JP5634842B2 - 遊星歯車機構およびこれを備えた電動補助自転車用のハブモータ装置 - Google Patents

遊星歯車機構およびこれを備えた電動補助自転車用のハブモータ装置 Download PDF

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本発明は、遊星歯車機構およびこれを備えた電動補助自転車用のハブモータ装置の改良に関する。
入力側の回転トルクを減速した上で出力側に伝達する減速機構として、入力側に設けられる太陽歯車と、出力側に設けられる内歯車と、太陽歯車と内歯車の間に複数配設された遊星歯車とを備えた、いわゆる遊星歯車機構が広く用いられている。
例えば、下記の特許文献1には、ペダルの踏力を受けて後輪が駆動し、モータの回転トルクを受けて前輪が駆動する、いわゆる前輪アシストタイプの電動補助自転車が記載されており、この電動補助自転車には、前輪を車軸に対して回転可能に支持するハブ(フロントハブ)と、このハブに内蔵された入力側としてのモータ、及び当該モータの回転トルクを減速してハブに伝達する遊星歯車機構とを主要部として構成されたハブモータ装置が装備されている。電動補助自転車がかかるハブモータ装置を装備していることにより、トルク検出手段により検出されたペダルの踏力が設定値を超え、バッテリーから供給される電力によってモータが駆動されると、入力側としてのモータの回転トルクが遊星歯車機構を介して出力側としてのハブに伝達されて補助動力が発生する(アシスト機能が働く)ので、自転車を軽快に運転走行させることができる。
特許第4215670号
特許文献1に記載のハブモータ装置においては、入力側としてのモータ、遊星歯車機構及び出力側としてのハブが直接的に連結されている構成上、例えばバッテリー切れとなり、ペダル踏力のみで自転車を運転走行させなければならないような場合においても、前輪の回転は遊星歯車機構を介してモータに伝達される。そのため、乗員は遊星歯車機構で生じるトルクロスを含んでペダルを踏み込まねばならなくなり、多大な踏力が必要となる。また、例えば手押し走行時や、下り坂等でペダルを踏み込まずに自転車を運転走行させる惰性走行時においても、ハブモータ装置内でトルクロスが生じるため、ペダル踏力のみで運転走行される一般的な自転車よりも取り回し性が悪くなったり、走行速度が急激に低下したりするという問題がある。
この種の問題は、例えば、ハブモータ装置を構成する遊星歯車機構内に、モータの回転トルク(入力トルク)をハブに対して出力する一方、ハブの回転トルク(逆入力トルク)をモータに対して出力しないように構成された、いわゆるワンウェイクラッチを設けることで解消することができる。しかしながら、この種の電動補助自転車においては、バッテリー容量をむやみに増大させることなく、補助動力を長時間に亘って取得可能とすることを目的として、いわゆる電力回生機構を設ける場合が多いため、上記したような一般的なワンウェイクラッチを設けるだけではモータに逆入力トルクが伝達されず、発電(電力回生)が実行されなくなる。
かかる実情に鑑み、本発明の目的は、回転トルクの伝達方向を必要に応じて切り替えることができ、しかも、入力側の停止時に、内部でトルクロスが生じない遊星歯車機構を提供することにある。
上記の目的を達成すべく創案された本発明にかかる遊星歯車機構は、入力側に設けられる太陽歯車と、出力側に設けられる内歯車と、太陽歯車と内歯車の間に複数介設された遊星歯車体とを備え入力側の回転トルクを内歯車に伝達可能な正回転ロック状態、入力側の停止時に内歯車を太陽歯車に対して空転させる空転回転状態、又は入力側の停止状態で出力側が回転するのに伴って内歯車に入力される回転トルクを太陽歯車に伝達可能な逆回転ロック状態、の何れか一つの状態に切り替え可能とされ、切り換え操作により、空転回転状態および逆回転ロック状態の何れか一方から他方への切り替えが実行されるものであって、各遊星歯車体は、太陽歯車および内歯車に夫々噛合した第1および第2中間歯車を有し、少なくとも一の遊星歯車体を構成する両中間歯車の間に、両中間歯車の間で何れか一方から他方へのトルク伝達を選択的に許容し、かつ上記切り替え操作により、両中間歯車間でのトルク伝達方向が切り替えられるツーウェイクラッチを設けると共に、他の遊星歯車体を構成する両中間歯車の間に、第1中間歯車から第2中間歯車へのトルク伝達を許容し、かつ上記切り替え操作により、第1中間歯車から第2中間歯車へのトルク伝達を許容するロック状態又はトルク伝達を許容しないロック解除状態が切り替えられるワンウェイクラッチを設けたことを特徴とする。
このような構成を備えた遊星歯車機構は、特に、いわゆる前輪アシストタイプの電動補助自転車用のハブモータ装置であって、前輪を車軸に対して回転可能に支持する筒状のハブに、モータ、およびモータの回転トルクを減速してハブに伝達する減速機構が内蔵されてなるものにおいて、減速機構として好適に用い得る。この場合、モータが入力側に相当し、ハブが出力側に相当する。以下では、部分的に、この種の電動補助自転車用のハブモータ装置に上記構成を有する遊星歯車機構を組み込んだと仮定して、本発明の構成を採用することによる作用効果を述べる。
