JP2010215581A - 有機ハロゲン化合物処理設備の運転方法 - Google Patents

有機ハロゲン化合物処理設備の運転方法 Download PDF

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吉明 村上
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Abstract

【課題】特別な装置等を必要とせず、絶縁ワニス等のニス成分が付着した廃棄物を洗浄する際に発生する使用済み溶剤であっても、蒸留塔内にニス成分に由来する堆積物が堆積しにくい有機ハロゲン化合物処理設備の運転方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、蒸留塔を用いて有機ハロゲン化合物を分離及び回収する有機ハロゲン化合物処理設備の運転方法であって、有機ハロゲン化合物を含む溶剤を、蒸留塔内において減圧下で加熱する減圧蒸留工程と、有機ハロゲン化合物を含む溶剤を、蒸留塔内において常圧又は常圧に近い圧力で加熱する常圧加熱工程とを交互に連続して行うことを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、PCB(ポリ塩化ビフェニル)等の有機ハロゲン化合物を、蒸留塔を用いて分離及び回収するための処理設備の運転方法に関する。
トランス、コンデンサー等の電気機器には、過去においては絶縁特性に優れ、化学的安定性も高いことからPCB、トリクロロベンゼン等の難分解性有機ハロゲン化合物(特に、難分解性有機塩素系化合物)が注入されていた。しかし、その後、これら難分解性有機ハロゲン化合物の有害性が認識されることとなり、現在では絶縁油としてPCB等の難分解性有機塩素系化合物を使用することは禁止されている。そして、PCB等を電気機器から回収し、無害化処理することが環境対策として行われている。
PCB等による汚染物の処理技術としては、トランス等の汚染物を有機溶剤等の溶剤(洗浄剤)を用いて洗浄し、付着しているPCB等を溶剤に移行させる溶剤洗浄法が一般的である。溶剤としては、ヘキサン、オクタン等の炭化水素系溶剤や、パークロロエチレン等の塩素系溶剤が用いられ、被洗浄物質であるPCB等よりも沸点の低い溶剤が選択される。
洗浄後の溶剤は、系外への二次汚染を防止し、洗浄処理のコストダウンを図るために、PCB等の汚染物質と分離し、再利用することが求められる。一般的には、洗浄後の溶剤は、蒸留塔を用いて減圧下で蒸留させ、沸点の低い溶剤を蒸発させた上で回収され、再利用される。一方、揮発性の低いPCB等は、蒸留塔の下部に濃縮されるため、蒸留塔から取り出された後、金属ナトリウムとの化学反応を利用した分解処理等の無害化処理が施される。
ここで、特許文献1には、洗浄処理に使用された溶剤を再生処理し、洗浄処理に再利用するための溶剤再生処理方法が開示されている。また、特許文献2には、PCB汚染物の洗浄無害化処理工程で、PCBと溶剤であるトリクロロベンゼン(TCB)とを効率的に分離してTCBを再利用する洗浄無害化処理方法が開示されている。
一方、化学プラントにおける蒸留塔では、蒸留する化学物質によっては内部に固形物が生成するため、定期的に洗浄操作を行う必要がある。例えば、アクリロニトリルや青酸は容易に重合反応を起こして不溶性の固形物を生成する。また、酸成分を含有する化学物質を扱う蒸留塔では、酸による腐食を防止するためにアンモニア水等を用いて酸を中和するが、蒸留塔内部にアンモニウム塩が析出しやすい。
