JP5643859B2 - 中わた入り製品 - Google Patents

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Description

本発明は、中わた入り製品に関し、特に、外側地と内側地とを有する中わた入り製品に関するものである。
中わた入り製品としては、掛けふとん、敷きふとん、まくら、クッションなどがよく知られている。一般的に、中わた入り製品では、使用時における使用者の体との接触、摩擦、押圧などが繰り返されることによる中わたの製品外部への吹き出しを抑えるため、通気度を抑えた織物生地が側生地に使用されている。
この側生地の通気度に関しては業界基準が設定されている。たとえば、中わたに羽毛を用いるものの側生地の通気度は3cc/cm2・s以下、また中わたに羊毛および合成繊維を用いるものの側生地の通気度は5cc/cm2・s以下と設定されている。一般的には、この業界基準に沿って側生地が選択されている。具体的には、側生地には、高密度織物が使用されており、この高密度織物にはウールプルーフ加工またはダウンプルーフ加工が施されることがある。なお、ウールプルーフ加工およびダウンプルーフ加工はともに、目つぶしおよび生地目塞ぎのための樹脂塗布加工である。
高密度織物は、織物であり、かつ高密度なものであるため、伸縮性に乏しく、触感が硬いものになりがちである。また、高密度織物では機能的にも通気性が悪いため、側生地が使用者の体に長時間接触した際に、体が発する蒸気が側生地を十分に通過しないため、春秋などの暖かい時期には体と製品の接触部分が蒸れやすい。
他方、通気度が高く、触感の柔らかいニット生地で形成された側生地が提案されている。この側生地では、ニット生地の密度が低いため、触感および通気性は改善され得る。たとえば特開2005−192703号公報(特許文献1)および実用新案登録第3159955号公報(特許文献2)には、側生地をニット生地で形成した掛け布団が提案されている。
特開2005−192703号公報 実用新案登録第3159955号公報
しかしながら、単純にニット生地で形成された側生地では、生地の密度が低いため、使用に伴う中わたの製品外部への吹き出しを抑制することは困難である。
上記の特開2005−192703号公報に記載された掛け布団は、1枚のニット素材を側生地に使用しているため、使用に伴う中わたの製品外部への吹き出しを抑制することは困難である。
上記の実用新案登録第3159955号公報に記載された掛け布団は、二重の点留接結したニット地(いわゆる二重ニット)を使用している。より具体的には、この掛け布団は、二重組織と呼ばれるニット地(表面と裏面の生地が編み組織上の接結により結合された1枚の生地)を1枚のみ側生地に使用している。この公報に記載された掛け布団では、使用に伴う中わたの製品外部への吹き出しの問題は考慮されていないため、二重ニットを用いているものの側生地の目付等によっては使用に伴う中わたの製品外部への吹き出しを抑制することは困難である。また、二重ニット地は編み組織の中に接結を入れなければいけないため、編み組織や糸使いが限定され、側生地の伸縮性が制限されるため、触感の柔らかさにも限界がある。したがって、この公報に記載された掛け布団では、触感の柔らかさの改善も困難である。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、柔らかい触感と高い通気性とを有し、かつ中わたの製品外部への吹き出しを抑制できる中わた入り製品を提供することである。
本発明の中わた入り製品は、中わたと、中わたを収容可能な内部空間を有し、かつニット生地からなる側生地を有する袋体とを備えている。袋体の側生地は、外側地と、外側地に対して内部空間側に重ねて配置され、かつ外側地の目付よりも小さい目付を有する内側地とを含んでいる。
本発明の中わた入り製品によれば、側生地がニット生地からなるため、ニット生地の密度が低いことにより、中わた入り製品の柔らかい触感と高い通気性とを実現することができる。また、外側地と内側地とが重ねて配置されているため、外側地と内側地との両方によって中わたの製品外部への吹き出しを抑制できる。さらに、内側地は外側地の目付よりも小さい目付を有しているため、内側地によって外側地の触感が阻害されない。これにより、中わた入り製品の柔らかい触感を実現することができる。
