JP5642386B2 - 高炭素表面緻密化燒結鋼製品およびその製法 - Google Patents

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Description

本発明は、広義には、燒結処理された鉄をベースとする粉末状金属合金物品に係わる。本発明はまた、炭素含有量が極めて均一に分布する燒結金属合金物品に係わる。さらにまた、本発明は、炭素含有量の増大を必要とすることなく燒結処理から直接的に均一且つ高い硬度を有する表面が緻密化された部品を製造する方法にも係わる。
鉄をベースとする燒結生成物は本来が多孔性であるため、高い強度を必要とされる用途には向かないとされてきた。しかし、燒結生成物は比較的低コストで、多様な形状にすることができ、しかも複雑な鋳型へ容易に流入させることが可能である。一般に、燒結生成物は低炭素材料から成形すると強度が低く、多量の炭素を含有する場合は成形適性に劣る。
低炭素材料の場合、表面緻密化が機械的性質および強度、特に接触および曲げ疲労特性を著しく向上させる技術である。この技術は低炭素または無炭素材料を使用して、適度の負荷がかかる自動車用動力伝達部品、例えば、ギヤ、スプロケット、案内溝などの製造に有効であることが立証されている。これらの物品を表面緻密化する幾つかの方法が提案されている。これらの方法のうちには、ある種の冷間成形方法として表面緻密化によって量産に成功しているものがある。熱間成形と比較して、冷間成形には4つの重要な利点がある:(1)高精度の部品が得られる;(2)工具の磨耗が少ない;(3)加工対象物の酸化が防止される;(4)加工対象物を熱処理する必要が無い。反面、冷間成形には重要な制約がある。冷間成形に下記のような厳しい制約があることは金属成形技術の分野において公知である:(1)材料の高い降伏強度が極めて大きい成形応力を生み、これが工具の損傷を招き、比較的大きい成形設備が必要になる;(2)所与の応力状態において、損傷、例えば、破砕には至らない塑性変形に対して抵抗する材料の性能が低下するという点で材料の加工性が低い。粉末混合物中に炭素が多量に存在することでこれらの好ましくない影響が増幅される。炭素濃度が高ければ部品強度も高くなるが、このような高炭素部品は、燒結後の加工性が殆ど、または全く要求されない場合にのみ有効である。
さらに、炭素の存在により、燒結成形体の密度の増加が容易でない。多くの用途において、然るべき性能を達成するには表層の充分な緻密化が必要であるが、一般的に、有意な量の炭素を含有する合金には向かない。
材料の加工性または成形性は、破砕に必要な歪みを著しく軽減する多孔性の存在によってさらに制約される。例えば、0.3重量%超の炭素および5%以上の多孔性を有する燒結鋼の破裂に至る前の変形は0.5乃至2%に制限される。有効な緻密化については、密度が7.2 g/cmの部品が全密度7.87 g/cmに達するには、9%以上の変形が必要になる。部品の初期密度が低ければ低いほど、必要な変形レベルが高くなる。
上述したように、従来、表面緻密化法は主として炭素を全くまたは極めて少量しか含有しない、典型的には、0.2重量%未満しか含有しない材料を使用することに依存してきた。低炭素鋼の使用には現実的に幾つかの重要な制約がある。即ち、低炭素鋼は直接熱処理することができない;多くの場合、熱処理に先立ってガス浸炭処理によって炭素を加える必要がある。特に大型部品の場合、浸炭処理は多大の時間と費用を要する。このような熱処理の結果、深さ数ミリメートル(0.1乃至2 mm)の硬い表層と比較的炭素量の少ない軟質心部が生成する。応力が浅い表層に集中するような用途においては、現在採用されている技術が極めて優れた成果を挙げている。事実、合金要素を慎重に選択し、燒結後
