以下に、本発明に係る直流電源装置、冷凍サイクル装置、空気調和機および冷蔵庫の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る直流電源装置の構成例を示す図であり、図2は、図1に示される駆動部14の構成例を示す図であり、図3は、本発明の実施の形態1に係る直流電源装置におけるMOSFETの動作説明図であり、図4は、本発明の実施の形態1に係る直流電源装置において充電時間Taが設定時間Toを経過した後における半導体スイッチ3,4のオン/オフ制御タイミングを示す図であり、図5は、本発明の実施の形態1に係る直流電源装置において充電時間Taが設定時間Toを経過する前における半導体スイッチ3,4のオン/オフ制御タイミングを示す図であり、図6は、本発明の実施の形態1に係る直流電源装置における半導体スイッチ3,4のオン/オフ動作の制御を示すフローチャートである。
図1に示される直流電源装置は、交流電源1、リアクタ2、半導体スイッチ3、半導体スイッチ4、ダイオード5、ダイオード6、コンデンサ7、制御部10、直流電圧検出器11、交流電圧検出器12、交流電流検出器13、および駆動部14を備える。半導体スイッチ3,4およびダイオード5,6は、整流回路50を形成している。
リアクタ2は、整流回路50の各入力端と交流電源1との間に挿入されている。整流回路50は、交流電源1から出力された交流電圧を直流電圧に変換する。整流回路50を形成している半導体スイッチ3,4は、例えばMOSFETである。半導体スイッチ3,4にMOSFETを用いた場合、素子内部に寄生ダイオード3a,4aが存在するため、スイッチオフ状態では、半導体スイッチ3,4はダイオードとなり、これらの素子とダイオード5,6とをあわせた4素子でブリッジ整流器の構成となる。
整流回路50の出力端間にはコンデンサ7が接続され、コンデンサ7は、整流回路50から出力された直流電圧を平滑化する。コンデンサ7の両端には負荷8が接続される。
交流電流検出器13は、交流電源1とリアクタ2との間に接続され、交流電源1から整流回路50へ流れ込む電源電流Isの値を検出する。交流電圧検出器12は、交流電源1の電源電圧Vsを検出して制御部10が取り扱い可能な値に変換する。直流電圧検出器11は、コンデンサ7の両端電圧(直流電圧)を検出して制御部10が取り扱い可能な値に変換する。
制御部10は、交流電圧検出器12で検出された電源電圧値と、交流電流検出器13で検出された電源電流値と、直流電圧検出器11で検出された直流電圧値とに基づいて、半導体スイッチ3,4などの制御を行う。この制御部10はマイクロコンピュータなどで実現される。
制御部10では半導体スイッチ3,4を制御するための駆動信号s1,s2が生成され、駆動部14は、制御部10で生成された駆動信号s1,s2を、半導体スイッチ3,4が駆動可能な電圧レベルに変換し、駆動信号S1,S2として出力する。駆動部14の詳細に関しては後述する。
図3には半導体スイッチ3,4の一例としてN型チャネルのMOSFETが示されている。一般的にMOSFETは、そのゲートに電荷が供給されると、単方向通流素子としてではなく、逆方向にも電流を流す性質がある。ここでいう逆方向とは、MOSFETの内部に形成される寄生ダイオード3a,4a、または寄生ダイオード3a,4aと同一方向に並列に外付けされたダイオード5,6が、オンする電流の方向である。図3に示されるMOSFETには、そのソース側が正となるように電圧が印加(以下、この状態を「逆電圧印加」という)されている。
図3(a)には、MOSFETのゲートとソースとの間に電圧が印加されておらずオフとなっている状態(「ゲートオフ状態」という)が示されている。このゲートオフ状態においては、寄生ダイオード3a,4aを経由して電流が流れる。図3(b)には、MOSFETのゲートとソースとの間に電圧が印加されオンとなっている状態(「ゲートオン状態」という)が示されている。ゲートオン状態において、MOSFETのオン抵抗による電圧低下が寄生ダイオード3a,4aの順方向電圧より低い場合、電流は、寄生ダイオード3a,4aではなくトランジスタ側に流れる。この場合、ダイオードの導通損失よりもMOSFETのオン抵抗による導通損失の方が小さくなる。MOSFETに対する逆電圧印加によって電流を逆方向に導通させ、これにより導通損失を低減させる技術は、一般的に同期整流と呼ばれる。本実施の形態に係る直流電源装置がダイオードの代わりに半導体スイッチ3,4を備えた構成としているのは、ダイオードでの導通損失を低減するためである。
図1に示される回路構成において、半導体スイッチ3,4がゲートオフ状態であれば、整流回路50は、半導体スイッチ3の寄生ダイオード3aと半導体スイッチ4の寄生ダイオード4aとを介した全波整流回路となり、この場合、半導体スイッチ3,4の代わりにダイオードを使用しても同動作が可能である。
図4(a)には、交流電源1の電源電圧Vsの波形が示され、ここでは図1に示される電源電圧Vsの矢印の方向を正極とする。図4(b)には、交流電源1から整流回路50へ流れ込む電源電流Isの波形が示され、ここでは図1で示される電源電流Isの矢印の方向を正方向とする。
