JP7097593B2 - 薬物を保持した脂肪粒子を含む非水系組成物およびその製造方法 - Google Patents

薬物を保持した脂肪粒子を含む非水系組成物およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、用時に注射用水や生理食塩水などの水系媒体と混合することで、薬物含有脂肪乳剤を調製することができる、薬物を保持した脂肪粒子を含む非水系組成物およびその製造方法に関する。
薬物含有脂肪乳剤は、例えばステロイド(パルミチン酸デキサメサゾン)含有脂肪乳剤やプロスタグランジン(PGE)含有脂肪乳剤をはじめとするいくつかのものがすでに上市され、汎用されていることは当業者によく知られた事実である。しかしながら、それらの中には、安定性が劣るので冷所保存が必要であるといった制約を有しているものがある。
薬物含有脂肪乳剤の保存安定性を高める方法として、乳剤から水相を除去して乾燥状態に保つ方法が知られている。しかしながら、乳剤から水相を除去する方法として、これまでに提案されている、乳剤をマイナス数十℃で凍結乾燥する方法を採用した場合、時間もコストもかかる。従って、乳剤をより温和な条件下で乾燥することで乳剤から水相を除去し、薬物含有脂肪乳剤の保存安定性を高める方法が要望されていた。
そこで、本発明者は、注射剤や点眼剤や点鼻剤や吸入剤などとして用いることができる薬物含有脂肪乳剤を、用時に水系媒体と混合することで調製することができる、薬物を保持した脂肪粒子を含む非水系組成物を、温和な乾燥条件で製造する方法について、特許文献1において提案している。
特開2010-270023号公報
特許文献1において本発明者が提案した薬物を保持した脂肪粒子を含む非水系組成物は、油脂の含量を最大で2mg/mLにすることで製造された薬物含有脂肪乳剤から製造することができるものであり、薬物含有脂肪乳剤を、用時に水系媒体と混合することで調製することができる。しかしながら、この非水系組成物は、油脂の含量が最大で2mg/mLと少ない薬物含有脂肪乳剤から製造されたものであるため、脂肪粒子が担持することができる薬物の量に制限がある。従って、脂肪粒子がより多くの量の薬物を担持することができるようにより多くの量の油脂が用いられ、それでいて用時に水系媒体と混合することで、薬物含有脂肪乳剤を調製することができる非水系組成物が要望されている。
そこで本発明は、特許文献1に記載の薬物を保持した脂肪粒子を含む非水系組成物よりも、脂肪粒子が多くの量の薬物を担持することができるように油脂の含量が多いにもかかわらず、注射剤や点眼剤や点鼻剤や吸入剤などとして用いることができる薬物含有脂肪乳剤を、用時に水系媒体と混合することで調製することができる、薬物を保持した脂肪粒子を含む非水系組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は上記の点に鑑みて鋭意研究を行った結果、油脂の含量、油脂に対する薬物の重量比率、薬物と油脂の合計含量、乳化剤の含量を好適な数値範囲とすることにより製造された、2mg/mLを超える量の油脂を用いているにもかかわらず濁度が小さい薬物含有脂肪乳剤に、水溶性担体として多価アルコールを加えて溶解した後、例えば60℃といった温和な温度条件で乾燥処理すると、乳剤の水相が除去され、薬物を保持した脂肪粒子を含む非水系組成物に変換されること、この非水系組成物は、油脂の含量が多いにもかかわらず、水系媒体と混合することで、薬物含有脂肪乳剤への復元(再乳化)を安定に行うことができることを知見した。
以上の知見に基づいてなされた本発明の薬物を保持した脂肪粒子を含む非水系組成物の製造方法は、請求項1記載の通り、水難溶性薬物、油脂、乳化剤、水を少なくとも構成成分とする薬物含有脂肪乳剤であって、油脂の含量が2~120mg/mL(但し2mg/mLを除く)、油脂に対する薬物の重量比率(薬物/油脂)が0.0001~50(但し薬物と油脂の合計含量は最大で125mg/mL)、乳化剤の含量が30~200mg/mL(但し30mg/mLを除く)、油脂に対する乳化剤の重量比率(乳化剤/油脂)が5~300であり、濁度が0.5以下である薬物含有脂肪乳剤に、水溶性担体としての多価アルコールを加えて溶解した後、乳剤の水相を除去することを特徴とする。
また、請求項2記載の製造方法は、請求項1記載の製造方法において、乳剤の水相の除去を10~80℃の温度範囲での乾燥処理で行うことを特徴とする。
また、請求項記載の製造方法は、請求項1記載の製造方法において、多価アルコールがグリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールから選択される少なくとも1種であることを特徴とする。