このような構成によれば、空転回転状態に切り替えておくことにより、例えば、(1)モータに駆動電力を供給するバッテリーの残量がゼロになったとき、(2)故意に電源を切ってペダル踏力のみで自転車を運転走行させるとき、(3)手押しで自転車を前進させるとき、あるいは(4)下り坂等でペダル踏力を与えずに自転車を惰性走行させるとき等に、出力側としてのハブに設けられる内歯車が、入力側としてのモータに設けられる太陽歯車に対して空転する。すなわち、入力側の停止状態では、内歯車と太陽歯車とが共回りするのを防止することができる。これにより、モータの停止状態において遊星歯車機構内でトルクロスが生じるのを回避することができるので、この種の電動補助自転車の取り回し性等を向上することができる。
また、本発明の遊星歯車機構では、上記切り替え操作により、空転回転状態および逆回転ロック状態の何れか一方から他方への切り替えが実行される。そのため、上記したハブモータ装置等、出力側であるハブに入力される逆入力トルクを入力側に伝達することによって電力回生が実行される用途においては、空転回転状態から逆回転ロック状態へと適宜切り替えることで電力回生を適切に実行することができる。
上記構成において、入力側の停止状態で出力側が回転(自転車を前進させる方向に回転)するとき、正回転ロック状態から空転回転状態に自動的に切り替わるようにすることもできる。このようにしておけば、例えば突然バッテリー切れとなったような場合においても、出力側が回転するのに伴って遊星歯車機構内でトルクロスが生じるのを回避することができる。従って、常時トルクロスがない状態で自転車を運転走行させることができる。
一般に、電力回生を実行する際に必要とされるモータ(入力側)の回転トルクは、補助動力を付与する際に必要とされる回転トルクに比べて小さくて済む。そのため、ツーウェイクラッチを備えた遊星歯車体は最小限で足りる。これにより、ツーウェイクラッチの数を最小限としてコスト増を可及的に抑制しながら、補助動力を適切に得ることが、さらには電力回生を適切に実行することができる。
かかる構成において、ツーウェイクラッチは、第1中間歯車に設けられる外輪と、第2中間歯車に設けられる内輪と、外輪と内輪の間に配置された複数の係合子と、各係合子を外輪および内輪と正逆両回転方向で楔係合させる複数のカム面と、係合子を保持する保持器と、保持器に弾性力を付与する弾性部材とを備え、保持器に付与した弾性力で係合子を常時正回転方向に付勢し、かつ保持器に回転遅れを与え、正回転方向に楔係合した係合子を逆回転方向の楔係合に切り替えることで、両中間歯車間におけるトルク伝達方向が正回転方向から逆回転方向に切り替えられるものとすることができる。
また、ワンウェイクラッチは、第1中間歯車に設けられる外輪と、第2中間歯車に設けられる内輪と、外輪と内輪の間に配置された複数の係合子と、各係合子を外輪および内輪と正回転方向でのみ楔係合させる複数のカム面と、係合子を保持する保持器と、保持器に弾性力を付与する弾性部材とを備え、保持器に付与した弾性力で係合子を常時正回転方向に付勢し、かつ保持器に回転遅れを与え、正回転方向に楔係合した係合子の楔係合状態を解除することで、ロック状態からロック解除状態に切り替えられるものとすることができる。
上記構成において、ワンウェイクラッチのロック状態からロック解除状態への切り替えが実行されるのに先立って、ツーウェイクラッチを設けた両中間歯車間におけるトルク伝達方向が正回転方向から逆回転方向に切り替えられるようにすると、一時的に両回転方向のトルク伝達が可能な状態となって、回転トルクを円滑に伝達できない(回転方向の切り替えを適切に実行できない)可能性が高まる。従って、上記構成においては、ツーウェイクラッチを設けた両中間歯車間におけるトルク伝達方向が正回転方向から逆回転方向に切り替えられるのに先立って、ワンウェイクラッチのロック状態からロック解除状態への切り替えが実行されるようにするのが望ましい。
このようにするための具体的手段として、ワンウェイクラッチの弾性部材として、ツーウェイクラッチの弾性部材よりも小さな弾性力を有するものを使用する、両クラッチのうちワンウェイクラッチの保持器に対して優先的に回転遅れを与える、あるいはこれらを併用することが考えられる。
上記したとおり、本発明にかかる遊星歯車機構は、例えば、いわゆる前輪アシストタイプの電動補助自転車用のハブモータ装置に組み込まれる減速機構として好適に用い得る。この場合、遊星歯車機構の各状態の切り替えは、自転車の乗員のブレーキ操作に連動して行われるようにすることができる。具体例を挙げると、(モータの停止状態で)ブレーキレバーを握り込むことで前輪に制動力が付与されるのと同時に、遊星歯車機構(例えば、各クラッチ機構を構成する保持器)に回転制動力が付与されることによって空転回転状態から逆回転ロック状態に切り替わり、ブレーキレバーの握り込みを解放して前輪に対する制動力の付与が解除されるのと同時に、遊星歯車機構に対する回転制動力の付与が停止されることによって逆回転ロック状態から空転回転状態に切り替わるように構成することができる。一般に、ブレーキレバーを握り込むときに補助動力が必要となる可能性は低い。従って、このようにすれば、電動補助自転車を軽快に運転走行させることができながら、効率的に電力回生を実行することができる。