上記の中わた入り製品において好ましくは、中わたは、ポリエステル繊維と、ポリエステル繊維を覆うシリコンコーティング層とを含んでいる。これにより、中わた入り製品に対して外部から圧力が加えられた際に、シリコンコーティング層によって摩擦抵抗が低くなるため、ポリエステル繊維が容易に滑って形状変化することができる。このため、さらに柔らかい触感を実現することができる。
上記の中わた入り製品において好ましくは、中わたは、シルク、セルロース系繊維、獣毛繊維よりなる群から選ばれる1種以上の繊維を含んでいる。シルク、レーヨン・キュプラ等のセルロース系繊維、カシミア・キャメル・アルパカ・ウール等の獣毛繊維は繊維の表面において良好な滑り性を有している。このため、中わた入り製品に対して外部から圧力が加えられた際に、中わた同士の摩擦抵抗が低くなるため、中わた同士が滑って形状変化することができる。このため、さらに柔らかい触感を実現することができる。
上記の中わた入り製品において好ましくは、中わたは長繊維わたを含んでいる。これにより、短繊維わたに比べて、同一の重量あたりの繊維本数を少なくすることができる。このため、中わたの製品外部への吹き出しの要因となる繊維の先端および終端の数を少なくすることができる。したがって、中わたの製品外部への吹き出しをさらに抑制することができる。
上記の中わた入り製品において好ましくは、外側地の目付は100g/m2以上270g/m2以下であり、内側地の目付は14g/m2以上95g/m2以下である。これにより、柔らかい触感を実現し、中わたの製品外部への吹き出しを抑制できる。
以上説明したように本発明によれば、柔らかい触感と高い通気性とを有し、かつ中わたの製品外部への吹き出しを抑制できる中わた入り製品を提供することができる。
本発明の一実施の形態における掛けふとんの概略斜視図である。 本発明の一実施の形態における掛けふとんの概略平面図である。 図2のIII−III線に沿う概略断面図である。 図3のP1部の拡大図である。 図4のP2部の拡大部分断面図である。 本発明の一実施の形態における掛けふとんの変形例の概略平面図である。 本発明の一実施の形態におけるクッションの概略平面図である。 本発明の一実施の形態におけるまくらの概略平面図である。 本発明の一実施の形態におけるひざかけの概略平面図である。 中わたが短繊維わたである掛けふとんの概略拡大断面図である。 本発明の比較例1の試験試料の概略平面図である。 本発明の実施例1の試験試料の概略平面図である。 本発明の実施例2の試験試料の概略平面図である。
以下、本発明の一実施の形態について図に基づいて説明する。
最初に本発明の一実施の形態の中わた入り製品の構成について説明する。なお、同一の機能を果たす要素には同一の参照符号を付し、その説明は、特に必要がなければ繰り返さない。まず、本発明の一実施の形態の中わた入り製品の一例として掛けふとんについて説明する。
図1および図2を参照して、本発明の一実施の形態の中わた入り製品1である掛けふとん1aは、複数のタタキキルト部2と、つかみキルト部3とにおいて、袋体20の表裏の側生地21が互いに糸で縫着されている。掛けふとん1aは平面視において略長方形状を有しており、複数のタタキキルト部2がそれぞれ掛けふとん1aの中央部に形成されており、つかみキルト部3が掛けふとん1aの中央部を取り囲む外周部に形成されている。
掛けふとん1aでは、袋体20の表裏の側生地21が袋状に縫製され、袋体20に中わた10が充填された後、充填口が縫合される。この後、中わた10の移動および片寄りを防ぐため、コンフォーターミシンでタタキキルト部2が形成される。外周部から中わたが逃げるのを防ぐため、外周部からたとえば5mm以上200mm以下の全周にわたってつかみキルト部3が形成される。また、中央部の複数のタタキキルト部2は、良好の触感が得られ、自由で抵抗感の少ないストレッチ性および形状変化が阻害されないよう、小さ目のキルトであり、互いの距離が200mm以上離れていることが好ましい。