このような有機性又は無機性固形物が内部に蓄積した場合、水を注入して塔内を洗浄し、さらに作業者が高圧水又はブラシ等を用いて洗浄することが一般的であるが、作業効率が低いことが問題であった。そこで、このような問題を解決する洗浄方法として、例えば、特許文献3には、アクリロニトリル製造プラントの蒸留塔内で、pH8〜14のアルカリ性熱水を循環させて内部の不溶性固形物を洗浄する方法が開示されている。また、特許文献4には、蒸留塔システムを水により加熱運転し、アンモニウム塩、硫酸アンモニウム塩等の無機性固形物を水に溶解させて除去する洗浄方法が開示されている。
特開2003−212801号公報 特開2005−103388号公報 特開2008−7721号公報 特開2003−126601号公報
特許文献1及び2に開示されているような処理方法は、化学プラントとは異なり、蒸留塔内でPCB等と溶剤との化学反応は起こらないため、蒸留塔内に固形物が堆積することは少ないと考えられてきた。ところが、このような処理方法においても、蒸留塔を連続運転すると、蒸留塔内の圧力が下がらず減圧が不十分になるという現象が発生した。このため、蒸留塔内部を点検すると、上部の充填材付近にタール状又は固形状の堆積物が堆積していることが確認され、それらを分析した結果、ニス成分(乾性油、樹脂等)に由来していることが判明した。
これは、廃トランスからPCBを回収して無害化処理する場合、内部の鉄心を切断して付着しているPCBを溶剤で洗浄する際、鉄心のコイルに使用されている絶縁ワニス等のニス成分も溶剤に溶け出し、蒸留塔内で溶剤を蒸留すると、溶剤と一緒にワニスの一部が蒸発し、温度が低い蒸留塔上部で固形化することが原因と考えられる。
蒸留塔の上部にこのような堆積物が堆積すると、配管や充填材の閉塞を招き、蒸留塔としての機能が損なわれることになる。
このニス成分に由来する堆積物は、熱水やアンモニア水を用いても除去することが困難であり、蒸留塔の洗浄のために専用の溶剤を用いて洗浄せざるを得ないため、洗浄コストが上昇する。また、洗浄後の溶剤を回収しても、専用の洗浄溶剤を再利用するためには、洗浄溶剤とニス成分を分離することが必要であり、分離するために蒸留塔に投入すれば回収したニス成分が再び蒸留塔内に堆積してしまうため、別途専用の処理が必要となってしまう。さらに、作業員が高圧洗浄するとなれば、処理システムの休止時間が長くなり、作業効率が低下し、洗浄コストも高くなる。
本発明は、特別な装置等を必要とせず、絶縁ワニス等のニス成分が付着した廃棄物を洗浄する際に発生する使用済み溶剤を処理しても、蒸留塔内にニス成分に由来する堆積物が堆積しにくい有機ハロゲン化合物処理設備の運転方法の提供を目的とする。
本発明者は、PCB等の有機ハロゲン化合物と溶剤とを分離する有機ハロゲン化合物処理設備の蒸留塔において、減圧下で使用済み溶剤の蒸留操作を行った後、蒸留塔内部を常圧(大気圧)まで復圧して加熱操作を行えば、ニス成分に由来する堆積物が発生しやすい蒸留塔上部の温度が、減圧蒸留時の蒸留塔下部と同程度にまで上昇することに注目した。その結果、減圧蒸留操作と、常圧加熱操作とを交互に行うことにより、ニス成分に由来する堆積物を蒸留塔外へと揮散させることが可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
具体的に、本発明は、
蒸留塔を用いて有機ハロゲン化合物を分離及び回収する有機ハロゲン化合物処理設備の運転方法であって、
有機ハロゲン化合物を含む溶剤を、蒸留塔内において減圧下で蒸留する減圧蒸留工程と、
有機ハロゲン化合物を含む溶剤を、蒸留塔内において常圧で加熱する常圧加熱工程と、
を交互に連続して行うことを特徴とする運転方法に関する。
PCB等の有機ハロゲン化合物によって汚染された被処理物を、PCB等よりも沸点の低い溶剤を用いて洗浄した場合、使用済みの溶剤においてPCB等と溶剤とを分離するための蒸留操作は、PCB等の揮発性が溶剤と比較して非常に低いことから、省エネルギーの観点から減圧下で行われる。
