JP5636236B2 - 硝酸含有水の処理方法及び硝酸含有水の処理装置 - Google Patents
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Description
硝酸性窒素等のヒトへの影響としては、特に乳幼児でのメトヘモグロビン血症の発症が知られている。また、体内において、発ガン性物質であるN−ニトロソ化合物を生成することも知られている。そのため、日本国内においては硝酸性窒素等の排水基準が設けられ、硝酸含有水の処理が重要視されている。
2NO3 −+10(H)→N2+2OH−+4H2O ・・・(1)
2NO2 −+6(H) →N2+2OH−+2H2O ・・・(2)
上記の反応式においては、水素(H)は、有機物の分解で与えられるものであり、したがって、脱窒反応には有機物が必要となる。この有機物は被処理水中に生分解可能な形で含まれている場合にはそれが利用され、また微生物体内中にある有機物も利用されるが、被処理水中に有機物が無いか不足している場合には、外部から有機物(通常はメタノール)が添加される。
しかしながら、前記USB方式の処理装置を用いた硝酸含有水の処理方法では、グラニュールの形成に時間(馴養期間)がかかり、また、維持が難しく低濃度の硝酸含有水の処理は難しいという問題がある。
しかしながら、前記担体を含む水処理装置を用いた硝酸含有水の処理方法では、固定化した担体の寿命が短く、コストが増大してしまい、また、高濃度の硝酸含有水の処理は難しいという問題がある。
しかしながら、高濃度の硝酸含有水は、脱窒反応に伴うpHの上昇による前記脱窒細菌の死滅、浸透圧上昇による前記脱窒細菌の生体内からの水の浸出による死滅が起こるおそれがある。
しかしながら、上記活性汚泥方式の処理装置を用いた硝酸含有水の処理方法では、活性汚泥を用いるため、装置が大型で、処理速度も遅く、また、塩酸などの薬剤を多量に投入しなければならないため、コストが増大してしまい、また、塩酸を攪拌するために担体が壊れてしまうという問題がある。
<1> 硝酸を含有する被処理水を、脱窒槽の下部より上向流で流動させる流動工程と、
前記脱窒槽に、CO2含有ガスを供給し、脱窒槽の被処理水のpHを調整するCO2供給工程と、
前記被処理水及び前記CO2含有ガスを、窒素除去性能を有する汚泥を含有する微生物含有担体と接触させ、前記被処理水中の窒素を除去する窒素除去工程と、を含むことを特徴とする硝酸含有水の処理方法である。
<2> 微生物含有担体が、窒素除去性能を有する汚泥をアルギン酸で固定し、微粒子化した後、ポリエチレングリコールで固定した微生物含有担体である前記<1>に記載の硝酸含有水の処理方法である。
<3> 微粒子の大きさが、0.5mm〜2mmである前記<2>に記載の硝酸含有水の処理方法である。
<4> 微生物含有担体の大きさが、2mm〜4mmである前記<1>から<3>のいずれかに記載の硝酸含有水の処理方法である。
<5> 脱窒槽における微生物含有担体の充填量が、50体積%である前記<1>から<4>のいずれかに記載の硝酸含有水の処理方法である。
<6> 脱窒槽における被処理水のpHが、7.0〜7.4である前記<1>から<5>のいずれかに記載の硝酸含有水の処理方法である。
<7> 硝酸含有水が、排水である前記<1>から<6>のいずれかに記載の硝酸含有水の処理方法である。
<8> 硝酸を含有する被処理水を、脱窒槽の下部より上向流で流動させる流動手段と、
前記脱窒槽に、脱窒槽の被処理水のpHを調整するCO2含有ガスを供給するCO2供給手段と、
前記被処理水と前記CO2含有ガスを、窒素除去性能を有する汚泥を含有する微生物含有担体と接触させ、被処理水中の窒素を除去する窒素除去手段と、を有することを特徴とする硝酸含有水の処理装置である。
<9> 微生物含有担体が、窒素除去性能を有する汚泥をアルギン酸で固定し、微粒子化した後、ポリエチレングリコールで固定した微生物含有担体である前記<8>に記載の硝酸含有水の処理装置である。
<10> 微粒子の大きさが、0.5mm〜2mmである前記<9>に記載の硝酸含有水の処理装置である。
<11> 微生物含有担体の大きさが、2mm〜4mmである前記<8>から<10>のいずれかに記載の硝酸含有水の処理装置である。
<12> 脱窒槽における微生物含有担体の充填量が、50体積%である前記<8>から<11>のいずれかに記載の硝酸含有水の処理装置である。
