近年、データセンターや通信ビルなどに構築される情報通信システムでは、使用される情報通信機器の増加に伴い、消費電力が増大している。そのため、地球環境問題の観点からも、情報通信システムでの消費電力を低減することが要求されている。
こうした情報通信システムでの消費電力低減を実現するために、商用電源等の交流電力系統から供給される交流電圧を整流装置にて直流電圧に変換して外部負荷である各種情報通信機器に出力する、直流給電システムが注目されている。また、この直流給電システムでは、高効率化のために、出力電圧を高電圧(例えば直流380V程度)にする動きが進んでいる。
この種の直流給電システムの具体的構成としては、例えば、交流電力系統からの三相の交流(AC)入力電圧(例えばAC200V)を所定電圧値(例えば直流383V)の直流電圧に変換して負荷へ供給するための整流装置と、バックアップ用の蓄電池と、この蓄電池を充電するための、交流電力系統からの交流入力電圧を充電用の直流電圧に変換して蓄電池へ供給する充電装置とを備えたものが知られている。
これらの構成のうち、整流装置及び充電装置は、上記の通り、交流電力を直流電力に変換して出力する、いわゆる電力変換装置として構成されている。そして、いずれも、電力変換という基本的機能に加え、給電システムの安全性を確保すべく、過電流保護のための垂下特性を有している。
電力変換装置に適用される垂下特性としては、主に、出力電流値が所定値を超えると出力電力を一定に保ちながら(即ち出力電流増加に対して出力電圧を低下させながら)垂下させていく定電力垂下(例えば、特許文献1,2参照)と、出力電流値が所定の制限値に達したら出力電流値をその制限値に維持した状態で出力電圧を低下させていく定電流垂下(例えば、特許文献3参照)が挙げられる。
そして、情報通信機器用の電源として用いられる電力変換装置としては、従来、定電力垂下特性を備えたものが一般的である。なぜなら、情報通信機器用の電力変換装置が定電流垂下特性を備えたものであると、次に述べるように、所望の動作点とは異なる動作点で動作してしまうおそれがあるからである。
データセンターでは、負荷として、サーバやルータなど、入力側に安定化電源を有する機器(定電力負荷)が多く、整流装置等の給電系からみると定電力負荷が多く接続された状態となる。これらの定電力負荷には、動作モードとして低電圧・大電流の電源電力で動作可能に構成されたものも多い。
そして、通常時は、整流装置が負荷へ全電力を供給し、充電装置は蓄電池の充電状態に応じて充電電力を供給する。このとき、整流装置は、定常動作状態における所定の動作点(後述する図8の動作点Aに相当)で定常動作することになる。充電装置についても、出力電圧・出力電流値は若干異なるものの同じように定常動作状態における所定の動作点で定常動作することになる。
そして、交流電力系統で停電などの異常が発生した場合には、整流装置及び充電装置は停止され、整流装置に代わって蓄電池から負荷へ電力が供給される。そして、停電等の異常からの回復後は、整流装置及び充電装置が動作を再開し、負荷電力は整流装置から供給されるようになる。
ここで、もし、過電流保護機能の垂下特性として図8に示すような定電流垂下特性を備えていると、定電力負荷の負荷線と定電流垂下特性を示す線(以下「垂下特性線」とも称す)との交点が2箇所生じてしまう。つまり、本来望まれる、定格出力電圧(図8の例では383V)の動作点Aとは別に、それよりも電圧が低く且つ電流が高い、本来望まれない動作点Bが生じ、整流装置はその動作点Bでも動作可能となる。
この場合、動作点Aでの定常動作時には、その動作点Aが維持されるため、意図せず動作点Bに移動してしまうことはない。しかし、停電等の事故によって蓄電池電力による負荷の動作に切り替わった場合に、その電力供給によって蓄電池電圧が低下していって、蓄電池電圧が動作点Bの電圧よりも低くなってしまうと、停電等から回復して整流装置が動作を再開したとき、その再開後の整流装置の動作点は、動作点Aではなく動作点Bとなってしまう。
つまり、停電時等において蓄電池電力で負荷が動作しているとき、蓄電池電圧が動作点Bの電圧より低くなると、負荷の動作点は、動作点Bよりも電圧が低く且つ電流が大きい点となる。図8は、まさに蓄電池電圧が動作点Bの電圧よりも低くなっている状態を示しており、この場合、負荷容量が例えば80kWだとすると、負荷は、蓄電池電圧と80kW負荷線との交点Pで動作していることになる。
そして、この状態(交点Pを動作点として動作している状態)で、停電から回復し、整流装置の動作が再開されると、整流装置からの電力供給に伴って負荷電圧は上昇していき、動作点は、交点Pから、80kW負荷線に沿って図8中左方向へ(つまり電圧が高く電流が低くなる方向へ)遷移していく。すると、整流装置は、定電流垂下特性を有しているが故に、本来は定格出力電圧383Vの動作点Aで定常動作すべきであるにもかかわらず、動作再開後に動作点が交点Pから遷移していく過程で、垂下特性線と交わる動作点Bで落ち着いてしまい、その動作点Bで定常動作してしまうことになるのである。
