JP5635504B2 - 安定した注射可能な水中油型ドセタキセルナノエマルション - Google Patents

安定した注射可能な水中油型ドセタキセルナノエマルション Download PDF

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Description

本発明は、ドセタキセル(docetaxel)を含有する水中油型ナノエマルションに関する。
本発明は特は、非経口投与用のドセタキセルを含有する安定した水中油型ナノエマルションに関する。
ドセタキセルは、注射用濃縮液の形態で商標名「タキソテール(Taxotere)」として市販され、また乳癌、非小細胞肺癌及び前立腺癌の治療に使用される。タキソテールは、溶解剤としてのポリソルベート80中に処方される。タキソテール注射剤は、注入前に2段階の希釈を必要とする2つの容器に分かれた製剤から構成される。第1の工程において、希釈バイアルの中身(注射用蒸留水中の13%エタノール)で希釈し、第2の工程において、非経口投与のためにブドウ糖注射液又は通常の生理食塩水等の希釈液で更に希釈する。
ポリソルベート80は重度の過敏症反応及び体液貯留(fluid retention)を引き起こすため、患者は前投薬を必要とする。従って、市販の製剤には取り扱い及び副作用に関して大きな限界がある。
更に、ポリソルベート80をPVC製の送達装置で使用することはできない。極めて毒性が高いジエチルヘキシルフタレートを浸出させる傾向があるからである。
注射前に2種類の溶液を混合するこれらの難点を回避するために、以下の発明が報告されている。
US5478860明細書には、油と、疎水性化合物と、ポリエチレングリコール結合脂質との混合物を含む安定したマイクロエマルション組成物が記載されており、この混合物は、極性脂質の単層に取り囲まれている。一実施形態において、この混合物は更にリン脂質を含む。好ましい実施形態において、疎水性化合物は治療薬である。
上記特許の一実施例において、タキソール(パクリタキセル)エマルションの調製が記載されている。この方法において、タキソールはまずトウモロコシ油に添加され、そこにMePEGS.2000−DSPEとEPCとのクロロホルム混合液を添加し、次にクロロホルムを除去して脂質の薄膜を得る。この膜をHEPES緩衝生理食塩水(pH7.4)で水和し、次に直径70nmの卵ホスファチジルコリンリン脂質供与ベシクルを添加する。この混合物をマイクロエマルション形成装置(microemulsifier)に通してマイクロエマルションを得る。これはこの方法が、リポソーム形成を経ることを意味する。
US2006/0067952A1明細書には、タキソイド薬、特にはパクリタキセル、ドセタキセルの注射可能な水中油型エマルションが記載されており、このエマルションはリン脂質及び植物油を含み、投与前に水溶液で希釈しなくてはならない。
ドセタキセルエマルションの典型的な製造方法は、ドセタキセル(0.05%)、低油(low oil)(3.1%)(大豆油、加えてMCT油)、卵レシチン(3.1%)及び十分な量のエタノールを混合して透明な溶液を生成することを含む。この溶液を、残留エタノールが2.0質量%未満になるまで真空下で乾燥させる。水相は、グリセリン(1.75)及びグリシン(0.5)を水中に溶解させることによって調製される。次に、この水相を高せん断ミキサによる攪拌下で油相に添加して粗エマルションを得る。pHを約4〜4.5に調節し、エマルションをマイクロフルイダイザ(microfluidizer)に通し、得られたエマルションを0.2μ無菌フィルタで濾過する。
本発明者は、US2006/0067952A1明細書に記載のエマルション組成物が、ドセタキセル以外のパクリタキセルに関することを発見した。パクリタキセル及びドセタキセルは、異なるpHで安定性を有する。すなわち、パクリタキセルは7前後のpHでより安定するが、ドセタキセルは4.5前後のpHで安定する。植物油を含有するエマルションは、酸性pHでの安定性が極めて悪い。このようなエマルションでは、遊離脂肪酸の生成と油の小球の凝集が報告されている。このため、ドセタキセルの安定性又はそのエマルションの安定性に悪影響を与えることなくパクリタキセル用の組成をドセタキセルに当てはめることはできない。
更に、US2006/0067952A1明細書には、最高0.5mg/mLの薬物を含有する安定した組成物が記載されている。しかしながら、より高い薬物含有量を得るためには、油の含有量を10%w/vより高くしなくてはならないが、この文献自体において結論づけられているように、「・・・・形成されたエマルションは安全な非経口薬物送達ビヒクルとしてもはや許容範囲外にある」。このため、US2006/0067952A1の組成物は、必要とされる薬物含有量が0.5mg/mLより多いと商業的に実現不可能となる。