<13> 脱窒槽における被処理水のpHが、7.0〜7.4である前記<8>から<12>のいずれかに記載の硝酸含有水の処理装置である。
<14> 硝酸含有水が、排水である前記<8>から<13>のいずれかに記載の硝酸含有水の処理装置である。
本発明の硝酸含有水の処理方法は、流動工程と、CO2供給工程と、窒素除去工程とを少なくとも含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
前記各工程は、同時に行ってもよいし、別々に行ってもよい。また、前記各工程を行う順序としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
本発明の硝酸含有水の処理装置は、流動手段と、CO2供給手段と、窒素除去手段とを少なくとも有し、更に必要に応じてその他の手段を有する。
本発明の硝酸含有水の処理方法は、本発明の硝酸含有水の処理装置を用いて好適に行うことができる。
前記流動工程は、硝酸を含有する被処理水を、脱窒槽の下部より上向流で流動させる工程である。
前記流動工程は、本発明の流動手段を用いて好適に行うことができる。
前記被処理水は、硝酸性窒素(硝酸態窒素)及び亜硝酸性窒素(亜硝酸態窒素)の少なくともいずれかを含有する硝酸含有水である。前記硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素は、硝酸塩及び亜硝酸塩であり、水中で硝酸イオン(NO3 −)及び亜硝酸イオン(NO2 −)の形で存在する。
本発明は、硝酸イオン、亜硝酸イオンを含有する産業上発生する排水の処理を好適に行うことができる。
前記被処理水中における硝酸イオン(NO3 −)及び亜硝酸イオン(NO2 −)の合計含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、100ppm〜8,000ppmとすることができ、特に1,000ppm以上とすることも可能である。本発明の硝酸含有水の処理方法では、低濃度から高濃度まで、広範囲にわたって処理することが可能である。
前記脱窒槽は、前記被処理水を、ポンプにより、脱窒槽の下部より上向流で流動させ、前記被処理水と、前記微生物含有担体(詳細は後述する。)とを接触させ、前記被処理水中の窒素を除去する際に用いる槽である。
前記脱窒槽の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、円筒形状、角形状などが挙げられる。これらの中でも、被処理水が上向流で流動しやすい点で、上方に開口する円筒の下端部が窄んで尖塔形状となっている形状が好ましい。
前記脱窒槽の構造、材質、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記漏出し防止手段は、脱窒槽の上部開口部に配置され、微生物含有担体が、上向流により脱窒槽外に漏れ出すのを防ぎ、処理後の被処理水のみが凝集槽に流れ込むようにしている。
前記上向流は、前記脱窒槽下部から上部に向かって流れる被処理水の流れである。具体的には、前記被処理水をポンプにより、被処理水供給源から被処理水供給ラインを介して脱窒槽下部に配設された吐出口から吐出させることで、上向流となる。
前記ポンプの材質としては、被処理水である硝酸含有水による劣化、腐食が少ないものが好ましい。
前記ポンプの形状、構造、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記被処理水供給ラインは、脱窒槽内に上部から下部に向かって配設され、吐出口が、脱窒槽の底部と一定の間隔を有するように配設されていることが、上向流が起こりやすく、循環効率が優れている点で、好ましい。
前記吐出口と脱窒槽底部の間隔としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2cm〜10cmが、上向流が生じるのを妨げない点で、好ましい。
また、前記被処理水供給ラインは、脱窒槽の底部に直接配設され、脱窒槽底部に吐出口を有していてもよい。
前記吐出口は、脱窒槽の底面部の中心に配設されていることが、好ましい。
前記被処理水供給ラインの構造、形状、材質、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記CO2供給工程とは、前記被処理水の流動する脱窒槽に、CO2含有ガスを供給し、該被処理水のpHを調整する工程である。