制御部10は、図4(b)に示される電源電流Is(交流電流検出器13で検出された電源電流値)に同期させて、駆動信号s1を生成し、駆動部14ではこの駆動信号s1に基づいて図4(c)に示されるような駆動信号S1が生成され、この駆動信号S1により半導体スイッチ3がオン/オフ制御される。より詳細には、制御部10は、電源電流Isが正方向に流れ始めるタイミングt1で半導体スイッチ3をゲートオン状態にさせ、その後、電源電流Isが0となるタイミングt2で半導体スイッチ3をゲートオフ状態にさせる。また、制御部10は、図4(b)に示される電源電流Isに同期させて、駆動信号s2を生成し、駆動部14ではこの駆動信号s2に基づいて図4(d)に示されるような駆動信号S2が生成され、この駆動信号S2により半導体スイッチ3がオン/オフ制御される。より詳細には、制御部10は、電源電流Isが逆方向に流れ始めるタイミングt3で半導体スイッチ4をゲートオン状態にさせ、その後、電源電流Isが0となるタイミングt4でゲートオフ状態にさせる。
この動作により、半導体スイッチ3,4を流れる電流は、半導体スイッチ3,4の内の寄生ダイオード3a,4aではなく、それぞれ、トランジスタ側を流れるので、ダイオードの順方向電圧ではなくトランジスタでの電圧降下による損失となり、半導体スイッチ3,4における導通損失を低減できる。
次に、駆動部14の構成を説明する。図2に示される駆動部14は、主たる構成として、IC60と、ブートストラップコンデンサ61、ゲート抵抗62a,62bと、ゲート・ソース間抵抗63a,63bと、コンデンサ64a,64bとを有して構成されている。
IC60は例えばHVICであり、IC60には、回路電源VDDが供給されると共に、制御部10からの駆動信号s1,s2が入力される。なお、IC60は、HVICに限定されるものではない。
ブートストラップコンデンサ61の一端は、抵抗とダイオードから成る直列回路を介して回路電源VDDに接続されると共に、IC60の上側アーム駆動部60aに接続される。ブートストラップコンデンサ61の他端は、半導体スイッチ3を構成するMOSFETのソースと半導体スイッチ4を構成するMOSFETのドレインとの接続点に接続されると共に、上側アーム駆動部60aに接続される。
ゲート抵抗62aは上側アーム駆動部60aと半導体スイッチ3を構成するMOSFETのゲートとの間に接続される。コンデンサ64aはゲート抵抗62aと平行に接続される。ゲート抵抗62bの下側アーム駆動部60bと半導体スイッチ4を構成するMOSFETのゲートとの間に接続される。コンデンサ64bはゲート抵抗62bと平行に接続される。
このように構成された駆動部14では、半導体スイッチ3のMOSFETを駆動するために必要な電荷を、ブートストラップコンデンサ61に蓄える必要がある。そのため、制御部10では、先ず、半導体スイッチ4のMOSFETを一定時間(後述する充電時間Ta)ゲートオン状態にさせるための駆動信号s2が生成され、下側アーム駆動部60bがこの駆動信号s2に従って動作することにより、半導体スイッチ4がゲートオン状態となり、図2の一点鎖線で示される経路で電流が流れ、ブートストラップコンデンサ61が充電される。
ブートストラップコンデンサ61の充電時間の計算は、(1)式および(2)式に従って決定される。なお、VccはIC60に入力される直流電源を表し、Rはゲート抵抗とゲート・ソース間抵抗との和を表し、Cはブートストラップコンデンサ61の容量を表す。
ただし、電源電圧Vsが正極のときに半導体スイッチ4がゲートオン状態にされた場合、ダイオード6、半導体スイッチ4の順で電流が流れ、電源短絡状態になる虞がある。このような電源短絡を避けるため、制御部10は、半導体スイッチ4の一定時間ゲートオン状態にさせる際、交流電源1の極性を判定して、電源電圧Vsが負極のとき、半導体スイッチ4をゲートオン状態にさせる。この動作によりブートストラップコンデンサ61が充電される。
従来の直流電源装置は、上側アーム(半導体スイッチ3)駆動用回路と下側アーム(半導体スイッチ4)駆動用回路の駆動電源として、複数の絶縁電源を必要としていた。従って、駆動部14の構成を簡素化してコストの低減化を図るというニーズに対応することができないという課題があった。
本実施の形態に係る駆動部14では、上側アームの半導体スイッチ3を駆動するための基準電位(第1の基準電位)が、半導体スイッチ3と半導体スイッチ4との接続点、すなわち半導体スイッチ3を構成するMOSFETのソースと半導体スイッチ4を構成するMOSFETのドレインとの接続点に設けられている。そして、駆動部14では、半導体スイッチ4がゲートオン状態のときブートストラップコンデンサ61が充電され、このことにより第1の基準電位が上昇する。従って、IC60のGNDと半導体スイッチ4を構成するMOSFETのソースとの接続点における電位、すなわち下側アームを駆動するための基準電位(第2の基準電位)と第1の基準電位との差ができる。このように、本実施の形態に係る駆動部14では、絶縁トランスなどの絶縁電源を用いなくとも半導体スイッチ3をフローティングしつつ、2つの素子を単電源で駆動することが可能である。その結果、従来技術に比べて駆動部14の構成を簡素化することができ、コスト低減を図ることが可能である。