なお、本発明にかかる遊星歯車機構は、トルク伝達方向の切り替えが必要な用途であれば、上記したハブモータ装置以外の用途にも好ましく用いることができ、その他の用途の一例として風力発電機の動力伝達系を挙げることができる。風力発電機においては、風が弱いときにおいても比較的大きな発電力を得ることを目的として、ファンと発電機(モータ)との間に遊星歯車機構を設け、ファンの回転を増速して発電機に伝達可能とする場合がある。この場合、台風通過時等、強風が吹き荒れるような状況下においては、発電機保護の観点からファンから入力される回転を遮断することが望ましい。従って、回転トルクの伝達又は非伝達(トルク伝達方向の切り替え)が制御可能な本発明にかかる遊星歯車機構は、風力発電機等にも好ましく用いることができる。
以上に示したように、本発明によれば、回転トルクの伝達方向を必要に応じて切り替えることができ、しかも、入力側の停止時に、内部でトルクロスが生じない遊星歯車機構を提供することができる。従って、本発明にかかる遊星歯車機構を、例えば前輪アシストタイプの電動補助自転車用のハブモータ装置に用いれば、この種の電動補助自転車の取り回し性を向上することができ、しかも任意のタイミングで電力回生を実行することができる。
前輪アシストタイプの電動補助自転車の駆動系統を模式的に示す図である。 本発明に係る遊星歯車機構を組み込んだハブモータ装置の断面図である。 遊星歯車機構が正回転ロック状態となっている場合における図2のY1−Y1線矢視断面図である。 遊星歯車機構が空転回転状態となっている場合における図2のY1−Y1線矢視断面図である。 図2の要部拡大図であり、遊星歯車機構を構成する複数の遊星歯車体のうちツーウェイクラッチを備えた遊星歯車体の断面図である。 図5のY2−Y2線矢視断面図である。 図2の要部拡大図であり、遊星歯車機構を構成する複数の遊星歯車体のうちワンウェイクラッチを備えた遊星歯車体の断面図である。 図7のY3−Y3線矢視断面図である。 図5に示す遊星歯車体が逆回転ロック状態にあるときの断面図である。 図9のY4−Y4線矢視断面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に、本発明に係る遊星歯車機構が組み込まれたハブモータ装置1(詳細は図2を参照)を装備してなる電動補助自転車の駆動系統を模式的に示す。この電動補助自転車は、ペダル踏力(人力駆動力)を受けて後輪が駆動し、モータの回転トルクを受けて前輪が駆動するいわゆる前輪アシストタイプの電動補助自転車であり、ペダル100に加えられた乗員の踏力を後輪の車軸104に伝達する人力駆動系Aと、前輪を電動駆動させるための電動駆動系Bとを備える。
人力駆動系Aでは、ペダル100の踏力がペダルクランク101でクランク軸102の回転運動に変換され、クランク軸102の回転トルクは、クランク軸102に取り付けられたフロントスプロケット103、後輪の車軸104に取り付けられたリヤスプロケット105、及び両スプロケット103,105に掛け渡されたチェーン106等のトルク伝達部材を介して後輪の車軸104に伝達される。リヤスプロケット105と車軸104とは、リヤスプロケット105からのトルク(ペダル100の踏力)を車軸104に伝達する一方で、車軸104からの逆入力トルクをリヤスプロケット105に伝達しないよう、図示外のワンウェイクラッチを介してフリーに連結されている。
電動駆動系Bは、前輪に補助動力を付与するためのモータ10(図2等を参照)が内蔵され、前輪を車軸2に対して回転可能に支持するフロントハブとしての機能を兼ね備えたハブモータ装置1と、モータ10に電力を供給するバッテリー111と、ペダル100の踏力(クランク軸102の回転トルク)を検出するトルク検出手段110とを主要部として構成される。そして、トルク検出手段110で検出したペダル100の踏力が設定値を超えたときには、バッテリー111からモータ10に電力が供給されてモータ10が駆動されることにより、人力駆動系Aでの不足分に応じたトルクが補助動力として得られる。なお、図示は省略しているが、この電動補助自転車には、電動駆動系Bを作動させるか否か、言い換えると人力駆動系Aのみで当該自転車を運転走行させるか否かを選択するための電源スイッチが設けられている。従って、電源スイッチが「ON」の状態でペダル100の踏力が設定値を超えたときには補助動力を得られるが、電源スイッチが「OFF」の状態では、ペダル100の踏力が設定値を超えたとしても補助動力は得られない。
また、この電動補助自転車は、バッテリー切れが生じるのを可及的に防止するため、電力回生機構を有する。ここでは、モータ10が停止した状態で自転車運転走行させている最中に、前輪に制動力を付加するためのブレーキ112が操作される(ブレーキレバーが握り込まれる)と、ハブモータ装置1に内蔵されたモータ10の回転軸が回転し、これによって電力回生がなされてバッテリー111が充電されるようになっている。
以下、ハブモータ装置1の詳細構造について延べる。
