JP5634298B2 - 分包型の歯科用重合性支台築造材料 - Google Patents

分包型の歯科用重合性支台築造材料 Download PDF

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本発明は、分包型の歯科用支台築造材料に関する。詳しくは、支台築造時の操作性がよく、しかも重合後に、機械的強度に優れる支台を形成することができる、分包型の歯科用重合性支台築造材料に関する。
近年、歯科臨床において、修復材料として、重合性単量体、充填材、重合開始剤などを含む重合性組成物が広く用いられている。歯科用の重合性組成物を、重合開始剤の種類、すなわち重合方式により分類すると、光重合型組成物、化学重合型組成物、及び光重合と化学重合とにより硬化させるデュアルキュア型組成物に分けられる。また、歯科用重合性組成物を、包装形態により分類すると、1ペーストタイプと2ペーストタイプとに分けられる。
光重合開始剤を用いる光重合型組成物は1ペーストタイプである。近年、光照射器が著しく進歩したことによって、光重合型組成物が歯科臨床において広範に利用されるようになった。但し、光重合型組成物は、根管内の下底部、修復材料の内面側など、照射光が届かない修復部分には用いることができない。
酸化剤と還元剤からなるレドックス系開始剤を重合開始剤として用いる化学重合型組成物及びデュアルキュア型組成物は、貯蔵安定性を確保する上で酸化剤と還元剤とを別包装とすることが好ましい。このため、通常、2ペースト型である。
化学重合型組成物は、へら、練和棒等の道具を用いて2種のペーストを練和することにより酸化剤と還元剤とを反応させて重合させる。化学重合型組成物には、照射光が届かない修復部分にも用いることができるという利点があるが、重合硬化時間の調節が困難であるという欠点がある。
デュアルキュア型組成物は、化学重合型組成物の上記の問題を解決すべく開発された歯科用重合性組成物である。デュアルキュア型組成物においては、照射光が届かない部分はレドックス系開始剤により硬化させ、照射光が届く部分は重合硬化時間の調節が容易な光重合性開始剤により短時間で硬化させる。デュアルキュア型組成物は、齲触の進行が著しい場合に歯根部位の歯髄を取り出して根管形成した根管部位を修復する際の支台築造材料としても用いられている。
このような支台築造材料において、要求される物性には主に次のようなものが挙げられる。2つのペーストを容易に混練し、根管底部まで無理なく充填可能な吐出性、かつ築盛時に垂れないという適度な賦形性、及び硬化後に咬合に耐える充分な強度である。
かかる観点から、特許文献1には、アルキル鎖の長いシランカップリング剤で表面処理した粒子径0.1μm以下の無機粒子を歯科用修復材に配合することによって、無機粒子の充填による粘度上昇を緩和しつつ、機械的強度を向上させる試みがなされている。また、特許文献1には、好ましくはシランカップリング剤で表面処理した粒子径0.1μm超え100μm以下の無機粒子をさらに配合すると、機械的強度がさらに向上することが記載されている。
特許文献2には、アルキル鎖の長いシランカップリング剤で表面処理した平均粒子径1.0〜5.0μmの無機粒子とアルキル鎖の短いシランカップリング剤で表面処理した平均粒子径0.01〜0.10μmの無機粒子を歯科用硬化性組成物に配合することによって、賦形性及び強度をバランスさせた例が記載されている。
また、特許文献3には、好ましくはシランカップリング剤で表面処理した、平均粒子径が0.7〜10μmの無機粒子と1次粒子の平均粒子径が0.001〜0.050μmである無機粒子とを、分包型の歯科用重合性支台築造材料に配合することによって、吐出性と賦形性及び強度をバランスさせた例が記載されている。
特開平2−134307号公報 国際公開第2008/093596号パンフレット 国際公開第2006/030645号パンフレット
しかしながら、特許文献1には、歯科用修復材の機械的強度の向上効果については記載されているものの、吐出性及び賦形性といった操作性に関する記載はない。本発明者らが検討したところ、特許文献1の歯科用修復材には、賦形性に改善の余地があることがわかった。賦形性及び強度のバランスのよい特許文献2の歯科用硬化性組成物、並びに吐出性、賦形性及び強度のバランスのよい特許文献3の歯科用重合性支台築造材料についても、賦形性に改善の余地があることがわかった。
そこで本発明は、吐出性、賦形性といった支台築造時の操作性に優れ、かつ硬化物が良好な機械的強度を示す支台を形成することができる、歯科用重合性支台築造材料を提供することを目的とする。
本発明は、第1のペースト(A)と第2のペースト(B)とを含み、
両ペーストがいずれも、(メタ)アクリレート単量体(a)を含有し、前記ペーストの少なくとも一方が、下記式(I)で表されるシランカップリング剤(m1)で表面処理された平均粒子径0.5〜10μmの無機粒子(b)、下記式(II)で表されるシランカップリング剤(m2)で表面処理された平均粒子径0.01〜0.1μmの無機粒子(c)、及び表面処理されていない平均粒子径0.005〜0.1μmの無機粒子(d)を含有し、いずれか一方のペーストが酸化剤(e)を、他方のペーストが還元剤(f)をそれぞれ含有する分包型の歯科用重合性支台築造材料である。
Figure 0005634298
(式中、R1は水素原子又はメチル基、R2は加水分解可能な基、R3は炭素数1〜6の炭化水素基、X1は酸素原子又は硫黄原子を示し、pは2又は3、qは8〜13の整数である。)
Figure 0005634298
(式中、R4は水素原子又はメチル基、R5は加水分解可能な基、R6は炭素数1〜6の炭化水素基、X2は酸素原子又は硫黄原子を示し、sは2又は3、tは1〜13の整数である。)
本発明の支台築造材料においては、前記(メタ)アクリレート単量体(a)が、水酸基を有する芳香族(メタ)アクリレート単量体(a−1)、水酸基を有さない芳香族(メタ)アクリレート単量体(a−2)、及び脂肪族(メタ)アクリレート単量体(a−3)を含み、当該(メタ)アクリレート単量体(a−1)、(メタ)アクリレート単量体(a−2)、及び(メタ)アクリレート単量体(a−3)が、前記第1のペースト(A)及び第2のペースト(B)のいずれか一方又は両方にそれぞれ含有されてなることが好ましい。
本発明の支台築造材料は、下記式(III)で表されるシランカップリング剤(m3)で表面処理された、粒子径が0.1〜40μmの範囲にある平均粒子径0.5〜10μmの無機粒子(g)をさらに含有することが好ましい。
Figure 0005634298
(式中、R7は水素原子又はメチル基、R8は加水分解可能な基、R9は炭素数1〜6の炭化水素基、X3は酸素原子又は硫黄原子を示し、vは2又は3、wは1〜7の整数である。)
本発明の支台築造材料は、光重合開始剤(h)をさらに含有することが好ましい。
本発明の支台築造材料の好ましい組成の一例は、第1のペースト(A)と第2のペースト(B)に含まれる(メタ)アクリレート単量体(a)100重量部中において、水酸基を有する芳香族(メタ)アクリレート単量体(a−1)1〜25重量部、水酸基を有さない芳香族(メタ)アクリレート単量体(a−2)20〜75重量部、及び脂肪族(メタ)アクリレート単量体(a−3)20〜75重量部を含有し、かつ前記(メタ)アクリレート単量体(a)100重量部に対して、無機粒子(b)50〜750重量部、無機粒子(c)5〜50重量部、無機粒子(d)1〜25重量部、酸化剤(e)0.1〜20重量部、還元剤(f)0.1〜20重量部、無機粒子(g)0〜250重量部、及び光重合開始剤(h)0.05〜10重量部を含有してなる。
