JP5633642B2 - 磁気冷凍機 - Google Patents
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Description
本発明は、磁気冷凍機に係り、特に、同一材料の複数の磁性体に個別に磁気を印加して磁気熱量効果を発現させ、複数の磁性体の熱を固体物質の熱伝導を利用して輸送する磁気冷凍機に関する。
従来用いられている室温域の冷凍機、例えば、冷蔵庫、冷凍庫、エアコンなどの冷凍機の大半は、フロンガスや代替フロンガスなどの気体冷媒の熱伝導を利用している。最近では、フロンガスの排出に伴うオゾン層破壊の問題が露呈し、さらに、代替フロンガスの排出に伴う地球温暖化への影響も懸念されている。このため、フロンガスや代替フロンガスなどの気体冷媒を用いた冷凍機に代わる、クリーンでかつ熱輸送能力の高い、革新的な冷凍機の開発が強く望まれている。
このような背景から、最近になって注目されるようになった冷凍技術が磁気冷凍技術である。磁性体の中には、その磁性体に印加する磁界の大きさが変化すると、その変化に応じて自身の温度を変化させる、いわゆる磁気熱量効果を発現するものがある。この磁気熱量効果を発現する磁性体を利用して熱を輸送する冷凍技術が磁気冷凍技術である。
磁気冷凍技術を応用したものとしては、例えば、下記特許文献1に記載されているような、固体物質の熱伝導を利用して熱を輸送する磁気冷凍機がある。この磁気冷凍機は以下のような構成によって熱を伝導させる。
磁気を印加すると温度が上昇する正の磁性体と、磁気を印加すると温度が下降する負の磁性体とを、所定の間隔で交互に配置する。正負一対の磁性体で1つの磁性体ブロックを形成する。この磁性体ブロックを環状に複数個配置して磁性体ユニットを形成する。磁性体ユニットに配置された正負の磁性体の間で挿脱される熱伝導部材を正負の磁性体の間に配置する。この磁性体ユニットと同心で内径と外径が略等しいハブ状の回転体に永久磁石を配置して磁気回路を形成する。そして、永久磁石が配置されている回転体を磁性体ユニットと対向するように配置して磁性体ユニットに対し相対的に回転させる。この回転体の回転によって正負の磁性体に同時に磁気が印加されまた除去される。この回転体の回転に伴って熱伝導部材を一定のタイミングで正負の磁性体の間に挿脱させる。磁気熱量効果により磁性体が発生する熱を、熱伝導部材を介して磁性体が配置される一方向に輸送する。
しかしながら、引用文献1の発明の場合、磁気熱量効果を発現する磁性体として、正負2つの異なる磁性体を用いる必要がある。
一般的に、正の磁性体と負の磁性体の磁気熱量効果の大きさは相違する。具体的には、正の磁性体の磁気熱量効果に比較して負の磁性体の磁気熱量効果の方が小さい。このため、正負2つの異なる磁性体を用いた磁気冷凍機の場合、均一な磁気熱量効果が得られないことから、磁気冷凍機全体としての熱輸送効率が劣ることになる。均一な磁気熱量効果を得ることができれば熱輸送効率を上げることができるので、この点の改良の余地がある。また、負の磁性体の材料は正の磁性体の材料に比較して希少な材料を用いることになるので、磁気冷凍機は割高なものとなる。
さらに、正負2つの磁性体に対して同時に磁気を印加、除去する磁気回路は、大型になってしまうので、重量の重い、大きな磁気冷凍機となってしまう。磁気回路の重量を軽くできれば磁気冷凍機を小型化、軽量化及び低コスト化することができるので、この点の改良の余地がある。
本発明は、上記のさまざまな問題を解決するために成されたものであり、熱輸送能力及び熱輸送効率が向上され、小型化、軽量化、低コスト化が実現できる磁気冷凍機の提供を目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係る磁気冷凍機は、磁性体配置板、低温側熱交換部、高温側熱交換部、磁石/熱伝導部材配置板及び駆動部を有する。
磁性体配置板は、同一材料の磁性体を複数列状に間隔を設けて配置した磁性体ユニットを前記磁性体の配置方向と交差する方向に間隔を設けて複数隣り合わせて配置している。
磁性体配置板の各磁性体ユニットの一端に低温側熱交換部を他端に高温側熱交換部をそれぞれ配置する。
磁石/熱伝導部材配置板に、磁性体配置板と対峙する複数の磁気印加部と複数の熱伝導部材を配置する。
磁石/熱伝導部材配置板に、磁性体配置板に配置した各磁性体ユニットの磁性体に対し個別に磁気を印加する磁気印加部を配置する。また、磁石/熱伝導部材配置板に、各磁性体ユニットに発生する熱を低温側熱交換部から高温側熱交換部側に伝導させる熱伝導部材を配置する。
駆動部は、磁性体配置板と磁石/熱伝導部材配置板を磁性体ユニットの配置方向に相対的に移動させるために磁性体配置板または磁石/熱伝導部材配置板の少なくともいずれか一方を駆動する。
