[第1の実施形態]
(直流電源ユニットの構成についての説明)
図1は、第1の実施形態に係わる直流電源装置101内に設けられる直流電源ユニット10の構成を示すブロック図である。この図に示す直流電源ユニット10は、定電力特性を持つ負荷RLに、蓄電装置60と連動して電力を供給する場合に好適に使用できる直流電源ユニット10である。すなわち、直流電源装置101は、停電の際には、蓄電装置60内の蓄電池61から負荷RLに電力を供給し、復電後は、直流電源ユニット10から負荷RLに電力を供給するものである。なお、定電力特性を持つ負荷とは、負荷の消費電力が電圧の変化にかかわらず一定である特性を持つ負荷(例えば、直流電圧を交流電圧に変換するインバータ等である)。
直流電源ユニット10は、AC入力側に力率改善回路(PFC)20を備え、その出力側にDC/DCコンバータ回路50が接続されている。この力率改善回路20は、DC/DCコンバータ回路50の直流電源Eの役割をする。この力率改善回路20は、交流電圧を整流回路により整流するとともに、内部のスイッチング素子(図示せず)をスイッチング制御して交流の電圧波形と電流波形とを近づけて力率を改善するための回路である。この力率改善回路20は、PFC制御部30によりその動作が制御される。なお、力率改善回路20の構成と動作については、良く知られており、また、本発明とは直接には関係しないため、その説明は省略する。
また、直流電源ユニット10は、DC/DCコンバータ回路50の動作を制御するD/D制御回路40を備えている。このD/D制御回路40は、DC/DCコンバータ回路50の動作を制御するための制御信号を出力するD/Dコントローラ41と、後述する定電力垂下特性を示す垂下動作、及び定電流垂下特性を示す垂下動作を行う際に使用される基準信号を生成する垂下基準信号生成部42とを備えている。
なお、D/D制御回路40は、CPU、ROM、及びRAM等(所望の場合にはA/D変換器、D/A変換器、カウンタ等)を有するマイクロコントローラやマイクロコンピュータ等を用いて構成されており、PFC制御部30についても同様である。また、PFC制御部30をD/D制御回路40内に含ませるようにしてもよい。また、D/D制御回路40及びPFC制御部30は専用のハードウェアにより実現されるものであってもよい。
図1に示す直流電源ユニット10は、通常動作時において過電流保護のために出力電流が定格電流Imax0を超えた場合に出力電圧Voを垂下させる、所謂、定電流垂下特性を持つ直流電源ユニットである(図2(B)を参照)。
また、直流電源ユニット10は、上記定電流垂下特性に加えて、起動時に一時的にだけ作動する定電力垂下特性を持つ。この直流電源ユニット10では、停電により入力電源(AC入力)から供給される電力が遮断された後、復電により起動する際に、定格電流Imax0以上の電流を負荷RLに供給する必要がある場合に、一時的に定電力垂下動作を行う。この定電力垂下動作は、直流電源ユニット10から負荷RLに定格電流Imax0以上の電流を供給する場合に、出力電流Ioと出力電圧Voとの積が一定となるように出力電圧を垂下させて、負荷RLに電流を供給するものである。
(定電力垂下特性と定電流垂下特性についての説明)
ここで図1に示す直流電源ユニット10が有する定電力垂下特性と、定電流垂下特性について補足して説明しておく。図2は、定電力垂下特性と定電流垂下特性について説明するための図である。図2(A)では、横軸に出力電流Io、縦軸に出力電圧Voをとり、定電力垂下特性を示している。同様に、図2(B)では、定電流垂下特性を示している。なお、前述のように、定電力垂下動作は、停電後の復電時において、定電力特性を持つ負荷に定格電流Imax0(直流電源ユニット10の通常動作時の定格電流)以上の電流、例えば、図2(A)に示す電流Iaの電流を流す必要がある場合において行われる垂下動作である。一方、定電流垂下動作は、直流電源ユニット10の通常動作時において、過電流制限のために出力電流Ioを定格電流Imax0に制限するために行われる垂下動作である。
図2(A)に示すように、直流電源ユニット10は、定電力垂下動作では、負荷RLに定格電流Imax0以上の電流(例えば、電流Ia)を流す場合において、出力電圧Voと出力電流Ioとの積が一定(例えば、定格出力容量)になるように出力電圧Voを垂下させる。なお、出力電流Ioが大きくなりすぎると、後述するスイッチング素子Q1(図5を参照)の定格電流容量(例えば、短時間定格における最大電流値など)を超えるので、直流電源ユニット10は、最大定格電流Imax1で電流制限をかける。
上述の直流電源ユニット10における定電力垂下動作は、復電時に直流電源ユニット10が起動する際に一時的に行われる垂下動作である。例えば、この定電力垂下動作は、停電時に蓄電池61により負荷RLを駆動している状態において、負荷RLに流れている電流が、図2(A)に示す定格電流Imax0以上の場合(例えば、電流Iaの場合)に一時的に行われるものである。これは、直流電源ユニット10が、復電して起動した際に図2(B)に示す定電流垂下動作を行うと、出力電流が定格電流Imax0に制限され、負荷RLに必要な電流Iaを供給できなくなるとともに、直流電源ユニット10の出力電圧Voが所要定格電圧に立ち上がれない状態となるためである。この事態を避けるために、直流電源ユニット10は、復電時の起動の際に、一時的に定電力垂下動作が実行する。
再び、図1に戻り、D/Dコントローラ41からは、DC/DCコンバータ回路50の出力電圧Voの電圧レベルを制御するための出力電圧基準信号Vrefが、DC/DCコンバータ回路50に対して出力される。DC/DCコンバータ回路50は、D/Dコントローラ41から入力された出力電圧基準信号Vrefを基に、出力電圧Voの電圧レベルが一定になるように制御する。
また、D/Dコントローラ41からは、定電力垂下/定電流垂下の区別信号として、信号I_KINDが垂下基準信号生成部42に対して出力される。また、D/Dコントローラ41からは、定電力垂下特性の基準信号を生成するための電圧信号Iref_Mが垂下基準信号生成部42に対して出力される。そして、D/Dコントローラ41は、定電力垂下の場合は、信号I_KINDをハイレベル(I_KIND=1)とし、定電流垂下の場合は信号I_KINDをローレベル(I_KIND=0)とする。これらの信号I_KIND及びIref_Mが垂下基準信号生成部42の入力信号となる。垂下基準信号生成部42では、D/Dコントローラ41から入力された信号I_KINDと信号Iref_Mを基に、二次垂下基準信号Iref2と、一次垂下基準信号Iref1を生成し、DC/DCコンバータ回路50に出力する。
(垂下基準信号生成部42についての説明)
図3は、垂下基準信号生成部42の構成を示す図である。この垂下基準信号生成部42は、図3(A)に示す信号I_KINDの入力回路と、図3(B)に示す、定電力垂下動作を行わせるための二次垂下基準信号Iref2を生成する二次垂下基準生成回路と、図3(C)に示す、最大出力電流(瞬時過電流値)を制限するための一次垂下基準信号Iref1を生成する一次垂下基準生成回路とを有している。なお、一次垂下基準信号Iref1及び二次垂下基準信号Iref2の具体的な使用例については、図5に示すDC/DCコンバータ回路50の説明において合わせて説明する。
図3(A)に示す信号I_KINDの入力回路は、抵抗R101にフォトモスリレーの一次側PR_A、及びフォトカプラの一次側PC_Aが直列に接続されて構成されており、抵抗R101の一方の端子Aから信号I_KINDが入力される。この構成により、定電力垂下(信号I_KINDがハイレベル(I_KIND=1))の場合に、フォトモスリレーの一次側PR_A、及びフォトカプラの一次側PC_AはON(発光素子を発光)される。
図3(B)に示す二次垂下基準生成回路は、D/Dコントローラ41から出力される二次垂下基準用の電圧信号Iref_Mと、出力電圧Voの負性信号(出力電圧(−))とにより、二次垂下基準信号Iref2を生成するための回路である。
この二次垂下基準生成回路は、D/Dコントローラ41から出力される電圧信号Iref_Mを電圧増幅部71により増幅する。この電圧信号Iref_Mは、直流電源ユニット10が定電力垂下動作をする場合と、通常動作(定電流垂下動作)をする場合とに応じて、その電圧レベルが切り替えられる。すなわち、定電力垂下動作をする場合の電圧レベルIref_M2は、通常動作(定電流垂下動作)をする場合の電圧レベルIref_M1よりも大きくなるように設定されている(Iref_M2>Iref_M1)(図4を参照)。これにより、直流電源ユニット10は、定電力垂下動作時において、通常動作時の定格電流Imax0以上の出力電流を負荷RLに流すことが可能になる。
また、電圧増幅部71の出力側とグランドGとの間には、抵抗R102と抵抗R103の直列回路が接続されている。この抵抗R102と抵抗R103は抵抗分圧回路を構成し、この抵抗R102と抵抗R103の接続点(抵抗分圧点)Aから、二次垂下基準信号Iref2が出力される。また、上記接続点Aには、ダイオードD101のアノード側が接続され、ダイオードD101のカソード側には、抵抗R111と、R112と、フォトモスリレーの二次側PR_Bとが直列に接続されている。また、フォトモスリレーの二次側PR_Bの一端(抵抗R112が接続される端子とは反対側の端子)には、出力電圧Voの負側信号(出力電圧(−))が入力される。なお、この出力電圧Voの負側信号(出力電圧(−))は、負極性(−)の信号であり、出力電圧Voが大きくなるほど、電圧レベルが低下する。
上述の図3(B)に示す二次垂下基準生成回路の構成により、通常動作時には、フォトモスリレーの二次側PR_BがOFF(オフ)し、二次垂下基準信号Iref2は、定電流垂下動作時にD/Dコントローラ41から出力される電圧信号Iref_M1を基に、電圧増幅部71及び抵抗R102,R103により生成される一定の値の信号(例えば、Iref2´)となる。なお、この一定の値の信号Iref2´は、信号Iref_M1の電圧レベルを変更することにより、所望の値に設定することができる。
一方、定電力垂下動作時には、フォトモスリレーの二次側PR_BがONし、二次垂下基準信号Iref2の電圧レベルは、定電力垂下動作時にD/Dコントローラ41から出力される信号Iref_M2の電圧レベルと、出力電圧Voとで決まることになる。すなわち、信号Iref_M2は電圧増幅部71により増幅され、抵抗R102,R103の接続点Aに出力されるが、接続点Aには、ダイオードD101と、抵抗R111と、抵抗R112と、フォトモスリレーの二次側PR_Bとを介して、出力電圧Voの負側信号(出力電圧(−))が入力される。このため、接続点Aの電圧(二次垂下基準信号Iref2)は、出力電圧Voの変化と共にリニア(直線的)に変化し、定電力垂下の動作を行わせるための信号となる。
例えば、出力電圧Voの電圧レベルが低い状態では、二次垂下基準信号Iref2の電圧レベルが高くなり、出力電圧Voの電圧レベルが高くなるにつれて、二次垂下基準信号Iref2の電圧レベルが低下する。これにより、定電力垂下特性(出力電圧Vo×出力電流が一定となる特性)を実現するための二次垂下基準信号Iref2が生成される。
なお、定電力垂下動作において流すことのできる最大電流は、信号Iref_M2の電圧レベルを変更することにより、所望の値に設定することができる。また、定電力垂下特性の傾き(出力電流Ioの変化に対する出力電圧Voの変化の割合)は、抵抗R102,R103,R111及びR112の抵抗値により設定することができる。
また、図3(C)に示す一次垂下基準生成回路は、回路電源端子(+15V)とグランドGとの間に、抵抗R121とツェナーダイオードZD1が直列に接続される(ツェナーダイオードZD1のアノードがグランドGに接続される)。これにより、抵抗R121とツェナーダイオードZD1の接続点Aに所定の定電圧Vzが生成される。このツェナーダイオードZD1の端子間に抵抗R122と抵抗R123と抵抗R124との直列回路が接続され、ツェナーダイオードZD1により生成される定電圧Vzに対して、抵抗分圧回路が形成される。この抵抗R122と抵抗R123との接続点Bから一次垂下基準信号Iref1が出力される。また、抵抗R123と抵抗R124との接続点Cには、抵抗R132の一端が接続され、抵抗R132の他端は、トランジスタTr1のコレクタに接続され、トランジスタTr1のエミッタはグランドGに接続される。