尚、図8には、負荷容量が50kWの場合の負荷線(50kW負荷線)も示されているが、50kWの負荷の場合も同様であり、停電等によって蓄電池からの電力で負荷が動作している間に、蓄電池電圧が動作点Dの電圧より低くなってその動作点Dよりも低電圧且つ高電流の動作点で動作するようになると、停電等からの回復後、整流装置は、本来は定格出力電圧383Vの動作点Cまで遷移してそこで落ち着くべきであるにもかかわらず、動作点Dで落ち着いてしまうことになる。
このように、定電流垂下特性を備えると本来望まない動作点B(動作点D)で定常動作してしまうことがあるという問題は、上述したような、停電等の異常からの回復時に限らず、例えば、整流装置や充電装置の起動時、即ち負荷への電力供給開始時にも起こり得る。
即ち、システム全体が起動し、定電力負荷(特に低電圧・大電流の電源入力が許容された定電力負荷)に対して整流装置又は蓄電池からの電力供給が開始されると、その電力供給開始直後は、図8に示す80kW負荷線のように、負荷への入力電圧が上昇し始めると共に入力電流は急上昇していく。そして、定電流垂下特性による制限値である垂下電流設定値よりも大きい所定の起動時最大電流値(図8の例では約500A)まで上昇すると、その後は入力電圧の上昇に応じて入力電流値は減少していき、やがて所定の動作点で定常動作することになる。尚このとき、整流装置の出力電圧が蓄電池電圧以上となるまでは、負荷への電力供給は蓄電池によって行われる。
この場合において、例えば負荷容量が80kWであって、負荷への電力供給開始時(整流装置の起動時)に蓄電池の電圧が上記動作点Bよりも低い電圧であったとすると、電流値が起動時最大電流値まで急上昇した後に減少していく過程で、動作点Aに到達するよりも先に動作点Bに到達し、以後、その動作点Bで定常動作してしまうことになる。
そのため、負荷として上述したような定電力負荷が多く接続されるような電力変換装置においては、一般的には定電流垂下特性は採用されず、定電力垂下特性が採用されているのである。
以下に、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
まず、第1実施形態の直流給電システム2について、図1〜図3を用いて説明する。
図1に示すように、本実施形態の直流給電システム2は、商用電力系統等の交流電力系統4から供給される交流電圧(本実施形態では三相交流電圧)を、所定の直流電圧に変換して、外部の負荷6へ供給するものであり、三相交流電圧を整流して所定の直流電圧に変換する整流装置10と、この整流装置10から出力された直流電圧を負荷6へ供給するための電力供給線51,52とを備える。整流装置10の定格出力電圧は、本実施形態では383Vであり、通常はその383Vの直流電圧が負荷へ出力されるように制御される。
尚、本実施形態の直流給電システム2は、一例として、データセンターや通信ビルなどにおいて各種情報通信機器へ電力を供給するために構築されたものであり、負荷6は、情報通信機器としてのサーバやルータなどの定電力負荷である。また、後述する垂下電流設定値(図2の電流値a参照)よりも大きな電流での動作、即ち低電圧・大電流の電源電力による動作も可能に構成されている。
そのため、負荷6の容量が例えば80kWである場合は、負荷6は、図2に示す80kW負荷線上の動作点で動作することになる。また、負荷6の容量が例えば50kWである場合は、負荷6は、図2に示す50kW負荷線上の動作点で動作することになる。本例では、上述したように、整流装置10は通常は383Vの定格出力電圧を出力するように動作するため、負荷6の動作点(整流装置10の動作点でもある)は、通常はその定格出力電圧の動作点となる。即ち、80kW負荷の場合は動作点Aであり、50kW負荷の場合は動作点Cである。
また、本実施形態の直流給電システム2には、交流電力系統4に異常が生じ、整流装置10から負荷6へ所定の直流電圧を供給することができなくなったときにでも、負荷6への電力供給を継続できるようにするためのバックアップ用装置として、蓄電池20及び充電装置30が備えられている。以下、整流装置10及び充電装置30についてより具体的に説明する。
まず、整流装置10は、交流電力系統4から供給される三相交流電圧を整流する整流回路12と、整流回路12からの出力電圧を安定化させるためのコンデンサC1と、整流回路12からコンデンサC1を介して出力される直流電圧を、負荷6に供給すべき所定の直流電圧に変換するDC−DCコンバータ14と、このDC−DCコンバータ14からの出力電圧が所定の直流電圧となるよう、DC−DCコンバータ14の駆動デューティを制御する出力制御部16とを備える。
出力制御部16は、マイクロコンピュータ(以下「マイコン」と略す)を備えており、このマイコンによるデジタル制御によって、上記の駆動デューティの制御をはじめ、後述する過電流保護機能や、出力電圧制御処理(図3参照)などの各種制御が実現される。なお、マイコンによる制御であることはあくまでも一例であり、例えばロジック回路やアナログ回路等、マイコン以外の他の手段によって上記各制御や各機能を実現してもよいことは言うまでもない。
