a.第1実施形態
以下、本発明の第1実施形態について図面を用いて説明する。図1は、第1実施形態に係るレーザ加工装置のシステム構成図である。このレーザ加工装置は、細い円筒パイプ状の加工対象物OBの表面に加工用レーザ光を螺旋状に照射してレーザ加工を行うものである。レーザ加工装置は、加工対象物OBを保持して加工対象物OBの中心軸周りに回転させるとともに加工対象物OBをその中心軸方向に移動させるワーク駆動装置50と、加工対象物OBの表面に加工用レーザ光を照射する加工用ヘッド10(図2参照)と、加工対象物OBの表面にサーボ用Z軸方向レーザ光を照射するサーボ用Z軸方向光ヘッド20(図2参照)と、同じく加工対象物OBの表面にサーボ用Y軸方向レーザ光を照射するサーボ用Y軸方向光ヘッド30(図3参照)と、サーボ用Y軸方向光ヘッド30から照射されたサーボ用Y軸方向レーザ光を受光するY軸方向受光装置40(図3参照)と、各種の電気回路(後述する)と、レーザ加工装置全体の作動を制御するコントローラ90とを備えている。
ここで、レーザ加工装置における方向を定義する。図4に示すように、ワーク駆動装置50に固定された加工対象物OBの中心軸線方向をX軸方向と呼ぶ。また、X軸方向に対して垂直方向であって加工用ヘッド10から加工対象物OBに照射される加工用レーザ光の光軸の方向をZ軸方向と呼ぶ。また、X軸方向とZ軸方向との両方に対して垂直となる方向をY軸方向と呼ぶ。サーボ用Y軸方向光ヘッド30は、加工対象物OBに照射するサーボ用レーザ光の光軸がY軸方向となるように固定されている。したがって、サーボ用Y軸方向光ヘッド30とY軸方向受光装置40は、図1中において、紙面の前後に位置するものであるが、ここでは、両者が重ならないように左右に配置して記載している。
本実施形態における加工対象物OBは、例えば、人体の血管、気管などの管状の部分に挿入される細長いステントである。ステントは、ステンレス、タンタル、コバルト合金、ニッケル・チタン合金などの金属製の円筒パイプの側面に、図17に示すように複数の帯状の孔を設けて、網目状にしたものである。このステントの製作においては、側面にフォトレジスト層を形成した円筒パイプの表面に加工用レーザ光を照射することにより、フォトレジスト層に所望の模様からなる反応跡を形成する。そして、残ったフォトレジストをマスクとして使ってエッチングすることにより、前記ステントが形成される。したがって、本発明に係るレーザ加工装置は、前記反応跡を形成するために利用される。
このように非常に細い径のパイプ状の加工対象物OBに対してレーザ加工を行う場合には、従来から知られているように加工用レーザ光の反射光から非点収差法などによりフォーカスエラー信号を生成しても、加工用レーザ光の光軸が加工対象物OBの中心軸から外れてしまうと、適正なフォーカスエラー信号が得られない。そこで、本実施形態においては、加工対象物OBにサーボ用レーザ光をZ軸方向とY軸方向とに照射し、加工対象物OBが映し出される射影の位置に基づいて、加工用レーザ光によって形成される像の位置を制御する。
まず、ワーク駆動装置50から説明する。ワーク駆動装置50は、加工対象物OBの両端をチャッキングして回転可能に保持する移動ステージ51と、移動ステージ51に保持された加工対象物OBをその中心軸周りに回転させるスピンドルモータ52と、移動ステージ51をX軸方向に移動させるねじ送り機構53とを備えている。
ねじ送り機構53は、移動ステージ51に固定されたナット(図示略)に螺合するスクリューロッド54と、スクリューロッド54を回転させるフィードモータ55とを備えている。スクリューロッド54は、移動ステージ51に保持された加工対象物OBの中心軸(即ち、スピンドルモータ52の回転軸)と平行となるX軸方向に延びて設けられ、その一端側が、レーザ加工装置の本体フレーム(図示略)に固定されたフィードモータ55の出力軸に連結され、他端側が、レーザ加工装置本体フレームに固定された軸受部(図示略)に回転可能に軸支される。また、移動ステージ51は、図示しない案内ガイドにより、回転規制されており、X軸方向にのみ移動可能となっている。したがって、フィードモータ55を正転あるいは逆転駆動すると、フィードモータ55の回転運動が移動ステージ51の直線運動に変換され、加工対象物OBがX軸方向に前進あるいは後退できるようになっている。
スピンドルモータ52内には、エンコーダ52aが組み込まれている。エンコーダ52aは、スピンドルモータ52が所定の微小回転角度だけ回転する度に、その出力がハイレベルとローレベルとに交互に切り替わるパルス列信号と、基準回転位置を表す基準回転位置信号とを出力する。エンコーダ52aから出力されるパルス列信号は、スピンドルモータ制御回路56に入力される。スピンドルモータ制御回路56は、コントローラ90からの指示により作動開始し、エンコーダ52aから出力されるパルス列信号の単位時間当たりのパルス数からスピンドルモータ52の回転速度を計算し、計算した回転速度がコントローラ90によって設定された回転速度に等しくなるようにスピンドルモータ52の回転を制御する。
フィードモータ55内にも、エンコーダ55aが組み込まれている。このエンコーダ55aは、フィードモータ55が所定の微小回転角度だけ回転する度に、その出力がハイレベルとローレベルとに交互に切り替わるパルス列信号を出力する。エンコーダ55aから出力されるパルス列信号は、フィードモータ制御回路57と移動位置検出回路58に入力される。移動位置検出回路58は、コントローラ90からの指示により作動開始し、作動開始後、エンコーダ55aから出力されるパルス信号が入力されなくなると移動限界位置を意味する信号をフィードモータ制御回路57に出力し、カウント値を「0」として、以後、エンコーダ55aが出力するパルス信号のパルス数をカウントする。そして積算したカウント数から移動ステージ51の移動位置を計算してコントローラ90及びフィードモータ制御回路57に出力する。このカウント値が「0」となる移動限界位置が、移動ステージ51の移動位置を制御する原点位置となる。
フィードモータ制御回路57は、コントローラ90からの指示により作動開始し、コントローラ90から移動位置の設定値を入力すると、移動位置検出回路58から所定時間間隔で出力される移動位置を入力し、入力した移動位置がコントローラ90から入力した設定値になるまでフィードモータ55を駆動して移動ステージ51を移動させる。なお、作動開始直後において移動位置の設定値が入力されると、フィードモータ55を駆動して移動ステージ51を移動限界位置方向に移動させ、移動位置検出回路58から移動限界位置を表す信号を入力するとフィードモータ55への駆動信号の出力を停止する。その後、移動位置検出回路58から出力される移動位置がコントローラ90から入力した移動位置の設定値になるまでフィードモータ55を駆動して移動ステージ51を移動させる。
また、フィードモータ制御回路57には、移動ステージ51の移動速度の設定値(設定速度)がコントローラ90により入力される。そして、コントローラ90から移動開始の指示を入力すると、エンコーダ55aから出力されるパルス列信号の単位時間当たりのパルス数から移動ステージ51の移動速度を計算し、計算した移動速度が設定速度になるようにフィードモータ55を駆動制御する。
次に、加工用ヘッド10について図2を用いて説明する。加工用ヘッド10は、加工対象物OBの円筒表面に加工用レーザ光を照射する機能と、サーボ用Z軸方向光ヘッド20から照射されたサーボ用Z軸方向レーザ光を受光して加工対象物OBのY軸方向のずれに応じた信号を出力する機能を有する。加工用ヘッド10は、加工用レーザ光を出射するレーザ光源102と、レーザ光源102から出射される加工用レーザ光の光軸に沿って設けられるコリメートレンズ104、ビームスプリッタ106、ミラー108、デジタルマイクロミラーデバイス(以下、単にDMDという)110、フーリエ変換レンズ112、偏光ビームスプリッタ114、1/4波長板116、ダイクロイックミラー118、ミラー120及び対物レンズ122を備えている。
レーザ光源102は、加工用レーザ駆動回路160から供給される電流及び電圧により駆動されて加工用レーザ光を出射する。レーザ光源102から出射された加工用レーザ光は、コリメートレンズ104により平行光となってビームスプリッタ106に入射する。加工用レーザ光は、その大半(例えば、95%)がビームスプリッタ106で反射し、ミラー108に導かれる。ミラー108は、入射した平行光である加工用レーザ光を反射して、DMD110に導く。DMD110は、2次元空間光変調器として利用されるもので、空間光変調器データ供給回路162によってそれぞれオンオフ制御される多数の微小なマイクロミラーからなる。オン制御されたマイクロミラーは、ビームスプリッタ106からの加工用レーザ光をDMD110の盤面に対して垂直方向に反射して、フーリエ変換レンズ112を介して偏光ビームスプリッタ114に入射させる。オフ制御されたマイクロミラーは、ビームスプリッタ106からの加工用レーザ光を遮光板110a方向に反射する。これにより、DMD110は、詳しくは後述するように、空間光変調器データ供給回路162によって規定される微細模様(微細模様パターン)に対応した像を加工対象物OBの表面に形成する。また、DMD110の作動制御が開始される前であって、電力が供給された状態では全てのマイクロミラーはオン状態に制御されて、全てのマイクロミラーによる反射光が偏光ビームスプリッタ114に導かれる。なお、このDMD110は、特開昭62−21220号公報、2001−174721号公報などに詳しく説明されている周知の素子である。フーリエ変換レンズ112は、凸レンズで構成され、DMD110による加工用レーザ光を入射して、対物レンズ122の前側焦点位置でフーリエ変換された模様の像を形成する。なお、図2は、見易くするためにDMD110で反射した加工用レーザ光を平行光で記載しているが、実際は回折光であるため進行方向に広がる光である。そして、フーリエ変換レンズ112で集光した光及び対物レンズ122で集光した光は一点に集光するように記載しているが、実際はある範囲に集光して、集光した範囲に像を形成するようになっている。図2以外の図においても、この点は同様である。
空間光変調器データ供給回路162には、回転角度検出回路163が接続されている。回転角度検出回路163は、コントローラ90からの指示によって作動開始し、エンコーダ52aからのパルス信号及び基準回転位置信号を入力し、基準回転位置信号の到来ごとにカウント値をクリアするとともに、パルス信号の到来ごとにカウント値を更新して、加工対象物OBのX軸方向周りの回転角度を検出して空間光変調器データ供給回路162に出力する。空間光変調器データ供給回路162には、この回転角度に加えて、移動位置検出回路58によって検出された移動ステージ51(すなわち加工対象物OB)の移動位置も入力される。空間光変調器データ供給回路162は、前記回転角度と移動位置に対して加工対象物OBに形成される模様を表すデータを記憶しており、コントローラ90からの指示によって作動開始し、加工対象物OBの移動位置及び回転角度(すなわちX軸方向の移動位置及びX軸方向周りの回転角度)に応じて模様を表すデータをDMD110に出力してDMD110を制御する。これにより、加工対象物OBの回転角度と移動位置ごとに設定された模様でレーザ加工が行われ、加工対象物OB全体を複雑な模様でレーザ加工することができる。