図2に、ハブモータ装置1の断面図を示す。同図に示すハブモータ装置1は、図1に示す電動補助自転車の電動駆動系Bを構成するものであって、前輪を車軸2に対して回転可能に支持する略円筒状のハブ3に、バッテリー111から電力が供給されることにより駆動するモータ10、及びモータ10の回転トルクを減速してハブ3に伝達する減速機構としての遊星歯車機構20を組み込んで主要部が構成されている。かかる構成から、本実施形態では、モータ10が本発明でいう入力側に相当し、ハブ3が本発明でいう出力側に相当する。ハブ3は、転がり軸受4a,4bによって車軸2に対して回転自在に支持されている。車軸2は、ハブ3の一端側(図中左側)に設けられた中空又は中実の第1車軸2aと、ハブ3の他端側(図中右側)に設けられた中空の第2車軸2bとで構成され、第2車軸2bの内周には断面T字形状の制動部材50が挿通されている。
モータ10は、第1車軸2aに固定された略円筒状のモータケース14と、モータケース14の内径面に固定されたステータ11と、回転軸13を有するロータ12とで主要部が構成される。ロータ12は、ステータ11の内径側で車軸2と同軸に配置され、モータケース14の内周に配設された転がり軸受4c,4dによってモータケース14に対して回転自在に支持されている。回転軸13の図中右側の一端はモータケース14の外部に突出しており、この突出部分の外周には遊星歯車機構20を構成する太陽歯車21が設けられている。本実施形態では、回転軸13の外周面に切削等の機械加工あるいは鍛造等の塑性加工を施すことによって回転軸13と一体に太陽歯車21を設けている。なお、太陽歯車21は、回転軸13と別体に設けることも可能である。
制動部材50は、第2車軸2bの内周に挿通された軸部と、軸部の一端から径方向外側に延び、遊星歯車体26(詳しくは、後述する保持器34,44)と軸方向に対向配置された円盤状のフランジ部50aとを有する。この制動部材50は、遊星歯車体26に対する接近および離反移動が可能とされており、かかる接近および離反移動は、自転車のブレーキ112(図1参照)操作に連動して実行される。詳しくは、ブレーキレバーを握り込むと制動部材50が遊星歯車体26に対して接近移動し、ブレーキレバーの握り込みを解放すると制動部材50が遊星歯車体26から離反移動する。
図3及び図4にも示すように、遊星歯車機構20は、モータ10の回転軸13に設けられた太陽歯車21と、ハブ3の内径部に設けられた内歯車22と、太陽歯車21と内歯車22の間に複数介設された遊星歯車体26とを主要部として備える。遊星歯車体26は円周方向の3箇所に等間隔で配設されており、内歯車22は、ハブ3とは別体に設けられてハブ3の内周面に固定されている。内歯車22とハブ3とが別体に設けられた本実施形態において両者が相対回転すると、両者間でのトルク伝達が適切に行われなくなることから、ハブ3と内歯車22とを円周方向で係合させることによって両者の相対回転を防止している。ここでは、ハブ3の内周面に設けた凸部3aを内歯車22の外周面に設けた凹部22aに嵌合させることにより、ハブ3と内歯車22の相対回転を防止している。なお、内歯車22は、ハブ3と一体に設けることも可能である。
各遊星歯車体26は、モータケース14から軸方向に突設された遊星歯車軸23と、太陽歯車21に噛合した第1中間歯車24と、内歯車22に噛合した第2中間歯車25とを有し、第2中間歯車25は遊星歯車軸23の外径面に固定されている。図5等にも拡大して示すように、第2中間歯車25は段付き円筒状に形成され、第1中間歯車24は、第2中間歯車25の小径外周面25aの外周に配置されている。第1中間歯車24として、その直径が第2中間歯車25の直径よりも大きいものを用いている。これにより、モータ10の回転トルクは、大きな減速比で減速されたうえで内歯車22(ハブ3)に伝達されるので、大きな補助動力が得られる。
以上の構成を有する遊星歯車機構20は、モータ10の回転トルクを内歯車22(ハブ3)に伝達可能な正回転ロック状態、モータ10の停止時に内歯車22を太陽歯車21(モータ10の回転軸13)に対して空転させる空転回転状態、又は、モータ10の停止状態でハブ3が回転するのに伴って内歯車22に入力される回転トルク(逆入力トルク)を太陽歯車21に伝達可能な逆回転ロック状態の何れか一つの状態に切り替え可能となっている。
上記各状態についてさらに詳述する。図3に示す正回転ロック状態では、モータ10の回転トルクが太陽歯車21→第1中間歯車24→第2中間歯車25→内歯車22という経路を介してハブ3に伝達され、ハブ3及びこれに支持された前輪が、自転車を前進させる方向(図中反時計回り)に回転する。従って、遊星歯車機構20が正回転ロック状態となっているときには、モータ10からの補助動力が得られる。また、図4に示す空転回転状態では、モータ10の停止状態で前輪が自転車を前進させる方向に回転すると、これに伴って内歯車22に入力される回転トルク(逆入力トルク)は、内歯車22→第2中間歯車25にまで伝達されるだけであって、第2中間歯車25から第1中間歯車24、さらには太陽歯車21へは伝達されない。従って、空転回転状態では、ハブ3に設けられた内歯車22がモータ10の回転軸13に設けられた太陽歯車21に対して空転する。また、逆回転ロック状態では、図3に示す正回転ロック状態とは真逆の経路を介して内歯車22に入力される回転トルク(逆入力トルク)が太陽歯車21に伝達される。これにより、モータ10の回転軸3が回転し、電力回生がなされてバッテリー111が充電される。