DC−DCコンバータ14は、半導体スイッチング素子が上記駆動デューティに従ってオン・オフされることにより所望の電圧を出力可能に構成された周知のものである。本実施形態の出力制御部16は、DC−DCコンバータ14からの出力電圧をフィードバックして、その出力電圧が定格出力電圧である383Vとなるようにするための電圧指令値を設定(演算)する。そして、その設定した電圧指令値に従って上記駆動デューティを制御する。但し、過電流状態となって出力電流が垂下電流設定値に達した場合は、過電流から整流装置10を保護すべく、次に述べるように出力電圧を低下させる。
即ち、出力制御部16は、過電流から当該装置を保護するための過電流保護機能を備えている。本実施形態の過電流保護機能は、図2に示すような定電流垂下特性に基づく定電流垂下制御によって実現される。
出力制御部16は、通常は定格出力電圧である383Vの直流電圧が負荷へ出力されるようにDC−DCコンバータ14を制御するが、その一方で、DC−DCコンバータ14からの出力電流を監視しており、出力電流が増大していって垂下電流設定値に達すると、出力電流をその垂下電流設定値に固定(クランプ)しつつ、出力電圧を定格出力電圧383Vから低下させていく。
尚、整流装置10は、電力供給対象の負荷6が定電力負荷であるが故に、起動時、蓄電池20の電圧によっては、ごく短時間であるものの、出力電流値が電流制限値を超えて過電流が流れる可能性がある。これは、定電力負荷の場合は図8に例示したような負荷線にそって負荷への電力供給がなされるためであり、蓄電池20の電圧が低いほど、短時間ではあるが整流装置10から垂下電流設定値を超える電流が出力されるおそれが高くなる。
但し、本実施形態の整流装置10は、上記のような起動時の一時的な過電流状態の発生については許容されている。整流装置10のような電力変換装置は、一般に、定常動作時における出力電圧・出力電流値に基づいて、それを十分に許容するように設計されるものであり、上述したような起動時のごく短時間(例えば1〜2秒)の過電流については基本的には考慮する必要はない。つまり、起動時のごく短時間に生じる可能性がある過電流について、その過電流が長時間流れた場合を想定した過剰なスペックまでは要求されない。そのため、本実施形態の整流装置10も、起動時等のごく短時間の過電流は許容しつつ、基本的には定常動作状態での動作状態に基づいてスペック等が定められ、それに基づいて設計・製造されている。
また、整流装置10には、異常検出部18が設けられている。この異常検出部18は、交流電力系統4から供給される三相交流電圧の電圧値や電流値を監視することにより、交流電力系統4から三相交流電圧が正常に供給されているか否かを判断し、停電等の事故発生によって交流電力系統4からの三相交流電圧の供給が正常に行われなくなった場合には、その旨を表す異常検出信号を出力制御部16に出力する。出力制御部16は、異常検出部18から異常検出信号を受けると、自身の動作(延いては整流装置10の動作)を停止させるなどの所定の処理を行う。
更に、本実施形態の整流装置10は、自身の動作点が所望の動作点(図2の動作点A)とは異なる動作点で定常動作しているような場合にその動作点を所望の動作点Aに移動させる、動作点移動機能を備えている。尚、以下の説明において、整流装置10の動作点とDC−DCコンバータ14の動作点は同義であるものとする。
本実施形態では、負荷6が定電力負荷であって、整流装置10の過電流保護機能が定電流垂下制御にて実現されることから、蓄電池20の電圧によっては、整流装置10の起動時、或いは停電等の事故によって動作停止した後に動作を再開した時に、負荷6の動作点が、垂下電流設定値よりも大きな電流となってしまっていることが有り得る(例えば80kW負荷の場合は図2の動作点P)。
そして、そのように蓄電池20の電力によって動作点Pで負荷6が動作している状態で、停電から回復し、整流装置10の動作が再開されると、整流装置10の出力電圧上昇に伴って、整流装置10及び負荷6の動作点は、動作点Pから80kW負荷線に沿って図2中左方向へ(つまり電圧が高く電流が低くなる方向へ)遷移していく。すると、整流装置10は、定電流垂下特性を有しているが故に、本来は定格出力電圧383Vの動作点Aで定常動作すべきであるにもかかわらず、動作点が遷移していく過程で、垂下特性線と最初に交わる動作点Bで落ち着いてしまい、その動作点Bで定常動作してしまう。
つまり、動作点Bに到達したところで、出力制御部16は、定電流垂下制御を機能させて出力電流をその動作点Bの電流値である垂下電流設定値にクランプし、その後、負荷電力増大等によって出力電圧が定格出力電圧383Vに上昇しない限り、そのクランプした状態で定常動作する。そのため、所望の動作点Aまで遷移することなく、所望しない動作点Bで動作を継続してしまう。
