JP5636567B2 - 脂肪性肝疾患を診断するためのバイオマーカー、その測定方法、コンピュータプログラム、および、記憶媒体 - Google Patents

脂肪性肝疾患を診断するためのバイオマーカー、その測定方法、コンピュータプログラム、および、記憶媒体 Download PDF

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Description

本発明は、脂肪性肝疾患を診断するためのバイオマーカーに関する。
非アルコール性脂肪性肝炎(non-alcoholic steatohepatitis、NASH)は、近年急激に着目を集めている疾患であり、飲酒暦がないもの関わらず、アルコール性肝炎に類似した所見を呈する脂肪性肝疾患である。NASHを含む脂肪性肝疾患は、進行性であり、脂肪肝(fatty liver、FL)から始まって、FLの一部が非アルコール性脂肪肝(non-alcoholic fatty liver disease、NAFLD)へと進行し、さらにその一部がNASHへと進行する。そして、NASHは、さらにその一部が肝硬変へと進行し、肝硬変の一部が肝癌へと進行する。
従って、患者の疾患がこれらのどの段階にあるかを適切に把握することができれば、状態に適した治療や処置をとることが可能となる。また、患者の疾患がどの段階にあるかを把握することは、現在行っている治療の効果が表れているのか否かを把握するためにも重要である。
しかしながら、NASHを確定診断する方法は、肝生検による病理診断で行われるが、肝生検は、患者の負担が大きいうえに簡便性も欠くことから、より患者の負担が少なく容易に行える診断方法の開発が求められている。
これまでに、血清中のマンガネーゼスーパーオキシドディスムターゼを測定する方法(特開2010−164548号公報)、血漿中の脂質代謝物を測定する方法(特表2010−500566号公報)および血清中の硫酸基転移酵素を測定する方法(特開2009−180711号公報)などの、高分子の脂質分子を対象としたものが知られている。
そこで本発明は、脂肪性肝疾患を診断するための新規バイオマーカー、および、その測定方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の通りである。
本発明の一実施形態において、脂肪性肝疾患を診断するためのバイオマーカーは、エチオコラノロン3−硫酸、ネルボン酸、α−トコフェロール、16−ヒドロキシデヒドロエピアンドロステロン3−硫酸、デヒドロエピアンドロステロン−2硫酸、タウリン、15−ヒドロキシエイコサテトラエン酸、セロトニンおよびチロキシンからなる群から選択されることを特徴とする。
本発明に係る肝細胞の繊維化および脂肪沈着を診断するためのバイオマーカーは、エチオコラノロン3−硫酸、ネルボン酸およびα−トコフェロールからなる群から選択されることを特徴とする。
本発明に係る肝細胞の繊維化を診断するためのバイオマーカーは、エチオコラノロン3−硫酸、ネルボン酸、α−トコフェロール、16−ヒドロキシデヒドロエピアンドロステロン3−硫酸、デヒドロエピアンドロステロン−2硫酸、タウリンおよび15−ヒドロキシエイコサテトラエン酸からなる群から選択されることを特徴とする。
本発明に係る肝細胞の脂肪沈着を診断するためのバイオマーカーは、エチオコラノロン3−硫酸、ネルボン酸、α−トコフェロール、セロトニンおよびチロキシンからなる群から選択されることを特徴とする。
本発明の一実施形態において、採取された血液に含まれる、特定の化合物の含有量を測定する方法は、前記特定の化合物が、エチオコラノロン3−硫酸、ネルボン酸、α−トコフェロール、16−ヒドロキシデヒドロエピアンドロステロン3−硫酸、デヒドロエピアンドロステロン−2硫酸、タウリン、15−ヒドロキシエイコサテトラエン酸、セロトニンおよびチロキシンからなる群から選択される一以上の化合物であることを特徴とする。
本発明に係る、採取された血液に含まれる、特定の化合物の含有量を測定する方法は、前記特定の化合物が、エチオコラノロン3−硫酸、ネルボン酸およびα−トコフェロールからなる群から選択される一以上の化合物であることを特徴とする。
本発明に係る、採取された血液に含まれる、特定の化合物の含有量を測定する方法は、前記特定の化合物が、エチオコラノロン3−硫酸、ネルボン酸、α−トコフェロール、16−ヒドロキシデヒドロエピアンドロステロン3−硫酸、デヒドロエピアンドロステロン−2硫酸、タウリンおよび15−ヒドロキシエイコサテトラエン酸からなる群から選択される一以上の化合物であることを特徴とする。
本発明に係る、採取された血液に含まれる、特定の化合物の含有量を測定する方法は、前記特定の化合物が、エチオコラノロン3−硫酸、ネルボン酸、α−トコフェロール、セロトニンおよびチロキシンからなる群から選択される一以上の化合物であることを特徴とする。
本発明の一実施形態において、採取された血液に含まれる、特定の化合物の含有量を測定する方法は、前記特定の化合物が、(i)エチオコラノロン3−硫酸と、(ii)ネルボン酸、シス-5,8,11−イコサトリエン酸、エルカ酸、リノレイルエタノールアミド、トリコサン酸、シトステロール、タウリンおよび16−ヒドロキシデヒドロエピアンドロステロン3−硫酸からなる群から選択される一以上の化合物とであることを特徴とする。
本発明に係る、採取された血液に含まれる、特定の化合物の含有量を測定する方法は、前記特定の化合物が、(i)ネルボン酸と、(ii)酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリル酸、15−ヒドロキシエイコサテトラエン酸、安息香酸、ベータアラニン、タウリン、トリエタノールアミンおよびコレステロール3−硫酸からなる群から選択される一以上の化合物とであることを特徴とする。
本発明に係る、採取された血液に含まれる、特定の化合物の含有量を測定する方法は、前記特定の化合物が、(i)α−トコフェロールと、(ii)タウリン、ヒポタウリン、安息香酸およびトリエタノールアミンからなる群から選択される一以上の化合物とであることを特徴とする。
本発明に係る、採取された血液に含まれる、特定の化合物の含有量を測定する方法は、前記特定の化合物が、(i)16−ヒドロキシデヒドロエピアンドロステロン3−硫酸と、(ii)デヒドロエピアンドロステロン3−硫酸、エチオコラノロン3−硫酸およびデヒドロエピアンドロステロン−2硫酸からなる群から選択される一以上の化合物とであることを特徴とする。
本発明に係る、採取された血液に含まれる、特定の化合物の含有量を測定する方法は、前記特定の化合物が、(i)デヒドロエピアンドロステロン−2硫酸と、(ii)16−ヒドロキシデヒドロエピアンドロステロン3−硫酸とであることを特徴とする。
本発明に係る、採取された血液に含まれる、特定の化合物の含有量を測定する方法は、前記特定の化合物が、(i)タウリンと、(ii)N−アセチルアスパラギン酸、フマル酸、グルタミン、インドール−3−カルボアルデヒド、アスパラギン、非対称ジメチルアルギニン、対称ジメチルアルギニン、グリセリン酸、アセチルカルニチン、シス−アコニチン酸、クエン酸、パルミトイルエタノールアミド、ヒスチジン、ロイシンおよびオレイン酸からなる群から選択される一以上の化合物とであることを特徴とする。
本発明に係る、採取された血液に含まれる、特定の化合物の含有量を測定する方法は、前記特定の化合物が、(i)15−ヒドロキシエイコサテトラエン酸と、(ii)3−ヒドロキシ酪酸、パルミトイル酸、オレイン酸およびクロトン酸からなる群から選択される一以上の化合物とであることを特徴とする。
本発明の一実施形態において、採取された血液に含まれる、特定の化合物の含有量を測定する方法は、前記特定の化合物が、(i)エチオコラノロン3−硫酸と、(ii)ヒポタウリン、グリセリン酸、アセチルカルニチン、N−メチルピロリドンおよび対称ジメチルアルギニンからなる群から選択される一以上の化合物とであることを特徴とする。
本発明に係る、採取された血液に含まれる、特定の化合物の含有量を測定する方法は、前記特定の化合物が、(i)ネルボン酸と、(ii)ラウリル酸、安息香酸、ウンデカン酸およびペラルゴン酸からなる群から選択される一以上の化合物とであることを特徴とする。
本発明に係る、採取された血液に含まれる、特定の化合物の含有量を測定する方法は、前記特定の化合物が、(i)セロトニンと、(ii)シス−アコニチン酸、テストステロンアセタート、ベタイン、非対称ジメチルアルギニンおよびホモバニリン酸からなる群から選択される一以上の化合物とであることを特徴とする。
本発明に係る、採取された血液に含まれる、特定の化合物の含有量を測定する方法は、前記特定の化合物が、(i)チロキシンと、(ii)パルミトイルカルニチンおよびテストステロンアセタートからなる群から選択される一以上の化合物とであることを特徴とする。