の処理、例えば、浸炭処理を最適化することによって高性能の表面緻密化底炭素粉末金属製品が製造されている。SAE Paperの2006年0396号においてTrasorras、NigaruraおよびSiglが報告し、2006年7月号Gear Solutionの18−22ページにUlf Engstromが報告しているように、低炭素粉末金属部品を表面緻密化処理することによって低炭素展伸または鍛造鋼と同等またはそれ以上の性能が得られる。
しかし、粉末金属技術におけるこれらの開発成功例は米国特許第3,992,763号および第4,002,471号明細書に開示されているような、無心鍛造焼入れ部品を必要とする用途において要求される性能を提供することができない。
従って、無心鍛造焼入れ部品に匹敵する表面緻密化高炭素材料を生成させる方法は開発されていない。実現を望まれる方法は急冷すれば燒結炉で直接焼入れするか、燒結直後に高周波焼入れできるか、または短時間のオーステナイト化処理の後、油焼入れすることによって無心焼入れできる表面緻密化製品を製造できる方法でなければならない。
高い炭素含有量の使用に基づいて、最終的な焼入れ処理方法の選択幅を広くすることができる製造工程および製品を提供する方法を開示する。燒結炉内で直接焼入れする方法、即ち、燒結焼入れ;燒結直後の高周波焼入れまたは燒結後オーステナイト化および油焼入れが特に好ましい焼入れ処理である。この焼入れ処理は熱間鍛造および展伸鋼技術によって製造される同種の部品に匹敵する粉末金属部品を冷間成形できる適性を高める。
本発明は、心部密度が6.8 g/cm乃至7.4 g/cmであるすべての部品について、高炭素燒結鋼を処理してその表面を局所的に7.7 g/cm超の密度まで緻密化する効率的な方法を提供する。この方法によって得られる最終製品の組成物として、予め少なくとも0.3重量%、好ましくは0.4乃至0.9重量%のグラファイト、約0乃至1%のワックス滑剤、およびニッケル、クロム、銅、マンガン、モリブデンから成るグループから選択された少なくとも1つの、または2つ以上の合金元素と混合された鉄または鉄予備合金粉末を含有する初期金属粉末混合物を利用する。上記グループから選択される合金元素のそれぞれの含有率は0乃至3重量%、好ましくは2重量%である。合金元素の総重量%は0乃至5重量%である。Moはベースである鉄粉中に予め合金化することが好ましく、その他の合金元素は元素粉末として添加するか、またはベースである鉄と予め合金化する。
開示されている合金から物品または部品を製造する方法は予め少なくとも0.3重量%、好ましくは0.4乃至0.9重量%のグラファイト、滑剤および必要に応じてニッケル、クロム、マンガンおよびモリブデンから成るグループから選択された少なくとも1種の合金元素と混合した鉄または鉄の予備合金化粉末を締め固めて成形体を得;粉末金属物品を低温で予備焼結することによってグラファイトが鉄中に拡散するのを防止し;重要部位において物品を表面緻密化することによって前記部位における密度を鉄の理論密度の少なくとも97%に緻密化し;物品を燒結することによって炭素を溶体化して燒結処理を完結し、必要に応じて物品を熱処理するステップから成る。
この方法によって、高炭素表面緻密化燒結物品を低コストで製造することができる。予備焼結された状態において、高炭素物品は優れた加工性を示し、容易に表面緻密化することができる。炭素含有率が高いから、これらの物品は1回の燒結で容易に焼入れ可能な状態になり、燒結後、種々の方法で、例えば、燒結炉内での急冷、燒結炉内でのガス焼入れ、燒結後の高周波焼入れ、無心焼入れ(オーステナイト化および焼入れ)などで直接熱処理することができる。
本発明のその他の特徴および利点は添付の図面を参照して以下に述べる本発明の詳細な説明から明らかになるであろう。