そこで本実施形態では、定電流垂下制御によって整流装置10が所望の定格出力電圧383Vの動作点とは異なる動作点で動作している場合に、その動作点を所望の動作点に強制的に移動させるための動作点移動機能を備えているのである。
本実施形態の動作点移動機能の概要は、次の通りである。即ち、出力制御部16は、まず、定電流垂下制御を一時的に停止する。換言すれば、定電流垂下特性による過電流保護機能を無効化する。そして、定電流垂下制御の停止後、出力制御部16は、現在設定している電圧指令値、即ち定電流垂下制御中に設定していた電圧指令値を、所定量ずつ段階的に上昇させていくことにより、出力電圧を強制的に上昇させる。
この電圧指令値の上昇により、出力電圧は、図2に示すように、動作点Bから負荷線に沿って動作点Aに向けて移動していく。そして、出力電圧が定格出力電圧383Vに到達したら(即ち動作点Aに到達したら)、電圧指令値を定格の383Vに設定すると共に定電流垂下特性による過電流保護機能を再び動作(有効化)させる。つまり、制御方式を通常状態に初期化する。
負荷6の容量が50kWの場合も同じ要領であり、初期起動時或いは停電等の事故からの復帰時に、仮に動作点が本来望まない動作点Dに落ち着いてしまっても、上記の動作点移動機能により、定電流垂下制御を停止して電圧指令値を上昇させることによって動作点を遷移させ、最終的に定格出力電圧383Vの動作点Cまで遷移させることができる。
次に、充電装置30は、交流電力系統4から供給される三相交流電圧を直流電圧に変換する整流回路32と、整流回路32から出力される直流電圧にて蓄電池20を充電する充電回路34と、蓄電池20に蓄積された電力量が目標電力量となるよう充電回路34を制御する充電制御部36とを備える。
また、充電装置30にも、整流装置10と同様、交流電力系統4から供給される三相交流電圧の電圧値や電流値を監視することにより、交流電力系統4から三相交流電圧が正常に供給されているか否かを判断し、交流電力系統4から供給される三相交流電圧に異常が生じた場合には、その旨を表す異常検出信号を出力する異常検出部38が設けられている。
尚、蓄電池20は、充電装置30によって、負荷6を動作させることが可能な所定の直流電圧値に充電される。そして、蓄電池20の正極は逆流防止用ダイオードD1を介して正極側の電力供給線51に接続され、蓄電池20の負極は負極側の電力供給線52に接続されている。
また、図1において、破線で囲まれている部分(ブリーダ抵抗R1や接続スイッチ41などからなる回路)は、後述する第3実施形態において用いられる部分であり、本実施形態では関係ないものである。そのため、本実施形態では、図1におけるその破線で囲まれた回路は存在していないものとみなす。
このように構成された直流給電システム2では、停電等の事故のない通常時は、整流装置10が負荷6へ全電力を供給し、充電装置30は蓄電池20の充電状態に応じて充電電力を供給する。このとき、整流装置10は、定格出力電圧383Vの動作点Aで定常動作することになる。
そして、交流電力系統で停電などの異常が発生した場合には、整流装置10及び充電装置30は停止され、整流装置10に代わって蓄電池20から負荷6へ電力が供給される。そして、停電等の異常からの回復後は、整流装置10及び充電装置30が動作を再開し、負荷電力は再び整流装置10から供給されるようになる。
次に、本発明の整流装置10において出力制御部16が実行する出力電圧制御処理について、図3を用いて説明する。出力制御部16は、交流電力系統4からの交流電力供給が正常に開始されると、図3の出力電圧制御処理を実行する。尚、この出力電圧制御処理と並行して、上述した過電流保護のための機能も実行する。
出力制御部16は、この出力電圧制御処理を開始すると、まずS110にて、整流装置10の通常運転を開始させる。つまり、出力電圧Voが定格出力電圧383Vとなるように電圧指令値を設定してDC−DCコンバータ14を動作させる。そして、S120で、出力電圧Voが定格の383V以上であるか否か判断する。
ここで、出力電圧Voが383V以上であれば(S120:YES)、そのまま通常運転を継続させる(S130)。そして、S140にて、出力電圧Voが所定の電圧低下閾値VLより低いか否か判断し、低くなければS130に戻るが、低ければS150に移行する。また、S120の処理で出力電圧Voが383V以上ではないと判断された場合も、S150に移行する。
尚、S140の判断処理を行う理由は、交流電力系統4からの交流電力供給は正常に行われているものの整流装置10の異常或いは負荷6側の異常などの何らかの要因で出力電圧Voが低下してしまった場合に、動作点が本来望まない動作点にずれてしまう可能性があるためである。
S150では、過電流によって定電流垂下制御が実行中であるか否か、即ち、過電流によって出力電流が垂下電流設定値にクランプされて出力電圧が低下させられている状態であるか否かを判断する。このとき、定電流垂下制御が実行されていない場合、即ち定電流垂下制御によって出力電圧Voが383Vとなるのが妨げられているわけではない場合は、S120に戻るが、定電流垂下制御が実行されている場合は、このままでは所望の動作点に到達しないため、S160以降の動作点移動処理に移る。