駆動部によって、磁性体配置板と磁石/熱伝導部材配置板を磁性体ユニットの配置方向に相対的に移動させると、各磁性体ユニットに発生する熱が、低温側熱交換部から高温側熱交換部側に輸送される。
以上のように構成された本発明にかかる磁気冷凍機によれば、同一材料の複数の磁性体に個別に磁気を印加して磁気熱量効果を発現させ、複数の磁性体の熱を固体物質の熱伝導を利用して輸送するため、熱輸送能力及び熱輸送効率が向上され、小型化、軽量化、低コスト化が実現できる。
以下に、本発明に係る磁気冷凍機の実施形態を説明する。まず、本発明に適用する磁気冷凍の原理を図面に基づいて詳細に説明する。
(磁気冷凍の原理)
図1は、本発明に適用する磁気冷凍の原理図である。
図1は、本発明に適用する磁気冷凍の原理図である。
磁性体10A−10Fには、発現される磁気熱量効果の種類が同じ同一材料の磁性体として正の磁性体を用いている。磁性体10A、10Bで磁性体ブロック100Aを形成し、磁性体10C、10Dで磁性体ブロック100Bを形成し、磁性体10E、10Fで磁性体ブロック100Cを形成する。また、磁性体ブロック100A−100Cで磁性体ユニット200を形成する。
磁気回路20A、20B、磁気回路20C、20D、磁気回路20E、20Fは、磁性体10A−10Fとの間で往復移動する。つまり、図1Aの状態から、磁気回路20A、20Bが磁性体10Aから10Bに、磁気回路20C、20Dが磁性体10Cから10Dに、磁気回路20E、20Fが磁性体10Eから10Fに、一斉に移動して、図1Bの状態になる。次に、図1Bの状態から、磁気回路20A、20Bが磁性体10Bから10Aに、磁気回路20C、20Dが磁性体10Dから10Cに、磁気回路20E、20Fが磁性体10Fから10Eに、一斉に移動して、磁気回路と磁性体の位置関係が図1の状態に戻る。したがって、磁気回路が往復移動すると、図1Aと図1Bの状態が交互に繰り返される。
ここで、同一材料から成る複数の磁性体10A−10Fには、磁気回路20A、20B−磁気回路20E、20Fで磁気を印加すると発熱し除去すると吸熱する正の磁性体を用いるか、磁気回路20A−20Fで磁気を印加すると吸熱し除去すると発熱する負の磁性体のいずれか一方のみを用いる。正の磁性体と負の磁性体とでは、発現される磁気熱量効果が正反対であり、磁気熱量効果の種類が異なる。図1の場合、負の磁性体に比較して安価な正の磁性体を用いる。負の磁性体は希少な磁性材料から製造しなければならないのでコスト高になるし、負の磁性体の磁気熱量効果の大きさが正の磁性体の磁気熱量効果の大きさよりも小さいからである。
磁気回路20A、20B−20E、20Fには永久磁石(図示せず)が備えられている。磁気回路20A、20B、磁気回路20C、20D、磁気回路20E、20Fそれぞれが一体となって、図示左右方向に往復移動することで、磁性体10A−10Fに個別に磁気を印加する。
熱伝導部材30A−30Gは、磁性体10A−10Fが磁気熱量効果により発生した熱を低温側熱交換部40Aから高温側熱交換部40Bに向けて伝導する。熱伝導部材30Aは、低温側熱交換部40Aとこれと隣り合う磁性体10Aとの間で挿脱されて両者を機械的に接続する。熱伝導部材30Bは、磁性体10Aと10Bとの間で挿脱されて両者を機械的に接続する。同様に、熱伝導部材30C、30D、30E、30Fは、磁性体10Bと10Cとの間、磁性体10Cと10Dとの間、磁性体10Dと10Eとの間、磁性体10Eと10Fとの間で挿脱されて両者を機械的に接続する。熱伝導部材30Gは、磁性体10Fと高温側熱交換部40Bとの間で挿脱されて両者を機械的に接続する。熱伝導部材30B、30D、30Fは、同じタイミングで、磁性体10Aと10Bとの間、磁性体10Cと10Dとの間、磁性体10Eと10Fとの間で挿脱されて両者を機械的に接続する。また、熱伝導部材30A、30C、30E、30Gも、同じタイミングで、低温側熱交換部40Aと磁性体10Aとの間、磁性体10Bと10Cとの間、磁性体10Dと10Eとの間、磁性体10Fと高温側熱交換部40Bとの間で挿脱されて両者を機械的に接続する。熱伝導部材30B、30D、30Fと熱伝導部材30A、30C、30E、30Gは交互に挿脱が繰り返される。