本発明の支台築造材料は、硬化前の吐出性と賦形性が共に高く、支台築造時の操作性に優れる。また、本発明の支台築造材料の硬化物は、機械的強度に優れる。
本発明の支台築造材料は、(メタ)アクリレート単量体(a)、上記式(I)で表されるシランカップリング剤(m1)で表面処理された平均粒子径0.5〜10μmの無機粒子(b)、上記式(II)で表されるシランカップリング剤(m2)で表面処理された平均粒子径0.01〜0.1μmの無機粒子(c)、表面処理されていない平均粒子径0.005〜0.1μmの無機粒子(d)、酸化剤(e)、及び還元剤(f)を必須成分とし、これらの成分を少なくとも2ペーストに分けた分包型として構成されることに特徴を有する。まず、本発明の支台築造材料の各成分について説明する。
(メタ)アクリレート単量体(a)
本発明の支台築造材料には、重合硬化を可能にする成分として(メタ)アクリレート単量体(a)が用いられる。(メタ)アクリレート単量体(a)は、第1のペースト(A)と第2のペースト(B)の両方に含有される。本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル及び/又はメタクリロイルを意味する。
本発明において(メタ)アクリレート単量体(a)は、水酸基を有する芳香族(メタ)アクリレート単量体(a−1)、水酸基を有さない芳香族(メタ)アクリレート単量体(a−2)、及び脂肪族(メタ)アクリレート単量体(a−3)に大別される。当該(メタ)アクリレート単量体(a−1)、(メタ)アクリレート単量体(a−2)、及び(メタ)アクリレート単量体(a−3)は、第1のペースト(A)と第2のペースト(B)のいずれか一方又は両方にそれぞれ含有される。
水酸基を有する芳香族(メタ)アクリレート単量体(a−1)は、芳香環及び水酸基を有する(メタ)アクリレート単量体であれば特に限定はなく、芳香環数及び水酸基数はそれぞれ独立した数であり、いずれの官能基も少なくとも1個有していればよい。かかる化合物としては、例えば、ビスフェノールA骨格を有し、水酸基を有する(メタ)アクリレート単量体が挙げられ、より具体的には、2,2−ビス〔4−(3−(メタ)アクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシフェニル〕プロパン(通称「Bis−GMA」)、2−[4−〔3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕フェニル]−2−[4−〔2,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ〕フェニル]プロパン(通称「Bis3」)、2−[4−〔3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕フェニル]−2−〔4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル〕プロパン、2−[4−〔(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕フェニル]−2−〔4−(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシフェニル〕プロパン、2−[4−〔3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕フェニル]−2−〔4−(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル〕プロパン等が挙げられ、これらは単独で又は2種類以上を適宜組合わせて用いることができる。中でも、支台築造材料として用いた場合に、強度により優れることから、Bis−GMAが好ましい。
水酸基を有さない芳香族(メタ)アクリレート単量体(a−2)は、芳香環を有し、水酸基を有さない(メタ)アクリレート単量体であれば特に限定はなく、少なくとも1個の芳香環を有していればよい。かかる化合物としては、例えば、ビスフェノールA骨格を有し、水酸基を有さない(メタ)アクリレート単量体が挙げられ、より具体的には、2,2−ビス((メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン)、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2−(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2−(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2−(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2−(4−(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2−(4−(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)−2−(4−(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシイソプロポキシフェニル)プロパン等が挙げられる。その他、1,4−ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ピロメリテート等を用いることができる。これらの中でも、得られる支台築造材料の操作性及びその硬化物の強度がより優れることから、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパンが好ましい。なお、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパンのなかでは、エトキシ基の平均付加モル数が2.6である化合物(通称「D−2.6E」)が好ましい。
脂肪族(メタ)アクリレート単量体(a−3)は、芳香環を有さない(メタ)アクリレート単量体であれば特に限定はなく、水酸基を有していても有していなくてもよい。例としては、グリセロールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エタン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)ジメタクリレート(通称「UDMA」)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、N,N−(2,2,4−トリメチルヘキサメチレン)ビス〔2−(アミノカルボキシ)プロパン−1,3−ジオール〕テトラメタクリレート、1,7−ジアクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラアクリロイルオキシメチル−4−オキシヘプタン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、エリスリトールモノ(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、得られる支台築造材料の操作性及びその硬化物の強度により優れることから、グリセロールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)ジメタクリレート及び1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エタンが好ましい。