WO2008/042841A2パンフレットには、ドセタキセル含有共溶媒(エタノール、プロピレングリコール等)、リン脂質及びペグ化リン脂質を含む、水溶液で希釈すると腫瘍状態を治療するための非経口投与に適切なものになる予備濃縮組成物が記載されている。この予備濃縮物は非水溶液であり、希釈するとエマルションを形成する。しかしながら、大用量で使用すると、エタノール等の溶媒の毒性により有害となる可能性がある。
WO2008/042841A2の組成物は、大用量で投与した場合に有害となる共溶媒を含有する。
本発明の主な目的は、過敏症反応及び体液貯留を回避でき、またそれによって前投薬を回避できるドセタキセル製剤を製造することである。
本発明の別の目的は、製剤におけるエタノール等の共溶媒の使用を回避することによって、共溶媒によって引き起こされる有害作用を排除することである。
本発明の更に別の目的は、組成物1mlあたりのドセタキセル含有レベルがより高い、安定したドセタキセル製剤を製造することである。
本発明の更に別の目的は、より高いドセタキセル血漿濃度が得られる、安定したドセタキセル製剤を製造することである。
本発明の更に別の目的は、より高い安定性及び長い貯蔵寿命を有するドセタキセル製剤を得ることである。
従って、本発明は、200nm未満の液滴サイズ及びpH4.0〜5.5を有し、過敏症反応及び体液貯留がなく、ドセタキセルと、唯一の油成分として合成トリグリセリド油と、乳化剤としてPEG鎖が2000〜5000の分子量を有するN−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール−1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DSPE PEG)及び精製天然ホスファチドのみと、グリセロールと、注射用蒸留水とを含み、更に溶媒又は共溶媒を含まない、安定した注射可能な水中油型ドセタキセルナノエマルション組成物を提供する。
これらのドセタキセルナノエマルション組成物を調製するための方法は、以下の工程
(i)音波処理又は加熱によりドセタキセルを合成トリグリセリド油に溶解させることによって油相を形成する透明な溶液を得て、
(ii)グリセロールを注射用蒸留水に可溶化させて水相を形成し、
(iii)N−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール−1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミンを工程iの油相若しくは工程iiの水相に又は一部を工程iの水相、一部を工程iiの油相に分散させ、
(iv)精製天然ホスファチドを工程iiで調製した水相に分散させ、
(v)攪拌しながら油相を水相に添加して粗エマルションを得て、
(vi)この粗エマルションを均質化して平均小球サイズ200nm未満、好ましくは100nm未満を得て、
(vii)得られたエマルションのpHを工程v又は工程viで4.0〜5.5に調節し、
(viii)工程viiの最後に得られるナノエマルションを0.2μフィルタで無菌的に濾過し、窒素下でバイアルに充填する
を含む。
本発明の別の実施形態において、安定した注射可能な水中油型ドセタキセルナノエマルション組成物を形成する非経口投与用凍結乾燥組成物が提供され、この組成物は、再構成時に200nm未満の液滴サイズ及びpH4.0〜5.5を有し、過敏症反応及び体液貯留がなく、ドセタキセルと、唯一の油成分として合成トリグリセリド油と、乳化剤としてPEG鎖が2000〜5000の分子量を有するN−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール−1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン及び精製天然ホスファチドのみと、グリセロールと、害防止剤とを含み、更に溶媒又は共溶媒を含まない
これらの凍結乾燥ドセタキセルナノエマルション組成物を調製するための方法は、以下の工程
(i)音波処理又は加熱によりドセタキセルを合成トリグリセリド油に溶解させることによって油相を形成する透明な溶液を得て、
(ii)グリセロール及び凍害防止剤を注射用蒸留水に可溶化させて水相を形成し、
(iii)N−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール−1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミンを工程iの油相若しくは工程iiの水相に又は一部を工程iの水相、一部を工程iiの油相に分散させ、
(iv)精製天然ホスファチドを工程iiで調製した水相に分散させ、
(v)攪拌しながら油相を水相に添加して粗エマルションを得て、
(vi)この粗エマルションを均質化して平均小球サイズ200nm未満、好ましくは100nm未満を得て、
(vii)得られたエマルションのpHを工程v又は工程viで4.0〜5.5に調節し、