遊星歯車機構20が空転回転状態となっていれば、モータ10が停止した状態で自転車を前進させるとき、例えば、(1)バッテリー111の残量がゼロになったとき、(2)電源スイッチを「OFF」の状態としてペダル100の踏力のみで自転車を運転走行させるとき、(3)手押しで自転車を前進させるとき、あるいは、(4)下り坂等でペダル100に踏力を与えず自転車を惰性走行させるとき等に、ハブ3がモータ10の回転軸13に対して空転する。これにより、モータ10の停止状態において、遊星歯車機構20内でトルクロスが生じるのを回避することができる。従って、本発明にかかる遊星歯車機構20を組み込んだハブモータ装置1であれば、電動補助自転車の取り回し性を向上することができる。
遊星歯車機構20を、上記した正回転ロック状態、空転回転状態、又は逆回転ロック状態の何れか一つの状態に切り替え可能とするため、各遊星歯車体26を構成する第1中間歯車24と第2中間歯車25との間にクラッチを設けた。詳しくは、図3および図4に示すように、円周方向の三箇所に配設した遊星歯車体26のうち、一の遊星歯車体26を構成する両中間歯車24,25間に、両中間歯車24,25間で何れか一方から他方へのトルク伝達を選択的に許容可能とするツーウェイクラッチ30を設けると共に、残り二つの遊星歯車体26を構成する両中間歯車24,25間に、第1中間歯車24から第2中間歯車25へのトルク伝達のみを許容するワンウェイクラッチ40を設け、かつ適当な切り替え操作により(回転制動力の付与又は付与停止を切り替えることにより)、空転回転状態および逆回転ロック状態の何れか一方から他方への切り替えが実行されるようにした。
図5および図6に、ツーウェイクラッチ30を設けた一の遊星歯車体26を拡大して示す。ツーウェイクラッチ30は、外輪31と、外輪31の内径側に配置された内輪32と、外輪31と内輪32の間に円周方向等間隔で配置された係合子としてのローラ33と、ローラ33を円周方向所定間隔で保持する保持器34と、保持器34に弾性力を付与する弾性部材35とを備える。
外輪31は、その外径面に設けた凸部を第1中間歯車24の大径内周面24aに設けた凹部に嵌合することで、第1中間歯車24と一体回転する構造とされている。なお、外輪31の外径面に凹部を設け、この凹部と、第1中間歯車24の大径内周面24aに設けた凸部とを嵌合するようにしても良い。
内輪32は、その内径面に設けた凸部を第2中間歯車25の小径外周面25aに設けた凹部に嵌合することで、第2中間歯車25と一体回転する構造とされている。なお、内輪32の内径面に凹部を設け、この凹部と、第2中間歯車25の小径外周面25aに設けた凸部とを嵌合するようにしても良い。内輪32の外径面には、ローラ33と接触する複数のカム面37が形成される。図示例では、内輪32の外径面が正八角形断面に形成され、この正八角形断面を構成する各平面がカム面37として機能する。このようなカム面37が内輪32の外径面に形成されていることにより、外輪31の真円状内径面と内輪32の外径面(カム面37)との間に正逆両回転方向で半径方向の幅を縮小させた複数の楔隙間39が形成されている。
保持器34は、軸方向に延びて外輪31と内輪32との間に介在する円筒状の保持部34aと、保持部34aの一端から外径側に延びるフランジ部34bとを一体に備える。保持部34aには、円周方向等間隔でローラ33を収容するためのポケット34cが設けられ、フランジ部34bの端面(反第1中間歯車24側の端面)には、制動部材50のフランジ部50aと摺接する摺動面36が設けられている。
弾性部材35は、例えばリングばねで構成される。弾性部材35は、その一端を保持器34の保持部34aに固定し、他端を内輪32の一端面に設けた切欠き32aに固定することにより、内輪32と保持器34の間に介装される。この弾性部材35の取り付けに際しては、弾性部材35を自然状態から拡径もしくは縮径させて保持器34と内輪32にそれぞれ取り付け、取り付け後は、その弾性力によって保持器34と内輪32とに回転方向の位相ずれをもたせる。ここでは、図6に示すように、弾性部材35の弾性力によって保持器34が内輪32に対して正回転方向(同図中、反時計回りの方向)に常時付勢され、保持器34に押されたローラ33が楔隙間39の正回転方向側に常時付勢されている。
次いで、図7および図8に、ワンウェイクラッチ40を設けた遊星歯車体26を拡大して示す。ワンウェイクラッチ40は、上記したツーウェイクラッチ30と同様に、外輪、内輪、係合子としてのローラ、保持器および弾性部材を備えており、本実施形態では、内輪、保持器および弾性部材が、ツーウェイクラッチ30のそれらとは異なる構成を有している。従って、ここでは、ワンウェイクラッチ40を構成する外輪およびローラについてはツーウェイクラッチ30のそれらと同一の符号を付して説明を省略し、内輪、保持器および弾性部材についてのみ詳細に説明を行う。
ワンウェイクラッチ40の内輪42の外径面には、カム面47と、カム面47よりも内径側に後退した逃げ部48とが円周方向で交互に形成されている。各カム面47は、外輪31の真円状内径面との間に、正回転方向(図8中、反時計回りの方向)で半径方向の幅を縮小させた楔隙間49を形成している。一方、各逃げ部48は、外輪31の真円状内径面との間に楔隙間49よりも幅広の半径方向隙間を形成しており、この半径方向隙間の隙間幅は、ローラ33の直径よりも大きく設定される。かかる構成から、ローラ33は、正回転方向でのみ外輪31および内輪42と楔係合し、逆回転方向では外輪31および内輪42と楔係合しない。ローラ33が正回転方向で外輪31および内輪42と楔係合した状態が本発明でいう「ロック状態」に相当し、外輪31および内輪42と楔係合していない状態が「ロック解除状態」に相当する。