図2および図3を参照して、掛けふとん1aは、中わた10と、袋体20とを有している。中わた10には、良好な滑り性を有するわたが用いられている。これにより、外部からの圧力に対して容易に形状を変化することができ、とろけるような触感を実現することが可能となる。中わた10は、たとえば、表面にシリコンコーティングを施したわたが用いられている。また、中わた10は、シルク、レーヨン・キュプラ等のセルロース系繊維、カシミア・キャメル・アルパカ・ウール等の獣毛繊維よりなる群から選ばれる1種以上の繊維を含んでいてもよい。中わた10には、これらのわたが100%使用されていてもよく、もしくは一部混用されていてもよい。
袋体20は、中わた10を収容可能な内部空間ISを有している。袋体20はニット生地からなる側生地21を有している。ニット生地は編物であって、縦方向および横方向に良好な伸縮性を有している。本発明の一実施の形態の掛けふとん1aでは、袋体20の表面を構成する側生地21と裏面を構成する側生地21との間に内部空間ISが設けられている。
袋体20の側生地21は、外側地21aと、内側地21bとを有している。内側地21bは、外側地21aに対して内部空間IS側に重ねて配置されている。つまり、側生地21は、外側地21aが外側に配置され、内側地21bが内側に配置されるように、ニット生地が重ねられて形成されている。言い換えると、側生地21は外側地21aおよび内側地21bによる二重のニット生地構造を有している。外側地21aと内側地21bとは、外周端部、複数のタタキキルト部2およびつかみキルト部3によって互いに固定されているが、それ以外の部分においては互いに固定されていない。
内側地21bは、外側地21aの目付よりも小さい目付を有している。すなわち、内側地21bの生地の密度は外側地21aの生地の密度よりも小さい値を有している。内側地21bは、中わたの吹き出し抑制に貢献しながらも、外側地21aの良好な触感を減殺しないものである必要があるため、内側地21bは外側地21aの目付よりも軽い目付を有するものが用いられる。具体的には、外側地21aの目付は100g/m2以上270g/m2以下であり、内側地21bの目付は14g/m2以上95g/m2以下であることが好ましい。
図3および図4を参照して、中わた10は長繊維わたを有している。長繊維わたは、中わた10を構成する繊維であり、200mm以上の繊維長を有している。図10に示すように、通常、中わた入り製品の中わた10には、一般的に20mm以上90mm以下の繊維長を有する短繊維わたが用いられるが、短繊維わたは繊維長が短いため、長繊維わたと同一の重量とするためには多くの繊維本数が必要となる。このため、中わた10の吹き出しの要因となる繊維の先端および終結部分の数が多くなる。これに対して、長繊維わたでは、短繊維わたと同一の重量とするための繊維本数が少なくなり、繊維の先端および終結部分の数は少なくなる。そのため、長繊維わたは、短繊維わたに比べると中わた10が吹き出しにくいという特徴を有している。
なお、中たわ10は、長繊維わたと短繊維わたとの両方を有していてもよい。また、内部の短繊維わたを被覆するように外周を長繊維わたで覆っていてもよい。
長繊維わたは、真綿(シルク長繊維)、ポリエステルトウなどで形成されていることが好ましい。また、長繊維わたは手引きもしくは機械引きで簡易に成形された薄いわたを積層状に重ねて製造されていることが好ましい。
図4および図5を参照して、中わた10は、ポリエステル繊維11と、ポリエステル繊維11を覆うシリコンコーティング層12とを有している。ポリエステル繊維11は中わた10を構成する繊維であり、ポリエステルトウなどで形成されていることが好ましい。シリコンコーティング層12は、ポリエステル繊維11の外周面を覆うように形成されている。このシリコンコーティング層12はポリエステル繊維11よりも摩擦抵抗が小さい。
なお、本発明の一実施の形態の掛けふとん1aでは袋体20の表裏面とも外側地21aと内側地21bとを有する側生地21で形成されているが、表面および裏面のいずれかのみが外側地21aと内側地21bとを有する側生地21で形成されていてもよい。また、袋体20の表面または裏面の全面が外側地21aと内側地21bとを有する側生地21で形成されていなくてもよく、表面または裏面の一部が外側地21aと内側地21bとを有する側生地21で形成されていてもよい。この場合、外側地21aと内側地21bとを有する側生地21は使用者の体に接触する部分に設けられていることが好ましい。
