JP5637306B2 - シリンダ装置設計方法 - Google Patents
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Description
本発明は、上下配置されて相対動作する2つの物の間に設けられ、細孔を有する多孔質体と作動液とが収容されてコロイダルダンパとして機能するシリンダ装置の設計方法に関する。
下記特許文献に記載されているシリンダ装置は、疎水化多孔質シリカゲル等の多孔質体と作動液とが混合されたコロイド溶液を内部に収容しており、多孔質体が有する細孔への作動液の流入・流出に伴って、伸縮するように構成されている。そして、その細孔に対して作動液が表面張力に抗して流入することから、作動液の細孔への流入に伴って、シリンダ装置内の圧力が高くなるように構成されている。また、細孔に対し、作動液が表面張力の作用下で繰り返し流入・流出することにより、外部から加えられたエネルギを散逸させて、ダンパとして機能するように構成されている。内部にコロイド溶液を収容するシリンダ装置は、コロイダルダンパと呼ばれ、上述したような特性を有している。
また、このコロイダルダンパは、上述したように、多孔質体の細孔への作動液の流入に伴ってシリンダ装置内の圧力が高くなるように構成されている。このため、コロイダルダンパは、多孔質体の細孔に作動液が流入した状態におけるそのシリンダ装置内の圧力によって、シリンダ装置の上方側に連結された物を支持することが可能となる。
上記のコロイダルダンパおよびスプリングとして機能するシリンダ装置は、それが支持する物やそれが使用される状況等に応じて要求される特性とされることが望ましい。つまり、使用状況に応じて要求される特性を有するシリンダ装置を設計し、そのようなシリンダ装置を実現することによって、そのコロイダルダンパおよびスプリングとして機能するシリンダ装置の実用性が向上すると考えられる。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、実用性の高いコロイダルダンパとして機能するシリンダ装置を実現すべく、使用状況等に応じて要求される特性とするためのシリンダ装置の設計方法を提供することを課題とする。
本発明の第1の観点に従うシリンダ装置設計方法は、多孔質体の細孔に作動液が流入し始めるまでのシリンダ装置のストローク量に対するチャンバの内圧の変化勾配である初期圧縮時ばね定数,作動液,ピストンの受圧面積を設定し、その定められた作動液の体積弾性率,設定されたピストンの受圧面積,および設定された初期圧縮時ばね定数に基づき、初期圧縮時ばね定数が作動液の体積弾性率とピストンの受圧面積の2乗との積を作動液量で除した値に等しいことを根拠に、作動液の量を決定するものとされる。
本発明の第2の観点に従うシリンダ装置設計方法は、初期圧縮時ばね定数,ピストンの受圧面積,ハウジングの容積,多孔質体の体積を設定し、設定されたピストンの受圧面積,ハウジングの容積から多孔質体の体積を除いた部分の容積,および設定された初期圧縮時ばね定数に基づき、第2の発明と同様の関係を根拠に算出される体積弾性率を設計体積弾性率として決定し、体積弾性率が作動液の体積弾性率と異なる物質をチャンバ内に収容してチャンバの体積弾性率を設計体積弾性率に調整するために、そのチャンバ内に収容する物質を決定するものとされる。
本発明のシリンダ装置設計方法によれば、コロイダルダンパの特性である初期圧縮時ばね定数を、シリンダ装置が使用される状況等に応じたものとすることが可能である。つまり、本発明のシリンダ装置設計方法によって設計されたシリンダ装置は、実用性の高いものとなる。
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から何某かの構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
なお、下記(1)項は、請求可能発明の設計方法ではなく、その設計方法の対象となるシリンダ装置の前提となる構成を示した項であり、その(1)項に、それ以降に掲げる(11)項までのいずれかに記載の技術的特徴を付加した態様が、請求可能発明の設計方法に相当する。種々の態様とされた請求可能発明のうち、(1)項,(8)項,(10)項を合わせたものが請求項1に相当し、(1)項,(8)項,(11)項を合わせたものが請求項2に相当し、請求項1または請求項2に(9)項の技術的特徴を付加したものが請求項3に相当する。
(1)(A)相対動作する2つの物の一方に連結されるハウジングと、(B)前記2つの物の他方に連結されて前記ハウジング内を摺動可能なピストンと、(C)前記ハウジングと前記ピストンとによって区画形成されたチャンバの内部に収容された多数の細孔を有する多孔質体および作動液とを備え、(i)前記2つの物のうちの上方側に位置する物を、前記多孔質体の細孔に前記作動液が流入した状態によって生じる前記チャンバの内圧に依存して支持するとともに、(ii)前記2つの物の相対動作に応じて前記多孔質体の細孔へ流入している前記作動液の量が変化することによって、それら2つの物の相対動作を減衰させ、コロイダルダンパとして機能するシリンダ装置の設計方法。
先に説明したように、本項は、請求可能発明の設計方法の対象となるシリンダ装置の前提となる構成を示した項である。つまり、本項に記載の態様は、請求可能発明の設計方法の対象となるコロイダルダンパの基本的構成要素を列挙した態様であり、以下に記載するシリンダ装置の設計方法は、従来検討されている構成のコロイダルダンパに広く適用できる。
本項に記載されている、多孔質体と作動液とが混合されたコロイド溶液が内部に収容されたシリンダ装置は、コロイダルダンパと呼ばれ、多孔質体が有する細孔に対し、表面張力の作用下で作動液が繰り返し流入・流出することにより、外部から加えられたエネルギを散逸させるように構成されるものである。また、コロイダルダンパは、多孔質体の細孔への作動液の流入に伴ってチャンバ内の圧力が高くなるように構成されており、多孔質体に作動液が流入した状態におけるチャンバの内圧によって、自身の上方側に位置する物を支持すること、つまり、スプリングとして機能させることが可能である。シリンダ装置を、そのように用いる場合には、上方側に位置する物の重量や、2つの物の相対動作の程度(振幅や周波数等)などに応じて、そのシリンダ装置の特性を適切化することが望ましい。つまり、コロイダルダンパとして機能するシリンダ装置の特性を設定するには、そのシリンダ装置の設計方法が必要不可欠である。
本項に記載のシリンダ装置には、「多孔質体」および「作動液」が混合されたコロイド溶液が用いられる。それら「多孔質体」および「作動液」の種類は、特に限定されないが、互いに親和性が低く、容易に結合しにくいものどうしであること、平たく言えば、多孔質体が作動液に溶けにくいことが望ましい。その「多孔質体」には、nm(ナノメータ)オーダの細孔を有するμm(マイクロメータ)オーダの粒状物(マイクロ粒子)を採用可能であり、例えば、疎液性を有して作動液に容易に溶けないものや、疎液性の物質により被覆されたものを採用することが可能である。具体的には、例えば、その多孔質体には、シリカゲル,アエロゲル,セラミックス,ゼオライト,多孔質ガラス,多孔質ポリスチレン等を採用可能である。また、「作動液」には、例えば、水,水と不凍剤(エタノール,エチレングリコール,プロピレングリコール,グリセリン等)との混合液,水銀,溶融金属等を採用可能である。なお、水は表面張力が比較的大きいため、作動液として水を採用した場合には、多孔質体の細孔に水が流入・流出する際に、その大きな表面張力によって、大きな力を発生させるコロイダルダンパとなる。なお、作動液に水を用いる場合には、上述したように、多孔質体には、親水性の低いものや、疎水化処理されたものを用いることが望ましい。
(2)前記2つの物が、車体と、車輪を回転可能に保持する車輪保持部材であって、
前記ハウジングが、前記車体と前記車輪保持部材との一方に連結されるものであるとともに、前記ピストンが、前記車体と前記車輪保持部材との他方に連結されるものであり、
当該シリンダ装置が、車両用サスペンション装置を構成して、前記車体を懸架する懸架シリンダとされ、
当該シリンダ装置設計方法が、その懸架シリンダとされたシリンダ装置の設計方法である(1)項に記載のシリンダ装置設計方法。
前記ハウジングが、前記車体と前記車輪保持部材との一方に連結されるものであるとともに、前記ピストンが、前記車体と前記車輪保持部材との他方に連結されるものであり、
当該シリンダ装置が、車両用サスペンション装置を構成して、前記車体を懸架する懸架シリンダとされ、
当該シリンダ装置設計方法が、その懸架シリンダとされたシリンダ装置の設計方法である(1)項に記載のシリンダ装置設計方法。
本項に記載の設計方法は、設計の対象となるシリンダ装置が、車両用サスペンション装置の一構成要素とされている。詳しく言えば、本項に記載の設計方法は、車体と車輪保持部材との相対動作を減衰させるショックアブソーバとして機能するシリンダ装置の設計方法である。
(3)前記作動液が、水である(1)項または(2)項に記載のシリンダ装置設計方法。
(4)前記多孔質体が、疎水化処理された多孔質シリカゲルである(3)項に記載のシリンダ装置設計方法。
上記2つの項に記載の態様は、シリンダ装置に用いる作動液,多孔質体が定められている。先にも述べたように、水は表面張力が大きいため、コロイダルダンパの作動液として好適である。そして、作動液を水とした場合には、多孔質体は、疎水性を有するものであることが望ましく、後者の態様は、その望ましい態様である。
(5)当該シリンダ装置設計方法が、
前記2つの物のうちの上方側に位置する物の重量に応じて、前記多孔質体の細孔に作動液が流入し始める時の前記チャンバの内圧であるクラッキング圧の目安となる基準クラッキング圧を設定するクラッキング圧設定プロセスと、
前記チャンバの内圧と前記多孔質体の細孔の内圧との釣り合いに基づいて定まる前記クラッキング圧と前記多孔質体の細孔径との関係を根拠に、前記基準クラッキング圧に基づいて、前記多孔質体の細孔径の目安となる基準細孔径を決定する細孔径決定プロセスと
を含む(1)項ないし(4)項のいずれか1つに記載のシリンダ装置設計方法。
前記2つの物のうちの上方側に位置する物の重量に応じて、前記多孔質体の細孔に作動液が流入し始める時の前記チャンバの内圧であるクラッキング圧の目安となる基準クラッキング圧を設定するクラッキング圧設定プロセスと、
前記チャンバの内圧と前記多孔質体の細孔の内圧との釣り合いに基づいて定まる前記クラッキング圧と前記多孔質体の細孔径との関係を根拠に、前記基準クラッキング圧に基づいて、前記多孔質体の細孔径の目安となる基準細孔径を決定する細孔径決定プロセスと