偏光ビームスプリッタ114に導かれた加工用レーザ光は、偏光ビームスプリッタ114を通過して1/4波長板116に導かれて直線偏光から円偏光に変換される。円偏光に変換されたた加工用レーザ光は、ダイクロイックミラー118で反射されて、加工用レーザ光の進行方向を変更するミラー120に導かれる。ミラー120で反射した加工用レーザ光は、対物レンズ122に入射して、対物レンズ122により加工対象物OBの表面にDMD110による模様に対応した像を形成する。これらのミラー120及び対物レンズ122は、1つの筐体124に保持されていて、後述するY軸アクチュエータ126yによるサーボ制御の場合、対物レンズ122のY軸方向の移動に連動して、ミラー120も同じ量だけY軸方向に移動する。
これにより、対物レンズ122に入射する前の加工用レーザ光の光軸位置も対物レンズ122のY軸方向の移動量と同じ量だけ移動し、対物レンズ122に入射する前の加工用レーザ光の光軸と対物レンズ122の相対位置関係が常に同じに保たれる。このような対物レンズ122の移動に連動したミラー120の移動により、Y軸方向における対物レンズ122の位置と、対物レンズ122に入射する前の加工用レーザ光の光軸位置の相対関係が変化しないようにする理由は、加工対象物OBがY軸方向に移動しても、DMD110からの加工用レーザ光の対物レンズ122への入射状態を常に同じに保って、DMD110による模様に対応した像が加工対象物OBに常に適正に形成され、加工対象物OBが前記模様に応じて適正に加工されるようにするためである。言い換えれば、レンズ112及び対物レンズ122によってDMD110のパターン模様に対応した像が加工対象物OB上に形成されるが、加工対象物OBのY軸方向の移動量だけ対物レンズ122だけをY軸方向に移動させた場合には、DMD110からの加工用レーザ光の対物レンズ122へ入射する量が減少し、加工対象物OBに形成されるDMD110による模様に対応した像が薄くなる箇所や欠ける箇所が生じるという現象が起こるからである。
対物レンズ122には、対物レンズ122を加工用レーザ光の光軸方向すなわちZ軸方向に移動させるZ軸アクチュエータ126zが筐体124内にて設けられている。また、筐体124には、筐体124自身すなわちミラー120及び対物レンズ122を同時にY軸方向に移動させるY軸アクチュエータ126yが設けられている。したがって、Z軸アクチュエータ126zを作動させることにより加工用レーザ光によって形成される像の位置(後述するように、対物レンズ122の焦点位置と同じ)をZ軸方向(光軸方向)に移動でき、Y軸アクチュエータ126yを作動させることにより加工用レーザ光によって形成される像の位置をY軸方向に移動できるようになっている。尚、対物レンズ122は、アクチュエータ126z、126yが通電されていないときに、Z軸方向及びY軸方向の可動範囲の中心に位置する。以下、この位置を対物レンズ122の原点位置と呼ぶ。
ここで、DMD110による模様に対応した像を加工対象物OBの表面に形成するためのDMD110、フーリエ変換レンズ112及び対物レンズ122の配置について説明しておく。DMD110はフーリエ変換レンズ112の前側焦点位置(入射瞳面)に配置される。すなわち、DMD110からフーリエ変換レンズ112までの光路長はフーリエ変換レンズ112の焦点距離に等しい。加工対象物OBが本来の位置にある状態では、加工対象物OBはその表面が対物レンズ122の後側焦点位置に配置される。すなわち、対物レンズ122から加工対象物OBの表面までの光路長は対物レンズの焦点距離に等しい。また、フーリエ変換レンズ112から対物レンズ122までの光路長は、フーリエ変換レンズ112の焦点距離に対物レンズ122の焦点距離を加算した距離に等しい。このDMD110、フーリエ変換レンズ112及び対物レンズ122の配置により、DMD110によって形成された加工用レーザ光の模様(パターン模様)は、フーリエ変換レンズ112により、フーリエ変換レンズ112の後側焦点位置であり、対物レンズ122の前側焦点位置である位置(図示、ダイクロイックミラー118とミラー120の間の位置)にフーリエ変換された模様の像が形成される。そして、このフーリエ変換された模様の像は、対物レンズ122により逆フーリエ変換されて、対物レンズ122の焦点位置にDMD110による模様に対応した像を形成、すなわち加工対象物OBの表面にDMD110による模様に対応した像を形成する。ただし、対物レンズ122の焦点距離はフーリエ変換レンズ112の焦点距離よりも短い(対物レンズ122の倍率は、フーリエ変換レンズ112の倍率よりも大きい)ので、加工対象物OBの表面に形成される像はDMD110による模様に比べて縮小されている。
対物レンズ122で集光された加工用レーザ光は、加工対象物OBの表面に照射され反射する。加工対象物OBで反射した反射光は、対物レンズ122、ミラー120、ダイクロイックミラー118及び1/4波長板116を通過する。この場合、反射光は、1/4波長板116を2回通過したことになるため、レーザ光源から出射されたレーザ光とは偏光方向が90°相違したものとなる。したがって、1/4波長板116を通過した反射光は、偏光ビームスプリッタ114で反射する。偏光ビームスプリッタ114の反射方向には、集光レンズ130及びフォトディテクタ132が設けられている。このため、偏光ビームスプリッタ114で反射した反射光は、集光レンズ130によりフォトディテクタ132に集光する。
フォトディテクタ132は、受光面に集光された光の強度に応じた受光信号を出力する受光素子である。したがって、フォトディテクタ132は、加工用レーザ光が加工対象物OBで反射した反射光の強度に対応した受光信号を出力する。フォトディテクタ132の出力する受光信号は、増幅回路165により増幅され、A/D変換器166に供給される。A/D変換器166は、コントローラ90からの指令により作動し、増幅回路165から供給された受光信号をデジタル信号に変換してコントローラ90に出力する。コントローラ90は、この受光信号が表す反射光強度から、後述するZ軸方向とY軸方向のサーボ制御が適切に行われているかを判定する。
また、加工用ヘッド10は、レーザ光源102から出射された加工用レーザ光の一部(例えば、5%)をビームスプリッタ106を透過させ、その透過光を集光レンズ134によりフォトディテクタ136の受光面に集光させる構成を備えている。フォトディテクタ136は、フォトディテクタ132と同様に、その受光面に集光された光の強度に応じた受光信号を出力する受光素子である。したがって、フォトディテクタ136は、レーザ光源102が出射した加工用レーザ光の強度に対応した受光信号を出力する。この受光信号は、加工用レーザ駆動回路160に供給される。
加工用レーザ駆動回路160は、コントローラ90からの指令に基づいて、レーザ光源に対して加工用強度、すなわち加工対象物OBの表面を適切に加工できる一定強度のレーザ光を出射するための電流及び電圧を供給する回路である。本実施形態においては、加工用レーザ駆動回路160は、フォトディテクタ136が出力する受光信号をフィードバックして、受光信号の強度が予め設定した設定強度となるようにレーザ光源102に出力する電流あるいは電圧を調整する。これにより、加工対象物OBに照射される加工用レーザ光の強度が設定加工用強度に維持される。
加工用ヘッド10には、さらに、ダイクロイックミラー118の透過方向にリレーレンズ(結像レンズ)138とフォトディテクタ140が設けられている。このリレーレンズ138及びフォトディテクタ140は、サーボ用Z軸方向光ヘッド20から照射されたサーボ用Z軸方向レーザ光を検出するために設けられたものである。したがって、先に、サーボ用Z軸方向光ヘッド20について説明する。
サーボ用Z軸方向光ヘッド20は、図2に示すように、加工対象物OBを挟んで加工用ヘッド10と向き合うように、加工用ヘッド10と対になってレーザ加工装置の本体フレーム(図示略)に固定される。サーボ用Z軸方向光ヘッド20は、サーボ用レーザ光を出射するレーザ光源202と、レーザ光源202から出射されるサーボ用レーザ光の光軸に沿って設けられるコリメートレンズ204及びビームスプリッタ206と、ビームスプリッタ206の反射方向に設けられる集光レンズ208及びフォトディテクタ210とを備えている。
レーザ光源202は、サーボ用Z軸方向レーザ駆動回路240から供給される電流及び電圧により駆動されてサーボ用レーザ光を出射する。レーザ光源202から出射されたサーボ用レーザ光は、コリメートレンズ204により平行光となってビームスプリッタ206に入射する。サーボ用レーザ光は、その大半(例えば、95%)がビームスプリッタ206をそのまま透過してサーボ用Z軸方向光ヘッド20から出射する。このサーボ用Z軸方向光ヘッド20から出射したレーザ光が、サーボ用Z軸方向レーザ光である。サーボ用Z軸方向レーザ光は、加工対象物OBの直径よりも大きな直径の平行光となる。
サーボ用Z軸方向光ヘッド20は、サーボ用Z軸方向レーザ光の出射方向がZ軸方向となり、しかも、その光軸が、加工用ヘッド10の対物レンズ122が原点位置にある時に加工用ヘッド10から出射する加工用レーザ光の光軸と一致するように位置決めされている。この場合、サーボ用Z軸方向光ヘッド20と加工用ヘッド10は、サーボ用Z軸方向レーザ光及び加工用レーザ光の光軸がワーク駆動装置50の回転軸(スピンドルモータ52の回転軸)と直交するように、ワーク駆動装置50に対する相対位置関係が定められている。
サーボ用Z軸方向光ヘッド20から出射したサーボ用Z軸方向レーザ光は、加工対象物OBの直径よりも大きな直径の平行光であるため、加工対象物OBに遮られなかったレーザ光が加工用ヘッド10の対物レンズ122に入射する。この場合、対物レンズ122に入射したサーボ用Z軸方向レーザ光は、受光すると中央に加工対象物OBの棒状の影が形成されたものとなる。この加工対象物OBによってできた影を射影と呼び、射影とその周囲の光とを合わせて射影光と呼ぶ。
対物レンズ122に入射したサーボ用Z軸方向レーザ光は、ミラー120で反射されるとともに集光されてダイクロイックミラー118に入射する。ダイクロイックミラー118は、特定の波長の光を反射し、その他の波長の光を透過する光学素子であり、レーザ光源202から出射されるサーボ用レーザ光に対しては透過し、レーザ光源102から出射される加工用レーザ光に対しては反射するように、各レーザ光の波長が設定されている。したがって、サーボ用Z軸方向レーザ光は、ダイクロイックミラー118を透過する。ダイクロイックミラー118の透過方向には、リレーレンズ138(結像レンズ)及びフォトディテクタ140が設けられており、ダイクロイックミラー118を透過したサーボ用Z軸方向レーザ光がリレーレンズ138により平行光になりフォトディテクタ140の受光面に入射する。フォトディテクタ140の受光面には、加工対象物OBの影である棒状の射影が映し出される。
フォトディテクタ140は、図5に示すように、受光領域が左右に(Y軸方向)2分割された受光素子を備え、その受光領域A,Bに入射した光の強度に比例した検出信号を受光信号(a,b)として出力する。このフォトディテクタ140は、受光したサーボ用Z軸方向レーザ光(射影光L)における棒状の射影Sが受光領域A,Bの分割線DIVと平行になるように、かつ、Z軸方向から見て加工対象物OBの中心軸がワーク駆動装置50の回転軸と一致しているときに加工対象物OBの射影Sが受光領域の分割線DIVにより2等分される位置に配置される。
フォトディテクタ140から出力される受光信号(a,b)は、Y軸方向エラー信号生成回路171に入力される。Y軸方向エラー信号生成回路171は、受光信号(a,b)を増幅した後、この信号を使って光強度の差(a−b)を演算し、その演算結果をY軸方向エラー信号(a−b)としてY軸方向サーボ回路172に出力する。Y軸方向エラー信号(a−b)の大きさは、加工対象物OBの中心軸とワーク駆動装置50の回転軸とのY軸方向におけるずれ量を表すものである。