また、請求項記載の製造方法は、請求項1記載の製造方法において、脂肪粒子の平均粒子径が1~200nmであることを特徴とする。
また、請求項記載の製造方法は、請求項1記載の製造方法において、乳化剤の50重量%以上がレシチンであることを特徴とする
本発明によれば、特許文献1に記載の薬物を保持した脂肪粒子を含む非水系組成物よりも、脂肪粒子が多くの量の薬物を担持することができるように油脂の含量が多いにもかかわらず、乳剤の安定性が特に求められる注射剤、薬物の溶解性と薬液の透明性が求められる点眼剤、薬物の吸収性向上のためにその担体の微粒子化が求められる点鼻剤、薬物が気管支や肺にたやすく到達して容易に吸収されるためにその担体の微粒子化が求められる吸入剤などとして用いることができる薬物含有脂肪乳剤を、用時に水系媒体と混合することで調製することができる、薬物を保持した脂肪粒子を含む非水系組成物を提供することができる。
本発明の薬物を保持した脂肪粒子を含む非水系組成物は、水難溶性薬物、油脂、乳化剤、水を少なくとも構成成分とする薬物含有脂肪乳剤であって、油脂の含量が2~120mg/mL(但し2mg/mLを除く)、油脂に対する薬物の重量比率(薬物/油脂)が0.0001~50(但し薬物と油脂の合計含量は最大で125mg/mL)、乳化剤の含量が30~200mg/mL(但し30mg/mLを除く)であり、濁度が0.5以下である薬物含有脂肪乳剤に含まれる薬物を保持した脂肪粒子を、乳剤の水相が実質的に除去された状態で水溶性担体としての多価アルコールに担持させてなることを特徴とするものである。
本発明において、水難溶性薬物としては、日本薬局方・通則に規定の水への溶解性が「やや溶けにくい」(溶質1gまたは1mLを溶かすために要する溶媒量が30mL以上100mL未満:溶質が薬物に相当し溶媒が水に相当)とされる以上に水難溶性のものが挙げられるが、より好適には「溶けにくい」(同、溶媒量が100mL以上1000mL未満)とされる以上に水難溶性のものが挙げられ、さらに好適には「極めて溶けにくい」(同、溶媒量が1000mL以上10000mL未満)とされる以上に水難溶性のものが挙げられ、最も好適には「ほとんど溶けない」(同、溶媒量が10000mL以上)とされる以上に水難溶性のものが挙げられる。薬物は水難溶性であるとともに油難溶性であってもよい。薬物の種類は特段限定されるものではなく、シクロスポリンやタクロリムスなどの免疫抑制剤、エリスロマイシンやクラリスロマイシンなどの抗生物質、インドメタシンやアスピリンやイブプロフェンやケトプロフェンやジクロフェナックやアンピロキシカムやアセトアミノフェンなどの消炎鎮痛剤、パルミチン酸デキサメサゾンやフルオロメトロンやベタメサゾンやプロピオン酸ベクロメサゾンなどの合成副腎皮質ホルモン剤、ノルフロキサシンやレボフロキサシンなどの抗菌剤、ニコチン酸トコフェロールなどの循環器官用剤、エダラボンなどの脳保護薬、グリチンに例示されるグリチルリチン酸系化合物などの肝臓疾患用剤、プロスタグランジンE、プロスタグランジンE、プロスタグランジンF2α、プロスタグランジンIの他、そのアルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステルなど)をはじめとする各種の誘導体を含むプロスタグランジン系化合物(プロスタン酸骨格を有する化合物)、酢酸トコフェロールなどのビタミンE剤、ヨード化ケシ油脂肪酸エチルエステルなどの造影剤、ビダラビン、アシクロビル、アデホピポキシルなどの抗ウィルス薬、マイトマイシン、イリノテカン、エトポシド、パクリタキセル、ドセタキセル、カバジタキセル、ウベニメクス、カルプラチン、シスプラチンなどの抗悪性腫瘍薬などを例示することができる。
本発明において、油脂としては、大豆油、トウモロコシ油、ヤシ油、サフラワー油、エゴマ油、オリーブ油、ヒマシ油、綿実油などの植物油の他、ラノリンなどの動物油、卵黄油、魚油、流動パラフィンなどの鉱物油、中鎖脂肪酸トリグリセリド、化学合成トリグリセリド、ゲル化炭化水素など、油脂として用いることができる公知の油脂が挙げられる。