を含む(1)項ないし(4)項のいずれか1つに記載のシリンダ装置設計方法。
シリンダ装置に力を加えると、チャンバ内のコロイド溶液においては、まず、作動液の液圧が高められる。作動液の液圧がある大きさまで高まると、作動液は、その作動液の表面張力に抗って、多孔質体の細孔に流入する。本項に記載の態様は、その多孔質体の細孔に作動液が流入し始める時のチャンバの内圧、つまり、上記クラッキング圧を適切な大きさとする設計方法である。なお、従来の研究や実験によって、一般的なコロイダルダンパの特性として、チャンバの内圧がクラッキング圧に達した後には、チャンバの内圧とシリンダ装置のストローク量とが、ほぼリニアな関係にある範囲が存在することが解っている。したがって、クラッキング圧を定めれば、上方側に位置する物を支持するためにシリンダ装置が発生させる力のおおよその大きさが定まることになる。また、上方側に位置する物を支持するためにシリンダ装置が発生させる力は、チャンバの内圧とピストンの受圧面積とによって定まる。つまり、本項の態様の「クラッキング圧設定プロセス」においては、基準クラッキング圧を任意に設定し、その基準クラッキング圧と上方側に位置する物の重量とに基づいて、ピストンの受圧面積の目安を設定するようにすることができる。また、後に詳しく説明するように、ピストンの受圧面積の目安を設定し、それと上方側に位置する物の重量とに基づいて、基準クラッキング圧を設定するにすることもできる。
クラッキング圧と多孔質体の細孔径との間には、チャンバの内圧と多孔質体の細孔の内圧との釣り合いに基づいて定まる関係がある。なお、多孔質体の細孔の内圧は、作動液の表面張力に依拠したものであり、その作動液の表面張力,作動液の接触角,細孔径によって定まるものである。つまり、作動液を定めれば、基準クラッキング圧を設定することで、多孔質体の細孔径を決定することができる。換言すれば、多孔質体の細孔径を調整することで、クラッキング圧を調整することができるのである。なお、本項に記載の「細孔径決定プロセス」において決定されるのは、あくまで目安の値であるため、例えば、その基準細孔径に近い細孔径を有する多孔質体を、シリンダ装置に実際に採用することができる。また、その基準細孔径を有する多孔質体が存在し、その基準細孔径を有する多孔質体をシリンダ装置に実際に採用すれば、その基準細孔径が設計値そのものとなる。なお、その基準細孔径を有する多孔質体をシリンダ装置に実際に採用した場合には、その基準細孔径を決定するパラメータとなった基準クラッキング圧も、設定値そのものとなる。
(6)前記クラッキング圧設定プロセスにおいて、
前記ピストンの受圧面積の目安となる基準受圧面積を設定し、その基準受圧面積と、前記2つの物のうちの上方側に位置する物の重量とに基づいて、前記基準クラッキング圧を設定する(5)項に記載のシリンダ装置設計方法。
前記ピストンの受圧面積の目安となる基準受圧面積を設定し、その基準受圧面積と、前記2つの物のうちの上方側に位置する物の重量とに基づいて、前記基準クラッキング圧を設定する(5)項に記載のシリンダ装置設計方法。
上述したように、シリンダ装置が発生させる力は、受圧面積とチャンバの内圧とによって定まるため、上記基準受圧面積を設定すれば、基準クラッキング圧を設定することができる。つまり、本項に記載の態様は、ピストンの受圧面積がほぼ定まっているような場合に有効である。
(7)当該シリンダ装置設計方法が、
前記基準クラッキング圧,前記基準細孔径,および前記ピストンの受圧面積の目安となる基準受圧面積に基づいて、当該シリンダ装置に用いる前記多孔質体を決定するとともに、その多孔質体に応じた前記クラッキング圧の設計値および前記ピストンの受圧面積の設計値を決定する設計値決定プロセスを含む(5)項または(6)項に記載のシリンダ装置。
前記基準クラッキング圧,前記基準細孔径,および前記ピストンの受圧面積の目安となる基準受圧面積に基づいて、当該シリンダ装置に用いる前記多孔質体を決定するとともに、その多孔質体に応じた前記クラッキング圧の設計値および前記ピストンの受圧面積の設計値を決定する設計値決定プロセスを含む(5)項または(6)項に記載のシリンダ装置。
先に述べた「細孔径決定プロセス」において決定されるのは、あくまで目安の値である。そのため、本項に記載の「設計値決定プロセス」においては、例えば、細孔径決定プロセスによって決定された基準細孔径に近い細孔径を有する多孔質体を、シリンダ装置に実際に採用するようにすることができる。また、その基準細孔径を有する多孔質体が存在しており、その基準細孔径を有する多孔質体をシリンダ装置に実際に採用すれば、その基準細孔径が設計値そのものとなる。
そして、シリンダ装置に実際に採用する多孔質が決定すれば、つまり、シリンダ装置に実際に採用する多孔質体の細孔径が決定すれば、先に述べたクラッキング圧と多孔質体の細孔径との関係に基づいて、クラッキング圧の設計値が定まり、そのクラッキング圧の設計値に基づいて、ピストンの受圧面積の設計値も定まることになる。なお、上記のように基準細孔径を有する多孔質体をシリンダ装置に実際に採用した場合には、その基準細孔径を決定するパラメータとなった基準クラッキング圧も、設定値そのものとなる。
(8)当該シリンダ装置設計方法が、
前記多孔質体の細孔に作動液が流入し始めるまでの当該シリンダ装置のストローク量に対する前記チャンバの内圧の変化勾配である初期圧縮時ばね定数を設定する初期圧縮時ばね定数設定プロセスを含む(1)項ないし(7)項のいずれか1つに記載のシリンダ装置設計方法。
前記多孔質体の細孔に作動液が流入し始めるまでの当該シリンダ装置のストローク量に対する前記チャンバの内圧の変化勾配である初期圧縮時ばね定数を設定する初期圧縮時ばね定数設定プロセスを含む(1)項ないし(7)項のいずれか1つに記載のシリンダ装置設計方法。
シリンダ装置が、上方側に位置する物を支持する力は、主に、多孔質体の細孔内に作動液が流入することによって生じるチャンバの内圧に依拠するものである。しかしながら、2つの物の少なくとも一方に振動が生じてシリンダ装置が繰り返し伸縮し、かつ、その伸縮幅が小さいような場合には、多孔質体の細孔内への作動液の流入・流出があまり行われず、作動液の体積変化を主な要素とするチャンバの容積変化に伴って、シリンダ装置が伸縮することになる。つまり、そのような場合には、シリンダ装置のストロークは、主に、作動液の体積弾性率(圧縮率の逆数)に依拠することになるのである。そして、多孔質体の細孔に作動液が流入し始めるまでのシリンダ装置のストロークは、主に作動液の圧縮によるものであり、上記初期圧縮時ばね定数は、シリンダ装置の動的なばね定数に、大きな影響を与えるものであると考えられる。したがって、本項に記載の「初期圧縮時ばね定数設定プロセス」においては、シリンダ装置の動的なばね定数の目標値となるように、上記初期圧縮時ばね定数を設定するようにすることができる。
(9)前記初期圧縮時ばね定数設定プロセスにおいて、
前記初期圧縮時ばね定数を、水の体積弾性率に依拠して定まるばね定数より小さい値に設定する(8)項に記載のシリンダ装置設計方法。
前記初期圧縮時ばね定数を、水の体積弾性率に依拠して定まるばね定数より小さい値に設定する(8)項に記載のシリンダ装置設計方法。
本項に記載の態様は、初期圧縮時ばね定数を設定する大きさが限定されている。水の体積弾性率に依拠して定まるばね定数は、上述したシリンダ装置の動的なばね定数としては、大きすぎる。本項に記載の態様によれば、その水の体積弾性率に依拠して定まるばね定数より小さい値に初期圧縮時ばね定数が設定されるため、シリンダ装置の動的なばね定数が、適切化されることになる。
(10)当該シリンダ装置設計方法が、
前記作動液を選定するとともに前記ピストンの受圧面積を設定し、その選定された作動液の体積弾性率,設定された前記ピストンの受圧面積,および前記設定された初期圧縮時ばね定数に基づき、前記初期圧縮時ばね定数が前記作動液の体積弾性率と前記ピストンの受圧面積の2乗との積を前記作動液の量で除した値に等しいことを根拠に、前記作動液の量を決定する作動液量決定プロセスを含む(8)項または(9)項に記載のシリンダ装置設計方法。
前記作動液を選定するとともに前記ピストンの受圧面積を設定し、その選定された作動液の体積弾性率,設定された前記ピストンの受圧面積,および前記設定された初期圧縮時ばね定数に基づき、前記初期圧縮時ばね定数が前記作動液の体積弾性率と前記ピストンの受圧面積の2乗との積を前記作動液の量で除した値に等しいことを根拠に、前記作動液の量を決定する作動液量決定プロセスを含む(8)項または(9)項に記載のシリンダ装置設計方法。
(11)当該シリンダ装置設計方法が、
前記ピストンの受圧面積,前記作動液の量を設定し、その設定された前記ピストンの受圧面積,前記作動液の量,および前記設定された初期圧縮時ばね定数に基づき、前記初期圧縮時ばね定数が前記作動液の体積弾性率と前記ピストンの受圧面積の2乗との積を前記作動液の量で除した値に等しいことを根拠に算出される体積弾性率を、設計体積弾性率として決定する体積弾性率決定プロセスと、
体積弾性率が前記作動液の体積弾性率と異なる物質をチャンバ内に収容して、前記チャンバに加わる力に対する前記チャンバの容積変化の逆数である前記チャンバの体積弾性率を前記設計体積弾性率に調整すべく、そのチャンバ内に収容する物質を決定する体積弾性率調整物質決定プロセスと
を含む(8)項または(9)項に記載のシリンダ装置設計方法。
前記ピストンの受圧面積,前記作動液の量を設定し、その設定された前記ピストンの受圧面積,前記作動液の量,および前記設定された初期圧縮時ばね定数に基づき、前記初期圧縮時ばね定数が前記作動液の体積弾性率と前記ピストンの受圧面積の2乗との積を前記作動液の量で除した値に等しいことを根拠に算出される体積弾性率を、設計体積弾性率として決定する体積弾性率決定プロセスと、
体積弾性率が前記作動液の体積弾性率と異なる物質をチャンバ内に収容して、前記チャンバに加わる力に対する前記チャンバの容積変化の逆数である前記チャンバの体積弾性率を前記設計体積弾性率に調整すべく、そのチャンバ内に収容する物質を決定する体積弾性率調整物質決定プロセスと
を含む(8)項または(9)項に記載のシリンダ装置設計方法。
上記2つの項に記載の態様は、設定された初期圧縮時ばね定数を実現するための手法が具体化されている。これら2つの態様においては、初期圧縮時ばね定数が、作動液の体積弾性率とピストンの受圧面積の2乗との積を作動液量で除した値に等しい関係にあることが利用されている。そして、前者の態様は、作動液量を調整することで初期圧縮時ばね定数を設定された大きさとする手法であり、後者の態様は、チャンバの体積弾性率を調整すること、つまり、作動液の見かけ上の体積弾性率を変更することで、初期圧縮時ばね定数を設定された大きさとする手法である。