このとき、蒸留塔の上部から配管を通じて蒸留塔内部が減圧されるが、蒸留塔内には充填材が配置されているため、蒸留塔上部と蒸留塔下部では若干の圧力差が生じる。減圧された蒸留塔内では、沸点の低い溶媒が蒸発し、蒸留塔上部から出ていくため、蒸留塔上部では蒸留塔下部よりも温度が低くなっている。そのため、蒸留塔下部では、溶剤と共に揮散したニス成分の一部が、温度降下に伴って蒸留塔の上部に堆積しやすい。
蒸留塔には使用済み溶剤が連続して供給されるため、蒸留塔では連続して溶剤の減圧蒸留が行われる。もし、蒸留塔上部の充填材等が堆積物によって目詰まりすると、蒸留塔の下流側に位置する吸引ポンプ(排気ポンプ)で蒸留塔内を吸引しても、蒸留塔内の減圧が不十分となって内部の圧力が上昇することになる。また、吸引ポンプの消費電力も増大することになる。
このような状態となったとき、吸引ポンプの運転を停止し、もしくは吸引力を小さくすることで、蒸留塔内を常圧(又は常圧に近い圧力)まで復圧させる。このとき、溶剤の加熱は蒸留操作時(減圧運転時)と同じ温度で溶剤を加熱する。そうすると、蒸留塔上部を含む全体の圧力は、常圧又は常圧に近い圧力になっているため、減圧下、非常に低い温度で蒸発していた溶剤が蒸発しなくなり、蒸留塔上部の温度が蒸留塔下部の温度に近い温度まで高くなる。その結果、蒸留塔の上部に堆積していたニス成分に由来する堆積物が再び揮散し、又は粘度が低くなり、蒸留塔上部から蒸留塔外へと排出させることが可能となる。なお、一部のニス成分に由来の堆積物は粘度が低下した結果、下部に落下し蒸留塔下部に蓄積される。
ここで、常圧又は常圧に近い圧力とは具体的には70kPa以上101.3kPa以下の範囲の圧力をいい、より好ましくは90kPa以上101.3kPa以下の範囲の圧力をいう。
一定期間、常圧下で加熱操作を継続すれば、蒸留塔の上部に堆積していたニス成分に由来する堆積物が排出されるため、再び吸引ポンプを運転し、蒸留塔内で減圧蒸留を再開する。そして、蒸留塔内の減圧が不十分となって内部の圧力が上昇したり、圧力勾配が設定以上に変化したり、吸引ポンプの消費電力が増大すれば、常圧加熱に切り替えして、減圧蒸留と常圧加熱とを交互に繰り返すことにより、蒸留塔の運転を長時間停止することなく蒸留塔内にニス成分に由来する堆積物が堆積することを効果的に防止しうる。
蒸留操作は蒸留塔を複数基用い、蒸留塔毎に減圧蒸留工程と常圧加熱工程とを行うことが好ましい。
沸点の異なる複数の溶剤が存在する場合には、1基の蒸留塔でPCBを分離しつつ複数の溶剤中から特定の溶剤を分離することが困難であり、2基以上の蒸留塔を用いて連続蒸留することが好ましいとされている。このため、蒸留塔毎に減圧蒸留工程と常圧加熱工程とを行い、ニス成分に由来する堆積物を蒸留塔外へと排出することが好ましい。
蒸留塔の下流に環流槽を設け、捕集される溶剤を上流側の蒸留塔に環流させることが好ましい。
蒸留塔によって、PCB等と沸点の低い溶剤とが分離されるが、復圧操作の結果、PCB等の一部は溶剤に同伴して蒸留塔から排出される。このため、蒸留塔の下流に環流槽を設けて溶剤を捕集し、上流側の蒸留塔へと環流させることにより、PCB等の蒸留塔からの排出を防止することが可能となる。
なお、蒸留塔下部に残るPCB等は、適宜蒸留塔外部へと引き抜かれ、分解処理設備等へと送られる。
蒸留塔と環流槽との間の経路にトラップを設け、蒸留塔から排出されるニス成分を捕集することが好ましい。
常圧加熱工程においては、蒸留塔上部に堆積していたニス成分に由来する堆積物が揮散して、下流側へと排出される。また、減圧蒸留工程においても、ニス成分が蒸留塔の下流へと僅かずつであるが排出される。このため、蒸留塔の下流側の配管等において、ニス成分に由来する堆積物が内部に堆積する畏れがある。このような状態となれば、配管や弁が閉塞し、有機ハロゲン化合物処理設備の運転が不可能となる。