また、回路電源端子(+15V)とグランドGとの間に、抵抗R131とフォトカプラの二次側PC_Bとの直列回路が接続される。また、抵抗R131とフォトカプラの二次側PC_Bとの接続点Dと、トランジスタTr1のベースとの間に、抵抗R133とツェナーダイオードZD2との直列回路が接続される(ツェナーダイオードZD2のアノードがトランジスタTr1のベースに接続される)。
上記構成において、定電流垂下動作時には、フォトカプラの二次側PC_BがOFF(トランジスタTr1がON)になり、抵抗R124と抵抗R132とは並列接続されることになる。そして、抵抗R122と、抵抗R123と、抵抗R124//R132(抵抗R124とR132の並列回路)との直列回路(抵抗分圧回路)における、抵抗R124と抵抗R132の接続点Bとの電圧が一次垂下基準信号Iref1´として出力される。
一方、定電力垂下動作時には、フォトカプラの二次側PC_BがON(トランジスタTr1がOFF)になり、抵抗R122と抵抗R123と抵抗R124との直列回路(抵抗分圧回路)における、抵抗R122と抵抗R123との接続点Bの電圧が一次垂下基準信号Iref1として出力される。このため、定電力垂下動作時における一次垂下基準信号Iref1は、定電流垂下動作時における一次垂下基準信号Iref1´よりも大きくなる。すなわち、定電力垂下動作時には、ユニットの定格電流Imax0以上の出力電流を流すために、定電力垂下動作時の一次垂下基準信号Iref1は、通常動作時(定電流垂下動作時)における一次垂下基準信号Iref1´よりも大きくなる。
図4は、直流電源ユニット10における動作シーケンスを示す図である。図4は、横方向に時間の経過を示し、縦方向に、直流電源ユニット10の起動/停止(D/D_ON/OFF)の状態(ハレベルでON(起動))と、定電力垂下動作を行わせる信号I_KINDと、電圧信号Iref_Mと、出力電圧Voを並べて示したものである。
図4に示すように、直流電源ユニット10は、時刻t1においてON(起動)すると、入力側および出力側にラッシュ電流(突入電流)が流れることを回避するために出力電圧Vo(及び出力電流Io)を徐々に立ち上げるカレントウオークインの動作モード(ソフトスタート)に移行する。その後、直流電源ユニット10は、カレントウオークインにより出力電圧Voがある程度立ち上がった状態の時刻t2において、信号I_KINDをON(ハイレベル)、また、信号Iref_MをIref_M2まで増大させて、定電力垂下動作を開始する。次に、直流電源ユニット10は、この定電力垂下動作の状態において出力電圧Voが所要定格電圧まで立ち上がると(時刻t3)、この数秒後に(時刻t4)、信号I_KINDをOFF(ローレベル)にし、また、信号Iref_MをIref_M1まで低下させて、定電流垂下動作を開始する。
なお、図4に示す例では、直流電源ユニット10は、時刻t3において出力電圧Voが定格電圧まで立ち上がったことを検出した後、数秒後に定電力垂下動作から定電流垂下動作に切り替えるようにしているが、これに限定されない。例えば、直流電源ユニット10は、時刻t1においてON(起動)した後、所定の時間をタイマ等で計測し、この所定の時間の経過後に、定電力垂下動作から定電流垂下動作に切り替えるようにしてもよい。また、複数台の直流電源ユニット10が並列に運転される並列冗長運転方式の場合は、各直流電源ユニット10において出力電圧Voが所要定格電圧まで立ち上がったことを検出した後に、定電力垂下動作から定電流垂下動作に切り替えるようにしてもよい。
(DC/DCコンバータ回路50の構成と動作についての説明)
次に、DC/DCコンバータ回路50について説明する。図5は、DC/DCコンバータ回路50の構成を示す図である。この図に示す直流電源ユニット10は、主回路がフォワードコンバータ(フォワード方式スイッチング電源装置)で構成されたものである。
図5において、Tx1は出力トランス、Q1は出力トランスTx1の一次側に接続されるスイッチング素子、Eは直流電源(力率改善回路20により生成される電源)、RLは定電力特性を持つ負荷、EA1,EA2はエラーアンプ(演算増幅器)、CMP1,CMP2は比較器(コンパレータ)、CTは電流センサ(例えば、出力トランスTx1の一次側電流を検出するカレントトランス)で、シャントSHは2次電流検出素子である。
また、このDC/DCコンバータ回路50は、出力定電圧制御回路51と、出力定電流制御回路(二次垂下回路)52と、瞬時過電流制御回路(一次垂下回路)53とを有している。そして、回路51,52,53の出力側は、それぞれダイオードD11,D12,D13のカソード側に接続され、このダイオードD11,D12,D13のアノード側はノードN1に共通接続されている。このノードN1は、抵抗R41を介して電源端子(Vcc)に接続され、また、ノードN1は比較器CMP2の非反転入力端子(+)に接続されている。
従って、ダイオードD11,D12,D13の作用により、ノードN1には、出力定電圧制御回路51の出力信号AVR_Vと、出力定電流制御回路52の出力信号AVR_I2と、瞬時過電流制御回路53の出力信号AVR_I1のうちの最も信号レベルが低い信号が選択されてノードN1に出力される。このノードN1に出力された信号は、比較器CMP2により電源動作周波数キャリア三角波形と比較され、スイッチング素子(スイッチングトランジスタ)Q1の駆動信号(PWM信号)が生成される。このスイッチング素子Q1がON/OFFすることにより、出力トランスTx1の一次側のコイルに電源Eから電流が流れ、この一次側の電流により電磁誘導されて二次側のコイルに電流が流れる。この出力トランスTx1の二次側には整流回路部54が接続されている。この整流回路部54において、二次側のコイルに流れる電流がダイオードD1及びD2からなる整流回路により整流され、リアクトルL1及びコンデンサC1からなる平滑回路により平滑されて、直流電圧(出力電圧Vo)が生成される。この出力電圧Voが、シャントSHを通して負荷RLに印加される。 なお、図5に示すDC/DCコンバータ回路50では、シャントSHと負荷RLの接続点(出力電圧V(+)の端子)が制御回路のグランド(G)側になるように構成されている。
(出力定電圧制御回路51についての説明)
図5に示す出力定電圧制御回路51は、出力電圧Voの検出信号と、D/Dコントローラ41から入力した出力電圧基準信号Vref(図1を参照)との差分に対応してスイッチング素子Q1のON(オン)幅を制御する制御回路である。この出力定電圧制御回路51は、抵抗R11とR12が直列に接続された抵抗分圧回路で構成された出力電圧検出部を有し、また、エラーアンプEA1を有している。抵抗R11の一端は、正側の出力電圧(+)端子に接続され、抵抗R11の他端は抵抗R12の一端に接続され、抵抗R12の他端は負側の出力電圧(−)端子に接続される。抵抗R11とR12の接続点は、抵抗R13を介して、エラーアンプEA1の非反転入力端子(+)に接続されている。また、エラーアンプEA1の反転入力端子(−)には、D/Dコントローラ41から出力される出力電圧基準信号Vrefが入力される。
このエラーアンプEA1の非反転入力端子(+)と出力端子との間には、抵抗R14(比例要素)が接続され、また、コンデンサC11と抵抗R15の直列回路(成分要素)が接続される。したがって、エラーアンプEA1は比例積分回路(一次遅れ回路)となり、出力電圧Vo(より正確には出力電圧V(−)の検出信号)と出力電圧基準信号Vrefとの差分が所定の時定数を持って差動増幅され、差動増幅された信号AVR_Vが出力される。このため、エラーアンプEA1の出力は、所定の時定数を持って徐々に変化するため、後述する瞬時過電流制御回路53と比較して応答が遅くなる。
そして、通常動作時、すなわち、出力定電流制御回路52及び瞬時過電流制御回路53による出力電圧の垂下動作が行われていない場合は、出力定電圧制御回路51の出力信号AVR_VがノードN1に出力され、この出力信号AVR_Vが比較器CMP2により電源動作周波数キャリア三角波形と比較され、スイッチング素子Q1のON/OFF駆動信号(PWM信号)が生成される。
例えば、図6は、DC/DCコンバータ回路50の動作を示す図であり、横軸に時間の経過を示し、縦方向に、ノードN1に回路51,52,53から出力される電圧(AVR_V、AVR_I2、またはAVR_I1)と、キャリア三角波形と、比較器CMP2の出力(ハイレベルでスイッチング素子Q1がON)と、出力電圧Voを並べて示したものである。
この図において、図6(A)に示すように、通常動作時(出力電圧正常範囲制御時)においては、ノードN1の出力電圧は、出力定電圧制御回路(エラーアンプEA1)51からの出力電圧AVR_Vとなり、この出力信号AVR_VがノードN1に出力される。この出力信号AVR_Vが比較器CMP2により電源動作周波数キャリア三角波形と比較され、比較器CMP2からスイッチング素子Q1のON/OFF駆動信号が生成される。これにより、出力電圧Voが一定の値になるように制御される。
(出力定電流制御回路52についての説明)
図5に示す出力定電流制御回路52は、定電力垂下動作(直流電源ユニット10から負荷RLに流れる出力電流を検出して垂下させる二次垂下動作)を制御する制御回路である。また、この出力定電流制御回路52は、後述するように通常動作時(定電流垂下動作時)において、定電流垂下動作を行う回路でもある。この出力定電流制御回路52において、出力電流Ioの検出素子であるシャントSHにより検出された出力電流の検出信号Cが抵抗R21を介してエラーアンプEA2の反転入力端子(−)に入力される。また、エラーアンプEA2の非反転入力端子(+)には、垂下基準信号生成部42から出力される二次垂下基準信号Iref2(図3(B)を参照)が入力される。このように、出力定電流制御回路52において、エラーアンプEA2には、出力電流Ioの検出信号Cと二次垂下基準信号Iref2とが入力され、エラーアンプEA2により差動増幅された信号AVR_I2を出力する。
なお、このエラーアンプEA2の反転入力端子(−)と出力端子との間には、抵抗R22(比例要素)が接続され、また、コンデンサC21と抵抗R23の直列回路(積分要素)が接続されている。したがって、エラーアンプEA2は比例積分回路(一次遅れ回路)となり、出力電流値の信号Cと二次垂下基準信号Iref2との差分が所定の時定数を持って差動増幅される。すなわち、エラーアンプEA2の出力は所定の時定数を持って徐々に変化し、エラーアンプEA2の応答は、後述する瞬時過電流制御回路53と比較して応答が遅くなるように設定されている。
この出力定電流制御回路52の構成により、出力電流Ioが増加すると、差動増幅したEA2の出力信号AVR_I2が徐々に下がり、信号AVR_V及び信号AVR_I1より低くなると、この出力信号AVR_I2がノードN1に出力される。
図6(B)に、出力定電流制御回路52の回路動作を示す。図6(B)に示すように、出力定電流制御回路52において、出力電流Ioの検出信号Cが二次垂下基準信号Iref2の電圧レベルを超えると、エラーアンプEA2の出力信号AVR_I2が徐々に低下し、信号AVR_Vより低くなると、出力信号AVR_I2がノードN1に出力され、信号AVR_I2が比較器CMP2により電源動作周波数キャリア三角波形と比較され、スイッチング素子Q1の駆動信号(PWM信号)が生成される。
このように、出力電流Ioが増大するにつれて、出力信号AVR_I2が徐々に低下し、二次垂下動作が開始される。
(瞬時過電流制御回路53についての説明)
図5に示す瞬時過電流制御回路53は、瞬時過電流保護のための定電流垂下動作(出力トランスTx1の一次側の電流を検出して垂下させる一次垂下動作)を制御する制御回路である。この瞬時過電流制御回路53において、出力トランスTx1の一次側の電流検出素子である電流センサCTにより検出された電流信号A,BをダイオードD31と抵抗R31により整流して一次側電流検出信号Isを生成し、この生成した信号Isが比較器CMP1の反転入力端子(−)に入力される。なお、信号Isはパルス状の電圧信号である。また、比較器CMP1の非反転入力端子(+)には、垂下基準信号生成部42により生成された一次垂下基準信号Iref1(図3(C)を参照)が入力される。
この瞬時過電流制御回路53の構成により、出力トランスTx1の一次側電流が増加し、信号Isが一次垂下基準信号Iref1を超えると(信号Is>Iref1)、比較器CMP1の出力信号AVR_I1は直ちにローレベルの信号となる。この比較器CMP1から出力されるローレベルの信号AVR_I1は、常に、出力定電圧制御回路51の出力信号AVR_V及び出力定電流制御回路52の出力信号AVR_I2よりも信号レベルが低くなるように設定されており、瞬時過電流制御回路53が過電流を検出した際には、信号AVR_I1が直ちにノードN1に出力される。