本発明において、乳化剤としては、レシチン(卵黄レシチン、大豆レシチン、水素添加卵黄レシチン、水素添加大豆レシチンなど)、ポリソルベート、PEG-水添ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などが挙げられる。中でも、レシチンを用いることが、乳化力が弱く、また、高濃度において粘度が高いことから取り扱いが必ずしも容易でないものの、安全性が高いことから好適である(レシチンを乳化剤として用いることができる他の物質と混合して用いてもよいがその場合の乳化剤におけるレシチンの割合は50重量%以上であることが望ましい)。なお、水難溶性薬物がプロスタグランジン系化合物の場合、ホスファチジルエタノールアミンの含量が2重量%以下の乳化剤を用いることが望ましい(ホスファチジルエタノールアミンはプロスタグランジン系化合物の安定性に悪影響を与えるため)。例えばキューピー社製のPC-98Nは、ホスファチジルエタノールアミンの除去処理がなされた精製卵黄レシチン(ホスファチジルコリンの含量が98重量%以上でホスファチジルエタノールアミンの含量が1重量%以下)として好適に用いることができる。
本発明の薬物を保持した脂肪粒子を含む非水系組成物を製造するために用いる薬物含有脂肪乳剤について、油脂の含量を2~120mg/mL(2mg/mLを除く)と規定するのは、2mg/mL以下であると脂肪乳剤が担持できる薬物の量が少なくなってしまう一方、120mg/mLよりも多いと油脂の量が多すぎることで乳化が困難になるからである。油脂の含量は3~110mg/mLが望ましく、5~105mg/mLがより望ましく、10~100mg/mLがさらに望ましい。油脂に対する薬物の重量比率(薬物/油脂)を0.0001~50(但し薬物と油脂の合計含量は最大で125mg/mL)と規定するのは、0.0001よりも小さいと薬物に対して油脂が過多となり、患者に対して無用な油脂を投与することになってしまう一方、50よりも大きいと油脂に対して薬物が過多となり、薬物の安定性が損なわれ、薬物が凝集や析出しやすくなるからである。油脂に対する薬物の重量比率は0.001~20が望ましく、0.01~10がより望ましい。薬物と油脂の合計含量を最大で125mg/mLと規定するのは、125mg/mLよりも多いと透明性を有する脂肪乳剤を得るための乳化が困難になるからである。薬物と油脂の合計含量は3~120mg/mLが望ましい。乳化剤の含量を30~200mg/mL(但し30mg/mLを除く)と規定するのは、30mg/mL以下であると乳化剤の量に対する油脂の量が多すぎることで乳化が困難になる一方、200mg/mLよりも多いと乳剤の粘度が高くなることで乳化が困難になるからである(とりわけレシチンを用いた場合に顕著である)。乳化剤の含量は40~180mg/mLが望ましく、50~160mg/mLがより望ましい。油脂に対する乳化剤の重量比率(乳化剤/油脂)を1~300とすることで、含まれる脂肪粒子が小さい、濁度が0.5以下の乳剤が得やすくなる。なお、薬物の含量は例えば0.01~50mg/mLであってよい。2mg/mLを超える量の油脂を用いることで、脂溶性がある薬物は油脂に溶解することにより、脂溶性がない薬物は水と油脂の界面において乳化剤と共存することにより、より多くの量が脂肪乳剤に担持される。以上で説明した薬物含有脂肪乳剤の組成は、油脂の含量が多いにもかかわらず、水系媒体と混合することで、薬物含有脂肪乳剤への復元を安定に行うことができる、薬物を保持した脂肪粒子を含む非水系組成物を製造するために重要な要素となる(とりわけ乳化剤の含量は重要である)。
本発明の薬物を保持した脂肪粒子を含む非水系組成物は、以下の方法で製造することができる。まず、油脂の含量、油脂に対する薬物の重量比率、薬物と油脂の合計含量、乳化剤の含量を上記の数値範囲に設定し、自体公知の手順、例えば、薬物、油脂、乳化剤をいったん均一に混合して溶解させて油相とし、これに水を加えた後、あるいは水を加えながら、超音波乳化機を用いて乳化したり、また、強力に撹拌して粗乳化液を調製し(例えば回転数が10000~15000rpmで5~30分間の攪拌による)、次いで粗乳化液をマントンゴーリンホモジナイザーなどの高圧乳化機を用いて乳化したりすることにより薬物含有脂肪乳剤を製造する。乳化機の運転条件や乳化時間を調節すれば、脂肪粒子の粒子径分布を狭くすることができる。また、脂肪粒子の粒子径分布を狭くするために、乳化は複数回行ってもよい(例えば3~50回)。特筆すべきは、油脂の含量、油脂に対する薬物の重量比率、薬物と油脂の合計含量、乳化剤の含量を上記の数値範囲に設定することで、超音波乳化機を用いて乳化することによって、また、高圧乳化機を用いて例えば1500バール以下、望ましくは350~1000バールの圧力で乳化することによって、脂肪粒子の平均粒子径が200nm以下、好適には180nm以下、より好適には120nm以下であり(下限は例えば1nm)、濁度が0.5以下、好適には0.4以下、より好適には0.3以下の薬物含有脂肪乳剤が得やすくなる点にある。