(viii)工程viiの最後に得られるナノエマルションを0.2μフィルタで無菌的に濾過し、バイアルに充填し、凍結乾燥する
を含む。
ナノエマルション
国際純正・応用化学連合(IUPAC)によるエマルションの定義は、「エマルションにおいて、液滴及び/又は液晶は液体中で分散している」である。「分散する(dispersed)」という言葉を非平衡であり且つマイクロエマルション及びミセル系に適用可能な用語「可溶化される(solubilized)」の反対であると解釈した場合、マイクロエマルションはこの定義から明らかに外れる。従って、マイクロエマルションとナノエマルションとの間には根本的な違いがある。マイクロエマルションは平衡系であり(すなわち、熱力学的に安定である)、ナノエマルションは非平衡系であり、構成成分の相に自然に分離する傾向がある。しかしながら、界面活性剤及びその他の賦形剤の添加によって安定する。
本発明において、ナノエマルションは、液滴サイズが小さい(ナノメートル範囲。例えば20〜200nm)エマルション(非平衡系)である。
ナノエマルションを、熱力学的に安定であり且つ「自己乳化系」と称されることが多い古典的な「マイクロエマルション」と混同してはならない。マイクロエマルションは、表面張力がゼロ近くにまで低下した場合に形成され、これは特定の界面活性剤、吸着層と界面活性剤、共界面活性剤との組み合わせ又は特定のパッキングによってのみ達成される。これらのマイクロエマルションは極めて低い粘度を示し、また基本的に油(及び薬物)が可溶化された膨潤ミセルを含む。マイクロエマルション系は透明(光学的に等方)であるが、希釈すると従来のエマルション系を形成可能である。
本発明のナノエマルション組成物
本発明は、2つの形態:(i)液体(ナノエマルション)及び(ii)固体の凍結乾燥粉末(再構成時にナノエマルションとなる)としてのナノエマルションについて説明する。
ドセタキセル
実施例で使用のドセタキセルは概して三水和物であり、ナノエマルションにおけるドセタキセルの濃度は液体組成物における無水基準で0.05〜2.0%w/vであり、好ましくは、濃度は組成物において0.1〜2.0%w/vである。
合成トリグリセリド油
広範囲にわたる実験後、発明者は、通常の注射用油を使用したドセタキセルのナノエマルションの貯蔵寿命が良好ではないことを発見した。MCT油と植物油との混合物で形成したナノエマルションの貯蔵寿命は満足のいくものではない。理論によって拘束するものではないが、発明者は、エステル交換及び脂肪分解反応が起きて植物油を含有しているナノエマルションの安定性がゆっくりと劣化すると考えている。発明者は驚くべきことに、合成トリグリセリドを使用するとこのような劣化が起こらないことを発見した。
中鎖トリグリセリド(MCT油)は、グリセリドの天然源又は部分的に若しくは完全に合成の材料を使用して合成される。MCTは、通常約8〜約12炭素長の遊離脂肪酸から形成される。代表的なものは、IGLYOL 812、CRODAMOL GTCC−PN、NEOBEE M−5油として市販されている。
本発明のナノエマルション組成物で使用される合成トリグリセリド油は、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸及びこれらの混合物から選択される脂肪酸を有し、好ましくはカプリル酸が50〜100質量%であり、より好ましくはカプリル酸が85〜100質量%である。
本発明で使用される合成トリグリセリド油は、中鎖トリグリセリド、トリカプリリン、トリオレイン及びこれらの混合物から選択される。
ホスファチド
ホスファチドは、ナノエマルションのための乳化剤、また安定剤として使用される。使用されるホスファチドは、精製された天然ン脂質である。リン脂質は、2つの脂肪酸と1つのホスフェートイオンとのグリセロールのトリエステルである。精製天然ホスファチドは、精製卵レシチン、精製大豆レシチン及びこれらの混合物から選択される
グリセロール
グリセロールは、安定したナノエマルションの調製に有用である。
DSPE PEGペグ化ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン)
この物質は化学的にはN−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール−1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミンとして知られている。この物質は、本発明のナノエマルション中で乳化剤及び安定剤のような役割を果たす。
本発明のためのリン脂質−PEG複合体は、2000〜5000の範囲の分子量のPEG鎖を有するPEG−ホスファチジルエタノールアミンDSPE−PEGである。SPE PEG−2000が好ましい。
エマルションの形成中、このDSPE PEG水相若しくは油相に又は一部を水相、一部を油相に添加する。
賦形剤