前者の態様において、作動液量決定プロセスによって決定された量の作動液を収容するシリンダ装置は、例えば、シリンダ装置の長さを長くすること、シリンダ装置の径方向の寸法を大きくすることで実現することが可能である。ただし、シリンダ装置を配置する場所等によって種々の制限があるため、後に詳しく説明するが、シリンダ装置の外部にある一部のスペースを利用して、ハウジングに連結するサブハウジングを設けることで、作動液量決定プロセスによって決定された量の作動液を収容するシリンダ装置を、実現することも可能である。
後者の態様に記載の「物質」は、気体,液体,固体のいずれのものをも含む。具体的には、その物質には、圧縮空気,ゴム,オイル等の種々のものを採用可能である。なお、それら、例示した物は、いずれの体積弾性率も、水の体積弾性率より低いものであるため、初期圧縮時ばね定数を、水の体積弾性率に依拠して定まるばね定数より小さな値とする物質として、好適である。なお、その物質を、チャンバ内に直接入れてもよいが、気体や液体である場合には、その物質を容器等に密封して、その容器をチャンバ内に入れるようにしてもよい。
(21)相対動作する2つの物の一方に連結されるハウジングと、
前記2つの物の他方に連結されて前記ハウジング内を摺動可能なピストンと、
前記ハウジングと前記ピストンとによって区画形成されたチャンバの内部に収容された多数の細孔を有する多孔質体および作動液と、
可撓性を有し、前記チャンバの内部に密封空間を区画形成するとともにその密封空間に前記多孔質体と前記作動液の一部とをそれらが混合した状態で密封し、自身が変形することによって、前記密封空間の容積の変化を許容する密封部材と
を備え、
前記多孔質体の細孔に前記作動液が流入した状態によって生じる前記密封空間内の圧力に依存して、前記2つの物のうちの上方側に位置する物を支持するとともに、前記2つの物の相対動作に応じて、前記多孔質体の細孔へ流入している前記作動液の量が変化することによって、それら2つの物の相対動作を減衰させることで、コロイダルダンパとして機能するシリンダ装置。
前記2つの物の他方に連結されて前記ハウジング内を摺動可能なピストンと、
前記ハウジングと前記ピストンとによって区画形成されたチャンバの内部に収容された多数の細孔を有する多孔質体および作動液と、
可撓性を有し、前記チャンバの内部に密封空間を区画形成するとともにその密封空間に前記多孔質体と前記作動液の一部とをそれらが混合した状態で密封し、自身が変形することによって、前記密封空間の容積の変化を許容する密封部材と
を備え、
前記多孔質体の細孔に前記作動液が流入した状態によって生じる前記密封空間内の圧力に依存して、前記2つの物のうちの上方側に位置する物を支持するとともに、前記2つの物の相対動作に応じて、前記多孔質体の細孔へ流入している前記作動液の量が変化することによって、それら2つの物の相対動作を減衰させることで、コロイダルダンパとして機能するシリンダ装置。
先に説明したように、本項は、請求可能発明シリンダ装置の前提となる構成を示した項である。つまり、本項に記載の態様は、請求可能発明のコロイダルダンパの基本的構成要素を列挙した態様である。
本項に記載のシリンダ装置は、コロイド溶液が密封部材によって形成される空間に密封されており、多孔質および作動液がその密封空間外へは流出しないように構成されている。つまり、本項の態様は、多孔質体がピストンと擦れ合うことがなく、ハウジング内の摩耗を防止することが可能である。したがって、本項の態様によれば、耐久性に優れたコロイダルダンパが実現することになる。
本項に記載のシリンダ装置においては、密封部材によって密封空間内に隔離された作動液の一部を除いた作動液の残部は、チャンバの内部でかつ密封空間の外部に存在することになる。つまり、本項の態様は、ハウジングおよびピストンに加わる力を、密封部材に、作動液の残部である密封空間外作動液を介して伝達するように構成された態様である。本項に記載の「作動液の一部(以下、「密封空間内作動液」という場合がある。)」と、上記の「作動液の残部(密封空間外作動液)」とは、同一の液体であってもよく、性質において互いに異なる液体であってもよい。
本項に記載の「密封部材」は、コロイド溶液を密封した状態を保持しつつ、多孔質体への作動液の流入・流出に伴うコロイド溶液の体積の変化を許容するためのものである。その密封部材は、密封部材のみでコロイド溶液を密封する空間を形成するものであってもよく、ハウジングと協同してコロイド溶液を密封する空間を形成するようなものであってもよい。詳しく言えば、密封部材のみでコロイド溶液を密封する空間を形成する態様は、例えば、コロイド溶液を内部に充填させる容器状の密封部材とすることで実現可能である。また、密封部材がハウジングと協同してコロイド溶液を密封する空間を形成する態様は、例えば、ハウジング内面に可撓性のある部材の外周部を固着させることで実現可能である。なお、密封部材は、弾性変形することによって、密封空間内の容積を変化させるものであり、例えば、板状のもの,袋状のもの,伸縮性を有するもの等を採用可能である。また、それの材質も特に限定されず、ゴムや金属等により製造されたものを採用可能である。
(22)当該シリンダ装置が、
前記チャンバの内部における前記密封空間の外部に収容され、体積弾性率が前記作動液の体積弾性率と異なる物質を備えた(21)項に記載のシリンダ装置。
前記チャンバの内部における前記密封空間の外部に収容され、体積弾性率が前記作動液の体積弾性率と異なる物質を備えた(21)項に記載のシリンダ装置。
(23)前記作動液が、水であり、
前記物質が、体積弾性率が水の体積弾性率より低いものである(22)項に記載のシリンダ装置。
前記物質が、体積弾性率が水の体積弾性率より低いものである(22)項に記載のシリンダ装置。
(24)前記物質が、圧縮された空気である(22)項または(23)項に記載のシリンダ装置。
上記3つの項に記載のシリンダ装置によれば、上記「物質」によって、チャンバの体積弾性率を調整したものとすることが可能である。つまり、上記「物質」を、先に述べた「体積弾性率調整物質決定プロセス」によって決定されたものを採用することが可能であり、そのように構成することで、上記3つの項に記載のシリンダ装置は、初期圧縮時ばね定数が適切化され、動的なばね定数が適切化されたものとなる。
(25)前記密封部材を、第1密封部材とした場合に、
当該シリンダ装置が、可撓性を有して前記物質を内部に密封する第2密封部材を備えた(22)項ないし(24)項のいずれか1つに記載のシリンダ装置。
当該シリンダ装置が、可撓性を有して前記物質を内部に密封する第2密封部材を備えた(22)項ないし(24)項のいずれか1つに記載のシリンダ装置。
本項に記載の態様は、体積弾性率調整物質が液体や気体である場合に、その液体や気体である体積弾性率調整物質が、作動液と混ざり合わないようにすることができる。つまり、本項に記載の態様は、体積弾性率調整物質が液体や気体である場合に好適である。
(26)当該シリンダ装置が、
前記ハウジングに連結され、自身の内部が前記ハウジングの内部と連通して前記チャンバを区画形成するサブハウジングを備えた(21)項に記載のシリンダ装置。
前記ハウジングに連結され、自身の内部が前記ハウジングの内部と連通して前記チャンバを区画形成するサブハウジングを備えた(21)項に記載のシリンダ装置。
本項に記載のシリンダ装置においては、「サブハウジング」を、チャンバ内に収容する作動液量を、先に述べた「作動液量決定プロセス」によって決定された作動液量に調整するためのものとすることができる。そして、本項に記載のシリンダ装置は、サブハウジングの容積分だけ、チャンバ内に収容される作動液の量が多くされている。例えば、作動液が水であるシリンダ装置においては、先に述べたように、水の体積弾性率に依拠して定まるばね定数より小さいばね定数とされることが望ましいため、作動液である水の量を増加させる必要がある。つまり、本項の態様は、作動液として、水のように体積弾性率が比較的大きいものが採用された場合に特に有効である。なお、本項に記載のシリンダ装置は、シリンダ装置の長さに制限がある場合や、シリンダ装置の周囲に何らかの装置等が存在するような場合に、シリンダ装置の外部の一部にのみスペースがあれば、配置することが可能である。
(27)前記サブハウジングの容積が、前記ハウジングの容積から前記多孔質体の体積を除いた部分の容積の45パーセント以上100パーセント以下とされた(25)項に記載のシリンダ装置。
本項に記載の態様は、サブハウジングの大きさが限定されており、そのサブハウジングの大きさが、ハウジングの最大容積から多孔質体の体積を除いた部分の容積、つまり、ハウジングが収容可能な作動液の最大量を基準に定められている。本項の態様のシリンダ装置においては、初期圧縮時ばね定数を、サブハウジングを備えていないシリンダ装置のばね定数の70パーセントから50パーセント程度の大きさにすることができる。つまり、本項の態様も、作動液に、水のように体積弾性率が比較的大きいものが採用された場合に特に有効である。
(28)当該シリンダ装置が、
前記2つの物が停止している状態から、収縮側にストローク可能な量が、伸張側にストローク可能な量に比較して大きくなるように構成された(21)項ないし(27)項のいずれか1つに記載のシリンダ装置。
前記2つの物が停止している状態から、収縮側にストローク可能な量が、伸張側にストローク可能な量に比較して大きくなるように構成された(21)項ないし(27)項のいずれか1つに記載のシリンダ装置。
2つの物の少なくとも一方に振動が生じてシリンダ装置が繰り返し伸縮しているような場合、コロイダルダンパは、それらシリンダ装置の伸縮範囲の中央付近およびそれより収縮側においては、チャンバの内圧の増加に遅れが生じる場合がある。つまり、そのことにより、シリンダ装置が繰り返し伸縮しているような場合、その伸縮範囲の中央位置が、停止状態における中立位置より下がったような状態となる虞がある。それに対して、本項に記載のシリンダ装置は、停止状態の中立位置が伸張側に設定されているため、動作中のストローク範囲が適切化されることになる。
以下、請求可能発明の代表的な実施形態を、実施例として、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
<シリンダ装置設計方法の概念>
本実施例のシリンダ装置設計方法の説明の前に、まず、図1に示す簡便な構成のコロイダルダンパとして機能するシリンダ装置10を例に、コロイダルダンパの特性について詳しく説明する。シリンダ装置10は、ハウジング12と、そのハウジング12内を摺動するピストン14とを含んで構成される。そして、シリンダ装置10は、それらハウジング12とピストン14とによって形成されるチャンバ16内に、多孔質体20と作動液22とが混合されたコロイド溶液24が充填されたものである。図2に、多孔質体20の断面図を模式的に示す。多孔質体20は、外径Dが数μm〜数十μmオーダの球形状の粒子であり、内径dが数nm〜数十nmオーダの多数の細孔30を有するものである。