このように、DC/DCコンバータ回路50が瞬時過電流により垂下動作に入る場合、電流センサCTにより検出した電流値の信号Isと、一次垂下基準信号Iref1とを瞬時過電流制御回路53内の比較器CMP1により比較し、信号Isが一次垂下基準Iref1を超えたら、直ちに比較器CMP1の出力信号をローレベルとし、出力電圧を低下させる。この瞬時過電流制御回路53における動作は出力定電流制御回路(二次垂下)52よりも応答が早く、過渡的な過電流制限を行うことで電源を保護している。
図6(C)に、瞬時過電流制御回路53の回路動作を示す。図6(C)に示すように、瞬時過電流制御回路53では、出力トランスTx1の一次側電流の検出信号Isが一次垂下基準信号Iref1を超えると、比較器CMP1の出力信号AVR_I1が直ちにローレベルまで低下し、ローレベルの信号AVR_I1がノードN1に出力され、信号AVR_I1が比較器CMP2により電源動作周波数キャリア三角波形と比較され、スイッチング素子Q1の駆動信号(PWM信号)が生成される。この垂下動作の場合には、CMP2の出力(パルス幅)は、大幅に狭くなり、出力電圧Voが大幅に低下することになる。
このように、DC/DCコンバータ回路50では、定電力垂下動作における電流制限(二次垂下動作)は、出力定電流制御回路52(エラーアンプEA2)により制御を行う。また、瞬時過電流保護による電流制限(一次垂下動作)は、瞬時過電流制御回路53(比較器CMP1)により制御を行う。また、常に、2次垂下基準信号Iref2が一次垂下基準信号Iref1よりも小さくなるように、すなわち「2次垂下基準信号Iref2<一次垂下基準信号Iref1」の関係となるように設定されている。
例えば、図7に示すように、期間T1に示す定電力垂下動作を行う際には、二次垂下基準信号Iref2を信号レベルA2(定電力垂下動作における出力電流の最大値を一時的に信号レベルA2)まで増加させ、これに比例して一次垂下基準信号Iref1も信号レベルA1(出力トランスTx1の一次側電流の電流制限値を一時的に信号レベルA1)まで増加させることになる。また、期間T2に示す定電流垂下動作を行う際には、一次垂下基準信号Iref1を、通常動作時の瞬時過電流保護電流に相当する信号レベルB1にし、二次垂下基準信号Iref2は、一次垂下基準信号Iref1の信号レベルB1より小さい信号レベルB2にすることになる。
なお、期間T2の定電流垂下動作時における一次垂下基準信号Iref1の信号レベルB1と、二次垂下基準信号Iref2の信号レベルB2との関係については、例えば、二次垂下基準信号Iref2の信号レベルB2を定格電流Imax0(連続して流すことができる100%電流)に一致するように設定する。また、例えば、一次垂下基準信号Iref1の信号レベルB1を瞬時過電流保護電流(短時間定格で流すことができる電流、例えば、定格電流の150%)に一致するように設定する。これにより、過電流状態が生じる場合に、応答の速い瞬時過電流制御回路53により、出力電流を瞬時に瞬時過電流制限電流(例えば、150%)に制限し、その後、出力定電流制御回路52により、所定の時定数を有して、出力電流を定格電流(100%)に制限することができる。
(直流電源装置についての説明)
次に、本発明の直流電源ユニットを複数台用いた直流電源装置101について説明する。本実施形態に係わる直流電源装置101は、上述したDC/DCコンバータ回路50を用いて直流電源ユニット10を構成し、この直流電源ユニット10を複数台設けて、それぞれを並列に接続して、並列冗長運転方式で構成されている。これの一例を図8に示している。図8では、直流電源システム100内の直流電源装置101を構成する直流電源ユニット10A,10B,10Cのブロック図を示す。この直流電源ユニット10A,10B,10Cは、U相、V相、W相の3相交流(例えば、AC3相200V)を入力電源とするように構成されている。なお、この例では3相交流を入力電源とするように構成してあるが、単相交流入力であっても本発明の直流電源装置101を構成することができる。
図8に示す直流電源装置101は、各直流電源ユニット10A,10B,10C入力側に力率改善回路20A,20B,20Cを備え、その出力にDC/DCコンバータ回路50A,50B,50Cが接続されている。即ち、力率改善回路20A,20B,20CがDC/DCコンバータ回路50A,50B,50Cの直流電源Eの役割をする。また、直流電源装置101は、これとは別途にD/D制御回路40Aを備えている。D/D制御回路40Aは、図1に示したD/Dコントローラ41、垂下基準信号生成部42を備えた回路である。また、D/D制御回路40Aは各DC/DCコンバータ回路50A,50B,50Cに接続されている。
なお、各DC/DCコンバータ回路50A,50B,50Cの構成と動作とは、図5に示したDC/DCコンバータ回路50と同様であり、重複する説明は省略する。また、D/D制御回路40Aの構成と動作とについても、図1に示したD/D制御回路40と同様であるが、このD/D制御回路40Aでは、複数のDC/DCコンバータ回路50A,50B,50Cを制御する点が異なる。このD/D制御回路40Aからは、DC/DCコンバータ回路50A,50B,50Cに対して、出力電圧基準信号Vref、一次垂下基準信号Iref1及び二次垂下基準信号Iref2が出力される。この場合に、DC/DCコンバータ回路50A,50B,50Cに対して出力する一次垂下基準信号Iref1及び二次垂下基準信号Iref2は、各回路50A,50B,50の容量や特性に応じて、それぞれの回路50A,50B,50ごとに設定することもできる。
上記直流電源装置101の構成により、複数の直流電源ユニット10A,10B,10Cを用いて負荷RL(定電力特性を持つ負荷)に電力を供給する場合において、停電により蓄電池61から負荷RLに電力を供給している途中に復電した際に、各直流電源ユニット10A,10B,10Cが一時的に定電力垂下動作を行う。これにより、各直流電源ユニット10A,10B,10Cから定格電流Imax0(通常動作時の最大電流)以上の電流を負荷RLに供給しながら、各直流電源ユニット10A,10B,10Cの出力電圧Vo(=負荷電圧VL)を所要定格電圧まで立ち上げることができる。
[第2の実施形態]
上述した第1の実施形態においては、直流電源装置101内の各直流電源ユニットに、電源の復電時(直流電源ユニットの起動時)のみに一時的に定電力垂下特性を持たせることにより、蓄電池による負荷装置への給電を、直流電源ユニットからの給電により切り換える例について説明した。しかしながら、直流電源ユニットに一時的に定電力垂下特性を持たせたとしても、電源の復電時における蓄電池電圧等の条件によっては、蓄電池放電が継続する現象が発生することがある。この現象が発生すると、直流電源ユニットが垂下状態となり、直流電源ユニットの出力電圧が蓄電池電圧に規制されて(蓄電池電圧に引っ張られて)、負荷電圧を定格電圧に復旧できなくなる。本発明の第2の実施形態として、電源の復電時において、蓄電池による負荷装置への給電を、直流電源ユニットからの給電に確実に切り換えることができる直流電源装置の例について説明する。
(定電流垂下特性と定電力垂下特性についての補足説明)
ここで、直流電源ユニットの定電流垂下特性と定電力垂下特性について、図17を参照して、再度、整理して説明する。前述したように直流電源ユニットは、出力側の短絡事故発生時等、直流電源ユニットから過大な電流が事故点に流れ込むことにより直流電源ユニット自身が破損しないように、ある電流値以上、出力しないようにするための垂下特性を有している。この垂下特性には、図17(B)に示す定電流垂下特性と、図17(C)に示す定電力垂下特性とがある。図17(B)に示す定電流垂下特性は、ある電流値(図の例では40A)を上限とし、それ以上の、負荷側で電流を要求する場合は、直流電源ユニットの出力電圧を低下させることで直流電源ユニット自身を保護する特性である。
図17(C)に示す定電力垂下特性は、ある電圧までは定格容量を出力できるように、電圧の低下とともに出力電流を増加させる特性のことである。図の例では、出力電圧260Vにおいて58Aの電流を流せるようにしている。この定電力垂下特性は、例えば、通信用電源装置の直流電源装置等で採用されている。負荷RLが定電力特性である通信用電源システムでは、負荷RLは蓄電池61の放電中もある一定の電力を要求するため、電圧の下がった蓄電池放電状態から直流電源装置101Bからの給電に切り替える場合には、この定電力垂下特性が適しているとされてきた。しかし、この定電力垂下特性を有する直流電源ユニットは、直流電源ユニットの能力として結局、定格電圧×垂下電流最大値分の容量を持たせる必要があるため、直流電源ユニット(すなわち直流電源装置101B)が大容量化し、オーバースペックになっている。
この理由は、商用電源停電時は、直流電源装置101Bによる給電から蓄電池61による給電に切り替わる。商用電源復電時は蓄電池61による給電から直流電源装置101Bによる給電に戻す必要がある。その蓄電池61から直流電源装置101Bに切り替えるには、直流電源装置101Bは定電力垂下特性を有していなければならない。これは、蓄電池61による給電で低下した電圧を通常状態へ戻すには、停電時の電圧源であった蓄電池以上の電流を直流電源ユニットから供給し、直流電源ユニットが電圧源となる必要があるためである。定電力垂下特性を直流電源ユニットに持たせる場合、従来、直流電源ユニットの容量は「最大電流×定格電圧」を満足するよう設計されている。このため、通常使用する定格電流は、最大電流より小さくなる。例えば、定格電流(100%連続電流)を40A、最大定格電流58Aとすると、直流電源ユニットの実力最大値に対して通常は68%で使用していることとなる。通常は68%で使用、残り32%は非常時のみの使用という非効率であるだけでなく、負荷容量によっては直流電源ユニットの必要台数が増加、コストも増加してしまう。
一方、常時は定電流垂下特性で、図17(D)に示すように、短時間限定で定電力垂下特性(図の例では、260Vで58A)とするのが第1の実施形態における短時間定電力垂下特性である。この短時間定電力垂下特性によれば、直流電源ユニットは、短時間なら定格電流(図の例では、40A)を超えて出力できるが、例えば温度の制約などにより、長時間は出力できない。電圧の下がった蓄電池放電状態から直流電源ユニットへ給電を切り替える場合のみ、この特性を利用することにより、直流電源ユニット(すなわち直流電源装置101B)の容量を必要最小限とすることができる。
例えば、次のような状態で、短時間定電力垂下特性の効果が発揮される。
停電が回復し、商用電源が復電する際、蓄電池放電状態から直流電源ユニットによる供給状態に切り替わらなければならない。蓄電池放電状態では蓄電池電圧が定常電圧よりもかなり低い電圧となっているため、図18(A)に示すように、直流電源ユニット(RF−U)1〜Nの出力電流が一斉に一時的に増加する。この場合、図18(B)に示すように、直流電源ユニット(RF−U)の出力電流は、短時間定電力垂下特性により58Aまで増加する。これにより、全負荷電流を直流電源ユニット1〜Nから供給することができるため、ダイオードDX1がターンオフ(ダイオードDX1が順方向バイアスから逆方向バイアス状態に移行する意味)し、直流電源ユニット(RF−U)による負荷電力の供給状態に戻すことができる。
(第2の実施形態で解決しようとする課題の説明)
ところで、例えば、直流電源ユニットが1台故障の状態においても、上記の図17(D)で説明した短時間定電力垂下動作をすることとすると、停電後の復電時における直流電源装置(より正確には直流電源ユニット)の動作は、次の2つの場合に分かれる。
第1の場合として、直流電源ユニットが1台故障の状態(例えば、図19(A)に示す直流電源ユニット2が故障の状態)で停電が回復し、商用電源が復電する場合、充電兼予備ユニット(CH−U)が故障した1台の代わりに負荷RLへの給電を行う。この場合、充電兼予備ユニット(CH−U)が負荷RLへの電力供給を行うため、ダイオードDX1がオン状態となる。このときの電源線DCL1の電圧(負荷電圧VL)は蓄電池61の蓄電池電圧(充電電圧)の状態によって変化する。
蓄電池がほぼ浮動充電に等しい場合は、「電源線DCL1の電圧(負荷電圧VL)=充電兼予備ユニットの出力電圧」となり、図19(A)に示すように、蓄電池61は浮動充電となる。この場合、図19(B)に示すように、充電兼予備ユニットの出力電圧は浮動充電電圧であり、直流電源ユニット(RF−U)の定格電圧(例えば、380V)に近い電圧(374V:充電兼予備ユニット(CH−U)の定格電圧)となる。このため、直流電源装置(正常に動作する直流電源ユニットと充電兼予備ユニット)は、短時間定電力垂下動作時はもちろん、定電流垂下特性に戻っても所定の負荷容量を出力できる。