本発明の一実施形態において、脂肪性肝疾患に対する治療薬の効果を判定するための方法は、前記脂肪性肝疾患に罹患している患者に前記治療薬が投与される前に採取された血液に含まれる、エチオコラノロン3−硫酸、ネルボン酸、α−トコフェロール、16−ヒドロキシデヒドロエピアンドロステロン3−硫酸、デヒドロエピアンドロステロン−2硫酸、タウリン、15−ヒドロキシエイコサテトラエン酸、セロトニンおよびチロキシンからなる群から選択される一以上の化合物の含有量を測定する工程と、前記患者に前記治療薬が投与された後に採取された血液に含まれる、前記化合物の含有量を測定する工程と、前記治療薬が投与される前後の血液間で、前記測定された化合物の含有量を比較する工程とを含む。
本発明に係る、肝細胞の繊維化および脂肪沈着に対する治療薬の効果を判定するための方法は、前記肝細胞の繊維化および脂肪沈着を発症している患者に、前記治療薬が投与される前に採取された血液に含まれる、エチオコラノロン3−硫酸、ネルボン酸およびα−トコフェロールからなる群から選択される一以上の化合物の含有量を測定する工程と、前記治療薬が前記患者に投与された後に採取された血液に含まれる、前記化合物の含有量を測定する工程と、前記治療薬が投与される前後の血液間で、前記測定された化合物の含有量を比較する工程とを含む。
本発明に係る、肝細胞の繊維化に対する治療薬の効果を判定するための方法は、前記肝細胞の繊維化を発症している患者に前記治療薬が投与される前に採取された血液に含まれる、エチオコラノロン3−硫酸、ネルボン酸、α−トコフェロール、16−ヒドロキシデヒドロエピアンドロステロン3−硫酸、デヒドロエピアンドロステロン−2硫酸、タウリンおよび15−ヒドロキシエイコサテトラエン酸からなる群から選択される一以上の化合物の含有量を測定する工程と、前記患者に前記治療薬が投与された後に採取された血液に含まれる、前記化合物の含有量を測定する工程と、前記治療薬が投与される前後の血液間で、前記測定された化合物の含有量を比較する工程とを含む。
本発明に係る、肝細胞の脂肪沈着に対する治療薬の効果を判定するための方法は、前記肝細胞の脂肪沈着を発症している患者に前記治療薬が投与される前に採取された血液に含まれる、エチオコラノロン3−硫酸、ネルボン酸、α−トコフェロール、セロトニンおよびチロキシンからなる群から選択される一以上の化合物の含有量を測定する工程と、前記患者に前記治療薬が投与された後に採取された血液に含まれる、前記化合物の含有量を測定する工程と、前記治療薬が投与される前後の血液間で、前記測定された化合物の含有量を比較する工程とを含む。
本発明の一実施形態において、脂肪性肝疾患に対する治療薬の効果を判定するための方法は、前記脂肪性肝疾患に罹患している患者に前記治療薬が投与された後に採取された血液に含まれる、エチオコラノロン3−硫酸、ネルボン酸、α−トコフェロール、16−ヒドロキシデヒドロエピアンドロステロン3−硫酸、デヒドロエピアンドロステロン−2硫酸、タウリン、15−ヒドロキシエイコサテトラエン酸、セロトニンおよびチロキシンからなる群から選択される一以上の化合物の含有量を測定する工程と、前記脂肪性肝疾患が軽度であるか重度であるかを判別するための、血液中の前記化合物の含有量の閾値と、前記測定された化合物の含有量とを比較する工程とを含む。
本発明に係る、脂肪性肝疾患に対する治療薬の効果を判定するための方法は、前記脂肪性肝疾患に罹患している患者に前記治療薬が投与された後に採取された血液に含まれる、エチオコラノロン3−硫酸、ネルボン酸、α−トコフェロール、16−ヒドロキシデヒドロエピアンドロステロン3−硫酸、デヒドロエピアンドロステロン−2硫酸、タウリン、15−ヒドロキシエイコサテトラエン酸、セロトニンおよびチロキシンからなる群から選択される一以上の化合物の含有量を測定する工程と、前記脂肪性肝疾患の患者と健常者を判別するための、血液中の前記化合物の含有量の閾値と、前記測定された化合物の含有量とを比較する工程とを含む。
本発明に係る、脂肪性肝疾患に対する治療薬の効果を判定するための方法において、前記患者が、肝細胞の繊維化および/または脂肪沈着を発症していることを特徴としても良い。
本発明の一実施形態において、脂肪性肝疾患が軽度であるか重度であるかを判別するための、血液中のエチオコラノロン3−硫酸、ネルボン酸、α−トコフェロール、16−ヒドロキシデヒドロエピアンドロステロン3−硫酸、デヒドロエピアンドロステロン−2硫酸、タウリン、15−ヒドロキシエイコサテトラエン酸、セロトニンおよびチロキシンからなる群から選択される一以上の化合物の含有量の閾値を決定する方法は、軽度の脂肪性肝疾患と診断された複数の患者から採取された血液に含まれる、前記化合物の含有量を測定する工程と、重度の脂肪性肝疾患と診断された複数の患者から採取された血液に含まれる、前記化合物の含有量を測定する工程とを含む。
本方法において、前記患者が、肝細胞の繊維化および/または脂肪沈着を発症していることを特徴としても良い。
本発明の一実施形態において、脂肪性肝疾患に罹患しているか健常者であるかを判別するための、血液中のエチオコラノロン3−硫酸、ネルボン酸、α−トコフェロール、16−ヒドロキシデヒドロエピアンドロステロン3−硫酸、デヒドロエピアンドロステロン−2硫酸、タウリン、15−ヒドロキシエイコサテトラエン酸、セロトニンおよびチロキシンからなる群から選択される一以上の化合物の含有量の閾値を決定する方法は、前記脂肪性肝疾患と診断された複数の患者から採取された血液に含まれる、前記化合物の含有量を測定する工程と、複数の健常者から採取された血液に含まれる、前記化合物の含有量を測定する工程とを含む。
本方法において、前記脂肪性肝疾患が、肝細胞の繊維化および/または脂肪沈着であることを特徴としても良い。
本発明の一実施形態において、脂肪性肝疾患のモデル動物をスクリーニングする方法は、候補の動物から血液を採取する工程と、前記血液中のエチオコラノロン3−硫酸、ネルボン酸、α−トコフェロール、16−ヒドロキシデヒドロエピアンドロステロン3−硫酸、デヒドロエピアンドロステロン−2硫酸、タウリン、15−ヒドロキシエイコサテトラエン酸、セロトニンおよびチロキシンからなる群から選択される一以上の化合物の含有量を測定する工程とを含む。
本方法において、前記モデル動物が、肝細胞の繊維化および/または脂肪沈着を発症していることを特徴としても良い。
本発明の一実施形態において、脂肪性肝疾患に対する治療薬をスクリーニングする方法は、本発明に係るモデル動物をスクリーニングする方法によってスクリーニングされた、モデル動物から血液を採取する工程と、前記血液が採取されたモデル動物に前記治療薬の候補物質を投与する工程と、前記候補物質が投与されたモデル動物から血液を採取する工程と、前記候補物質が投与される前後で採取された血液中のエチオコラノロン3−硫酸、ネルボン酸、α−トコフェロール、16−ヒドロキシデヒドロエピアンドロステロン3−硫酸、デヒドロエピアンドロステロン−2硫酸、タウリン、15−ヒドロキシエイコサテトラエン酸、セロトニンおよびチロキシンからなる群から選択される一以上の化合物の含有量を測定する工程と、前記測定された化合物の含有量を、前記候補物質が投与される前後で比較する工程とを含む。
本方法において、前記モデル動物が、肝細胞の繊維化および/または脂肪沈着を発症していることを特徴としても良い。
本発明の一実施形態において、脂肪性肝疾患を診断する方法は、診断対象の被検者の血液中のエチオコラノロン3−硫酸、ネルボン酸、α−トコフェロール、16−ヒドロキシデヒドロエピアンドロステロン3−硫酸、デヒドロエピアンドロステロン−2硫酸、タウリン、15−ヒドロキシエイコサテトラエン酸、セロトニンおよびチロキシンからなる群から選択される一以上の化合物の含有量を測定する工程を含む。
本発明に係る、肝細胞の繊維化および脂肪沈着を診断する方法は、診断対象の被検者の血液中のエチオコラノロン3−硫酸、ネルボン酸およびα−トコフェロールからなる群から選択される一以上の化合物の含有量を測定する工程を含む。
本発明に係る、肝細胞の繊維化を診断する方法は、診断対象の被検者の血液中のエチオコラノロン3−硫酸、ネルボン酸、α−トコフェロール、16−ヒドロキシデヒドロエピアンドロステロン3−硫酸、デヒドロエピアンドロステロン−2硫酸、タウリンおよび15−ヒドロキシエイコサテトラエン酸からなる群から選択される一以上の化合物の含有量を測定する工程を含む。
本発明に係る、肝細胞の脂肪沈着を診断する方法は、診断対象の被検者の血液中のエチオコラノロン3−硫酸、ネルボン酸、α−トコフェロール、セロトニンおよびチロキシンからなる群から選択される一以上の化合物の含有量を測定する工程を含む。
本発明に係る、肝細胞の繊維化を診断する方法は、前記被検者の血液中の(i)エチオコラノロン3−硫酸と、(ii)ネルボン酸、シス-5,8,11−イコサトリエン酸、エルカ酸、リノレイルエタノールアミド、トリコサン酸、シトステロール、タウリンおよび16−ヒドロキシデヒドロエピアンドロステロン3−硫酸からなる群から選択される一以上の化合物との含有量を測定する工程を含んでも良い。
本発明に係る、肝細胞の繊維化を診断する方法は、前記被検者の血液中の(i)ネルボン酸と、(ii)酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリル酸、15−ヒドロキシエイコサテトラエン酸、安息香酸、ベータアラニン、タウリン、トリエタノールアミンおよびコレステロール3−硫酸からなる群から選択される一以上の化合物との含有量を測定する工程を含む診断方法。