まずS160では、充電装置30に対し、動作停止指令を出力する。充電装置30の充電制御部36は、整流装置10の出力制御部16からこの動作停止指令が入力されると、充電装置30による蓄電池20の充電動作を一時停止させる。尚、このように充電装置30の動作を停止させるのは、充電装置30が動作したままであると、充電装置30からの出力電圧の影響を受けて整流装置10の出力電圧Voが十分に増加せず、動作点移動処理の所期の目的を達成できなくなるおそれがあるからである。
充電装置30を停止させた後、続くS170では、自身による定電流垂下制御を一時停止させる。つまり、過電流保護機能そのものを一時的に無効化することにより、出力電流の垂下電流設定値へのクランプを解除し、負荷6や自身の電圧指令値に応じて動作点を移動可能な状態にさせる。そして、S180にて、電圧指令値を、現在設定されている電圧指令値(つまり定電流垂下制御時に設定していた値であり、少なくとも定格出力電圧383Vよりは低い値)に対して所定量Δv上昇させる(図2参照)。
そして、S190にて、出力電圧Voが383V以上となったか否か判断し、383V以上でなければS180に戻って現在の電圧指令値をさらに所定量Δv上昇させ、S190に進む。このように所定量Δvずつ段階的に上昇させることで、動作点を所望の動作点に向けて移動させていく。図2の例でいえば、動作点Bから動作点B1,動作点B2,・・・と、所望の動作点Aに向けて移動させる。
一方、S190にて、出力電圧Voが383V以上と判断した場合、即ち動作点が所望の動作点に移動した場合は、S200にて、自身によるDC−DCコンバータ14の制御方式(ひいては整流装置10全体の制御方式)を初期化する。つまり、動作点移動処理によって一時的に過電流保護機能が停止(無効化)されていたのを再び有効化して通常通り機能させるようにしたり、電圧指令値の設定にかかわる制御を通常通りに戻したりすることで、通常運転へ復帰させる。
そして、S210にて、充電装置30に対して動作開始指令を出力し、S130に移行する。充電装置30の充電制御部36は、整流装置10の出力制御部16からこの動作開始指令が入力されると、充電装置30による蓄電池20の充電動作を再開する。
以上説明したように、本実施形態の直流給電システム2によれば、整流装置10が、仮に、出力電流が定電流垂下特性における制限値である垂下電流設定値にクランプされて動作するなど、動作点が所望の動作点(動作点A等)とは異なる動作点(動作点B等)で動作するようになっても、動作点移動処理が実行されることによって、動作点を所望の動作点に移動させることができる。
そのため、電力供給対象の負荷の種類にかかわらず(即ち、電力供給対象が負荷6のような定電力負荷であっても)、整流装置10を所望の動作点にて動作させることができる。換言すれば、定電力負荷へ電力供給を行うような電力変換装置であっても、定電流垂下による過電流保護機能を採用することができる。
そのため、従来のように定電力垂下による過電流保護機能を備える場合に比べて、許容すべき電流値が小さくて済むため、整流装置10の過剰設計を回避することができる。これにより、整流装置10の設計・製造における小型化や低コスト化、大容量化などが可能となる。
また、上記のように整流装置10の過剰設計を回避できることから、使用する電力範囲内での電力変換効率を向上させることも可能となる。
更に、本実施形態では、動作点を所望の動作点に移動させるための動作点移動処理を、出力制御部16による処理、即ちソフトウェアにより実現している。つまり、別途ハードウェアを付加する必要はない。そのため、この点でも、部品増によるコストアップや大型化を考慮する必要はない。
そして特に、本実施形態では、定電流垂下制御を一時停止すること、即ち過電流保護機能を無効化することによって、出力電流の垂下電流設定値へのクランプを解除した上で、出力電圧が定格出力電圧になるように電圧指令値を制御(上昇)させることにより、所望の動作点への移動を実現している。そのため、所望の動作点への移動を確実に行うことができる。
なお、本実施形態において、出力制御部16は本発明の制御手段及び出力電圧判断手段に相当する。また、図3の出力電圧制御処理における動作点移動処理は本発明の動作点移動制御に相当し、垂下電流設定値は本発明の制限電流値に相当し、定格出力電圧383Vの動作点である動作点A及び動作点Cはいずれも本発明の定格動作点に相当する。また、図3の出力電圧制御処理において、S120の判断処理は本発明の出力電圧判断手段が実行する処理に相当する。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態の直流給電システムについて、図4及び図5を用いて説明する。