また、第2の場合として、蓄電池61が定電流充電の状態にある場合は、「電源線DCL1の電圧(負荷電圧VL)=蓄電池電圧」となる。この場合、図20(B)に示すように、蓄電池電圧は直流電源ユニット(RF−U)の定格電圧(例えば、380V)よりも大きく下回り310Vとなる。このため、直流電源装置101Bでは、図20(A)に示すように、残った正常に動作する直流電源ユニット(RF−U)と充電兼予備ユニット(CH−U)とにより、「充電兼予備ユニットによる電力供給+短時間定電力垂下動作」によって負荷RLに供給する負荷電流を一時的に賄えるが、最終的には各ユニットは定電流垂下特性となるため、直流電源装置101Bの出力容量が減少する。これにより、残った直流電源ユニット(RF−U)および充電兼予備ユニット(CH−U)だけで負荷電流を供給しきれず、蓄電池放電が継続する場合がある。総じて、蓄電池61が定電流充電状態での直流電源ユニット1台故障時に蓄電池放電が継続する事象が発生し得る。すなわち、ダイオードDX1がターンオン(ダイオードDX1が順バイアスされて導通している状態)のままとなり、正常な直流電源ユニット(RF−U)と、充電兼予備ユニット(CH−U)と、蓄電池61とにより負荷RLに電流を供給する。
また、図21、図22、及び図23は、直流電源装置101Bにおける停電後の復電時における動作を説明するためのタイムチャートである。図21、図22、及び図23に示すタイムチャートは、横方向に時間tの経過を取り、縦方向に、各部の電力と、電圧と、電流とを並べて示したものである。そして、図21、図22、及び図23の各図において、図(A)においては、負荷電力PLと、直流電源ユニット(RF−U)の出力電力PRF−Uと、充電兼予備ユニット(CH−U)の出力電力PCH−Uと、蓄電池充放電電力Pbatと、示している。また、図(B)においては、負荷電圧VLと、ダイオードDX1のアノード電圧Vdxaと、カソード電圧Vdxkとを、示している。また、図(C)においては、負荷電流ILと、直流電源ユニット(RF−U)の出力電流IRF−Uと、充電兼予備ユニット(CH−U)の出力電流ICH−Uと、蓄電池61への充放電電流である蓄電池電流Ibatと、を示している。
また、上記タイムチャートにおいては、以下の前提条件があるものとする。先ず、負荷容量は、100KWとする。また、直流電源ユニット(RF−U)1〜Nの定格出力電圧容量を、定格出力容量を15.2KWとして、定格出力電圧を、383Vとし、定格出力電流を、40Aとし、最大定格電流(短時間最大出力電流)を、58Aとしている。なお、図では、図面の見易さのために、15.2KW(定格出力容量)を「15KW」で示している。また、充電兼予備ユニット(CH−U)の定格出力容量を、15.2KWとし、定格出力電圧を、374.6Vとし、定格出力電流40Aとし、最大定格電流(短時間最大出力電流)を、58Aとしている。
また、蓄電装置は、2V系の蓄電池を168組使用し、浮動充電電圧が374.6V(2.23×168)となるように構成されているものとしている。また、その最大充電電流(定電流充電における充電電流)は、30Aに制限されている。すなわち、充電兼予備ユニット(CH−U)から蓄電池61に定電流充電を行う場合は、充電兼予備ユニット(CH−U)の出力電流は、30Aに制限される(定電流垂下特性が40Aから30Aに変更される)。なお、この充電兼予備ユニット(CH−U)における定電流垂下特性の変更は、監視部81により行われる。監視部81では、直流電源装置の出力電圧(負荷電圧VL)と、充電兼予備ユニット(CH−U)の出力電圧及び出力電流と、を常に検出しており、充電兼予備ユニットから負荷RLに電力を供給しない場合において、蓄電池61に定電流充電を行う場合は、充電兼予備ユニット(CH−U)の出力電流を、30Aに制限する。なお、後述する定電力垂下動作時における急速充電の場合は、充電電流が一時的に58Aとなる(図21(C)の時刻t3〜t4を参照)。
また、蓄電池61に繋がるダイオードDX1をターンオフさせる時の蓄電池電圧を「310.8V」としている。すなわち、直流電源ユニット(RF−U)が、負荷電圧VLを301.8Vを以上に上昇させ得る場合に、ダイオードDX1をターンオフとすることができるものである。なお、この値(310.8V)は、例えば、2V系鉛蓄電池の容量が空になった際の開放電圧(放電していない時の蓄電池電圧)を1.85Vとした場合の168個組の蓄電池の開放電圧として、「1.85×168個=310.8V」により算出している値である。しかし、この値(310.8V)は、実際の蓄電池の充電状態に応じた蓄電池開放電圧(蓄電池に負荷を接続しない場合の蓄電池電圧)に応じて変化する値である。
そして、まず、図21に示す復電時のタイムチャートについて説明する。この図21に示すタイムチャートは、故障した直流電源ユニット(RF−U)がなく、正常に動作する7台の直流電源ユニット(RF−U)と、1台の充電兼予備ユニット(CH−U)とを使用して復電後の起動を行う例である。また、復電時の蓄電池電圧が250Vであり、直流電源ユニット(RF−U)の定電力垂下動作によりダイオードDX1がターンオフする例である。すなわち、図21に示す例は、ダイオードDX1がターンオフする正常動作時の例である。
図21に示すタイムチャートを参照して、時刻t0〜時刻t1の間は、停電により直流電源装置101Bが停止中であり、蓄電池61から負荷RLに電力が供給されているものとする。そして、時刻t1において復電し、時刻t2から直流電源装置101Bが起動し、各直流電源ユニット(RF−U)及び充電兼予備ユニット(CH−U)から電流の供給が開始される。そして、各直流電源ユニット(RF−U)及び充電兼予備ユニット(CH−U)は、時刻t2〜時刻t4の間において定電力垂下動作を行い、時刻t4において、定電力垂下動作から定電流垂下動作に切り替わる。なお、時刻t2から時刻t4までの定電力垂下動作期間において、時刻t2から時刻t3までの期間は、入力側および出力側にラッシュ電流(突入電流)が流れることを回避するために各直流電源ユニット(RF−U)及び充電兼予備ユニット(CH−U)の出力電圧と出力電流とを徐々に立ち上げるカレントウォークインの動作モード(ソフトスタートモード)である。
そして、時刻t0〜時刻t1の蓄電池放電中においては、蓄電池61から負荷RLに電力(100KW)が供給され、図(B)に示すように、蓄電池61の放電によりアノード電圧Vdxa及びカソード電圧Vdxk(負荷電圧VL)が次第に低下するとともに、図(C)に示すように、蓄電池電流Ibatが次第に増加する。そして、時刻t2において、直流電源ユニット(RF−U)及び充電兼予備ユニット(CH−U)が動作を開始すると、この時刻t2以降、直流電源ユニット(RF−U)からの出力電流IRF−Uと、充電兼予備ユニット(CH−U)からの出力電流ICH−Uとが次第に増加し始める。また、時刻t2以降、蓄電池電流Ibat(放電電流)は、直流電源ユニット(RF−U)及び充電兼予備ユニット(CH−U)からの出力電流が増加するにつれて次第に減少し、時刻t3において、蓄電池電流Ibat(放電電流)は0(ゼロ)になる。
一方、図(B)に示すように、時刻t0以降、ダイオードDX1はオン状態にあり、時刻t2以降、そのアノード電圧Vdxa(=負荷電圧VL)とカソード電圧Vdxk(=負荷電圧VL)は次第に増加し、時刻t3において「310.8V」になり、直流電源ユニット(RF−U)からの出力電流は321.7Aになる。この時刻t3においては、後述する(1)式で示す、「100KW(負荷電力)<Pmax(15.2kw)×7台」の条件が成立するので、ダイオードDX1がターンオフとなり、負荷電圧が383Vまで立ち上がる。
そして、時刻t3において、ダイオードDX1がオフ状態になると、負荷電圧VLが383Vに上昇することにより、直流電源ユニット(RF−U)の出力電流IRF−Uは、261.1A(≒100KW/383V)に低下する。また、充電兼予備ユニット(CH−U)は、時刻t4までの定電力垂下動作により、蓄電池61に58Aの蓄電池電流Ibat(充電電流)を流すことにより、蓄電池61を急速充電する。このため、図(B)に示すように、時刻t3以降、蓄電池61のアノード電圧Vdxa(蓄電池電充電電圧)は、次第に増加する。
その後、時刻t4に至り、定電力垂下動作期間が終了し、定電流垂下動作期間に切り替わる。この定電流垂下動作期間においては、直流電源ユニット(RF−U)が負荷RLへ電力を供給するとともに、充電兼予備ユニット(CH−U)は、蓄電池61への定電流充電を行う。なお、この時刻t4以降の定電流垂下動作期間における蓄電池61への定電流充電の充電電流は、充電電流制限のために30Aに制限される。
次に、図22に示す復電時のタイムチャートについて説明する。この図22に示すタイムチャートは、図21の場合と同様に、故障した直流電源ユニット(RF−U)がなく、正常に動作する7台の直流電源ユニット(RF−U)と1台の充電兼予備ユニット(CH−U)とを使用して復電後の起動を行う例である。しかし、この図22の場合は、復電時の蓄電池電圧が200Vと低い場合の例であり、直流電源ユニット(RF−U)の定電力垂下動作によってもダイオードDX1がターンオフできない例であることが図21の場合と異なる。すなわち、図22に示すタイムチャートは、故障した直流電源ユニット(RF−U)がないのにも係わらず、ダイオードDX1をターンオフできない、異常動作時の例である。なお、前提条件については、図21の場合と同様である。
図22に示すタイムチャートを参照して、時刻t0〜時刻t1の間は、停電により直流電源装置101Bが停止中であり、蓄電池61から負荷RLに電力が供給されているものとする。そして、時刻t1において復電し、時刻t2から直流電源装置101Bが起動し、各直流電源ユニット(RF−U)及び充電兼予備ユニット(CH−U)から電流の供給が開始される。そして、各直流電源ユニット(RF−U)及び充電兼予備ユニット(CH−U)は、時刻t2〜時刻t4の間において定電力垂下動作を行い、時刻t4において、定電力垂下動作から定電流垂下動作に切り替わる。
そして、時刻t0〜時刻t1の蓄電池放電中においては、蓄電池61から負荷RLに電力(100KW)が供給され、図(B)に示すように、蓄電池61の放電によりアノード電圧Vdxa及びカソード電圧Vdxk(=負荷電圧VL)次第に低下するとともに、図(C)に示すように、蓄電池電流Ibat(負荷電流IL)が次第に増加する。そして、時刻t2において、直流電源ユニット(RF−U)及び充電兼予備ユニット(CH−U)が動作を開始すると、この時刻t2以降、直流電源ユニット(RF−U)からの出力電流IRF−Uと、充電兼予備ユニット(CH−U)からの出力電流ICH−Uが次第に増加し始める。また、時刻t2以降、蓄電池電流Ibat(放電電流)は、直流電源ユニット(RF−U)及び充電兼予備ユニット(CH−U)からの出力電流が増加するにつれて次第に減少し、時刻t3において、蓄電池電流Ibat(放電電流)は0(ゼロ)になる。
一方、図(B)に示すように、時刻t0以降、ダイオードDX1はオン状態にあり、時刻t2以降、そのアノード電圧Vdxa(=負荷電圧VL)とカソード電圧Vdxk(=負荷電圧VL)は次第に増加し、時刻t3において「240V」になる。この時刻t3において、負荷RL(100KW)に供給する電流は、416A(≒100KW/240V)必要であり、直流電源ユニット(RF−U)からの出力電流IRF−Uは、定電力垂下動作により406A(=58A×7)となり、不足分の電流(10A)は、充電兼予備ユニット(CH−U)から供給される。
この時刻t3においては、後述する(2)式で示す、「100KW(負荷電力)<240V×58A×7台」の条件が成立せず、ダイオードDX1がターンオフできないため、負荷電圧VLは定格電圧(例えば、383V)まで上昇できず、蓄電池電圧(240V)のままとなる。
そして、時刻t4に至り、定電力垂下動作期間が、定電流垂下動作期間に切り替わる。この時刻t4の時点において定電力垂下動作から定電流垂下動作に切り替わると、直流電源ユニット(RF−U)が、負荷RLに280A(=40A×7台)の電流を供給し、充電兼予備ユニット(CH−U)が、負荷RLに40Aの電流を供給する。そして、残りの不足する電流134A「≒(100KW/240V)−320A」は、蓄電池61の蓄電池電流Ibat(放電電流)により供給される。