掛けふとん1aのキルトパターンは図1および図2に示すものに限定されない。たとえば、図6に示すキルトパターンであってもよい。この掛けふとん1aの変形例では、タタキキルト部3は掛け布団1aの長手方向に渡って湾曲して形成された部分と、その外側の一部に形成された部分とを有している。
また、本発明の一実施の形態の中わた入り製品の一例として掛けふとんについて説明したが、本発明の一実施の形態の中わた入り製品は、たとえば、クッション、まくら、ひざかけ等であってもよい。
図7を参照して、本発明の一実施の形態のクッション1bでは、クッション1bの外周端で側生地21が互いに糸で縫着されている。このクッション1bは、中央部においては側生地21は互いに縫着されていない。
図8を参照して、本発明の一実施の形態のまくら1cでは、まくら1cの外周端で側生地21が互いに糸で縫着されている。このまくら1cは、中央部においては側生地21は互いに縫着されていない。
図9を参照して、本発明の一実施の形態のひざかけ1dでは、ひざかけ1dの外周端で側生地21が互いに糸で縫着されている。このひざかけ1dでは、中央部にタタキキルト部2が形成されており、外周部につかみキルト部3が形成されている。
次に、本発明の一実施の形態の中わた入り製品の作用効果について説明する。
本発明の一実施の形態の中わた入り製品1によれば、側生地21がニット生地からなるため、ニット生地の密度が低いことにより、中わた入り製品1の柔らかい触感と高い通気性とを実現することができる。また、外側地21aと内側地21bとが重ねて配置されているため、外側地21aと内側地21bとの両方によって中わたの製品外部への吹き出しを抑制できる。さらに、内側地21bは外側地21aの目付よりも小さい目付を有しているため、内側地21bによって外側地21aの触感が阻害されない。これにより、中わた入り製品1の柔らかい触感を実現することができる。
本発明の一実施の形態の中わた入り製品1においては、中わた10は、ポリエステル繊維11と、ポリエステル繊維11を覆うシリコンコーティング層12とを含んでいる。これにより、中わた入り製品1に対して外部から圧力が加えられた際に、シリコンコーティング層12によって摩擦抵抗が低くなるため、ポリエステル繊維11が容易に滑って形状変化することができる。このため、さらに柔らかい触感を実現することができる。
本発明の一実施の形態の中わた入り製品1においては、中わた10は、シルク、セルロース系繊維、獣毛繊維よりなる群から選ばれる1種以上の繊維を含んでいる。シルク、レーヨン・キュプラ等のセルロース系繊維、カシミア・キャメル・アルパカ・ウール等の獣毛繊維は繊維の表面において良好な滑り性を有している。このため、中わた入り製品に対して外部から圧力が加えられた際に、中わた同士の摩擦抵抗が低くなるため、中わた同士が滑って形状変化することができる。このため、さらに柔らかい触感を実現することができる。
上記の中わた10を用いることによって、側生地であるニット生地の伸縮性および柔軟性に基づく、外部からの軽い圧力に対しても容易に伸縮および形状変化するという特徴を中わた10が共有することができる。この結果、製品全体として外部からの軽い圧力に対して容易に形状変化し摩擦抵抗感を発生させず、とろけるような触感を生み出すことができる。
本発明の一実施の形態の中わた入り製品1においては、中わた10は長繊維わたを含んでいる。これにより、短繊維わたに比べて、同一の重量あたりの繊維本数を少なくすることができる。このため、中わた10の製品外部への吹き出しの要因となる繊維の先端および終端の数を少なくすることができる。したがって、中わた10の製品外部への吹き出しをさらに抑制することができる。
本発明の一実施の形態の中わた入り製品1においては、外側地21aの目付は100g/m2以上270g/m2以下であり、内側地21bの目付は14g/m2以上95g/m2以下である。これにより、柔らかい触感と、中わた10の製品外部への吹き出しを抑制できる。
以下、本発明の実施例について説明する。
まず、中わたの吹き出し試験について説明する。
表1を参照して、比較例1、実施例1および実施例2の構成について説明する。比較例1、実施例1および実施例2の中わたはすべてシリコンコーティングされた長繊維のポリエステルトウである。このシリコン付きポリエステル長繊維は1.5dの太さを有している。比較例1、実施例1および実施例2の外側地はすべて目付が170g/m2のニット生地である。比較例1は内側地を有していない。実施例1の内側地は目付が14g/m2のニット生地である。実施例2の内側地は目付が50g/m2のニット生地である。