本実施形態の直流給電システムは、そのハード構成自体は、図1に示した第1実施形態の直流給電システム2と同じであり、第1実施形態と異なるのは動作点移動機能である。そのため、以下の説明では、第1実施形態と異なる部分である動作点移動機能に絞って説明する。
上述した第1実施形態の動作点移動機能は、過電流保護機能を無効化して定電流垂下制御による電流クランプを解除した上で、電圧指令値を上昇させていくことによって、動作点を所望の動作点に遷移させていくものであった。
これに対し、本実施形態の動作点移動機能は、図4に例示するように、定電流垂下制御自体は継続させつつ、その電流制限値である垂下電流設定値を、初期値aから段階的に減少させていくものである。
図4に示すように、例えば負荷6が80kW負荷であって、起動時或いは停電等の事故からの回復時に、第1実施形態(図2参照)と同じように、整流装置10及び負荷6の動作点が動作点Pから80kW負荷線に沿って図4中左方向へ(つまり電圧が高く電流が低くなる方向へ)遷移して、垂下特性線と最初に交わる動作点Bで、定電流垂下制御によって落ち着いてしまったとする。
このような場合、本実施形態では、垂下電流設定値を初期値aから所定量減少させて設定値bとする。これにより、動作点は、現在の動作点Bから、80kW負荷線に沿って出力電流が減少する方向に遷移していって、出力電流が上記設定値bとなる動作点B1まで移動する。このとき、出力電圧Voはまだ定格出力電圧383Vに到達していないため、その場合は、垂下電流設定値を現在の設定値bからさらに所定量減少させて設定値cとする。これにより、動作点は、現在の動作点B1から、80kW負荷線に沿って出力電流が減少する方向に遷移していって、出力電流が上記設定値cとなる動作点B2まで移動する。このようにして、出力電圧Voが最終的に定格出力電圧383Vに到達するまで、垂下電流設定値を所定量ずつ減少させていくのである。
本実施形態において整流装置10の出力制御部16が実行する動作点制御処理を、図5を用いて説明する。本実施形態でも、出力制御部16は、基本的には第1実施形態と同じように図3に示した出力電圧制御処理を実行する。但し、本実施形態では、動作点移動処理として、図3に示した出力電圧制御処理におけるS160〜S210の動作点移動処理に代わり、図5に示す動作点移動処理を実行する。
図5の動作点移動処理が開始されると、まずS310にて、充電装置30へ動作停止指令を出力することにより、充電装置30による充電動作を停止させる。そして、S320にて、垂下電流設定値を現在の設定値から所定量減少させ、続くS330にて、出力電圧Voが383V以上となったか否か判断する。
S330で出力電圧Voが383V以上でなければ、S320に戻って現在の垂下電流設定値をさらに所定量減少させ、S330に進む。一方、S330にて、出力電圧Voが383Vと判断した場合、即ち動作点が所望の動作点に移動した場合は、S340にて、垂下電流設定値を初期化する。つまり、動作点移動処理を実行する前の初期の設定値aに戻すことで、通常運転へ復帰させる。
そして、S350にて、充電装置30へ動作開始指令を出力して充電装置30による充電動作を再開させて、この動作点移動処理を終了する。
以上説明したように、本実施形態では、動作点移動処理として、垂下電流設定値を段階的に低下させることによって、動作点を、負荷6の負荷線に沿って、出力電流が減少して出力電圧Voが増加するような方向にシフトさせていく。そして、動作点が定格出力電圧383Vの動作点まで移動した後は、垂下電流設定値を元の値(設定値a)に初期化する。
従って、本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。特に、本実施形態では、定電流垂下制御における垂下電流設定値を減少させていくことによって、所望の動作点への移動を実現している。そのため、所望の動作点への移動を確実に行うことができる。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態の直流給電システムについて、図1,図6及び図7を用いて説明する。
本実施形態の直流給電システムは、そのハード構成については、第1実施形態の直流給電システム2の構成に加え、更に、図1に示すように、図1において破線で囲まれた回路も備えた構成となっている。そして、このハード構成の違いの他に第1実施形態と異なるのは、動作点移動機能である。そのため、以下の説明では、第1実施形態と異なる回路構成及び動作点移動機能に絞って説明する。
本実施形態の直流給電システムは、そのハード構成自体は、図1に示されている通りである。図1の構成のうち、破線で囲まれた回路以外の構成については既に説明したため、ここではその説明を省略する。
そして、本実施形態では、整流装置10から負荷6に至る電力供給線51,52に、負荷6と並列に、ブリーダ抵抗R1が接続されている。より詳しくは、ブリーダ抵抗R1と接続スイッチ41の直列回路が、負荷6と並列になるように接続されている。
