JP5636864B2 - 不連続繊維を有するプリプレグの製造方法 - Google Patents
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Description
切断工程を含浸工程の後に行うことができる。
本発明の不連続繊維を有するプリプレグは、前記製造方法によって製造される。
なお、本発明において、不連続繊維を有するプリプレグとは、長手方向(一方向)に沿って、多数本の短繊維が配向した帯状物に対して、熱硬化性樹脂を含浸させた一方向プリプレグのことを言う。また、短繊維とは、長さが15mm以上、200mm未満の繊維のことを意味し、長繊維とは、長さが200mm以上の繊維のことを意味する。
図1は、本発明の製造方法で製造される一方向不連続繊維プリプレグの一例を示す平面図である。
この一方向不連続繊維プリプレグ10は、マトリックス樹脂として熱硬化性樹脂を含み、繊維材料として、長手方向に沿う一方向(矢印A方向)に配向した多数本の短繊維の炭素繊維フィラメントを含む、幅Wの帯状のプリプレグである。詳しくは後述するが、図1の一方向不連続プリプレグに含まれる繊維材料は、開繊された幅Wの1本の長繊維束(連続繊維を引き揃えてなる帯状物)から製造されたものである。1本の長繊維束は、通常3000〜180000本程度のフィラメントから構成される。また、この一方向不連続繊維プリプレグ10の厚みは、0.04〜0.25mmである。
図1の一方向不連続繊維プリプレグ10に含まれる繊維材料は、このように形成された切断線11により、元々は長繊維(連続繊維)であった各炭素繊維フィラメントそれぞれが長手方向に分断され、長さRの短繊維とされたものである。そのため、この一方向不連続繊維プリプレグ10は、一方向に配向した長繊維を含むプリプレグと同等の物性や取扱性を有しながら、優れた曲面賦形性を発揮し、特に立体的な成形物の成形に適したものとなる。
次に、図1の一方向不連続繊維プリプレグ10を連続的に製造する方法について、第1および第2実施形態を挙げて、詳細に説明する。
図2は、第1実施形態の製造装置20を示す図であって、この製造装置20は、一方向連続繊維からなる繊維束を巻き出す巻出装置21と、巻き出された繊維束を開繊して、例えば厚みが0.04〜0.25mm程度の平たい帯状とする開繊装置23と、開繊された帯状の繊維束、すなわち、連続繊維を引き揃えてなる帯状物22の下面側に、半硬化の熱硬化性樹脂層を備えた樹脂担持シート24aを供給して貼り合わせ、帯状物22と半硬化の熱硬化性樹脂層とを備えた積層体を形成する供給・貼合装置25Aを備えている。樹脂担持シート24aは、離型紙に予め半硬化の熱硬化性樹脂が塗布され、熱硬化樹脂層が形成されたものである。
ついで、開繊された帯状物22の下面側に、供給・貼合装置25Aから、一方の保護フィルム30aが剥離された樹脂担持シート24aを供給して、半硬化の熱硬化性樹脂層が帯状物22側となるように貼り合わせ、積層体を形成する(積層体形成工程)。この際、図示略のニップロールにて、樹脂担持シート24aと帯状物22との貼り合わせの状態を適宜調整してもよい。そして、この樹脂担持シート24aにより帯状物22を下方から支持しながら、帯状物22を樹脂担持シート24aとともに切断装置26へと送る。
この例では、被切断物である帯状物22は、所定の供給速度で連続的に切断装置26に送られているため、切断装置26は、帯状物22の供給速度を考慮した方向および速度でレーザ光を走査し、複数の切断線11を連続的に形成していく。
これにより、帯状物22の両面に熱硬化性樹脂層を備えた樹脂担持シート24a、24bが貼り合わされた積層体が得られる。
ついで、冷却部と引取部を備える装置28において、水冷などの冷却手段(冷却部)28aによりプリプレグを冷却し、引取部28bにより引取る。
このような方法により、保護フィルム31aと離型紙に挟まれ、巻き回された巻回物の形態の一方向不連続繊維プリプレグ10を得ることができる。
得られた一方向不連続繊維プリプレグ10は、製造する成形物の形状、強度などに応じて、複数枚重ねられて成形に供される。
また、「半硬化」とは、常温ではやや粘調な液体を硬化開始させ、一時的に非常に低粘度な状態を経由し、次に徐々に硬化が開始したBステージの状態である。
切断工程で使用される切断装置26としては、キーエンス製の型式MD−F3000や型式MD−V9900、SUNX製の型式LP−Z250、LP−G050、LP−431U、Advanced Optowaves Corp製の型式AWAVE−355−15−100Kなどが挙げられる。
また、レーザ出力、発振モード、走査する速度、パルス幅、パルス周波数などを帯状物22の材質、厚み、供給される速度、厚み方向の切断の度合いに応じて設定することが好ましい。
そのため、刃先の磨耗劣化による切断不良という問題が生じず、長期的に安定な切断を行って、一定の品質の一方向不連続繊維プリプレグを得ることができる。また、レーザの走査パターンを変更するだけで、容易に切断線11の形成パターンを変更できるため、プリプレグ設計の自由度も高い。
また、以上の例では、帯状物22の下面側に配置された供給・貼合装置25Aから、樹脂担持シート24aを供給して、帯状物22と半硬化の熱硬化性樹脂層を備えた積層体を形成し、その後、積層体の上面にレーザ光を照射して切断部を形成している。しかしながら、帯状物の上面側に配置された供給・貼合装置から樹脂担持シートを供給して、帯状物と半硬化の熱硬化性樹脂層を備えた積層体を形成し、帯状物を上方から支持しながら切断装置へと送り、積層体の下面の帯状物に下方からレーザ光を照射して切断部を形成してもよい。すなわち、上述のような樹脂担持シートを用いる場合には、積層体形成工程においては、樹脂担持シートを帯状物の上下いずれか一方の面に積層し、その後の切断工程においては、他方の面へレーザ光を照射すればよい。