本発明に係る、肝細胞の繊維化を診断する方法は、前記被検者の血液中の(i)α−トコフェロールと、(ii)タウリン、ヒポタウリン、安息香酸およびトリエタノールアミンからなる群から選択される一以上の化合物との含有量を測定する工程を含んでも良い。
本発明に係る、肝細胞の繊維化を診断する方法は、前記被検者の血液中の(i)16−ヒドロキシデヒドロエピアンドロステロン3−硫酸と、(ii)デヒドロエピアンドロステロン3−硫酸、エチオコラノロン3−硫酸およびデヒドロエピアンドロステロン−2硫酸からなる群から選択される一以上の化合物との含有量を測定する工程を含んでも良い。
本発明に係る、肝細胞の繊維化を診断する方法は、前記被検者の血液中の(i)デヒドロエピアンドロステロン−2硫酸と、(ii)16−ヒドロキシデヒドロエピアンドロステロン3−硫酸との含有量を測定する工程を含んでも良い。
本発明に係る、肝細胞の繊維化を診断する方法は、前記被検者の血液中の(i)タウリンと、(ii)N−アセチルアスパラギン酸、フマル酸、グルタミン、インドール−3−カルボアルデヒド、アスパラギン、非対称ジメチルアルギニン、対称ジメチルアルギニン、グリセリン酸、アセチルカルニチン、シス−アコニチン酸、クエン酸、パルミトイルエタノールアミド、ヒスチジン、ロイシンおよびオレイン酸からなる群から選択される一以上の化合物との含有量を測定する工程を含んでも良い。
本発明に係る、肝細胞の繊維化を診断する方法は、前記被検者の血液中の(i)15−ヒドロキシエイコサテトラエン酸と、(ii)3−ヒドロキシ酪酸、パルミトイル酸、オレイン酸およびクロトン酸からなる群から選択される一以上の化合物との含有量を測定する工程を含んでも良い。
本発明に係る、肝細胞の脂肪沈着を診断する方法は、前記被検者の血液中の(i)エチオコラノロン3−硫酸と、(ii)ヒポタウリン、グリセリン酸、アセチルカルニチン、N-メチルピロリドンおよび対称ジメチルアルギニンからなる群から選択される一以上の化合物との含有量を測定する工程を含んでも良い。
本発明に係る、肝細胞の脂肪沈着を診断する方法は、前記被検者の血液中の(i)ネルボン酸と、(ii)ラウリル酸、安息香酸、ウンデカン酸およびペラルゴン酸からなる群から選択される一以上の化合物との含有量を測定する工程を含んでも良い。
本発明に係る、肝細胞の脂肪沈着を診断する方法は、前記被検者の血液中の(i)セロトニンと、(ii)シス−アコニチン酸、テストステロンアセタート、ベタイン、非対称ジメチルアルギニンおよびホモバニリン酸からなる群から選択される一以上の化合物との含有量を測定する工程を含んでも良い。
本発明に係る、肝細胞の脂肪沈着を診断する方法は、前記被検者の血液中の(i)チロキシンと、(ii)パルミトイルカルニチンおよびテストステロンアセタートからなる群から選択される一以上の化合物との含有量を測定する工程を含んでも良い。
本発明の一実施形態において、脂肪性肝疾患に罹患しているか否かを診断する方法は、診断対象の被検者の血液中のエチオコラノロン3−硫酸、ネルボン酸、α−トコフェロール、16−ヒドロキシデヒドロエピアンドロステロン3−硫酸、デヒドロエピアンドロステロン−2硫酸、タウリン、15−ヒドロキシエイコサテトラエン酸、セロトニンおよびチロキシンからなる群から選択される一以上の化合物の含有量を測定する工程を含む。
本発明に係る、肝細胞の繊維化および/または脂肪沈着を発症しているか否かを診断する方法は、診断対象の被検者の血液中のエチオコラノロン3−硫酸、ネルボン酸、α−トコフェロール、16−ヒドロキシデヒドロエピアンドロステロン3−硫酸、デヒドロエピアンドロステロン−2硫酸、タウリン、15−ヒドロキシエイコサテトラエン酸、セロトニンおよびチロキシンからなる群から選択される一以上の化合物の含有量を測定する工程を含む。
本発明の一実施形態において、診断対象の被検者から採取された血液中のバイオマーカーの含有量を取得する工程と、前記取得された含有量に基づいて、前記被験者が健常者であるか、健常者でないか、軽度の脂肪性肝疾患を罹患しているか、軽度の脂肪性肝疾患を罹患していないか、重度の脂肪性肝疾患を罹患しているか、あるいは、重度の脂肪性肝疾患を罹患していないか、のいずれか一つ以上を判定する工程と、得られた判定結果を出力する工程と、をコンピュータに実行させるためのプログラムは、前記バイオマーカーが、エチオコラノロン3−硫酸、ネルボン酸、α−トコフェロール、16−ヒドロキシデヒドロエピアンドロステロン3−硫酸、デヒドロエピアンドロステロン−2硫酸、タウリン、15−ヒドロキシエイコサテトラエン酸、セロトニンおよびチロキシンからなる群から選択されることを特徴とする。
本プログラムは、バイオマーカー測定装置に、前記採取された血液中の前記バイオマーカーの含有量を測定させる工程を、さらに含んでも良い。
本発明に係るログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されていても良い。
==関連文献とのクロスリファレンス==
なお、本出願は、2010年10月13日出願の日本国出願番号特願2010−230469を基礎とする優先権の利益を主張し、これを引用することにより本明細書に含める。
以下、上記知見に基づき完成した本発明の実施の形態を、実施例を挙げながら詳細に説明する。なお、本発明の目的、特徴、利点、および、そのアイデアは、本明細書の記載により、当業者には明らかであり、本明細書の記載から、当業者であれば容易に本発明を再現できる。以下に記載された発明の実施の形態及び具体的な実施例などは、本発明の好ましい実施態様を示すものであり、例示又は説明のために示されているのであって、本発明をそれらに限定するものではない。本明細書で開示されている本発明の意図並びに範囲内で、本明細書の記載に基づき、様々な改変並びに修飾ができることは、当業者にとって明らかである。
==バイオマーカーの診断対象となる脂肪性肝疾患==
本明細書において、脂肪性肝疾患を診断するためのバイオマーカーという場合、脂肪性肝疾患に罹患していることを高確率で特定できるバイオマーカー(本明細書では、罹患マーカーと称する)、および、健常者を脂肪性肝疾患の患者から高確率で排除できるバイオマーカー(本明細書では、健常マーカーと称する)の他に、脂肪性肝疾患の患者の中から罹患している脂肪性肝疾患が軽度であると高確率で特定できるバイオマーカー、および、脂肪性肝疾患の患者の中から罹患している脂肪性肝疾患が重度であると高確率で特定できるバイオマーカーも含むものとする。また、診断とは、疾患に罹患しているかどうか、症状を発症しているかどうか、疾患や症状の進行度合いはどうか、などの判断を含むものとする。
ここで、脂肪性肝疾患とは、肝細胞の繊維化や脂肪沈着によって引き起こされる肝疾患であり、例えば、脂肪肝(FL)、非アルコール性脂肪肝(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝硬変および肝癌を含む。この脂肪性肝疾患は進行性であり、FLから始まって、FLの一部がNAFLDへと進行し、さらにその一部がNASHへと進行する。そして、NASHは、さらにその一部が肝硬変へと進行し、肝硬変の一部が肝癌へと進行する。
このとき、肝細胞の繊維化や脂肪沈着を発症し、症状が進行するに伴い、脂肪性肝疾患が悪化することから、肝細胞の繊維化や脂肪沈着の進行度が分かれば、脂肪性肝疾患に罹患しているか否か、そして、罹患している脂肪性肝疾患が軽度であるか重度であるかを判定することができる。
==バイオマーカーの含有量の測定方法==
本発明にかかるバイオマーカーは、エチオコラノロン3−硫酸(etiocholanolone-3α-ol-17-one sulfate)、ネルボン酸(nervonic acid)、α−トコフェロール(α-tocopherol)、16−ヒドロキシデヒドロエピアンドロステロン3−硫酸(16-hydroxydehydroepiandrosterone 3-sulfate)、デヒドロエピアンドロステロン−2硫酸(dehydroepiandrosteron disulfates)、タウリン(taurine)、15−ヒドロキシエイコサテトラエン酸(15-hydroxyeicosatetraenoic acid)、セロトニン(serotonin)およびチロキシン(tyroxine)である。
これらのバイオマーカーのうち、エチオコラノロン3−硫酸、ネルボン酸およびα−トコフェロールは、肝細胞の繊維化および脂肪沈着を診断することができ、16−ヒドロキシデヒドロエピアンドロステロン3−硫酸、デヒドロエピアンドロステロン−2硫酸、タウリンおよび15−ヒドロキシエイコサテトラエン酸は、肝細胞の繊維化を診断することができ、そして、セロトニンおよびチロキシンは、肝細胞の脂肪沈着を診断することができる。上述の通り、肝細胞の繊維化および/または脂肪沈着を診断することによって、脂肪性肝疾患に罹患しているか否か、および、罹患している脂肪性肝疾患が軽度であるか重度であるかを判定することができる。
脂肪性肝疾患に罹患しているか否か、および、罹患している脂肪性肝疾患が軽度であるか重度であるかは、患者から採取した血液中のバイオマーカーの含有量を測定することにより診断できる。