本発明の組成物は任意で薬学的に許容可能な添加剤、例えば酸性化剤、アルカリ化剤、緩衝剤、安定剤、浸透圧調節剤(tonicity modifying agent)及びその他の生体適合性材料を含有し得る。このような添加剤は一般にエマルションの水相中に存在し、エマルションの安定化に役立つ。
酸性化剤の例は、塩酸、クエン酸、酢酸等であるが、これらの酸に限定はされない。
アルカリ化剤(alkaliner)の例には、水酸化ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が含まれる。
凍害防止剤材料(ショ糖、トレハロース、乳糖、マンニトール等)を使用して、凍結乾燥時にナノエマルションの性質を保護する。凍結乾燥物を再構成すると、凍結乾燥前と同様の規格を有するナノエマルションが再度得られる。
その他の生体適合性材料には、限定するものではないがアルブミン、ソルビトール、グリシン、デキストラン等が含まれる。
ナノエマルション組成物において、合成トリグリセリド油対ドセタキセル質量比は1:1〜100:1であり、好ましくは10:1〜50:1である。
ナノエマルション組成物において、合成トリグリセリド油対N−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール2000)−1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン質量比は1:1〜100:1、好ましくは5:1〜20:1である。
ナノエマルション組成物において、合成トリグリセリド油対精製天然ホスファチド質量比は4:1〜40:1、好ましくは7:1〜20:1である。
ナノエマルション組成物において、グリセロール含有量は組成物の0.5〜3%w/vである。
凍結乾燥ナノエマルション組成物
凍結乾燥ナノエマルション組成物において、凍結乾燥前、ドセタキセルは0.05〜2.0%w/vであり、好ましくは凍結乾燥前の濃度は0.1〜2.0%w/vである。
凍結乾燥ナノエマルション組成物において、脂肪酸(カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、オレイン酸、これらの混合物)、好ましくはカプリル酸を有する合成トリグリセリド油は50〜100質量%であり、より好ましくはカプリル酸は85〜100質量%である。
凍結乾燥ナノエマルション組成物において、合成トリグリセリド油は、中鎖トリグリセリド、トリカプリリン、トリオレイン及びこれらの混合物から選択される。
凍結乾燥ナノエマルション組成物において、精製天然ホスファチドは、精製卵レシチン、精製大豆レシチン及びこれらの混合物から選択される。
凍結乾燥ナノエマルション組成物において、合成トリグリセリド油対ドセタキセル質量比は1:1〜100:1、好ましくは10:1〜50:1である。
凍結乾燥ナノエマルション組成物において、合成トリグリセリド油対N−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール2000)−1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン質量比は1:1〜100:1、好ましくは5:1〜20:1である。
凍結乾燥ナノエマルション組成物において、合成トリグリセリド油対精製天然ホスファチド質量比は4:1〜40:1、好ましくは7:1〜20:1である。
凍結乾燥ナノエマルション組成物において、グリセロール含有量は0.5〜3質量%である。
凍結乾燥ナノエマルション組成物において、ショ糖含有量は最高20質量%である。
ここで本発明を実施例の助けを借りて説明する。
実施例は説明のためのものに過ぎず、本発明の範囲を限定しない。
実施例1〜20及び実施例28全てについての製剤を表1に示す。
調製した実施例1〜14及び実施例28のナノエマルションの試料の観察結果を表2に示す。
安定性についての結果を表3に示す。
実施例1〜20及び実施例28の製剤に続いて、毒性及びその他の生物学的研究の実施例を実施例21〜26と番号づけした。実施例27は貯蔵寿命のデータを示す。
これらの実施例で使用の材料は注射グレード/医薬品グレードであり、また現地で調達された。
・ドセタキセル三水和物(Dr.Reddy´s Laboratory製)
・無水ドセタキセル(Dabur Pharma Ltd.製)
・エタノール(Hayman製)
・MCT油、大豆油、DSPE PEG−2000ナトリウム、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、卵レシチン、オレイン酸ナトリウム(Lipoid製)
・トリカプリリン、トリオレイン、ショ糖、トレハロース(Sigma製)
・グリセロール(Qualigen製)
・グリシン(Merck製)
実施例において記載される際は常に、比較用試料としてSanofi−Aventis製のタキソテールを使用する。