次に、以上のようにして製造された薬物含有脂肪乳剤に、水溶性担体として多価アルコールを加えて溶解した後、乳剤の水相を除去する。水溶性担体として用いることができる多価アルコールとしては、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどが挙げられるが、とりわけ、グリセリンとプロピレングリコールとポリエチレングリコールは、水溶性であるとともに、本発明の薬物を保持した脂肪粒子を含む非水系組成物を製造するために用いる薬物含有脂肪乳剤に含まれる薬物を保持した脂肪粒子を破壊してしまう程の脂溶性を持たない点において望ましい。多価アルコールの溶解量は20~2000mg/mLが望ましく、50~1000mg/mLがより望ましい。但し、用いる多価アルコールの飽和溶解量が上記の上限値未満の場合には飽和溶解量を上限とする。多価アルコールの溶解量が少なすぎると、薬物を保持した脂肪粒子に対して多価アルコールが過少となり、薬物を保持した脂肪粒子を含む非水系組成物が安定に得られず(本発明の非水系組成物は油脂の含量が多いことで多数の脂肪粒子を含むので、多価アルコールの溶解量が少なすぎると、乳剤の水相を除去した後に個々の脂肪粒子が多価アルコール中に分散されることができず、脂肪粒子の合一(凝集)が起こりやい)、結果として、水系媒体と混合した際、薬物含有脂肪乳剤への復元を安定に行うことができない恐れがある。一方、多価アルコールの溶解量が多すぎると、患者に対して多価アルコールを無用に投与することになってしまう。薬物含有脂肪乳剤に多価アルコールを加えて溶解した後の乳剤の水相の除去は、どのような方法で行ってもよいが、10~80℃の温度範囲での乾燥処理で行うことが、乳剤に含まれる薬物の劣化を引き起こすことなく、薬物を保持した脂肪粒子を含む非水系組成物を効率よく低コストで得ることができる点において望ましい。乾燥処理は減圧乾燥、噴霧乾燥、流動乾燥、通風乾燥などを好適に採用することができるが、温度条件は30~70℃がより望ましく、40~60℃がさらに望ましい。このようにして製造される本発明の薬物を保持した脂肪粒子を含む非水系組成物が優れた保存安定性を有するためには、その水分率は10%以下が望ましい。
なお、本発明の薬物を保持した脂肪粒子を含む非水系組成物を製造するために用いる薬物含有脂肪乳剤の構成成分としてプロピレングリコール、グリセリン、マクロゴール、乳酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、コンドロイチン硫酸またはその塩(ナトリウム塩など)、ヒアルロン酸またはその塩(ナトリウム塩など)、グリチルリチン酸またはその塩(ナトリウム塩やアンモニウム塩など)などをさらに用いることで、薬物の溶解性の向上、乳剤や薬物の安定性の向上、乳剤の等張化などを図ってもよい。これらの含量は0.02~300mg/mLが望ましく、0.2~100mg/mLがより望ましい。0.02mg/mLよりも少ないと効果が発揮されにくくなる一方、300mg/mLよりも多いと粘度が高くなることで乳化が困難になったり、乳剤が酸性化されて不安定になったりしやすくなる。
また、薬物含有脂肪乳剤の構成成分としてオレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ミリスチン酸などの高級脂肪酸をさらに用いることで、乳剤の安定化を図ってもよい。高級脂肪酸の含量は0.001~10mg/mLが望ましく、0.01~5mg/mLがより望ましい。0.001mg/mLよりも少ないと効果が発揮されにくくなる一方、10mg/mLよりも多いと薬物に対して劣化を招く危険性が生じる。なお、水難溶性薬物がプロスタグランジン系化合物の場合、これらの高級脂肪酸は用いないことが望ましい(プロスタグランジン系化合物の安定性に悪影響を与えるため)。
また、薬物含有脂肪乳剤の構成成分として糖類をさらに用いることで、乳剤中に時として発生しうる析出浮遊物の発生を効果的に抑制することができる。好適な糖類としては、イノシトール、グルコース、ソルビトール、フルクトース、マンニトールなどの単糖類、トレハロース、ラクトース、スクロース、マルトースなどの二糖類の他、キシリトール、デキストリン、シクロデキストリン、デキストランなどが挙げられる。糖類の含量は10~600mg/mLが望ましい。
また、薬物含有脂肪乳剤の構成成分として自体公知のpH調整剤(クエン酸など)や浸透圧調整剤をさらに用い、pHを調整したり(例えば4~8)、浸透圧を調整したりしてもよい。なお、必要に応じて防腐剤や抗酸化剤などを構成成分としてもよいことは言うまでもない。また、薬物含有脂肪乳剤は、水溶性薬物を構成成分とすることを妨げるものではない。