時刻t4以降、蓄電池61の放電により、図(B)に示すようにダイオードDX1のアノード電圧Vdxaが次第に低下するとともに、図(C)に示すように、蓄電池電流Ibat(放電電流)も次第に増加する。
このように、直流電源ユニット(RF−U)が定電力垂下特性を有し、かつ、7台の直流電源ユニット(RF−U)が全て正常である場合においても、復電時の蓄電池電圧が低い場合(例えば、200Vの場合)は、ダイオードDX1をオフ状態にできず、蓄電池61からの放電電流が流れ続け、負荷電圧VLを定格電圧(例えば、383V)まで上昇させることができないことがある。
次に、図23に示す復電時のタイムチャートについて説明する。この図23に示すタイムチャートは、ユニット1台故障時における復電時の起動動作を示すタイムチャートであり、故障した直流電源ユニット(RF−U)が1台あり、残りの正常な6台の直流電源ユニット(RF−U)と1台の充電兼予備ユニット(CH−U)とを使用して復電後の起動動作を行う例である。また、復電時の蓄電池電圧が250Vの場合の例であり、直流電源ユニット(RF−U)が定電力垂下動作を行ってもダイオードDX1をターンオフできない例である。すなわち、図23に示すタイムチャートは、直流電源ユニット(RF−U)が1台故障した状態において、ダイオードDX1をターンオフできない、異常動作時の例である。なお、前提条件については、図21の場合と同様である。
図23に示すタイムチャートを参照して、時刻t0〜時刻t1の間は、停電により直流電源装置101Bが停止中であり、蓄電池61から負荷RLに電力が供給されているものとする。そして、時刻t1において復電し、時刻t2から直流電源装置101Bが起動し、各直流電源ユニット(RF−U)及び充電兼予備ユニット(CH−U)から電流の供給が開始される。そして、各直流電源ユニット(RF−U)及び充電兼予備ユニット(CH−U)は、時刻t2〜時刻t4の間において定電力垂下動作を行い、時刻t4において、定電力垂下動作から定電流垂下動作に切り替わる。
そして、時刻t0〜時刻t1の蓄電池放電中においては、蓄電池61から負荷RLに電力(100KW)が供給され、図(B)に示すように、蓄電池61の放電によりアノード電圧Vdxa(負荷電圧VL)及びカソード電圧Vdxk(=負荷電圧VL)が次第に低下するとともに、図(C)に示すように、蓄電池電流Ibat(負荷電流IL)が次第に増加する。そして、時刻t2において、直流電源ユニット(RF−U)及び充電兼予備ユニット(CH−U)が動作を開始すると、この時刻t2以降、直流電源ユニット(RF−U)からの出力電流IRF−Uと、充電兼予備ユニット(CH−U)からの出力電流ICH−Uが次第に増加し始める。また、時刻t2以降、ダイオードDX1のアノード電圧Vdxa及びカソード電圧Vdxkが250Vから次第に上昇し始める。また、時刻t2以降、蓄電池電流Ibat(放電電流)は、直流電源ユニット(RF−U)及び充電兼予備ユニット(CH−U)からの出力電流が増加するにつれて次第に減少し、時刻t3において、蓄電池電流Ibat(放電電流)は0(ゼロ)になる。
また、図(B)に示すように、時刻t0以降、ダイオードDX1はオン状態にあり、時刻t2以降、そのアノード電圧Vdxa(=負荷電圧VL)とカソード電圧Vdxk(=負荷電圧VL)は次第に増加し、時刻t3において「310.8V」になる。この時刻t3において、負荷RL(100KW)に供給する電流は、321.7A(≒100KW/310.8V)必要であり、直流電源ユニット(RF−U)からの出力電流IRF−Uは、定電力垂下動作により321.7A「≒(100KW/310.8)」となる。一方、充電兼予備ユニット(CH−U)は、時刻t4までの定電力垂下動作により、蓄電池61に58Aの蓄電池電流Ibat(充電電流)を流すことにより、蓄電池61を急速充電する。このため、図(B)に示すように、時刻t3以降、蓄電池61のアノード電圧Vdxa(蓄電池電充電電圧)は、次第に増加する。
なお、この時刻t3においては、ダイオードDX1はターンオフできない。これは、後述する(3)式で示す、直流電源ユニット(RF−U)の1台故障時の蓄電池放電を起こさせない条件、「100KW(負荷電力)/310.8V<40A×7台」の条件を満たすことができないため、ダイオードDX1はターンオフできない。このため、負荷電圧VLは、定格電圧(例えば、383V)まで上昇できず蓄電池電圧のままとなる。これは、仮に時刻t3においてダイオードDX1がターンオフしたと仮定すると、直流電源ユニット(RF−U)の出力電圧は瞬時に定格電圧(例えば、383V)まで上昇するため、直流電源ユニット(RF−U)の最大出力電流は40Aになる。このため、直流電源ユニット(RF−U)と充電兼予備ユニット(CH−U)との合計7台のユニットから負荷電流を供給するとしても、280A(<321.7A)となり、結局、時刻t3の直後において必要な負荷電流(321.7A)を賄えないためにダイオードDX1をターンオフできないことになる。
そして、時刻t3以降は、ダイオードDX1のアノード電圧Vdxaが上昇するにつれて、直流電源ユニット(RF−U)の出力電流IRF−Uが次第に減少する。そして、時刻t4に至り、定電力垂下動作期間が、定電流垂下動作期間に切り替わる。この時刻t4において定電力垂下動作から定電流垂下動作に切り替わると、直流電源ユニット(RF−U)が、負荷RLに240A(=40A×6台)の電流を供給し、充電兼予備ユニット(CH−U)が、負荷RLに40Aの電流を供給する。そして、残りの不足する電流32.5A「=(100KW/320V)−280A」は、蓄電池61の蓄電池電流Ibat(放電電流)により供給される。時刻t4以降、蓄電池61の放電により、図(B)に示すようにダイオードDX1のアノード電圧Vdxaが次第に低下するとともに、図(C)に示すように、蓄電池電流Ibat(放電電流)も次第に増加する。
このように、直流電源ユニット(RF−U)が1台故障した場合において、直流電源ユニット(RF−U)が定電力垂下特性を有していても、復電時の蓄電池電圧が低い場合は、ダイオードDX1をオフ状態にできず、蓄電池61からの放電電流が流れ続けることがある。
上述したように、直流電源装置101Bでは、直流電源ユニット(RF−U)が定電力垂下特性を有し、かつ、7台の直流電源ユニット(RF−U)は全て正常である場合においても、復電時の蓄電池電圧が低い場合は、ダイオードDX1がターンオフせず、負荷電圧VLを定格電圧(例えば、383V)に戻すことができずに蓄電池61から負荷RLに放電電流が流れ続けることがある。また、直流電源ユニット(RF−U)が1台故障した場合において、直流電源ユニット(RF−U)が定電力垂下特性を有していても、復電時の蓄電池電圧が低い場合は、ダイオードDX1がターンオフせず、負荷電圧VLを定格電圧に戻すことができずに蓄電池61から負荷RLに放電電流が流れ続けることがある。
本発明の第2の実施形態に係わる直流電源装置では、通常動作時において必要とされる仕様(例えば、スイッチング素子の選定や熱設計の仕様)のままで、起動の際に、通常動作時の定格電流以上の電流を負荷に供給することができるとともに、垂下した出力電圧を通常動作時の出力電圧(定格電圧)まで確実に立ち上げるようにする。
(第2の実施形態の直流電源装置の構成の説明)
図9は、本発明の第2の実施形態に係わる直流電源装置の構成を示す図である。
図9に示す直流電源装置101Aは、図24に示す直流電源装置101Bと比較して、監視部81と、切替部82と、電流センサ(カレントトランス)CT1、CT2、CT3と、電圧センサVTとを新たに追加した点が異なり、他の構成は、図24に示す直流電源装置101Bと同様である。このため、同一の構成部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図9において、直流電源ユニット(RF−U)1〜N及び充電兼予備ユニット(CH−U)は、常時は過電流保護のための定電流垂下特性を有し、また、停電回復時などのトリガ発生時に、定電流垂下特性を一時的に定電力垂下特性に切り替える。
電流センサCT1は、直流電源装置101Aから負荷RLに流れる負荷電流を検出するセンサであり、電流センサCT2は、充電兼予備ユニット(CH−U)から出力される出力電流を検出するセンサであり、電流センサCT3は、蓄電池61の充放電電流を検出するセンサである。この電流センサCT1、CT2、CT3は、例えば、ホール素子を用いた電流検出器などである。また、電圧センサVTは、直流電源装置101Aの出力電圧(=負荷電圧VL)を検出するための電圧検出器であり、例えば、抵抗分圧回路等により構成される回路である。
監視部81は、各直流電源ユニット(RF−U)1〜Nから運転状態信号St1〜StNを入力し、充電兼予備ユニット(CH−U)から運転状態信号Stcを入力し、直流電源ユニット(RF−U)及び充電兼予備ユニット(CH−U)の運転状態や故障の発生などを検出する。また、監視部81は、電流センサCT1、CT2、CT3及び電圧センサVTからの信号を入力し、直流電源装置101Aの動作状態を監視する。また、監視部81は、充電兼予備ユニット(CH−U)を制御し、充電兼予備ユニット(CH−U)から蓄電池61への定電流充電または浮動電圧充電の実行を制御する。また、監視部81は、切替部82を制御し、後述する切替部82内のスイッチ部83により、充電兼予備ユニット(CH−U)の出力端子をダイオードDX1のアノード側に接続するか、或いはダイオードDX1のカソード側に接続するかを切り替える。
図10は、切替部82の構成例を示す図である。この図に示すように、切替部82は、スイッチ部83と、ダイオードDX1とで構成される。ダイオードDX1は、アノード側が第3の電源線DCL3に接続される(電源線DCL3を介して蓄電池61に接続される)とともに、カソード側が第1の電源線DCL1に接続される。また、スイッチ部83は、第1の電源線DCL1と第2の電源線DCL2とを導通または非導通に切り替える第1のスイッチング素子と、第2の電源線DCL2と第3の電源線DCL3とを導通または非導通に切り替える第2のスイッチング素子とを備えている。
図10(A)に示す構成例は、スイッチ部83をパワーリレーのリレー接点(機械式の接点)で構成した例であり、スイッチ部83は、第1の電源線DCL1と第2の電源線DCL2とを導通または非導通に切り替える第1のスイッチング素子としてリレー接点Rya(メーク接点)と、第2の電源線DCL2と第3の電源線DCL3とを導通または非導通に切り替える第2のスイッチング素子としてリレー接点Ryb(ブレーク接点)とを備えている。この図10(A)に示す例では、スイッチ部83内のリレー接点Rya(メーク接点)の一端が、第1の電源線DCL1(ダイオードDX1のカソード側に接続される電源線DCL1)に接続され、リレー接点Rya(メーク接点)の他端が、第2の電源線DCL2を介して、充電兼予備ユニット(CH−U)の正(+)側の出力端子に接続される。また、スイッチ部83内のリレー接点Ryb(ブレーク接点)の一端が、第3の電源線DCL3(ダイオードDX1のアノード側に接続される電源線DCL3)に接続され、リレー接点Ryb(ブレーク接点)の他端が、第2の電源線DCL2を介して、充電兼予備ユニット(CH−U)の正(+)側の出力端子に接続される。なお、リレー接点Rya(メーク接点)とリレー接点Ryb(ブレーク接点)とは、図示しないリレーコイル(監視部81により制御されるコイル)が励磁された場合に、リレー接点Rya(メーク接点)がON(導通)になり、リレー接点Ryb(ブレーク接点)がOFF(非導通)になる接点である。また、充電兼予備ユニット(CH−U)の負(−)側の出力端子は、負(−)側の共通電源線DCL−に接続されている。
また、図10(B)は、スイッチ部83を2つのNCh型のMOSFET素子(FETa及びFETb)を用いて構成した例であり、スイッチ部83は、第1の電源線DCL1と第2の電源線DCL2とを導通または非導通に切り替える第1のスイッチング素子としてダイオードD1及びFETaと、第2の電源線DCL2と第3の電源線DCL3とを導通または非導通に切り替える第2のスイッチング素子としてダイオードD2及びFETbとを備えている。この図10(B)に示す例では、FETaのソース端子を第1の電源線DCL1に接続し、FETaのドレイン端子をダイオードD1のカソード側に接続し、ダイオードD1のアノード側を第2の電源線DCL2を介して充電兼予備ユニット(CH−U)の正(+)側の出力端子に接続する。また、FETbのソース端子を第3の電源線DCL3に接続し、FETbのドレイン端子をダイオードD2のカソード側に接続し、ダイオードD2のアノード側を第2の電源線DCL2を介して充電兼予備ユニット(CH−U)の正(+)側の出力端子に接続する。