図6において、まず制御部10では、充電時間Taが所定の設定時間Toを経過したか否かが判定され、充電時間Taが設定時間Toを経過していない場合(ステップS1,No)、制御部10では、交流電源1の極性が判定され、交流電源1の極性が正極の場合(ステップS2,Yes)、半導体スイッチ3をゲートオフ状態にさせる駆動信号s1が生成され、かつ、ブートストラップコンデンサ61を充電するため半導体スイッチ4をゲートオン状態にさせる駆動信号s2が生成される。
ステップS2において、交流電源1の極性が負極の場合(ステップS2,No)、半導体スイッチ3,4をゲートオフ状態にさせる駆動信号s1,s2が生成される。
ステップS1において、充電時間Taが設定時間Toを経過した場合(ステップS1,Yes)、制御部10では、交流電源1の極性が判定され、交流電源1の極性が正極の場合(ステップS5,Yes)、半導体スイッチ3をゲートオン状態にさせる駆動信号s1が生成され、かつ、半導体スイッチ4をゲートオフ状態にさせる駆動信号s2が生成される。
ステップS5において、交流電源1の極性が負極の場合(ステップS5,No)、半導体スイッチ3をゲートオフ状態にさせる駆動信号s1が生成され、かつ、半導体スイッチ4をゲートオン状態にさせる駆動信号s2が生成される。
図5(a)には電源電圧Vsの波形が示され、図5(b)には電源電流Isの波形が示されている。また、図5(c)には充電時間Taが設定時間Toを経過する前における駆動信号S1の波形が示され、図5(d)には充電時間Taが設定時間Toを経過する前における駆動信号S2の波形が示されている。
なお、本実施の形態では、一例として交流電流検出器13で検出された電源電流値に同期させて駆動信号s1,s2を生成する構成例を説明したが、これに限定されるものではない。本実施の形態に係る直流電源装置は、交流電圧検出器12で検出された電源電圧値に同期させて駆動信号s1,s2を生成するように構成してもよい。
また、本実施の形態の整流回路50では、一例として、2つの素子が半導体スイッチ(MOSFET)で構成されているが、ダイオード5,6も半導体スイッチで構成してもよい。この場合、制御部10は、半導体スイッチ3とダイオード6の代わりに用いられる半導体スイッチとの双方を図4(c)示される駆動信号によってオン/オフ動作させればよい。また、制御部10は、半導体スイッチ4とダイオード5の代わりに用いられる半導体スイッチとの双方を図4(d)示される駆動信号によってオン/オフ動作させればよい。このような構成とすることで、ダイオード5,6の代わりに用いられる半導体スイッチの損失がダイオード5,6における導通損失よりも低減され、より高効率な直流電源装置を得ることができる。
以上に説明したように、本実施の形態にかかる直流電源装置は、ブリッジ整流器を構成しているダイオードのうち、少なくとも一つを半導体スイッチに置き換えた構成の整流回路50と、交流電源1から整流回路50に印加される交流電圧の値を検出する交流電圧検出器12と、少なくとも交流電圧検出器12で検出された電圧値に基づいて整流回路50の上下アームを構成する一対の半導体スイッチ3,4の駆動信号s1,s2を生成する制御部10と、駆動信号s1,s2に基づいて半導体スイッチを駆動する駆動電源回路(IC60,61など)を有する駆動部14と、を備え、制御部10は、前記電圧値に基づいて交流電源1の極性を判定し、この極性に応じて整流回路50の一方の半導体スイッチ(例えば半導体スイッチ3)をオフ状態にさせ、かつ、整流回路50の他方の半導体スイッチ(例えば半導体スイッチ4)をオン・オフ動作させて、一方の半導体スイッチ3の駆動電源を前記駆動電源回路に充電させるように構成されている。この構成により、2つの素子を単電源で駆動することができ、その結果、従来技術に比べて駆動部14の構成を簡素化することができ、コスト低減を図ることが可能である。
また本実施の形態にかかる駆動部14は、一方の半導体スイッチ3と他方の半導体スイッチ3との第1の接続点eに一端が接続され、他端が直流電源Vccに接続された駆動電源としての蓄電素子(ブートストラップコンデンサ61)を有し、ブートストラップコンデンサ61が充電されるとき、駆動電源回路(IC60)の接地端子GNDと他方の半導体スイッチ3との第2の接続点fの電位(第2の基準電位)が、第1の接続点eの電位(第1の基準電位)より低くなるように構成されている。この構成により、絶縁トランスなどの絶縁電源を用いなくとも半導体スイッチ3をフローティングしつつ、2つの素子を単電源で駆動することができる。
また本実施の形態にかかる制御部10は、電源電流Isが正方向に流れ始めるタイミングt1で一方の半導体スイッチ3をオン状態にさせ、電源電流Isが0となるタイミングt2で半導体スイッチ3をオフ状態にさせ、電源電流Isが逆方向に流れ始めるタイミングt3で他方の半導体スイッチ4をオン状態にさせ、電源電流Isが0となるタイミングt4で半導体スイッチ4をオフ状態にさせるように構成されている。この構成により、半導体スイッチ3,4を流れる電流は、半導体スイッチ3,4の内の寄生ダイオード3a,4aではなく、それぞれトランジスタ側を流れるので、ダイオードの順方向電圧ではなくトランジスタでの電圧降下による損失となり、半導体スイッチ3,4における導通損失を低減できる。
実施の形態2.