本発明の薬物を保持した脂肪粒子を含む非水系組成物は、その製造過程における薬物含有脂肪乳剤の水相を除去する前の段階や製造後に高圧蒸気滅菌を行うことができる。高圧蒸気滅菌は、一般的な条件(例えば120~122℃×10~15分間)で行えばよい。また、その製造過程における乳剤の水相を除去する前の段階であれば、例えば脂肪粒子の平均粒子径を200nm以下に設定することで、ろ過滅菌を行うことができる。また、本発明の薬物を保持した脂肪粒子を含む非水系組成物は、液体であるため、製造後でもろ過滅菌を行うことができる。このようにして製造される本発明の薬物を保持した脂肪粒子を含む非水系組成物は、保存安定性に優れるので常温保存ができる(但し薬物が非常に不安定なものである場合はこの限りでない)。本発明の薬物を保持した脂肪粒子を含む非水系組成物は、注射用水や生理食塩水などの水系媒体と混合することで、薬物含有脂肪乳剤への復元を安定に行うことができる。本発明の薬物を保持した脂肪粒子を含む非水系組成物に混合する水系媒体の量を、必要に応じて調整することで、透明性を有する薬物含有脂肪乳剤を調製することができるが、こうして調製される薬物含有脂肪乳剤が透明性を有することは、変質や異物混入の有無、配合変化の目視での確認を容易にする他、投与される患者に対して安心感を与える。このように本発明の薬物を保持した脂肪粒子を含む非水系組成物は、それ自体を用時溶解型の医薬品製剤として用いることができる他、各種の医薬品添加物(製剤助剤など)と配合して経口剤や外用剤などの様々な形態の医薬品製剤とすることもできる。ここで特筆すべきは、従来から知られている大量の油脂(例えば10mg/mL以上)を用いて調製された乳白状の薬物含有脂肪乳剤は、例えば60℃といった温和な温度条件での乾燥処理で乳剤の水相を除去すると、薬物を保持した脂肪粒子を含む非水系組成物が得られないことで、その復元をもはや行うことができないということである(この事実はこれまでに提案されている薬物含有脂肪乳剤の乾燥方法が凍結乾燥に限定されていることを裏付けるものである)。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は以下の記載に限定して解釈されるものではない。
実施例1:プロスタグランジンEを保持した脂肪粒子を含む非水系組成物(その1)
30mLビーカーにプロスタグランジンE300μg、精製大豆油22mg、精製卵黄レシチン(PC-98N:キユーピー社製、以下同じ)320mg、グリセリン300mgを採り、ホットスターラーで加温し、窒素気流下、全量が10mLになるように純水を添加しながら超音波乳化機で乳剤が均一になるまで乳化した(約30分間)。得られた無色の微濁したプロスタグランジンE含有脂肪乳剤10mLに、水溶性担体としてグリセリン2.7gを加えて均一溶解した。得られたグリセリン溶解脂肪乳剤を、50mLナスフラスコに入れて、60℃のウォーターバスで加温下、減圧乾燥(エバポレーション)を行うことで乳剤の水相を除去した後、無菌ブース内で、0.22μmφのセルロースアセテート膜(CA膜、以下同じ)でろ過滅菌し、目的とするプロスタグランジンEを保持した脂肪粒子を含む非水系組成物(無色透明の粘性液体、水分率:10%以下)を得た。この粘性液体150mgを試験管に採り、純水1.5mLを加えて1分間、手で振とうしたところ、無色の微濁したプロスタグランジンE含有脂肪乳剤を復元することができた(表1,2参照)。
実施例2:プロスタグランジンEを保持した脂肪粒子を含む非水系組成物(その2)
30mLビーカーにプロスタグランジンE300μg、精製大豆油100mg、精製卵黄レシチン(PC-98N)500mg、グリセリン600mgを採り、ホットスターラーで加温し、窒素気流下、全量が10mLになるように純水を添加しながら超音波乳化機で乳剤が均一になるまで乳化した(約30分間)。得られた無色の薄濁したプロスタグランジンE含有脂肪乳剤10mLに、水溶性担体としてグリセリン2.4gを加えて均一溶解した。得られたグリセリン溶解脂肪乳剤を、50mLナスフラスコに入れて、60℃のウォーターバスで加温下、減圧乾燥(エバポレーション)を行うことで乳剤の水相を除去した後、無菌ブース内で、0.22μmφのCA膜でろ過滅菌し、目的とするプロスタグランジンEを保持した脂肪粒子を含む非水系組成物(無色の微濁した粘性液体、水分率:10%以下)を得た。この粘性液体150mgを試験管に採り、純水1.5mLを加えて1分間、手で振とうしたところ、無色の薄濁したプロスタグランジンE含有脂肪乳剤を復元することができた(表1,2参照)。
実施例3:プロスタグランジンEを保持した脂肪粒子を含む非水系組成物(その3)