本実施例のシリンダ装置設計方法の説明の前に、まず、図1に示す簡便な構成のコロイダルダンパとして機能するシリンダ装置10を例に、コロイダルダンパの特性について詳しく説明する。シリンダ装置10は、ハウジング12と、そのハウジング12内を摺動するピストン14とを含んで構成される。そして、シリンダ装置10は、それらハウジング12とピストン14とによって形成されるチャンバ16内に、多孔質体20と作動液22とが混合されたコロイド溶液24が充填されたものである。図2に、多孔質体20の断面図を模式的に示す。多孔質体20は、外径Dが数μm〜数十μmオーダの球形状の粒子であり、内径dが数nm〜数十nmオーダの多数の細孔30を有するものである。
図3に、ハウジング12とピストン14との相対動作量S(シリンダ装置10のストローク)と、チャンバ16の内圧Pとの関係を示す。なお、以下の説明において、ストロークSの変化量に対する内圧Pの変化量、つまり、ストロークSに対する内圧Pの変化勾配を、ばね定数と呼ぶ。以下に、その図3に示す点AからF−Bまでの各特性を、順に説明するとともに、本実施例のシリンダ装置設計方法の概念となる式を導出する過程を説明する。
i)A−B
点Aから点Bまでは、シリンダ装置10の組付時等にチャンバ16内に混入してしまう空気、複数の多孔質体20の間の空気、および、シール部間隙の空気等の存在によって生じるストローク、つまり、無駄ストロークである。
点Aから点Bまでは、シリンダ装置10の組付時等にチャンバ16内に混入してしまう空気、複数の多孔質体20の間の空気、および、シール部間隙の空気等の存在によって生じるストローク、つまり、無駄ストロークである。
ii)B−C(初期圧縮時ばね定数の算出)
点Bから点Cまでは、シリンダ装置10の収縮ストロークに伴って、シリンダ装置10が有するゴム,樹脂,シールや、チャンバ16内の作動液22,混入してしまった空気等が圧縮することにより、チャンバ16の内圧Pが上昇する過程である。なお、その主な要素は、作動液22の圧縮によるものであるため、このB−C間のばね定数を、作動液22の圧縮率βfに基づいて算出する。その作動液22の圧縮率βfは、下記の(1)式で表せすことができる。
βf=(dVf/Pintr)・(1/Vf) ・・・(1)
ここで、Vfが作動液量であり、dVfがその作動液22の体積変化であり、Pintrが、後に詳しく説明するが、作動液22が多孔質体20内に流入する際のチャンバ16の内圧である。また、上記(1)式を変形し、作動液22の体積変化dVfを表した式が、下記の(2)式である。
dVf=βf・Pintr・Vf ・・・(2)
次に、B−C間のばね定数である初期圧縮時ばね定数K1は、下記の(3)式で表すことができる。
K1=Pintr・Ap/(dVf/Ap)・・・(3)
ここで、Apは、ピストン14の受圧面積である。この(3)式に、上記(2)式を代入すると、以下の式が得られる。
K1=Pintr・Ap2/(βf・Pintr・Vf)=1/βf・(Ap2/Vf) ・・・(4)
上記(4)式の1/βは、作動液22の圧縮率βの逆数であり、作動液22の体積弾性率G1である。つまり、下記(5)式に示すように、初期圧縮時ばね定数K1は、作動液22の体積弾性率G1とピストンの受圧面積Apの2乗との積を作動液量Vfで除した値に等しくなるのである。
K1=G1・(Ap2/Vf) ・・・(5)
点Bから点Cまでは、シリンダ装置10の収縮ストロークに伴って、シリンダ装置10が有するゴム,樹脂,シールや、チャンバ16内の作動液22,混入してしまった空気等が圧縮することにより、チャンバ16の内圧Pが上昇する過程である。なお、その主な要素は、作動液22の圧縮によるものであるため、このB−C間のばね定数を、作動液22の圧縮率βfに基づいて算出する。その作動液22の圧縮率βfは、下記の(1)式で表せすことができる。
βf=(dVf/Pintr)・(1/Vf) ・・・(1)
ここで、Vfが作動液量であり、dVfがその作動液22の体積変化であり、Pintrが、後に詳しく説明するが、作動液22が多孔質体20内に流入する際のチャンバ16の内圧である。また、上記(1)式を変形し、作動液22の体積変化dVfを表した式が、下記の(2)式である。
dVf=βf・Pintr・Vf ・・・(2)
次に、B−C間のばね定数である初期圧縮時ばね定数K1は、下記の(3)式で表すことができる。
K1=Pintr・Ap/(dVf/Ap)・・・(3)
ここで、Apは、ピストン14の受圧面積である。この(3)式に、上記(2)式を代入すると、以下の式が得られる。
K1=Pintr・Ap2/(βf・Pintr・Vf)=1/βf・(Ap2/Vf) ・・・(4)
上記(4)式の1/βは、作動液22の圧縮率βの逆数であり、作動液22の体積弾性率G1である。つまり、下記(5)式に示すように、初期圧縮時ばね定数K1は、作動液22の体積弾性率G1とピストンの受圧面積Apの2乗との積を作動液量Vfで除した値に等しくなるのである。
K1=G1・(Ap2/Vf) ・・・(5)
iii)点C(クラッキング圧)
点Cは、多孔質体20が有する細孔30内に、作動液22が流入し始めるポイントである。以下、この細孔30内に作動液22が流入し始める時のチャンバ16の内圧をクラッキング圧Pintrと呼ぶこととする。このクラッキング圧Pintは、図4(a)の概念図に示すように、チャンバ16の内圧と細孔30の内圧(毛管の圧力,ラプラス圧力)との釣り合い式から求められ、次式で表される。
Pintr=−2・σ・cosθin/r+PG ・・・(6)
ここで、σは作動液22の表面張力であり、θinは作動液22の流入時の接触角であり、rは細孔30の半径であり、PGは細孔30内の空気が圧縮されたことによる圧力である。ちなみに、そのPGの大きさは、作動液22の表面張力に依拠した成分の大きさに比較して非常に小さいため、無視することが可能である。つまり、クラッキング圧Pintrを定める際に支配的なパラメータは、細孔30の半径r(細孔径d)であることが分かる。そして、シリンダ装置10を、細孔30内に作動液22が流入した状態によって生じるチャンバ16の内圧Pによって、自身の上方に位置する物を支持するように構成する場合、このクラッキング圧Pintrとピストン14の受圧面積Apとによって、シリンダ装置10が支持することが可能なおおよその重量が定まることになるのである。
点Cは、多孔質体20が有する細孔30内に、作動液22が流入し始めるポイントである。以下、この細孔30内に作動液22が流入し始める時のチャンバ16の内圧をクラッキング圧Pintrと呼ぶこととする。このクラッキング圧Pintは、図4(a)の概念図に示すように、チャンバ16の内圧と細孔30の内圧(毛管の圧力,ラプラス圧力)との釣り合い式から求められ、次式で表される。
Pintr=−2・σ・cosθin/r+PG ・・・(6)
ここで、σは作動液22の表面張力であり、θinは作動液22の流入時の接触角であり、rは細孔30の半径であり、PGは細孔30内の空気が圧縮されたことによる圧力である。ちなみに、そのPGの大きさは、作動液22の表面張力に依拠した成分の大きさに比較して非常に小さいため、無視することが可能である。つまり、クラッキング圧Pintrを定める際に支配的なパラメータは、細孔30の半径r(細孔径d)であることが分かる。そして、シリンダ装置10を、細孔30内に作動液22が流入した状態によって生じるチャンバ16の内圧Pによって、自身の上方に位置する物を支持するように構成する場合、このクラッキング圧Pintrとピストン14の受圧面積Apとによって、シリンダ装置10が支持することが可能なおおよその重量が定まることになるのである。
iv)C−D付近(コロイド溶液に依拠したばね特性)
チャンバ16の内圧がクラッキング圧に到達し、さらに、シリンダ装置10をストロークさせると、作動液22がさらに圧縮するとともに、それによる液圧の上昇によって多孔質体20の細孔30への作動液22の流入量が増加することになる。そして、その多孔質体20への作動液22の流入によって、コロイド溶液24の体積が減少し、シリンダ装置10が収縮するようにストロークすることになる。つまり、点CからD付近までの区間においては、シリンダ装置10は、上述した作動液22の体積弾性率G1に依存した特性のばねと、多孔質体20の細孔30に作動液22が流入することによる特性のばねとが直列に配置されたばね特性を有すると考えることができる。つまり、多孔質体20の細孔30に作動液22が流入することに依拠したばね特性のばね定数をK2とすれば、この点CからD付近までの区間のばね定数Kallは、次式によって表すことができる。
Kall=1/(1/K1+1/K2) ・・・(7)
この点CからD付近までの区間においては、多孔質体20の細孔30に作動液22が流入することによるばね特性(以下、「コロイド溶液のばね特性」と呼ぶ場合がある。)が、主な特性であるため、以下に、そのコロイド溶液のばね特性であるばね定数K2(以下、「コロイド溶液のばね定数K2」と呼ぶ場合がある。)を算出する。
チャンバ16の内圧がクラッキング圧に到達し、さらに、シリンダ装置10をストロークさせると、作動液22がさらに圧縮するとともに、それによる液圧の上昇によって多孔質体20の細孔30への作動液22の流入量が増加することになる。そして、その多孔質体20への作動液22の流入によって、コロイド溶液24の体積が減少し、シリンダ装置10が収縮するようにストロークすることになる。つまり、点CからD付近までの区間においては、シリンダ装置10は、上述した作動液22の体積弾性率G1に依存した特性のばねと、多孔質体20の細孔30に作動液22が流入することによる特性のばねとが直列に配置されたばね特性を有すると考えることができる。つまり、多孔質体20の細孔30に作動液22が流入することに依拠したばね特性のばね定数をK2とすれば、この点CからD付近までの区間のばね定数Kallは、次式によって表すことができる。
Kall=1/(1/K1+1/K2) ・・・(7)
この点CからD付近までの区間においては、多孔質体20の細孔30に作動液22が流入することによるばね特性(以下、「コロイド溶液のばね特性」と呼ぶ場合がある。)が、主な特性であるため、以下に、そのコロイド溶液のばね特性であるばね定数K2(以下、「コロイド溶液のばね定数K2」と呼ぶ場合がある。)を算出する。