特許または出願書類は少なくとも1枚のカラー図面を含む。カラー図面を含むこの特許または特許出願公報は申請書を提出し、規定の料金を支払えば特許庁から配布される。
本発明の上記およびその他の特徴と利点の詳細を添付の図面を参照して以下に説明する。
図1は高炭素材料の表面緻密化部分の腐食のない微小組織の顕微鏡写真である。 図2は高炭素材料の表面密度の概略を示すグラフである。 図3は高周波焼入れによって熱処理された高炭素材料の微小組織を示す一連の顕微鏡写真である。 図4は焼き入れおよび焼き戻しによって熱処理され、浸炭処理された高炭素材料の微小組織の顕微鏡写真である。 図5は熱処理され、浸炭処理された公知低炭素材料の顕微鏡写真である。 図6は熱処理された高炭素材料および低炭素材料の微小硬さを比較するグラフである。 図7は表面緻密化された高炭素材料および低炭素材料の耐用寿命を比較するグラフである。
本発明の合金および関連の製法は高い強度画要求される部品、特に材料を燒結した状態で最終形状に近くなるような表面特徴および形状を有する粉末金属部品に適用できる。用途としては、トランスミッション・ギヤのような自動車用駆動および弁機構部品が含まれる。これらのトランスミッション・ギヤは極めて高い接触疲労強度および曲げ疲労強度を必要とする。
粉末金属合金混合物は次のような組成で形成される:97.40重量%(Fe-Mo)予備合金化粉末、2.0重量%のニッケル粉末、0.6重量%のグラファイト粉末、および0.6重量%のワックス滑剤。このような合金組成物から部品を形成するためには、金型内で混合物を40-65 psiで冷間締め固めることによって密度が約7.2 g/cmのサンプルを形成する。適正な離型を助けるため金型にステアリン酸亜鉛や有機滑剤のような外部滑剤を塗布する。次いで、形成された成形体を少なくとも95%の窒素と残りの水素とから成る雰囲気中で30分間乃至1時間に亘って1950°Fにおいて予備焼結する。この予備焼結ステップは特に部品材料の鉄粒界を越えて炭素が拡散するのを助長することなく粉末粒子の結合を促進するように設定される。結果として、冷間加工中に変形応力に抵抗できる予備成形体が得られる。
次いで、予備焼結された成形体または予備成形体の作業面を冷間成形によって緻密化する。この冷間成形ステップには、荷重を受けて接触する2つの金属間の摩擦によって生ずる熱以外の助けを借りずに冷状態において鋼の塑性変形を誘発する押出し、つや出し、圧延またはその他の方法が含まれることがある。
次いで、冷間成形された予備成形体を95% N/5% H雰囲気中で25分間に亘って約2100°Fの温度において燒結する。窒素-水素雰囲気は金属粉末中の酸素および/または不純物を化学的に還元できるものでなければならず、その比は主として利用する合
金要素の混合比に応じて異なる。真空下で燒結しても同様な結果を得ることができる。予備成形体中の炭素含有量を正確に制御することが重要であり、炉内の高い水蒸気含有量または酸素レベルに起因する脱炭のよる炭素損失を回避しなければならない。状況によっては、仕上がり部品中の全体的な炭素濃度を粉末に混合されているグラファイトのレベル以上にするため、燒結炉に炭素を添加することができる。
合金元素によっては、燒結炉内で燒結部品を温度1000°F乃至400°Fにおいて少なくとも1.5°F/秒の冷却速度で急冷することによって部品の全断面積に少なくとも90%のマルテンサイトから成る微小組織を形成する。これに代わる方法として、(1)燒結された部品の臨界面を約1-3秒間誘導加熱した後、油または水焼入れする;または(2)1600°F乃至1950°Fの浸炭または中性炭素雰囲気下の炉内で加熱した後、油または水焼入れすることによって部品を焼入れ処理する。熱処理は燒結焼入れ、誘導加熱またはオーステナイト化および焼入れによって行なうことができ、いずれもその後に1乃至2時間に亘って300°F乃至450°Fの空気中で焼き戻せばよい。