使用機器
・水浴、Ultra Turrax IKA攪拌装置、超音波処理装置(bath sonicator)、Niro Soaviホモジナイザ
実施例1
実施例1の製剤組成は表1にも示されている。
実施例1の上記ドセタキセルナノエマルション組成物は以下のようにして調製された。
油相の調製
1.ドセタキセル三水和物(214mg)をMCT油(10g)に添加した。
2.上記の混合物を10分間にわたって超音波処理し、また70℃にまで加熱すると透明で油性の無色の液体が得られた。
水相の調製
3.グリセロール(4.5g)を注射用蒸留水(十分量〜200ml)と室温(20℃±5℃)で混合した。
4.DSPE PEG−2000(1g)を工程3で得られた上記の溶液中で可溶化させた。
5.次に、卵レシチン(2.4g)を工程4で得られた水溶液中に分散させた。
粗エマルションの調製
6.油相を水相に高速攪拌下(Ultra Turrax IKA攪拌装置)で移して粗エマルションを得る。
均質化によるナノエマルションの調製
7.得られた粗エマルションを直ちに高圧ホモジナイザに通し、1200barで5分間にわたって均質化することによって80〜120nmの小球サイズ分布を得た。得られた平均小球サイズは99nmであった。
8.上記のエマルションのpHを、希塩酸の添加によって4.88に調節した。
9.次に、エマルションを0.2μフィルタで濾過し、バイアルに充填し、窒素パージ下で密封した。
組成物のpH及び粒径分布をプロセス中に監視した。観察結果を表2に示す。粒径は、Coulter Counter N4を使用して光子相関分光法で監視された。
形成されたナノエマルションの安定性を、異なる温度で保管することによって検査した。結果を表3に示す。
実施例2:比較例
製剤組成を表1に示し、観察結果及び安定性についての結果を表2、表3にそれぞれ示す。
組成及びプロセスは実施例1と同じである。ただし実施例2においてDSPE PEG−2000は使用せず、均質化はより高い圧力(1500bar)で20分間にわたって行われた。
組成物中にペグ化リン脂質が不在だと、エマルションの均質化時間を延長することによって平均粒径を140nm未満にまで下げるのは不可能であることが観察された。
更に、ペグ化リン脂質の不在下では、ナノエマルションが不安定であることが観察される。実施例2のナノエマルションの試料は、24時間後に薬物の沈殿を示す。一方、実施例1のペグ化リン脂質を入れて調製したエマルション生成物は、調査した全保管条件において沈殿を示さない。
毒性及びその他の生物学的研究の実施例を、20個の製剤実施例に続いて番号づけした。これらは実施例21〜26と番号づけされる。
実施例のドセタキセルナノエマルションの試料を、スイスアルビノマウス及びウィスターラットを使用して、毒性、血漿濃度に関する薬物動態試験について検査した。比較のために、タキソテールを使用した。同様にして、実施例1、2の試料の試験管内血漿研究も行われた。
実施例21:実施例1の組成物の急性毒性研究
(A)マウスにおける単回投与急性毒性
動物:マウス
種:スイスアルビノ
1群あたりの動物数:10
用量:150mg/kg
(B)ラットにおける単回投与急性毒性
実施例22:実施例1の組成物についての毒性研究
動物:マウス
種:スイスアルビノ
用量:10、22、33、50mg/kg
投与スケジュール:4日ごとに3回(0、4、8日)
実施例23:ラットにおける比較単回投与薬物動態
実施例1の組成物を使用し、タキソテールを比較例として使用する。
動物:ラット
種:ウィスター
用量:10mg/kg
時間(時間、X軸)に対して血漿濃度(ng/mL、Y軸)をプロットして得たグラフから、実施例1の組成物の場合のCmax及びAUCが、比較用生成物タキソテールで得られるものより高いことが判明した。
実施例24:実施例1、2の生成物についての試験管内血漿研究
手順
1.0.2mlのドセタキセルエマルションをエッペンドルフチューブ内で0.9mlのヒト血漿と混合する。
2.混合物の粒径を分析する。
3.混合した試料を37℃で24時間にわたってインキュベートする。
4.インキュベートした試料の粒径を分析する。
ペグ化リン脂質を使用して調製したナノエマルションは血漿中で安定である。一方、ペグ化リン脂質なしで調製したエマルションは物理的に安定でない。
実施例3
プロセス及び原料の量は実施例1で採用のものと同じである。ただし無水ドセタキセルをドセタキセル三水和物の代わりに使用した。
製剤組成を表1に示し、観察結果及び安定性についての結果を表2、表3にそれぞれ示す。
結論
この実施例から、無水ドセタキセルのエマルションがドセタキセル三水和物と同様の安定性プロファイルを示すことがわかる。
実施例4:植物油とMCT油との混合物を使用して調製したナノエマルション(この実施例は本発明のものではない)
製剤組成を表1に示す。
手順
実施例1と同じであり、適切な原料及びその質量は処方通りである。
