JP5639931B2 - 蒸留塔の無害化方法 - Google Patents
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Description
そして、その使用を規制するとともにPCBを含有する絶縁油が既に含まれているコンデンサやトランス等の機器(以下「PCB汚染機器」ともいう)については回収措置がとられて下記特許文献1に示されているように管理区域が設けられた特別な施設において無害化処理がなされている。
例えば、従来の処理施設には、洗浄装置と、該洗浄装置に付随する抜油装置や解体装置などの装置類とで構成された洗浄部と、該洗浄部でトランスやコンデンサの洗浄に利用されてPCBを含有する状態になった洗浄油(PCB含有洗浄油)を蒸留して再生洗浄油を作製するための蒸留再生部と、抜油したPCB含有絶縁油を脱ハロゲン化処理するための装置で構成された脱ハロゲン化部とを有する設備が設けられたりしている。
即ち、PCB汚染機器無害化施設に設置されているPCB汚染機器無害化設備を構成している装置類の内部にはコンデンサやトランス等の電気機器と同程度のPCBが付着している機器もあるため、最終的にはこれらを無害化処理して設備を解体処理する必要がある。
しかし、これらを無害化することについては殆ど検討されている事例がなく、有効な方法が確立されていない。
特に、蒸留塔においては、内部に複雑な形状を有する充填物が収容されている場合が多いため単純な洗浄方法では内部を十分に清浄化するのに多大な手間を要するおそれがある。
なお、蒸留塔を効率良く無害化することは、PCB無害化処理の役目を終えた設備全体を解体するような場合において求められているものではなく、蒸留塔のみを新たなものに取り替えるような交換修理においても求められるものである。
PCB汚染機器無害化設備を構成する装置の中でも、特に、蒸留塔は、内部に複雑な形状を有する充填物が収容されている場合が多いため単純に拭き取るだけでは内部を十分に清浄化することは実質上不可能である。
一方でスプレー洗浄装置で洗浄油を吹き付けるような方法を採用すると、拭き取りに比べると細部にまで洗浄効果を発揮させることが容易ではあるものの単に表面を洗い流すだけでは前記のような隙間に入り込んだPCBや部材に浸透しているPCBあるいは多段に積層された充填物に付着しているPCBなどを除去することが難しく、可能であったとしても洗浄油の使用量が膨大なものとなるおそれを有する。
また、その場合には、洗浄油を大量に使用することでPCB含有洗浄油を大量に発生させるおそれも有する。
即ち、これらの方法では蒸留塔のPCB付着量を効率良く低減することが難しい。
さらには、スプレー洗浄や拭き取りにおいては蒸留塔を大きく開口させなければ作業を行い難いため、これらの作業効率を向上させようとすると内部のPCBを作業空間に飛散させるおそれを有する。
このことについてより詳しく説明すると、PCB含有洗浄油の蒸留を行っている蒸留塔内の空間には、洗浄油蒸気及び凝縮液が、缶出液が貯留されている箇所(塔底)から留出液が貯留されている箇所(塔頂)にかけてPCB濃度を変化させながら存在しており、通常、留出液が貯留されている箇所に至っては、PCBが存在していないか、存在したとしても極僅かである。
この蒸留塔に清浄な洗浄油を導入することで、蒸留塔の内壁面や充填物はそれまでよりもPCB濃度の低い洗浄油蒸気および凝縮液に曝されることになる。
即ち、洗浄油蒸気による洗浄の効果が極狭い隙間に対しても良好に発揮されるとともに前記洗浄油蒸気および凝縮液が樹脂製部材等に浸透しているPCBの抽出にも有効に作用する。
このことから蒸留塔におけるPCB付着量を効率良く減少させることができる。
まず、図面を参照しつつ、 PCB汚染機器無害化施設における設備構成について説明する。