上記の(メタ)アクリレート単量体(a−1)、(メタ)アクリレート単量体(a−2)及び(メタ)アクリレート単量体(a−3)の比率について、得られる支台築造材料の操作性及びその硬化物の強度の観点から、(メタ)アクリレート単量体(a)の総量を100重量部とした場合に、(メタ)アクリレート単量体(a−1)1〜25重量部、(メタ)アクリレート単量体(a−2)20〜75重量部、(メタ)アクリレート単量体(a−3)20〜75重量部であることが好ましく、(メタ)アクリレート単量体(a−1)5〜20重量部、(メタ)アクリレート単量体(a−2)25〜70重量部、(メタ)アクリレート単量体(a−3)25〜70重量部であることがより好ましい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート単量体(a)の総量」とは、支台築造材料全体(通常、ペースト(A)及びペースト(B))に含有される(メタ)アクリレート単量体の総量のことを意味する。
無機粒子(b)
本発明では、支台築造材料の強度を高めるために無機粒子(b)が必須である。本発明における無機粒子(b)は、上記式(I)で表されるシランカップリング剤(m1)で表面処理された平均粒子径0.5〜10μmの無機粒子である。無機粒子(b)は、第1のペースト(A)と第2のペースト(B)のいずれか一方又は両方に含有される。
無機粒子(b)の形状には特に制限がなく、不定形であっても球状又は略球状であってもよい。
無機粒子(b)において表面処理される核フィラーとなる無機粒子としては、例えば、石英、シリカ、アルミナ、シリカ−チタニア、シリカ−チタニア−酸化バリウム、シリカ−ジルコニア、シリカ−アルミナ、ランタンガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダガラス、バリウムガラス、ストロンチウムガラス、ガラスセラミック、アルミノシリケートガラス、バリウムボロアルミノシリケートガラス、ストロンチウムボロアルミノシリケートガラス、フルオロアルミノシリケートガラス、カルシウムフルオロアルミノシリケートガラス、ストロンチウムフルオロアルミノシリケートガラス、バリウムフルオロアルミノシリケートガラス、ストロンチウムカルシウムフルオロアルミノシリケートガラス等の粒子が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
本発明では、ペーストの粘度増加を抑制しつつ、無機粒子(b)の充填量を増加させ、硬化物の強度を向上させるために、無機粒子(b)を配合する際に、無機粒子が上記式(I)で表されるシランカップリング剤(m1)で表面処理されている。上記式(I)において、R1は水素原子又はメチル基、R2は加水分解可能な基、R3は炭素数1〜6の炭化水素基、X1は酸素原子又は硫黄原子を示し、pは2又は3、qは8〜13の整数である。
2で示される加水分解可能な基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基、塩素原子、イソシアネート基などが挙げられる。これらのうち、アルコキシ基が好ましく、炭素数1〜4のアルコキシ基がより好ましい。
3で示される炭素数1〜6の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、ビニル基、アリル基、メチルビニル基、プロペニル基、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、フェニル基などが挙げられる。これらのうち、メチル基、エチル基が好ましい。
1としては、酸素原子が好ましい。
上記式(I)で表されるシランカップリング剤(m1)の具体例としては、8−メタクリロイルオキシオクチルトリメトキシシラン、9−メタクリロイルオキシノニルトリメトキシシラン、10−メタクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、11−メタクリロイルオキシウンデシルトリメトキシシラン、11−メタクリロイルオキシウンデシルジクロロメチルシラン、11−メタクリロイルオキシウンデシルトリクロロシシラン、11−メタクリロイルオキシウンデシルクロロジメトキシシラン、12−メタクリロイルオキシドデシルトリメトキシシラン、13−メタクリロイルオキシトリデシルトリメトキシシラン等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの中で、無機粒子をより多く分散させつつペーストを低粘度にすることができることから、8−メタクリロイルオキシオクチルトリメトキシシラン、9−メタクリロイルオキシノニルトリメトキシシラン、10−メタクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、11−メタクリロイルオキシウンデシルトリメトキシシランが好ましく、11−メタクリロイルオキシウンデシルトリメトキシシランが特に好ましい。
本発明においては、支台築造材料の流動性を調整するため、必要に応じて上記シランカップリング剤(m1)以外の公知の表面処理化合物を併用して表面処理してもよい。かかる表面処理化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリ(β−メトキシエトキシ)シラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。シランカップリング剤(m1)の含有量は、本発明の効果を損なわない観点から、表面処理剤(シランカップリング剤(m1)及び表面処理化合物)中、好ましくは60重量%以上、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは実質的に100重量%である。
表面処理剤による表面処理の方法としては、公知の方法を特に限定されずに用いることができる。例えば、無機粒子を激しく攪拌しながら上記表面処理剤をスプレー添加する方法、適当な溶媒へ無機粒子と上記表面処理剤とを分散又は溶解させた後、溶媒を除去する方法、あるいは水溶液中で上記表面処理剤の加水分解可能な基を酸触媒により加水分解してシラノール基へ変換し、該水溶液中で表面処理剤を無機粒子表面に付着させた後、水を除去する方法等があり、いずれの方法においても、通常50〜150℃の範囲で加熱することにより、無機粒子表面と上記表面処理剤との反応を完結させ、表面処理を行うことができる。
無機粒子(b)におけるシランカップリング剤(m1)による処理量は、処理前の核フィラー100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましく、0.05〜5重量部がより好ましい。
無機粒子(b)の平均粒子径は、得られる支台築造材料の操作性及びその硬化物の強度等の観点から、0.5〜10μmであり、0.75〜7.5μmであることが好ましい。なお、本発明において無機粒子の平均粒子径は、レーザー回折散乱法により、求めることができる。具体的に例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置(例、SALD−2100:島津製作所製)を用いて測定することができる。なお、平均粒子径が100nm以下の粒子については、粒子の電子顕微鏡写真を測定し、無作為に選択した100個の粒子の粒子径の平均値として平均粒子径を求めることもできる。なお、粒子が非球状である場合には、粒子径は、粒子の最長と最短の長さの算術平均をもって粒子径とする。