採取された血液に含まれる、バイオマーカーの含有量を測定するにあたっては、測定に先立って、血液に前処理をしておくことが好ましい。例えば、静置や遠心分離などによって血液から血清または血漿を分離し、取り出した血清または血漿を測定に用いることが好ましい。
採取された血液に含まれるバイオマーカーである化合物の含有量は、公知の方法によって測定することができる。例えば、高速液体クロマトグラフィー-質量分析計(LC-MS)や、ガスクロマトグラフィー-質量分析計(GC-MS)などの目的とする化合物を単離した後の質量を測定する方法が挙げられるが、これらに限定されない。なお、高速液体クロマトグラフィーを用いる場合には、複数のイオン性代謝物質が同時に分析可能なカラム(例えば、イオン交換カラム)を用いることが好ましい。
また、目的とする化合物を測定する方法として、NMR分析を利用する測定方法、酸アルカリ中和滴定を利用する測定方法、アミノ酸分析計による測定方法、酵素法による測定方法、核酸アプタマー/ペプチドアプタマーを利用する測定方法、比色定量による測定方法、高速液体クロマトグラフィーのみを利用する測定方法、ガスクロマトグラフィーのみを利用する測定方法、及び、質量分析計のみによる測定方法等が挙げられるが、これらに限定されない。高速液体クロマトグラフィーを用いる場合には、複数のイオン性代謝物質が同時に分析可能なカラム(例えば、イオン交換カラム)を用いることが好ましい。
血液に含まれる複数種類のバイオマーカーである化合物の含有量を、全種類一斉に測定できるという観点から、キャピラリー電気泳動-飛行時間型質量分析計(CE-TOFMS)を用いて測定することが好ましい。CE-TOFMSを用いて測定するにあたっては、前処理によって得られる血清または血漿に、さらに以下の前処理をしておくことが好ましい。
血清または血漿を、アルコール溶媒と混合し、血清中または血漿中に含まれる酵素の反応を停止させる。使用するアルコール溶媒の種類は、メタノールが好ましい。
次に、酵素反応を停止させた血清または血漿に対して、有機溶媒と水とを加えて混合し、得られた混合液を相分離することによって、リン脂質等の脂溶性物質を含む有機相を除去する。用いる有機溶媒の種類は、水と相分離できる有機溶媒であれば特に限定されないが、ジクロロメタン、クロロホルム、及び、ジクロロエタン等が好ましく、クロロホルムが特に好ましい。得られた水相から、タンパク質を除去することが好ましい。タンパク質を除去する方法は、特に限定されないが、例えば、限外ろ過が好ましい。タンパク質を除去した後、水相中に含まれるアルコール溶媒を留去することが好ましい。溶媒を留去する方法は、自然乾燥、減圧乾燥、または、減圧遠心乾燥等、特に限定されないが、短時間で簡便に行えるということを考慮すれば、減圧遠心乾燥が好ましい。
このようにして、採取した血液から不溶物を除去した水溶液を調製し、この不溶物が除去された水溶液を用いてCE-TOFMS測定を行うことが好ましい。
CE-TOFMSを用いた測定のために用いるサンプルは、バイオマーカーである化合物の、電気泳動時間や含有量の測定基準となる内部標準物質を含んでいても良い。内部標準物質は、バイオマーカーである化合物の電気泳動及び質量分析の効率に影響を及ぼさないものであれば特に限定されないが、例えば、メチオニンスルホンや10−カンファースルホン酸(10-camphorsulfonic acid、CSA)であることが好ましい。
キャピラリー電気泳動のためのキャピラリーは、ヒューズドシリカキャピラリーであることが好ましい。また、キャピラリーの内径は、分離能の向上を踏まえれば、100 μm以下であることが好ましく、50 μmであることが特に好ましい。キャピラリーの全長は、50 cm〜150 cmであることが好ましい。
上記キャピラリー電気泳動により得られた各画分中における、目的のバイオマーカーである化合物が含まれた画分を特定する方法は、特に限定されないが、例えば、目的化合物の標品を用いて、予め当該化合物の電気泳動時間を測定しておく方法や、内部標準物質の電気泳動時間との相対時間を利用する方法などが挙げられる。
次に、目的のバイオマーカーである化合物が含まれていると特定された画分中の、目的化合物のm/zを有する化合物の含有量を、ピーク面積として測定する。この測定されたピーク面積は、内部標準物質のピーク面積との比をとることで標準化することができる。また、目的化合物の標品を用いて検量線を作成することによって、測定されたピーク面積から、採血された血液に含まれる目的バイオマーカーである化合物の絶対濃度を求めることができる。
==バイオマーカーの使用方法==
バイオマーカーの使用方法には、例えば、以下の様な態様が含まれる。
<脂肪性肝疾患の診断方法>
まず、ヒトまたはヒト以外の脊椎動物から採血して得られた血液を用いて、血液中のバイオマーカーの含有量を測定することにより、疾患の診断を行うことができる。
ここで、血液中のバイオマーカーの含有量とは、バイオマーカーの絶対濃度が好ましいが、バイオマーカーの絶対濃度と相関して各個体の絶対濃度の比較ができる値であれば限定されず、相対濃度や、単位体積辺りの重量や、絶対濃度を知るために測定した生データ(例えば、CE-TOFMS測定によって得られるグラフのピーク面積を標準化して得られる値)などでも良い。
脂肪性肝疾患に罹患しているか否かを診断する際には、予め、脂肪性肝疾患に罹患していると診断された脊椎動物(本明細書では、疾患脊椎動物とも称する)、および、脂肪性肝疾患ではないと診断された脊椎動物(本明細書では、健常脊椎動物とも称する)の血液中のバイオマーカー量の範囲を計測しておき、診断対象である脊椎動物の血液中のバイオマーカー量が、健常脊椎動物の血液中のバイオマーカー量の範囲に入る場合は、この脊椎動物は脂肪性肝疾患に罹患していない可能性が高く、疾患脊椎動物の血液中のバイオマーカー量の範囲に入る場合は、脂肪性肝疾患に罹患している可能性が高い。
罹患している脂肪性肝疾患が軽度であるか重度であるかを診断する際には、予め、軽度の脂肪性肝疾患に罹患していると診断された脊椎動物(本明細書では、軽度疾患脊椎動物とも称する)、および、重度の脂肪性肝疾患に罹患していると診断された脊椎動物(本明細書では、重度疾患脊椎動物とも称する)の血液中のバイオマーカー量の範囲を計測しておき、診断対象である脊椎動物の血液中のバイオマーカー量が、軽度疾患脊椎動物の血液中のバイオマーカー量の範囲に入る場合は、この脊椎動物が罹患している脂肪性肝疾患は軽度である可能性が高く、重度疾患脊椎動物の血液中のバイオマーカー量の範囲に入る場合は、この脊椎動物が罹患している脂肪性肝疾患は重度である可能性が高い。
また、健常脊椎動物の血液中のバイオマーカー量の範囲として、診断対象となる脊椎動物個体の健常時における血液中のバイオマーカー量の範囲を予め測定しておき、診断時のマーカー量を、健常時のバイオマーカー量の範囲と比較してもよい。
ここで、健常脊椎動物の血液中のバイオマーカー量の範囲は、各動物に対する複数回の測定値の平均値に標準偏差を減じた値から平均値に標準偏差を加えた値までの範囲としてもよく、平均値の下限値から上限値までの範囲としてもよく、特に限定されるものではないが、バイオマーカーによって、疾患を診断する際に最も好ましい値または範囲を選択すればよい。
あるいは、疾患脊椎動物と健常脊椎動物とを判別するための、または、軽度疾患脊椎動物と重度疾患脊椎動物とを判別するための、血液中のバイオマーカー量の閾値を決定してもよい。
例えば、疾患脊椎動物と健常脊椎動物とを判別する場合には、予め、複数の疾患脊椎動物および複数の健常脊椎動物の血液中のバイオマーカー量を計測し、閾値を決定する。軽度疾患脊椎動物と重度疾患脊椎動物とを判別する場合には、予め、複数の軽度疾患脊椎動物および複数の重度疾患脊椎動物の血液中のバイオマーカー量を計測し、閾値を決定する。
閾値の決定方法は、当業者の定法に従えばよく、特に限定されないが、疾患脊椎動物と健常脊椎動物とを判別する場合には、疾患脊椎動物が、閾値未満(又は閾値以上)に第1の所定の割合含まれ、健常脊椎動物が、閾値以上(又は閾値未満)に第2の所定の割合含まれるように、閾値を決定すればよい。軽度疾患脊椎動物と重度疾患脊椎動物とを判別する場合には、軽度疾患脊椎動物が、閾値未満(又は閾値以上)に第1の所定の割合含まれ、重度疾患脊椎動物が、閾値以上(又は閾値未満)に第2の所定の割合含まれるように、閾値を決定すればよい。具体的な方法としては、例えば、SAS社の統計ソフトJMPなどを用い、判別のカイ二乗値が最良となるような値を求めてもよい。
バイオマーカーとしては、第1の所定の割合も第2の所定の割合も高い方が好ましく、60%以上であれば良く、70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましく、100%が最も好ましい。両方の値を高く設定すると、特異度(specificity)及び感度(sensitivity)が高くなる。しかしながら、第1と第2の所定の割合を両方とも高くできない場合は、特異度と感度のどちらかが高くなるように閾値を決めても良い。特異度、感度ともに高い方が好ましく、60%以上であれば良く、70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましく、100%が最も好ましい。