図1Aに示すように、磁気回路20A、20Bが磁性体ブロック100Aの磁性体10Aに、磁気回路20C、20Dが磁性体ブロック100Bの磁性体10Cに、磁気回路20E、20Fが磁性体ブロック100Cの磁性体10Eに、それぞれ位置する。このときには、磁性体10A、10C、10Eに対して磁気が印加され、磁性体10B、10D、10Fには磁気が印加されておらず磁気が除去されている。このとき、磁性体10A、10C、10Eは発熱する。そして同時に、熱伝導部材30Bが磁性体10Aと10Bとの間に、熱伝導部材30Dが磁性体10Cと10Dとの間に、熱伝導部材30Fが磁性体10Eと10Fとの間に、それぞれ挿入される。このため、各磁性体ブロック内の隣り合う磁性体との間の熱伝導が行われる。すなわち、磁性体10A、10C、10Eが磁気熱量効果により発生した熱を磁性体10B、10D、10Fにそれぞれ移動する。また、このときには、熱伝導部材30Aと30Gは低温側熱交換部40Aと磁性体10Aとの間及び高温側熱交換部40Bと磁性体10Fとの間には挿入されない。また、磁性体ブロック間の熱伝導を行う熱伝導部材30C、30Eも磁性体10B、10Cとの間及び磁性体10D、10Eとの間には挿入されない。
次に、図1Bに示すように、磁気回路20A、20Bが磁性体ブロック100Aの磁性体10Bに、磁気回路20C、20Dが磁性体ブロック100Bの磁性体10Dに、磁気回路20E、20Fが磁性体ブロック100Cの磁性体10Fに、それぞれ位置する。このときには、磁性体10B、10D、10Fに対して磁気が印加され、磁性体10A、10C、10Eには磁気が印加されておらず磁気が除去されている。このとき、磁性体10B、10D、10Fは発熱する。また、熱伝導部材30Aが低温側熱交換部40Aと磁性体10Aとの間に、熱伝導部材30Cが磁性体10Bと10Cとの間に、熱伝導部材30Eが磁性体10Dと10Eとの間に、熱伝導部材30Gが磁性体10Fと高温側熱交換部40Bとの間に、それぞれ挿入される。これにより、低温側熱交換部40A、高温側熱交換部40Bと磁性体ユニット200の両端に位置する磁性体10A、10Fとの間、及び、隣り合う磁性体ブロックの隣り合う磁性体との間の熱伝導が行われる。すなわち、磁性体10A、10C、10Eが磁気熱量効果により吸熱され、磁性体10B、10D、10Fが磁気熱量効果により発熱する。このため、低温側熱交換部40Aから磁性体10Aに、磁性体10Bから磁性体10Cに、磁性体10Dから磁性体10Eに、磁性体10Fから高温側熱交換部40Bに熱が移動する。また、このときには、磁性体ブロック内の熱伝導を行う熱伝導部材30B、30D、30Fは磁性体10A、10Bとの間、磁性体10C、10Dとの間、磁性体10E、10Fとの間には挿入されない。
以上のように、各磁性体ブロック100A−100Cに対応させて設けた磁気回路を図示左右方向に連動して往復移動させることによって、各磁性体ブロック100A−100Cの両端に位置する磁性体は交互に磁気の印加と除去を繰り返す。さらに、磁気回路の移動に連動させて、熱伝導部材30A−30Gの低温側熱交換部40A、磁性体10A−10F、高温側熱交換部40Bそれぞれの間への挿脱を繰り返す。このことによって、磁気熱量効果により得られた熱が低温側熱交換部40Aから高温側熱交換部40Bに移動する。
図2は、本発明の磁気冷凍の効果を示すグラフである。このグラフに示すように、磁気冷凍機が動作を開始した後の比較的初期時には、低温側熱交換部40Aと高温側熱交換部40Bとの間の温度差は小さい。時間が経過するにしたがって低温側熱交換部40Aと高温側熱交換部40Bとの間の温度差が次第に大きくなっていき、最終的には、長時間経過後の直線で示すように、低温側熱交換部40Aと高温側熱交換部40Bとの間の温度差が最大になる。この状態で、低温側熱交換部40Aの熱を利用して、たとえば室内の温度を下げることができ、高温側熱交換部40Bの熱を利用して、たとえば室内の温度を上げることができる。
次に、図1のように、各磁性体ブロックに対応して設けた磁気回路を図示左右方向に連動して往復移動させたときに熱が移動していく様子を図3の模式図に基づいて説明する。
まず前提として、磁性体ユニット200を形成する全ての磁性体は同一材料で形成されており、全ての磁性体の磁気熱量効果が同一の種類であって、温度変化量が5℃のものを用いた場合を想定する。具体的には、全ての磁性体が磁気を印加されると5℃温度が上昇し、磁気が除去されると5℃温度が下降する特性を持っていると想定する。
まず、図3の(1)に示すように、初期の状態では全ての磁性体が室温の20℃になっている。
次に、図3の(2)に示すように、この状態で磁気回路を右側に移動させ、各磁性体ブロックの100A−100Cの一端に位置する磁性体から磁気を除去し、他端に位置する磁性体に磁気を印加する。これと同時に、隣り合う磁性体ブロック100A−100Cの隣り合う磁性体との間、磁性体ユニット200の一端に位置する磁性体と低温側熱交換部40Aとの間及び磁性体ユニット200の他端に位置する磁性体と高温側熱交換部40Bとの間の熱伝導が可能となるように熱伝導部材を挿入する。
図3の(2)の状態では、磁気が除去された磁性体の温度が15℃に低下し、磁気が印加された磁性体の温度が25℃に上昇する。このため、図に示すように、熱伝導部材を介して温度の高い方から温度の低いほうに熱が移動する。