そこで、蒸留塔と環流槽との間の経路にトラップを設け、蒸留塔から排出されるニス成分を捕集することにより、ニス成分に由来する堆積物をトラップ内部で捕集することが可能となり、有機ハロゲン化合物処理設備を安定して運転することができる。
トラップは、冷却手段を備えていることがより好ましい。ニス成分は、溶剤と比較して揮発性が非常に低いため、冷却することによって容易に固形化及び捕集することができるためである。なお、同時に凝縮した溶剤は、上流側の蒸留塔へと環流させることが好ましい。
本発明の有機ハロゲン化合物処理設備の運転方法は、特別な装置やエネルギーを使用せずに、蒸留塔内へのニス成分に由来する堆積物が堆積しにくく、有機ハロゲン化合物処理設備を安定して運転させることができる。
本発明を実施する有機ハロゲン化合物処理設備の一例を示す図である。
本発明の実施の形態について、適宜図面を参酌しながら説明する。なお、本発明は、以下に限定されない。
PCB等の有機ハロゲン化合物を注入された廃トランス等は、まず解体され、PCB等が抜き取られる。そして、溶剤等の洗浄剤を用いて、内部構造物や容器内部が洗浄される。使用済みの洗浄剤は、図1に示すような蒸留塔(減圧蒸留塔)を用いる有機ハロゲン化合物処理設備へと搬送される。
使用済みの洗浄剤は、まず蒸留塔供給槽1に貯留され、経路2を通じて第一蒸留塔3へと供給される。第一蒸留塔3の下部に貯留した溶剤4は、加熱経路5内を流れ、塔外に設けた熱交換器31によって間接加熱される。なお、加熱経路内に熱媒体を流し、これによって溶剤を間接加熱する構成としてもよい。
第一蒸留塔3の内部には、下部充填材6及び上部充填材7が備わっており、加熱された溶剤は減圧下で蒸発し、これら充填材を経て、経路8へと排気される。経路8はトラップ9へと接続している。
トラップ9の下流には経路10が接続されており、経路10は第一蒸留塔環流槽11に接続されている。第一蒸留塔環流槽11の上部には、吸引ポンプ12(真空ポンプ)が接続されており、第一蒸留塔3から第一蒸留塔環流槽11までの系内を減圧している。なお、吸引ポンプ12の設置場所は、これに限定されず、第一蒸留塔3と第二蒸留塔16の間であれば足りる。
第一蒸留塔環流槽11の下流側には経路15が接続されており、経路15は第二蒸留塔16へと接続されている。第二蒸留塔16の下部に貯留した溶剤17は、加熱経路18内を流れ、熱交換器32によって間接加熱される。
第二蒸留塔16の内部にも、第一蒸留塔3と同様に、下部充填材19及び上部充填材20が備わっており、加熱された溶剤は、減圧下で蒸発し、これら充填材を経て、経路21へと排気される。なお、経路21に、経路8と同様のトラップを設けてもよい。
経路21は、第二蒸留塔環流槽22に接続されている。第二蒸留塔環流槽22の上部には、吸引ポンプ23(真空ポンプ)が接続されており、第二蒸留塔16から第二蒸留塔環流槽22までの系内を減圧している。
第二蒸留塔16の下部には、経路26が接続されており、経路26はさらに再生溶剤槽27へと接続されている。
[具体例]
ここで、PCB及びTCBによって汚染された廃棄物を、n−パラフィン系炭化水素溶剤としてトリデカン(株式会社ジャパンエナジー製NS-230、沸点226〜230℃)を用いて洗浄した後の使用済み溶剤を、図1に示す有機ハロゲン化合物処理設備によって処理する場合の運転方法について説明する。
なお、溶剤としては、株式会社ジャパンエナジー製NS-100、NS-200、NS-220、NS-230等のn−パラフィン系溶剤を使用することが好ましい。n-パラフィン系溶剤の内、沸点が170℃以上250℃以下、好ましくは190℃以上250℃以下、より好ましくは200℃以上250℃以下のものを利用する。
(減圧蒸留工程)