保持器44は、軸方向に延びて外輪31と内輪42との間に介在する円筒状の保持部44aと、保持部44aの一端から外径側に延びるフランジ部44bとを一体に備える。保持部44aには、円周方向等間隔でローラ33を収容するためのポケット34cが設けられ、フランジ部44bの反第1中間歯車24側の端面には、制動部材50のフランジ部50aと摺接する摺動面36が設けられている。この保持器44とツーウェイクラッチ30の保持器34とでは、フランジ部の軸方向寸法が異なっている。詳しくは、保持器34のフランジ部34bの軸方向寸法をT1(図5を参照)、保持器44のフランジ部44bの軸方向寸法をT2とすると、T1<T2の関係式が成立するように各フランジ部34b,44bの軸方向寸法が設定される。なお、詳細な図示は省略しているが、各遊星歯車体26を構成する第1中間歯車24は同一構造を有し、かつ同一の平面上(軸直交平面)に配置されている。従って、遊星歯車機構20において、ワンウェイクラッチ40の保持器44の摺動面36の方が、ツーウェイクラッチ30の保持器34の摺動面36よりも反モータ10側に位置する。
弾性部材45は、例えばリングばねで構成される。弾性部材45は、その一端を保持器44の保持部44aに固定し、他端を内輪42の一端面に設けた切欠き42aに固定することにより、内輪42と保持器44の間に介装される。この弾性部材45の取り付けに際しては、弾性部材45を自然状態から拡径もしくは縮径させて保持器44と内輪42にそれぞれ取り付け、取り付け後は、その弾性力によって保持器44と内輪32とに回転方向の位相ずれをもたせる。ここでは、図8に示すように、弾性部材45の弾性力によって保持器44が内輪42に対して正回転方向(図8中、反時計回りの方向)に常時付勢され、保持器44に押されたローラ33が、楔隙間49の正回転方向側に常時付勢されている。このように、ワンウェイクラッチ40を構成する弾性部材45の基本構造および取り付け態様は、ツーウェイクラッチ30を構成する弾性部材35のそれらと同様であるが、弾性部材45の弾性力は、弾性部材35のそれよりも小さく設定されている。
以上の構成を有する遊星歯機構20(ハブモータ装置1)は、以下に示す態様で動作する。
ハブモータ装置1の停止状態(自転車の停止状態)において、ツーウェイクラッチ30の保持器34およびローラ33は、弾性部材35の弾性力により楔隙間39の正回転方向に変位し(図6参照)、また、ワンウェイクラッチ40の保持器44およびローラ33は、弾性部材45の弾性力により楔隙間49の正回転方向に変位している(図8参照)。自転車の運転走行開始時等、ペダル100の踏力が設定値を超えることによってモータ10が駆動され、モータ10の回転トルクが太陽歯車21を介して各クラッチ30,40を構成する第1中間歯車24に入力されると、第1中間歯車24及び外輪31は正回転方向に一体的に回転し、ローラ33が外輪31および内輪32,42と正回転方向で楔係合してロックされる(正回転ロック状態)。これにより、モータ10の回転トルクが第2中間歯車25(内輪32)ひいては内歯車22に対して伝達可能となる。従って、この状態でモータ10が引き続き駆動されると、その回転トルクは、太陽歯車21および全ての遊星歯車体26を介して内歯車22に伝達され、内歯車22と一体的に設けられたハブ3および前輪が回転する(図3を参照)。
次いで、図4に示すように、例えばペダル100の踏力が設定値以下となってモータ10が停止し、各第1中間歯車24および外輪31への正回転方向のトルク入力が中断されると、前輪およびハブ3の慣性回転により、各第2中間歯車25および内輪32,42は同方向に回転しようとする。この回転方向はツーウェイクラッチ30およびワンウェイクラッチ40の空転方向であるため、ハブ3の回転トルク(逆入力トルク)は内歯車22→各遊星歯車体26を構成する第2中間歯車25に伝達されるだけであって、第1中間歯車24や太陽歯車21に伝達されない。従って、この状態では、内歯車22は、太陽歯車21に対して空転する(空転回転状態)。
(モータ10の停止状態で)ブレーキレバーが握り込まれると、前輪に制動力が付与されるのと同時に、制動部材50が遊星歯車体26に対して接近移動し、制動部材50のフランジ部50aがクラッチ30,40を構成する保持器34,44の摺動面36に押し当てられる(図9を参照)。このように、制動部材50のフランジ部50aがクラッチ機構30,40を構成する保持器34,44の摺動面36に押し当てられると、保持器33,44に作用する回転制動力(摺動面36とフランジ部50aとの間に生じる摩擦力)によって保持器34,44に回転遅れが生じ、両クラッチ30,40において保持器34,44が内輪32,42に対して逆回転方向に相対回転する。その結果、ツーウェイクラッチ30においては、楔隙間39におけるローラ33の噛み込み位置が楔隙間39の正回転方向側から逆回転方向側に切り替わり、各ローラ33は、楔隙間39の逆回転方向側で外輪31および内輪32と楔係合してロックされる(逆回転ロック状態。図10を参照)。このとき、ワンウェイクラッチ40においては、各ローラ33と外輪31および内輪42との正回転方向での楔係合が解除され、各ローラ33が、内輪42の逃げ部48と外輪31の内径面とで形成される半径方向隙間に収容される(ワンウェイクラッチ40は、ロック状態からロック解除状態に切り替わる)。このように、各ローラ33が半径方向隙間に収容されることによってロック解除状態になると、正逆両回転方向においてトルク伝達が行われなくなる。