前記CO2供給工程により、窒素除去性能を有する微生物の行う窒素除去(脱窒反応)によるpHの上昇を防ぐことができる。
前記CO2供給工程は、本発明のCO2供給手段を用いて好適に行うことができる。
前記CO2含有ガスの脱窒槽への供給量としては、供給後の被処理水のpHを調整することができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50mL・分/12Lが好ましく、一般的には4.2体積% mL・分/(脱窒槽の容積L)〜8体積% mL・分/(脱窒槽の容積L)が好ましい。
前記被処理水の脱窒槽におけるpHとしては、特に制限はなく、微生物含有担体に用いる微生物により適宜選択することができるが、窒素除去性能を有する微生物を死滅させず、該微生物の活性も高い点で、7.0〜7.4が好ましい。
前記窒素除去工程は、被処理水及びCO2含有ガスを、窒素除去性能を有する汚泥を含有する微生物含有担体と接触させ、被処理水中の窒素を除去する工程である。
前記窒素除去工程は、本発明の窒素除去手段を用いて好適に行うことができる。
前記微生物含有担体は、窒素除去性能を有する汚泥を固定した担体である。
前記窒素除去性能を有する汚泥の固定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ゲル等の固定化材料内に包括固定する方法、プラスチックや不織布等の付着担体に付着固定する方法、プラスチック担体に生物膜を形成して固定する方法、などが挙げられる。これらの中でも包括固定方法が、メンテナンス性が優れる点で、好ましい。
前記ゲル等としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルアルコール、アルギン酸、ポリエチレングリコール(PEG)、などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいが、微生物と直接接する内層と、被処理水と接する外層とで異なる2種以上を併用することが、担体作製時の微生物の失活を防ぐことができる点で好ましい。
前記内層の固定化材料としては、微生物を失活させない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、微生物の食糧にもなる点で、アルギン酸ナトリウムが好ましい。
前記外層の固定化材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、微生物含有担体の被処理水との接触による安定性が高い点で、ポリエチレングリコール(PEG)が、好ましい。
なお、固定化材料として、ポリエチレングリコール(PEG)を単独で用いた場合は、微生物の窒素除去性能を低下乃至失活させてしまうことがある点で、好ましくない。また、固定化材料として、アルギン酸ナトリウムを単独で用いた場合は、微生物含有担体とした際の安定性が悪く、長期間使用ができなくなることがある点で、好ましくない。
また、前記2種以上の固定化材料を用いる場合の微生物含有担体に全体に対する外層材料の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、8体積%〜10体積%が、好ましい。
ここで、前記微粒子の大きさとは、前記微粒子の最大長さをいう。
前記微粒子の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、コーヒーミルで粉砕する方法が特に好ましい。
ここで、前記微生物含有担体の大きさとは、前記微生物含有担体の最大長さをいう。
また、前記微生物含有担体の粒径のばらつきとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ばらつきが少なく、均一であることが、攪拌を均一に行うことができる点で、好ましい。
前記微生物含有担体の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、金属メッシュに通す方法が、均一な大きさの微生物含有担体を作製及び選別できる点で、好ましい。
本発明の処理方法では、上記のように微生物含有担体の充填量を高くすることができる。また、本発明の前記微生物含有担体は、長期間安定に窒素除去処理能を有するため、長期間担体の補充及び交換をしなくてもよい。