図6は、加工対象物OBの位置をY軸方向に変化させたときのY軸方向エラー信号(a−b)の波高値を表したものである。図示するように、Y軸方向エラー信号(a−b)は、S字状波形となる。したがって、S字状波形の山(c位置)から谷(a位置)までの範囲r(S字検出範囲rと呼ぶ)においては、加工対象物OBのY軸方向のずれ量とY軸方向エラー信号(a−b)の大きさとが一対一に対応する。このため、S字検出範囲r内において、Y軸方向エラー信号(a−b)に基づいて加工対象物OBのY軸方向のずれ量を検出することができる。
例えば、加工対象物OBの位置がY軸方向にずれていない場合、(b)に示すように、フォトディテクタ140に映し出される射影Sは、受光面の中央に位置するため、Y軸方向エラー信号(a−b)はゼロとなる。一方、加工対象物OBの位置がY軸方向における一方側(左側と呼ぶ)にずれている場合には、(a)に示すように、フォトディテクタ140に映し出される射影Sが受光面の左側に位置するため、Y軸方向エラー信号(a−b)は負の値をとる。また、加工対象物OBの位置がY軸方向における他方側(右側と呼ぶ)にずれている場合には、(c)に示すように、フォトディテクタ140に映し出される射影Sが受光面の右側に位置するため、Y軸方向エラー信号(a−b)は正の値をとる。
Y軸方向サーボ回路172は、コントローラ90からの指令により作動を開始し、Y軸方向エラー信号生成回路171から入力したY軸方向エラー信号(a−b)に基づいて、Y軸方向エラー信号(a−b)が常にゼロとなるようなY軸方向サーボ信号を生成してY軸方向ドライブ回路173に出力する。Y軸方向ドライブ回路173は、Y軸方向サーボ信号に基づいてY軸アクチュエータ126yを駆動する信号を出力して、ミラー120及び対物レンズ122を含む筐体124をY軸方向に移動させる。したがって、フォトディテクタ140に映し出される射影が受光面の中央に維持されるようにミラー120及び対物レンズ122のY軸方向の位置が制御されることとなる。ミラー120及び対物レンズ122のY軸方向の移動は、加工対象物OBに照射する加工用レーザ光の光軸をY軸方向に移動させることになる。このため、ミラー120及び対物レンズ122のY軸方向の位置制御により、加工用レーザ光の光軸が加工対象物OBの中心軸と交差するように維持される。
サーボ用Z軸方向光ヘッド20は、レーザ光源202から出射されたサーボ用レーザ光の一部(例えば、5%)をビームスプリッタ206で反射させ、その反射光を集光レンズ208によりフォトディテクタ210の受光面に集光させる構成を備えている。フォトディテクタ210は、受光面に集光された光の強度に応じた受光信号を出力する受光素子である。したがって、フォトディテクタ210は、レーザ光源202が出射したサーボ用レーザ光の強度に対応した受光信号を出力する。この受光信号は、サーボ用Z軸方向レーザ駆動回路240に供給される。
サーボ用Z軸方向レーザ駆動回路240は、コントローラ90からの指令に基づいて、レーザ光源202に対して、加工対象物OBの表面を変化させず、かつ、加工用ヘッド10のフォトディテクタ140で射影光を検出できる強度のサーボ用レーザ光を出射するための電流及び電圧を供給する回路である。本実施形態においては、サーボ用Z軸方向レーザ駆動回路240は、フォトディテクタ210が出力する受光信号をフィードバックして、受光信号の強度が予め設定した設定強度となるようにレーザ光源202に出力する電流あるいは電圧を制御する。これにより、サーボ用Z軸方向光ヘッド20から出射するサーボ用Z軸方向レーザ光の強度が一定の適正値に維持される。
次に、サーボ用Y軸方向光ヘッド30とY軸方向受光装置40とについて説明する。図3に示すように、サーボ用Y軸方向光ヘッド30とY軸方向受光装置40とは、互いに加工対象物OBをY軸方向に挟んで向かい合うようにレーザ加工装置の本体フレーム(図示略)に固定される。サーボ用Y軸方向光ヘッド30は、サーボ用レーザ光を出射するレーザ光源302と、レーザ光源302から出射されるサーボ用レーザ光の光軸に沿って設けられるコリメートレンズ304及びビームスプリッタ306と、ビームスプリッタ306の反射方向に設けられる集光レンズ308及びフォトディテクタ310とを備えている。
レーザ光源302は、サーボ用Y軸方向レーザ駆動回路340から供給される電流及び電圧により駆動されてサーボ用レーザ光を出射する。レーザ光源302から出射されたサーボ用レーザ光は、コリメートレンズ304により平行光となってビームスプリッタ306に入射する。サーボ用レーザ光は、その大半(例えば、95%)がビームスプリッタ306をそのまま透過してサーボ用Y軸方向光ヘッド30から出射する。このサーボ用Y軸方向光ヘッド30から出射したレーザ光がサーボ用Y軸方向レーザ光である。サーボ用Y軸方向レーザ光は、加工対象物OBの直径よりも大きな直径の平行光となる。
サーボ用Y軸方向光ヘッド30は、サーボ用Y軸方向レーザ光の出射方向がY軸方向となり、しかも、その光軸が、ワーク駆動装置50の回転軸と交差するように位置決めされている。サーボ用Y軸方向光ヘッド30と向かい合うY軸方向受光装置40には、サーボ用Y軸方向レーザ光を受光するフォトディテクタ402が設けられる。フォトディテクタ402は、その受光面の中心にサーボ用Y軸方向レーザ光の光軸が通るように位置決めされている。サーボ用Y軸方向光ヘッド30から出射したサーボ用Y軸方向レーザ光は、加工対象物OBの直径よりも大きな直径の平行光であるため、フォトディテクタ402の受光面には加工対象物OBの影である棒状の射影が映し出される。
フォトディテクタ402は、図7に示すように、受光領域が上下に(Z軸方向に)2分割された受光素子を備え、その受光領域C,Dに入射した光の強度に比例した検出信号を受光信号(c,d)として出力する。このフォトディテクタ402は、受光したサーボ用Y軸方向レーザ光(射影光L)における棒状の射影Sが受光領域C,Dの分割線DIVと平行になるように、かつ、Y軸方向から見て加工対象物OBの中心軸がワーク駆動装置50の回転軸と一致しているときに加工対象物OBの射影Sが受光領域の分割線DIVにより2等分される位置に配置される。
フォトディテクタ402から出力される受光信号(c,d)は、Z軸方向エラー信号生成回路175に入力される。Z軸方向エラー信号生成回路175は、受光信号(c,d)を増幅した後、この信号を使って光強度の差(c−d)を演算し、その演算結果をZ軸方向エラー信号(c−d)としてZ軸方向サーボ回路176に出力する。Z軸方向エラー信号(c−d)の大きさは、加工対象物OBの位置をZ軸方向に変化させると、上述したY軸方向エラー信号(a−b)の特性と同様にS字状に変化する(図6参照)。したがって、S字検出範囲rにおいては、加工対象物OBのZ軸方向のずれ量(加工対象物OBの中心軸とワーク駆動装置50の回転軸とのZ軸方向におけるずれ量)とZ軸方向エラー信号(c−d)の大きさとが一対一に対応する。このため、S字検出範囲r内において、Z軸方向エラー信号(c−d)に基づいて加工対象物OBのZ軸方向のずれ量を検出することができる。
Z軸方向サーボ回路176は、コントローラ90からの指令により作動を開始し、Z軸方向エラー信号生成回路175から入力したZ軸方向エラー信号(c−d)に基づいて、加工対象物OBのZ軸方向のずれ量を検出し、このずれ量分に相当する対物レンズ122のZ軸方向移動量を表すZ軸方向サーボ信号を生成してZ軸方向ドライブ回路177に出力する。Z軸方向ドライブ回路177は、Z軸方向サーボ信号に基づいてZ軸アクチュエータ126zを駆動する信号を出力して、対物レンズ122をZ軸方向に移動させる。したがって、加工対象物OBのZ軸方向のずれ量だけ、対物レンズ122が原点位置からZ軸方向に離れた位置に維持される。尚、フォトディテクタ402に映し出される射影の位置は、対物レンズ122のZ軸方向移動によっては変化しない。
加工用ヘッド10は、対物レンズ122が原点位置にあり、かつ加工対象物OBの中心軸がワーク駆動装置50の回転軸と一致している場合に、DMD110による模様に対応した像が加工対象物OBの表面に形成されるように位置決めされている。すなわち、対物レンズ122から加工対象物OBの表面までの距離が対物レンズ122の焦点距離に保たれるようになっている。このため、加工対象物OBの位置がZ軸方向に変動しても、その変動量だけ対物レンズ122を原点位置からZ軸方向に移動させることにより、常に、DMD110による模様に対応した像を加工対象物OBの表面に形成させることができる。つまり、加工用レーザ光により形成される像を、ワーク駆動装置50の回転軸よりも加工対象物OBの半径分だけ対物レンズ122側に維持させることができる。
サーボ用Y軸方向光ヘッド30は、レーザ光源302から出射されたサーボ用レーザ光の一部(例えば、5%)をビームスプリッタ306で反射させ、その反射光を集光レンズ308によりフォトディテクタ310の受光面に集光させる構成を備えている。フォトディテクタ310は、受光面に集光された光の強度に応じた受光信号を出力する受光素子である。したがって、フォトディテクタ310は、レーザ光源302が出射したサーボ用レーザ光の強度に対応した受光信号を出力する。この受光信号は、サーボ用Y軸方向レーザ駆動回路340に供給される。
サーボ用Y軸方向レーザ駆動回路340は、コントローラ90からの指令に基づいて、レーザ光源302に対して、加工対象物OBの表面を変化させず、かつY軸方向受光装置40のフォトディテクタ402で射影光を検出できる強度のサーボ用レーザ光を出射するための電流及び電圧を供給する回路である。本実施形態においては、サーボ用Y軸方向レーザ駆動回路340は、フォトディテクタ310が出力する受光信号をフィードバックして、受光信号の強度が予め設定した設定強度となるようにレーザ光源302に出力する電流あるいは電圧を制御する。これにより、サーボ用Y軸方向光ヘッド30から出射するサーボ用Y軸方向レーザ光の強度が一定の適正値に維持される。
コントローラ90は、CPU、ROM、RAMを備えたマイクロコンピュータと、ハードディスクや不揮発性メモリなどの記憶装置と、入出力インタフェース等から構成される電子制御装置である。コントローラ90には、作業者が各種パラメータや処理等を指示するための入力装置91と、作業者に対して作動状況等を視覚的に知らせるための表示装置92とが接続されている。
次に、レーザ加工を行う際の制御について説明する。図8は、コントローラ90が実行するレーザ加工制御ルーチンを表すフローチャートである。レーザ加工制御ルーチンは、コントローラ90のROM内に制御プログラムとして記憶されている。作業者は、加工対象物OBをワーク駆動装置50にセットした後、入力装置91を使ってレーザ加工の開始指示操作を行う。これにより、本制御ルーチンが起動する。
本制御ルーチンがステップS100にて起動すると、コントローラ90は、ステップS102において、各種回路の作動を開始させる。そして、ステップS104において、フィードモータ制御回路57に対して加工開始位置への移動指令を出力する。この指令により、フィードモータ制御回路57は、移動位置検出回路58により検出される移動位置を取り込みながらフィードモータ55を駆動して移動ステージ51を加工開始位置にまで移動させる。次に、コントローラ90は、ステップS106において、スピンドルモータ制御回路56に対して回転開始指令を出力する。これにより、スピンドルモータ52が起動して加工対象物OBの回転が始まる。このとき、スピンドルモータ制御回路56は、エンコーダ52aにより検出されるパルス列信号の単位時間当たりのパルス数からスピンドルモータ52の回転速度を計算し、計算した回転速度がコントローラ90によって設定された回転速度に等しくなるようにスピンドルモータ52の回転を制御する。