FETa及びFETbは、監視部81から出力される制御信号がゲート端子に印加されることにより、ON(導通)またはOFF(非導通)となる。なお、FETaとFETbとは同時にオンしないようにインターロックが取られる。また、ダイオードD1及びD2は、FETa及びFETbに内蔵されるボディダイオード(フライホイールダイオード)を通して電流が流れることを阻止するために挿入されている。
上記切替部82の構成により、例えば、図11(A)に示すように、直流電源ユニット(RF−U)が全て正常な場合に、監視部81は、切替部82を制御することにより、充電兼予備ユニット(CH−U)の出力側を、ダイオードDX1のアノード側に接続し、充電兼予備ユニット(CH−U)の出力電流を蓄電池61に流すことができる。また、監視部81は、図11(B)に示すように、直流電源ユニット(RF−U)2に故障が発生した場合に、切替部82を制御することにより、充電兼予備ユニット(CH−U)の出力側を、ダイオードDX1のカソード側に接続し、充電兼予備ユニット(CH−U)の出力電流を負荷RL側に流すことができる。
そして、例えば、直流電源装置101Aは、充電兼予備ユニット(CH−U)が蓄電池61を定電流充電中に、直流電源ユニット(RF−U)に1台故障が発生した場合、切替部82により充電兼予備ユニット(CH−U)の出力配線をダイオードDX1のアノード側からカソード側に切り替え、切り替えた後、直流電源ユニット(RF−U)及び充電兼予備ユニット(CH−U)を短時間定電力垂下動作に切り替えることができる。
すなわち、蓄電池61への定電流充電中の電圧(負荷電圧VL)は、直流電源ユニットが垂下状態となり、蓄電池電圧により規制される(蓄電池電圧に引っ張られる)。この直流電源ユニットが垂下状態となり、蓄電池電圧により規制されている状態(蓄電池電圧に引っ張られている状態)を解消するには、ダイオードDX1をオフ状態にする必要がある。しかし、充電兼予備ユニット(CH−U)がダイオードDX1のアノード側に接続されている以上、充電兼予備ユニット(CH−U)から負荷RLへ流れる電流は、ダイオードDX1を通過する。この充電兼予備ユニット(CH−U)から負荷RLに流れる電流が、ダイオードDX1を導通状態(順バイアス状態)にすることにより、ダイオードDX1をターンオフすることができない。
そこで、切替部82により、充電兼予備ユニット(CH−U)の出力配線をダイオードDX1のカソード側に切り替えることで、充電兼予備ユニット(CH−U)から流れる電流がダイオードDX1を通過しないようにする。また、短時間定電力垂下特性にて一時的に直流電源ユニット(RF−U)及び充電兼予備ユニット(CH−U)の出力電流を増加させることで負荷電圧VLを上昇させる。この上昇させた負荷電圧VLにより、ダイオードDX1に逆方向バイアス電圧を印加し、ダイオードDX1をターンオフさせる。
また、切替部82のスイッチ部83を動作させる条件は、次の通りである。なお、定常時の電源線DCL1の電圧、すなわち直流電源ユニット(RF−U)出力電圧を383V、浮動充電電圧(充電兼予備ユニット(CH−U)の出力電圧)を374.6Vとする。
第1に、充電兼予備ユニット(CH−U)の出力配線(第2の電源線DCL2)をダイオードDX1のアノード側からカソード側に切り替える条件は、監視部81が、直流電源ユニット(RF−U)が故障を検出した場合や、蓄電池放電(定電力垂下動作後に蓄電池放電が継続すること)を検出した場合である。この条件に合致した場合に、監視部81は、充電兼予備ユニット(CH−U)の出力配線をダイオードDX1のカソード側に切り替える。そして、充電兼予備ユニット(CH−U)の出力配線をダイオードDX1のカソード側に切り替えた後、全ユニットが短時間定電力垂下特性へ切り替わることで、ダイオードDX1がターンオフし、電源線DCL1の電圧(負荷電圧VL)が、定格電圧(383V)またはユニット1台故障時の充電兼予備ユニット(CH−U)の定格電圧(374.6V)まで上昇する。
第2に、充電兼予備ユニット(CH−U)の出力配線(第2の電源線DCL2)をカソード側からアノード側に切り戻す条件は、監視部81が、直流電源ユニット(RF−U)の故障が復旧し、かつ充電兼予備ユニット(CH−U)の出力電流の0(ゼロ)を検出した場合である。この条件に合致した場合に、監視部81は、充電兼予備ユニット(CH−U)の出力配線(第2の電源線DCL2)をダイオードDX1のアノード側に切り替える。すなわち、この条件に合致した場合に、監視部81は、第1の電源線DCL1と第2の電源線DCL2との間を非導通にし、第2の電源線DCL2と第3の電源線DCL3との間を導通にする。
これは、直流電源ユニット(RF−U)の故障が復旧した場合であり、電源線DCL1の電圧は、直流電源ユニット(RF−U)の定格電圧(383V)に戻る。この場合、充電兼予備ユニット(CH−U)の出力電圧は374.6Vであるため、充電兼予備ユニット(CH−U)から電流は出力されなくなる。監視部81は、この充電兼予備ユニット(CH−U)の出力電流が0(ゼロ)になることを利用し、切替部82の切り戻しを行う。
(第2の実施形態の直流電源装置における処理フローについての説明)
図12は、本発明の第2の実施形態の直流電源装置101Aにおける処理の流れを示すフローチャートであり、上述した直流電源装置101Aにおいて行われる処理の流れをフローチャートで示したものである。なお、このフローチャートに示す処理は、直流電源ユニット(RF−U)の故障の有無に係わらず、起動の際に、切替部82を作動させるか否かを判定できるフローチャートである。
なお、このフローチャートにおいては、以下に示す前提条件があるものとする。
直流電源ユニット(RF−U)は、短時間定電力垂下特性を有する。また、直流電源ユニット(RF−U)の運転台数をnとし、直流電源ユニット(RF−U)の最大出力容量(Pmax)を15.2KWとする。また、蓄電池61から負荷RLへの放電が停止した際の蓄電池61の放電停止時の電圧Vobatを、310.8Vとする。なお、この値(310.8V)は、前述したように、例えば、2V系鉛蓄電池の容量が空になった際の開放電圧(放電していない時の蓄電池電圧)を1.85Vとした場合の168個組の蓄電池の開放電圧として、「1.85×168個=310.8V」により算出している値である。しかし、この値(310.8V)は、実際の蓄電池の充電状態に応じた蓄電池開放電圧(蓄電池に負荷を接続しない場合の蓄電池電圧)に応じて変化する値である。
また、直流電源ユニット(RF−U)及び充電兼予備ユニット(CH−U)の定電流垂下時の最大電流(定格電流Imax0)を40Aとする。また、定電力垂下時における、直流電源ユニット(RF−U)及び充電兼予備ユニット(CH−U)の最大出力電流(最大定格電流Imax1)を58Aとする。また、定電力垂下時において最大定格電流(Imax1)が流れる場合の定電力垂下電圧(Vcp)を260V(≒15.2[KW]÷58[A])とする。なお、直流電源ユニット(RF−U)及び充電兼予備ユニット(CHG)の出力電圧が約260V〜380V間は、15.2KWの電力の出力が可能であるが、260V未満は定電流となるため、出力容量が減少する。
そして、上記前提条件下において、復電時に、負荷電圧VLが、定格電圧(例えば、383V)に戻る条件は、負荷電圧VLの定電力垂下動作時の電圧が260V以上の場合、下記の(1)式となる。
PL(負荷電力)<Pmax(15.2KW)×n ・・・(1)
これは、運転する直流電源ユニット(RF−U)の台数が‘n’であり、その合計の最大出力電力「Pmax×n」よりも、負荷電力PLが少ない場合は、直流電源ユニットの定電力垂下動作により、負荷電圧VLを定格電圧(例えば、383V)まで立ち上げることができることを意味している。すなわち、直流電源ユニット(RF−U)により、負荷RLに必要な電力を賄えることを意味している。
また、上記前提条件下において、復電時に、負荷電圧VLが、定格電圧(例えば、383V)に戻る条件は、負荷電圧VLの定電力垂下動作時の電圧が260V未満の場合、下記の(2)式となる。
PL(負荷電力)<VL×Imax1×n ・・・(2)
これは、復電時において、負荷電圧VLが260V(≒15.2KW÷58A)未満の場合は、負荷電力PLが、当該負荷電圧VL(<260V)において、運転する直流電源ユニット(n台の直流電源ユニット)から供給可能な最大電力「VL×Imax1×n」が、負荷電力PLより大きい場合は、直流電源ユニットの定電力垂下動作により、負荷電圧を定格電圧(例えば、383V)まで立ち上げることができることを意味している。
また、直流電源ユニットの1台故障時に、蓄電池が放電しない条件は、下記の(3)式となる。
L/Vobat<Imax0(40A)×n’ ・・・(3)
ここで、n’は、正常に動作している直流電源ユニット(RF−U)と充電兼予備ユニット(CH−U)との合計の台数である。これは、直流電源ユニット(RF−U)が1台故障している場合は、直流電源ユニット(RF−U)が(n−1台)および充電兼予備ユニット(CH−U)が1台であり、結局、ユニットの運転台数はn’=n(=n−1+1)となる。
この(3)式における判定は、直流電源ユニット(RF−U)が1台故障時において蓄電池61の放電を回避するためには、直流電源装置101Aの総出力電流(Imax0×n)が負荷電流より上回っている必要があることを意味している。すなわち、負荷RLは定電力特性を有しているので、直流系統電圧(=負荷電圧VL)が低下すると電流が増加する。このため、(3)式の左辺の値、負荷電力PLを蓄電池61の放電停止時の電圧Vobatで割った電流値が、右辺の電流値「(n−1台)の直流電源ユニットと1台の充電兼予備ユニットとの最大出力電流の総和の電流値(Imax0×n)」以下であれば、蓄電池放電を回避できる。なお、上記(3)式において「Imax0(40A)×n」としているのは、蓄電池61が放電しない場合、すなわち、直流電源ユニット(RF−U)の出力電圧が定格電圧に復旧する場合は、直流電源ユニット(RF−U)及び充電兼予備ユニット(CH−U)の出力最大電流が定格電流Imax0(40A)に低下するからである。
上記前提条件下において、以下、図12に示すフローチャートを参照して、直流電源装置101Aにおける処理の流れについて説明する。なお、このフローチャートで示す処理は、停電後の復電時、または、直流電源ユニット(RF−U)に故障が発生した場合において開始される処理である。
直流電源装置101Aが、復電により起動すると(ステップS1)、電圧センサVTにより、負荷RLに出力している出力電圧(負荷電圧VL)を測定する(ステップS2)。また、負荷電流センサCT1により、負荷RLに出力している出力電流(負荷電流IL)を測定する(ステップS3)。次に、監視部81は、正常に動作している直流電源ユニット(RF−U)の合計の運転台数nを検出する(ステップS4)。
また、監視部81では、負荷RLに印加されている負荷電圧VLと、負荷RLに流れる負荷電流ILの測定結果により、負荷RLに供給されている負荷電力PLを算出する(ステップS5)。
次に、監視部81は、現在の負荷電圧VLが260V以上であるか否かを判定する(ステップS6)。これは、直流電源ユニット(RF−U)において定電力垂下動作が発生した場合に、その最大出力15.2KWが出力されるのは、出力電圧260V以上(出力電圧260Vの時に出力電流は58A)の場合であり、直流電源ユニット(RF−U)が最大出力(15.2KW)を出力できるか否かを判定するために、この判定を行う。
そして、監視部81では、ステップS6において現在の負荷電圧VLが260V以上であると判定された場合は(ステップS6:Yes)、前述の(1)式により復電時に電圧が戻る(定格電圧(例えば、383V)まで電圧を上昇できる)か否かを判定する(ステップS7A)。すなわち、運転できるn台の直流電源ユニット(RF−U)により、負荷RLに必要な電力を賄えるか否かを判定する。
そして、ステップS7Aにおいて、復電時に電圧が戻ると判定された場合は(ステップS7A:Yes)、ステップS8に移行し、さらに前述の(3)式に従い、直流電源ユニット(RF−U)が1台故障時の場合に、蓄電池が放電するか否かを判定する(ステップS8)。これは、直流電源ユニット(RF−U)が1台故障時において、蓄電池61からの放電を回避するためには、前述の(3)式に示したように、直流電源ユニット(RF−U)及び充電兼予備ユニット(CH−U)の総出力電流(40A×n)が負荷電流ILより上回っている必要があるためである。なお、直流電源ユニット(RF−U)に故障したユニットがない場合には、このステップS8の判定を省略してステップS9に移行することができる。