なお、疾患脊椎動物と健常脊椎動物とを判別する場合の特異度とは、(閾値以上または未満の健常脊椎動物数)/(健常脊椎動物総数)の百分率のことであり、感度とは、(閾値未満または以上の疾患脊椎動物数)/(疾患脊椎動物総数)の百分率のことである。特異度が高いバイオマーカーは、バイオマーカー量が閾値未満または以上であった場合に脂肪性肝疾患に罹患している確率が高く、脂肪性肝疾患に罹患している患者を特定するバイオマーカー(罹患マーカー)として用いられるのが好ましい。感度が高いバイオマーカーは、バイオマーカー量が閾値以上または未満であった場合に脂肪性肝疾患に罹患していない確率が高く、脂肪性肝疾患に罹患している患者から健常者を排除するバイオマーカー(健常マーカー)として用いられるのが好ましい。
また、軽度疾患脊椎動物と重度疾患脊椎動物とを判別する場合の特異度とは、(閾値以上または未満の軽度疾患脊椎動物数)/(軽度疾患脊椎動物数)の百分率のことであり、感度とは、(閾値未満または以上の重度疾患脊椎動物数)/(重度疾患脊椎動物数)の百分率のことである。特異度が高いバイオマーカーは、バイオマーカー量が閾値未満または以上であった場合に罹患している脂肪性肝疾患が重度である確率が高く、重度の脂肪性肝疾患に罹患している患者を特定するバイオマーカー(本明細書では、このようなバイオカーカーを重度マーカーとも称する。)として用いられるのが好ましい。感度が高いバイオマーカーは、バイオマーカー量が閾値以上または未満であった場合に罹患している脂肪性肝疾患が軽度である確率が高く、軽度の脂肪性肝疾患に罹患している患者を特定するバイオマーカー(本明細書では、このようなバイオカーカーを軽度マーカーとも称する。)として用いられるのが好ましい。
本明細書に記載のバイオマーカーは、罹患マーカーとしても健常マーカーとしても、また、重度マーカーとしても軽度マーカーとしても用いることができる。
肝細胞の繊維化を診断する場合には、エチオコラノロン3−硫酸、ネルボン酸、α−トコフェロール、16−ヒドロキシデヒドロエピアンドロステロン3−硫酸、デヒドロエピアンドロステロン−2硫酸、タウリンおよび15−ヒドロキシエイコサテトラエン酸からなる群から選択される1以上のバイオマーカーを用いることが好ましい。これらのバイオマーカーのうち、エチオコラノロン3−硫酸、ネルボン酸、16−ヒドロキシデヒドロエピアンドロステロン3−硫酸、デヒドロエピアンドロステロン−2硫酸、タウリンおよび15−ヒドロキシエイコサテトラエン酸は、軽度マーカーとしても重度マーカーとしても有効であり、その血漿中の含有量を、診断対象の脊椎動物で測定し、例えば、ヒトの場合、実施例2の[1]で得られた表1で示した範囲にある場合、肝細胞の繊維化は軽度である可能性が高い、または、重度である可能性が高いと診断する。
また、ネルボン酸および16−ヒドロキシデヒドロエピアンドロステロン3−硫酸は、軽度マーカーとして用いられるのが特に好ましく、その血漿中の含有量を、診断対象の脊椎動物で測定し、例えば、ヒトの場合、実施例2の[1]で得られた表2で示した範囲にある場合、肝細胞の繊維化は軽度である可能性が高いと診断する。
さらに、エチオコラノロン3−硫酸、α−トコフェロール、デヒドロエピアンドロステロン−2硫酸、タウリンおよび15−ヒドロキシエイコサテトラエン酸は、重度マーカーとして用いられるのが特に好ましく、その血漿中の含有量を、診断対象の脊椎動物で測定し、例えば、ヒトの場合、表2で示した範囲にある場合、肝細胞の繊維化は重度である可能性が高いと診断する。
Figure 0005636567
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肝細胞の脂肪沈着を診断する場合には、エチオコラノロン3−硫酸、ネルボン酸、α−トコフェロール、セロトニンおよびチロキシンからなる群から選択される1以上のバイオマーカーを用いることが好ましい。
これらのバイオマーカーのうち、エチオコラノロン3−硫酸、ネルボン酸およびα−トコフェロールは、軽度マーカーとして用いられるのが特に好ましく、その血漿中の含有量を、診断対象の脊椎動物で測定し、例えば、ヒトの場合、実施例2の[2]で得られた表3で示した範囲にある場合、肝細胞の脂肪沈着は軽度である可能性が高いと診断する。
また、セロトニンおよびチロキシンは、重度マーカーとして用いられるのが特に好ましく、その血漿中の含有量を、診断対象の脊椎動物で測定し、例えば、ヒトの場合、表3で示した範囲にある場合、肝細胞の脂肪沈着は重度である可能性が高いと診断する。
Figure 0005636567
なお、表1〜3で挙げた閾値は、血液中に含まれるバイオマーカーの含有量をCE-TOFMSによって測定し、得られたグラフのピーク面積を、カチオンモードで測定した場合には10 μMメチオニンスルホンのピーク面積で、また、アニオンモードで測定した場合には10 μM10−カンファースルホン酸のピーク面積で、標準化して得られる値である。また、これら閾値は、特定の集団において、特定の方法によって算出した一例にすぎず、集団が変わると変化する可能性が高い。
すなわち、エチオコラノロン3−硫酸、ネルボン酸およびα−トコフェロールは、肝細胞の繊維化と肝細胞の脂肪沈着の両方について診断できることから、一つのバイオマーカーで多様な面から脂肪性肝疾患の進行度を診断できる点で特に有用である。
本明細書に記載のバイオマーカーは、特定の別のバイオマーカーを組み合わせて、複数のバイオマーカーとして用いることにより、診断精度を上げることができる。ここでいう診断精度とは、受診者動作特性曲線(ROC曲線)の曲線下面積(AUC)が向上することをいう。
肝細胞の繊維化を診断する場合には、2つのバイオマーカーを表4〜10に記載の組み合わせで用いることが好ましい。これらの表のうち、表4は、エチオコラノロン3−硫酸と組み合わせて用いたバイオマーカーの一覧であり、表5は、ネルボン酸と組み合わせて用いたバイオマーカーの一覧であり、表6は、α−トコフェロールと組み合わせて用いたバイオマーカーの一覧であり、表7は、16−ヒドロキシデヒドロエピアンドロステロン3−硫酸と組み合わせて用いたバイオマーカーの一覧であり、表8は、デヒドロエピアンドロステロン−2硫酸と組み合わせて用いたバイオマーカーの一覧であり、表9は、タウリンと組み合わせて用いたバイオマーカーの一覧であり、そして、表10は、15−ヒドロキシエイコサテトラエン酸と組み合わせて用いたバイオマーカーの一覧である。
これらバイオマーカーの血漿中の含有量を、診断対象の脊椎動物で測定し、例えば、ヒトの場合、実施例3の[1]で得られた表4〜10で示した範囲にある場合、肝細胞の繊維化は軽度である可能性が高い、または、重度である可能性が高いと診断する。
Figure 0005636567
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肝細胞の脂肪沈着を診断する場合には、2つのバイオマーカーを表11〜14に記載の組み合わせで用いることが好ましい。これらの表のうち、表11は、エチオコラノロン3−硫酸と組み合わせて用いたバイオマーカーの一覧であり、表12は、ネルボン酸と組み合わせて用いたバイオマーカーの一覧であり、表13は、セロトニンと組み合わせて用いたバイオマーカーの一覧であり、そして、表14は、チロキシンと組み合わせて用いたバイオマーカーの一覧である。
これらバイオマーカーの血漿中の含有量を、診断対象の脊椎動物で測定し、例えば、ヒトの場合、実施例3の[2]で得られた表11〜14で示した範囲にある場合、肝細胞の脂肪沈着は軽度である可能性が高い、または、重度である可能性が高いと診断する。
Figure 0005636567
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なお、表4〜14で挙げた閾値は、まず、血液中に含まれる2つのバイオマーカーの含有量をCE-TOFMSによって測定し、得られたグラフのピーク面積を、それぞれ、カチオンモードで測定した場合には10 μMメチオニンスルホンのピーク面積で、アニオンモードで測定した場合には10 μM10−カンファースルホン酸のピーク面積で、標準化して相対面積値を求めた後に、表4〜14に記載の、分子となるバイオマーカーの相対面積値を分母となるバイオマーカーの相対面積値で割り、対数変換した値である。
これら閾値は、特定の集団において、特定の方法によって算出した一例にすぎず、集団が変わると変化する可能性が高い。
また、バイオマーカーによる診断を、肝生検などの、従来の診断方法と組み合わせて診断してもよい。
このように、これらのバイオマーカーを用いることによって、より簡便で精度の高い、肝細胞の繊維化や脂肪沈着を含む脂肪性肝疾患の診断が行えるようになる。
<治療薬の効果の判定>
一般に、疾患の治療薬は、個体によってその効果がばらつくことがある。従って、各個体における、ある治療薬の効果を調べることは非常に有益であり、本発明のバイオマーカーを用いれば、容易にその治療薬の効果を調べることができる。