次に、コントローラ90は、ステップS108において、サーボ用Z軸方向レーザ駆動回路240とサーボ用Y軸方向レーザ駆動回路340とに対して、サーボ用レーザ光の照射開始指令を出力する。したがって、サーボ用Z軸方向光ヘッド20からサーボ用Z軸方向レーザ光が加工対象物OBに対してZ軸方向に照射され、サーボ用Y軸方向光ヘッド30からサーボ用Y軸方向レーザ光が加工対象物OBに対してY軸方向に照射される。
次に、コントローラ90は、ステップS110において、Y軸方向サーボ回路172とZ軸方向サーボ回路176とに対して、サーボ制御の開始指令を出力する。これにより、Y軸方向サーボ回路172は、Y軸方向エラー信号生成回路171からY軸方向エラー信号(a−b)を入力し、このY軸方向エラー信号(a−b)に基づいて、Y軸方向エラー信号(a−b)が常にゼロとなるようなY軸方向サーボ信号を生成してY軸方向ドライブ回路173に出力する。Y軸方向ドライブ回路173は、Y軸方向サーボ信号に基づいてY軸アクチュエータ126yを駆動する信号を出力して、ミラー120及び対物レンズ122を含む筐体124をY軸方向に移動させる。したがって、フォトディテクタ140に映し出される射影が受光面の中央に維持されるように対物レンズ122のY軸方向位置が制御され、加工用レーザ光の光軸が加工対象物OBの中心軸と交差するように維持される。
Z軸方向サーボ回路176は、Z軸方向エラー信号生成回路175からZ軸方向エラー信号(c−d)を入力し、このZ軸方向エラー信号(c−d)に基づいて、加工対象物OBのZ軸方向のずれ量を検出し、このずれ量分の対物レンズ122のZ軸方向移動量を表すZ軸方向サーボ信号を生成してZ軸方向ドライブ回路177に出力する。Z軸方向ドライブ回路177は、Z軸方向サーボ信号に基づいてZ軸アクチュエータ126zを駆動する信号を出力して、対物レンズ122をZ軸方向に移動させる。したがって、加工対象物OBのZ軸方向のずれ量だけ、対物レンズ122が原点位置からZ軸方向に離れた位置に制御され、DMD110による模様に対応した像が加工対象物OBの表面に常に形成されるようになる。
次に、コントローラ90は、ステップS112において、加工用レーザ駆動回路160に対して、加工用レーザ光の照射開始指令を出力する。この場合、コントローラ90は、加工用レーザ光の強度を、加工対象物OBが変化しない低レベルに設定した照射開始指令を出力する。これにより、加工用レーザ駆動回路160は、レーザ光源102に供給する電圧及び電流の強度を低いレベルに設定してレーザ光源102を駆動させる。したがって、加工用ヘッド10からは、非加工強度のレーザ光が加工対象物OBに向けて出射されることになる。加工対象物OBは、この非加工強度のレーザ光に対してはレーザ加工されない。
次に、コントローラ90は、ステップS114において、加工用ヘッド10に設けられたフォトディテクタ132の出力する受光信号を増幅回路165及びA/D変換器166を介して取り込んで加工用レーザ光の反射光強度Rを検出する。次に、ステップS116において、反射光強度Rが下限値Rrefを上回っているか否かを判定する。なお、この状態では、DMD110の全てのマイクロミラーは、オン制御状態にあって、入射したレーザ光を偏光ビームスプリッタ114に導く。これにより、レーザ光源102からの充分な光量のレーザ光が加工対象物OBに照射されて、その反射光がフォトディテクタ132に入射する。反射光強度Rが下限値Rrefを上回っていれば、上述したZ軸方向サーボ制御及びY軸方向サーボ制御が正常に行われていると判定して、その処理をステップS118に進める。一方、反射光強度Rが下限値Rref以下であれば、Z軸方向サーボ制御又はY軸方向サーボ制御が正常に行われていないと判定して、ステップS138において、表示装置92にその旨を表示し、その処理をステップS130に進める。
コントローラ90は、ステップS116において「Yes」、すなわちZ軸方向サーボ制御及びY軸方向サーボ制御が正常に行われていると判定した場合には、ステップS118において、加工用レーザ駆動回路160に対して、レーザ光源102から出射されているレーザ光の強度を非加工強度から加工強度に変更する指令を出力する。これにより、加工用レーザ駆動回路160は、レーザ光源102に供給する電圧及び電流の強度を加工用レベルに切り換えてレーザ光源102を作動させる。また、このステップS118においては、コントローラ90は、空間光変調器データ供給回路162及び回転角度検出回路163にも作動開始を指示する。したがって、空間光変調器データ供給回路162は、移動位置検出回路58によって検出された加工対象物OBのX軸方向の移動位置及び回転角度検出回路163によって検出された加工対象物OBのX軸周りの回転角度に応じて、加工対象物OBに形成される模様に対応した制御データをDMD110に出力してDMD110を制御する。したがって、レーザ光源102は一定強度の加工用レーザ光を出射し始め、レーザ光源102から出射される加工用レーザ光は、コリメートレンズ104及びビームスプリッタ106を介してDMD110に入射する。
DMD110は、空間光変調器データ供給回路162によって制御され、レーザ光源102からの加工レーザ光を加工対象物OBに付されるべき模様に対応したパターンの加工用レーザ光を、フーリエ変換レンズ112、偏光ビームスプリッタ114、1/4波長板116、ダイクロイックミラー118及びミラー120を介して対物レンズ122に入射させる。対物レンズ122は、前記模様に対応した像を加工対象物OBの表面に形成、すなわち加工用レーザ光を加工対象物OBの表面に照射し始める。
そして、コントローラ90は、ステップS120において、フィードモータ制御回路57に対して移動ステージ51のX軸方向への移動開始指令を出力する。フィードモータ制御回路57は、エンコーダ55aから出力されるパルス列信号の単位時間当たりのパルス数から移動ステージ51の移動速度を計算し、計算した移動速度が設定速度になるようにフィードモータ55を駆動制御する。
これにより、加工対象物OBは、その中心軸周りに回転するとともにX軸方向に移動し、その表面に加工用レーザ光が照射される。したがって、加工対象物OBには、前記加工用レーザ光が照射され、その照射軌跡に沿って模様が形成される。また、同時に、加工用レーザ光の光軸が加工対象物OBの中心軸と交差し、かつDMD11による模様に対応した像が加工対象物OBの表面に形成されるように、対物レンズ122のZ軸方向とY軸方向の位置が制御される。したがって、加工対象物OBの表面には、適正に集光された加工用レーザ光が垂直に照射され、加工模様が形成される。
次に、コントローラ90は、ステップS122において、移動位置検出回路58により検出される移動ステージ51の移動位置を取り込み、ステップS124において、現時点の移動位置が加工終了位置に到達したか否かを判定する。ステップS122、S124の処理は、移動ステージ51の移動位置が加工終了位置に到達するまで繰り返される。したがって、この間は、上述したように、加工対象物OBのレーザ加工及びサーボ制御が継続される。
移動ステージ51の移動位置が加工終了位置に達すると、コントローラ90は、ステップS124にて「Yes」と判定して、ステップS126にて加工用レーザ駆動回路160に対して加工用レーザ光の照射停止指令を出力する。これにより、加工用レーザ光の照射が停止される。このステップS126においては、コントローラ90は空間光変調器データ供給回路162及び回転角度検出回路163の作動も停止させる。次に、ステップS128において、フィードモータ制御回路57に対して移動ステージ51の移動停止指令を出力する。これによりフィードモータ55への通電が停止され移動ステージ51が停止する。そして、コントローラ90は、ステップS130において、Y軸方向サーボ回路172とZ軸方向サーボ回路176とに対して、サーボ制御の停止指令を出力する。これにより、Y軸アクチュエータ126y及びZ軸アクチュエータ126zの作動が停止する。次に、ステップS132において、サーボ用Z軸方向レーザ駆動回路240とサーボ用Y軸方向レーザ駆動回路340とに対して、サーボ用レーザ光の照射停止指令を出力する。これにより、サーボ用Z軸方向光ヘッド20からのサーボ用Z軸方向レーザ光の照射、及びサーボ用Y軸方向光ヘッド30からのサーボ用Y軸方向レーザ光の照射が停止される。
次に、コントローラ90は、ステップS134において、スピンドルモータ制御回路56に対して回転停止指令を出力する。これにより、スピンドルモータ52への通電が停止され、加工対象物OBの回転が停止する。そして、ステップS136において、フィードモータ制御回路57に対して加工対象物OBの取り外し位置への移動指令を出力する。これによりフィードモータ制御回路57は、移動位置検出回路58により検出される移動位置を取り込みながらフィードモータ55を駆動して移動ステージ51を加工対象物OBの取り外し位置にまで移動させる。作業者は、この位置で加工対象物OBをワーク駆動装置50から取り外す。こうして、移動ステージ51が所定の取り外し位置にまで移動すると、ステップS140により本レーザ加工制御ルーチンが終了する。
以上説明した第1実施形態のレーザ加工装置によれば、加工対象物OBに対して、サーボ用Z軸方向レーザ光とサーボ用Y軸方向レーザ光とを加工対象物OBに照射し、その射影の位置に基づいて、加工用レーザ光の光軸の位置が加工対象物OBの中心軸と交差し、かつDMD110による模様に対応した像が加工対象物OBの表面に形成されるように、対物レンズ122のZ軸方向とY軸方向の位置が制御される。したがって、本実施形態のように非常に細いパイプ状の加工対象物OBの表面を複雑な模様にレーザ加工する場合でも、適正に集光した加工用レーザ光を加工対象物OBの表面に垂直に照射することができ、これにより、複雑な模様の加工跡を加工対象物OBに高精度で施すことができる。
また、本実施形態においては、加工用レーザ光とサーボ用Z軸方向レーザ光とを同一の光軸上で照射し、フォトディテクタ140の受光信号から得られたY軸方向エラー信号(a−b)をフィードバックして、Y軸方向エラー信号(a−b)が常にゼロとなるようにクローズドループ制御によりY軸アクチュエータ126yを駆動するため、特にY軸方向サーボ制御を高精度に行うことができる。
また、加工用レーザ光の反射光強度Rと下限値Rrefとの比較に基づいて、Z軸方向サーボ制御とY軸方向サーボ制御の異常発生の有無を判定し、異常が検出されたときには、DMD110による模様に対応した像が加工対象物OBの表面に適正に形成されていないと判断してレーザ加工を中止する。これにより、レーザ加工の失敗を防止することができる。
また、サーボ用Z軸方向レーザ光及びサーボ用Y軸方向レーザ光を出射するにあたり、フォトディテクタ210,310で検出した光の強度が設定強度となるようにレーザ光源202,302の出力を制御するため、Z軸方向及びY軸方向のサーボ制御を精度良く行うことができる。
b.第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態に係るレーザ加工装置について説明する。図9は、第2実施形態のレーザ加工装置における加工用ヘッド12の概略構成を表す。第2実施形態のレーザ加工装置は、第1実施形態のレーザ加工装置の加工用ヘッド10とサーボ用Z軸方向光ヘッド20に代えて、加工用ヘッド12を設けたもので、他の構成については第1実施形態と同一である。この加工用ヘッド12は、加工用レーザ光を照射/受光する構成に加えて、サーボ用Z軸レーザ光を照射/受光する構成を備えている。以下、第1実施形態と同様な構成については、図面に第1実施形態と同一の符号を付して簡単な説明に留める。