図1は、PCB含有絶縁油を含んだトランスを無害化するための施設における設備構成を示すものであり、第一処理室1と第二処理室2との2つの管理区域を有する建物におけるPCB汚染機器無害化設備の配置状況を模式的に示すものである。
また、図2は、蒸留塔の内部構造を示す概略図である。
一方で、前記第二処理室2には、第一処理室1でトランスAから回収されたPCB含有絶縁油を脱ハロゲン化処理するための脱ハロゲン化部30が備えられている。
また、洗浄部10と蒸留再生部20とは、洗浄部10での洗浄がある程度進行した際に排出されるPCB含有洗浄油を前記蒸留再生部20に搬送するためのPCB含有洗浄油配管L3と、該PCB含有洗浄油を蒸留再生部20で再生して得られる再生洗浄油を洗浄に再利用すべく前記洗浄部10に搬送するための洗浄油供給配管L2とで接続されている。
なお、前記第一処理室1には、再生洗浄油に代えて未使用の洗浄油(新油)を利用し得るように新油貯留槽51が備えられており、該新油を洗浄油供給配管L2を通じて前記洗浄部10に供給し得るように前記該新油貯留槽51と洗浄油供給配管L2とが新油供給配管L4によって接続されている。
また、洗浄部10には、前記抜油装置11で内部洗浄されたトランスAをケーシングと内部素子などに大まかに解体する粗解体装置12、該粗解体装置12で解体物の状態にされたトランスAを改めて洗浄油で洗浄する一次洗浄装置13、該一次洗浄後のトランスを必要に応じて二次解体する二次解体装置14などがさらに備えられている。
また、洗浄部10には、前記一次洗浄後、又は、二次解体後のトランスを再び洗浄油で洗浄する二次洗浄装置15、該二次洗浄後のトランスをPCBの含有量が基準値以下となるように洗浄するための仕上げ洗浄装置16などが備えられている。
前記2台の蒸留塔21,22の内、処理前段側に設けられた蒸留塔21(以下「第一蒸留塔21」ともいう)は、PCB含有洗浄油配管L3を通じてPCB含有洗浄油槽17からPCB含有洗浄油を導入させて、該PCB含有洗浄油よりもPCB濃度の高い缶出液とPCB濃度の低い留出液とに分離させるためのものであり、後段側の蒸留塔22(以下「第二蒸留塔22」ともいう)は、PCBを微量含んだ前記第一蒸留塔21の留出液を導入させて、該留出液を分離し、前記留出液からPCBをさらに除去してトランスAの洗浄に利用可能な再生洗浄油を得るためのものである。
前記第一留出液排出配管L7は、第一蒸留塔21と第二蒸留塔22とを接続する形で設けられており、その途中箇所に留出液蒸気を冷却して液体化させるための凝縮器23(以下「第一凝縮器23」ともいう)と、液体化された留出液を一次貯留するための留出液貯留槽25(以下「第一留出液貯留槽25」ともいう)が設けられている。
また、該第一缶出液還流配管L9の途中箇所には缶出液を所定温度に加熱して第一蒸留塔21に返送するための熱交換器27が設けられている。
この第一蒸留塔21は、前記塔本体211の内部空間が、2つの充填物212,213によって上下方向に仕切られた状態となっており、この2つの充填物212,213は、上下方向に離間した状態で塔本体211の中央部に収容されている。
このように2つの充填物211,212が塔本体内において上下に離間された状態で収容されていることによって上段側の充填物212(以下「上部充填物212」ともいう)と下段側の充填物213(以下「下部充填物」ともいう)との間に空間が形成されているとともに上部充填物212と塔本体211の頂部との間、並びに、下部充填物213と塔本体211の底部との間にも空間が形成されている。
また、下部充填物213と塔本体211の底部との間の空間は、その底部において缶出液C1を滞留させるための空間216(以下、「缶出液滞留空間216」ともいう)となっている。
なお、この第一蒸留塔21には、塔頂内部の前記留出液滞留空間215に滞留している留出液蒸気の温度を測定するための上部温度計T1と、前記導入空間214の温度を測定するための中部温度計T2と、前記缶出液滞留空間216に滞留している缶出液C1の温度を測定するための下部温度計T3とが備えられている。