さらに、積層体形成工程においては、半硬化の熱硬化性樹脂層の両面に帯状物が積層した積層体を形成してもよい。具体的には、帯状物の一方の面に保護フィルムを剥離した樹脂担持シートを貼り合せた後、樹脂担持シートの備える離型紙を剥離してさらに別の帯状物を貼り合せればよい。そして、切断工程において、この積層体にレーザ光を照射して、切断線を形成することができる。この場合、レーザ光の照射は、積層体の少なくとも一方の面に対して行えばよく、片面側からのみの照射であっても、両面に配置された帯状物のいずれをも切断することができる。
図2の製造装置20が、加熱加圧装置27よりも前段側に切断装置26を具備し、含浸工程よりも前に切断工程を行う、すなわち、プリプレグ化前の帯状物22に対して切断工程を行うものであるのに対して、図3の製造装置40は、加熱加圧装置27および冷却部と引取部を備える装置28よりも後段側に切断装置26を具備し、含浸工程よりも後に切断工程を行う、すなわち、プリプレグに含まれる未切断の帯状物22に対して切断工程を行うものである。
ついで、開繊された帯状物22の下面側と、上面側に、供給・貼合装置25A、25Bから半硬化の熱硬化性樹脂層を備えた樹脂担持シート24a、24bを順次供給して貼り合わせ、積層体を形成する(積層体形成工程)。
ついで、冷却部と引取部を備える装置28において、プリプレグを冷却手段(冷却部)28aにより冷却し、引取部28bにより引取る。
この例でも、被切断物であるプリプレグは、所定の供給速度で連続的に切断装置26に送られているため、切断装置26は、プリプレグの供給速度を考慮した方向および速度でレーザ光を走査し、複数の切断線11を連続的に形成していく。
このような方法によっても、保護フィルム31aと離型紙に挟まれ、巻き回された巻回物の形態の一方向不連続繊維プリプレグ10を得ることができる。
さらに積層体形成工程においては、半硬化の熱硬化性樹脂層の両面に帯状物が積層した積層体を形成してもよい。具体的には、帯状物の一方の面に保護フィルムを剥離した樹脂担持シートを貼り合せた後、樹脂担持シートの備える離型紙を剥離してさらに帯状物を貼り合せればよい。そして、含浸工程後の切断工程において、プリプレグの少なくとも一方の面にレーザ光を照射して、プリプレグ中の連続繊維を切断して切断線を形成することができる。ここで両面にレーザ光を照射する場合には、1つの箇所に対して両面側からレーザ光を照射することにより、厚み方向に貫通する切断部を形成してもよいし、1つの箇所に対してはいずれか一方の面側からのみレーザ光を照射して、厚み方向に貫通する切断部を形成してもよい。また、両面側からレーザ光を照射する場合、一方からのレーザ光と、他方からのレーザ光とを異なる箇所に走査し、各レーザ光により、厚み方向には貫通しない切断部をそれぞれ形成してもよい。すなわち、一方向不連続繊維プリプレグ10に含まれる各フィラメントが、切断工程により短繊維になっている限り、各切断部が貫通していなくてもよい。
以上の説明においては、繊維材料として炭素繊維を例示したが、炭素繊維以外の繊維、例えばアラミド繊維などであってもよい。しかしながら、上述の切断工程によれば、配向を乱さずに切断することがより難しい炭素繊維であっても、良好に配向を維持したまま切断することができる。
また、この例では、一方向不連続繊維プリプレグ10として、長手方向に隣合う箇所では、切断線11の幅方向における配置位置が互い違いにずれるパターンで切断線11が形成されたものを例示した。しかしながら、一方向不連続繊維プリプレグ10に含まれる各フィラメントが、切断工程により短繊維になっている限り、切断線11の形成パターンには特に制限はない。例えば図1の例のように一定の規則性をもったパターンでもよいし、規則性のないランダムなパターンであってもよい。また、各切断線11の長さ、切断線11の本数、間隔Q1、Q2などにも制限はない。
また、図示例では、一方向不連続繊維プリプレグ10の厚み方向に、繊維材料を貫通するように各切断線11が形成されているが、先にも述べたとおり、一方向不連続繊維プリプレグ10に含まれる各フィラメントが、切断工程により短繊維になっている限り、すべての切断線がこのように貫通している必要はない。
以上説明したように、切断線11の形成パターン、本数、間隔、方向や、切断工程に供給される長繊維束の本数などは、一方向不連続繊維プリプレグの用途や、成形品に求められる物性などに応じて適宜設計でき、特に制限はない。
11 切断線
22 帯状物
24a、24b 樹脂担持シート
26 切断装置
27 加熱加圧装置
Claims (2)
- 連続繊維を引き揃えてなる帯状物と、半硬化の熱硬化性樹脂層とが積層した積層体を形成する積層体形成工程と、
ついで、固体レーザまたはファイバーレーザのレーザ光の照射により、前記帯状物中の前記連続繊維をその長手方向の複数箇所において切断し、前記連続繊維と交差する方向の切断部を形成する切断工程と、
ついで、前記熱硬化性樹脂層を前記帯状物に含浸しプリプレグを得る含浸工程と、
を有する、不連続繊維を有するプリプレグの製造方法。 - 請求項1の製造方法によって製造される不連続繊維を有するプリプレグ。
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