無機粒子(b)の配合量は、得られる支台築造材料の操作性及びその硬化物の強度等の観点から、(メタ)アクリレート単量体(a)の総量100重量部に対し、50〜750重量部が好ましく、100〜400重量部がより好ましい。
無機粒子(c)
本発明では、支台築造材料の流動性の変化を抑制するために無機粒子(c)が必須である。本発明における無機粒子(c)は、上記式(II)で表されるシランカップリング剤(m2)で表面処理された平均粒子径0.01〜0.1μmの無機粒子である。無機粒子(c)は、第1のペースト(A)と第2のペースト(B)のいずれか一方又は両方に含有される。
無機粒子(c)の形状には特に制限がなく、不定形であっても球状又は略球状であってもよい。
無機粒子(c)において表面処理される核フィラーとなる無機粒子としては、例えば、石英、シリカ、アルミナ、シリカ−チタニア、シリカ−アルミナ、ホウケイ酸ガラス、ソーダガラス、ガラスセラミック、アルミノシリケートガラス、フルオロアルミノシリケートガラス、カルシウムフルオロアルミノシリケートガラス等の粒子が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
無機粒子(c)は、上記式(II)で表されるシランカップリング剤(m2)で表面処理されている。上記式(II)において、R4は水素原子又はメチル基、R5は加水分解可能な基、R6は炭素数1〜6の炭化水素基、X2は酸素原子又は硫黄原子を示し、sは2又は3、tは1〜13の整数である。
5で示される加水分解可能な基は、R2で示される加水分解可能な基と同様である。R6で示される炭素数1〜6の炭化水素基は、R3で示される炭素数1〜6の炭化水素基と同様である。X2は酸素原子であることが好ましい。tは1〜6の整数であることが好ましい。
シランカップリング剤(m2)の具体例としては、シランカップリング剤(m1)の具体例として挙げたもの、及びメタクリロイルオキシメチルトリメトキシシラン、2−メタクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、4−メタクリロイルオキシブチルトリメトキシシラン、5−メタクリロイルオキシペンチルトリメトキシシラン、6−メタクリロイルオキシヘキシルトリメトキシシラン、7−メタクリロイルオキシヘプチルトリメトキシシラン等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの中で、入手が容易で、無機粒子をより多く分散させることができる観点から、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
本発明の効果を損なわない範囲内で、シランカップリング剤(m2)以外の公知の表面処理化合物を併用して表面処理してもよい。かかる表面処理化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリ(β−メトキシエトキシ)シラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
表面処理には、公知の方法を特に限定されずに用いることができる。
無機粒子(c)におけるシランカップリング剤(m2)による処理量は、処理前の核フィラー100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましく、0.05〜5重量部がより好ましい。
無機粒子(c)の平均粒子径は、得られる支台築造材料の操作性及びその硬化物の強度等の観点から、0.01〜0.1μmであり、0.02〜0.06μmであることが好ましい。
無機粒子(c)の配合量は、得られる支台築造材料の操作性及びその硬化物の強度等の観点から、(メタ)アクリレート単量体(a)の総量100重量部に対し、5〜50重量部が好ましく、7.5〜25重量部がより好ましい。
無機粒子(d)
従来は、シランカップリング剤で処理された粒子径の異なる2種の無機粒子を併用することにより、吐出性、賦形性と硬化物の強度をバランスよく向上させることが行われていた。しかし、本発明の支台築造材料はさらに、表面処理されていない平均粒子径0.005〜0.1μmの無機粒子(d)を必須成分として含む。この無機粒子(d)により、支台築造材料の賦形性をさらに改善することができる。無機粒子(d)は、第1のペースト(A)と第2のペースト(B)のいずれか一方又は両方に含有される。
本発明において、「表面処理されていない無機粒子」とは、「表面処理剤(無機粒子表面と結合する化合物;例、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、脂肪酸、界面活性剤等)による処理がなされていない無機粒子」のことをいう。
無機粒子(d)の形状には特に制限がなく、不定形であっても球状又は略球状であってもよい。
無機粒子(d)としては、例えば、石英、シリカ、アルミナ、シリカ−チタニア、シリカ−アルミナ、亜硫酸塩、水酸化物塩等の粒子が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
無機粒子(d)の平均粒子径は、得られる支台築造材料の賦形性の観点から、0.005〜0.1μmであり、0.01〜0.02μmであることが好ましい。
無機粒子(d)の配合量は、得られる支台築造材料の操作性及びその硬化物の強度等の観点から、(メタ)アクリレート単量体(a)の総量100重量部に対し、1〜25重量部が好ましく、2.5〜20重量部がより好ましい。
無機粒子(g)
本発明では、支台築造材料の操作性とその硬化物の強度を一層向上させるために、無機粒子(g)を配合することが有利である。本発明における無機粒子(g)は、上記式(III)で表されるシランカップリング剤(m3)で表面処理された、粒子径が0.1〜40μmの範囲にある平均粒子径0.5〜10μmの無機粒子である。無機粒子(g)は、第1のペースト(A)と第2のペースト(B)のいずれか一方又は両方に含有される。
無機粒子(g)の形状には特に制限がなく、不定形であっても球状又は略球状であってもよい。
無機粒子(g)において表面処理される核フィラーとなる無機粒子としては、石英、シリカ、アルミナ、シリカ−チタニア、シリカ−チタニア−酸化バリウム、シリカ−ジルコニア、シリカ−アルミナ、ランタンガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダガラス、バリウムガラス、ストロンチウムガラス、ガラスセラミック、アルミノシリケートガラス、バリウムボロアルミノシリケートガラス、ストロンチウムボロアルミノシリケートガラス、フルオロアルミノシリケートガラス、カルシウムフルオロアルミノシリケートガラス、ストロンチウムフルオロアルミノシリケートガラス、バリウムフルオロアルミノシリケートガラス、ストロンチウムカルシウムフルオロアルミノシリケートガラス等の粒子が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
無機粒子(g)は、上記式(III)で表されるシランカップリング剤(m3)で表面処理されている。上記式(III)において、R7は水素原子又はメチル基、R8は加水分解可能な基、R9は炭素数1〜6の炭化水素基、X3は酸素原子又は硫黄原子を示し、vは2又は3、wは1〜7の整数である。
8で示される加水分解可能な基は、R2で示される加水分解可能な基と同様である。R9で示される炭素数1〜6の炭化水素基は、R3で示される炭素数1〜6の炭化水素基と同様である。X3は酸素原子であることが好ましい。