図7は、本発明の実施の形態2に係る直流電源装置の構成例を示す図であり、図8は、本発明の実施の形態2に係る直流電源装置から出力される直流電圧と入力電流の波形を示す図であり、図9は、本発明の実施の形態2に係る直流電源装置における半導体スイッチ3,4のオン/オフ動作の制御を示すフローチャートである。
実施の形態1との相違点は、交流電流検出器13が省かれている点と、制御部10の代わりに制御部10Aが用いられている点と、交流電圧検出器12で検出された電源電圧値と直流電圧検出器11で検出された直流電圧値とに基づいて電源電流Isが0となるタイミングを検出するように構成されている点である。以下、実施の形態1と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
図8(a)には、直流電圧検出器11で検出された直流電圧の波形が実線で示され、交流電圧検出器12で検出された電源電圧Vsの波形が破線で示されている。電源電圧Vsは、説明の便宜上、全波整流されたものとして示されている。図8(b)には、電源電流Isの波形が示され、逆方向に流れる電源電流Isの波形は、説明の便宜上、正方向側に反転して示されている。
電源電流Isは、電源電圧Vsの絶対値がコンデンサ7の両端電圧(直流電圧値)よりも高くなったとき、半導体スイッチ3,4のMOSFETに電流が流れ始める。従って、制御部10では、交流電圧検出器12で検出された電源電圧Vsの絶対値と交流電圧検出器12で検出された直流電圧値とに基づいて、電源電流Isが流れ始めるタイミング(1)を検出することができる。
その後、電源電圧Vsの絶対値が直流電圧値より低くなるタイミング(2)以降では、電源電流Isが直ちに0とはならず、しばらく電源電流Isが流れ続ける。これは、リアクタ2に電流を流し続ける性質があるためである。
そして、この電源電流Isは、タイミング(3)において0となる。このタイミング(3)以降においても半導体スイッチ3または半導体スイッチ4がゲートオン状態となっている場合、直流電圧によって交流電源1側に電流が逆流してしまい、回生状態となる。従って、タイミング(3)で半導体スイッチ3または半導体スイッチ4がオンからオフへ確実に移行するように制御する必要がある。本実施の形態に係る制御部10では、このタイミング(3)が演算で求められる。
整流後の直流電圧をVdcとし、リアクタ2のインダクタンスをLとしたとき、電源電圧Vs、直流電圧Vdc、電源電流Is、およびインダクタンスLの間には(3)式のような関係式が成立する。なお、ここでは、リアクタ2の抵抗成分と配線インピーダンスは0であるものと仮定している。
(3)式より、電源電流Isは、(|Vs|−Vdc)/Lを積分することによって算出される。また、リアクタ2のインダクタンスLの値は既知であるので、制御部10は、直流電圧検出器11で検出される直流電圧Vdcと交流電圧検出器12で検出される電源電圧Vsによって電源電流Isを算出する。
タイミング(1)からタイミング(2)までの間における(|Vs|−Vdc)/Lの積分値は上昇するが、タイミング(2)以降の積分値は低下し始め、タイミング(3)においては積分値が0となる。制御部10は、この積分値を算出および監視することによって、タイミング(3)を検出して半導体スイッチ3または半導体スイッチ4をゲートオフ状態にさせる。
図9を用いて本実施の形態に係る直流電源装置の動作を説明する。まず制御部10Aでは、充電時間Taが所定の設定時間Toを経過したか否かが判定される(ステップS10)。
充電時間Taが設定時間Toを経過していない場合(ステップS10,No)、制御部10Aでは、交流電源1の極性が判定される(ステップS11)。
交流電源1の極性が正極の場合(ステップS11,Yes)、半導体スイッチ3をゲートオフ状態にさせる駆動信号s1が生成され、かつ、ブートストラップコンデンサ61を充電するため半導体スイッチ4をゲートオン状態にさせる駆動信号s2が生成される。交流電源1の極性が負極の場合(ステップS11,No)、半導体スイッチ3,4をゲートオフ状態にさせる駆動信号s1,s2が生成される。
ステップS10において、充電時間Taが設定時間Toを経過した場合(ステップS10,Yes)、制御部10Aでは、電源電圧Vsの絶対値と直流電圧Vdcとが比較され、タイミング(1)を検出したか否かが判定される(ステップS14)。
例えば、電源電圧Vsの絶対値が直流電圧Vdcを超えたとき、制御部10Aではタイミング(1)が検出される(ステップS14,Yes)。タイミング(1)を検出した制御部10Aでは、(|Vs|−Vdc)/Lの積分演算が行われる(ステップS15)。そして、制御部10Aでは、積分値が0以下になったか否かが判定される(ステップS16)。
積分値が0以下になったとき(ステップS16,Yes)、制御部10Aでは電源電流Isが0となるタイミング(3)が検出される。その結果、制御部10Aは、積分演算を完了すると共に(ステップS17)、演算を完了した積分値をリセットする(ステップS18)。そして、制御部10Aでは、半導体スイッチ3,4をゲートオフ状態にさせる駆動信号s1,s2が生成される(ステップS19)。