点CからD付近までの区間においては、シリンダ装置10の収縮ストロークに応じて、チャンバ16の内圧は増加し、それによってシリンダ装置10が持つ位置エネルギも増加することになる。その位置エネルギEと、多孔質体20の細孔30内における作動液22の接触面積の変化dΩとの関係は、次式で表される。そして、その次式を使用して、上記コロイド溶液のばね定数K2を導出する。
E=−σ・dΩ・cosθin ・・・(8)
E=−σ・dΩ・cosθin ・・・(8)
上記の接触面積の変化dΩは、シリンダ装置10のストロークにより流入する作動液22の量をdVを用いて、次式で表すことができる。
dΩ=2・dV/r ・・・(9)
また、その作動液22の流入量dVは、点Cからのハウジング12に対するピストン14の変位量Xpを用いて、次式で表すことができる。
dV=Ap・Xp ・・・(10)
それら(8)式に(9)式および(10)式を代入すると、次式が得られる。
E=−2・σ・cosθin・Ap・Xp/r ・・・(11)
一方、シリンダ装置10がばね定数K2のスプリングとして機能すると考えた場合に、そのシリンダ装置10が持つ位置エネルギは、次式であらわすことができる。
E=1/2・K2・Xp2 ・・・(12)
これら(11)式および(12)式から、次式が得られる。
−2・σ・cosθin・Ap・Xp/r=1/2・K2・Xp2 ・・・(13)
この(13)式を、コロイド溶液のばね定数K2について変形すれば、次式となる。
K2=−4・σ・Ap・cosθin/(r・Xp) ・・・(14)
なお、点Cからの線形領域とする変位量(有効ストローク)をXprとすれば、その有効ストロークXprは、多孔質体20の量Vpm,その多孔質体20の細孔容積率δvp,多孔質体の密度ρ,ピストン14の受圧面積Apを用いて、次式で表すことができる。
Xpr=Vpm・δvp・ρ/Ap ・・・(15)
この(15)式を(14)式に代入して、有効ストローク範囲のコロイド溶液のばね定数を算出したものが、次式である。
K2=−4・σ・Ap2・cosθin/(r・Vpm・δvp・ρ) ・・・(16)
この(16)式のうちの多孔質体20および作動液22が持つ固有値のみで定まる要素をG2とすれば、(16)式は、以下のようにまとめることができる。
K2=G2・(Ap2/Vpm) ・・・(17)
G2=−4・σ・cosθin/(r・δvp・ρ) ・・・(18)
つまり、このG2は、コロイド溶液の体積弾性率G2に相当するものと考えることができる。
dΩ=2・dV/r ・・・(9)
また、その作動液22の流入量dVは、点Cからのハウジング12に対するピストン14の変位量Xpを用いて、次式で表すことができる。
dV=Ap・Xp ・・・(10)
それら(8)式に(9)式および(10)式を代入すると、次式が得られる。
E=−2・σ・cosθin・Ap・Xp/r ・・・(11)
一方、シリンダ装置10がばね定数K2のスプリングとして機能すると考えた場合に、そのシリンダ装置10が持つ位置エネルギは、次式であらわすことができる。
E=1/2・K2・Xp2 ・・・(12)
これら(11)式および(12)式から、次式が得られる。
−2・σ・cosθin・Ap・Xp/r=1/2・K2・Xp2 ・・・(13)
この(13)式を、コロイド溶液のばね定数K2について変形すれば、次式となる。
K2=−4・σ・Ap・cosθin/(r・Xp) ・・・(14)
なお、点Cからの線形領域とする変位量(有効ストローク)をXprとすれば、その有効ストロークXprは、多孔質体20の量Vpm,その多孔質体20の細孔容積率δvp,多孔質体の密度ρ,ピストン14の受圧面積Apを用いて、次式で表すことができる。
Xpr=Vpm・δvp・ρ/Ap ・・・(15)
この(15)式を(14)式に代入して、有効ストローク範囲のコロイド溶液のばね定数を算出したものが、次式である。
K2=−4・σ・Ap2・cosθin/(r・Vpm・δvp・ρ) ・・・(16)
この(16)式のうちの多孔質体20および作動液22が持つ固有値のみで定まる要素をG2とすれば、(16)式は、以下のようにまとめることができる。
K2=G2・(Ap2/Vpm) ・・・(17)
G2=−4・σ・cosθin/(r・δvp・ρ) ・・・(18)
つまり、このG2は、コロイド溶液の体積弾性率G2に相当するものと考えることができる。
v)点D付近〜点E(非線形領域)
点D付近〜点E(非線形領域)においては、作動液22が、流入できる限界付近まで多孔質体20内に流入すると、作動液22の液圧が大きく上昇し始める。ちなみに、この領域において非線形となる要因は明らかにはなっていないが、例えば、多孔質体20の重量に対する細孔容積率、細孔径の勾配、多孔質体20が疎水化されたものである場合の疎水化処理の濃淡等が起因するのではないかと考えられている。
点D付近〜点E(非線形領域)においては、作動液22が、流入できる限界付近まで多孔質体20内に流入すると、作動液22の液圧が大きく上昇し始める。ちなみに、この領域において非線形となる要因は明らかにはなっていないが、例えば、多孔質体20の重量に対する細孔容積率、細孔径の勾配、多孔質体20が疎水化されたものである場合の疎水化処理の濃淡等が起因するのではないかと考えられている。
vi)点E〜点F〜点B(復路の特性)
点Eにおいて、シリンダ装置10のストロークが収縮側から伸張側に反転するポイントである。また、点Fは、多孔質体20が有する細孔30内から、作動液22が流出し始めるポイントである。この点Fでのチャンバ内の圧力は、図4(b)の概念図に示すように、チャンバ16の内圧と細孔30の内圧との釣り合い式から求められ、次式で表される。
Pextr=−2・σ・cosθex/r+PG ・・・(19)
ここで、θexは作動液22の流出時の接触角である。その流出時の接触角θexは、流入時の接触角θinより90degに近い値となるためcosθexが小さく、作動液22が細孔30内から流出しようとする力も小さくなる。そのことにより、点Eから点Fまでの区間においては、シリンダ装置10が有するゴム,樹脂,シールや、チャンバ16内の作動液22,混入してしまった空気等が圧縮した状態から解放されて、急激にチャンバ16の内圧が低下することになる。そして、チャンバ16の内圧が低下すると、点Fから点Bまでの区間において、多孔質体20の細孔30から作動液22が流出し、コロイド溶液24の体積が増加し、シリンダ装置10が伸張するようにストローク動作することになる。
点Eにおいて、シリンダ装置10のストロークが収縮側から伸張側に反転するポイントである。また、点Fは、多孔質体20が有する細孔30内から、作動液22が流出し始めるポイントである。この点Fでのチャンバ内の圧力は、図4(b)の概念図に示すように、チャンバ16の内圧と細孔30の内圧との釣り合い式から求められ、次式で表される。
Pextr=−2・σ・cosθex/r+PG ・・・(19)
ここで、θexは作動液22の流出時の接触角である。その流出時の接触角θexは、流入時の接触角θinより90degに近い値となるためcosθexが小さく、作動液22が細孔30内から流出しようとする力も小さくなる。そのことにより、点Eから点Fまでの区間においては、シリンダ装置10が有するゴム,樹脂,シールや、チャンバ16内の作動液22,混入してしまった空気等が圧縮した状態から解放されて、急激にチャンバ16の内圧が低下することになる。そして、チャンバ16の内圧が低下すると、点Fから点Bまでの区間において、多孔質体20の細孔30から作動液22が流出し、コロイド溶液24の体積が増加し、シリンダ装置10が伸張するようにストローク動作することになる。
vii)減衰特性
シリンダ装置10は、相対動作する2つの物が停止している状態における位置である中立位置からの1サイクルの動作におけるチャンバ16の内圧の変化を、シリンダ装置10のストロークSとの関係で示せば、図3に示す破線のようになる。シリンダ装置10は、先にも説明したように、作動液流入時(収縮時)のチャンバ16の内圧と、作動液流出時(伸張時)のチャンバ16の内圧とに差が生じ、図3に示すように、シリンダ装置10のストロークSの変化に対するチャンバ16の内圧の変化に、ヒステリシスが生じる。そして、その図3の二点鎖線によって囲まれた面積が、1サイクルの動作において散逸したエネルギに相当する。なお、上記の破線は、静的な特性であり、動的な特性は、楕円化するため、減衰効率は落ちることになる。
シリンダ装置10は、相対動作する2つの物が停止している状態における位置である中立位置からの1サイクルの動作におけるチャンバ16の内圧の変化を、シリンダ装置10のストロークSとの関係で示せば、図3に示す破線のようになる。シリンダ装置10は、先にも説明したように、作動液流入時(収縮時)のチャンバ16の内圧と、作動液流出時(伸張時)のチャンバ16の内圧とに差が生じ、図3に示すように、シリンダ装置10のストロークSの変化に対するチャンバ16の内圧の変化に、ヒステリシスが生じる。そして、その図3の二点鎖線によって囲まれた面積が、1サイクルの動作において散逸したエネルギに相当する。なお、上記の破線は、静的な特性であり、動的な特性は、楕円化するため、減衰効率は落ちることになる。
次に、第1実施例のシリンダ装置設計方法について、詳しく説明する。まず、本設計方法の対象となるシリンダ装置50は、図5に示すように、車両用サスペンション装置の一構成要素であり、車体を懸架する懸架シリンダである。詳しく言えば、その車両用サスペンション装置は、車両が有する車輪52の各々に対応して設けられる独立懸架式のものであり、マルチリンクサスペンション装置とされる。サスペンション装置は、それぞれがサスペンションアームである第1アッパアーム60,第2アッパアーム62,第1ロアアーム64,第2ロアアーム66,トーコントロールアーム68を備えている。5本のアーム60,62,64,66,68のそれぞれの一端部は、車体に回動可能に連結され、他端部は、車輪52を回転可能に保持する車輪保持部材としてのアクスルキャリア70に回動可能に連結されている。それら5本のアーム60,62,64,66,68により、アクスルキャリア70は、車体に対して一定の軌跡に沿った上下動が許容されている。そして、本シリンダ装置50は、車体の一部であるタイヤハウジングに設けられたマウント部72と、上記第2ロアアーム66との間に配設される。
本シリンダ装置50には、疎水化多孔質シリカゲルと作動液としての水とが混合されたコロイド溶液を用いる。つまり、本シリンダ装置50においては、疎水化多孔質シリカゲルの粒子の各々を、多孔質体として機能させるようになっている。
<クラッキング圧,細孔径,受圧面積の決定>
i)クラッキング圧設定プロセス