例えば、脂肪性肝疾患に対する治療薬を投薬する前後で、疾患脊椎動物から血液を採血し、その採血した血液に含まれるバイオマーカーの含有量を測定して、治療薬を投薬する前後の血液におけるバイオマーカーの含有量を比較する。そして、治療薬の投与後に、そのバイオマーカーの含有量が健常の範囲に近づけば、治療薬は効果があると判定できる。このように、本発明のバイオマーカーを用いることにより、治療薬の効果があるかどうかについて容易に判定することができる。
<脂肪性肝疾患のモデル動物のスクリーニング方法>
本発明のバイオマーカーを用いることにより、脂肪性肝疾患のモデル動物を容易にスクリーニングすることができる。
例えば、候補の動物(ヒトを除く)の血液に含まれるバイオマーカーの含有量を測定して、同種の健常な動物の血液中のバイオマーカーの含有量と比較することにより、その動物を診断し、脂肪性肝疾患のモデル動物かどうかを判断できる。
<脂肪性肝疾患に効果のある治療薬のスクリーニング方法>
脂肪性肝疾患を有する実験動物を用いて、脂肪性肝疾患の治療に効果がある候補物質(例えば、化合物など)を同定することができる。
例えば、脂肪性肝疾患のモデル動物(ヒトを除く)に脂肪性肝疾患の治療薬の候補である化合物を投与し、投与前後で採血し、その血液に含まれるバイオマーカーの含有量を測定して、その化合物を投与する前後の血液におけるバイオマーカーの含有量を比較する。化合物投与後に、そのバイオマーカーの含有量が健常の範囲に近づけば、投与した化合物は脂肪性肝疾患の治療に効果があると判定できる。このように、本発明のバイオマーカーを用いることにより、疾患の治療に効果がある化合物を容易にスクリーニングすることも可能である。
<疾患動物に最も効果のある治療薬のスクリーニング方法>
個体によって薬効が異なる治療薬の場合、脂肪性肝疾患を有する個体に複数の治療薬を試してみて、バイオマーカーによって診断し、その個体にとって最も有効な治療薬をスクリーニングすることも可能である。
==バイオマーカーを利用するためのコンピュータ==
上述したように、脊椎動物個体から採取された血液に含まれるバイオマーカーである化合物の含有量が測定された後、その結果が、コンピュータに送信され、上述の方法に従って、コンピュータが、その結果を利用してもよい。
例えば、医療従事者が、脊椎動物個体から血液を採取し、適切に処理をして、サンプルをバイオマーカー測定装置にセットする。コンピュータは、バイオマーカー測定装置に、サンプル中のバイオマーカーの含有量を測定させ、測定結果を取得する。そして、コンピュータは、取得した血液中のバイオマーカーの含有量に基づいて、診断対象の被験者が健常者であるか、健常者でないか、軽度の脂肪性肝疾患を罹患しているか、軽度の脂肪性肝疾患を罹患していないか、重度の脂肪性肝疾患を罹患しているか、あるいは、重度の脂肪性肝疾患を罹患していないか、のいずれか一つ以上を判定する。また、コンピュータは、上述した方法と同様にして、脂肪性肝疾患に対する治療薬の薬効を判定することもできる。コンピュータは、そのようにして得られた判定結果を出力し、医療従事者は、診断対象の被験者についての情報を得ることが可能になる。
なお、本発明のプログラムは、コンピュータに、取得した血液中のバイオマーカーの含有量を利用する方法を実行させるものである。また、コンピュータに、バイオマーカー測定装置にサンプル中のバイオマーカーの含有量を測定させる工程を実行させてもよい。
そして、このようなプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録することもできる。記録媒体は、ハードディスク、CD、DVD、USBメモリ、フロッピーディスクなど、特に限定されない。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。本実施例では、脂肪性肝疾患であると予め診断された患者に対し、本発明のマーカーを用いることにより、実際に、軽度の脂肪性肝疾患の患者と重度の脂肪性肝疾患の患者とを区別しうることを示す。
[実施例1] バイオマーカーの測定
[1] 脂肪性肝疾患の生検による診断および採血
脂肪性肝疾患の生検による診断は、Nonalcoholic steatohepatitis: risk factors for liver fibrosis (2002)、Hepatol Res.、24(4):429-438の基準に従って行った。具体的には、以下の通りである。
肝臓の生検標本の全てを、ヘマトキシリン=エオシン染色、マロリー染色、銀−レチクリン染色およびペルルスの鉄染色を用いて評価した。判定は、各患者の医学的及び生化学的データを知らない評価者によって行われた。
肝細胞の繊維化の進行度(Fスコア)については、0、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5および4.0の9段階に分け、スコアリングした。各整数の段階は、それぞれ、0は正常な結合組織、1.0はゾーン3における収束した細胞周囲の繊維化、2.0はゾーン3及び2に限定された細静脈周囲又は細胞周囲の繊維化(門脈/門脈周囲の繊維化を伴っても伴わなくてもよい)、3.0は架橋または隔壁を形成した繊維化、そして、4.0は肝硬変に該当し、また、各小数の段階は、これら整数の段階の間の状態に該当する。
肝細胞の脂肪沈着の進行度(Sスコア)については、0、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5および3.0の7段階に分け、スコアリングした。各整数の段階は、それぞれ、0は正常な結合組織、1.0は肝細胞の10〜29%に影響有、2.0は肝細胞の30〜69%に影響有、そして、3.0は肝細胞の70%以上に影響有に該当し、また、各小数の段階は、これら整数の段階の間の状態に該当する。
即ち、各患者を、例えば、Fスコアは2.5、Sスコアは3.0のように、それぞれ分類した。
このようにして脂肪性肝疾患であると診断された44名の各患者から、本発明のマーカーの血漿中濃度を測定するために、5mLの血を採取し、血漿を分離し、測定まで液体窒素中で保管した。
[2] 血漿サンプルの調製
血液中に含まれる各バイオマーカーである化合物の量を、キャピラリー電気泳動-飛行時間型質量分析計(CE-TOFMS)、および液体クロマトグラフィー-飛行時間型質量分析計(LC-TOFMS)で測定するべく、以下の方法で測定用血漿サンプルを調製した。
インフォームドコンセントを得たうえで患者から採血し調製された血漿100 μL(東京女子医科大学が採取)を、遠心チューブに入れた。CE-TOFMS測定用には、内部標準溶液として10 μMのメチオニンスルホンと10 μMの10−カンファースルホン酸(H3304-1002、販売製造元:ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社)を含有するメタノール(和光純薬、LC/MS用)0.45 mLを加え、クロロホルム(和光純薬、試薬特級)0.5 mLおよびMilli-Q水200 μLを加えた後、ボルテックスで30秒間よく混合し、遠心分離(4℃、2,300 × g、5分)した。水相を限外ろ過フィルター(ミリポア社 Ultrafree-MCPBCC 遠心式フィルターユニット 5kDa)に移し、フィルターカップ内の溶液が、ほぼなくなるまで遠心ろ過(4℃、9,100 × g、2 - 4時間)した。フィルターカップを取り除き、ろ液を減圧下で遠心乾燥した。乾燥物を、内部標準物質を添加した50 μLのMilli-Q水に再溶解することによって、CE-TOFMS測定用サンプルを調製した。
LC-TOFMS測定用には、内部標準溶液として6.7 μMの10−カンファースルホン酸を含有する300μL 1%ギ酸アセトニトリル(CAN)を加えて遠心分離(5000 rpm, 5 min)を行い、沈殿を取り除いた。Hybrid-SPE PPT(30mg)を1 mLのACN、1 mLの1%ギ酸ACNでコンディショニングし、除タンパクを行った試料を充填した。試料の全量が固相を通過したのち、300 μLのACNで洗浄を行った。通液は自然滴下にて行い、固相を通過させた試料にN2を吹き付け乾燥させた。乾燥させた試料を50% イソプロピルアルコール(IPA)100 μLで溶解した。
[3] CE-TOFMS、およびLC-TOFMSの測定方法と結果の解析方法
CE-TOFMSの測定、および、引き続くデータ解析は、Agilent CE-TOF-MSD system(Agilent Technologies社)を用いて行った。また、キャピラリーには、Fused silica capillaryを用いて行った。LC-TOFMSの測定、および、引き続くデータ解析は、Agilent LC-TOF-MSD system(Agilent Technologies社)を用いて行った。また、カラムには、CAPCELL PAK(IF 2 mm I.D. x 50 mm L., 2.0 μm)(資生堂社)を用いて行った。
CE-TOFMSの測定の測定条件は、下記の通りである。
(A)カチオンモード
Run buffer : Cation Buffer Solution ( p/n : H3301-1001)
Rinse buffer : Cation Buffer Solution ( p/n : H3301-1001)