ステップS14において、電源電圧Vsの絶対値が直流電圧Vdcを超えていないとき、制御部10Aでは、タイミング(1)が検出されず(ステップS14,No)、ステップS19の動作が実行される。
ステップS16において、積分値が0以下になっていないとき(ステップS16,No)、制御部10Aは、電源電流Isが流れ始めたものと判定し、交流電源1の極性を判定する(ステップS20)。
交流電源1の極性が正極の場合(ステップS20,Yes)、制御部10Aでは、半導体スイッチ3をゲートオン状態にさせ、かつ、半導体スイッチ4をゲートオフ状態にさせる駆動信号s1,s2が生成される(ステップS21)。
ステップS20において、交流電源1の極性が負極の場合(ステップS20,No)、制御部10Aでは、半導体スイッチ3をゲートオフ状態にさせ、かつ、半導体スイッチ4をゲートオン状態にさせる駆動信号s1,s2が生成される(ステップS22)。
なお、図9に示されるフロー図では、ステップS16で積分値が0以下であると判定された後に、ステップS17,S18,S19の順序で処理が行われているが、制御部10Aの処理順序は、これに限定されるものではない。制御部10Aは、積分値が0以下であると判定した直後に、ステップS19の処理を実施するように構成してもよい。
実施の形態2の構成により、電流センサレスによって安価に同期整流動作を実現することができ、実施の形態1に比べてよりコストを低減することができる。
実施の形態3.
図10は、本発明の実施の形態3に係る直流電源装置の構成例を示す図であり、図11は、本発明の実施の形態3に係る直流電源装置において充電時間Taが設定時間Toを経過した後における半導体スイッチ3,4のオン/オフ制御タイミングを示す図である。
実施の形態2との相違点は、整流回路50の代わりに整流回路50Bが用いられている点と、制御部10Aの代わりに制御部10Bが用いられている点である。以下、実施の形態2と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
整流回路50Bは、ダイオード5のアノードと半導体スイッチ3を構成するMOSFETのドレインとが接続された直列回路と、ダイオード6のアノードと半導体スイッチ4を構成するMOSFETのドレインとが接続された直列回路とが、並列に接続されて構成されている。このとき、ダイオード5と半導体スイッチ3との接続点a、および、ダイオード6と半導体スイッチ4との接続点bが、整流回路50Bの入力端となる。また、ダイオード5と半導体スイッチ3との直列回路の両端、およびダイオード6と半導体スイッチ4との直列回路の両端が整流回路50Bの出力端となる。
図11(a)には、交流電源1の電源電圧Vsの波形が示され、ここでは図1に示される電源電圧Vsの矢印の方向を正極とする。図11(b)には、交流電源1から整流回路50へ流れ込む電源電流Isの波形が示され、ここでは図1で示される電源電流Isの矢印の方向を正方向とする。このとき、制御部10Bは、図11(b)に示される電源電流Isに同期させて、駆動信号s1を生成し、駆動部14ではこの駆動信号s1に基づいて図11(c)に示されるような駆動信号S1が生成され、この駆動信号S1により半導体スイッチ3がオン/オフ制御される。また、制御部10Bは、図11(b)に示される電源電流Isに同期させて、駆動信号s2を生成し、駆動部14ではこの駆動信号s2に基づいて図11(d)に示されるような駆動信号S2が生成され、この駆動信号S2により半導体スイッチ3がオン/オフ制御される。
ここで、実施の形態3に係る直流電源装置では、実施の形態2とは異なり、半導体スイッチ3,4が同時にオンとなった場合でも、コンデンサ7が短絡状態となることはない。従って、実施の形態2のように半導体スイッチ3,4が同時にオンとならないように制御する必要はなく、制御動作の信頼性が向上する。
具体的には、制御部10Bは、電源電圧Vsが負極から正極に変化することを検出した場合、電源電圧Vsが正極側であるとき整流するためにゲートオン状態にさせる半導体スイッチ3をオンにさせ、かつ、半導体スイッチ4をパルス状にゲートオン状態にさせる。これによって、半導体スイッチ4がゲートオン状態となっている間、交流電源1が短絡状態となり、交流電源1、リアクタ2、半導体スイッチ4、半導体スイッチ3、交流電源1の順で短絡電流が流れる。そして、制御部10Bは、半導体スイッチ4をゲートオフ状態にさせた後、電源電流Isが0となるタイミングでMOSFET3をゲートオフ状態にさせる。
また、制御部10Bは、電源電圧Vsが正極から負極に変化することを検出した場合、電源電圧Vsが負極側であるとき整流するためにゲートオン状態にさせる半導体スイッチ4をオンにさせ、半導体スイッチ3をパルス状にゲートオン状態にさせる。これによって、半導体スイッチ3がパルス状にゲートオン状態となっている間、交流電源1は短絡状態となり、交流電源1、半導体スイッチ3、半導体スイッチ4、リアクタ2、交流電源1の順で短絡電流が流れる。そして、制御部10Bは、半導体スイッチ3をゲートオフ状態にさせた後、電源電流Isが0となるタイミングで半導体スイッチ4をゲートオフ状態にさせる。