加工用ヘッド12は、第1実施形態の加工用ヘッド10と同様に、加工用レーザ光を加工対象物OBに照射する構成としてレーザ光源102、コリメートレンズ104、ビームスプリッタ106、ミラー108、DMD110、遮光板110a、フーリエ変換レンズ112、偏光ビームスプリッタ114、1/4波長板116、ダイクロイックミラー118、ミラー120及び対物レンズ122を備え、加工用レーザ光の反射光強度を検出する構成として集光レンズ130及びフォトディテクタ132を備え、レーザ光源102から出射する加工用レーザ光の強度を検出する構成として集光レンズ134及びフォトディテクタ136を備え、対物レンズ122をZ軸方向に駆動する構成としてZ軸アクチュエータ126zと、ミラー120及び対物レンズ122を含む筐体124をY軸方向に駆動する構成としてY軸アクチュエータ126yとを備える。
さらに、加工用ヘッド12は、サーボ用レーザ光を照射するレーザ光源144と、レーザ光源144から出射されるサーボ用レーザ光の光軸に沿って設けられるコリメートレンズ146、偏光ビームスプリッタ148及び1/4波長板150を備えている。レーザ光源144は、サーボ用Z軸方向レーザ駆動回路240から供給される電流及び電圧により駆動されてサーボ用レーザ光を出射する。レーザ光源144から出射されたサーボ用レーザ光は、コリメートレンズ146により平行光となって偏光ビームスプリッタ148に入射する。サーボ用レーザ光は、その大半(例えば、95%)が偏光ビームスプリッタ148をそのまま透過して1/4波長板150を通過して直線偏光から円偏光に変換される。1/4波長板150を通過したサーボ用レーザ光は、加工用レーザ光の光路途中に設けられるダイクロイックミラー118に入射し、そこを透過する。したがって、サーボ用レーザ光と加工用レーザ光とが合成されてミラー120を介して対物レンズ122に入射する。この場合、ダイクロイックミラー118を透過したサーボ用レーザ光の光軸と、ダイクロイックミラー118で反射した加工用レーザ光の光軸とが一致するように、サーボ用レーザ光と加工用レーザ光の光路が設定されている。
サーボ用レーザ光は、対物レンズ122により加工対象物OBの直径よりも小さな径に集光されて加工対象物OBの表面にスポット状に照射される。この加工対象物OBの照射されるサーボ用レーザ光がサーボ用Z軸方向レーザ光である。サーボ用Z軸方向レーザ光は、加工対象物OBの表面で反射して対物レンズ122に入射し平行光に戻される。この場合、加工用レーザ光は、ミラー120で反射するとともにダイクロイックミラー118でも反射するが、サーボ用Z軸方向レーザ光は、ミラー120で反射してダイクロイックミラー118を透過する。したがって、ダイクロイックミラー118で加工用レーザ光とサーボ用Z軸方向レーザ光とが分離されることになる。
ダイクロイックミラー118を透過したサーボ用Z軸方向レーザ光は、1/4波長板150を通過する。この場合、サーボ用Z軸方向レーザ光(反射光)は、1/4波長板を2回通過したことになるため、レーザ光源144から出射されたレーザ光とは偏光方向が90°相違したものとなる。したがって、サーボ用Z軸方向レーザ光は、偏光ビームスプリッタ148で反射する。
偏光ビームスプリッタ148の反射方向には、フォトディテクタ152が設けられている。したがって、加工対象物OBの表面を反射したサーボ用Z軸方向レーザ光は、フォトディテクタ152に入射する。このフォトディテクタ152は、第1実施形態のフォトディテクタ140と同様に、受光領域が左右に(Y軸方向)2分割された2つの受光素子を備え、その受光領域A,Bに入射した光の強度に比例した検出信号を受光信号(a,b)として出力する。また、フォトディテクタ152は、対物レンズ122が原点位置にあり、かつZ軸方向から見て加工対象物OBの中心軸がワーク駆動装置50の回転軸と一致しているときに、図10(b)に示すように、サーボ用Z軸方向レーザ光が受光領域の分割線DIVにより2等分される位置に配置される。
フォトディテクタ152から出力される受光信号(a,b)は、第1実施形態と同様にY軸方向エラー信号生成回路171に入力される。Y軸方向エラー信号生成回路171は、受光信号(a,b)を増幅した後、この信号を使って光強度の差(a−b)演算し、その演算結果をY軸方向エラー信号(a−b)としてY軸方向サーボ回路172に出力する。加工対象物OBの位置がY軸方向に変動すると、図10(a),(b),(c)に示すように、その変動位置に応じて加工対象物OBに照射されるサーボ用Z軸方向レーザ光の位置が変化し、これに伴って、フォトディテクタ152に受光される反射光RLの位置が変化する。このため、Y軸方向エラー信号(a−b)の大きさは、加工対象物OBの中心軸とワーク駆動装置50の回転軸とのY軸方向におけるずれ量を表すものとなる。
Y軸方向サーボ回路172及びY軸方向ドライブ回路173の動作についても第1実施形態と同様である。つまり、Y軸方向サーボ回路172が、Y軸方向エラー信号生成回路171から入力したY軸方向エラー信号(a−b)に基づいて、Y軸方向エラー信号(a−b)が常にゼロとなるようなY軸方向サーボ信号を生成し、Y軸方向ドライブ回路173が、Y軸方向サーボ信号に基づいてY軸アクチュエータ126yに駆動信号を出力して、ミラー120及び対物レンズ122をY軸方向に移動させる。したがって、フォトディテクタ152に受光されたサーボ用Z軸方向レーザ光の反射光が、受光面の中央に維持されるようにミラー120及び対物レンズ122のY軸方向位置が制御されることとなる。このため、加工用レーザ光の光軸が加工対象物OBの中心軸と交差するように維持される。
加工用ヘッド12は、さらに、レーザ光源144から出射されたサーボ用レーザ光の一部(例えば、5%)を偏光ビームスプリッタ148で反射させ、その反射光を集光レンズ154によりフォトディテクタ156の受光面に集光させる構成を備えている。フォトディテクタ156は、第1実施形態のフォトディテクタ210と同様に、レーザ光源144が出射したサーボ用レーザ光の強度に対応した受光信号を出力する。この受光信号は、サーボ用Z軸方向レーザ駆動回路240に供給される。サーボ用Z軸方向レーザ駆動回路240は、フォトディテクタ156が出力する受光信号をフィードバックして、受光信号の強度が予め設定した強度となるようにレーザ光源144の出力を調整する。これにより、加工用ヘッド12から加工対象物OBに向けて出射するサーボ用Z軸方向レーザ光の強度が一定の適正値に維持される。
また、第2実施形態のレーザ加工装置は、第1実施形態と同様のレーザ加工制御ルーチンを実行する。
以上説明した第2実施形態のレーザ加工装置においては、加工用ヘッド12によりサーボ用Z軸方向レーザ光を集光して加工対象物OBに照射し、その反射光の位置に基づいて加工用レーザ光の光軸の位置が加工対象物OBの中心軸と交差するようにミラー120及び対物レンズ122のY軸方向の位置を制御するとともに、サーボ用Y軸方向光ヘッド30により加工対象物OBの直径より大きな直径のサーボ用レーザ光(平行光)を加工対象物OBに照射して、その射影光をY軸方向受光装置40にて受光し、射影の位置に基づいてDMD110による模様に対応した像が加工対象物OBの表面に形成されるように対物レンズ122のZ軸方向の位置を制御する。すなわち、対物レンズ122と加工対象物OBの表面とのZ軸方向の相対的な位置関係が、対物レンズ122の焦点距離だけ隔てて常に一定に保たれる。したがって、第1実施形態と同様な効果を奏する。また、サーボ用Z軸方向レーザ光の反射光の検出位置は、加工対象物OBのY軸方向の変位に対して大きく変動するため、Y軸方向サーボ制御を高精度に行うことができる。
c.第3実施形態
次に、本発明の第3実施形態に係るレーザ加工装置について説明する。この第3実施形態のレーザ加工装置は、Z軸方向のサーボ制御をクローズドループ制御で実施できるようにしたもので、第1実施形態のレーザ加工装置とは、Y軸方向受光装置及びZ軸方向のサーボ系回路が相違し、他の構成については第1実施形態と同一である。
図11に示すように、第3実施形態のレーザ加工装置におけるY軸方向受光装置43は、第1実施形態におけるY軸方向受光装置40のフォトディテクタ402の入射部に第1リレーレンズ404及び第2リレーレンズ406を設け、さらに第1リレーレンズ404をZ軸方向に駆動するリレーレンズアクチュエータ408を設けたものである。第1リレーレンズ404は、サーボ用Y軸方向光ヘッド30から出射したサーボ用Y軸方向レーザ光(加工対象物OBの射影光)を集光し、第2リレーレンズ406は、第1リレーレンズ404で集光したサーボ用Y軸方向レーザ光を平行光に戻す。フォトディテクタ402は、第2リレーレンズ406を通過したサーボ用Y軸方向レーザ光を受光する。第1リレーレンズ404は、その位置がリレーレンズアクチュエータ408によりZ軸方向に移動可能となっている。第1リレーレンズ404は、リレーレンズアクチュエータ408が通電されていないときに、Z軸方向の可動範囲の中心に位置する(この位置を原点位置と呼ぶ)。フォトディテクタ402は、第1リレーレンズ404が原点位置にあるとき、サーボ用Y軸方向レーザ光の光軸が受光面の中心を通るように位置決めされている。
フォトディテクタ402の受光面には、加工対象物OBの棒状の射影が映し出されるが、リレーレンズアクチュエータ408により第1リレーレンズ404がZ軸方向に駆動された場合には、その移動に伴って射影の位置もZ軸方向に移動する。
フォトディテクタ402は、上述したように、受光領域が上下に(Z軸方向)2分割された受光素子を備え、その受光領域C,Dに入射した光の強度に比例した検出信号を受光信号(c,d)として出力する。また、フォトディテクタ402は、受光したサーボ用Y軸方向レーザ光における棒状の射影が受光領域の分割線DIVと平行になるように、かつ第1リレーレンズ404が原点位置にありY軸方向から見て加工対象物OBの中心軸がワーク駆動装置50の回転軸と一致しているときに加工対象物OBの射影が受光領域の分割線DIVにより2等分される位置に配置される。
第3実施形態のレーザ加工装置は、第1実施形態のZ軸方向サーボ回路176及びZ軸方向ドライブ回路177に代えて、Z軸方向サーボ回路182及びZ軸方向ドライブ回路183を備えている。尚、Z軸方向エラー信号生成回路175については、第1実施形態と同一である。フォトディテクタ402から出力される受光信号(c,d)は、Z軸方向エラー信号生成回路175に入力される。Z軸方向エラー信号生成回路175は、受光信号(c,d)を増幅した後、この信号を使って光強度の差(c−d)を演算し、その演算結果をZ軸方向エラー信号(c−d)としてZ軸方向サーボ回路182に出力する。Z軸方向サーボ回路182は、Z軸方向エラー信号(c−d)を入力し、Z軸方向エラー信号(c−d)が常にゼロとなるようなZ軸方向サーボ信号を生成してZ軸方向ドライブ回路183に出力する。Z軸方向ドライブ回路183は、Z軸方向サーボ信号に基づいてリレーレンズアクチュエータ408を駆動する信号を出力して第1リレーレンズ404をZ軸方向に移動させるとともに、加工用ヘッド10のZ軸アクチュエータ126zを駆動する信号を出力して対物レンズ122をZ軸方向に移動させる。この場合、第1リレーレンズ404の移動量と対物レンズ122の移動量とが同一となるように、それぞれの駆動信号は設定されている。したがって、対物レンズ122と第1リレーレンズ404とは、Z軸方向における相対位置がほとんど変化しない。