一方で、缶出液還流配管L9を通じて第一蒸留塔21に返送される缶出液は、前記缶出液滞留空間216に返送されるようになっており、該缶出液滞留空間216と前記熱交換器27との間を循環することによって概ね一定の温度で缶出液が第一蒸留塔内に滞留され得るようになっている。
このとき、前記缶出液などから蒸発する蒸気には、洗浄油に加えて僅かにPCBが含まれており、留出液滞留空間215に到達する過程において前記充填物211,212表面を伝って滴下する洗浄油との接触によって精製がなされるものの第一蒸留塔21の頂部から排出される留出液蒸気には僅かにPCBが含有されることになる。
即ち、2つの充填物が上下に離間して、その間に第一蒸留塔21の留出液を導入させる導入空間が形成されている点、該導入空間の温度を測定する温度計T5、缶出液滞留空間の缶出液の温度を測定する温度計T6、及び、塔頂における留出液滞留空間の気体温度を測定する温度計T4が備えられている点についても第二蒸留塔22は、第一蒸留塔21と共通している。
そして、前記第二蒸留塔22にも、第一蒸留塔側と同様の装置類が付帯されており、缶出液を塔外に排出するための缶出液排出配管L10(以下「第二缶出液排出配管L10」ともいう)、及び、留出液を塔外に排出するための留出液排出配管L11(以下「第二留出液排出配管L11」ともいう)とがそれぞれ接続されている点においては、第二蒸留塔22と第一蒸留塔21とは共通している。
さらに、留出液排出配管L11の途中において、順に、凝縮器24(以下「第二凝縮器24」ともいう)と留出液貯留槽26(以下「第二留出液貯留槽26」ともいう)とが備えられ、該第二留出液貯留槽26から第二蒸留塔内に一部の留出液を戻すための留出液還流配管L12(以下「第二留出液還流配管L12」ともいう)が備えられている点においても第二蒸留塔22と第一蒸留塔21とは共通している。
また、塔外に排出された缶出液の一部が第二缶出液排出配管L10から分岐した缶出液還流配管L13(第二缶出液還流配管L13)を通じて缶出液滞留空間に返送されるのに際して熱交換器28で加熱される点についても第一蒸留塔21と共通している。
この洗浄油供給配管L2と洗浄油還流配管L5とが接続されている箇所には三方弁V5が設けられており、再生洗浄油を洗浄部10に供給するモードと前記PCB含有洗浄油配管L3を通じて第一蒸留塔21に供給するモードとを選択し得るようになっている。
また第一処理室1には、室内を僅かに負圧状態にして気化したPCBが室外に漏洩しないようにブロア56が設けられており、該ブロア56は、活性炭フィルター57を通じて室内の空気を屋外に排気し得るように設けられている。
前記のように第二処理室2にはPCBは、第一処理室1でトランスAから回収されたPCB含有絶縁油を脱ハロゲン化処理するための脱ハロゲン化部30が備えられている。
なお、この再生スクラバー油槽37には、当該再生スクラバー油槽37に貯留する再生スクラバー油を前記第一処理室1のオイルスクラバー53に利用し得るように再生スクラバー油搬送配管L15が接続されている。
(第一の蒸留塔浄化工程)
トランスの無害化をこれ以上実施する必要がないのであれば、抜油装置11、粗解体装置12、二次解体装置14、及び、高濃度PCB含有液搬送配管L1は、もはやその必要性を大きく低下させているため、当該第一の蒸留塔浄化工程は、例えば図3に示すように、これらに対する解体、洗浄を行うことで実施することができる。
また、トランスの無害化をこれ以上実施する必要がないのであれば、脱ハロゲン化部30の第一貯留槽31もその必要性を大きく低下させることになるため、第一貯留槽31の洗浄を上記装置類の洗浄に併せて実施しても良い。