この熱の移動によって、図3の(2)´に示すように、磁性体ユニット200の一端に位置する磁性体と低温側熱交換部40Aの温度が18℃になり、磁性体ユニット200の他端に位置する磁性体と高温側熱交換部40Bの温度が22℃になる。
次に、図3の(3)に示すように、この状態で磁気回路を左側に移動させ、各磁性体ブロック100A−100Cの他端に位置する磁性体から磁気を除去し、一端に位置する磁性体に磁気を印加する。これと同時に、各磁性体ブロック内100A−100Cの隣り合う磁性体との間の熱伝導が可能となるように熱伝導部材を挿入する。
図3の(3)の状態では、磁気が印加された磁性体の温度が図3の(2)´の状態の温度から5℃上昇し、磁気が除去された磁性体の温度が図3の(2)´の状態の温度から5℃低下する。このため、図に示すように、各磁性体ブロック内100A−100Cで熱伝導部材を介して温度の高い方から温度の低いほうに熱が移動する。
この熱の移動によって、図3の(3)´に示すように、低温側熱交換部40Aの温度が18℃になり、磁性体ブロック100Aの磁性体の温度が19℃になる。また、磁性体ブロック100Bの磁性体の温度が20℃になり、磁性体ブロック100Cの磁性体の温度が21℃になる。そして、高温側熱交換部40Bの温度が22℃になる。
以上のように、磁気回路を磁性体に沿って左右に往復移動させ、磁気回路の移動に同期させて熱伝導部材の挿脱を行うことによって、低温側熱交換部40Aから高温側熱交換部40Bに熱が移動していく。時間が経過するにしたがって低温側熱交換部40Aと高温側熱交換部40Bとの間の温度差が大きくなっていく。最終的には、低温側熱交換部40Aと高温側熱交換部40Bとの間の温度差が一定になる。この状態で、低温側熱交換部40Aの熱を利用して、たとえば室内の温度を下げることができ、高温側熱交換部40Bの熱を利用して、たとえば室内の温度を上げることができる。
なお、図1及び図3の説明は、発現される磁気熱量効果の種類が同じ同一材料の磁性体として正の磁性体を用いた場合に当てはまる。発現される磁気熱量効果の種類が同じ同一材料の磁性体として負の磁性体を用いた場合には、熱の移動方向は図3に示した方向とは逆になる。したがって、負の磁性体を用いた場合低温側熱交換部40Aと高温側熱交換部40Bの位置が図1及び図3とは逆になる。
以上が、本発明に適用する磁気冷凍の原理である。以上では、2つの磁性体で磁性体ブロックを形成し、この磁性体ブロックをさらに3つ配列して磁性体ユニットを形成する形態について述べた。しかし、本発明は、これらの形態には限られず、さらに多くの磁性体を配列して磁性体ブロックを形成し、さらに多くの磁性体ブロックを配列して磁性体ユニットを形成するものにも適用することができる。
次に、上記のような原理を利用した磁気冷凍機の実施形態を、[実施形態1]から[実施形態3]に分けて説明する。[実施形態1]に係る磁気冷凍機は、磁性体、磁気回路、熱伝導部材を環状かつ放射状に配置し、磁性体を固定して磁気回路及び熱伝導部材を回転させている。[実施形態2]に係る磁気冷凍機は、実施形態1に係る磁気冷凍機の磁性体、磁気回路、熱伝導部材の寸法を回転中心側から外側に向けて異ならせている。[実施形態3]に係る磁気冷凍機は、実施形態2に係る磁気冷凍機の磁気回路及び熱伝導部材を固定して磁性体を回転させている。
[実施形態1]
上記のような原理を利用した実施形態1に係る磁気冷凍機の具体的な構成と作用を、図4から図8を参照しながら説明する。
上記のような原理を利用した実施形態1に係る磁気冷凍機の具体的な構成と作用を、図4から図8を参照しながら説明する。
(磁気冷凍機の構成、動作)
図4は、実施形態1に係る磁気冷凍機の概略構成を示す上面図であり、磁性体、磁気回路を形成する永久磁石及び熱伝導部材の位置関係が理解できるように上面から透視した状態を示した図である。図5A−図5Cは、図4に示した磁気冷凍機を構成する、熱交換部支持盤、磁性体配置板、磁石/熱伝導部配置板の上面図である。図6は、図4に示した磁気冷凍機の分解断面図である。図7は、本実施形態に係る磁気冷凍機の磁石/熱伝導部配置板を回転させたときに熱が移動していく様子を説明するための模式図である。図8は、本実施形態に係る磁気冷凍機の動作説明に供する図である。なお、図7は発明の理解を容易にするために図6に示した駆動部の記載を省略した。
図4は、実施形態1に係る磁気冷凍機の概略構成を示す上面図であり、磁性体、磁気回路を形成する永久磁石及び熱伝導部材の位置関係が理解できるように上面から透視した状態を示した図である。図5A−図5Cは、図4に示した磁気冷凍機を構成する、熱交換部支持盤、磁性体配置板、磁石/熱伝導部配置板の上面図である。図6は、図4に示した磁気冷凍機の分解断面図である。図7は、本実施形態に係る磁気冷凍機の磁石/熱伝導部配置板を回転させたときに熱が移動していく様子を説明するための模式図である。図8は、本実施形態に係る磁気冷凍機の動作説明に供する図である。なお、図7は発明の理解を容易にするために図6に示した駆動部の記載を省略した。