従来の材料は、多くの場合、燒結された部品にある程度浸炭するため製造工程のこの段階で浸炭処理された。低炭素または無炭素材料に関する典型的な浸炭例としては、高温において炭素含有ガスに4時間超の時間にわたって露出させることによって表面または表面近傍域の炭素濃度を高めるという方法があり、炭素濃度が高くなる領域の深さは炉内でこの炭素雰囲気に部品を露出させる時間と温度によって決定される。このような浸炭方法は表面から炭素が地(マトリックス)の0.4重量%となる所定距離までの炭素濃度勾配によって特徴付けられる。この高炭素域の構造は比較的浅い表層においてのみ高い強度を可能にするマルテンサイト構造に相当する。この方法は、特に大型部品に採用する場合、経費がかかり、手間もかかる。場合によっては、炭素ガスへの露出が不均一になり、部品中の浸炭度に一貫性がなくなり、結果として、仕上がり部品の構造強度および/または性能が制約されたり、ばらついたりすることになる。コストのほかに、高温の浸炭炉内に長時間放置することの重大な不都合は仕上がり部品の結晶粒度が大きくなることである。結晶粒度が大きくなることは望ましくないことであり、強度も破砕抵抗も低下することになる。
ここに開示する燒結部品は炭素が約0.5重量%の濃度で、しかも部品全体にほぼ均一に分布するという条件を達成しながら、粉末金属部品に典型的である比較的小さい結晶粒度を有する。部品全体に炭素が高い含有率で存在すれば、部品全体にマルテンサイト構造を形成することができ、結果として、部品表面の性能が高まるだけでなく、部品全体により均一な強度および破砕抵抗が達成される。これに加えて、浸炭工程が省かれることで部品製造のコストと時間が著しく軽減される。
図1は高炭素材料の表面緻密化部分の典型的な、腐食のない微小組織を示す。図1は矢印5で示す1000μmの領域内の完全緻密化の状態から不完全緻密の状態までの材料の勾配を示している。完全緻密化層は約100μmである。材料密度は標識で示すように表面から心部へ深くなるに従って次第に小さくなり、心部密度7.35 g/cmにまで達する。材料中の微細孔を表わす黒点の数で密度を可視化している。図2は深さの関数として密度の変化を示している。密度は画像分析技術を利用して測定した。材料の密度は約0.8 mmの深さまで鋼の理論密度の97%(7.6 g/cm)よりも高い密度を有する。表面緻密化高炭素材料の典型的な微小組織を図3および図4に示す。比較のため、表面緻密化無炭素材料の微小組織を図5に示す。熱処理後の表面緻密化高炭素材料と公知の低炭素材料を比較する微小硬さの変化を図6に示す。図6から明らかなように、心部ではその深さに応じて硬さに差がある。
ここに開示する方法は燒結後の熱処理によって最終的な内部微小組織を広い範囲内で変
化させることを可能にする。図3、4および5から明らかなように、条件に応じて、内部微小組織全体がマルテンサイトとすることも、または表層だけをマルテンサイトとすることもできる。図3に示すように、高炭素材料は焼入れ直後に誘導加熱および焼入れすることによって少なくとも2.5 mmの深いマルテンサイト硬化層を形成する。硬化層の深さは熱処理の際に採用する条件によって選択することができる。図4に示すように、オーステナイト化および焼入れ後に表面緻密化高炭素材料を無心焼入れすることによって、部品全体にマルテンサイトが形成される。図3aに示すように、高周波焼入れされた部品のマルテンサイト表層10はパーライト心部12とは境界が鮮明である。倍率をさらに高くした図3bおよび図3cはマルテンサイト微小組織とパーライト微小組織をより鮮明に示している。図4はオーステナイト化と焼入れによって無心焼入れされた部品の同様の特徴を示している。図4aが均一なマルテンサイト微小組織を示すのに対して、図4bおよび図4cは部品のサイズや形状に関係なく部品が完全にマルテンサイトに変換されていることをさらに高い倍率で示す。