具体的には、これらの装置類(抜油装置、解体装置、ポンプなどの高濃度PCB含有液搬送配管途中に配される装置、各種計器や治具などの装置付帯部材、管、継ぎ手、弁、シール材などの高濃度PCB含有液搬送配管構成部材等)を解体し、これらを一次洗浄装置13に導入して、前記再生洗浄油貯留槽29から洗浄油供給配管L2を通じてこの一次洗浄装置13に再生洗浄油を供給しつつ一次洗浄を実施し、次いで、同様に、二次洗浄及び仕上げ洗浄を実施し第一の蒸留塔浄化工程に利用する低濃度PCB含有洗浄油を作製することができる。
そして、この低濃度PCB含有洗浄油を蒸留塔21,22に供給して再生洗浄油を作製することで蒸留塔内のPCB付着量を減少させることができる。
そうすると塔内の狭小箇所に入り込んでいるPCBや部材に浸透しているPCBといった、なかば塔本体に固定されてしまっているPCBが、塔内全体のPCB濃度がそれまでに比べて低下することで塔内の液体や洗浄油蒸気によって抽出され缶出液として外部に除去されることになる。
このとき、二次洗浄装置15の洗浄を、仕上げ洗浄装置自身もが十分清浄な状態になるまで実施することが好ましく、このことによって二次洗浄装置15とともに仕上げ洗浄装置16も無害化処理させることができる。
このようにして、図4に示すように、蒸留塔21,22の解体に先立って洗浄部10を構成している殆どの装置類を無害化して解体処理することができる。
なお、洗浄後の抜油装置11、粗解体装置12、二次解体装置14、高濃度PCB含有液搬送配管L1、一次洗浄装置13、二次洗浄装置15、仕上げ洗浄装置16及びPCB含有洗浄油槽17は、十分にPCB除去がなされているようであればそのまま施設外に払い出して処分することができ、必要であれば前記真空加熱装置52で真空加熱して無害化させて施設外に払い出して処分すればよい。
本実施形態においては、この第一の蒸留塔浄化工程においてPCB付着量が減少された蒸留塔21,22に対してさらにPCB付着量を減少させて蒸留塔21,22を無害化する第二の蒸留塔浄化工程を実施する。
この第二の蒸留塔浄化工程は、第一の蒸留塔浄化工程が終了し、PCB含有洗浄油槽17に蓄えられた全てのPCB含有洗浄油を再生した後に、例えば図5に示すように、前記再生洗浄油貯留槽29からの洗浄油の供給先を、洗浄油還流配管L5を経由させて第一蒸留塔21とし、且つ、前記第二蒸留塔22の缶出液を第一蒸留塔21ではなく脱ハロゲン化部30に供給させて第一蒸留塔21及び第二蒸留塔22を運転させることで実施可能である。
この下部充填物213には、通常、前記第一の蒸留塔浄化工程において導入された低濃度PCB含有洗浄油と同等の低濃度なPCB含有洗浄油が付着しているが、この第二の蒸留塔浄化工程においては清浄な洗浄油が滴下されることからさらに清浄な状態に洗浄されることになる。
そうすると、熱交換器27や、缶出液還流配管L9の内部もPCB濃度の低い洗浄油が流通されることでPCB付着量を減少させることになる。
また、下部温度計T3の挿入部分に塔本体211との間に狭い隙間が形成されていたとしても、この隙間に侵入しているPCB含有絶縁油と缶出液との間で濃度の平衡を保つような作用が働き、この隙間内部にまで洗浄効果が発揮されることになる。
また、第一缶出液排出配管L6と缶出液還流配管L9との接続箇所や、缶出液還流配管L9と熱交換器27との接続箇所に用いられているシール材にPCB含有絶縁油が浸透しているような場合も同様にPCBが除去されることになる。
また、この排出させた缶出液は、これまで通り第二処理室2の第二貯留槽32へ搬送し脱ハロゲン処理させることができる。
この第二蒸留塔22から排出される留出液は、再生洗浄油貯留槽29に戻して再び蒸留塔内の洗浄に利用することができる。