第一蒸留塔3の下部に貯留した溶剤4は、PCB、TCB及びトリデカンの混合物である。まず、吸引ポンプ12によって、第一蒸留塔3の塔頂部から第一蒸留塔環流槽11までの系内を5〜6kPa程度に減圧する。加熱経路5内を流れる加熱媒体によって、溶剤4を約210℃に加熱する。この加熱温度は、第一蒸留塔3で減圧蒸発させる溶剤のうち、最も高い沸点である。すなわち、ここではトリデカンの減圧下における沸点である。
なお、蒸留塔に流入する溶剤中のPCB、TCB、トリデカン濃度、塔頂から得られるトリデカンとTCBに含まれるPCB濃度の許容値及び必要な塔頂液の量に基づき、蒸留塔の温度と圧力、充填剤の種類及び蒸留塔の高さ還流比等、蒸留塔における運転条件を定めることが好ましい。
気体状態のTCB及びトリデカンは、経路8を経て、第一蒸留塔環流槽11へと導かれ、冷却されて液体状態に戻る。第一蒸留塔環流槽11内に捕集された溶剤13の一部は、環流経路14によって適宜第一蒸留塔3の上部充填材7付近へと返送される。この環流によって、溶剤13内に存在する微量のPCBを、第一蒸留塔3へと返送し、系外に排出されることを防止しうる。
次に、第一蒸留塔環流槽11内に捕集された溶剤13は、経路15を経て第二蒸留塔16へと供給される。吸引ポンプ23によって、第二蒸留塔16から第二蒸留塔環流槽22までの系内を5〜6kPa程度に減圧する。そして、加熱経路18内を流れる加熱媒体によって、溶剤17を約150℃に加熱する。この加熱温度は、第二蒸留塔16で減圧蒸留させる物質のうち、最も高い沸点(減圧状態における沸点)である。すなわち、ここではTCBの減圧下における沸点である。
第二蒸留塔についても、第一蒸留塔同様に塔頂から得られる液中(TCB)に含まれるトリデカン濃度の許容値及び必要な塔頂液の量に基づき、蒸留塔の温度と圧力、充填剤の種類及び蒸留塔の高さ還流比を定めるこのが好ましい。
トリデカンは、塔底における圧力下では150℃でも蒸発せず、第二蒸留塔16の下部に残存する。一方、TCBは蒸発する。こうして、トリデカンとTCBとが分離される。
気体状態のTCBは、経路21を経て、第二蒸留塔環流槽22へと導かれ、冷却されて液体状態に戻る。第二蒸留塔環流槽22内に捕集されたTCB24の一部は、環流経路25によって適宜第二蒸留塔16の上部充填材20付近へと返送される。この環流によって、第二蒸留塔環流槽22内に捕集されたTCB24の純度が向上し、再利用しやすくなる。TCB24は、第二蒸留塔環流槽22の下部に接続された回収経路28から適宜取り出され、別途処理される。
第二蒸留塔16内には、トリデカンが残存することになる。この残存するトリデカンは、第二蒸留塔16の下部に接続された回収経路26から適宜取り出され、再生溶剤槽27に貯留される。
一方、第一蒸留塔3内には、PCB及び第一蒸留塔3内で減圧蒸留できない成分(例えば、油脂類や無機物)が残存することになる。これら残存物は、第一蒸留塔3の下部に接続された回収経路29から適宜取り出され、別途処理される。
(常圧加熱工程)
上述したように、トランス、コンデンサー等の電気機器には絶縁ワニス等が使用されているために、このような廃棄物を解体し、溶剤を用いて洗浄した場合、溶剤にはPCB等の有機ハロゲン化合物以外に絶縁ワニス等も溶解している。
減圧蒸留工程では、第一蒸留塔3の下部付近は約210℃となっているが、上部充填材7付近では約110℃となっている。このため、TCB及びトリデカンと共に揮散したニス成分は、上部充填材7又はその下流側の配管等において、温度が低下することによって固形物又は粘度の高い液体として徐々に堆積することが確認された。
そして、上部充填材7又はその下流側の配管等に、ニス成分に由来する堆積物が堆積すると、第一蒸留塔3の減圧が不十分となるが、第一蒸留塔3の圧力計で確認することができる。また、十分に減圧させようとすると吸引ポンプ12の負荷も増大するが、吸引ポンプ12の電力計で確認することができる。