前記窒素除去性能を有する汚泥としては、窒素除去性能を有する微生物を含めば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、採取した窒素除去性能を有する汚泥、窒素除去性能を有する微生物を添加した汚泥、窒素除去性能を有する微生物それ自体、などが挙げられる。
前記窒素除去性能を有する汚泥の採取場としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、植栽浄化槽汚泥、活性汚泥、などが挙げられる。
前記植栽浄化槽汚泥としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2007−260549号公報に記載の植物による水の浄化に用いている植栽を含む泥物、などが挙げられる。
前記窒素除去性能を有する汚泥の調製方法としては、窒素除去性能を有する微生物のみを選択的に培養できれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、NO3 −濃度1,000ppmの硝酸含有培地で2週間程度培養する、などが挙げられる。
前記調製した汚泥が、窒素除去性能を有することは、メタノールと硝酸を入れて、TOC(全有機炭素濃度)/TN(全窒素濃度)=1となるように加えて24時間後TNの濃度が減少したことにより、確認することができる。
前記窒素除去性能を有する汚泥全体に対する窒素除去性能を有する微生物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、微生物含有担体供給工程、pH確認工程、温度調整工程、凝集工程、などが挙げられる。
前記その他の工程は、本発明のその他の手段を用いて好適に行うことができる。
前記微生物含有担体供給工程とは、前記微生物含有担体を、経時的に、脱窒槽に供給するために、微生物含有担体を前処理し、貯留しておく工程である。
前記前処理は、迅速な硝酸含有水処理を行うために、微生物含有担体を、低濃度の硝酸含有水中で、馴養する処理である。本発明では、微生物含有担体を長期間安定して使用することが可能であるが、経時的に、微生物含有担体を補充及び交換したほうが、硝酸含有水の処理速度を一定に維持できる点で、好ましい。
前記低濃度の硝酸含有水としては、硝酸濃度約1,000ppmが、微生物含有担体における窒素除去性能を有する微生物を好適に生育できる点で、好ましい。
前記馴養期間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、7日間〜14日間が、好ましい。
前記pH確認工程とは、脱窒槽内のpHを確認する工程であり、pH確認手段を用いることが好ましい。
前記pH確認手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、pHメーター、などが挙げられる。
前記温度調整工程とは、脱窒槽内の温度を調整する工程であり、温度調整手段を用いることが好ましい。
前記温度調整手段としては、脱窒槽内の被処理水の温度を一定の範囲内に保持することができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クーラー、冷却ファン、ヒーター、などが挙げられる。
前記凝集槽は、少なくとも、殺菌剤を含み、必要に応じてその他の構成を含む。
前記凝集槽は、前記脱窒槽上部と、オーバーフローラインにより接続されている。そのため、前記ポンプにより供給され、脱窒槽で窒素除去された処理水は、オーバーフローラインを介して凝集槽に連通する。
前記殺菌剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、酸化、殺菌に優れる点で、NaClO(次亜塩素ナトリウム)水溶液が好ましい。
図1の本発明の硝酸含有水の処理装置の一例を示す概略図に示すように、本発明の硝酸含有水の処理装置は、脱窒槽1と、ポンプ2と、凝集槽3と、図示されない被処理水供給源を備える。脱窒槽1は、被処理水供給ライン4と、微生物含有担体6と、CO2供給部7と、セトラー8(開口率70%)と、温度計9とを備える。
脱窒槽1の底部には、被処理水供給ライン4の吐出口5があり、ポンプ2の稼動により下方から上向流で脱窒槽内に被処理水が導入されるようになっている。脱窒槽の上部と、凝集槽3とは、オーバーフローライン10により接続されている。脱窒槽1の上部開口部には、セトラー8が設けられている。
脱窒槽1の底部には、更にCO2供給部7を有し、CO2含有ガスがバブリングをしながら供給される。