30mLビーカーにプロスタグランジンE300μg、精製大豆油100mg、精製卵黄レシチン(PC-98N)1.8g、グリセリン600mgを採り、ホットスターラーで加温し、窒素気流下、全量が10mLになるように純水を添加しながら超音波乳化機で乳剤が均一になるまで乳化した(約30分間)。得られた無色の薄濁したプロスタグランジンE含有脂肪乳剤10mLに、水溶性担体としてグリセリン3.1gを加えて均一溶解した。得られたグリセリン溶解脂肪乳剤を、50mLナスフラスコに入れて、60℃のウォーターバスで加温下、減圧乾燥(エバポレーション)を行うことで乳剤の水相を除去した後、無菌ブース内で、0.22μmφのCA膜でろ過滅菌し、目的とするプロスタグランジンEを保持した脂肪粒子を含む非水系組成物(無色透明の粘性液体、水分率:10%以下)を得た。この粘性液体150mgを試験管に採り、純水1.5mLを加えて1分間、手で振とうしたところ、無色の薄濁したプロスタグランジンE含有脂肪乳剤を復元することができた(表1,2参照)。
実施例4:パルミチン酸デキサメサゾンを保持した脂肪粒子を含む非水系組成物(その1)
20mLビーカーにパルミチン酸デキサメサゾン10mg、精製大豆油50mg、精製卵黄レシチン(PL-100M:キユーピー社製、以下同じ)1g、グリセリン600mgを採り、ホットスターラーで加温し、全量が10mLになるように純水を添加しながら超音波乳化機で乳剤が均一になるまで乳化した(約30分間)。得られた黄色の薄濁したパルミチン酸デキサメサゾン含有脂肪乳剤10mLに、水溶性担体としてグリセリン3.34gを加えて均一溶解した。得られたグリセリン溶解脂肪乳剤を、50mLナスフラスコに入れて、60℃のウォーターバスで加温下、減圧乾燥(エバポレーション)を行うことで乳剤の水相を除去した後、無菌ブース内で、0.22μmφのCA膜でろ過滅菌し、目的とするパルミチン酸デキサメサゾンを保持した脂肪粒子を含む非水系組成物(黄色透明の粘性液体、水分率:10%以下)を得た。この粘性液体150mgを試験管に採り、純水1.5mLを加えて1分間、手で振とうしたところ、黄色の薄濁したパルミチン酸デキサメサゾン含有脂肪乳剤を復元することができた(表1,2参照)。
実施例5:ドセタキセルを保持した脂肪粒子を含む非水系組成物(その1)
30mLビーカーにドセタキセル80mg、中鎖脂肪酸トリグリセリド(ODO:日清オイリオ社製、以下同じ)100mg、精製卵黄レシチン(PL-100M)1.6gを採り、ホットスターラーで加温し、全量が20mLになるように純水を添加しながら超音波乳化機で乳剤が均一になるまで乳化した(約15分間)。得られた黄色の微濁したドセタキセル含有脂肪乳剤20mLに、水溶性担体としてグリセリン20gを加えて均一溶解した。得られたグリセリン溶解脂肪乳剤を、100mLナスフラスコに入れて、60℃のウォーターバスで加温下、減圧乾燥(エバポレーション)を行うことで乳剤の水相を除去した後、無菌ブース内で、0.22μmφのCA膜でろ過滅菌し、目的とするドセタキセルを保持した脂肪粒子を含む非水系組成物(黄色透明の粘性液体、水分率:10%以下)を得た。この粘性液体150mgを試験管に採り、純水1.5mLを加えて1分間、手で振とうしたところ、黄色の微濁したドセタキセル含有脂肪乳剤を復元することができた(表1,2参照)。
実施例6:ドセタキセルを保持した脂肪粒子を含む非水系組成物(その2)
30mLビーカーにドセタキセル80mg、中鎖脂肪酸トリグリセリド(ODO)100mg、精製卵黄レシチン(PL-100M)1.6g、クエン酸20mgを採り、ホットスターラーで加温し、全量が20mLになるように純水を添加しながら超音波乳化機で乳剤が均一になるまで乳化した(約15分間)。得られた黄色の微濁したドセタキセル含有脂肪乳剤20mLに、水溶性担体としてグリセリン20gを加えて均一溶解した。得られたグリセリン溶解脂肪乳剤を、100mLナスフラスコに入れて、60℃のウォーターバスで加温下、減圧乾燥(エバポレーション)を行うことで乳剤の水相を除去した後、無菌ブース内で、0.22μmφのCA膜でろ過滅菌し、目的とするドセタキセルを保持した脂肪粒子を含む非水系組成物(黄色透明の粘性液体、水分率:10%以下)を得た。この粘性液体150mgを試験管に採り、純水1.5mLを加えて1分間、手で振とうしたところ、黄色の微濁したドセタキセル含有脂肪乳剤を復元することができた(表1,2参照)。
実施例7:ドセタキセルを保持した脂肪粒子を含む非水系組成物(その3)