Sample injection : Pressure injection 50 mbar, 10 sec
CE voltage : Positive, 30 kV
MS ionization : ESI Positive
MS capillary voltage : 4,000 V
MS scan range : m/z 50-1,000
Sheath liquid : HMT Sheath Liquid ( p/n : H3301-1020)
(B)アニオンモード
Run buffer : Anion Buffer Solution ( p/n : H3302-1021)
Rinse buffer : Anion Buffer Solution ( p/n : H3302-1022)
Sample injection : Pressure injection 50 mbar, 25 sec
CE voltage : Positive, 30 kV
MS ionization : ESI Negative
MS capillary voltage : 3,500 V
MS scan range : m/z 50-1,000
Sheath liquid : HMT Sheath Liquid ( p/n : H3301-1020)
LC-TOFMSの測定の測定条件は、下記の通りである。
(C)カチオンモード
Mobile phase A : 0.1%HCOOH H2O
Mobile phase B : 0.1%HCOOH, 2mM HCONH4 H2O/CAN/IPA: 5/30/65
Mobile condition : 0-0.5 min B 1%, 0.5-13.5 min B 1-100%, 13.5-25 min B 100%
Flow : 0.3 ml/min
Injection volume : 1μL
Temperature : 40℃
MS ionization : ESI Positive
MS capillary voltage : 400 V
MS scan range : m/z 100-1,690
(D)アニオンモード
Mobile phase A : 0.1%HCOOH H2O
Mobile phase B : 0.1%HCOOH, 2mM HCONH4 H2O/CAN/IPA: 5/30/65
Mobile condition : 0-0.5 min B 1%, 0.5-13.5 min B 1-100%, 13.5-25 min B 100%
Flow : 0.3 ml/min
Injection volume : 1μL
Temperature : 40℃
MS ionization : ESI Negative
MS capillary voltage : 400 V
MS scan range : m/z 100-1,690
CE-TOFMSで検出されたピークは、ピーク情報としてm/z、泳動時間(Migration time: MT)および面積値を得た。得られたピーク面積値は下記の式を用いて相対面積値に変換した。
カチオンモードで測定した場合:
相対面積値=(目的ピークの面積値)/(メチオニンスルホンのピーク面積値)
アニオンモードで測定した場合:
相対面積値=(目的ピークの面積値)/(10−カンファースルホン酸のピーク面積値)
LC-TOFMSで検出されたピークは、ピーク情報としてm/z、保持時間(Retention time: RT)および面積値を得た。得られたピーク面積値は下記の式を用いて相対面積値に変換した。
相対面積値=(目的ピークの面積値)/(10−カンファースルホン酸のピーク面積値)
[4] CE-TOFMS、およびLC-TOFMSによるバイオマーカーの血漿中濃度測定と結果の解析
脂肪性肝疾患を罹患している患者から採血し調製された血漿由来の測定用サンプルについて、カチオンモード及びアニオンモードでのCE-TOFMS、およびLC-TOFMS測定を行った。この測定により、各サンプル内に含まれる、各化合物の含有量のデータをピーク面積として得た。
[実施例2] 単独のバイオマーカーを用いた診断
[1] Fスコア
このピーク面積のデータから、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ社の統計ソフトStatSuit、及びフリー統計ソフトのRを用い、Fスコアに基づいて軽度であるのか重度であるのかを区別しうる閾値を求めた。
表15に、感度または特異度が最大となるように閾値を定めた場合の、(i)閾値と、(ii)その閾値以上、またはその閾値未満の範囲に含まれる、軽度の脂肪性肝疾患の患者数または重度の脂肪性肝疾患の患者数と、(iii)特異度および感度とを示す。
表16に、感度と特異度とのバランスが最も良いように閾値を定めた場合の、(i)閾値と、(ii)その閾値以上、またはその閾値未満の範囲に含まれる、軽度の脂肪性肝疾患の患者数または重度の脂肪性肝疾患の患者数と、(iii)特異度および感度とを示す。
表15および表16の比較群の欄に記載された、例えば、「F<3 対 F≧3」とは、Fスコアが3.0未満の群を軽度とし、Fスコアが3.0以上の群を重度として、両群を比較したことを示す。
Figure 0005636567
Figure 0005636567
表15が示すように、ネルボン酸および16−ヒドロキシデヒドロエピアンドロステロン3−硫酸は、特に感度が高く、肝細胞の繊維化が軽度である患者を捕捉する能力が高いので、軽度マーカーとして用いるのが好ましい。また、エチオコラノロン3−硫酸、α−トコフェロール、デヒドロエピアンドロステロン−2硫酸、タウリンおよび15−ヒドロキシエイコサテトラエン酸は、特に特異度が高く、肝細胞の繊維化が重度である患者を捕捉する能力が高いので、重度マーカーとして用いるのが好ましい。
特に、表16が示すように、閾値の設定によっては、感度、特異度共に60%以上にし得る化合物である、エチオコラノロン3−硫酸、ネルボン酸、16−ヒドロキシデヒドロエピアンドロステロン3−硫酸、デヒドロエピアンドロステロン−2硫酸、タウリンおよび15−ヒドロキシエイコサテトラエン酸は、軽度マーカーとしても重度マーカーとしても有効であり、単独で両者の診断に用いることもできる。
なお、マーカーによって、肝細胞の繊維化が重度であるか軽度であるかの定義が異なり、エチオコラノロン3−硫酸、ネルボン酸、α−トコフェロール、16−ヒドロキシデヒドロエピアンドロステロン3−硫酸およびデヒドロエピアンドロステロン−2硫酸の場合、Fスコアが3.0未満で軽度、3.0以上で重度とするが、タウリンおよび15−ヒドロキシエイコサテトラエン酸の場合、Fスコアが4.0未満で軽度、4.0以上で重度とする。
[2] Sスコア
次に、得られたピーク面積のデータから、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ社の統計ソフトStatSuit、及びフリー統計ソフトのRを用い、罹患している脂肪性肝疾患が、Sスコアに基づいて軽度であるのか重度であるのかを区別しうる閾値を求めた。
表15に、感度または特異度が最大となるように閾値を定めた場合の、(i)閾値と、(ii)その閾値以上、またはその閾値未満の範囲に含まれる、軽度の脂肪性肝疾患の患者数または重度の脂肪性肝疾患の患者数と、(iii)特異度および感度とを示す。また、比較群の欄に記載された、例えば、「S<3 対 S≧3」とは、Sスコアが3.0未満の群を軽度とし、Sスコアが3.0以上の群を重度として、両群を比較したことを示す。
Figure 0005636567
表17が示すように、エチオコラノロン3−硫酸、ネルボン酸およびα−トコフェロールは、特に感度が高く、肝細胞の脂肪沈着が軽度である患者を捕捉する能力が高いので、軽度マーカーとして用いるのが好ましい。また、セロトニンおよびチロキシンは、特に特異度が高く、肝細胞の脂肪沈着が重度である患者を捕捉する能力が高いので、重度マーカーとして用いるのが好ましい。
なお、マーカーによって、脂肪沈着が重度であるか軽度であるかの定義が異なり、エチオコラノロン3−硫酸、ネルボン酸およびα−トコフェロールの場合、Sスコアが3.0未満で軽度、3.0以上で重度とするが、セロトニンおよびチロキシンの場合、Sスコアが2.0未満で軽度、2.0以上で重度とする。
さらに、エチオコラノロン3−硫酸、ネルボン酸およびα−トコフェロールは、肝細胞の脂肪沈着のみならず、[1]で示したように、肝細胞の繊維化の進行度についても診断できることから、一つのバイオマーカーで多様な面から脂肪性肝疾患の進行度を診断できる点で特に有用である。
[実施例3] 複数のバイオマーカーを用いた診断
[1] Fスコア
上記実施例2の[1]のバイオマーカーは、特定の別のバイオマーカーを組み合わせて、複数のバイオマーカーとして用いることにより、診断精度を上げることができる。
本実施例では、上記実施例2の[1]のバイオマーカーに、別の1つのバイオマーカーを組み合わせた、2つのバイオマーカーを用いて、軽度の脂肪性肝疾患の患者と重度の脂肪性肝疾患の患者との区別を行った。