圧力計又は電力計を確認することにより、ニス成分に由来する堆積物が堆積していると考えられれば、吸引ポンプ12を停止する。そうすると、蒸留塔には絶えず不活性ガス(例えば窒素)が少しずつ供給されているので、蒸留塔内の圧力は常圧まで復圧する。そして、常圧下で溶剤4の加熱を継続する。このとき、溶剤4の温度は、減圧蒸留工程と同じになるように調整する。
常圧下で加熱操作を行うことにより、蒸留塔3内部の温度が約210℃で均一化し、上部充填材7付近の温度も約210℃まで上昇する。その結果、上部充填材7又はその下流側の配管等に堆積しているニス成分に由来する堆積物は、加熱されて再び揮散し、経路8を通じて第一蒸留塔3外へと排出される。
そのままでは、経路8よりも下流の低温部分(配管等)で、ニス成分に由来する堆積物が再び堆積してしまう。そこで、トラップ9によってニス成分に由来する堆積物を取り除く。このとき、トラップ9は、なるべく第一蒸留塔3に近い位置に設置することが好ましい。ニス成分に由来する堆積物が、経路8の途中で堆積することを防止するためである。
トラップ9は、冷却手段を備えて、内部を一般的なニスの軟化温度である約100℃以下に冷却することが好ましい。このとき、TCB及びトリデカンの一部も凝縮して液体となるが、ニス成分に由来する堆積物とは、容易に固液分離することが可能である。液体状態のTCB及びトリデカンの一部は、返送経路30によって第一蒸留塔3の上部充填材7付近へと返送される。なお、トラップ9から第一蒸留塔環流槽11へと液体状態のTCB及びトリデカンを移動させ、環流経路14によって第一蒸留塔3の上部充填材7付近へと返送してもよい。なお、常圧加熱工程では蒸留塔上部側からPCBが排出されるおそれがあるため、液体状体のTCB及びトリデカンの全量を返送する構成としてもよい。
一定時間、常圧加熱工程を行い、第一蒸留塔3の上部充填材7又はその下流側の配管等に堆積しているニス成分に由来する堆積物が気散すれば、再び吸引ポンプ12を用いて第一蒸留塔3から第一蒸留塔環流槽11までの系内を5〜10kPa程度に減圧し、減圧蒸留工程を行う。このようにして、減圧蒸留工程と常圧加熱工程とを交互に繰り返す
第一蒸留塔3の上部充填材7から回収したニス成分に由来する堆積物について、熱分解又は揮散に要する時間を測定したところ、常圧214℃という条件下、10時間で約80%を分解又は揮散することが可能であった。このことから、最もニス成分に由来する堆積物が堆積しやすい第一蒸留塔3の場合、常圧加熱工程を10時間以上とすることで、ニス成分に由来する堆積物を80%以上取り除くことが可能であることが確認された。
なお、第二蒸留塔16は、減圧蒸留工程では、下部が約150℃、上部が約120℃となっている。第一蒸留塔3と比較して、処理する溶媒中のニス成分が少なく、揮発性の高い成分が既にトラップ9によって除去されているため、上部充填材20等にニス成分に由来する堆積物が堆積する可能性は低い。しかし、トラップ9から僅かにニス成分が流出することも考えられるため、長時間運転した後には、第二蒸留塔16の上部充填材20等にもニス成分に由来する堆積物が堆積する可能性がある。
このため、第二蒸留塔16においても、第一蒸留塔3と同様に、減圧蒸留工程と、常圧加熱工程とを交互に繰り返すことが好ましい。このとき、従来の第二蒸留塔運転と同じ条件で加熱したとしても、常圧加熱工程時には、第二蒸留塔16の上部充填材20付近は約150℃までしか温度が上昇しない。そのため、ニス成分に由来の堆積物を揮散させるために、さらに加熱させて蒸留塔内を200℃以上にすることが好ましい。これによって約110℃で堆積されていたニス成分に由来する堆積物を揮散させ、経路21を経て第二蒸留塔16外へ排出することが可能となる。