30mLビーカーにドセタキセル200mg、中鎖脂肪酸トリグリセリド(ODO)240mg、精製卵黄レシチン(PL-100M)3.2g、クエン酸40mgを採り、ホットスターラーで加温し、全量が20mLになるように純水を添加しながら超音波乳化機で乳剤が均一になるまで乳化した(約15分間)。得られた黄色の微濁したドセタキセル含有脂肪乳剤20mLに、水溶性担体としてグリセリン20gを加えて均一溶解した。得られたグリセリン溶解脂肪乳剤を、100mLナスフラスコに入れて、60℃のウォーターバスで加温下、減圧乾燥(エバポレーション)を行うことで乳剤の水相を除去した後、無菌ブース内で、0.22μmφのCA膜でろ過滅菌し、目的とするドセタキセルを保持した脂肪粒子を含む非水系組成物(黄色透明の粘性液体、水分率:10%以下)を得た。この粘性液体150mgを試験管に採り、純水1.5mLを加えて1分間、手で振とうしたところ、黄色の薄濁したドセタキセル含有脂肪乳剤を復元することができた(表1,2参照)。
実施例8:ドセタキセルを保持した脂肪粒子を含む非水系組成物(その4)
30mLビーカーにドセタキセル200mg、中鎖脂肪酸トリグリセリド(ODO)240mg、精製卵黄レシチン(PL-100M)3.2g、クエン酸40mgを採り、ホットスターラーで加温し、全量が20mLになるように純水を添加しながら超音波乳化機で乳剤が均一になるまで乳化した(約15分間)。得られた黄色の微濁したドセタキセル含有脂肪乳剤20mLに、水溶性担体としてグリセリン16.32gを加えて均一溶解した。得られたグリセリン溶解脂肪乳剤を、100mLナスフラスコに入れて、60℃のウォーターバスで加温下、減圧乾燥(エバポレーション)を行うことで乳剤の水相を除去した後、無菌ブース内で、0.22μmφのCA膜でろ過滅菌し、目的とするドセタキセルを保持した脂肪粒子を含む非水系組成物(黄色透明の粘性液体、水分率:10%以下)を得た。この粘性液体150mgを試験管に採り、純水1.5mLを加えて1分間、手で振とうしたところ、黄色の薄濁したドセタキセル含有脂肪乳剤を復元することができた(表1,2参照)。
実施例9:パルミチン酸デキサメサゾンを保持した脂肪粒子を含む非水系組成物(その2)
30mLビーカーにパルミチン酸デキサメサゾン40mg、精製大豆油500mg、精製卵黄レシチン(PC-98N)4g、プロピレングリコール260mgを採り、ホットスターラーで加温し、全量が20mLになるように純水を添加しながら超音波乳化機で乳剤が均一になるまで乳化した(約30分間)。得られた無色の薄濁したパルミチン酸デキサメサゾン含有脂肪乳剤20mLに、水溶性担体としてプロピレングリコール10gを加えて均一溶解した。得られたプロピレングリコール溶解脂肪乳剤を、100mLナスフラスコに入れて、60℃のウォーターバスで加温下、減圧乾燥(エバポレーション)を行うことで乳剤の水相を除去した後、無菌ブース内で、0.22μmφのCA膜でろ過滅菌し、目的とするパルミチン酸デキサメサゾンを保持した脂肪粒子を含む非水系組成物(無色の微濁した粘性液体、水分率:10%以下)を得た。この粘性液体150mgを試験管に採り、純水1.5mLを加えて1分間、手で振とうしたところ、無色の薄濁したパルミチン酸デキサメサゾン含有脂肪乳剤を復元することができた(表1,2参照)。
実施例10:パルミチン酸デキサメサゾンを保持した脂肪粒子を含む非水系組成物(その3)
30mLビーカーにパルミチン酸デキサメサゾン100mg、精製大豆油200mg、精製卵黄レシチン(PL-100M)2.4g、プロピレングリコール400mgを採り、ホットスターラーで加温し、全量が20mLになるように純水を添加しながら超音波乳化機で乳剤が均一になるまで乳化した(約30分間)。得られた黄色の微濁したパルミチン酸デキサメサゾン含有脂肪乳剤20mLに、水溶性担体としてプロピレングリコール10gを加えて均一溶解した。得られたプロピレングリコール溶解脂肪乳剤を、100mLナスフラスコに入れて、60℃のウォーターバスで加温下、減圧乾燥(エバポレーション)を行うことで乳剤の水相を除去した後、無菌ブース内で、0.22μmφのCA膜でろ過滅菌し、目的とするパルミチン酸デキサメサゾンを保持した脂肪粒子を含む非水系組成物(黄色の微濁した粘性液体、水分率:10%以下)を得た。この粘性液体150mgを試験管に採り、純水1.5mLを加えて1分間、手で振とうしたところ、黄色の薄濁したパルミチン酸デキサメサゾン含有脂肪乳剤を復元することができた(表1,2参照)。
実施例11:グリチンを保持した脂肪粒子を含む非水系組成物