観察結果及び安定性についての結果を表2、表3にそれぞれ示す。エマルションは24時間試験において安定であったものの、より長い期間にわたる保管時の物理的安定性は満足がいくものではないと判明した。すなわち、油層の分離が観察された。遊離脂肪酸含有量も3ヶ月にわたる25℃での保管時に著しく上昇し、生成物からは、おそらくは大豆油と水分との低pHでの接触により悪臭がした。
実施例5:US2006/0067952A1の組成及び方法に従って調製(比較例)
製剤組成を表1に示す。
観察結果及び安定性についての結果を表2、表3にそれぞれ示す。
24時間後に薬物の沈殿が観察され、安定したエマルションは形成されない。これはおそらく組成がエタノール、大豆油であり、DSPE PEG−2000を含有していないからである。
実施例6:この実施例においては、卵レシチンの代わりにDPPCを界面活性剤として使用して製剤を調製
製剤組成を表1に示す。
手順
実施例1と同じであり、適切な原料及びその質量は処方通りである。
卵レシチンの代わりに、DPPCを水相に分散させた。
観察結果及び安定性についての結果を表2、表3にそれぞれ示す。
実施例7:7%のMCT油を使用してこの製剤を調製した。
製剤組成を表1に示す。
手順
実施例1と同じであり、適切な原料及びその質量は処方通りである。
観察結果及び安定性についての結果を表2、表3にそれぞれ示す。
実施例8:10%のMCT油を使用してこの製剤を調製した。
製剤組成を表1に示す。
手順
実施例1と同じであり、適切な原料及びその質量は処方通りである。
観察結果及び安定性についての結果を表2、表3にそれぞれ示す。
実施例9、10:これらの製剤は、DSPE PEG−2000の濃度が異なること以外は同様である。
実施例9、10についての薬物動態研究の詳細を実施例25で述べる。実施例9、10についての抗腫瘍効力研究の詳細を実施例26で述べる。
製剤組成を表1に示す。
実施例9、10の手順
実施例1と同じであり、適切な原料及びその質量は処方通りである。
観察結果を表2に示す。
実施例9、10の生成物の安定性は良好であると判明した。両者は類似していることから、実施例10の生成物を、実施例27に記載されるような貯蔵寿命試験に供した。貯蔵寿命試験の結果は表4、5に示され、これらの結果は満足のいくものであると判明した。
実施例25:実施例9、10の組成物についての薬物動態研究
血漿試料をHPLC法で分析した。HPLC法の詳細を以下に示す。
カラム:C−18(100x4.6mmx3μ)
カラム温度:60℃
流量:1mL/分
移動相:メタノール:THF:水:水酸化アンモニウム(60:2.5:37.5:0.1)。pHを蟻酸で6.0に調節
波長:230λ
動物:ラット
種:ウィスター
用量:10mg/kg
上記のデータは、ドセタキセルの血漿濃度が、慣用のドセタキセル製剤(すなわちタキソテール)より約8倍高いことを示す。
実施例26:実施例10の生成物の試料の抗腫瘍効力
抗腫瘍効力を、MX−1腫瘍誘導SCIDマウスにおいて評価した。薬物を8.5mg/kg、17mg/kgで3回、4日間隔(q4d)で注射した。
#-未処置群
##-未処置ビヒクル対照(ドセタキセルなし)群
@-q4d(4日間ごと)x3回に3分割された用量での静脈内投与による全用量
上記のデータは、本発明の製剤の抗腫瘍効力を決定的に示す。
実施例11:オレイン酸ナトリウムを使用して調製した製剤
製剤組成を表1に示す。オレイン酸ナトリウムを水相に取り入れる。
手順
実施例1と同じであり、適切な原料及びその質量は処方通りである。
観察結果及び安定性についての結果を表2、表3にそれぞれ示す。
実施例27:貯蔵寿命研究
組成物実施例10の生成物を安定性について研究した。安定性についての結果を表4、表5に示す。表4のデータは、組成物が調査した6ヶ月間にわたって2〜8℃で安定であることを示す。
WOL−白色不透明な液体
WOL−白色不透明な液体
実施例12〜14、28:MCT油、トリカプリリン、トリオレインを使用して調製した異なる組成の合成トリグリセリド油から形成したナノエマルション
製剤を表1に示す。
手順
実施例1と同じであり、適切な原料及びその質量は処方通りである。
観察結果及び安定性についての結果を表2、表3にそれぞれ示す。これらの実施例は、より高いドセタキセルレベルの安定したナノエマルションの調製を示す。
実施例15〜20は、ナノエマルションが凍結乾燥させられ、またナノエマルションに再構成可能である本発明の第2の実施形態を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
実施例15〜20:凍結乾燥製剤
手順については本文中で説明したが、基本的に実施例1と同じであり、適切な原料及びその質量は処方通りである。ただし、ショ糖、トレハロース等の凍害防止剤を水相に添加する。pHの調節後、生成物を0.2μ無菌フィルタで濾過し、各バイアルに5mL充填した。全てのバイアルを、以下の条件で凍結乾燥させた。