まず、疎水化多孔質シリカゲル粒子の細孔内に水が流入した状態におけるチャンバの内圧によって、車体の分担荷重Wcf(=6000N)を受け持つように、シリンダ装置50を設計する。シリンダ装置50が発生させる力は、チャンバの内圧Pとピストンの受圧面積Apとの積によって定まるため、まず、一般的な車両用のシリンダ装置の受圧面積を考慮して、ピストンの受圧面積の目安となる基準受圧面積Ap'(=2.01cm2)を設定した。その基準受圧面積Ap'に基づけば、中立位置におけるチャンバの内圧PとしてWcf/Ap'(=29.9MPa)だけ必要である。また、車体と車輪との相対動作範囲,図3の点CからD付近までの区間のばね定数Kallを一般的な車両のばね定数を目標値とすることを考慮し、クラッキング圧の目安となる基準クラッキング圧Pintr'(=25MPa)を設定した。
i)クラッキング圧設定プロセス
まず、疎水化多孔質シリカゲル粒子の細孔内に水が流入した状態におけるチャンバの内圧によって、車体の分担荷重Wcf(=6000N)を受け持つように、シリンダ装置50を設計する。シリンダ装置50が発生させる力は、チャンバの内圧Pとピストンの受圧面積Apとの積によって定まるため、まず、一般的な車両用のシリンダ装置の受圧面積を考慮して、ピストンの受圧面積の目安となる基準受圧面積Ap'(=2.01cm2)を設定した。その基準受圧面積Ap'に基づけば、中立位置におけるチャンバの内圧PとしてWcf/Ap'(=29.9MPa)だけ必要である。また、車体と車輪との相対動作範囲,図3の点CからD付近までの区間のばね定数Kallを一般的な車両のばね定数を目標値とすることを考慮し、クラッキング圧の目安となる基準クラッキング圧Pintr'(=25MPa)を設定した。
ii)細孔径決定プロセス
クラッキング圧Pintは、上述したように、チャンバ16の内圧と細孔30の内圧(毛管の圧力,ラプラス圧力)との釣り合い式に基づいて、(6)式で表される。
Pintr=−2・σ・cosθin/r+PG ・・・(6)
ちなみに、PGの大きさは、作動液22の表面張力に依拠した成分の大きさに比較して非常に小さいため、無視することが可能である。そして、σおよびθinは、作動液である水が持つ固有値であるため、クラッキング圧Pintrと多孔質体の細孔の半径rとの間には定められた関係がある。つまり、その(6)式を根拠に、水の表面張力σ(=72.8mN/m),水の表面張力の流入時の接触角θin(=128.5deg),上記の基準クラッキング圧Pintr'に基づき、多孔質体である疎水化多孔質シリカゲルの細孔径の目安となる基準細孔半径r'(=−2・σ・cosθin/Pintr'=3.62nm)を決定した。
クラッキング圧Pintは、上述したように、チャンバ16の内圧と細孔30の内圧(毛管の圧力,ラプラス圧力)との釣り合い式に基づいて、(6)式で表される。
Pintr=−2・σ・cosθin/r+PG ・・・(6)
ちなみに、PGの大きさは、作動液22の表面張力に依拠した成分の大きさに比較して非常に小さいため、無視することが可能である。そして、σおよびθinは、作動液である水が持つ固有値であるため、クラッキング圧Pintrと多孔質体の細孔の半径rとの間には定められた関係がある。つまり、その(6)式を根拠に、水の表面張力σ(=72.8mN/m),水の表面張力の流入時の接触角θin(=128.5deg),上記の基準クラッキング圧Pintr'に基づき、多孔質体である疎水化多孔質シリカゲルの細孔径の目安となる基準細孔半径r'(=−2・σ・cosθin/Pintr'=3.62nm)を決定した。
iii)設計値決定プロセス
次に、疎水化多孔質シリカゲルの細孔径が異なるものを3種類用意した。細孔半径が、3.5nm,5.0nm,7.5nmのものである。それらのストローク量とシリンダ力との関係を実測したものを、図6に示す。なお、実測に用いたシリンダ装置のピストンは、上記基準受圧面積Ap'とされたものである。図6からも、基準細孔半径r'に近い細孔半径3.5nmのものが、分担荷重Wcf(=6000N)を受け持つのに、最適であることが分かる。したがって、多孔質シリカゲルの細孔径の設計値を、7nm(半径3.5nm)と決定した。なお、上記の細孔半径3.5nmの疎水化多孔質シリカゲルを用いたシリンダ装置のクラッキング圧の実測値は、25.55MPa(N=9の平均値)であった。つまり、上記基準クラッキング圧Pintr'とほぼ同じ大きさであるため、その基準クラッキング圧Pintr'を算出するのに用いた基準受圧面積Ap'を、ピストンの受圧面積Apの設計値とした。
次に、疎水化多孔質シリカゲルの細孔径が異なるものを3種類用意した。細孔半径が、3.5nm,5.0nm,7.5nmのものである。それらのストローク量とシリンダ力との関係を実測したものを、図6に示す。なお、実測に用いたシリンダ装置のピストンは、上記基準受圧面積Ap'とされたものである。図6からも、基準細孔半径r'に近い細孔半径3.5nmのものが、分担荷重Wcf(=6000N)を受け持つのに、最適であることが分かる。したがって、多孔質シリカゲルの細孔径の設計値を、7nm(半径3.5nm)と決定した。なお、上記の細孔半径3.5nmの疎水化多孔質シリカゲルを用いたシリンダ装置のクラッキング圧の実測値は、25.55MPa(N=9の平均値)であった。つまり、上記基準クラッキング圧Pintr'とほぼ同じ大きさであるため、その基準クラッキング圧Pintr'を算出するのに用いた基準受圧面積Ap'を、ピストンの受圧面積Apの設計値とした。
<目安となる疎水化多孔質シリカゲルの量の決定>
また、本設計方法においては、シリンダ装置50を、収縮側にストロークする全範囲において、つまり、フルリバウンドからフルバウンドまでの間において、チャンバの内圧Pが疎水化多孔質シリカゲルの細孔への水の流入量に比例する範囲内でストロークするように設計する。シリンダ装置50を、そのような構成とするために、疎水化多孔質シリカゲルの量(体積)と水の量(体積)を設定する。まず、シリンダ装置50において、標準状態(例えば、車両に一人も乗車しておらず、かつ、何も積載しておらず、さらに、水平面上において停車している状態)における中立位置から、バウンド方向にストローク量Sb(=70mm),リバウンド方向にストローク量Sr(=70mm)だけストロークできるようにすると、フルリバウンドからフルバウンドまでのチャンバの容積変化ΔVは、次式のように求まる。
ΔV=Ap・(Sb+Sr)
また、本設計方法においては、シリンダ装置50を、収縮側にストロークする全範囲において、つまり、フルリバウンドからフルバウンドまでの間において、チャンバの内圧Pが疎水化多孔質シリカゲルの細孔への水の流入量に比例する範囲内でストロークするように設計する。シリンダ装置50を、そのような構成とするために、疎水化多孔質シリカゲルの量(体積)と水の量(体積)を設定する。まず、シリンダ装置50において、標準状態(例えば、車両に一人も乗車しておらず、かつ、何も積載しておらず、さらに、水平面上において停車している状態)における中立位置から、バウンド方向にストローク量Sb(=70mm),リバウンド方向にストローク量Sr(=70mm)だけストロークできるようにすると、フルリバウンドからフルバウンドまでのチャンバの容積変化ΔVは、次式のように求まる。
ΔV=Ap・(Sb+Sr)
そして、本シリンダ装置50においては、この容積変化ΔVに等しい量の水が、疎水化多孔質シリカゲルに流入できるようにする。つまり、疎水化多孔質シリカゲルの体積に対する疎水化多孔質シリカゲルの水を流入できる限界量の比をηとすれば、疎水化多孔質シリカゲルの必要最低量(体積である)VSminが、次式によって定まる。
VSmin=ΔV/η
なお、疎水化多孔質シリカゲルは、疎水化処理の際に、全てが疎水化されずに吸水性を有するシリカゲルが残ってしまう場合がある。例えば、疎水化処理を行った全量に対する、疎水化されなかったシリカゲルの量を除いた疎水化されたシリカゲルの量の割合を、疎水化率αと定義すれば、その疎水化率のばらつき等に対応するために、目安となる疎水化多孔質シリカゲルの量(体積である)VS'を、次式によって決定した。
VS'=VSmin/α
VSmin=ΔV/η
なお、疎水化多孔質シリカゲルは、疎水化処理の際に、全てが疎水化されずに吸水性を有するシリカゲルが残ってしまう場合がある。例えば、疎水化処理を行った全量に対する、疎水化されなかったシリカゲルの量を除いた疎水化されたシリカゲルの量の割合を、疎水化率αと定義すれば、その疎水化率のばらつき等に対応するために、目安となる疎水化多孔質シリカゲルの量(体積である)VS'を、次式によって決定した。
VS'=VSmin/α
<初期圧縮時ばね定数,設計体積弾性率の決定>
i)初期圧縮時ばね定数設定プロセス
次に、本設計方法においては、図3に示す点Bから点Cまでのばね定数である初期圧縮時ばね定数K1を設定する。後に詳しく説明するが、この初期圧縮時ばね定数K1は、シリンダ装置50の動特性に大きく影響するため、これを設定する必要があるのである。本設計方法においては、初期圧縮時ばね定数K1を、水の体積弾性率Gw(=1/βw,βw:水の圧縮率)に依拠したばね定数より小さな値となるように、具体的には、水の体積弾性率Gw(=1/βw,βw:水の圧縮率)に依拠したばね定数の60%程度の値となるように設定した
i)初期圧縮時ばね定数設定プロセス
次に、本設計方法においては、図3に示す点Bから点Cまでのばね定数である初期圧縮時ばね定数K1を設定する。後に詳しく説明するが、この初期圧縮時ばね定数K1は、シリンダ装置50の動特性に大きく影響するため、これを設定する必要があるのである。本設計方法においては、初期圧縮時ばね定数K1を、水の体積弾性率Gw(=1/βw,βw:水の圧縮率)に依拠したばね定数より小さな値となるように、具体的には、水の体積弾性率Gw(=1/βw,βw:水の圧縮率)に依拠したばね定数の60%程度の値となるように設定した
ii)体積弾性率決定プロセス
先に述べたように、初期圧縮時ばね定数K1は、(5)式で表される。
K1=G1・(Ap2/Vf) ・・・(5)
その作動液量は、シリンダ装置のハウジングの容積の設定値VHから、先に設定された疎水化多孔質シリカゲルの量VS'を引いた容積である。そして、その目安となる作動液量Vf'(=VH−VS')と、先に決定されたピストンの設計受圧面積Ap(==2.01cm2)とに基づけば、上記(5)式を根拠に、チャンバの体積弾性率の設計値である設計体積弾性率G1を決定する。つまり、本設計方法においては、初期圧縮時ばね定数K1を、水の体積弾性率Gw(=1/βw,βw:水の圧縮率)に依拠したばね定数の60%程度の大きさとなるように、設計体積弾性率G1を、水の体積弾性率Gwの60%の大きさに設定した。
先に述べたように、初期圧縮時ばね定数K1は、(5)式で表される。
K1=G1・(Ap2/Vf) ・・・(5)
