の業務負荷を低減でき、取扱い可能な取引上限件数を向上させることができる。さらまた、契約情報を契約単位、キャッシュフロー単位、イベント単位で保持することで、効率的なデータ管理、例えば情報検索の迅速化と、データ構造の変更容易性を維持しやすくなる。
また情報管理システム10は、デリバティブをはじめ多種多様な金融取引に関する契約を、キャッシュフローの粒度で一括して管理し、多種多様な金融取引それぞれのキャッシュフローの情報を一括して表示する管理画面を提供する。これにより、金融取引の種類、言い換えれば取引対象となる金融商品の種類に関わらず、共通のシステムで一元的にキャッシュフロー分解後の管理業務を支援でき、システムコストの低減も実現できる。また情報管理システム10は、1つの契約の登録を受け付けると、その契約により将来時点で生じる複数のキャッシュフローの明細を記録し、個々のキャッシュフロー単位での承認管理や期日管理を実現する。
また情報管理システム10は、個々の管理画面とそれぞれリンクし、個々の管理画面の内容を集約して示すウィジェットを複数含むダッシュボード画面を提供する。また、契約系・精算管理系・決算系それぞれの業務担当者に応じたウィジェットを配置したダッシュボード画面を提供する。これにより、契約系・精算管理系・決算系それぞれの業務の効率的な遂行を支援できる。
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
一部記述したように、情報管理サーバ12は、金銭または物品に対する権利に関する取決めの情報を管理対象に含め、実施の形態で示した現金の移動と同様に権利の移動を管理することができる。金銭または物品に対する権利は、売掛債権、買掛債券、仕組債等の各種債券を含む。この場合、CF登録画面生成部66は、上記取決めで定められた金銭または物品に対する権利の移動の条件(日時や種々の指標値を含む)を示す情報を情報管理サーバ12に登録するための登録画面(CF登録画面に対応)を生成する。CF情報登録部68は、CF登録画面に入力された、上記取決めにもとづいて将来時点で発生する権利移動を示すデータをCF情報保持部34に格納する。
CF情報保持部34は、上記取決めにより定められる将来時点での権利の移動と、権利の移動量もしくは権利の移動に伴う金銭の移動量を示すフロー明細情報(CF明細に対応)を保持する。CF明細更新部58は、上記取決めにもとづく権利の移動や、その移動量が確定した等のタイミングでフロー明細情報を逐次更新する。実施の形態と同様に、基本情報保持部32とイベント情報保持部36には、当該権利の取決めに関する基本情報とイベント情報が格納される。管理画面生成部60は、上記取決めに関する契約系業務、精算管理系業務、決済系業務のそれぞれに必要な所定項目の情報を基本情報保持部32、CF情報保持部34、イベント情報保持部36から抽出し、各業務用の画面を生成する。
上述した実施の形態および変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。また、請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施の形態および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連携によって実現されることも当業者には理解されるところである。