以上に説明したように、本実施の形態に係る直流電源装置では、半導体スイッチ3と半導体スイッチ4とが各々MOSFETで構成され、整流回路50Bは、ダイオード5のアノードと一方のMOSFETのドレインとが接続された直列回路と、このダイオード4とは異なるダイオード6のアノードと他方のMOSFETのドレインとが接続された直列回路とが、並列に接続されて成る。この構成により、実施の形態1,2の効果を有すると共に、半導体スイッチ3,4が同時にゲートオン状態とならないように制御する必要がなく、制御動作の信頼性を向上させることができる。
実施の形態4.
図12は、本発明の実施の形態4に係る直流電源装置の構成例を示す図である。実施の形態2との相違点は、制御部10Aの代わりに制御部10Cが用いられている点と、コンデンサ7の代わりにコンデンサ7a,7bの直列回路が用いられている点と、コンデンサ7aとコンデンサ7bとの接続点cがダイオード5とダイオード6との接続点dに接続されている点である。このような回路構成によって、いわゆる倍電圧整流回路が構成される。
実施の形態4に係る直流電源装置の動作は基本的に実施の形態2と同様である。ただし、実施の形態4に係る直流電源装置は、直流電圧検出器11で検出される直流電圧Vdcが、電源電圧Vsの絶対値のピーク値の略2倍となることを考慮している。例えば、図9のフローチャートのステップS14において、Vdc/2<|Vs|となったとき、制御部10Cは、タイミング(1)を検出したものと判断して、ステップS15の処理を行う。一方、Vdc/2<|Vs|とならならいとき、制御部10CはステップS19の処理を行う。また、ステップS15において、制御部10Cは、(|Vs|−Vdc/2)/Lの積分演算を開始する。その他の処理に関しては、実施の形態2と同様である。
以上に説明したように、本実施の形態に係る整流回路50は、整流回路50の出力端子間に接続された2つのコンデンサ7a,7bとともに倍電圧整流回路を形成している。この構成により、実施の形態1,2の効果を有すると共に、倍電圧整流回路においても電流センサレスによって安価に同期整流動作を実現することができる。
実施の形態5.
図13は、本発明の実施の形態5に係る直流電源装置において充電時間Taが設定時間Toを経過した後における半導体スイッチ3,4のオン/オフ制御タイミングを示す図である。本実施の形態に係る直流電源装置は、回路構成が実施の形態1と同様であるが、制御部10の制御が異なる。
図13(a)には、交流電源1の電源電圧Vsの波形が示され、ここでは図1に示される電源電圧Vsの矢印の方向を正極とする。図13(b)には、交流電源1から整流回路50へ流れ込む電源電流Isの波形が示され、ここでは図1で示される電源電流Isの矢印の方向を正方向とする。このとき、制御部10は、図13(b)に示される電源電流Isに同期させて、駆動信号s1を生成し、駆動部14ではこの駆動信号s1に基づいて図13(c)に示されるような駆動信号S1が生成され、この駆動信号S1により半導体スイッチ3がオン/オフ制御される。また、制御部10は、図13(b)に示される電源電流Isに同期させて、駆動信号s2を生成し、駆動部14ではこの駆動信号s2に基づいて図13(d)に示されるような駆動信号S2が生成され、この駆動信号S2により半導体スイッチ3がオン/オフ制御される。
具体的には、制御部10は、交流電源1の極性が負極から正極に変化することを検出した場合、交流電源1が正極側である場合に整流するためゲートオン状態にさせる半導体スイッチ3ではなく、半導体スイッチ4をパルス状にゲートオン状態にさせる。これによって、半導体スイッチ4がパルス状にゲートオン状態となっている間、交流電源1が短絡状態となり、交流電源1、リアクタ2、半導体スイッチ4、ダイオード6、交流電源1の順で短絡電流が流れる。
このとき、制御部10は、半導体スイッチ4がパルス状にゲートオン状態になっている間、半導体スイッチ3をゲートオフ状態にしておく。これは、双方の半導体スイッチ3,4がゲートオン状態になっていると、コンデンサ7が短絡状態となり破損する危険性があるからである。
そして、制御部10は、半導体スイッチ4をゲートオフ状態にさせるのとほぼ同時に、半導体スイッチ3をゲートオン状態にさせる。その後、短絡電流と同方向の電源電流Isが流れ続け、制御部10は、この電源電流Isが0となるタイミングでMOSFET3をゲートオフ状態にさせる。その後、短絡電流と同方向の電源電流Isが流れ続け、制御部10は、この電源電流Isが0となるタイミングで半導体スイッチ3をゲートオフ状態にさせる。
また、制御部10は、検出される電源電圧Vsが正極から負極に変化することを検出した場合、電源電圧Vsが負極側である場合に整流するためにゲートオン状態にさせる半導体スイッチ4ではなく、半導体スイッチ3をパルス状にゲートオン状態にさせる。これによって、半導体スイッチ3がパルス状にゲートオン状態となっている間、交流電源1が短絡状態となり、交流電源1、ダイオード5、半導体スイッチ3、リアクタ2、交流電源1の順で短絡電流が流れる。そして、制御部10は、半導体スイッチ3をゲートオフ状態にさせるのとほぼ同時に、半導体スイッチ4をゲートオン状態にさせる。その後、短絡電流と同方向の電源電流Isが流れ続け、制御部10は、この電源電流Isが0となるタイミングで半導体スイッチ4をゲートオフ状態にさせる。