シランカップリング剤(m3)の具体例としては、メタクリロイルオキシメチルトリメトキシシラン、2−メタクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、4−メタクリロイルオキシブチルトリメトキシシラン、5−メタクリロイルオキシペンチルトリメトキシシラン、6−メタクリロイルオキシヘキシルトリメトキシシラン、7−メタクリロイルオキシヘプチルトリメトキシシラン等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの中で、入手が容易で、無機粒子をより多く分散させることができる観点から、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
本発明の効果を損なわない範囲内で、シランカップリング剤(m3)以外の公知の表面処理化合物を併用して表面処理してもよい。かかる表面処理化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリ(β−メトキシエトキシ)シラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
表面処理には、公知の方法を特に限定されずに用いることができる。
無機粒子(g)におけるシランカップリング剤(m3)による処理量は、処理前の核フィラー100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましく、0.05〜5重量部がより好ましい。
無機粒子(g)は、得られる支台築造材料の操作性及びその硬化物の強度等の観点から、その粒子径が、0.1〜40μmの範囲にあり、平均粒子径が0.5〜10μmである。粒子径は、好ましくは、0.5〜30μmの範囲にあり、平均粒子径は、好ましくは、1.5〜10μmである。なお、粒子径が、0.1〜40μmの範囲にあるとは、粒子の最小粒子径が0.1μm以上であり、最大粒子径が40μm以下であることを意味する。
無機粒子(g)の配合量は、得られる支台築造材料の操作性及びその硬化物の強度等の観点から、(メタ)アクリレート単量体(a)の総量100重量部に対し、250重量部以下が好ましく、50〜200重量部がより好ましい。
本発明の支台築造材料には、化学重合開始剤として、酸化剤(e)と還元剤(f)を組み合わせたレドックス系開始剤が配合される。貯蔵安定性の観点から、酸化剤(e)は、第1のペースト(A)と第2のペースト(B)のいずれか一方に含有され、還元剤(f)は、他方(酸化剤(e)を含有していない方)のペーストに含有される。
酸化剤(e)
酸化剤(e)としては、有機過酸化物、アゾ化合物、無機過酸化物等が例示される。有機過酸化物としては、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、パーオキシカーボネート類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、ケトンパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類が例示される。ジアシルパーオキサイド類の具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等が挙げられる。パーオキシエステル類の具体例としては、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等が挙げられる。パーオキシカーボネート類の具体例としては、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等が挙げられる。ジアルキルパーオキサイド類の具体例としては、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン等が挙げられる。パーオキシケタール類の具体例としては、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン等が挙げられる。ケトンパーオキサイド類の具体例としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド等が挙げられる。ハイドロパーオキサイド類の具体例としては、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。アゾ化合物としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソブチルバレロニトリル等が挙げられる。無機過酸化物としては、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アルミニウム、過硫酸アンモニウム等が挙げられる。
還元剤(f)
還元剤(f)としては、芳香環に電子吸引基を有しない芳香族アミン、チオ尿素類、アスコルビン酸等が例示される。なお、前記酸化剤(e)と還元剤(f)を合わせて、本発明における化学重合開始剤ともいう。
芳香環に電子吸引基を有しない芳香族アミンとしては、芳香族アミンの芳香環の水素原子が、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、ニトリル基、ハロゲン基等の電子吸引基では置換されていない化合物が挙げられ、具体的に例示すると、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジメチルアニリン、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,4−ジメチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−エチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−イソプロピルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−t−ブチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジ−イソプロピルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジ−t−ブチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−3,5−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−3,4−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−4−エチルアニリン、N,N−ジメチル−4−イソプロピルアニリン、N,N−ジメチル−4−t−ブチルアニリン、N,N−ジメチル−3,5−ジ−t−ブチルアニリン等が挙げられる。上述した芳香環に電子吸引基を有しない芳香族アミンはいずれも一種類単独を用いてもよく、複数種類を併用してもよい。
チオ尿素類としては、チオ尿素、メチルチオ尿素、エチルチオ尿素、N,N’−ジメチルチオ尿素、N,N’−ジエチルチオ尿素、N,N’−ジ−n−プロピルチオ尿素、ジシクロヘキシルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、トリエチルチオ尿素、トリ−n−プロピルチオ尿素、トリシクロヘキシルチオ尿素、テトラメチルチオ尿素、テトラエチルチオ尿素、テトラ−n−プロピルチオ尿素、テトラシクロヘキシルチオ尿素等が挙げられる。上述したチオ尿素類はいずれも一種類を単独で配合してもよく、複数種類を併用してもよい。