表1、表2、図11〜図13を参照して、比較例1、実施例1および実施例2に関する中わたの吹き出し試験の方法および結果について説明する。
この中わたの吹き出し試験では、比較例1、実施例1および実施例2とも同じ条件でJISL1076(織物及び編物のピリング試験方法)に準拠して試験を行った。具体的には、ボーケン法(ICI形応用法)により試験を行った。ICI型ピリングテスタと特殊ゴム管4本とを準備した。大きさ11.5cm×13.5cmmの側生地を4枚採取した。側生地2枚の3辺(長辺の2辺と短辺の1辺)を縫い合わせて(縫い代0.7cm)裏返し、その中に5gの中わたを入れ、残り一辺の布端を折り込んで縫い合わせて試験試料を作成した。この試験試料を2個作成し、特殊ゴム管4本と一緒に試験機の回転箱へ入れ、1分間に60回の回転速度で10時間操作した。そして、吹き出した中わたの状態を観察し、「認めず」、「認められる」の区分により評価した。また、「認められる」を更に次のように区分し、目立たない(中わたの吹き出しが片面で4箇所以内)、目立つ(中わたの吹き出しが片面で8箇所以内)、著しく目立つ(中わたの吹き出しが片面で9箇所以上)とした。この試験の結果が表1に示されている。
表1および図11に示すように、比較例1では、中わたの吹き出しが認められ、著しく目立った。表1および図12に示すように、実施例1では中わたの吹き出しが認められたが比較例1に比べて少なかった。表1および図13に示すように、実施例2では中わたの吹き出しが認められなかった。これにより、内側地を有する実施例1および実施例2は、内側地を有さない比較例1に比べて中わたの吹き出しを抑制できることがわかった。また実施例2は、実施例1に比べて中わたの吹き出しを抑制できることがわかった。さらに実施例2は、中わたの吹き出しを十分に抑制できることがわかった。
次に、表2を参照して、中わたに短繊維が用いられた比較例2および実施例3に関する中わた吹き出し試験について説明する。
比較例2および実施例3の中わたはすべてシリコンコーティングされた短繊維のポリエステルトウである。このシリコン付きポリエステル短繊維は0.78dの太さを有している。比較例2および実施例3の外側地はすべて目付が170g/m2のニット生地である。比較例2は内側地を有していない。実施例3の内側地は目付が50g/m2のニット生地である。
比較例2および実施例3について、上記と同様の方法で中わたの吹き出し試験を行った。その結果、比較例2では、中わたの吹き出しが認められ、目立った。実施例3では中わたの吹き出しが認められたが目立たなかった。これにより、中わたが短繊維の場合も、内側地を有する実施例3は内側地を有さない比較例2に比べて中わたの吹き出しを抑制できることがわかった。また、表1および表2を参照して、実施例1と実施例3とは、実施例1の中わたが長繊維で形成されているのに対して、実施例3の中わたが短繊維で形成されている点で異なっている。実施例1と実施例3との比較から、中わたが長繊維で形成されている場合には中わたが短繊維で形成されている場合よりもさらに中わたの吹き出しを抑制できることもわかった。
次に、表3を参照して、外側地の目付が異なる比較例3、実施例4および実施例5に関する中わたの吹き出し試験について説明する。
比較例3、実施例4および実施例5の中わたはすべてシリコンコーティングされた長繊維のポリエステルトウである。このシリコン付きポリエステル長繊維は1.5dの太さを有している。比較例3、実施例4および実施例5の内側地はすべて目付が50g/m2のニット生地である。比較例3の外側地は目付が50g/m2のニット生地である。実施例4の外側地は目付が135g/m2のニット生地である。実施例5の外側地は目付が100g/m2のニット生地である。
比較例3、実施例4および実施例5について、上記と同様の方法で中わたの吹き出し試験を行った。その結果、比較例3では、中わたの吹き出しが認められ、著しく目立った。実施例4では中わたの吹き出しが認められたが目立たなかった。実施例5では中わたの吹き出しが認められたが比較例3に比べて少なかった。これにより、実施例4および実施例5は比較例3に比べて中わたの吹き出しを抑制できることがわかった。さらに実施例4は実施例5に比べて中わたの吹き出しを抑制できることがわかった。