以上の構成から、遊星歯車機構20が逆回転ロック状態になると、内歯車22に入力される逆入力トルクが、遊星歯車機構20に設けた遊星歯車体26のうち、一の遊星歯車体26に設けたツーウェイクラッチ30を介して太陽歯車21に伝達可能となり、これに伴ってモータ10の回転軸13が回転して電力回生がなされる。
そして、ブレーキレバーの握り込みが解放され、制動部材50が遊星歯車体26に対して離反移動すると、保持器34,44の回転遅れがなくなる。これにより、両クラッチ30,40において、保持器34,44は、弾性部材35,45の弾性力によって内輪32,42に対して正回転方向に相対回転する。その結果、ツーウェイクラッチ30では、楔隙間39におけるローラ33の噛み込み位置が楔隙間39の逆回転方向側から正回転方向側に切り替わり、また、ワンウェイクラッチ40では、楔隙間49にローラ33が噛み込んで、外輪31(第1中間歯車24)から内輪42(第2中間歯車25)へのトルク伝達が許容されるロック状態に切り替わる。すなわち、ブレーキレバーの握り込みが解放され、制動部材50が遊星歯車体26に対して離反移動すると、遊星歯車機構20は、逆回転ロック状態から空転回転状態に切り替わる。
以上で説明したように、本発明にかかる遊星歯車機構20では、適当な切り替え操作(ここではブレーキ操作)により、空転回転状態および逆回転ロック状態の何れか一方から他方への切り替えが実行される。そのため、ハブモータ装置1等、出力側であるハブ3に入力される逆入力トルクを入力側であるモータ10に伝達することによって電力回生が実行される用途においては、空転回転状態から逆回転ロック状態へと適宜切り替えることで電力回生を適切に実行することができる。
また、本実施形態では、上記したように、ツーウェイクラッチ30を構成する保持器34のフランジ部34bの軸方向寸法T1と、ワンウェイクラッチ40を構成する保持器44のフランジ部44bの軸方向寸法T2との間に、T1<T2の関係式が成立するように各フランジ部34b,44bの軸方向寸法を設定した。これにより、ブレーキレバーを握り込んで制動部材50を保持器34,44に対して接近移動させたときには、ツーウェイクラッチ30の保持器34およびワンウェイクラッチ40の保持器44のうち、ワンウェイクラッチ40の保持器44に対して優先的に回転遅れが与えられる。言い換えると、ツーウェイクラッチ30を設けた両中間歯車24,25間におけるトルク伝達方向が正回転方向から逆回転方向に切り替えられるのに先立って、ワンウェイクラッチ40がロック状態からロック解除状態に切り替わる。
もちろん、これとは逆に、ワンウェイクラッチ40がロック状態からロック解除状態に切り替わるのに先立って、ツーウェイクラッチ30を設けた両中間歯車24,25間におけるトルク伝達方向が正回転方向から逆回転方向に切り替えることも可能である。しかしながら、このようにすると、一時的に両回転方向のトルク伝達が可能な状態となって、回転トルクを円滑に伝達できない(回転方向の切り替えを適切に実行できない)可能性が高まる。従って、本実施形態のように、ツーウェイクラッチ30を設けた両中間歯車24,25間におけるトルク伝達方向が正回転方向から逆回転方向に切り替えられるのに先立って、ワンウェイクラッチ40がロック状態からロック解除状態に切り替わるようにしておけば、回転トルクを常に円滑に伝達することができる。
これに加えて、本実施形態では、ワンウェイクラッチ40を構成する弾性部材45として、ツーウェイクラッチ30を構成する弾性部材35よりも小さな弾性力を有するものを使用するようにしたため、ツーウェイクラッチ30の回転方向切り替えが実行されるのに先立ってのワンウェイクラッチ40のロック状態からロック解除状態への切り替えが一層円滑に行われる。そのため、回転トルクを一層円滑に伝達することができる。
なお、ツーウェイクラッチ30を設けた両中間歯車24,25間におけるトルク伝達方向が正回転方向から逆回転方向に切り替えられるのに先立って、ワンウェイクラッチ40がロック状態からロック解除状態に切り替わるようにするためには、ワンウェイクラッチ40の弾性部材45としてツーウェイクラッチ30の弾性部材35よりも小さな弾性力を有するものを使用するという手段、もしくは両クラッチ30,40のうちワンウェイクラッチ40の保持器44に対して優先的に回転遅れを与えるという手段の何れか一方のみを採用することでも達成することができる。
本実施形態では、遊星歯車機構20を構成する3つの遊星歯車体26のうち、一の遊星歯車体26にツーウェイクラッチ30を設け、残り二つの遊星歯車体26にワンウェイクラッチを設けた。このような構成を採用したのは、一般に、電力回生を実行する際に必要とされるモータ10の回転トルクは、補助動力を付与する際に必要とされる回転トルクに比べて小さくて済み、ツーウェイクラッチ30を備えた遊星歯車体26は最小限で足りるからである。もちろん、遊星歯車機構20を構成する3つの遊星歯車体26のうち、二つの遊星歯車体26にツーウェイクラッチ30を設けると共に、残り一つの遊星歯車体26にワンウェイクラッチ40を設けるようにしても良い。