30mLビーカーにグリチン100mg、中鎖脂肪酸トリグリセリド(ODO)160mg、精製卵黄レシチン(PL-100M)600mg、ポリソルベート(ポリソルベート80)600mgを採り、ホットスターラーで加温し、全量が20mLになるように純水を添加しながら超音波乳化機で乳剤が均一になるまで乳化した(約20分間)。得られた黄色の薄濁したグリチン含有脂肪乳剤20mLに、水溶性担体としてポリエチレングリコール300(マクロゴール300)480mgを加えて均一溶解した。得られたポリエチレングリコール300溶解脂肪乳剤を、100mLナスフラスコに入れて、60℃のウォーターバスで加温下、減圧乾燥(エバポレーション)を行うことで乳剤の水相を除去した後、無菌ブース内で、0.22μmφのCA膜でろ過滅菌し、目的とするグリチンを保持した脂肪粒子を含む非水系組成物(黄色の微濁した粘性液体、水分率:10%以下)を得た。この粘性液体150mgを試験管に採り、純水1.5mLを加えて1分間、手で振とうしたところ、黄色の薄濁したグリチン含有脂肪乳剤を復元することができた(表1,2参照)。
Figure 0007097593000001
Figure 0007097593000002
比較例1:パルミチン酸デキサメサゾンを含む非水系組成物
精製卵黄レシチン(PC-98N)300mgを用いること以外は実施例9と同様の操作を行うと、無色の濁ったパルミチン酸デキサメサゾン含有脂肪乳剤から、無色の濁った粘性液体であるパルミチン酸デキサメサゾンを含む非水系組成物が得られた。この粘性液体150mgを試験管に採り、純水1.5mLを加えて1分間、手で振とうしたところ、相分離が起こり、パルミチン酸デキサメサゾン含有脂肪乳剤を復元することができなかった。
なお、濁度の測定は、紫外分光光度計(UV1800:島津製作所社製)を用い、サンプルをセル幅が1cmの測定セルに入れて波長λ=620nmで行った(ブランクは水)。サンプルが透けて見え、凝集や沈殿などの変質や異物混入の有無、配合変化を目視で容易に確認できる透明~半透明領域はAbs(吸光度)=0.5以下であるので、この濁度を合否の境界とした。平均粒子径の測定は、光子相関法を用いた粒子径測定装置(ナノサイザーZS:マルバーン社製)を用いて行った。水分率の測定は、加熱乾燥式水分計(MX-50:A&D社製)またはカールフィッシャー水分計(京都電子社製)を用いて行った。
製剤例1:プロスタグランジンE含有注射剤用液体
実施例1で得たプロスタグランジンEを保持した脂肪粒子を含む非水系組成物(無色透明の粘性液体)それ自体を、プロスタグランジンE含有注射剤用液体とした。
製剤例2:プロスタグランジンE含有軟膏
実施例2で得たプロスタグランジンEを保持した脂肪粒子を含む非水系組成物(無色の微濁した粘性液体)11.9gに、60℃で加温溶解したマクロゴール軟膏88.1gを攪拌しながら徐々に加え、均一になるまで混合し、冷却固化することにより、プロスタグランジンE含有軟膏を得た。
製剤例3:プロスタグランジンE含有ゲル
実施例3で得たプロスタグランジンEを保持した脂肪粒子を含む非水系組成物(無色透明の粘性液体)11.9gを注射用水25mLに混合した後、4.5%カルメロースナトリウム溶液75mLを加えて十分に練合することにより、プロスタグランジンE含有ゲルを得た。
本発明は、特許文献1に記載の薬物を保持した脂肪粒子を含む非水系組成物よりも、脂肪粒子が多くの量の薬物を担持することができるように油脂の含量が多いにもかかわらず、注射剤や点眼剤や点鼻剤や吸入剤などとして用いることができる薬物含有脂肪乳剤を、用時に水系媒体と混合することで調製することができる、薬物を保持した脂肪粒子を含む非水系組成物およびその製造方法を提供することができる点において産業上の利用可能性を有する。

Claims (5)

  1. 水難溶性薬物、油脂、乳化剤、水を少なくとも構成成分とする薬物含有脂肪乳剤であって、油脂の含量が2~120mg/mL(但し2mg/mLを除く)、油脂に対する薬物の重量比率(薬物/油脂)が0.0001~50(但し薬物と油脂の合計含量は最大で125mg/mL)、乳化剤の含量が30~200mg/mL(但し30mg/mLを除く)、油脂に対する乳化剤の重量比率(乳化剤/油脂)が5~300であり、濁度が0.5以下である薬物含有脂肪乳剤に、水溶性担体としての多価アルコールを加えて溶解した後、乳剤の水相を除去することを特徴とする薬物を保持した脂肪粒子を含む非水系組成物の製造方法。
  2. 乳剤の水相の除去を10~80℃の温度範囲での乾燥処理で行うことを特徴とする請求項記載の製造方法。
  3. 多価アルコールがグリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  4. 脂肪粒子の平均粒子径が1~200nmであることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  5. 乳化剤の50重量%以上がレシチンであることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
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