そして、ステップS8において直流電源ユニット(RF−U)が1台故障時に、蓄電池が放電しないと判定された場合は(ステップS8:Yes)、現状を維持する。すなわち、監視部81は、現在の直流電源ユニット(RF−U)の運転台数nにより復電時に電圧が戻ると判定し(ステップS7A:Yes)、かつ、直流電源ユニット(RF−U)の1台故障時において蓄電池61が放電しないと判定した場合は(ステップS8:Yes)、切替部82を作動させることなく現状を維持する。
また、ステップS8において、監視部81が、直流電源ユニット(RF−U)の1台故障時に、蓄電池が放電すると判定した場合は(ステップS8:No)、ステップS10に移行し、監視部81は、切替部82を作動させることにより、充電兼予備ユニット(CH−U)の出力配線(第2の電源線DCL2)を出力電源線(第1の電源線DCL1)に接続する。
また、上記のステップS7Aにおいて、監視部81により、復電時に出力電圧(負荷電圧VL)が定格電圧(例えば、383V)に戻らないと判定された場合は(ステップS7A:No)、ステップS10に移行し、監視部81は、切替部82を作動させることにより、充電兼予備ユニット(CH−U)の出力配線(第2の電源線DCL2)を出力電源線(第1の電源線DCL1)に接続する。
一方、ステップS6において、監視部81により、現在の負荷電圧VLが260V以下であると判定された場合は(ステップS6:No)、すなわち、直流電源ユニット(RF−U)の出力が15.2KW(≒260V×58A)よりも低下する場合は、前述の(2)式により復電時に電圧が定格電圧に戻るか否かを判定する(ステップS7B)。そして、ステップS7Bにおいて、監視部81が、復電時に電圧が戻る(定格電圧まで電圧を上昇できる)と判定した場合は(ステップS7B:Yes)、さらに、ステップS8に移行し、前述の(2)式に従い、直流電源ユニット(RF−U)が1台故障時に、蓄電池が放電するか否かを判定する(ステップS8)。なお、ステップS8における処理は前述した通りである。
そして、ステップS7Bにおいて、復電時に出力電圧(負荷電圧VL)が定格電圧まで戻らないと判定された場合は(ステップS7B:No)、ステップS10に移行し、監視部81は、切替部82を作動させる。
そして、ステップS10において、監視部81が、切替部82を作動させることにより、充電兼予備ユニット(CH−U)の出力配線(第2の電源線DCL2)をダイオードDX1のカソード側(第1の電源線DCL1側)に切り替える(ステップS10)。その後、監視部81は、全直流電源ユニット(RF−U)及び充電兼予備ユニット(CH−U)を定電力垂下動作に切り替える(ステップS11)。そして、所定時間経過後(定電力垂下動作の終了後)、全直流電源ユニット(RF−U)及び充電兼予備ユニット(CH−U)は、定電流垂下動作に戻る(ステップS12)。
次に、監視部81は、電流センサCT2を介して、充電兼予備ユニット(CH−U)の出力電流を計測し(ステップS13)、この充電兼予備ユニット(CH−U)の出力電流ICH−Uが0(ゼロ)であるか否かを判定する(ステップS14)。すなわち、監視部81は、直流電源ユニット(RF−U)の出力電圧(負荷電圧VL)が定格電圧に立ち上がったか否かを判定する。そして、ステップS14において監視部81により出力電流ICH−Uが0(ゼロ)であると判定された場合は(ステップS14:Yes)、監視部81は、故障中の直流電源ユニット(RF−U)があるか否かを判定する(ステップS15)。
ステップS15において、監視部81により、故障中の直流電源ユニット(RF−U)がないと判定された場合は(ステップS15:No)、監視部81は、切替部82を制御して、充電兼予備ユニット(CH−U)の出力配線(第2の電源線DCL2)をダイオードDX1のカソード側からアノード側に切り替え(ステップS18)、その後ステップS1に移行する。一方、ステップS15において、監視部81により、故障中の直流電源ユニット(RF−U)があると判定された場合は(ステップS15:Yes)、作業員が故障ユニットを正常なユニットに交換する(ステップS16)。そして、監視部81は、故障した直流電源ユニット(RF−U)を正常なユニットに交換したことにより直流電源ユニット(RF−U)が故障から復旧したか否かを判定する(ステップS17)。すなわち、監視部81は、全ての直流電源ユニット(RF−U)から運転状態信号を受信し、直流電源ユニット(RF−U)が正常に動作しているか否かを判定する。
ステップS17において、監視部81により、全ての直流電源ユニット(RF−U)が正常に動作していると判定された場合は(ステップS17:Yes)、監視部81は、切替部82を制御して、充電兼予備ユニット(CH−U)の出力配線(第2の電源線DCL2)をダイオードDX1のカソード側からアノード側に切り替え(ステップS18)、その後ステップS1に移行する。一方、ステップS17において、故障した直流電源ユニット(RF−U)が故障から復旧していないと判定された場合は(ステップS17:No)、監視部81は、例えば、所定時間経過後に、故障した直流電源ユニット(RF−U)が復旧できないことを示す警報信号を出力し、再度、ステップS16に処理を戻す。すなわち、監視部81により、全ての直流電源ユニット(RF−U)が正常に動作していると判定されるまで、作業員が故障ユニットを正常なユニットに交換するなどの作業を行う。
一方、ステップS14において、監視部81により出力電流ICH−Uが0(ゼロ)でないと判定された場合は(ステップS14:No)、すなわち、直流電源ユニット(RF−U)の出力電圧(負荷電圧VL)が定格電圧(例えば、383V)に立ち上がらない場合は、ステップS19に移行し、保守作業員が不具合の原因を調査する(ステップS19)。このステップS19における処理は、保守作業員により人手で行われる処理である。そして、ステップS19における原因調査により不具合の原因が発見された場合は、この不具合を保守作業員が解消し、この不具合が解消されると(ステップS20:Yes)、再度、ステップS13に移行し、監視部81は、出力電流ICH−Uを測定する。また、ステップS20において、不具合の原因が解消されない場合(ステップS20:No)、ステップS19に戻り、保守作業員が不具合の原因を継続して調査する。
上述した処理手順により、直流電源ユニット(RF−U)の1台故障時における復電後の起動時の処理と、直流電源ユニット(RF−U)の故障時でない場合における復電後の起動時の処理とにおいて、直流電源ユニット(RF−U)の出力電圧が定格電圧(例えば、383V)に復帰できないことを回避できる。すなわち、ダイオードDX1をターンオフできない場合に、監視部81は、切替部82により充電兼予備ユニット(CH−U)の出力配線(第2の電源線DCL2)をダイオードDX1のカソード側に切り替えることにより、ダイオードDX1を確実にターンオフして、蓄電池61から負荷RLに放電電流が継続して流れることを回避できる。
なお、本発明における第1の手順は、図12に示すフローチャートにおいて、ステップS2からステップS5までの処理が対応する。また、本発明における第2の手順は、ステップS6の処理が対応し、本発明における第3の手順は、ステップS7Aの処理が対応し、本発明における第4の手順は、ステップS7Bの処理が対応する。また、本発明における第5の手順は、ステップS10の処理が対応し、本発明における第6の手順は、ステップS8の処理が対応し、本発明における第7の手順は、ステップS10の処理が対応する。
次に、前述した図22及び図23に示した異常発生時のタイムチャートに対して、本実施形態における監視部81が切替部82を制御することにより、ダイオードDX1をターンオフさせる例について説明する。
図13及び図14に示すタイムチャートは、図22及び図23に示すタイムチャートにおいて、ダイオードDX1がターンオフしないことにより、直流電源ユニット(RF−U)の出力電圧が定格電圧(383Vまたは374.6V)に復帰できない場合、すなわち蓄電池61から負荷RLに電流が継続して流れている場合(ダイオードDX1をターンオフできない場合)において、切替部82により、充電兼予備ユニット(CH−U)の出力配線(第2の電源線DCL2)をダイオードDX1のカソード側(第1の電源線DCL1側)に切り替える例を示したものである。すなわち、時刻t5から直流電源ユニット(RF−U)の定電流垂下動作が開始され後、時刻t6において、切替部82を作動させる例を示したものである。
なお、図13及び図14に示す例は、時刻t4以降の定電流垂下動作期間において(通常の定電力垂下動作を実行した後に)、監視部81が前述した図12に示すフローチャートの処理を実行し、切替部82によるスイッチ切り替え動作を時刻t6から開始する例を示したものである。なお、図12に示すフローチャートの処理の開始タイミング、或いは開始条件は、起動の際のみならず、復電信号や直流電源ユニット(RF−U)の故障信号の発生をトリガとして開始するなど、任意に設定することができるものである。
そして、図13に示す例は、直流電源ユニット(RF−U)に故障したユニットがなく、また、復電時の蓄電池電圧が200Vの場合の例である。この図13に示す例では、復電後の時刻t1〜t6までは、図22に示す場合と同様に通常の起動処理が行われ、時刻t6において、切替部82により切り替え動作が行われる。
時刻t6において、監視部81は、切替部82を制御することにより充電兼予備ユニット(CH−U)の出力配線(第2の電源線DCL2)をダイオードDX1のカソード側に接続する。これと同時に、直流電源ユニット(RF−U)及び充電兼予備ユニット(CH−U)は、短時間定電力垂下動作を開始する。これにより、充電兼予備ユニット(CH−U)の出力電流ICH−Uが負荷RL側に流れようになり、ダイオードDX1はターンオフする。
そして、時刻t7以降において、直流電源ユニット(RF−U)の出力電圧は定格電圧(383V)に復帰し、直流電源ユニット(RF−U)の出力電流IRF−Uは261.1Aとなる。また、充電兼予備ユニット(CH−U)の出力電流ICH−Uは0(ゼロ)となる。
また、図14に示す例は、直流電源ユニット(RF−U)の内の1台のユニットが故障し、また、復電時の蓄電池電圧が250Vの場合の例である。この図14に示す例では、復電後の時刻t1〜t6までは、図23に示す場合と同様に通常の起動処理が行われ、時刻t6において、切替部82により切り替え動作が行われる。
時刻t6において、監視部81は、切替部82により充電兼予備ユニット(CH−U)の出力配線(第2の電源線DCL2)をダイオードDX1のカソード側に接続する。これと同時に、直流電源ユニット(RF−U)及び充電兼予備ユニット(CH−U)は、短時間定電力垂下動作を開始する。これにより、充電兼予備ユニット(CH−U)の出力電流ICH−Uが負荷RL側に流れようになり、ダイオードDX1はターンオフする。
そして、時刻t7以降において、負荷電圧VLは、充電兼予備ユニット(CH−U)の定格電圧(374.6V)まで復帰し、直流電源ユニット(RF−U)の出力電流IRF−Uは227Aとなる。また、充電兼予備ユニット(CH−U)の出力電流ICH−Uは40Aとなる。なお、負荷電圧VLは、充電兼予備ユニット(CH−U)の定電流垂下動作により、274.6Vになる。また、ダイオードDX1のカソード電圧Vdxk(蓄電池電圧)は、約310V(蓄電池開放時の電圧)となる。
以上、説明したように、本発明の第2の実施形態の直流電源装置101Aにおいては、通常動作時において必要とされる仕様(例えば、スイッチング素子の選定や熱設計の仕様)のままで、起動の際に、通常動作時の定格電流以上の電流を負荷RLに供給することができる。また、起動の際に、ダイオードDX1がターンオフせずに、直流電源ユニット(RF−U)の出力電圧が定格電圧に復帰しないこと、すなわち、蓄電池61から負荷RLへ放電電流が流れ続けることを回避できる。