なお、この場合、経路21にも冷却装置を備えるトラップを設置することが好ましい。この場合、トラップ9と同様に、液体状態のTCBを第二蒸留塔16の上部充填材20付近へと返送することが好ましい。
上記具体例では、有機塩素系化合物2種類を、1種類の溶剤を用いて洗浄する際に生じる、使用済み溶剤を処理する例について説明したが、有機塩素系化合物が1種類であれば、蒸留塔は1基でも足りる。しかし、回収率をより向上させるためには、蒸留塔の基数を増やし、回収したTCB及びトリデカンをさらに蒸留してもよい。
一方、有機塩素系化合物又は溶剤の種類の合計が4種類以上である場合には、蒸留塔を3基以上使用し、各蒸留塔について減圧蒸留工程と、常圧加熱工程とを交互に繰り返すようにする。
なお、本実施形態においては、第一蒸留塔3と第一蒸留塔還流槽11との間にトラップ9を設けた構成について説明したが、これに限定されず、トラップ9を設けず配管を加熱又は保温する構成としてもよい。この場合、第一蒸留塔還流槽11においてニス成分に由来の堆積物を回収することになる。
なお、復圧時の圧力については特に限定が無く、蒸留塔内部(特に上部付近)の温度を200℃以上にできれば足りる。特に、第一蒸留塔3においては、蒸留塔下部の温度を210℃付近に加熱しているため、常圧付近に復圧させることで、特別な加熱を行うことなしに、蒸留塔上部の温度を200℃以上に加熱することができる。
ニス成分由来の堆積物を揮散する温度としては、200〜250℃とすることが好ましく、210〜230℃とすることがさらに好ましい。200℃以下ではニス成分由来の堆積物が揮散しないおそれがあり、250℃を越えるとニス成分由来の堆積物や洗浄時に混入した不純物が変性し付着したり、炭化されて付着するおそれがあるためである。
本発明の有機ハロゲン化合物処理設備の運転方法は、廃棄物処理分野において有用である。
1:蒸留塔供給槽
2,8,10,15,21:経路
3:第一蒸留塔(減圧蒸留塔)
4:溶剤(PCB、TCB及びトリデカン)
5,18:加熱経路
6,19:下部充填材
7,20:上部充填材
9:トラップ
11:第一蒸留塔環流槽
12,23:吸引ポンプ(真空ポンプ)
13,17:溶剤(TCB及びトリデカン)
14,25:環流経路
16:第二蒸留塔(減圧蒸留塔)
22:第二蒸留塔環流槽
24:TCB
26,28,29:回収経路
27:再生溶剤槽
30:返送経路
31,32:熱交換器

Claims (4)

  1. 蒸留塔を用いて有機ハロゲン化合物を分離及び回収する有機ハロゲン化合物処理設備の運転方法であって、
    有機ハロゲン化合物を含む溶剤を、蒸留塔内において減圧下で蒸留する減圧蒸留工程と、
    有機ハロゲン化合物を含む溶剤を、蒸留塔内において常圧又は常圧に近い圧力で加熱する常圧加熱工程と、
    を交互に連続して行うことを特徴とする運転方法。
  2. 蒸留塔を複数基用い、蒸留塔毎に減圧蒸留工程と常圧加熱工程とを行う、請求項1に記載の有機ハロゲン化合物処理設備の運転方法。
  3. 蒸留塔の下流に環流槽を設け、捕集される溶剤を上流側の蒸留塔に環流させる、請求項1又は2に記載の有機ハロゲン化合物処理設備の運転方法。
  4. 蒸留塔と環流槽との間の経路にトラップを設け、蒸留塔から排出されるニス成分を捕集する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の有機ハロゲン化合物処理設備の運転方法
JP2009065795A 2009-03-18 2009-03-18 有機ハロゲン化合物処理設備の運転方法 Pending JP2010215581A (ja)

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