これに対して、表面緻密化された低炭素材料は表面に浅いマルテンサイト層14を形成し、残りの大部分にソフトフェライト組織16を形成する。図示のような微小組織の相違は特に高い疲労強度を要求する用途において、性能に重大な影響を及ぼす。炭素含有率の異なる表面緻密化材料間の疲労強度差を特徴付けるため、2つのタイプの材料で製造された表面緻密化部品を疲労テスターで測定評価した。
低炭素材料および高炭素材料に関して、破壊に至るまでのサイクル数を図7にグラフで示した。本発明の方法で製造された高炭素材料は浸炭処理された低炭素材料よりも耐用寿命が長い。このことは大きい負荷がかかる部品の耐用寿命に心部の硬さが著しく影響する接触疲労の実質的な改善である。
接触疲労および曲げ疲労に対する強度の改善に加えて、本発明の燒結粉末金属組成物から映像された物品は製造上および性能上の観点から重要な特性である優れた寸法安定性および加工性を有する。
本発明の具体的な実施例を添付の図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではなく、後記する請求項に定義されているように、多様な構成変更や代案が可能である。

Claims (23)

  1. 高炭素の表面緻密化された燒結鋼物品の製法であって、
    a)粉末混合物中に少なくとも0.4質量%の炭素を含有する鉄をベースとする粉末を締め固めて、心部密度が6.8 g/cm(6.8 g/cc)乃至7.4 g/cm(7.4 g/cc)となる物品を成形し;
    b)ステップa)で得た物品を1066℃(1950°F)未満の温度で予備燒結し;
    c)ステップb)で得た物品を表面緻密化処理して、0.8乃至2.0 mmの深さまでの表面密度を心部密度よりも高い値まで増加させ、表面と心部との間に密度勾配を形成し;
    d)ステップc)で得た物品を燒結する
    ステップから成り、
    燒結鋼物品の表面密度は、表面から心部へ深くなるに従って、心部密度に至るまで、次第に小さくなっており、
    燒結鋼物品の表面密度は、0.8 mmの深さまで、7.6 g/cm(7.6 g/cc)よりも高い、
    前記製法。
  2. ステップd)で得た燒結済み物品を熱処理する最終ステップをも含む請求項1に記載の製法。
  3. 前記鉄をベースとする粉末が少なくとも0.5質量%の炭素を含有する請求項1に記載の製法。
  4. 鉄をベースとする粉末がほかに
    0.4乃至0.9質量%のグラファイト;
    0.5乃至5質量%の、ニッケル、クロム、銅、マンガンおよびモリブデンから成るグループから選択された少なくとも1つの合金元素;および
    0.3乃至0.75質量%の滑剤を含有する請求項1に記載の製法。
  5. 前記予備焼結ステップを、760℃(1400°F)乃至1066℃(1950°F)の温度で行う、請求項1に記載の製法。
  6. 前記予備焼結ステップにより、グラファイトの拡散を抑制し、鉄の結晶粒界にとどめる請求項4に記載の製法。
  7. 前記焼結ステップを、化学的中性雰囲気または浸炭雰囲気下で行う、請求項1に記載の製法。
  8. 前記焼結ステップの後に、ステップd)で得た物品を焼結炉内で急冷することによって物品断面全域に亘って硬質のマルテンサイト微小組織を形成する請求項7に記載の製法。
  9. 前記焼結ステップの後に、ステップd)で得た物品を0.5乃至3 mmの所定深さまで高周波焼入れする請求項1に記載の製法。
  10. 前記焼結ステップの後に、ステップd)で得た物品を871℃(1600°F)乃至1038℃(1900°F)においてオーステナイト化する請求項7に記載の製法。