なお、切替部82は、図10(b)に示す2つのNCh型のMOSFET素子(FETa及びFETb)を用いたスイッチ部83の構成に対して、図15に示すFETaを削除してダイオードD1のカソード側端子を電源線DCL1に直接接続する構成としてもよい。この場合は、切替部82において、ダイオードD1が第1の電源線DCL1と第2の電源線DCL2とを導通または非導通に切り替える第1のスイッチング素子として構成される。この構成において、例えば、復電時の起動の際に、ダイオードDX1がターンオフせず負荷電圧VLが低下する場合に、監視部81が切替部82(リレー接点Ryb)を制御することにより、充電兼予備ユニット(CH−U)の出力側と蓄電池61との接続を切り離すことができるとともに、充電兼予備ユニット(CH−U)の出力電流をダイオードD1を介して負荷RL側に流すことができる。これにより、直流電源装置101Aは、負荷電圧VLを立ち上げることができる。また、負荷電圧VLが直流電源ユニット(RF−U)の定格電圧(383V)まで復帰した場合は、充電兼予備ユニット(CH−U)の出力電流が0(ゼロ)になるとともにダイオードD1がターンオフして、第1の電源線DCL1と第2の電源線DCL2との間を非導通状態とすることができる。
なお、図9に示す切替部82は、図16に示す切替部82Aに変更することができる。この切替部82Aでは、リレー接点Rycを、第2の電源線DCL2と第2の電源線DCL3との間に挿入した例である。この図16に示す例では、充電兼予備ユニット(CH−U)の出力配線(第2の電源線DCL2)がダイオードDX1のアノード側に接続される。そして、リレー接点Ryc(メーク接点)の一端が、ダイオードDX1のアノード側に接続され、リレー接点Ryc(メーク接点)の他端が第3の電源線DCL3を介して蓄電池61の出力端子に接続される。
上記切替部82Aの構成により、例えば、復電時の起動の際に、ダイオードDX1がターンオフせず負荷電圧VLが低下する場合に、監視部81が切替部82A(リレー接点Ryc)を制御することにより、充電兼予備ユニット(CH−U)の出力側と蓄電池61との接続を切り離すことができる。これにより、充電兼予備ユニット(CH−U)の出力電流をダイオードDX1を介して負荷RL側に流すとともに、蓄電池61を回路から切り離すことにより、負荷電圧VLを立ち上げることができる。
以上、本発明の第2の実施形態について説明したが、ここで本発明と上記第2の実施形態との対応関係について補足して説明する。本発明における直流電源装置は、図9に示す直流電源装置101Aが対応し、本発明における直流電源ユニットは、直流電源ユニット(RF−U)が対応する。また、本発明における充電兼予備ユニットは、充電兼予備ユニット(CH−U)が対応し、本発明における蓄電池は蓄電装置60内の蓄電池61が対応する。また、本発明における監視部は、監視部81が対応し、本発明における切替部は、切替部82が対応する。また、本発明における第1の電源線は、第1の電源線DCL1が対応し、本発明における第2の電源線は、第2の電源線DCL2が対応し、本発明における第3の電源線は、第3の電源線DCL3が対応する。
また、本発明におけるダイオードは、ダイオードDX1が対応し、本発明における第1のスイッチング素子は、リレー接点Rya(または、FETa及びダイオードD1、若しくはダイオードD1)が対応し、本発明における第2のスイッチング素子は、リレー接点Ryb(または、FETb及びダイオードD2)が対応する。また、本発明における定格電流は、定電流垂下作動作時における最大出力電流(定格電流Imax0)が対応し、本発明における最大定格電流は、定電力垂下動作時における最大出力電流(最大定格電流Imax1)が対応する。
そして、上記実施形態において、直流電源装置101Aは、出力電流を所定の値に制限する定電流垂下動作を行うとともに、負荷RLに所定の値以上の電流を出力する必要がある場合に、出力電圧を垂下させて出力電流を増加させる垂下動作を行う複数の直流電源ユニット(RF−U)と、直流電源ユニット(RF−U)へ入力電源が供給されなくなった場合に、負荷RLに電力を供給する蓄電池61と、直流電源ユニット(RF−U)のいずれかが故障した場合に、当該故障した直流電源ユニット(RF−U)の代替のユニットとして使用されるとともに、通常動作時には、蓄電池61へ充電を行う充電兼予備ユニット(CH−U)と、各直流電源ユニット(RF−U)のそれぞれの出力端子を共通接続するとともに負荷RLに電力を供給する第1の電源線(DCL1)と、充電兼予備ユニット(CH−U)の出力端子に接続される第2の電源線(DCL2)と、蓄電池の出力端子に接続される第3の電源線(DCL3)と、の間における電流の導通または非導通を切り替える切替部82と、直流電源ユニット(RF−U)の運転状態を監視するとともに、切替部82を制御する監視部81と、を備え、直流電源ユニット(RF−U)が垂下動作を行う場合、監視部81は、切替部82を制御して、第1の電源線(DCL1)と第2の電源線(DCL2)との間を導通にし、第1及び第2の電源線(DCL1及びDCL2)と第3の電源線(DCL3)との間を非導通にする。
このような構成の直流電源装置101Aであれば、直流電源ユニット(RF−U)が、例えば、復電時の起動の際に出力電圧を垂下させる垂下動作を行い、その後、直流電源ユニット(RF−U)が垂下した電圧を通常動作時の出力電圧(定格電圧)に復旧できない場合は、監視部81が切替部82を制御し、充電兼予備ユニット(CH−U)の出力配線(第2の電源線DCL2)と、負荷RLに繋がる負荷配線(第1の電源線DCL1)との間を導通にする。また、切替部82は、充電兼予備ユニット(CH−U)の出力配線(第2の電源線DCL2)と、蓄電池61に繋がる第3の電源線DCL3との間を非導通にする。また、切替部82は、負荷RLに繋がる出力配線(第1の電源線DCL1)と、蓄電池61に繋がる第3の電源線DCL3との間を非導通にする。すなわち、充電兼予備ユニット(CH−U)の出力配線(第2の電源線DCL2)の出力電流を直接に負荷配線(第1の電源線DCL1)に流し、また、負荷配線(第1の電源線DCL1)と蓄電池61とを非導通にすることにより、負荷RLと蓄電池61とを切り離す。
これにより、直流電源装置101Aは、通常動作時において必要とされる仕様(例えば、スイッチング素子の選定や熱設計の仕様)のままで、例えば、起動の際に、通常動作時の定格電流以上の電流を負荷に供給することができるとともに、垂下動作により垂下した出力電圧を通常動作時の出力電圧(定格電圧)まで確実に立ち上げることができる。
また、上記実施形態において、負荷RLは定電力特性を持つ負荷であり、直流電源ユニット(RF−U)及び充電兼予備ユニット(CH−U)は、起動時、および所定の指示がされた際に、負荷RLに所定の値(定格電流Imax0)以上の電流を供給する必要がある場合に、出力電流と出力電圧との積が一定となるように出力電圧を垂下させる定電力垂下動作を行い、所定の値(定格電流Imax0)以上の電流を負荷に供給する。
これにより、直流電源装置101Aの起動の際など、定電力特性を持つ負荷RLに所定の値(通常動作時の定格電流Imax0)以上の電流を供給する必要がある場合においても、この電流を負荷RLに供給できるとともに、垂下動作により垂下した出力電圧を通常動作時の出力電圧(定格電圧)まで確実に立ち上げることができる。
また、上記実施形態において、監視部81は、直流電源ユニット(RF−U)が少なくとも1台故障した場合に、切替部82を制御して、第1の電源線(DCL1)と第2の電源線(DCL2)との間を導通にし、第1及び第2の電源線(DCL1及びDCL2)と第3の電源線(DCL3)との間を非導通にする。
これにより、直流電源ユニット(RF−U)が故障した場合において、例えば、起動の際に、通常動作時の定格電流以上の電流を負荷に供給することができるとともに、垂下動作により垂下した出力電圧を通常動作時の出力電圧(定格電圧)まで確実に立ち上げることができる。
また、上記実施形態において、監視部81は、負荷RLの負荷電圧と、負荷RLに流れる負荷電流ILと、を検出し、負荷電圧VLと、負荷電流ILと、直流電源ユニット(RF−U)の運転状態と、に基づいて、垂下動作を行う直流電源ユニット(RF−U)が、垂下した出力電圧を通常動作時の出力電圧まで復旧できるか否かを判定し、復旧できないと判定した場合に、切替部82を制御して、第1の電源線(DCL1)と第2の電源線(DCL2)との間を導通にし、第1及び第2の電源線(DCL1及びDCL2)と第3の電源線(DCL3)との間を非導通にする。
このような構成の直流電源装置101Aであれば、起動の際等において、監視部81は、垂下動作を行う直流電源ユニット(RF−U)が、垂下した出力電圧を通常動作時の出力電圧(定格電圧)まで復旧できるか否かを判定し、復旧できないと判定した場合に、切替部82を制御し、第1の電源線(DCL1)と第2の電源線(DCL2)との間を導通にし、第1及び第2の電源線(DCL1及びDCL2)と第3の電源線(DCL3)との間を非導通にする。
これにより、垂下動作を行う直流電源ユニット(RF−U)が、垂下した出力電圧を通常動作時の出力電圧(定格電圧)まで復旧できない場合に、監視部81が切替部82を制御することにより、直流電源ユニット(RF−U)の出力電圧を通常動作時の出力電圧(定格電圧)まで確実に立ち上げることができる。
また、上記実施形態において、監視部81において行われる前記直流電源ユニット(RF−U)が、垂下した出力電圧を通常動作時の出力電圧(定格電圧)まで復旧できるか否かの判定は、復電後の起動の際、直流電源ユニット(RF−U)に故障ユニットが発生した際、または所定の指示がされた際の、いずれか又は全部のタイミングにおいて実行される。
このような構成の直流電源装置101Aであれば、直流電源装置101Aは、復電後の起動の際、直流電源ユニット(RF−U)に故障ユニットが発生した際など、所望のタイミングにおいて、監視部81が、垂下した出力電圧を通常動作時の出力電圧(定格電圧)まで復旧できるか否かの判定を行う。これにより、直流電源装置101Aは、直流電源ユニット(RF−U)の出力電圧を通常動作時の出力電圧(定格電圧)まで確実に立ち上げることができる。
また、上記実施形態において、充電兼予備ユニット(CH−U)の定格出力電圧は、直流電源ユニット(RF−U)の定格出力電圧よりも所定の電圧だけ低く設定される。
このような構成の直流電源装置101Aでは、直流電源ユニット(RF−U)の出力電圧が通常動作時の出力電圧(定格電圧)まで立ち上がることにより、充電兼予備ユニット(CH−U)から負荷RLへの電力の供給を自動的に停止することができる。
また、上記実施形態において、監視部81は、切替部82を制御して、第1の電源線(DCL1)と第2の電源線(DCL2)との間を導通にし、第1及び第2の電源線(DCL1及びDCL2)と第3の電源線(DCL3)との間を非導通にした後に、充電兼予備ユニット(CH−U)の出力電流が0になったことを検出した場合に、第1の電源線(DCL1)と第2の電源線(DCL2)との間を非導通にし、第2の電源線(DCL2)と第3の電源線(DCL3)との間を導通にする。
これにより、充電兼予備ユニット(CH−U)から負荷RLへの電流の供給が停止されたこと、すなわち、直流電源ユニット(RF−U)の出力電圧が通常動作時の出力電圧(定格電圧)まで立ち上がったことを検出して、充電兼予備ユニット(CH−U)の接続先を、負荷側(第1の電源線)から蓄電池側(第3の電源線)に切り替えることができる。
また、上記実施形態において、切替部82は、アノード側が第3の電源線(DCL3)を介して蓄電池61に接続されるとともに、カソード側が第1の電源線(DCL1)に接続されるダイオードDX1と、第1の電源線(DCL1)と第2の電源線(DCL2)とを導通または非導通に切り替える第1のスイッチング素子(Rya)と、第2の電源線(DCL2)と第3の電源線(DCL3)とを導通または非導通に切り替える第2のスイッチング素子(Ryb)と、を備える。
このような構成の直流電源装置101Aであれば、垂下動作を行った直流電源ユニット(RF−U)が、この垂下した出力電圧を通常動作時の出力電圧(定格電圧)まで復旧できない場合には、監視部81が切替部82を制御することにより、充電兼予備ユニット(CH−U)の出力配線(第2の電源線DCL2)の接続先をダイオードDX1のアノード側からカソード側に切り替える。これにより、ダイオードDX1を逆方向にバイアスすることにより、ダイオードDX1をオフ状態(非導通状態)にする。
これにより、垂下動作を行った直流電源ユニット(RF−U)が、この垂下した出力電圧を通常動作時の出力電圧(定格電圧)まで復旧できない場合に、監視部81が切替部82を制御することにより、直流電源ユニット(RF−U)の出力電圧を通常動作時の出力電圧(定格電圧)まで確実に立ち上げることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の直流電源装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。