また、以上では、3つの遊星歯車体26を備えた遊星歯車機構20に本発明を適用したが、本発明は、2つ又は4つ以上の遊星歯車体26を備えた遊星歯車機構20にも適用することができる。
1 ハブモータ装置
2 車軸
3 ハブ
10 モータ
20 遊星歯車機構
21 太陽歯車
22 内歯車
24 第1中間歯車
25 第2中間歯車
26 遊星歯車体
30 ツーウェイクラッチ
31 外輪
32、42 内輪
33 ローラ(係合子)
34、44 保持器
35、45 弾性部材
37、47 カム面
39、39 楔隙間
40 ワンウェイクラッチ
48 逃げ部
50 制動部材
100 ペダル
112 ブレーキ
A 人力駆動系
B 電動駆動系

Claims (7)

  1. 入力側に設けられる太陽歯車と、出力側に設けられる内歯車と、太陽歯車と内歯車の間に複数介設された遊星歯車体とを備え
    入力側の回転トルクを内歯車に伝達可能な正回転ロック状態、入力側の停止時に内歯車を太陽歯車に対して空転させる空転回転状態、又は入力側の停止状態で出力側が回転するのに伴って内歯車に入力される回転トルクを太陽歯車に伝達可能な逆回転ロック状態、の何れか一つの状態に切り替え可能とされ、切り替え操作により、空転回転状態および逆回転ロック状態の何れか一方から他方への切り替えが実行される遊星歯車機構であって、
    各遊星歯車体は、太陽歯車および内歯車に夫々噛合した第1および第2中間歯車を有し、
    少なくとも一の遊星歯車体を構成する両中間歯車の間に、両中間歯車の間で何れか一方から他方へのトルク伝達を選択的に許容し、かつ前記切り替え操作により、両中間歯車間でのトルク伝達方向が切り替えられるツーウェイクラッチを設けると共に、
    他の遊星歯車体を構成する両中間歯車の間に、第1中間歯車から第2中間歯車へのトルク伝達を許容し、かつ前記切り替え操作により、第1中間歯車から第2中間歯車へのトルク伝達を許容するロック状態又はトルク伝達を許容しないロック解除状態が切り替えられるワンウェイクラッチを設けたことを特徴とする遊星歯車機構。
  2. ツーウェイクラッチは、第1中間歯車に設けられる外輪と、第2中間歯車に設けられる内輪と、外輪と内輪の間に配置された複数の係合子と、各係合子を外輪および内輪と正逆両回転方向で楔係合させる複数のカム面と、係合子を保持する保持器と、保持器に弾性力を付与する弾性部材とを備え、
    保持器に付与した弾性力で係合子を常時正回転方向に付勢し、かつ保持器に回転遅れを与え、正回転方向に楔係合した係合子を逆回転方向の楔係合に切り替えることで、両中間歯車間におけるトルク伝達方向が正回転方向から逆回転方向に切り替えられる請求項に記載の遊星歯車機構。
  3. ワンウェイクラッチは、第1中間歯車に設けられる外輪と、第2中間歯車に設けられる内輪と、外輪と内輪の間に配置された複数の係合子と、各係合子を外輪および内輪と正回転方向でのみ楔係合させる複数のカム面と、係合子を保持する保持器と、保持器に弾性力を付与する弾性部材とを備え、
    保持器に付与した弾性力で係合子を常時正回転方向に付勢し、かつ保持器に回転遅れを与え、正回転方向に楔係合した係合子の楔係合状態を解除することで、前記ロック状態から前記ロック解除状態に切り替えられる請求項又はに記載の遊星歯車機構。
  4. ツーウェイクラッチを設けた両中間歯車間におけるトルク伝達方向が正回転方向から逆回転方向に切り替えられるのに先立って、ワンウェイクラッチの前記ロック状態から前記ロック解除状態への切り替えが実行される請求項の何れか一項に記載の遊星歯車機構。
  5. ワンウェイクラッチの弾性部材として、ツーウェイクラッチの弾性部材よりも小さな弾性力を有するものを使用することにより、ツーウェイクラッチを構成する両中間歯車間におけるトルク伝達方向が正回転方向から逆回転方向に切り替えられるのに先立って、ワンウェイクラッチの前記ロック状態から前記ロック解除状態への切り替えが実行される請求項に記載の遊星歯車機構。
  6. 両クラッチのうちワンウェイクラッチの保持器に対して優先的に回転遅れを与えることにより、ツーウェイクラッチを設けた両中間歯車間におけるトルク伝達方向が正回転方向から逆回転方向に切り替えられるのに先立って、ワンウェイクラッチの前記ロック状態から前記ロック解除状態への切り替えが実行される請求項に記載の遊星歯車機構。
  7. ペダル踏力を受けて後輪が駆動し、ペダル踏力が設定値を超えたとき、モータの回転トルクを受けて前輪が駆動される電動補助自転車用のハブモータ装置であって、
    前輪を車軸に対して回転可能に支持する筒状のハブに、モータ、およびモータの回転トルクを減速してハブに伝達する減速機構が内蔵されてなるものにおいて、
    減速機構として、請求項1〜の何れか一項に記載の遊星歯車機構を用いたことを特徴とする電動補助自転車用のハブモータ装置。
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