被処理水は、ポンプ2により脱窒槽1の下部に被処理水供給ライン4を介して供給され、上向流となって、微生物含有担体6に通流する。被処理水は、通流の際、窒素除去性能を有する微生物に接触し、窒素除去される。窒素除去された処理水は、脱窒槽の上部に設けられたオーバーフローライン10を介して連通した凝集槽3に集められる。
<微生物含有担体の作製>
−汚泥−
植栽浄化槽より採取した汚泥を種汚泥として用いた。
前記植栽浄化槽は、特開2007−260549号公報の実施例4及び5を組み合わせたものであり、散水ろ床、植栽水路を有するものを用いた。ただし、散水ろ床、及び水路のろ材としては、ソダ、イワダレソウを用いた。
前記種汚泥に、NO3 −濃度4,000ppm、栄養塩類として、リン酸0.2ppm、鉄0.2ppm、銅0.2ppm、モリブデン0.2ppm、メタノール3,000ppm(3g・L)を添加し、35℃〜40℃で、2週間静置し、窒素除去性能を有する微生物を選択培養し、窒素除去性能を有する汚泥を調製した。
前記汚泥が窒素除去性能を有することは、以下の方法により、確認した。
メタノールと硝酸を入れて、TOC/TN=1となるように加えて24時間後TNの濃度が減少したことから、前記汚泥が窒素除去性能を有すると判断した。
前記窒素除去性能を有する汚泥1Lに、内層固定化材料として1%アルギン酸ナトリウムを1L添加し混合した後、塩化カルシウム水溶液(CaCl2)0.2Lを添加してゲル化(カプセル化)し、汚泥(微生物)含有アルギン酸カプセルを得た。
前記微生物含有アルギン酸カプセルをコーヒーミル(Oster製、commercial bar mixer))で、粒径が1mm程度になるまで、粉砕し、微生物含有微粒子を得た。
次に、前記微生物含有微粒子を、図2の合成フローに従って、ポリエチレングリコールジアクリルアミド(MW1000)2,000gを含む溶液20Lと混合し、重合開始剤として過硫化カリウム0.025gを添加して重合し、ポリエチレングリコール(PEG)(外層)で前記微生物含有微粒子を包括固定した。
前記包括固定した微生物含有微粒子を5mm角に裁断し、微生物含有担体1とした。
硝酸含有水の処理装置として、図1に記載の処理装置を用いた。
被処理水として、硝酸カリウム(KNO3)を水に溶解し、NO3 −濃度1,000ppmとした硝酸含有水を用いた。
前記微生物含有担体を12Lの脱窒槽(アクリル製、直径20cm、高さ35cm、吐出口と脱窒槽底部との間隔は5cm)に充填率50%(6L)になるように充填した。脱窒槽には、ポンプで、前記被処理水を下部より上向流で供給し、微生物含有担体を攪拌させながら、処理を行った。
また、CO2含有ガス(市販 99%ボンベ品)は散気管を用い、脱窒槽下部より、前記脱窒槽内の被処理水のpHが7.0になるように、0.1mL/minでバブリングさせながら供給した。
前記被処理水を、供給量12L/日として前記脱窒槽に供給し、24時間運転した。
前記実施例1における被処理水中の窒素除去性能は、開始24時間後に脱窒槽内の被処理水を採取し、パックテストによりNO3 −濃度を測定した。結果を表1に示す。
実施例1において、CO2含有ガスを供給しない以外は、実施例1と同様にして、被処理水の処理を行った。結果を表1に示す。
<微生物含有担体の作製>
実施例1において、微生物含有担体の大きさを5mmから2mm程度に変えた以外は、実施例1と同様にして、微生物含有担体を作製した。
硝酸含有水の処理装置として、図1に記載の処理装置を用いた。
被処理水として、硝酸カリウム(KNO3)を水に溶解し、NO3 −濃度1,000ppm、2,000ppm、3,000ppm、4,000ppm、5,000ppm、6,000ppm、7,000ppm、及び8,000ppmとした硝酸含有水を用意した。
前記微生物含有担体を12Lの脱窒槽(アクリル製、直径20cm、高さ35cm、吐出口と脱窒槽底部との間隔は5cm)に充填率50%(6L)になるように充填した。脱窒槽には、ポンプで、前記被処理水を下部より上向流で供給し、微生物含有担体を攪拌させながら、処理を行った。
また、CO2含有ガス(市販 99%ボンベ品)は散気管を用い、脱窒槽下部より、前記脱窒槽内の被処理水のpHが7.0になるように、0.1mL/min〜0.15mL/minでバブリングさせながら供給した。
前記被処理水は、無希釈条件下で、10L/日で装置に被処理水として供給した。HRT(水理学的滞留時間)は1日とした。