凍結温度:−45℃で240分
1次乾燥温度:5℃
1次乾燥時間:52〜60時間
1次乾燥真空:100mTorr
2次乾燥温度:25℃
2次乾燥時間:12時間
2次乾燥真空:50mTorr
全ての凍結乾燥ケークを5mlの注射用蒸留水で再構成した。ただし実施例19の凍結乾燥ケークは15mlの注射用蒸留水で再構成された。2〜8℃で保管された凍結乾燥生成物を再構成したナノエマルションの検査による観察結果及び貯蔵寿命研究結果を表6、表7にそれぞれ示す。安定性は満足がいくものであると判明した。
本発明の利点
1.本発明の組成物はエタノール及び界面活性剤ポリソルベート80を含有していない。このため、本発明の組成物には、これらの成分の過敏症反応及び体液貯留特性がない。
2.調製方法において、エタノール、クロロホルム等の溶媒、共溶媒を使用しない。
3.現在市販の製剤で起こる過敏症反応を克服するための前投薬を必要としない。
4.より高いCmax及びAUCは、同等用量でのより高い効力につながる可能性がある。或いは、同等の治療効力をより低い用量で得られることから、薬物の毒性作用が軽減される可能性がある。
5.この方法では、EPR(enhanced permeability retention)効果をもたらす安定したナノエマルションが得られる。
6.本発明のナノエマルションは、より長期間にわたって安定であり且つ商業的に実現可能である。
7.本発明のナノエマルションは、より高いドセタキセル強度及びより高い血漿濃度を有する。
* 本発明以外
表2続き

Claims (19)

  1. 安定した注射可能な水中油型ドセタキセルナノエマルション組成物であって、200nm未満の液滴サイズ及びpH4.0〜5.5を有し、過敏症反応及び体液貯留がなく、ドセタキセルと、唯一の油成分として合成トリグリセリド油と、乳化剤としてPEG鎖が2000〜5000の分子量を有するN−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール)−1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン及び精製天然ホスファチドのみと、グリセロールと、注射用蒸留水とを含み、更に溶媒又は共溶媒を含まないことを特徴とする組成物。
  2. N−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール)−1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミンが、N−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール2000)−1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミンである、請求項1に記載の組成物。
  3. 安定した注射可能な水中油型ドセタキセルナノエマルション組成物を形成する非経口投与用凍結乾燥組成物であって、再構成時に200nm未満の液滴サイズ及びpH4.0〜5.5を有し、過敏症反応及び体液貯留がなく、ドセタキセルと、唯一の油成分として合成トリグリセリド油と、乳化剤としてPEG鎖が2000〜5000の分子量を有するN−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール)−1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン及び精製天然ホスファチドのみと、グリセロールと、凍害防止剤とを含み、更に溶媒又は共溶媒を含まないことを特徴とする凍結乾燥組成物。
  4. N−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール)−1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミンが、N−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール2000)−1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミンである、請求項3に記載の組成物。
  5. 前記ドセタキセルが、前記組成物の0.05〜2.0%w/vである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
  6. 前記合成トリグリセリド油が、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸及びこれらの混合物から選択される脂肪酸を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
  7. 前記合成トリグリセリド油の脂肪酸組成が、カプリル酸を85〜100質量%有する、請求項1〜のいずれか1項に記載の組成物。