実施の形態5の動作によって、力率改善および高調波電流低減用の新たなスイッチング素子等を追加することなく、安価に力率改善および高調波電流低減を実現できる。
実施の形態6.
図14は、本発明の実施の形態6に係る直流電源装置の構成例を示す図であり、図15は、本発明の実施の形態6に係る直流電源装置において充電時間Taが設定時間Toを経過した後における半導体スイッチ3,4のオン/オフ制御タイミングを示す図である。
実施の形態4との相違点は、整流回路50の入力側に交流電源1を短絡させる短絡手段を追加している点と、制御部10の代わりに制御部10Dが用いられている点である。短絡手段としては整流ブリッジ回路21とIGBT等のスイッチング素子20とから成る。整流ブリッジ回路21の入力端が整流回路50の入力端に並列に接続され、整流ブリッジ回路21の出力側にスイッチング素子20が接続されている。スイッチング素子20は、制御部10Dによってオン/オフ動作が制御される。
図15(a)には、交流電源1の電源電圧Vsの波形が示され、ここでは図1に示される電源電圧Vsの矢印の方向を正極とする。図15(b)には、交流電源1から整流回路50へ流れ込む電源電流Isの波形が示され、ここでは図1で示される電源電流Isの矢印の方向を正方向とする。このとき、制御部10Dは、図15(b)に示される電源電流Isに同期させて、駆動信号s1を生成し、駆動部14ではこの駆動信号s1に基づいて図15(c)に示されるような駆動信号S1が生成され、この駆動信号S1により半導体スイッチ3がオン/オフ制御される。また、制御部10Dは、図15(b)に示される電源電流Isに同期させて、駆動信号s2を生成し、駆動部14ではこの駆動信号s2に基づいて図15(d)に示されるような駆動信号S2が生成され、この駆動信号S2により半導体スイッチ3がオン/オフ制御される。さらに、制御部10Dは、スイッチング素子20を図15(e)で示されるような駆動信号によってオン/オフ動作させる。
具体的には、制御部10Dは、交流電源1の極性が負極から正極に変化することを検出した場合、スイッチング素子20をパルス状にオン状態にさせる。これによって、スイッチング素子20がパルス状にオン状態になっている間、交流電源1が短絡状態となり、交流電源1、リアクタ2、整流ブリッジ回路21、スイッチング素子20、整流ブリッジ回路21、交流電源1の順で短絡電流が流れる。そして、制御部10Dは、スイッチング素子20をオフ状態にさせるのとほぼ同時に、半導体スイッチ3をゲートオン状態にさせる。その後、短絡電流と同方向の電源電流Isが流れ続け、制御部10Dは、この電源電流Isが0となるタイミングで半導体スイッチ3をゲートオフ状態にさせる。
また、制御部10Dは、電源電圧Vsが正極から負極に変化することを検出した場合、スイッチング素子20をパルス状にオン状態にさせる。これによって、スイッチング素子20がパルス状にオン状態になっている間、交流電源1が短絡状態となり、交流電源1、整流ブリッジ回路21、スイッチング素子20、整流ブリッジ回路21、リアクタ2、交流電源1の順で短絡電流が流れる。そして、制御部10Dは、スイッチング素子20をオフ状態にさせるのとほぼ同時に、半導体スイッチ4をゲートオン状態にさせる。その後、短絡電流と同方向の電源電流Isが流れ続け、制御部10Dは、この電源電流Isが0となるタイミングで半導体スイッチ4をゲートオフ状態にさせる。
このように、実施の形態6に係る直流電源装置は、交流電源1と整流回路50との間に接続されたリアクタ2と、整流回路50の2つの入力端子間を制御部10Dの指示に従って短絡・開放する短絡手段(21,20)を備えるように構成されている。この構成により、例えば制御部10Dが交流電源1の半周期に少なくとも1回短絡させる制御を行い、リアクタ2へのエネルギー授受も行うことによって、力率を改善することができると共に高調波電流の低減を図ることができる。
図16は、本発明の実施の形態6に係る直流電源装置の変形例を示す図である。図16に示される直流電源装置は、全波整流回路として動作させるか倍電圧整流回路として動作させるかを切り替える切替手段とし、ダイオード5とダイオード6との接続点dとコンデンサ7aとコンデンサ7bとの接続点cとの間にリレー22が設けられている。
リレー22は、接続点c,d間を短絡または開放するためのものであり、リレー22のオン/オフ動作によって、全波整流回路として動作させるか倍電圧整流回路として動作させるかを切り替えることができ、利便性を向上させた直流電源装置を得ることができる。なお、図16の直流電源装置は、リレー22が制御部10Dによってオン/オフ動作が制御されるように構成されているが、外部からの切替信号によってオン/オフ動作が実施されるものとしてもよい。
実施の形態7.