酸化剤(e)と還元剤(f)の配合量は、少なすぎると硬化速度が遅すぎて、接着強さが低下するおそれがあり、多すぎると、硬化時間が速過ぎて作業時間を確保できないおそれがある。従って、酸化剤(e)の配合量は、(メタ)アクリレート単量体(a)の総量100重量部に対して、0.1〜20重量部が好ましく、0.5〜15重量部がより好ましい。また、還元剤(f)の配合量は、(メタ)アクリレート単量体(a)の総量100重量部に対して、0.1〜20重量部が好ましく、0.5〜5重量部がより好ましい。
光重合開始剤(h)
本発明の支台築造材料の好適な一実施態様は、デュアルキュア型の支台築造材料である。このとき、支台築造材料に光硬化性を付与するために光重合開始剤(h)が配合される。光重合開始剤(h)は、第1のペースト(A)と第2のペースト(B)のいずれか一方又は両方に含有される。光重合開始剤(h)としては、例えば、(ビス)アシルホスフィンオキサイド類、チオキサントン類又はチオキサントン類の第4級アンモニウム塩、ケタール類、α−ジケトン類、クマリン類、アントラキノン類、ベンゾインアルキルエーテル化合物類、α−アミノケトン系化合物などが挙げられる。これらの具体例としては、国際公開第2008/087977号パンフレットに記載のものが挙げられる。
これらの光重合開始剤の中でも、(ビス)アシルホスフィンオキサイド類及びその塩、並びにα−ジケトン類からなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。これにより、可視及び近紫外領域での光硬化性に優れ、ハロゲンランプ、発光ダイオード(LED)、キセノンランプのいずれの光源を用いても十分な光硬化性を示す支台築造材料が得られる。
光重合開始剤(f)の配合量は特に限定されないが、光硬化性の観点から、(メタ)アクリレート単量体(a)の総量100重量部に対して、0.05〜10重量部が好ましく、0.10〜3重量部がより好ましい。
本発明の支台築造材料は、重合速度の調整を目的として、重合促進剤を含有することができる。かかる重合促進剤としては、例えば、脂肪族アミン、電子吸引基を有する芳香族第三級アミン、スルフィン酸及び/又はその塩、硫黄を含有する還元性無機化合物、窒素を含有する還元性無機化合物、ボレート化合物、バルビツール酸誘導体、トリアジン化合物、銅化合物、スズ化合物、バナジウム化合物、ハロゲン化合物、アルデヒド類、チオール化合物等が挙げられる。
また、本発明の支台築造材料には、性能を低下させない範囲で、公知の添加剤を配合することができる。かかる添加剤としては、重合禁止剤、有機フィラー、酸化防止剤、顔料、染料、紫外線吸収剤、有機溶媒、増粘剤等が挙げられる。
重合禁止剤としては、例えば、2,6−ジブチルヒドロキシトルエン、ハイドロキノン、ジブチルハイドロキノン、ジブチルハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6−t−ブチルフェノールが挙げられる。重合禁止剤の含有量は、(メタ)アクリレート単量体(a)の総量100重量部に対して0.001〜10重量部が好ましい。
有機フィラーとしては、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、メタクリル酸メチル−メタクリル酸エチル共重合体、架橋型ポリメタクリル酸メチル、架橋型ポリメタクリル酸エチル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体等の有機フィラー等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上の混合物として用いることができる。有機フィラーの形状は特に限定されず、フィラーの粒子径を適宜選択して使用することができる。
本発明の支台築造材料の好適な組成の一例としては、(メタ)アクリレート単量体(a)の総量100重量部中において、水酸基を有する芳香族(メタ)アクリレート単量体(a−1)1〜25重量部、水酸基を有さない芳香族(メタ)アクリレート単量体(a−2)20〜75重量部、及び脂肪族(メタ)アクリレート単量体(a−3)20〜75重量部が含有され、かつ(メタ)アクリレート単量体(a)の総量100重量部に対して、無機粒子(b)50〜750重量部、無機粒子(c)5〜50重量部、無機粒子(d)1〜25重量部、酸化剤(e)0.1〜20重量部、還元剤(f)0.1〜20重量部、無機粒子(g)0〜250重量部、及び光重合開始剤(h)0.05〜10重量部が含有される。
第1のペースト(A)及び第2のペースト(B)は、上記の成分を公知方法に従い、例えば、撹拌器、混練器、分散器等を用いて混合することにより、調製することができる。
本発明の支台築造材料は、上記のとおり第1のペースト(A)と第2のペースト(B)とが分包されている(すなわち、別の容器又は包装に収納されている)形態の支台築造に使用するための材料である。第1のペースト(A)と第2のペースト(B)は相互に接触しないように分包されているが、支台築造の際、両ペーストはそれぞれ容器又は包装から適量が出され、練和して使用される。各ペーストを収納する容器又は包装の形態は必ずしも限られるものではないが、取り出しやすさを考慮すると、シリンジ状、チューブ状等の押出可能な形態が好ましい。さらに、支台築造操作における利便性を考慮すると、並列的に配置された1対の円筒状収納容器と、これらの収納容器の先端側に装着された混合器と、各収納容器の後端側から各収納容器に嵌め込まれた1対の円筒上の押出部材を連結固定してなる押出器とからなる練和装置の各収納容器内に両ペーストが別々に充填された形態が特に好ましい。なお、長期貯蔵安定性を考慮すると、ペーストが環境光及び酸素から遮断されるように、遮光性及び密封性が良好な容器又は包装を使用することが好ましい。
第1のペースト(A)と第2のペースト(B)との混和重量比は、得られる支台築造材料の硬化性及び操作余裕時間の点で、1:5〜5:1が好ましく、1:2〜2:1がより好ましく、約1:1が最も好ましい。
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、以下で用いる略記号は次のとおりである。
[(メタ)アクリレート単量体(a)]
Bis−GMA:2,2−ビス〔4−(3−メタクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシフェニル〕プロパン
D−2.6E:2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン
NPG:ネオペンチルグリコールジメタクリレート
#801:1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エタン
3G:トリエチレングリコールジメタクリレート
[無機粒子(b)]
無機粒子(b−1)〜(b−3)は、以下の製造方法に従って得られる。なお、以下の製造方法において、室温とは25℃を示す。
無機粒子(b−1):11−メタクリロイルオキシウンデシルトリメトキシシラン処理バリウムガラス粉
バリウムガラス(エステック社製「Raysorb E−3000」)を振動ボールミルで粉砕し、不定形のバリウムガラス微粉末を得た。得られたバリウムガラス粉100g、11−メタクリロイルオキシウンデシルトリメトキシシラン2.0g(核フィラー100重量部に対して2.0重量部)及びトルエン200mLを500mLの一口ナスフラスコに入れ、室温で2時間攪拌した。続いて、減圧下トルエンを留去した後、40℃で16時間真空乾燥し、さらに90℃で3時間真空乾燥し、11−メタクリロイルオキシウンデシルトリメトキシシラン処理バリウムガラス粉〔無機粒子(b−1)〕を得た。無機粒子(b−1)の平均粒子径をレーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所製、型式「SALD−2100」)を用いて測定したところ、2.5μmであった。