  8. 前記合成トリグリセリド油が、リカプリリン又はトリオレイン及び/又はカプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸又はこれらの混合物の混合トリグリセリドである、請求項に記載の組成物。
  9. 前記精製天然ホスファチドが、精製卵レシチン、精製大豆レシチン及びこれらの混合物から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
  10. 合成トリグリセリド油対ドセタキセル質量比が、1:1〜100:1である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
  11. 合成トリグリセリド油対N−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール2000)−1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン質量比が、1:1〜100:1である、請求項2記載の組成物。
  12. 合成トリグリセリド油対精製天然ホスファチド質量比が、4:1〜40:1である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
  13. グリセロール含有量が、前記組成物の0.5〜3%w/vである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
  14. 請求項1に記載のドセタキセルナノエマルション組成物を調製するための方法であって、以下の工程、
    (i)音波処理又は加熱によりドセタキセルを合成トリグリセリド油に溶解させることによって油相を形成する透明な溶液を得る工程、
    (ii)グリセロールを注射用蒸留水に可溶化させて水相を形成する工程、
    (iii)N−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール)−1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミンを工程iの前記油相若しくは工程iiの前記水相に又は一部を工程iの前記水相、一部を工程iiの前記油相に分散させる工程、
    (iv)精製天然ホスファチドを工程iiで調製した前記水相に分散させる工程、
    (v)攪拌しながら前記油相を前記水相に添加して粗エマルションを得る工程、
    (vi)前記粗エマルションを均質化して平均小球サイズ200nm未満得る工程、
    (vii)得られたエマルションのpHを工程v又は工程viで4.0〜5.5に調節する工程、
    (viii)工程viiの最後に得られるナノエマルションを0.2μmフィルタで無菌的に濾過し、窒素下でバイアルに充填する工程、
    を含むことを特徴とする方法。
  15. 前記工程(vi)における平均小球サイズが100nm未満である、請求項14に記載の方法。
  16. 凍害防止剤がショ糖、トレハロース、マンニトール、乳糖又はこれらの混合物から選択される、請求項3又は4に記載の凍結乾燥組成物。
  17. 凍害防止剤が最高20質量%の量のショ糖である、請求項3又は4に記載の凍結乾燥組成物。
  18. 請求項3に記載の凍結乾燥組成物を調製するための方法であって、以下の工程、
    (i)音波処理又は加熱によりドセタキセルを合成トリグリセリド油に溶解させることによって油相を形成する透明な溶液を得る工程、
    (ii)グリセロール及び凍害防止剤を注射用蒸留水に可溶化させて水相を形成する工程、
    (iii)N−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール)−1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミンを工程iの前記油相若しくは工程iiの前記水相に又は一部を工程iの前記水相、一部を工程iiの前記油相に分散させる工程、
    (iv)精製天然ホスファチドを工程iiで調製した前記水相に分散させる工程、
    (v)攪拌しながら前記油相を前記水相に添加して粗エマルションを得る工程、
    (vi)前記粗エマルションを均質化して平均小球サイズ200nm未満得る工程、
    (vii)得られたエマルションのpHを工程v又は工程viで4.0〜5.5に調節する工程、
    (viii)工程viiの最後に得られるナノエマルションを0.2μmフィルタで無菌的に濾過し、バイアルに充填し、凍結乾燥する工程、
    を含むことを特徴とする方法。
  19. 前記工程(vi)における平均小球サイズが100nm未満である、請求項18に記載の方法。
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