その作動液量は、シリンダ装置のハウジングの容積の設定値VHから、先に設定された疎水化多孔質シリカゲルの量VS'を引いた容積である。そして、その目安となる作動液量Vf'(=VH−VS')と、先に決定されたピストンの設計受圧面積Ap(==2.01cm2)とに基づけば、上記(5)式を根拠に、チャンバの体積弾性率の設計値である設計体積弾性率G1を決定する。つまり、本設計方法においては、初期圧縮時ばね定数K1を、水の体積弾性率Gw(=1/βw,βw:水の圧縮率)に依拠したばね定数の60%程度の大きさとなるように、設計体積弾性率G1を、水の体積弾性率Gwの60%の大きさに設定した。
ii)体積弾性率調整物質決定プロセス
本設計方法においては、シリンダ装置50を、上記設計体積弾性率G1(=0.6・Gw)を実現するために、作動液としての水の弾性率を低下させる物質をチャンバ内に収容するように構成する。具体的には、後に詳しく説明するが、密封容器内に圧縮した空気を封入させ、その圧縮空気が密封された容器をチャンバ内に収容させることで、水の弾性率を低下させる。なお、チャンバの体積弾性率が、上記設計体積弾性率G1となるように、密封容器内の圧縮空気の初期圧を調整する。
本設計方法においては、シリンダ装置50を、上記設計体積弾性率G1(=0.6・Gw)を実現するために、作動液としての水の弾性率を低下させる物質をチャンバ内に収容するように構成する。具体的には、後に詳しく説明するが、密封容器内に圧縮した空気を封入させ、その圧縮空気が密封された容器をチャンバ内に収容させることで、水の弾性率を低下させる。なお、チャンバの体積弾性率が、上記設計体積弾性率G1となるように、密封容器内の圧縮空気の初期圧を調整する。
<コロイダル溶液のばね定数,疎水化多孔質シリカゲルの量の決定>
i)コロイド溶液ばね定数決定プロセス
次に、上記の(7)式を利用して、コロイダル溶液のばね定数K2を決定する。
Kall=1/(1/K1+1/K2) ・・・(7)
図3に示した点Cから点D付近のばね定数Kallは、一般的な車両に用いられるサスペンションスプリングのばね定数Ktc(=36010N/m)に設定した。そして、コロイダル溶液のばね定数K2を、そのばね定数Ktcと、先に決定された初期圧縮時ばね定数K1とに基づき、(7)式を利用して決定した。
i)コロイド溶液ばね定数決定プロセス
次に、上記の(7)式を利用して、コロイダル溶液のばね定数K2を決定する。
Kall=1/(1/K1+1/K2) ・・・(7)
図3に示した点Cから点D付近のばね定数Kallは、一般的な車両に用いられるサスペンションスプリングのばね定数Ktc(=36010N/m)に設定した。そして、コロイダル溶液のばね定数K2を、そのばね定数Ktcと、先に決定された初期圧縮時ばね定数K1とに基づき、(7)式を利用して決定した。
ii)疎水化多孔質シリカゲル量決定プロセス
先に述べたように、コロイダル溶液のばね定数K2は、上記の(17)式で表される。
K2=G2・(Ap2/Vpm) ・・・(17)
このG2は、上記の(18)式で表されるものであり、多孔質体としての疎水化多孔質シリカゲルおよび作動液としての水が持つ固有値のみで定まるものである。
G2=−4・σ・cosθin/(r・δvp・ρ) ・・・(18)
つまり、このコロイド溶液の体積弾性率と、先に決定されたピストンの設計受圧面積Ap(=2.01cm2)、および、上記のように決定されたコロイダル溶液のばね定数K2に基づき、(17)式を根拠に、疎水化多孔質シリカゲルの量VSを決定した。
先に述べたように、コロイダル溶液のばね定数K2は、上記の(17)式で表される。
K2=G2・(Ap2/Vpm) ・・・(17)
このG2は、上記の(18)式で表されるものであり、多孔質体としての疎水化多孔質シリカゲルおよび作動液としての水が持つ固有値のみで定まるものである。
G2=−4・σ・cosθin/(r・δvp・ρ) ・・・(18)
つまり、このコロイド溶液の体積弾性率と、先に決定されたピストンの設計受圧面積Ap(=2.01cm2)、および、上記のように決定されたコロイダル溶液のばね定数K2に基づき、(17)式を根拠に、疎水化多孔質シリカゲルの量VSを決定した。
<設計されたシリンダ装置の構成>
上記のシリンダ装置設計方法により決定された設計値をもとに構成されたシリンダ装置50を、図7に示す。図7は、シリンダ装置50の正面断面図であり、その図7を参照しつつ、シリンダ装置50の構成を詳しく説明する。
上記のシリンダ装置設計方法により決定された設計値をもとに構成されたシリンダ装置50を、図7に示す。図7は、シリンダ装置50の正面断面図であり、その図7を参照しつつ、シリンダ装置50の構成を詳しく説明する。
シリンダ装置50は、概して円筒状のハウジング80と、そのハウジング80に対して摺動可能に配設されたピストン82とを含んで構成されている。ピストン82は、ピストン本体90を有しており、そのピストン本体90が、ハウジング80の内部を、自身を挟んで2つのチャンバである上室92と下室94とに区画している。ピストン82は、さらに、ピストンロッド98を有しており、そのピストンロッド98は、下端部においてピストン本体90に連結されるとともに、ハウジング80の上端部に設けられた蓋部から延び出している。そして、ピストンロッド98は、上端部において防振ゴム100を含んで構成されるアッパサポート102を介してマウント部72の下面側に連結されている。一方、ハウジング80は、それの下端部において、ブシュ104を介して第2ロアアーム66に連結されている。
つまり、ハウジング80と、ピストンロッド98およびそれに連結されたピストン本体90とは、車体(マウント部72)と車輪52(アクスルキャリア70)との接近・離間に応じて軸線方向に相対移動可能とされている。換言すれば、シリンダ装置50は、車体と車輪52との接近・離間に応じて伸縮可能とされているのである。
ちなみに、シリンダ装置50は、カバーチューブ110を備えており、そのカバーチューブ110は、上記ピストンロッド98およびハウジング80の上部を収容し、外部からの塵埃,泥等の侵入を防止するようにされている。
ハウジング80内の下端部には、ベローズ120が固定されており、下室94に収容されている。そのベローズ120には、疎水化多孔質シリカゲル122と、水124とが混合されたコロイド溶液126が充填された状態で密封されている。なお、ベローズ120は、ハウジング80内に固定された状態において、上下方向に伸縮するようになっている。したがって、ベローズ120は、容器状に形成されたものであり、自身のみによって密封空間を形成してその内部にコロイド溶液126を密封する第1密封部材として機能するものとなっており、本シリンダ装置50は、ベローズ120とコロイド溶液124とを含んで構成されたコロイド溶液密封体130を備えたものとなっている。
また、上記のコロイド溶液密封体130には、もう1つのべーローズ140が固定されている。このベローズ140には、先の設計方法により決定された体積弾性体調整物質としての圧縮空気142が密封されている。つまり、そのベローズ140は、第2密封部材として機能するものとなっている。
なお、下室94には、上記コロイド溶液密封体130および体積弾性率調整物質が収容された状態で、水150が充填されている。また、上室92にも、水150が充填されている。先に述べたピストン本体90には、それを軸方向に貫通し、上室92と下室94とを連通させる複数の連通路152が設けられている。つまり、ハウジング80に対するピストン82の摺動に伴って上室92および下室94の容積が変化する場合に、上記連通路152によって、上室92と下室94との間で、水150の流通が許容されるのである。なお、ハウジング80の内部は高圧になるため、ハウジング80の上端部の蓋部、および、下端部の蓋部には、水150の漏れを防止するために、複数の高圧シール154が設けられている。特に、ピストンロッド98が摺動する上端部の蓋部には、そのピストンロッド98の摺動面に接する2つのシール156が設けられている。それら2つのシール156の間にグリースが密封されており、シール性が高められている。
シリンダ装置50は、車体と車輪52との接近離間動作を規制する機構、いわゆるバウンドストッパ、および、リバウンドストッパを有している。具体的には、バウンドストッパは、カバーチューブ110の内側の上端に貼着された環状の緩衝ゴム160を含んで構成され、ハウジング80の上端部が、緩衝ゴム160を介してカバーチューブ110に当接するように構成されている。また、リバウンドストッパは、ハウジング80の上方側の蓋部の下面に貼着された環状の緩衝ゴム162を含んで構成され、ピストン本体90の上面とハウジング80の上方側の蓋部とが、緩衝ゴム162を介して当接するように構成されている。
なお、上述したように、本シリンダ装置50は、コロイド溶液126がベローズ120内に密封されているが、外部から加えられた力は、水150を介してコロイド溶液密封体130に伝達される。つまり、外部から加えられた力によって、水150の液圧が上昇させられ、それとともに、ベローズ120内に収容された水124の液圧も上昇する。そして、水124の液圧が、ある高さまで上昇すると、その水124は、表面張力に抗して疎水化多孔質シリカゲル122の細孔内に流入する。それに伴って、ベローズ120は収縮しつつ、コロイド溶液密封体130は、体積が減少することになるのである。一方、自身に加わる力がなくなると、水124の液圧が低下し、疎水化多孔質シリカゲル122の細孔から水124が流出する。それに伴って、ベローズ120は伸張しつつ、コロイド溶液密封体130は、体積が増加することになる。
<本シリンダ装置の特性>
本シリンダ装置50は、上述した設計方法によって、初期圧縮時ばね定数K1が適切化されている。図8に、体積弾性率調整物質を備えていないシリンダ装置、つまり、初期圧縮時ばね定数が水の体積弾性率Gwに依拠した大きさとされているシリンダ装置を加振した場合のストローク量とシリンダ力との関係を示す。加振条件は、加振振幅Aが、±15mm,±25mm,±35mmで、周波数は0.53Hzで一定である。図8から分かるように、振幅が小さい場合ほど、疎水化多孔質シリカゲルへの水の流入・流出がなく、作動液である水の体積変化に依拠したストロークしか行われていない。特に、加振振幅が±15mmである場合には、動的なばね定数が、初期圧縮時ばね定数である水の体積弾性率Gwに依拠したばね定数と、ほぼ同程度となってしまっている。つまり、コロイダルダンパとして機能するシリンダ装置は、振幅の小さな振動が生じている場合に動的なばね定数が、初期圧縮時ばね定数の影響を大きく受けることになる。それに対して、本シリンダ装置50は、初期圧縮時ばね定数K1が、体積弾性率調整物質によって、水の体積弾性率に依拠したばね定数より小さくされており、振幅の小さな振動が生じている場合の減衰性能の悪化が抑制されたものとなっている。