無機粒子(b−2):8−メタクリロイルオキシオクチルトリメトキシシラン処理バリウムガラス粉
11−メタクリロイルオキシウンデシルトリメトキシシランを、8−メタクリロイルオキシオクチルトリメトキシシランに変えたこと、振動ボールミルによる粉砕を短縮したこと以外、無機粒子(b−1)と同様に処理し、8−メタクリロイルオキシオクチルトリメトキシシラン処理バリウムガラス粉〔無機粒子(b−2)〕を得た。無機粒子(b−2)の平均粒子径をレーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所製、型式「SALD−2100」)を用いて測定したところ、4.2μmであった。
無機粒子(b−3):13−メタクリロイルオキシトリデシルトリメトキシシラン処理バリウムガラス粉
11−メタクリロイルオキシウンデシルトリメトキシシランを、13−メタクリロイルオキシトリデシルトリメトキシシランに変えたこと、振動ボールミルによる粉砕を延長したこと以外、無機粒子(b−1)と同様に処理し、13−メタクリロイルオキシトリデシルトリメトキシシラン処理バリウムガラス粉〔無機粒子(b−3)〕を得た。無機粒子(b−3)の平均粒子径をレーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所製、型式「SALD−2100」)を用いて測定したところ、1.6μmであった。
[無機粒子(c)]
無機粒子(c−1)〜(c−2)は、以下の製造方法に従って得られる。
無機粒子(c−1):11−メタクリロイルオキシウンデシルトリメトキシシラン処理コロイドシリカ粉末
バリウムガラス(エステック社製「Raysorb E−3000」)をコロイドシリカ(日本アエロジル社製「アエロジル130」)に変えたこと、振動ボールミルによる粉砕を実施しなかったこと以外、無機粒子(b−1)と同様に処理し、11−メタクリロイルオキシウンデシルトリメトキシシラン処理コロイドシリカ粉〔無機粒子(c−1)〕を得た。無機粒子(c−1)の平均粒子径をレーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所製、型式「SALD−2100」)を用いて測定したところ、0.04μmであった。
無機粒子(c−2):3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン処理コロイドシリカ粉末
バリウムガラス(エステック社製「Raysorb E−3000」)をコロイドシリカ(日本アエロジル社製「アエロジル130」)、及び11−メタクリロイルオキシウンデシルトリメトキシシランを3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランに変えたこと、振動ボールミルによる粉砕を実施しなかったこと以外、無機粒子(b−1)と同様に処理し、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン処理コロイドシリカ粉〔無機粒子(c−2)〕を得た。無機粒子(c−2)の平均粒子径をレーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所製、型式「SALD−2100」)を用いて測定したところ、0.02μmであった。
[無機粒子(d)]
無機粒子(d−1):アルミナ粉(日本アエロジル社製「アルミニウムオキサイドC」、平均粒子径0.02μm)
無機粒子(d−2):コロイドシリカ(日本アエロジル社製「アエロジル130」、平均粒子径0.02μm)
[無機粒子(g)]
無機粒子(g)は、以下の製造方法に従って得られる。
無機粒子(g−1):3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン処理バリウムガラス粉
バリウムガラス(エステック社製「Raysorb E−3000」)を、30℃に保持した恒温水槽内の水中に分散させ、6時間静置した後、上澄み液中の未沈降分散粒子を取り除いて、沈降無機粒子を得た。続いて、11−メタクリロイルオキシウンデシルトリメトキシシランを3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランに変えたこと、振動ボールミルによる粉砕を実施しなかったこと以外、無機粒子(b−1)と同様に処理し、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン処理バリウムガラス粉〔無機粒子(g−1)〕を得た。無機粒子(g−1)の平均粒子径を無機粒子(b−1)と同様に測定したところ、粒子径が0.7〜27μmの範囲にあり、平均粒子径が4.5μmであった。
無機粒子(g−2):3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン処理バリウムガラス粉
11−メタクリロイルオキシウンデシルトリメトキシシランを3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランに変えた以外、無機粒子(b−1)と同様に処理し、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン処理バリウムガラス粉〔無機粒子(g−2)〕を得た。無機粒子(g−2)の平均粒子径を無機粒子(b−1)と同様に測定したところ、粒子径が0.1〜27μmの範囲にあり、平均粒子径が2.5μmであった。
[無機粒子(i)]
無機粒子(i):シリカ粉(日本触媒社製「KE−P250」、粒子径範囲0.15〜26μm、平均粒子径2.5μm)
[化学重合開始剤:酸化剤(e)]
BPO:ベンゾイルパーオキサイド
[化学重合開始剤:還元剤(f)]
DEPT:N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン
[光重合開始剤(h)]
CQ:dl−カンファーキノン
TMDPO:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド
[重合促進剤]
PDE:4−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル
[重合禁止剤]
BHT:2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール
MEHQ:p−ヒドロキノンモノメチルエーテル
実施例1〜8及び比較例1〜6(支台築造材料の調製)
表1〜3に示す原料を常温下(25℃)で混合してAペースト及びBペーストを調製し、以下の試験例1〜5の方法に従って特性を調べた。結果を表1〜3に示す。
試験例1 吐出力(吐出性)
吐出力の測定には、1対の同型の円筒が並列に配置されたポリオレフィン系樹脂製の収納容器(総内容積10ml、ミックスパック社製、商品コード「SDL 010−01−50」)と、これらの収納容器の先端側に装着された混合器と、各収納容器の後端側から各収納容器に嵌め込まれた1対の円筒状の押出部材を連結固定してなる押出装置(ミックスパック社製、商品コード「PLH 010−01−46」)とからなる練和装置を用いた。押出し部材を押すことによって、円筒容器内部のペーストは等量採取される。混合器は、8つの撹拌翼(エレメント)を有するミキシング部(ミックスパック社製、商品コード「ML 2.5−08−D」)と、ミキシング部の先端に装着された60度の角度に屈曲したプラスチック製の吐出部(ミックスパック社製、商品コード「IOR 209−20」)とを備えており、その容器は環境光非透過性の部材で構成されている。