図17は、本発明の実施の形態7に係る冷凍サイクル装置の構成図である。実施の形態1〜6との相違点は、負荷8の代わりにインバータ30が接続されている点と、冷凍サイクルを実現する構成要素として圧縮機31、凝縮器32、膨張器33、および蒸発器34が用いられている点である。
インバータ30には圧縮機31が接続され、圧縮機31に接続された冷媒配管が凝縮器32、膨張器33、蒸発器34の順で環状に接続されている。この接続構成により冷凍サイクルが形成される。
以下、動作を説明する。交流電源1からの電源電圧Vsが直流電源装置によって整流および平滑されて直流電圧に変換される。この直流電圧はインバータ30に入力され、インバータ30では直流電圧が高周波電圧に変換される。インバータ30からの高周波電圧は圧縮機31に印加され、この高周波電圧によって圧縮機31が回転駆動する。このことによって圧縮機31内の冷媒が圧縮され、高温高圧の気体冷媒が吐出される。圧縮機31から吐出された気体冷媒は、凝縮器32に流入し、外部の空気と熱交換が実施されて凝縮される。凝縮された冷媒は、膨張器33に流入し、膨張されて低圧低温の冷媒となる。膨張器33から流出した冷媒は、蒸発器34に流入し、外部の空気と熱交換が実施されて蒸発して気体冷媒となる。蒸発器34から流出した気体冷媒は、圧縮機31に吸入され、再び圧縮され高温高圧の気体冷媒となる。以後、この動作が繰り返される。
なお、実施の形態7には、一例として実施の形態2に係る直流電源装置が用いられているが、実施の形態7に係る冷凍サイクル装置は、これに限定されるものではなく、実施の形態1,3,4,5の何れかの直流電源装置を用いてもよい。
以上の構成および動作によって、整流回路50における導通損失を低減した高効率な冷凍サイクル装置を得ることができる。また、力率改善および高調波電流の低減を実現した冷凍サイクル装置を得ることができる。
なお、実施の形態7に係る冷凍サイクル装置は、例えば、空気調和機や冷蔵庫に搭載してもよい。空気調和機は、室内温度が使用者によって設定された温度に近づくと安定状態となり、圧縮機31が低速で回転するようにインバータ30が動作する。従って、空気調和機における圧縮機31は低速回転状態が最も長時間継続される。また、冷蔵庫は、24時間常時運転し、低速回転における低電流状態での運転が長い。このような空気調和機または冷蔵庫のように、低電流運転が支配的な機器に対して、その効果が最も大きく反映される。
なお、実施の形態1〜7に示される半導体スイッチ3,4は、GaN(窒素ガリウム)、SiC(シリコンカーバイド)、ダイヤモンド等のワイドバンドギャップ半導体で構成されたものとしてもよい。この場合、さらなる低損失化を実現することができる。また、ワイドギャップ半導体を使用した場合、耐電圧や耐熱性が高くなるとともに許容電流密度も高くなる。そのため、半導体スイッチの小型化が可能となり、装置を小型化できる。この効果を得るためには、少なくとも一つの半導体スイッチ3,4をワイドバンドギャップ半導体で構成されたものとすればよい。
同様に、少なくとも一つの寄生ダイオード3a,4aをワイドバンドギャップ半導体で構成すれば、同様の効果を得ることができる。
また、本発明の実施の形態に係る直流電源装置、冷凍サイクル装置、空気調和機および冷蔵庫は、本発明の内容の一例を示すものであり、更なる別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、一部を省略するなど、変更して構成することも可能であることは無論である。