第1実施形態においては、対物レンズ122のみをZ軸方向に移動させる構成であったため、フォトディテクタ402に映し出される加工対象物OBの射影は移動しないが、第3実施形態においては、第1リレーレンズ404もZ軸方向サーボ信号によりZ軸方向に移動するため、フォトディテクタ402に映し出される加工対象物OBの射影がZ軸方向に移動する。したがって、この第3実施形態におけるZ軸方向サーボ制御では、フォトディテクタ402に映し出される加工対象物OBの射影が、常に、受光面の中央、すなわち受光領域の分割線DIVにより2等分される位置となるように第1リレーレンズ404がZ軸方向に駆動され、これに合わせて対物レンズ122がZ軸方向に駆動されることになる。したがって、Y軸方向サーボ制御だけでなくZ軸方向サーボ制御においてもクローズドループ制御を行うため、Z軸方向サーボ制御も高精度となる。また、加工対象物OBがZ軸方向に大きく変動しても、それに合わせてリレーレンズアクチュエータ408が、フォトディテクタ402に映し出される射影の位置が受光面の中央側にくるように第1リレーレンズ404を移動させるため、加工対象物OBのZ軸方向の検出エリアが広くなる。
また、第3実施形態のレーザ加工装置は、第1実施形態と同様のレーザ加工制御ルーチンを実行する。この場合、ステップS110においては、Y軸方向エラー信号(a−b)が常にゼロとなるようなY軸方向サーボ信号に基づいてY軸アクチュエータ126yを駆動するとともに、Z軸方向エラー信号(c−d)が常にゼロとなるようなZ軸方向サーボ信号に基づいてリレーレンズアクチュエータ408を駆動し、それと等しい駆動量でZ軸アクチュエータ126zを駆動する。
以上説明した第3実施形態のレーザ加工装置によれば、第1実施形態の効果に加えて、加工対象物OBのZ軸方向のずれ検出範囲が広くなるため、Z軸方向のサーボ制御可能範囲を広くすることができる。また、クローズドループ制御を行うためZ軸方向サーボ制御も高精度に行うことができる。
d.第4実施形態
次に、本発明の第4実施形態に係るレーザ加工装置について説明する。第3実施形態においては、1つのサーボ用Y軸方向レーザ光を加工対象物OBに照射し、その加工対象物OBの射影の位置に基づいて、Z軸方向サーボ制御を行ったが、この第4実施形態においては、さらに別のサーボ用Y軸方向レーザ光を加工対象物OBに照射してその反射光の位置を検出することにより、射影と反射光との両方の位置に基づいてZ軸方向サーボ制御を行うものである。第4実施形態のレーザ加工装置は、図12に示すように、第3実施形態のレーザ加工装置におけるY軸方向受光装置43に代えて、第2サーボ用Y軸方向光ヘッド44を備えている。
尚、第4実施形態のレーザ加工装置は、以下に説明する構成以外については第3実施形態のレーザ加工装置と同一であるが、サーボ用Y軸方向光ヘッド30と第2サーボ用Y軸方向光ヘッド44と区別するために、このサーボ用Y軸方向光ヘッド30を第1サーボ用Y軸方向光ヘッド30と呼ぶ。また、第1サーボ用Y軸方向光ヘッド30から出射されるサーボ用レーザ光を第1サーボ用Y軸方向レーザ光と呼び、レーザ光源302を第1レーザ光源302と呼び、第1レーザ光源302を駆動するサーボ用Y軸方向レーザ駆動回路340を第1サーボ用Y軸方向レーザ駆動回路340と呼ぶ。
まず、第2サーボ用Y軸方向光ヘッド44における、第1サーボ用Y軸方向レーザ光の加工対象物OBの射影を検出する構成から説明する。図12に示すように、第2サーボ用Y軸方向光ヘッド44は、第3実施形態のY軸方向受光装置43と同様に、第1リレーレンズ404、第2リレーレンズ406、フォトディテクタ402及びリレーレンズアクチュエータ408を備えるが、さらに、第1リレーレンズ404と第2リレーレンズ406と間にダイクロイックミラー418を介装している。第1サーボ用Y軸方向レーザ光は、その波長がダイクロイックミラー418で反射するように設定されている。したがって、第1サーボ用Y軸方向レーザ光の進む光路は、ダイクロイックミラー418で90度曲がった構成となっている。
第1リレーレンズ404に入射する第1サーボ用Y軸方向レーザ光は、加工対象物OBの射影光となる。射影光は、第1リレーレンズ404を通過して集光されダイクロイックミラー418で反射する。そして、第2リレーレンズ406で平行光に戻されてフォトディテクタ402の受光面に入射する。これにより、フォトディテクタ402の受光面には、加工対象物OBの棒状の射影が映し出される。以下、フォトディテクタ402を第1フォトディテクタ402と呼ぶ。
第1フォトディテクタ402は、受光領域が左右に(Y軸方向に)2分割された受光素子を備え、その受光領域C,Dに入射した光の強度に比例した検出信号を受光信号(c,d)として出力する。この第1フォトディテクタ402は、受光した第1サーボ用Y軸方向レーザ光における棒状の射影が受光領域の分割線DIVと平行になるように、かつ第1リレーレンズ404が原点位置にありY軸方向から見て加工対象物OBの中心軸がワーク駆動装置50の回転軸と一致しているときに加工対象物OBの射影が受光領域の分割線DIVにより2等分される位置に配置される。
第1リレーレンズ404は、その位置がリレーレンズアクチュエータ408によりZ軸方向に移動可能となっている。第1リレーレンズ404は、リレーレンズアクチュエータ408が通電されていないときに、Z軸方向の可動範囲の中心、すなわち原点に位置する。
第2サーボ用Y軸方向光ヘッド44は、さらに加工対象物OBに対して第1サーボ用Y軸方向レーザ光とは反対方向から第2サーボ用Y軸方向レーザ光を照射し、その反射光を検出する構成として、第2レーザ光源410、コリメートレンズ412、偏光ビームスプリッタ414、1/4波長板416及び第2フォトディテクタ420を備えている。第2レーザ光源410は、第2サーボ用Y軸方向レーザ駆動回路440から供給される電流及び電圧により駆動されてサーボ用レーザ光を出射する。第2レーザ光源410から出射されたサーボ用レーザ光は、コリメートレンズ412により平行光となって偏光ビームスプリッタ414に入射する。サーボ用レーザ光は、その大半(例えば、95%)が偏光ビームスプリッタ414をそのまま透過し、1/4波長板416を通過して直線偏光から円偏光に変換される。1/4波長板416を通過したサーボ用レーザ光は、ダイクロイックミラー418を透過し、第1リレーレンズ404に入射する。第1リレーレンズ404は、対物レンズとして働くためサーボ用レーザ光を集光する。こうして加工対象物OBの直径よりも小さな径に集光されたレーザスポットが加工対象物OBの表面に照射される。
加工対象物OBに照射されたサーボ用レーザ光(第2サーボ用Y軸方向レーザ光)は、加工対象物OBの表面で反射して第1リレーレンズ404に入射し平行光に戻されて、ダイクロイックミラー418をそのまま通過し、さらに、1/4波長板416を通過する。この場合、第2サーボ用Y軸方向レーザ光は、第2レーザ光源410から出射されたサーボ用レーザ光とは偏光方向が90°相違したものとなるため、偏光ビームスプリッタ414で反射する。偏光ビームスプリッタ414の反射方向には、第2フォトディテクタ420が設けられている。したがって、加工対象物OBの表面で反射した第2サーボ用Y軸方向レーザ光は、第2フォトディテクタ420に入射する。この第2フォトディテクタ420は、受光領域が左右に(Y軸方向に)2分割された受光素子を備え、その受光領域E,Fに入射した光の強度に比例した検出信号を受光信号(e,f)として出力する。この第2フォトディテクタ420は、第1リレーレンズ404が原点位置にあり、かつY軸方向から見て加工対象物OBの中心軸がワーク駆動装置50の回転軸と一致しているときに加工対象物OBで反射した反射光が受光領域の分割線DIVにより2等分される位置に配置される。
また、第2サーボ用Y軸方向光ヘッド44は、第2レーザ光源410から出射されたサーボ用レーザ光の一部(例えば、5%)を偏光ビームスプリッタ414で反射させ、その反射光を集光レンズ422によりフォトディテクタ424の受光面に集光させる構成を備えている。フォトディテクタ424は、受光面に集光された光の強度に応じた受光信号を出力する受光素子である。したがって、フォトディテクタ424は、第2レーザ光源410が出射したサーボ用レーザ光の強度に対応した受光信号を出力する。この受光信号は、第2サーボ用Y軸方向レーザ駆動回路440に供給される。
第2サーボ用Y軸方向レーザ駆動回路440は、コントローラ90からの指令に基づいて、第2レーザ光源410に対して、加工対象物OBの表面を変化させず、かつ第2フォトディテクタ420で加工対象物OBからの反射光を検出できる強度のサーボ用レーザ光を出射するための電流及び電圧を供給する回路である。第2サーボ用Y軸方向レーザ駆動回路440は、フォトディテクタ424が出力する受光信号をフィードバックして、受光信号の強度が予め設定した設定強度となるように第2レーザ光源410に出力する電流あるいは電圧を調整する。これにより、第2サーボ用Y軸方向光ヘッド44から出射するサーボ用Y軸方向レーザ光の強度が一定に維持される。
第4実施形態のレーザ加工装置は、第3実施形態のZ軸方向エラー信号生成回路175及びZ軸方向サーボ回路182に代えて、Z軸方向エラー信号生成回路191及びZ軸方向サーボ回路192を備えている。尚、Z軸方向ドライブ回路183に関しては、第3実施形態と同一である。
第1フォトディテクタ402から出力される受光信号(c,d)及び第2フォトディテクタ420から出力される受光信号(e,f)は、Z軸方向エラー信号生成回路191に入力される。Z軸方向エラー信号生成回路191は、第1生成部1911と第2生成部1912とからなり、第1フォトディテクタ402から出力される受光信号(c,d)が第1生成部1911に入力され、第2フォトディテクタ420から出力される受光信号(e,f)が第2生成部1912に入力される。第1生成部1911は、受光信号(c,d)を増幅した後、この信号を使って光強度の差(c−d)を演算し、その演算結果を第1Z軸方向エラー信号(c−d)として出力する。第2生成部1912は、受光信号(e,f)を増幅した後、この信号を使って光強度の差(e−f)を演算し、その演算結果を第2Z軸方向エラー信号(e−f)として出力する。
第1Z軸方向エラー信号(c−d)及び第2Z軸方向エラー信号(e−f)は、Z軸方向サーボ回路192に入力される。Z軸方向サーボ回路192は、第1サーボ部1921と第2サーボ部1922とからなり、第1Z軸方向エラー信号(c−d)が第1サーボ部1921に入力され、第2Z軸方向エラー信号(e−f)が第2サーボ部1922に入力される。
第1サーボ部1921は、コントローラ90から出力されるサーボ開始指令により作動を開始し、第1Z軸方向エラー信号(c−d)に基づいて、第1Z軸方向エラー信号(c−d)が常にゼロとなるようなZ軸方向サーボ信号を生成してZ軸方向ドライブ回路183に出力する。したがって、第1フォトディテクタ402に映し出される加工対象物OBの射影が、受光面の中央、すなわち受光領域の分割線DIVにより2等分される位置となるように第1リレーレンズ404がZ軸方向に駆動され、これと同じ駆動量で対物レンズ122がZ軸方向に駆動される。また、第1サーボ部1921は、コントローラ90からのサーボ切替指令に基づいて作動を停止する。
第2サーボ部1922は、コントローラ90から出力されるサーボ切替指令により、第1サーボ部1921に代わって作動を開始し、第2Z軸方向エラー信号(e−f)に基づいて、第2Z軸方向エラー信号(e−f)が常にゼロとなるようなZ軸方向サーボ信号を生成してZ軸方向ドライブ回路183に出力する。したがって、第2フォトディテクタ420に受光された第2サーボ用Y軸方向レーザ光の反射光が受光領域の中央に維持されるように第1リレーレンズ404がZ軸方向に駆動され、これと同じ駆動量で対物レンズ122がZ軸方向に駆動される。
次に、第4実施形態におけるコントローラ90の実行するレーザ加工制御ルーチンについて説明する。第4実施形態のレーザ加工制御ルーチンは、第1実施形態のものと、ステップS108〜S110の処理及びステップS130〜S132の処理が相違する。図13は、第1実施形態におけるステップS108〜S110及びステップS130〜S132の処理に代えて行う第4実施形態の処理を表す部分フローチャートである。