本実施形態に係る磁気冷凍機は、図1に示した磁気冷凍と同一の原理を用いる。この原理を用いて磁気冷凍が行えるように、次のように構成してある。
図4から図7に示すように、本実施形態に係る磁気冷凍機500は、円形の熱交換部支持盤600(特に図5A参照)、中心部が開口した中空円板状の磁性体配置板700(特に図5B参照)、中心部が開口した中空円板状の磁石/熱伝導部配置板800(特に図5C参照)を有する。熱交換部支持盤600はその中心部に低温側熱交換部40Aを有し、その外周部に高温側熱交換部40Bを有する。磁石/熱伝導部配置板800は、隙間を設けて配置した、上側の円板800Aと下側の円板800Bの2つの円板を有する(特に図6参照)。磁気冷凍機500は、熱交換部支持盤600、磁性体配置板700、磁石/熱伝導部配置板800を同心状に配置している(特に図4、図6、図7参照)。磁性体配置板700は、磁石/熱伝導部配置板800の上側の円板800Aと下側の円板800Bとの間に挿入される(特に図6、図7参照)。低温側熱交換部40Aは、磁性体配置板700と磁石/熱伝導部配置板800の中心部の中空部内に配置される。高温側熱交換部40Bは、磁性体配置板700と磁石/熱伝導部配置板800の外周部に配置される(特に図4、図6、図7参照)。なお、本実施形態では、磁性体配置板700に正の磁性体を配置することを想定しているので、熱交換部支持盤600には、その中心部に低温側熱交換部40Aを配置し、その外周部に高温側熱交換部40Bを配置している。磁性体配置板700に負の磁性体を配置した場合には、熱交換部支持盤600の中心部に高温側熱交換部40Bを配置し、その外周部に低温側熱交換部40Aを配置する。低温側熱交換部40Aと高温側熱交換部40Bの配置は、磁性体配置板700に正負いずれの磁性体を用いるかによって異なる。
図5Aに示すように、磁気冷凍機500の熱交換部支持盤600の中心部には、磁石/熱伝導部配置板800の固定軸ともなる円柱状の低温側熱交換部40Aが立設してある。また、熱交換部支持盤600の外周部には、磁性体配置板700を固定する円筒状の高温側熱交換部40Bが熱交換部支持盤600の外周に沿って立設してある。
図5Bに示すように、磁性体配置板700は、その中心部が開口した中空円板であり、その中心部の開口径は円柱状の低温側熱交換部40Aの直径よりも若干大きくしてある。また、磁性体配置板700の直径は円筒状の高温側熱交換部40Bの内周の寸法と同一にしてある。図6及び図7に示すように、磁性体配置板700は断熱材525Bを介して高温側熱交換部40Bに固定してある。磁性体配置板700と高温側熱交換部40Bとの間には、磁性体配置板700と高温側熱交換部40B相互間で熱が移動しないように、図示しない断熱材を介在させることが好ましい。
磁性体配置板700の片面(円板800Aの対向面)には、図5Bに示すように、環状かつ放射状に複数の磁性体を互いに間隔を設けて形成してある。本実施形態では、中心角を30°として分割した磁性体配置板700上の領域に、周方向に隣り合わせて、12個の磁性体ユニット200A、200B、200C、…、200G、…、200Lを形成している。それぞれの磁性体ユニット200A、200B、200C、…、200G、…、200Lは、磁性体配置板700の中心部から外周部に向けて6つの磁性体を配置している。例えば、磁性体ユニット200Aは、磁性体10Aa、10Ab、10Ac、10Ad、10Ae、10Afを、磁性体ユニット200Bは、磁性体10Ba、10Bb、10Bc、10Bd、10Be、10Bfをそれぞれ配置する。各磁性体ユニットでは、2つの磁性体が1組になって磁性体ブロックを形成する。例えば、磁性体ユニット200Aでは、磁性体10Aa、10Abで磁性体ブロック100Aaを、磁性体10Ac、10Adで磁性体ブロック100Abを、磁性体10Ae、10Afで磁性体ブロック100Acを形成する。また、磁性体ユニット200Bでは、磁性体10Ba、10Bbで磁性体ブロック100Baを、磁性体10Bc、10Bdで磁性体ブロック100Bbを、磁性体10Be、10Bfで磁性体ブロック100Bcを形成する。