  11. 前記焼結ステップの後に、ステップd)で得た物品を、871℃(1600°F)乃至1038℃(1900°F)においてオーステナイト化した後に、油冷または水冷する請求項10に記載の製法。
  12. 燒結鋼物品であって、
    a)粉末混合物中に少なくとも0.4質量%のCを含有する鉄をベースとする粉末を締め固めて、心部密度が6.8 g/cm(6.8 g/cc)乃至7.4 g/cm(7.4 g/cc)となる物品を成形し;
    b)ステップa)で得た物品を1066℃(1950°F)未満の温度で予備燒結し;
    c)ステップb)で得た物品を表面緻密化して、0.8乃至2.0 mmの深さまでの表面密度を心部密度よりも高い値まで増加させ、表面と心部との間に密度勾配を形成し;
    d)ステップc)で得た物品を燒結するステップによって形成され、
    燒結鋼物品は、6.8乃至7.4 g/cm(6.8乃至7.4 g/cc)の心部密度を有し、
    燒結鋼物品の表面密度は、0.8 mmの深さまで、7.6 g/cm(7.6 g/cc)よりも高く、
    燒結鋼物品の表面密度は、表面から心部へ深くなるに従って、心部密度に至るまで、次第に小さくなっている、
    燒結鋼物品。
  13. ステップd)で得た燒結された物品を熱処理する最終ステップをも含む請求項12に記載の燒結鋼物品。
  14. 前記鉄をベースとする粉末が少なくとも0.5質量%の炭素を含有する請求項12に記載の燒結鋼物品。
  15. 前記燒結鋼物品が55乃至65 HRCの硬度を有する緻密化表面を含む請求項12に記載の燒結鋼物品。
  16. 鉄をベースとする粉末がほかに
    0.4乃至0.9質量%のグラファイト;
    0.5乃至5質量%の、ニッケル、クロム、銅、マンガンおよびモリブデンから成るグループから選択された少なくとも1つの合金要素;および
    0.3乃至0.75質量%の滑剤を含有する請求項12に記載の燒結鋼物品。
  17. 少なくとも0.4質量%のCを含有する鉄をベースとする粉末から成形された燒結鋼物品であって、
    a)6.8乃至7.4 g/cm(6.8乃至7.4 g/cc)の心部密度;
    b)0.8乃至2.0 mmの深さまでの前記心部密度よりも大きい表面密度、
    表面と心部との間における密度勾配の確立、
    表面から心部へ深くなるに従って、心部密度に至るまで、次第に小さくなっている表面密度、及び
    0.8 mmの深さまで、7.6 g/cm(7.6 g/cc)よりも高い表面密度;および
    c)燒結鋼物品全体に亘るマルテンサイト微小組織を含む前記燒結鋼物品。
  18. 前記鉄をベースとする粉末が少なくとも0.5質量%の炭素を含有する請求項17に記載の燒結鋼物品。
  19. 前記燒結鋼物品が55乃至65 HRCの硬度を有する緻密化表面を含む請求項17に記載の燒結鋼物品。
  20. 鉄をベースとする粉末がほかに
    0.4乃至0.9質量%のグラファイト;
    0.5乃至5質量%の、ニッケル、クロム、銅、マンガンおよびモリブデンから成るグループから選択された少なくとも1つの合金元素;および
    0.3乃至0.75質量%の滑剤を含有する請求項17に記載の燒結鋼物品。
  21. 前記表面緻密化処理により、ステップd)で得られる物品表面の少なくとも一部を鉄の理論密度の少なくとも97%まで緻密化する請求項1に記載の製法。
  22. 燒結鋼物品の表面緻密化層が鉄の最大理論密度の少なくとも97%の密度を有する請求項12に記載の燒結鋼物品。
  23. 燒結鋼物品の表面緻密化層は鉄の最大理論密度の少なくとも97%の密度を有する請求項17に記載の燒結鋼物品。
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