コントローラ90は、ステップS106において、スピンドルモータ制御回路56に対して回転開始指令を出力すると、次に、ステップS201において、サーボ用Z軸方向レーザ駆動回路240と第1サーボ用Y軸方向レーザ駆動回路340とに対して、それぞれのサーボ用レーザ光の照射開始指令を出力する。したがって、サーボ用Z軸方向光ヘッド20からサーボ用Z軸方向レーザ光が加工対象物OBに対してZ軸方向に照射され、第1サーボ用Y軸方向光ヘッド30から第1サーボ用Y軸方向レーザ光が加工対象物OBに対してY軸方向に照射される。
そして、コントローラ90は、ステップS202において、Z軸方向サーボ回路192とY軸方向サーボ回路172に対して、サーボ開始指令を出力する。これにより、各サーボ回路は、上述したZ軸方向サーボ及びY軸方向サーボ制御を開始する。この場合、Z軸方向サーボ回路192では、第1サーボ部1921のみが作動してZ軸方向サーボ信号を生成する。
次に、コントローラ90は、ステップS203において、サーボ開始指令の出力から所定時間経過するまで待機する。この間、上述したサーボ制御が継続される。この場合、Z軸方向サーボにおいては、第1サーボ用Y軸方向光ヘッド30から出射された第1サーボ用Y軸方向レーザ光の加工対象物OBの射影が、第2サーボ用Y軸方向光ヘッド44の第1フォトディテクタ402の受光面の中央位置にくるように第1リレーレンズ404がZ軸方向に駆動され、これと同じ駆動量で対物レンズ122がZ軸方向に駆動されるため、Z軸方向のサーボ制御可能範囲が広い。したがって、加工対象物OBの中心軸がワーク駆動装置50の回転中心軸に対してZ軸方向に大きくずれていても、DMD10による模様に対応した像を加工対象物OBの表面に形成させることができる。
サーボ開始指令の出力から所定時間経過すると、コントローラ90は、ステップS203にて「Yes」と判定して、ステップS204において、第1サーボ用Y軸方向レーザ駆動回路340、第2サーボ用Y軸方向レーザ駆動回路440及びZ軸方向サーボ回路192に対してサーボ切替指令を出力する。これにより、第1サーボ用Y軸方向レーザ駆動回路340による第1レーザ光源302の駆動が停止され、代わりに、第2サーボ用Y軸方向レーザ駆動回路440による第2レーザ光源410の駆動が開始される。したがって、加工対象物OBには、第1サーボ用Y軸方向レーザ光に代わって第2サーボ用Y軸方向レーザ光が照射される。
また、同時に、Z軸方向サーボ回路192においては、第1サーボ部1921に代わって第2サーボ部1922が作動を開始する。これにより、Z軸方向のサーボ制御態様が切り替わり、第2サーボ用Y軸方向レーザ光の加工対象物OBからの反射光が第2フォトディテクタ420の受光面の中央位置にくるように第1リレーレンズ404がZ軸方向に駆動され、これと同じ駆動量で対物レンズ122がZ軸方向に駆動される。この場合、反射光位置に基づいてZ軸方向サーボ制御を行うため、加工対象物OBのZ軸方向の変位に対して第2サーボ部1922の出力する第2Z軸方向エラー信号(e−f)の変化が大きくなり、高精度にZ軸方向サーボ制御を行うことができる。コントローラ90は、ステップS204においてZ軸方向のサーボ制御態様を切り換えると、上述したステップS112からの処理を実行する。
コントローラ90は、第1実施形態のステップS130,S132の処理に代えて、ステップS205,S206の処理を実行する。コントローラ90は、ステップS205において、Z軸方向サーボ回路192とY軸方向サーボ回路172に対して、サーボ制御の停止指令を出力する。これにより、Z軸アクチュエータ126z、Y軸アクチュエータ126y及びリレーレンズアクチュエータ408の作動が停止する。次に、ステップS206において、サーボ用Z軸方向レーザ駆動回路240と第2サーボ用Y軸方向レーザ駆動回路440とに対して、サーボ用レーザ光の照射停止指令を出力する。これにより、サーボ用Z軸方向光ヘッド20からのサーボ用Z軸方向レーザ光の照射、及び第2サーボ用Y軸方向光ヘッド44からの第2サーボ用Y軸方向レーザ光の照射が停止される。
以上説明した第4実施形態のレーザ加工装置によれば、最初に加工対象物OBの射影の検出位置に基づいてZ軸方向のサーボ制御を開始し(サーボ制御の引き込みを行い)、その後、加工対象物OBの反射光の検出位置に基づいてZ軸方向サーボ制御を行うようにしているため、Z軸方向サーボ制御の引き込みを確実に行え、Z軸方向サーボ制御を高精度に行うことができる。
e.第5実施形態
次に、本発明の第5実施形態に係るレーザ加工装置について説明する。上述した第1〜第4実施形態のレーザ加工装置においては、サーボ用レーザ光の照射源としてZ軸方向とY軸方向とで別々のレーザ光源を備え、また、それらサーボ用レーザ光を検出する別々のフォトディテクタを備えた構成であったが、第5実施形態においては、Z軸方向とY軸方向とでレーザ光源とフォトディテクタとを共通化した構成を採用している。
図14は、第5実施形態のレーザ加工装置における加工用ヘッド15の概略構成を表す。この加工用ヘッド15は、第1実施形態における加工用ヘッド10、サーボ用Z軸方向光ヘッド20、サーボ用Y軸方向光ヘッド30及びY軸方向受光装置40に代えて設けられるもので、加工対象物OBの表面に加工用レーザ光を照射する機能と、加工対象物OBにサーボ用Z軸方向レーザ光及びサーボ用Y軸方向レーザ光を照射する機能と、加工対象物OBに照射されたサーボ用Z軸方向レーザ光及びサーボ用Y軸方向レーザ光の両方の射影光を検出する機能を有する。図中において、第1実施形態と同じものについては、第1実施形態で使用した符号と同一の符号を付して簡単な説明に留める。
加工用ヘッド15は、その中央に加工対象物OBが挿通される領域H(空間)が設けられており、その領域Hに加工用レーザ光及びサーボ用レーザ光を出射するように構成されている。加工用ヘッド15は、加工対象物OBの表面に加工用レーザ光を照射する構成として、加工用レーザ駆動回路160により駆動されるレーザ光源102と、レーザ光源102から出射される加工用レーザ光の光軸に沿って設けられるコリメートレンズ104、ビームスプリッタ106、ミラー108、DMD110、フーリエ変換レンズ112、偏光ビームスプリッタ114、1/4波長板116、ダイクロイックミラー118、ミラー120及び対物レンズ122を備えるとともに、対物レンズ122をZ軸方向に駆動する構成としてZ軸アクチュエータ126zと、ミラー120及び対物レンズ122を含む筐体124をY軸方向に駆動する構成としてY軸アクチュエータ126yとを備えている。また、加工用レーザ光が加工対象物OBで反射した反射光の強度を検出するための構成として、集光レンズ130とフォトディテクタ132とを備えている。また、加工用レーザ光の強度を検出するための構成として、集光レンズ134とフォトディテクタ136とを備えている。これらの構成は、第1実施形態と同一である。したがって、加工用レーザ光の進む経路や、フォトディテクタ132,136の出力に基づく制御についても第1実施形態と同一である。
加工用ヘッド15は、対物レンズ122が原点位置にあり、かつ加工対象物OBの中心軸がワーク駆動装置50の回転軸と一致している場合に、DMD110による模様に対応した像が加工対象物OBの表面に形成されるように位置決めされている。
次に、サーボ用レーザ光を加工対象物OBに照射する構成について説明する。加工用ヘッド15は、第1実施形態のサーボ用Z軸方向光ヘッド20と同様な、サーボ用レーザ光を出射するレーザ光源202と、レーザ光源202から出射されるサーボ用レーザ光を平行光にするコリメートレンズ204と、平行光の大半(例えば95%)を透過し残りを反射するビームスプリッタ206と、ビームスプリッタ206の反射方向に設けられる集光レンズ208と、集光レンズ208により集光されたサーボ用レーザ光の強度を検出するフォトディテクタ210を備えている。レーザ光源202は、サーボ用レーザ駆動回路540から供給される電流及び電圧により駆動されてサーボ用レーザ光を出射する。このサーボ用レーザ駆動回路540は、第1実施形態のサーボ用Z軸方向レーザ駆動回路240に相当するもので、フォトディテクタ210により検出したサーボ用レーザ光の光強度が設定強度となるようにレーザ光源202に出力する電流あるいは電圧を調整する。
サーボ用レーザ光がビームスプリッタ206を透過する方向には、ビームスプリッタ212が設けられる。ビームスプリッタ212は、入射したサーボ用レーザ光の半分を透過し残り半分を反射する。したがって、サーボ用レーザ光は、光強度が同程度となる2つのサーボ用レーザ光に分けられる。ビームスプリッタ212を透過したサーボ用レーザ光は、加工対象物OBに対して加工用レーザ光とは反対方向からZ軸方向に照射される。以下、ビームスプリッタ212を透過したサーボ用レーザ光をサーボ用Z軸方向レーザ光と呼ぶ。このサーボ用Z軸方向レーザ光は、第1実施形態のサーボ用Z軸方向レーザ光と同様に、加工対象物OBの直径よりも大きな直径の平行光であり、その光軸が、加工用ヘッド15の対物レンズ122が原点位置にある時に加工用レーザ光の光軸と一致するように光路が位置決めされている。
サーボ用Z軸方向レーザ光は、加工対象物OBの直径よりも大きな直径の平行光であるため、加工対象物OBに遮られなかったレーザ光が対物レンズ122に入射する。この場合、対物レンズ122に入射するサーボ用Z軸方向レーザ光は、受光すると中央に加工対象物OBの棒状の射影が形成された射影光となる。対物レンズ122に入射したサーボ用Z軸方向レーザ光は集光されるとともに、ミラー120で反射されてダイクロイックミラー118に入射して透過する。ダイクロイックミラー118の透過方向には、リレーレンズ138(結像レンズ)、偏光ビームスプリッタ228及びフォトディテクタ230が設けられている。偏光ビームスプリッタ228は、透過方向がレーザ光源202を出射したレーザ光の偏光方向に設定されている。したがって、ダイクロイックミラー118を透過したサーボ用Z軸方向レーザ光は、リレーレンズ138を通過して平行光となり、偏光ビームスプリッタ228を透過してフォトディテクタ230の受光面に入射する。こうしてフォトディテクタ230の受光面には、加工対象物OBの影であるX軸方向に延びた棒状の射影が映し出される。
フォトディテクタ230は、図15に示すように、受光領域が十字状に4分割された4つの同一正方形状の受光素子を備え、時計周りに配置された受光領域A,B,C,Dに入射した光の強度に比例した検出信号を受光信号(a,b,c,d)として出力する。このフォトディテクタ230は、十字状の分割線DIVがZ軸方向とX軸方向とに向くように配置されている。以下、分割線DIVのうち、X軸方向に向いた分割線をX軸方向分割線DIVXと呼び、Z軸方向に向いた分割線をZ軸方向分割線DIVZと呼ぶ。
また、ビームスプリッタ212で反射したサーボ用レーザ光は、第1反射ミラー214と第2反射ミラー216とで反射して加工対象物OBに対してY軸方向に照射される。以下、ビームスプリッタ212で反射したサーボ用レーザ光をサーボ用Y軸方向レーザ光と呼ぶ。このサーボ用Y軸方向レーザ光は、第1実施形態のサーボ用Y軸方向レーザ光と同様に、加工対象物OBの直径よりも大きな直径の平行光であり、その光軸がワーク駆動装置50の回転軸と交差するように光路が位置決めされている。