次に、触感の官能試験について説明する。
この触感の官能試験では各実施例および比較例について、縦30cmおよび横30cmの各クッションのサンプルを作成し、各被験者が各クッションのサンプルを全て触った上で、最も触感がよいと感じたものをAと評価し、2番目に触感が良いと感じたものをBと評価した。
まず、実施例A〜Dについて、中わたおよび内側地を一定にして、外側地を変化させて触感の官能試験を行った。
表4を参照して、実施例A〜Dの構成について説明する。実施例A〜Dの中わたはすべてシリコンコーティングされた長繊維のポリエステルトウである。このシリコン付きポリエステル長繊維は1.5dの太さを有している。実施例A〜Dの内側地はすべて目付が50g/m2のニット生地である。実施例Aの外側地は目付が100g/m2のニット生地である。実施例Bの外側地は目付が135g/m2のニット生地である。実施例Cの外側地は目付が170g/m2のニット生地である。実施例Dの外側地は目付が270g/m2のニット生地である。
表5を参照して、実施例A〜Dについて、触感の官能試験の結果について説明する。実施例A〜Dとも被験者によってAと評価された。また、実施例A〜Bとも被験者によってBと評価された。これにより、実施例A〜Dとも触感が良いと評価されることがわかった。さらに、実施例Bおよび実施例Cは被験者によるAおよびBの評価が多く、特に触感が良いと評価されたことがわかった。
続いて、比較例A、実施例E〜Gについて、中わたおよび外側地を一定にして、内側地を変化させて触感の官能試験を行った。
表6を参照して、比較例A、実施例E〜Gの構成について説明する。実施例E〜Gの中わたはすべてシリコンコーティングされた長繊維のポリエステルトウである。このシリコン付きポリエステル長繊維は1.5dの太さを有している。比較例A、実施例E〜Gの外側地はすべて目付が170g/m2のニット生地である。比較例Aは内側地を有していない。実施例Eの内側地は目付が14g/m2のニット生地である。実施例Fの内側地は目付が50g/m2のニット生地である。実施例Gの内側地は目付が95g/m2のニット生地である。
表7を参照して、比較例A、実施例E〜Gについて、触感の官能試験の結果について説明する。実施例E〜Fとも被験者によってAと評価された。また、実施例E〜Gとも被験者によってBと評価された。これにより、実施例E〜Gとも触感が良いと評価されることがわかった。さらに、実施例Eおよび実施例Fは被験者によるAおよびBの評価が多く、特に触感が良いと評価されたことがわかった。なお、比較例Aも被験者によってAおよびBと評価されているが、比較例Aは中わたの吹き出しを抑えることができない。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
1 中わた入り製品、1a 掛け布団、1b クッション、1c まくら、2 タタキキルト部、3 つかみキルト部、11 ポリエステル繊維、12 シリコンコーティング層、20 袋体、21 側生地、21a 外側地、21b 内側地、IS 内部空間。

Claims (4)

  1. 中わたと、
    前記中わたを収容可能な内部空間を有し、かつニット生地からなる側生地を有する袋体とを備え、
    前記袋体の前記側生地は、外側地と、前記外側地に対して前記内部空間側に重ねて配置され、かつ前記外側地の目付よりも小さい目付を有する内側地とを含み、
    前記外側地の目付は100g/m 2 以上270g/m 2 以下であり、前記内側地の目付は14g/m 2 以上95g/m 2 以下である、中わた入り製品。
  2. 前記中わたは、ポリエステル繊維と、前記ポリエステル繊維を覆うシリコンコーティング層とを含む、請求項1に記載の中わた入り製品。
  3. 前記中わたは、シルク、セルロース系繊維、獣毛繊維よりなる群から選ばれる1種以上の繊維を含む、請求項1に記載の中わた入り製品。
  4. 前記中わたは長繊維わたを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の中わた入り製品。
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