したがって、本実施形態の磁性体配置板700は、磁性体ユニット200A、200B、200C、…、200G、…、200Lのそれぞれが3つの磁性体ブロック100Aa−100Ab−100Ac、100Ba−100Bb−100Bc、…で形成される。また、磁性体ブロック100Aa、100Ab、100Ac、100Ba、100Bb、100Bc、…のそれぞれは2つの磁性体、10Aa−10Ab、10Ac−10Ad、10Ae−10Af、10Ba−10Bb、10Bc−10Bd、10Be−10Bf、…で形成される。本実施形態の磁性体配置板700の1つの磁性体ユニット200Aに注目すると、磁性体ユニット200Aは、6つの磁性体10Aa、10Ab、10Ac、10Ad、10Ae、10Afから形成される。これらの磁性体は3つの磁性体ブロック100Aa、100Ab、100Acを有する。これらの磁性体ブロックは2つの磁性体10Aa−10Ab、10Ac−10Ad、10Ae−10Afの組から形成される。磁性体ユニット200Bから200Lも磁性体ユニット200Aと同じように形成される。このため、本実施形態の磁性体配置板700は、図1Aに示した磁性体ユニット200を12列並列に並べたものと等価な構成となる。
本実施形態で用いる磁性体10Aa、…は、磁性体配置板700上に直接形成しても良いが、磁気熱量効果を有効に利用できるようにするためには、磁性体配置板700は熱抵抗の大きな材料で構成することが望ましい。熱抵抗が小さいと、磁性体10Aa、…で発生した熱が磁性体配置板700を伝って放熱されてしまうからである。また、熱抵抗を大きくするために、磁性体10Aa、…は、磁性体配置板700上に直接形成するのではなく、磁性体10Aa、…と磁性体配置板700との間に熱絶縁性フィルムや熱絶縁層を設けても良い。
また、磁性体10Aa、…は、熱絶縁性フィルムや熱絶縁層を介して磁性体ユニット200A、…として磁性体配置板700上で一体的に形成しても良い。また、熱絶縁性フィルムや熱絶縁層を介して磁性体ブロック100Aa、…ごとに分割して形成し、これを磁性体配置板700上で配列するようにしても良い。
磁性体10Aa、…は、本実施形態では同一材料で形成しており、同一材料として正の磁性体を用いる。正の磁性体は、磁気を印加していないときには常磁性状態(磁気スピンが無秩序の状態)となり、磁気を印加すると強磁性状態(磁気スピンが一方向に揃う状態)となる、常磁性状態と強磁性状態が可逆的に生じる材料を用いて製造する。
正の磁性体の材料としては、GdやGdをベースとした合金である、Gd−Y系、Gd−Dy系、Gd−Er系、Gd−Ho系、La(Fe,Si)13やLa(Fe,Al)13などの磁性材料を用いることができる。
一方、本実施形態では用いていないが、磁性体10Aa、…に同一材料として負の磁性材料を用いることもできる。負の磁気材料は、磁気を印加していないときと磁気を印加したときとでそれぞれが別の秩序状態となる。かつ、負の磁気材料は、磁気を印加していないときの方が磁気を印加したときよりも秩序度が高い状態となる。負の磁気材料は、このような2つの秩序状態の間で、磁気の印加/除去に伴って秩序−秩序転移を生じるような物質を用いる。また、負の磁性体は、磁気を印加していないときには反強磁性状態(隣り合うスピンがそれぞれ反対方向を向いて整列する状態)となり、磁気を印加すると強磁性状態(隣り合うスピンが一方向に揃う状態)となる。負の磁性体は、材料の磁気モーメント自体が大きく変化すると反強磁性状態と強磁性状態が可逆的に生じる材料を用いても製造される。
負の磁性体の材料としては、FeRh合金、CoMnSiGe系、NiMnSn系などの磁性材料を用いることができる。
一般的に、正の磁性体と負の磁性体は、磁気の印加に対して、熱発生が、発熱するか、吸熱するか反対なので、正の磁性体と負の磁性体の磁気熱量効果による温度変化の大きさは相違する。したがって、本実施形態のように、正か負のどちらか一方の磁性体を用いた場合には、全ての磁性体の磁気熱量効果による温度変化の大きさが同一になる。したがって、磁気冷凍機全体として安定した熱伝達特性が得られ熱輸送効率が向上する。また、正の磁性体の磁気熱量効果に比較して負の磁性体の磁気熱量効果の方が小さいので、熱輸送効率を考慮すると、正の磁性体を用いて磁性体配置板700を構成することが好ましい。さらに、負の磁性体の材料は正の磁性体の材料に比較して希少な材料を用いることになるので、コストの面でも正の磁性体を用いて磁性体配置板700を構成することが好ましい。
本実施形態では、磁性体10Aa、…の形状を、図4、図5B、図8に示したような、扇を径方向に一定の幅で切り取ったような形状としたが、これ以外の形状、例えば、球状、楕円体状、立方体状、円柱状、楕円柱状などの形状を採用しても良い。
以上のように、磁性体配置板700は、同一材料の磁性体10Aa…を複数列状に間隔を設けて径方向に配置した磁性体ユニット200Aを有する。磁性体配置板700は、磁性体ユニット200Aをさらに磁性体10Aa、…の配置方向と交差する円周方向に間隔を設けて複数隣り合わせて環状に配置している。
磁性体ユニット200Aは、同一材料の磁性体10Aa…を複数列状に間隔を設けて径方向に配置した磁性体ブロック100Aa、…を有し、磁性体ブロック100Aa…を磁性体10Aa、…の配置方向に間隔を設けて複数列状に配置して形成する。