加工対象物OBを挟んで第2反射ミラー216と向かい合う位置に第3反射ミラー218が設けられる。第2反射ミラー216で反射したサーボ用Y軸方向レーザ光は、加工対象物OBの直径よりも大きな直径の平行光であるため、加工対象物OBに遮られなかったレーザ光(射影光)が第3反射ミラー218に入射する。サーボ用Y軸方向レーザ光は、第3反射ミラー218で反射し、さらに、第4反射ミラー220で反射する。第4反射ミラー220の反射方向には、像回転プリズム(ダブプリズム)222及び第5反射ミラー224が設けられる。第4反射ミラー220で反射したサーボ用Y軸方向レーザ光は、像回転プリズム222で像が90度回転する。したがって、像回転プリズム222から出射するサーボ用Y軸方向レーザ光は、加工対象物OBの射影の向きがZ軸方向となる。像回転プリズム222から出射したサーボ用Y軸方向レーザ光は、第5反射ミラー224で反射して進行方向を変え、1/2波長板226を通過することで偏光方向が90度変化して偏光ビームスプリッタ228に入射する。偏光ビームスプリッタ228は透過方向がレーザ光源202を出射したレーザ光の偏光方向に設定されているため、入射したサーボ用Y軸方向レーザ光は偏光ビームスプリッタ228で反射する。これにより、サーボ用Y軸方向レーザ光とサーボ用Z軸方向レーザ光とが合成される。
フォトディテクタ230には、図15に示すように、サーボ用Y軸方向レーザ光とサーボ用Z軸方向レーザ光とによる加工対象物OBの射影Sが映し出されるが、この射影Sは、Z軸方向とX軸方向とに延びた十字形状となる。このフォトディテクタ230は、Y軸方向から見て加工対象物OBの中心軸がワーク駆動装置50の回転軸と一致しているときに射影Sが受光領域のZ軸方向分割線DIVZにより2等分される位置で、かつ、対物レンズ122が原点位置にありZ軸方向から見て加工対象物OBの中心軸がワーク駆動装置50の回転軸と一致しているときに射影Sが受光領域のX軸方向分割線DIVXにより2等分される位置に配置される。
フォトディテクタ230の出力する受光信号(a,b,c,d)は、ぞれぞれ、Y軸方向エラー信号生成回路561とZ軸方向エラー信号生成回路571とに入力される。この第5実施形態においては、Y軸方向エラー信号生成回路561は、受光信号(a,b,c,d)を使って((a+d)−(b+c))の演算を行い、その演算結果をY軸方向エラー信号((a+d)−(b+c))として出力する。Y軸方向エラー信号(((a+d)−(b+c))の大きさは、加工対象物OBの中心軸とワーク駆動装置50の回転軸とのY軸方向におけるずれ量を表すものとなる。また、Z軸方向エラー信号生成回路571は、受光信号(a,b,c,d)を使って((a+b)−(c+d))の演算を行い、その演算結果をZ軸方向エラー信号((a+b)−(c+d))として出力する。Z軸方向エラー信号((a+b)−(c+d))の大きさは、加工対象物OBの中心軸とワーク駆動装置50の回転軸とのZ軸方向におけるずれ量を表すものとなる。
Y軸方向サーボ回路562は、コントローラ90からの指令により作動を開始し、Y軸方向エラー信号生成回路561から入力したY軸方向エラー信号(((a+d)−(b+c))に基づいて、Y軸方向エラー信号(((a+d)−(b+c))が常にゼロとなるようなY軸方向サーボ信号を生成してY軸方向ドライブ回路563に出力する。Y軸方向ドライブ回路563は、Y軸方向サーボ信号に基づいてY軸アクチュエータ126yを駆動する信号を出力して、ミラー120及び対物レンズ122を含む筐体124をY軸方向に移動させる。したがって、フォトディテクタ230に映し出される十字形状の射影におけるX軸方向に向いた部分が受光領域のX軸方向分割線DIVXにより2等分される位置に維持されるように対物レンズ122のY軸方向位置が制御される。この結果、加工用レーザ光の光軸が加工対象物OBの中心軸と交差する位置に維持される。
また、Z軸方向サーボ回路572は、コントローラ90からの指令により作動を開始し、Z軸方向エラー信号生成回路571から入力したZ軸方向エラー信号((a+b)−(c+d))に基づいて、加工対象物OBのZ軸方向のずれ量を検出し、このずれ量分の対物レンズ122のZ軸方向移動量を表すZ軸方向サーボ信号を生成してZ軸方向ドライブ回路573に出力する。Z軸方向ドライブ回路573は、Z軸方向サーボ信号に基づいてZ軸アクチュエータ126zを駆動する信号を出力して、対物レンズ122をZ軸方向に移動させる。したがって、加工対象物OBのZ軸方向のずれ量だけ、対物レンズ122が原点位置からZ軸方向に離れた位置に維持される。このため、加工対象物OBの位置がZ軸方向に変動しても、加工対象物OBの中心軸がワーク駆動装置50の回転軸とずれている量だけ対物レンズ122を原点位置から移動させることにより、常に、DMD110による模様に対応した像を加工対象物OBの表面に形成させることができる。
尚、本実施形態においても、サーボ用Y軸方向レーザ光の光路上に第1リレーレンズ404及び第2リレーレンズ406を設け、第3実施形態と同様、第1リレーレンズ404をリレーレンズアクチュエータ408で駆動し、それと等しい駆動量でZ軸アクチュエータ126zを駆動して、クローズドループ制御によりZ軸方向サーボ制御を行うようにすることができる。
また、加工対象物OBに形成される像が大きくてもよい場合は、図16に示すように、対物レンズ122の焦点距離を長くすることができるので、加工対象物OBと対物レンズ122の間にビームスプリッタ232を設け、像回転プリズム222から出射したサーボ用Y軸方向レーザ光と、サーボ用Z軸方向レーザ光とをビームスプリッタ232で合成させるようにしてもよい。この場合、サーボ用Y軸方向レーザ光は、対物レンズ122及びリレーレンズ138を介してフォトディテクタ230に入射するため、フォトディテクタ230で像が形成されるためには、加工対象物OBから対物レンズ122までの光路長をサーボ用Z軸方向レーザ光と同一にする必要がある。しかし、構造的にそれは不可能であるため、リレーレンズ234,236を設け、リレーレンズ236の後側で加工対象物OBの射影が明確になる形成される位置から対物レンズ122までの光路長を加工対象物OBから対物レンズ122までの光路長と同じする。これによれば、サーボ用Y軸方向レーザ光も対物レンズ122を通過させることができるので、リレーレンズを設けなくてもクローズドループ制御によりZ軸方向サーボ制御を行うことができる。
以上説明した第5実施形態のレーザ加工装置によれば、第1実施形態の効果を奏するだけでなく、サーボ用レーザ光のレーザ光源、サーボ用レーザ駆動回路、フォトディテクタ及びその他の光学素子の数を減らすことができ、装置の低コスト化を図ることができる。
尚、第1実施形態では、レーザ加工制御ルーチンにおけるステップS108,S132の処理において、サーボ用Z軸方向レーザ駆動回路240とサーボ用Y軸方向レーザ駆動回路340との両方に対して照射開始指令あるいは照射停止指令を出力したが、第5実施形態においては、サーボ用Z軸方向レーザ光とサーボ用Y軸方向レーザ光とを共通のレーザ光源202から出射するように構成しているため、照射開始指令及び照射停止指令は、レーザ光源202を駆動するサーボ用レーザ駆動回路540のみに対して出力されることになる。
f.その他の変形例
以上、本発明の第1乃至第5実施形態について説明したが、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変形も可能である。
例えば、上記各実施形態においては、2次元空間光変調器としてDMD110を用いた。しかし、これに代えて、透過型のパネルを有する液晶表示装置で構成して、レーザ光を液晶表示装置のパネルを透過させて加工対象物OBに導き、加工対象物OBの側面にレーザ加工による液晶表示装置のパネルの明暗模様を形成するようにする。この場合も、液晶表示装置のパネルの明暗模様を2値化信号で制御するとよい。なお、この液晶表示装置を用いた2次元空間光変調器は、例えば特開2007−65222号公報、特開2009−199656号公報などに示された周知の技術である。
また、上記各実施形態においては、ミラー120及び対物レンズ122を筐体124内に収容しておいて、Y軸アクチュエータ126yにより筐体124をY軸方向に移動させることにより、Y軸方向における対物レンズ122の位置と、対物レンズ122に入射する前の加工用レーザ光の光軸位置の相対関係が変化しないようにした。しかし、これに代えて、筐体124をなくし、ミラー120を固定して、ダイクロイックミラー118に加工用レーザ光が入射する前にガルバノミラーを設け、対物レンズ122のY軸方向の移動に同期してガルバノミラーのアクチュエータを駆動することによりガルバノミラーを回転させて、対物レンズ122に入射する前の加工用レーザ光の光軸位置を対物レンズ122のY軸方向の移動量だけ移動させるようにしてもよい。
また、対物レンズ122のY軸方向の移動に同期して、対物レンズ122のY軸方向の移動量だけDMD110を移動させてもよい。この場合のレーザ光の光軸は、DMD110で模様が形成されるエリアの中心を通過し、かつレーザ光位置からレーザ光の進行方向に伸ばした線上とする。さらに、対物レンズ122のY軸方向の移動に同期して、DMD110に対する空間光変調器データ供給回路162による制御パターンを変更することにより、DMD110によって形成される模様を対物レンズ122のY軸方向の移動量だけ移動させてもよい。この場合も、レーザ光の光軸は、DMD110で模様が形成されるエリアの中心を通過し、かつレーザ光位置からレーザ光の進行方向に伸ばした線上とする。
また、上記第1実施形態においては、サーボ用Z軸方向レーザ光を、加工用レーザ光を集光させる対物レンズ122を介してフォトディテクタ140で受光する構成を採用しているが、サーボ用Z軸方向レーザ光の光軸を加工用レーザ光の光軸から僅かにずらし、対物レンズ122の近傍に設けたフォトディテクタでサーボ用Z軸方向レーザ光を受光する構成であってもよい。この構成では、加工対象物OBの変動を加工用レーザ光の焦点位置の近傍で検出することになるが、加工対象物OBの変動が大きくなければサーボ制御は可能である。
また、上記各実施形態においては、Y軸アクチュエータ126y及びZ軸アクチュエータ126zによるミラー120及び対物レンズ122の駆動のみにより加工用レーザ光が加工対象物OBの適正に照射されるように制御したが、Y軸アクチュエータ126yに変位センサを設け、この変位センサが出力する信号の直流成分(オフセット部分)を検出し、この直流成分がゼロになるように加工用ヘッド及びサーボ用Z軸方向光ヘッドをY軸方向に一体的に移動させるアクチュエータを別に設けるようにしてもよい。この場合には、対物レンズ122が原点位置を中心に駆動されるため、さらに精度の高いサーボ制御を行うことができる。尚、Y軸アクチュエータ126yに変位センサを設けずに、Y軸方向サーボ回路172、562が出力する信号の直流成分を検出するようにしてもよい。
また、上記各実施形態においては、加工用レーザ光の照射位置をX軸方向に移動させるにあたって、ワーク駆動装置50により加工対象物OBをX軸方向に移動させているが、例えば、加工用ヘッド10、サーボ用Z軸方向光ヘッド20、サーボ用Y軸方向光ヘッド30及びY軸方向受光装置40を一体化したユニットをX軸方向に移動させる構成であってもよい。
また、上記各実施形態においては、加工対象物OBをその中心軸周りに回転させているが、加工対象物OBを固定し、加工用ヘッド10、サーボ用Z軸方向光ヘッド20、サーボ用Y軸方向光ヘッド30及びY軸方向受光装置40を加工対象物OBの中心軸周りに回転させる構成であってもよい。
また、上記各実施形態においては、加工対象物OBを横方向に向けて固定しているが、加工対象物OBを固定する向きは任意の方向に設定できるものである。また、これに伴って、加工用レーザ光、サーボ用Z軸方向レーザ光及びサーボ用Y軸方向レーザ光の向きに関しても、X軸、Y軸及びZ軸方向の関係を満たす条件で任意に設定できるものである。