前記被処理水には、TOC(全有機炭素)源として、イソプロピルアルコールあるいは、エタノールを溶解(C/N比:1)、栄養源として、リン酸200ppmを添加した。
脱窒槽の水温は18℃〜27℃で行い、脱窒槽へ供給時の水温は25℃とした。
連続運転では、まず、NO3 −濃度1,000ppmの条件下で23日間、微生物含有担体を、馴養した。その後、運転開始24日目〜35日目は2,000ppm、運転開始36日目〜38日目は3,000ppm、運転開始39日目〜43日目は4,000ppm、運転開始44日目〜46日目は5,000ppm、運転開始47日目〜53日目は6,000ppm、運転開始54日目〜56日目は7,000ppm、運転開始57日目〜60日目は8,000ppmとNO3 −濃度を増加させていった。
−NO3 −除去率−
被処理水供給開始後24時間毎に、脱窒槽内の被処理水を採取し、パックテストによりNO3 −濃度を測定した。結果を図3に示す。
図3に示すように、NO3 −濃度2,000ppm〜8,000ppmまで段階的に被処理水のNO3 −濃度を変動しても、NO3 −除去率は、ほぼ100%であった。また、連続運転中は、微生物含有担体の交換及び補充なしで処理することが可能であり、60日間、処理速度が低下することなく、運転可能であった。
また、被処理水供給後、窒素除去完了に要する時間を、下記式(3)で測定した。
窒素除去(脱窒)速度=NO3 −除去量(kg−N/m3 or kg−NO3 −/m3)/処理時間(日) ・・・(3)
前記kg−N/m3は、1立方メートルあたりの窒素(N)量を表し、前記kg−NO3 −/m3は、1立方メートルあたりの硝酸イオン(NO3 −)量を表す。
窒素除去速度の結果を図4に示す。
NO3 −濃度を7,000ppmとした被処理水の供給開始7時間後の脱窒槽内の被処理水を採取し、NO3 −、NO2 −、NH3、T−N(全窒素量)を測定した。NOXの分析はイオンクロマトグラフィー(DIONEX製、IC25 Ionchromatograph)で、NH4の分析はイオンクロマトグラフィー(Metrohm製、761 Cpmpact IC)で、全窒素分析については、TOC,T−N計(Simazu製、TOC−V)を用いて測定した。結果を表2に示す。
また、実施例2において、CO2含有ガスを供給しない以外は、同様にして被処理水を処理し(以下、比較例2とする)、供給開始24時間後の脱窒槽内の被処理水を採取し、上記と同様の分析を行った結果を併せて表2に示す。
2 ポンプ
3 凝集槽
4 被処理水供給ライン
5 吐出口
6 微生物含有担体
7 CO2供給部
8 温度計(温度調整手段)
9 セトラー
10 オーバーフローライン
Claims (6)
- 硝酸を含有する被処理水を、脱窒槽の下部より上向流で流動させる流動工程と、
前記脱窒槽に、CO2含有ガスを供給し、脱窒槽の被処理水のpHを調整するCO2供給工程と、
前記被処理水及び前記CO2含有ガスを、窒素除去性能を有する汚泥を含有する微生物含有担体と接触させ、前記被処理水中の窒素を除去する窒素除去工程と、を含み、
前記微生物含有担体が、窒素除去性能を有する汚泥をアルギン酸で固定し、微粒子化した後、ポリエチレングリコールで固定した微生物含有担体であることを特徴とする硝酸含有水の処理方法。 - 微生物含有担体の大きさが、2mm〜4mmである請求項1に記載の硝酸含有水の処理方法。
- 脱窒槽における微生物含有担体の充填量が、50体積%である請求項1から2のいずれかに記載の硝酸含有水の処理方法。
- 脱窒槽における被処理水のpHが、7.0〜7.4である請求項1から3のいずれかに記載の硝酸含有水の処理方法。
- 硝酸含有水が、排水である請求項1から4のいずれかに記載の硝酸含有水の処理方法。
- 硝酸を含有する被処理水を、脱窒槽の下部より上向流で流動させる流動手段と、
前記脱窒槽に、脱窒槽の被処理水のpHを調整するCO2含有ガスを供給するCO2供給手段と、
前記被処理水と前記CO2含有ガスを、窒素除去性能を有する汚泥を含有する微生物含有担体と接触させ、被処理水中の窒素を除去する窒素除去手段と、を有し、
前記微生物含有担体が、窒素除去性能を有する汚泥をアルギン酸で固定し、微粒子化した後、ポリエチレングリコールで固定した微生物含有担体であることを特徴とする硝酸含有水の処理装置。
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