磁性体配置板700は以上のように構成してあるので、低温側熱交換部40Aは、磁性体配置板700に形成されている磁性体ユニット200A、200B、200C、…、200G、…、200Lの一端に位置する磁性体10Aa、10Bb、…と間隔を設けて隣り合う。また、高温側熱交換部40Bは、磁性体配置板700に形成されている磁性体ユニット200A、200B、200C、…、200G、…、200Lの他端に位置する磁性体10Af、10Bf、…と間隔を設けて隣り合う。
図5Cに示すように、磁石/熱伝導部配置板800は、その中心部が開口した中空円板であり、その中心部の開口径は熱交換部支持盤600が有する円柱状の低温側熱交換部40Aの直径よりも若干大きくしてある。また、磁石/熱伝導部配置板800の直径は熱交換部支持盤600が有する円筒状の高温側熱交換部40Bの内周の寸法よりも若干小さくしてある。磁石/熱伝導部配置板800が低温側熱交換部40Aと高温側熱交換部40Bとの間で回転できるようにするためである。磁石/熱伝導部配置板800は、図6及び図7に示すように、隙間を設けて磁性体配置板700を挟む磁気的に接続された、上側及び下側の2枚の円板800A、800Bで構成される。
なお、低温側熱交換部40Aと上側の円板800Aとの間及び低温側熱交換部40Aと下側の円板800Bとの間に、低温側熱交換部40A、上側の円板800A、下側の円板800B相互間の熱の移動を阻止する断熱材525Aを介在させる。さらに、軸受け520Ab及び軸受け520Bbは高温側熱交換部40B、上側の円板800A、下側の円板800B相互間の熱の移動を阻止するために断熱性を有することが好ましく、たとえば、軸受け520Ab及び軸受け520Bb自体が断熱材で形成されても良いし、軸受け520Ab及び軸受け520Bbの表面に断熱性被膜を有しても良い。
上側及び下側の2枚の円板800A、800Bは、低温側熱交換部40Aを中心に別々に回転できるように、低温側熱交換部40Aに備える軸受けと、上側及び下側の2枚の円板800A、800Bの外周端に備える軸受けで支持してある。図6に示すように、上側の円板800Aは軸受け520Aa、520Abによって回転自在に支持され、下側の円板800Bは軸受け520Ba、520Bbによって回転自在に支持される。したがって、上側の円板800Aは下側の円板800Bと別々に回転できる。
磁石/熱伝導部配置板800を取り囲むように支持盤530が配置される。支持盤530は、上側及び下側の2枚の円板800A、800Bを別々に回転させるためのサーボモータ540A、540Bを固定する。支持盤530の上側の円板800Aに対向する部分にサーボモータ540Aを、支持盤530の下側の円板800Bに対向する部分にサーボモータ540Bをそれぞれ固定する。サーボモータ540A、540Bのそれぞれの回転軸にはギア550A、550Bが取り付けてある。上側の円板800Aの外周部には、ギア550Aと噛み合うリングギア560Aが取り付けてある。また、下側の円板800Bの外周部には、ギア550Bと噛み合うリングギア560Bが取り付けてある。なお、サーボモータ540A、540B、ギア550A、550B及びリングギア560A、560Bによって駆動部を構成する。
サーボモータ540Aが回転すると、ギア550Aと噛み合うリングギア560Aが自転して上側の円板800Aが回転する。また、サーボモータ540Bが回転すると、ギア550Bと噛み合うリングギア560Bが自転して下側の円板800Bが回転する。サーボモータ540A、540Bを同期して回転させると、上側及び下側の2枚の円板800A、800Bが一体となって回転する。
本実施形態では、サーボモータ540A、540Bを同期して回転させる。したがって、磁石/熱伝導部配置板800は低温側熱交換部40Aを中心に、上側及び下側の2枚の円板800A、800Bで磁性体配置板700挟むようにして、低温側熱交換部40Aと高温側熱交換部40Bとの間で回転する。
磁石/熱伝導部配置板800を形成する上側の円板800Aの片面(図6及び図7に示す円板800Aの図示下側)には図5Cに示すように、環状かつ放射状に複数の永久磁石と複数の熱伝導部材を配置してある。永久磁石は、図5Bに示した磁性体配置板700の磁性体ユニット200A、200B、200C、…、200G、…、200Lのそれぞれの磁性体ブロック100Aa、100Ab、100Ac、100Ba、100Bb、100Bc、…に対して永久磁石が1つずつ対峙されるように配置している。永久磁石は、磁石/熱伝導部配置板800が30°回転して、隣の磁性体ユニットに移行する度に、隣り合う磁性体ユニット200A、200B、200C、…、200G、…、200Lの磁性体ブロック100Aa、100Ab、100Ac、100Ba、100Bb、100Bc、…において径方向に往復移動する。したがって、永久磁石は、磁性体ユニット200A、200B、200C、…、200G、…、200Lの磁性体に対し個別に磁気を印加する。