本シリンダ装置50は、上述した設計方法によって、初期圧縮時ばね定数K1が適切化されている。図8に、体積弾性率調整物質を備えていないシリンダ装置、つまり、初期圧縮時ばね定数が水の体積弾性率Gwに依拠した大きさとされているシリンダ装置を加振した場合のストローク量とシリンダ力との関係を示す。加振条件は、加振振幅Aが、±15mm,±25mm,±35mmで、周波数は0.53Hzで一定である。図8から分かるように、振幅が小さい場合ほど、疎水化多孔質シリカゲルへの水の流入・流出がなく、作動液である水の体積変化に依拠したストロークしか行われていない。特に、加振振幅が±15mmである場合には、動的なばね定数が、初期圧縮時ばね定数である水の体積弾性率Gwに依拠したばね定数と、ほぼ同程度となってしまっている。つまり、コロイダルダンパとして機能するシリンダ装置は、振幅の小さな振動が生じている場合に動的なばね定数が、初期圧縮時ばね定数の影響を大きく受けることになる。それに対して、本シリンダ装置50は、初期圧縮時ばね定数K1が、体積弾性率調整物質によって、水の体積弾性率に依拠したばね定数より小さくされており、振幅の小さな振動が生じている場合の減衰性能の悪化が抑制されたものとなっている。
また、本シリンダ装置50のストローク量とシリンダ力との関係を図9の実線に示す。本シリンダ装置は、車両が停止している状態から、バウンドストローク可能な量が、リバウンドストローク可能な量に比較して大きくされている。換言すれば、分担荷重Wcfと同じ大きさのシリンダ力を発生させる位置が、ストローク可能範囲の中央よりリバウンド側に位置している。つまり、停止状態おける車高が高めに設定されている。具体的には、ピストン82に設定された圧力を加えた状態でハウジング80の上蓋を閉じることで、ハウジング80内に初期圧が加えられている。それによって、ストローク可能範囲の中央よりリバウンド側で、シリンダ力が分担荷重Wcfと釣り合うようになっている。
本シリンダ装置50において、停止状態からバウンド側にストロークを開始し、その後に2サイクルした場合のシリンダ力の変化を二点鎖線に示している。1サイクル目のバウンド側へのストロークが、実線で示した静特性に沿って動作しているのに対して、2サイクル目のバウンド側へのストロークにおいて、シリンダ力の増加に遅れが生じているのが分かる。このことによって、車体と車輪52との間で相対動作しつけている場合には、車高が停止状態より低下したような状態となる。本シリンダ装置50は、上述したように、停止状態における車高が高めに設定されているため、走行中に車高が低下することで、バウンド側,リバウンド側の両方向へのストローク可能量が適切化されることになる。
次に、第2実施例のシリンダ装置設計方法について説明する。第2実施例のシリンダ装置設計方法は、第1実施例の設計方法と、初期圧縮時ばね定数設定プロセスによって設定された初期圧縮時ばね定数K1を実現する方法が異なる。そのため、第2実施例の設計方法については、その方法のみを説明し、その後、第2実施例の設計法により設計されたシリンダ装置200について説明する。
<作動液量決定プロセス>
先に述べたように、初期圧縮時ばね定数K1は、(5)式で表される。
K1=G1・(Ap2/Vf) ・・・(5)
本シリンダ装置200の作動液は、第1実施例のシリンダ装置50と同様に水であるため、チャンバの体積弾性率G1は、水の体積弾性率Gwと等価と考える。そして、その水の体積弾性率Gw、先に決定されたピストンの設計受圧面積Ap、および、水の体積弾性率Gwに依拠したばね定数の60%程度の大きさに設定された初期圧縮時ばね定数K1に基づき、上記(5)式を根拠に、作動液量Vf、つまり、チャンバ内のトータルの水の量を決定した。
先に述べたように、初期圧縮時ばね定数K1は、(5)式で表される。
K1=G1・(Ap2/Vf) ・・・(5)
本シリンダ装置200の作動液は、第1実施例のシリンダ装置50と同様に水であるため、チャンバの体積弾性率G1は、水の体積弾性率Gwと等価と考える。そして、その水の体積弾性率Gw、先に決定されたピストンの設計受圧面積Ap、および、水の体積弾性率Gwに依拠したばね定数の60%程度の大きさに設定された初期圧縮時ばね定数K1に基づき、上記(5)式を根拠に、作動液量Vf、つまり、チャンバ内のトータルの水の量を決定した。
<設計されたシリンダ装置の構成>
上記第2実施例のシリンダ装置設計方法により決定された設計値をもとに構成されたシリンダ装置200を、図10の正面断面図に示す。なお、このシリンダ装置200は、第1実施例のシリンダ装置50と同じ構成要素を含むため、それらの説明は省略するものとする。
上記第2実施例のシリンダ装置設計方法により決定された設計値をもとに構成されたシリンダ装置200を、図10の正面断面図に示す。なお、このシリンダ装置200は、第1実施例のシリンダ装置50と同じ構成要素を含むため、それらの説明は省略するものとする。
本シリンダ装置200は、第1実施例のシリンダ装置50とほぼ同様の構成であるが、第1実施例のシリンダ装置が備えていた体積弾性率調整物質である圧縮空気120は、チャンバ内に収容されていない。本実施例のシリンダ装置200は、サブハウジング210を備えている。そのサブハウジング210は、ハウジング80の下端に連結され、自身の内部が、ハウジング80の下室94に連通している。そして、サブハウジング210内も、作動液である水150が充填されている。そして、そのサブハウジング210は、それの容積が、上述した設計法により決定された作動液量Vfに基づいて、定められている。つまり、サブハウジング210の容積は、その作動液量Vfから、ハウジング80内に収容された水の量と、コロイド溶液密封体130内の水の量とを引いた量を、収容できるように決定されているのである。
本実施例のシリンダ装置200も、第1実施例のシリンダ装置50と同様に、初期圧縮時ばね定数K1が水の体積弾性率Gwに依拠したばね定数より小さくされており、振幅の小さな振動が生じている場合の減衰性能の悪化が抑制されたものとなっている。
10:シリンダ装置 12:ハウジング 14:ピストン 16:チャンバ 20:多孔質体 22:作動液 30:細孔 50:シリンダ装置〔懸架シリンダ〕 52:車輪 70:アクスルキャリア〔車輪保持部材〕 72:マウント部〔車体〕 80:ハウジング 82:ピストン 92:上室 94:下室〔チャンバ〕 120:ベローズ〔第1密封部材〕 122:疎水化多孔質シリカゲル〔多孔質体〕 124:水〔作動液〕 140:ベローズ〔第2密封部材〕 142:圧縮空気〔体積弾性率調整物質〕 150:水〔作動液〕 200:シリンダ装置 210:サブハウジング
r:細孔半径 r':基準細孔半径 S:ストローク P:チャンバの内圧 Pintr:流入時のクラッキング圧 Pintr':基準クラッキング圧 Pextr:流出時のクラッキング圧 Vf:作動液量 K1:初期圧縮時ばね定数 G1:作動液の体積弾性率 Gw:水の体積弾性率 Ap:ピストンの受圧面積 Ap':基準受圧面積 σ:作動液の表面張力 θin:作動液の流入時の接触角 K2:コロイド溶液のばね定数 G2:コロイド溶液の体積弾性率 θex:作動液の流出時の接触角 Wcf:分担荷重
Claims (3)
- (A)相対動作する2つの物の一方に連結されるハウジングと、(B)前記2つの物の他方に連結されて前記ハウジング内を摺動可能なピストンと、(C)前記ハウジングと前記ピストンとによって区画形成されたチャンバの内部に収容された多数の細孔を有する多孔質体および作動液とを備え、(i)前記2つの物のうちの上方側に位置する物を、前記多孔質体の細孔に前記作動液が流入した状態によって生じる前記チャンバの内圧に依存して支持するとともに、(ii)前記2つの物の相対動作に応じて前記多孔質体の細孔へ流入している前記作動液の量が変化することによって、それら2つの物の相対動作を減衰させ、コロイダルダンパとして機能するシリンダ装置の設計方法であって、
前記多孔質体の細孔に作動液が流入し始めるまでの当該シリンダ装置のストローク量に対する前記チャンバの内圧の変化勾配である初期圧縮時ばね定数を設定する初期圧縮時ばね定数設定プロセスと、
前記作動液を選定するとともに前記ピストンの受圧面積を設定し、その選定された作動液の体積弾性率,設定された前記ピストンの受圧面積,および前記設定された初期圧縮時ばね定数に基づき、前記初期圧縮時ばね定数が前記作動液の体積弾性率と前記ピストンの受圧面積の2乗との積を前記作動液の量で除した値に等しいことを根拠に、前記作動液の量を決定する作動液量決定プロセスと
を含むシリンダ装置設計方法。 - (A)相対動作する2つの物の一方に連結されるハウジングと、(B)前記2つの物の他方に連結されて前記ハウジング内を摺動可能なピストンと、(C)前記ハウジングと前記ピストンとによって区画形成されたチャンバの内部に収容された多数の細孔を有する多孔質体および作動液とを備え、(i)前記2つの物のうちの上方側に位置する物を、前記多孔質体の細孔に前記作動液が流入した状態によって生じる前記チャンバの内圧に依存して支持するとともに、(ii)前記2つの物の相対動作に応じて前記多孔質体の細孔へ流入している前記作動液の量が変化することによって、それら2つの物の相対動作を減衰させ、コロイダルダンパとして機能するシリンダ装置の設計方法であって、
前記多孔質体の細孔に作動液が流入し始めるまでの当該シリンダ装置のストローク量に対する前記チャンバの内圧の変化勾配である初期圧縮時ばね定数を設定する初期圧縮時ばね定数設定プロセスと、
前記ピストンの受圧面積,前記作動液の量を設定し、その設定された前記ピストンの受圧面積,前記作動液の量,および前記設定された初期圧縮時ばね定数に基づき、前記初期圧縮時ばね定数が前記作動液の体積弾性率と前記ピストンの受圧面積の2乗との積を前記作動液の量で除した値に等しいことを根拠に算出される体積弾性率を、設計体積弾性率として決定する体積弾性率決定プロセスと、
体積弾性率が前記作動液の体積弾性率と異なる物質をチャンバ内に収容して、前記チャンバに加わる力に対する前記チャンバの容積変化の逆数である前記チャンバの体積弾性率を前記設計体積弾性率に調整すべく、そのチャンバ内に収容する物質を決定する体積弾性率調整物質決定プロセスと
を含むシリンダ装置設計方法。 - 前記初期圧縮時ばね定数設定プロセスにおいて、
前記初期圧縮時ばね定数を、水の体積弾性率に依拠して定まるばね定数より小さい値に設定する請求項1または請求項2に記載のシリンダ装置設計方法。
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