接続スイッチ41は、正極側の電力供給線51からブリーダ抵抗R1を経て負極側の電力供給線52に至る通電経路を導通・遮断するためのスイッチであり、整流装置10の出力制御部16からの指令に従ってオン・オフされる。
この接続スイッチ41がオフされている間は、上記通電経路は遮断されるため、整流装置10からみれば、電気的には、ブリーダ抵抗R1は電力供給線51,52に対して接続されていない状態と等価となる。
一方、接続スイッチ41がオンされると、上記通電経路が導通されるため、整流装置10からの電力は、負荷6だけでなく、ブリーダ抵抗R1にも供給されて消費されることになる。つまり、整流装置10からみれば、負荷6に加えて更に、負荷としてブリーダ抵抗R1が増えたことになり、これにより、全体として負荷容量が増加して、整流装置10からの供給電力も増大することとなる。
そして、このように負荷容量が増大するということは、図6に例示するように、整流装置10からみた負荷全体(負荷6及びブリーダ抵抗R1)の負荷線が、電力が増大する方向にシフトするということである。
本実施形態の動作点移動機能は、このような、ブリーダ抵抗R1の接続・導通によって負荷線をシフトさせることができるという性質を利用している。
即ち、接続スイッチ41は、通常時はオフされたままであり、よって、整流装置10からみた負荷は、通常時は負荷6だけである。一方、図6に例示するように、例えば負荷6が80kW負荷であって、起動時或いは停電等の事故からの回復時に、第1実施形態(図2参照)と同じように、整流装置10及び負荷6の動作点が動作点Pから80kW負荷線に沿って図6中左方向へ(つまり電圧が高く電流が低くなる方向へ)遷移して、垂下特性線と最初に交わる動作点Bで、定電流垂下制御によって落ち着いてしまったとする。
このような場合、本実施形態では、接続スイッチ41をオンさせて、整流装置10からみた負荷容量を増加させる。これにより、負荷線は、図6に例示するように図中上方へシフトする。
ここで、ブリーダ抵抗R1の抵抗値は、接続スイッチ41がオンされたときの負荷線(即ち負荷6及びブリーダ抵抗R1を含む負荷全体の負荷線)が図6中の点Cを通るような値に予め設定されている。この点Cは、出力電圧Voは定格出力電圧383Vであって且つ出力電流は上限の垂下電流設定値となる点である。
そのため、接続スイッチ41をオンすると、負荷線のシフトに追随して、動作点は、出力電流値については垂下電流設定値にクランプされているものの出力電圧Voは上昇していき、やがて、動作点Cに達する。つまり、出力電圧Voは定格出力電圧383Vに到達することになる。
そして、出力電圧Voが定格出力電圧383Vに到達すると、出力電流が垂下電流設定値から増加するような傾向がない限り、その垂下電流設定値への出力電流のクランプは解除される。そこで、動作点Cへ移動した後、接続スイッチ41を再びオフさせて、負荷線を再び負荷6のみの負荷線に戻すと、出力制御部16は、定格出力電圧383Vの電圧出力は維持させつつ出力電流を減少させていく。これにより、動作点は最終的に所望の動作点Aに移動することになる。
本実施形態において整流装置10の出力制御部16が実行する動作点制御処理を、図7を用いて説明する。本実施形態でも、出力制御部16は、基本的には第1実施形態と同じように図3に示した出力電圧制御処理を実行する。但し、本実施形態では、動作点移動処理として、図3に示した出力電圧制御処理におけるS160〜S210の動作点移動処理に代わり、図7に示す動作点移動処理を実行する。
図7の動作点移動処理が開始されると、まずS410にて、充電装置30へ動作停止指令を出力することにより、充電装置30による充電動作を停止させる。そして、S420にて、接続スイッチ41へ接続スイッチオン指令を出力して接続スイッチ41をオンさせることにより、電力供給線51,52に対してブリーダ抵抗R1を接続させる。つまり、整流装置10の負荷としてブリーダ抵抗R1を追加させる。そして、続くS430にて、出力電圧Voが383V以上となったか否か判断する。
S430で出力電圧Voが383V以上でなければ、S420に戻って、接続スイッチ41のオンを引き続き継続させるが、S430にて、出力電圧Voが383Vと判断した場合(即ち、図6において動作点Cに移動した場合)は、S440にて、接続スイッチ41へ接続スイッチオフ指令を出力して接続スイッチ41をオフさせることにより、電力供給線51,52に対してブリーダ抵抗R1を開放させる。
これにより、上述したように、負荷線は再び負荷6のみの負荷線となって、動作点は、出力電圧Voが定格の383Vに維持されたまま、出力電流の低下と共に移動していき、やがて所望の動作点Aまで移動する。
その後、S450にて、充電装置30へ動作開始指令を出力して充電装置30による充電動作を再開させて、この動作点移動処理を終了する。
尚、接続スイッチ41のオンによって動作点が動作点Cまで移動した後、接続スイッチ41をオフさせる前に、一時的に過電流保護機能を停止させるようにしてもよい。これにより、過電流保護機能としての定電流垂下制御による垂下電流設定値での出力電流クランプが確実に解除されるため、動作点Cから動作点Aへの移動をより確実に行わせることができる。