ここで、第二の蒸留塔浄化工程の開始時点においては蒸留塔内の洗浄油の量を安定させようとすると、第一蒸留塔21の缶出液排出量(A)と第二蒸留塔の缶出液排出量(B)とをあわせた量(A+B)の再生絶縁油、又は、新油を再生洗浄油貯留槽29か新油貯留槽51から供給する必要が生じるが、第二蒸留塔22から排出される缶出液が再生洗浄油として利用可能な程度になった時点でこの留出液を第一蒸留塔21に戻すことにより、再生洗浄油貯留槽29又は新油貯留槽51からの洗浄油供給量を第一蒸留塔21の缶出液排出量に見合う量(A)に減量することができる。
この解体処理した第一蒸留塔21は、そのまま施設外に払い出して処分することができ、必要であれば前記真空加熱装置52で真空加熱して無害化させて施設外に払い出して処分すればよい。
なお、この場合、第一留出液排出配管L7と洗浄油供給配管L2とを接続する新たなバイパス配管Laを設けて第一蒸留塔21の留出液が洗浄油供給配管L2及び洗浄油還流配管L5を経由して再び第一蒸留塔21に返送されるようにすればよい。
例えば、第一蒸留塔21から排出される缶出液のPCB濃度が十分に低下し、第一蒸留塔21が清浄化されたと判断された場合でも、第一蒸留塔21を解体した際に思わぬ箇所においてPCBの付着が発見されるおそれがある。
一方で、第二蒸留塔22は、普段から比較的清浄な条件下で運転されているために、このような不測の事態を招くおそれが低い。
従って、仕上げ洗浄装置16を解体せずにこの第二蒸留塔22とともに最後まで残しておくか、或いは、簡易型の洗浄装置を新たに導入させて第一蒸留塔21の内部にPCBが残存していた場合にこの簡易型の洗浄装置、又は、残存させた仕上げ洗浄装置16で洗浄し、この洗浄装置から排出されるPCB含有洗浄油を第二蒸留塔22で蒸留分離させるとともに第二蒸留塔22で得られる再生洗浄油を第一蒸留塔21の解体物の洗浄に再利用するようにしてもよい。
即ち、第一蒸留塔21などの他の装置類の無害化が完了するまで、内部にPCBが付着しているおそれの低い洗浄装置と第二蒸留塔22とを残存させておいて、この第二蒸留塔22を最後に解体処理するようにしてもよい。
ただし、図4に示した態様において、新油や再生洗浄油といった清浄な洗浄油を第一蒸留塔21の缶出液排出量に見合う分だけ供給しつつ蒸留塔21,22を運転すると、運転開始後しばらくの間は第二蒸留塔22の缶出液にPCBが含まれているため、第一蒸留塔21に清浄な洗浄油を供給して第二の蒸留塔浄化工程を開始させるまでにある程度の時間を要する。
この図4に示した態様で第二の蒸留塔浄化工程を実施させると全体の浄化に時間を要するおそれがある一方で、缶出液の流路を切り替えたりせずに第一の蒸留塔浄化工程から第二の蒸留塔浄化工程へと移行することができるという利点を有する。
例えば、第二蒸留塔22において、蒸留塔の上部から得られる留出液がPCBをほとんど含んでおらず、これに対して、缶出液がPCBを含んでいる場合は、そのPCB濃度に応じて蒸留塔内に温度勾配ができる。
これに対して、洗浄が進み、缶出液がほとんどPCBを含まなくなると蒸留塔内の温度勾配が小さくなっていく。このように蒸留塔内の温度勾配を測定することで、蒸留塔内がどの程度洗浄されたか把握することができる。
この最終判定において、通常、缶出液のPCB濃度が0.5ppm程度以下であれば蒸留塔が十分浄化された状態であると判断することができる。
ただし、予期せぬ場所に、PCBが付着しているおそれがあることを勘案すると、缶出液のPCB濃度が0.1ppm以下となるまで第二の蒸留塔浄化工程を継続することが好ましく、検出限界以下となるまで第二の蒸留塔浄化工程を継続することがより好ましい。
この缶出液のPCB濃度の測定は、第一蒸留塔21と第二蒸留塔22との両方に対して実施する必要はなく、第一蒸留塔21において缶出液のPCB濃度が上記以下となっているようであれば、第二蒸留塔22においても缶出液のPCB濃度が上記以下となっていると判断することができるため第一蒸留塔側においてのみ実施すればよい。