AペーストとBペーストとを、各収納容器に分けて収納した後、1対の押出部材を1対の収納容器に進入させて、各収納容器内のペーストを混合器のミキシング部へ押出し、ミキシング部で2つのペーストが練和されて生成した練和物を吐出部から吐出させた。このときの吐出力(ペーストを収納容器から混合器へ押出しするのに要する力)を万能試験機(島津製作所社製、商品コード「AGI−100」)を用いて測定した。収納容器を鉛直に立て、圧縮強度試験用の治具を装着したクロスヘッドを4mm/分で降下させて、ペーストに荷重負荷を与えながら吐出し、そのときの最大荷重を吐出力とした。吐出力の測定は25℃で行った。吐出力が100N以下の場合は、容易に吐出可能で吐出性が良く、100N〜150Nでは吐出が可能であるが、吐出性は悪く、150N以上では吐出が不可能である。
試験例2 垂れ性(賦形性)
30mm×30mmの正方形のガラス板上に予め直径4mmの円を描いておき、上記の吐出力評価で使用した練和装置を使用して、その円内に練和物0.03gを吐出し、ガラス板を35℃の恒温器内で垂直に立て、その状態で3分間静置して練和物の円内からの移動距離を測定し、垂れ距離(mm)とした。この垂れ距離が小さいほど、垂れにくく賦形性に優れるため、支台築造材料に適する。
試験例3 吐出物形状(賦形性)
30mm×30mmの正方形のガラス板上に予め直径4mmの円を描いておき、上記の吐出力評価で使用した練和装置を使用して、その円内に練和物0.03gを吐出し、ガラス板を35℃の恒温器内で水平におき、その状態で30秒間静置して練和物の形状を目視で観察し、以下の評価基準に従って、吐出物の形状を評価した。なお、2〜4を合格とした。
1:半球状を形成せず、吐出した形状を維持する。
2:半球状を形成しつつも、吐出した形状が若干残る。
3:半球状を形成し、そのままの形状を維持する。
4:半球状を形成するが、高さが低くなる。
5:半球状を形成しない。
試験例4 曲げ試験(光硬化物の強度)
上記の吐出力評価で使用した練和装置を使用して、ステンレス製の金型(寸法2mm×2mm×25mm)に充填後、上下をスライドガラスで圧接し、歯科用可視光照射器(株式会社モリタ製、ジェットライト3000)で、1点20秒で、片面を5点ずつ、両面に光を照射して硬化させた。得られた硬化物を金型から外し、バリ取りした後37℃の水中に24時間保管した後、万能試験機(島津製作所社製、商品コード「AGI−100」)を用いて、支点間距離20mm、クロスヘッドスピード1mm/分で曲げ強さを測定した。曲げ強さが130MPa以上を合格とした。
試験例5 曲げ試験(化学硬化物の強度)
光を照射することなく、37℃水中に1時間浸漬して硬化させたこと以外、試験例4と同様に試験した。曲げ強さが120MPa以上を合格とした。
Figure 0005634298
Figure 0005634298
Figure 0005634298
表1〜3の結果より、本発明の支台築造材料である実施例1〜8の支台築造材料では、100N以下の吐出性が得られ、垂れ距離も0又は0.5mmであり、吐出物の形状も良好であった。また、実施例1〜8の支台築造材料では、光硬化物の強度が130MPa以上であり、化学硬化物の強度が120MPa以上であった。従って、本発明の支台築造材料によれば、吐出性及び賦形性に優れ、かつ硬化物の強度も良好な支台築造材料が得られることがわかる。
本発明の分包型の歯科用重合性支台築造材料は、歯科医療の分野において、支台を形成する際に好適に用いられる。

Claims (5)

  1. 第1のペースト(A)と第2のペースト(B)とを含み、
    両ペーストがいずれも、(メタ)アクリレート単量体(a)を含有し、前記ペーストの少なくとも一方が、下記式(I)で表されるシランカップリング剤(m1)で表面処理された平均粒子径1.6〜10μmの無機粒子(b)、下記式(II)で表されるシランカップリング剤(m2)で表面処理された平均粒子径0.01〜0.1μmの無機粒子(c)、及び表面処理されていない平均粒子径0.01〜0.1μmの無機粒子(d)を含有し、いずれか一方のペーストが酸化剤(e)を、他方のペーストが還元剤(f)をそれぞれ含有する分包型の歯科用重合性支台築造材料。
    Figure 0005634298
    (式中、R1は水素原子又はメチル基、R2は加水分解可能な基、R3は炭素数1〜6の炭化水素基、X1は酸素原子又は硫黄原子を示し、pは2又は3、qは8〜13の整数である。)
    Figure 0005634298
    (式中、R4は水素原子又はメチル基、R5は加水分解可能な基、R6は炭素数1〜6の炭化水素基、X2は酸素原子又は硫黄原子を示し、sは2又は3、tは1〜13の整数である。)
  2. 前記(メタ)アクリレート単量体(a)が、水酸基を有する芳香族(メタ)アクリレート単量体(a−1)、水酸基を有さない芳香族(メタ)アクリレート単量体(a−2)、及び脂肪族(メタ)アクリレート単量体(a−3)を含み、当該(メタ)アクリレート単量体(a−1)、(メタ)アクリレート単量体(a−2)、及び(メタ)アクリレート単量体(a−3)が、前記第1のペースト(A)及び第2のペースト(B)のいずれか一方又は両方にそれぞれ含有されてなる請求項1に記載の分包型の歯科用重合性支台築造材料。
  3. 下記式(III)で表されるシランカップリング剤(m3)で表面処理された、粒子径が0.1〜40μmの範囲にある平均粒子径0.5〜10μmの無機粒子(g)をさらに含有する請求項1又は2に記載の分包型の歯科用重合性支台築造材料。
    Figure 0005634298
    (式中、R7は水素原子又はメチル基、R8は加水分解可能な基、R9は炭素数1〜6の炭化水素基、X3は酸素原子又は硫黄原子を示し、vは2又は3、wは1〜7の整数である。)
  4. 光重合開始剤(h)をさらに含有する請求項1〜3のいずれかに記載の分包型の歯科用重合性支台築造材料。
  5. 第1のペースト(A)と第2のペースト(B)に含まれる(メタ)アクリレート単量体(a)100重量部中において、水酸基を有する芳香族(メタ)アクリレート単量体(a−1)1〜25重量部、水酸基を有さない芳香族(メタ)アクリレート単量体(a−2)20〜75重量部、及び脂肪族(メタ)アクリレート単量体(a−3)20〜75重量部を含有し、かつ前記(メタ)アクリレート単量体(a)100重量部に対して、無機粒子(b)50〜750重量部、無機粒子(c)5〜50重量部、無機粒子(d)1〜25重量部、酸化剤(e)0.1〜20重量部、還元剤(f)0.1〜20重量部、下記式(III)で表されるシランカップリング剤(m3)で表面処理された、粒子径が0.1〜40μmの範囲にある平均粒子径0.5〜10μmの無機粒子(g)0〜250重量部、及び光重合開始剤(h)0.05〜10重量部を含有してなる請求項1に記載の分包型の歯科用重合性支台築造材料。
    Figure 0005634298
    (式中、R7は水素原子又はメチル基、R8は加水分解可能な基、R9は炭素数1〜6の炭化水素基、X3は酸素原子又は硫黄原子を示し、vは2又は3、wは1〜7の整数である。)
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