以上説明したように、本実施形態では、動作点移動処理として、接続スイッチ41をオンさせて負荷容量を増大させ、これにより整流装置10からの出力電力を増加させることによって出力電圧Voを定格出力電圧383Vまで増加させる。つまり、動作点を、とりあえず出力電圧Voについては定格の383Vであるような動作点にまで移動させる。そして、出力電圧Voが定格出力電圧383Vに到達した後に接続スイッチ41をオフさせることにより、最終的に所望の動作点Aに移動させる。
従って、本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。但し、本実施形態では、動作点を移動させるために、別途、ブリーダ抵抗R1や接続スイッチ41などのハードウェアが必要となる。しかし、動作点を移動させるための制御としては、単に、接続スイッチ41をオン・オフさせるだけでよいため、出力制御部16による制御処理内容については簡素化することができる。
尚、本実施形態において、ブリーダ抵抗R1は本発明の疑似負荷に相当し、接続スイッチ41は本発明のスイッチ手段に相当する。
[変形例]
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の実施の形態は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
例えば、第1実施形態では、図3のS180からS190に示したように、動作点を定格出力電圧(383V)の動作点まで移動させるために、電圧指令値を所定量ずつ段階的に上昇させるようにしたが、このように電圧指令値を上昇させるのはあくまでも一例であり、最終的に出力電圧を定格出力電圧まで上昇させることができる限り、具体的にどのように上昇させるかは適宜決めることができる。例えば、電圧指令値を一気に定格出力電圧383Vに設定して、その状態で、出力電圧が383Vに到達するのを待つようにしてもよい。また、動作点が所望の動作点に移動するまで、電圧指令値を定格の383Vより高い電圧に設定し、383Vに到達した後は再び電圧指令値を383Vに戻すようにしてもよい。
また、第2実施形態における、垂下電流設定値の段階的な減少についても、具体的にどのように減少させていくかについては適宜決めることができる。即ち、第2実施形態では、図5のS320からS330に示したように、動作点を定格出力電圧(383V)の動作点まで移動させるために、垂下電流設定値を所定量ずつ減少させるようにしたが、この所定量を具体的にどの程度の量にするかについては適宜決めることができるし、また、必ずしも同量ずつ減少させていかなければならないわけでもない。
また、第3実施形態では、抵抗値が固定されたブリーダ抵抗R1を用いたが、抵抗値を連続的又は段階的に変化させることが可能な抵抗を用いて、抵抗値を連続的又は段階的に変化させていくことによって、動作点を徐々に定格出力電圧まで遷移させるようにしてもよい。更に、整流装置10の負荷を増加させるための擬似的な負荷として抵抗を用いることもあくまでも一例であり、抵抗に限らず、結果として整流装置10の負荷を増加させることが可能な負荷であれば何でも良い。
また、整流装置の構成としては、上記各実施形態における整流装置10以外に、図1に示した整流装置10の構成を一つの整流ユニットとして、複数の整流ユニットを備え、各整流ユニットの出力側が並列接続されなる構成のものも考えられる。つまり、複数の整流ユニットを備えることによって冗長性を持たせ、一ユニットあたりの負担を軽減させたり、或いは負荷に応じて運転させる整流ユニットの数を切り換えたりすることができる。
そして、そのように複数の整流ユニットからなる整流装置に対しても、本発明を適用することができる。
例えば、第1実施形態において、整流装置10が複数の整流ユニットからなる構成の場合は、必ずしも全ての整流ユニットが動作点移動処理を行う必要はなく、少なくとも一つの整流ユニットが動作点移動処理を行えば、その動作点移動処理によってその整流ユニット自身の動作点を所望の動作点に移動させることができると共に、その整流ユニットの動作点の移動によって他の各整流ユニットの動作点も追随して移動させることができる。
もちろん、全ての整流ユニットにおいて上記動作点移動処理を行わせるようにしてもよいことはいうまでもない。
また、上記各実施形態では、動作点移動処理を、過電流保護機能が働いているとき(即ち定電流垂下制御によって出力電流が垂下電流設定値にクランプされている場合)に行うようにしたが、これもあくまでも一つの例であって、動作点移動処理をどのような場合に実行するかについても適宜決めることができる。例えば、整流装置10が起動時する毎に出力電圧が定格出力電圧になるまで無条件で実行するようにしてもよいし、定常動作中に出力電圧が所定の閾値(例えば定格出力電圧或いはそれより所定量低い値)以下となった場合にも実行するようにしてもよい。