例えば、前記第一蒸留塔と第二蒸留塔との間に他の蒸留塔が備えられているような場合には、第一蒸留塔の留出液を他の蒸留塔に導入して留出液と缶出液とに分離し、該他の蒸留塔から排出される留出液を第二蒸留塔に導入させるとともに缶出液を第一蒸留塔に戻し、且つ、第二蒸留塔の缶出液を前記他の蒸留塔に戻すようにすればよい。
このように3基以上の蒸留塔を配置して、前記第一蒸留塔に対して低濃度PCB含有洗浄油を供給ししつつ蒸留塔浄化工程を実施すれば本実施形態に例示のPCB汚染機器無害化設備の解体方法と同様の効果を得ることができる。
即ち、第一蒸留塔の留出液を第二蒸留塔に直接導入させずに、他の蒸留塔を介して間接的に導入させた場合でも同様の効果を得ることができる。
例えば、第一蒸留塔と第二蒸留塔との間に第三蒸留塔を備えている場合も、本実施形態と同様に、第二蒸留塔、第三蒸留塔、第一蒸留塔の順に清浄化された蒸留塔から順に解体するようにすれば良い。
また、不測の事態に備えて第一蒸留塔、第三蒸留塔、第二蒸留塔の順で前段に設けられた蒸留塔から順に解体しても良い。
4基以上の蒸留塔を備える場合も同様である。
また、蒸留塔の構造についても本実施形態に記載の蒸留塔に限定されず充填物を2段以上有する蒸留塔にも適用できる。
また、缶出液の加熱方法も本実施形態に記載の方法に限定されず、蒸留塔の底部に循環ラインを設け、循環ライン中に缶出液を加熱するための熱交換器を設けても良く、缶出液貯留部にヒーターを設けて缶出液を加熱する構成としても良い。
また、本実施形態においては、ノルマルパラフィンを洗浄油として利用する場合を例示しているが、PCBに対する溶解性が高く、PCBよりも沸点が低く蒸留塔での分離が可能なものであれば洗浄油を特にノルマルパラフィンに限定するものでもない。
また、本実施形態では抜油装置11,粗解体装置12,二次解体装置14からの汚染油を配管L1を通じて第二処理室に供給しているが、これらの配管接続については特に限定されない。
例えば、本明細書中に明記されていない事項で、従来、PCBに汚染された汚染物の無害化に利用されている技術事項については、本発明の効果が著しく損なわれない範囲においては、本発明に採用が可能なものである。
2 第二処理室
10 洗浄部
11 抜油装置
12 粗解体装置
13 一次洗浄装置
14 二次解体装置
15 二次洗浄装置
16 仕上げ洗浄装置
17 PCB含有洗浄油槽
20 蒸留再生部
21 第一蒸留塔
22 第二蒸留塔
29 再生洗浄油貯留槽
30 脱ハロゲン化部
34 反応槽
35 ナトリウム分散体槽
51 新油貯留槽
211 塔本体
212 上部充填物
213 下部充填物
L1 高濃度PCB含有液搬送配管
L2 洗浄油供給配管
L3 PCB含有洗浄油配管
L4 新油供給配管
L5 洗浄油還流配管
T1〜T6 温度計
Claims (3)
- PCB含有絶縁油を含む機器が洗浄油で洗浄されることによって生じたPCB含有洗浄油を蒸留して前記PCB含有洗浄油よりもPCB濃度の高い缶出液とPCB濃度の低い留出液とに分離するための蒸留塔に前記PCB含有洗浄油に代えて清浄な洗浄油を導入させて前記蒸留塔を運転させることにより、前記清浄な洗浄油で蒸留塔内部を洗浄するとともに該洗浄によって生じたPCB含有洗浄油を該PCB含有洗浄油よりもPCB濃度の高い缶出液とPCB濃度の低い留出液とに分離し、該分離によって得られた缶出液を蒸留塔外に排出させるとともに留出液を蒸留塔内の前記洗浄に利用することを特徴とする蒸留塔の無害化方法。
- 前記蒸留塔の頂部と底部とにおける温度測定を実施しつつ前記洗浄を実施する請求項1記載の蒸留塔の無害化方法。
- 蒸留塔外に排出させた前記缶出液に含まれているPCBの含有量を測定する工程をさらに実施する請求項1又は2記載の蒸留塔の無害化方法。
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