まず、実施例1の[4]で得られたピーク面積のデータを用いて、上記別のバイオマーカーの相対面積値を、実施例2の[1]のバイオマーカーの相対面積値で割った値を求めた。求めた値を対数変換した後に、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ社の統計ソフトStatSuit、及びフリー統計ソフトのRを用い、罹患している脂肪性肝疾患が、Fスコアに基づいて軽度であるのか重度であるのかを区別しうる閾値を求めた。このとき、閾値は、感度または特異度が最大となるように定めた。
表18〜24に、このようにして定めた(i)閾値と、(ii)その閾値以上、またはその閾値未満の範囲に含まれる、軽度の脂肪性肝疾患の患者数または重度の脂肪性肝疾患の患者数と、(iii)特異度および感度とを示す。
これらの表のうち、表18は、エチオコラノロン3−硫酸と組み合わせて用いたバイオマーカーの一覧であり、表19は、ネルボン酸と組み合わせて用いたバイオマーカーの一覧であり、表20は、α−トコフェロールと組み合わせて用いたバイオマーカーの一覧であり、表21は、16−ヒドロキシデヒドロエピアンドロステロン3−硫酸と組み合わせて用いたバイオマーカー一覧であり、表22は、デヒドロエピアンドロステロン−2硫酸と組み合わせて用いたバイオマーカー一覧であり、表23は、タウリンと組み合わせて用いたバイオマーカーの一覧であり、そして、表24は、15−ヒドロキシエイコサテトラエン酸と組み合わせて用いたバイオマーカーの一覧である。
Figure 0005636567
Figure 0005636567
Figure 0005636567
Figure 0005636567
Figure 0005636567
Figure 0005636567
Figure 0005636567
このように、特定のバイオマーカーを組み合わせて用いることによって、上記実施例2の[1]のバイオマーカーを単独で用いた場合よりも、受診者動作特性曲線(ROC曲線)の曲線下面積(AUC)または感度及び/又は特異度が向上し、患者の肝細胞の繊維化の進行度が重度であるか軽度であるかを、より高い診断精度で診断できるようになった。この結果、患者が罹患している脂肪性肝疾患が軽度であるか重度であるかを、より高い診断精度で診断できるようになった。
これらのバイオマーカーに関しては、血液をCE-TOFMS測定するのみで、血液における全てのバイオマーカーの含有量を一斉に測定できるため、複数のバイオマーカーの結果を組み合わせて診断することが極めて容易である。
[2] Sスコア
上記実施例2の[2]のバイオマーカーに、別の1つのバイオマーカーを組み合わせた、2つのバイオマーカーを用いて、軽度の脂肪性肝疾患の患者と重度の脂肪性肝疾患の患者との区別を行った。
まず、実施例1の[4]で得られたピーク面積のデータを用いて、上記別のバイオマーカーの相対面積値を、実施例2の[2]のバイオマーカーの相対面積値で割った値を求めた。求めた値を対数変換した後に、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ社の統計ソフトStatSuit、及びフリー統計ソフトのRを用い、罹患している脂肪性肝疾患が、Sスコアに基づいて軽度であるのか重度であるのかを区別しうる閾値を求めた。このとき、閾値は、感度または特異度が最大となるように定めた。
表25〜28に、このようにして定めた(i)閾値と、(ii)その閾値以上、またはその閾値未満の範囲に含まれる、軽度の脂肪性肝疾患の患者数または重度の脂肪性肝疾患の患者数と、(iii)特異度および感度とを示す。
これらの表のうち、表25は、エチオコラノロン3−硫酸と組み合わせて用いたバイオマーカーの一覧であり、表26は、ネルボン酸と組み合わせて用いたバイオマーカーの一覧であり、表27は、セロトニンと組み合わせて用いたバイオマーカーの一覧であり、そして、表28は、チロキシンと組み合わせて用いたバイオマーカーの一覧である。
Figure 0005636567
Figure 0005636567
Figure 0005636567
Figure 0005636567
このように、特定のバイオマーカーを組み合わせて用いることによって、上記実施例2の[2]のバイオマーカーを単独で用いた場合よりも、ROC曲線のAUCまたは感度及び/又は特異度が向上し、患者の肝細胞の脂肪沈着の進行度が重度であるか軽度であるかを、より高い診断精度で診断できるようになった。この結果、患者が罹患している脂肪性肝疾患が軽度であるか重度であるかを、より高い診断精度で診断できるようになった。
これらのバイオマーカーに関しては、血液をCE-TOFMS測定するのみで、血液における全てのバイオマーカーの含有量を一斉に測定できるため、複数のバイオマーカーの結果を組み合わせて診断することが極めて容易である。
本発明によって、脂肪性肝疾患を診断するためのバイオマーカー及びそのバイオマーカーを用いた診断方法を提供することができるようになった。

Claims (12)

  1. 脂肪性肝疾患を診断するためのバイオマーカーであって、血液中の16−ヒドロキシデヒドロエピアンドロステロン3−硫酸を含むことを特徴とする、前記バイオマーカー。
  2. さらに、血液中のデヒドロエピアンドロステロン3−硫酸、エチオコラノロン3−硫酸及びデヒドロエピアンドロステロン−2硫酸からなる群から選択されるいずれか1種を含むことを特徴とする、請求項1に記載のバイオマーカー。
  3. 前記脂肪性肝疾患が重度であるか軽度であるかを検出することを特徴とする、請求項1又は2に記載のバイオマーカー。
  4. 前記脂肪性肝疾患が肝細胞の繊維化であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のバイオマーカー。
  5. 脂肪性肝疾患を検出する方法であって、
    (1)脂肪性肝疾患が疑われる被験者から採取された血液中の16−ヒドロキシデヒドロエピアンドロステロン3−硫酸の含有量を測定するステップ、
    及び、
    (2)ステップ(1)で得られた前記測定値を、脂肪性肝疾患の罹患の有無が判明している者から採取された血液中の16−ヒドロキシデヒドロエピアンドロステロン3−硫酸の含有量からなる参照値と比較し、ここで、前記測定値が前記参照値よりも高いと、前記被験者は脂肪性肝疾患に罹患しているとするステップ
    を含む、前記方法。
  6. 前記脂肪性肝疾患が重度であるか軽度であるかを検出することを特徴とする、請求項5に記載の検出方法。
  7. 前記脂肪性肝疾患が肝細胞の繊維化であることを特徴とする、請求項5又は6に記載の検出方法。
  8. 脂肪性肝疾患を検出する方法であって、
    (1)脂肪性肝疾患が疑われる被験者から血液を採取された血液中の16−ヒドロキシデヒドロエピアンドロステロン3−硫酸の含有量、並びにデヒドロエピアンドロステロン3−硫酸、エチオコラノロン3−硫酸及びデヒドロエピアンドロステロン−2硫酸からなる群から選択されるいずれか1種の含有量を測定するステップ、
    (2)ステップ(1)で得られた前記デヒドロエピアンドロステロン3−硫酸、エチオコラノロン3−硫酸及びデヒドロエピアンドロステロン−2硫酸から群から選択されるいずれか1種の測定値を、前記16−ヒドロキシデヒドロエピアンドロステロン3−硫酸の測定値で除算するステップ、
    及び、
    (3)ステップ(2)で得られた前記計算値を、脂肪性肝疾患の罹患の有無が判明している者から採取された血液中のデヒドロエピアンドロステロン3−硫酸、エチオコラノロン3−硫酸及びデヒドロエピアンドロステロン−2硫酸からなる群から選択されるいずれか1種の含有量を16−ヒドロキシデヒドロエピアンドロステロン3−硫酸の含有量で除算した数値からなる参照と比較し、ここで、前記計算値が前記参照よりも低いと、前記被験者は脂肪性肝疾患に罹患しているとするステップ、
    を含む、前記方法。
  9. 前記脂肪性肝疾患が重度であるか軽度であるかを検出することを特徴とする、請求項8に記載の検出方法。
  10. 前記脂肪性肝疾患が肝細胞の繊維化であることを特徴とする、請求項8又は9に記載の検出方法。
  11. 診断対象の被験者から採取された血液中のバイオマーカーの含有量を取得するステップ、
    前記取得された含有量に基づいて、被験者が健常者であるか、健常者でないか、軽度の脂肪性肝疾患を罹患しているか、軽度の脂肪性肝疾患を罹患していないか、重度の脂肪性肝疾患を罹患しているか、重度の脂肪性肝疾患を罹患していないか、繊維化が重度であるか、あるいは繊維化が重度でないかのいずれか一つ以上を判定するステップ、及び、
    得られた判定結果を出力するステップ、
    をコンピューターに実行させるためのプログラムであって、
    前記バイオマーカーが、16−ヒドロキシデヒドロエピアンドロステロン3−硫酸を含むことを特徴とする、前記プログラム。
  12. 前記バイオマーカーが、さらに、血液中のデヒドロエピアンドロステロン3−硫酸、エチオコラノロン3−硫酸及びデヒドロエピアンドロステロン−2硫酸からなる群から選択されるいずれか1種を含むことを特徴とする、請求項11に記載のプログラム。
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