例えば、図4、図5B、図5C、図7に示すように、図面上、磁石/熱伝導部配置板800の上側の円板800Aにおいて、磁性体ユニット200Aの対応位置にある永久磁石20Aa、20Ac、20Aeは、磁性体配置板700の磁性体ユニット200Aの磁性体10Aa、10Ac、10Aeとそれぞれ対峙する位置にある。また、磁性体ユニット200Bの対応位置にある永久磁石20Ba、20Bc、20Beは、磁性体ユニット200Bの磁性体10Bb、10Bd、10Bfとそれぞれ対峙する位置にある。この状態で、磁石/熱伝導部配置板800が30°時計方向に回転すると、磁性体ユニット200Aの対応位置にある永久磁石20Aa、20Ac、20Aeは、磁性体ユニット200Bの磁性体10Ba、10Bc、10Beとそれぞれ対峙する位置となる。また、磁性体ユニット200Lの対応位置にある永久磁石は、磁性体ユニット200Aの磁性体10Ab、10Ad、10Afとそれぞれ対峙する位置となる。つまり、磁石/熱伝導部配置板800が30°時計方向に回転する度に、各磁性体ユニット200A、200B、200C、…、200G、…、200Lにおいて、磁性体ブロックごとに永久磁石が往復移動する。この永久磁石と磁性体との位置関係は、磁石/熱伝導部配置板800が30°回転する度に図1Aの位置関係と図1Bの位置関係を繰り返すのと同一の位置関係である。
したがって、磁石/熱伝導部配置板800を磁性体ユニット200A、200B、200C、…、200G、…、200Lの並び方向に移動させると、永久磁石と磁性体との位置関係は次のように移行する。
まず、図4、図7Aに示すように、永久磁石20Aa、20Ac、20Aeは、隣り合う一方の磁性体ユニット200Aの各磁性体ブロック100Aa、100Ab、100Acの一端に位置する磁性体10Aa、10Ac、10Aeに同時に磁気を印加する。また、図4、図7Bに示すように、永久磁石20Ba、20Bc、20Beは、隣り合う他方の磁性体ユニット200Bの各磁性体ブロック100Ba、100Bb、100Bcの他端に位置する磁性体10Bb、10Bd、10Bfに同時に磁気を印加する。他の磁性体ユニット200C−200Lにおいても、隣り合う2つの磁性体ユニット間の永久磁石と磁性体との位置関係は磁性体ユニット200A、200Bの場合と同一である。隣り合う2つの磁性体ユニット間の以上のような永久磁石と磁性体との位置関係を状態1という。
次に、磁石/熱伝導部配置板800を30°時計方向に回転させると、永久磁石20Aa、20Ac、20Aeは、隣り合う他方の磁性体ユニット200Bの各磁性体ブロック100Ba、100Bb、100Bcの一端に位置する磁性体10Ba、10Bc、10Beに同時に磁気を印加する。この状態は、図7Bに示す永久磁石20Ba、20Bc、20Beが、左側の磁性体磁性体10Ba、10Bc、10Beに移動することに等しい。一方、磁性体ユニット200Lの対応位置に存在する永久磁石は、隣り合う一方の磁性体ユニット200Aの各磁性体ブロック100Aa、100Ab、100Acの他端に位置する磁性体10Ab、10Ad、10Afに同時に磁気を印加する。この状態は、図7Aに示す永久磁石20Aa、20Ac、20Aeが、右側の磁性体10Ab、10Ad、10Afに移動することに等しい。他の磁性体ユニット200C−200Lにおいても、隣り合う2つの磁性体ユニット間の永久磁石と磁性体との位置関係は磁性体ユニット200A、200Bの場合と同じように遷移する。隣り合う2つの磁性体ユニット間の以上のような永久磁石と磁性体との位置関係を状態2という。
このように、磁石/熱伝導部配置板800が30°回転する度に、全ての磁性体ユニット200A、200B、200C、…、200G、…、200Lにおいて、上記の状態1と状態2が繰り返される。つまり、それぞれの磁性体ユニット200A、200B、200C、…、200G、…、200Lにおいて、図1Aと図1Bの状態が繰り返されることになる。
磁石/熱伝導部配置板800を形成する下側の円板800Bの片面(図6及び図7に示す円板800Bの図示上側)には磁気突起が形成される。磁気突起は上側の円板800Aの片面に配置している永久磁石の配置と対応させて配置する。例えば、図6及び図7に示すように、永久磁石20Aaに対応させて磁気突起20Abが、永久磁石20Acに対応させて磁気突起20Adが、永久磁石20Aeに対応させて磁気突起20Afがそれぞれ配置されている。また、永久磁石20Baに対応させて磁気突起20Bbが、永久磁石20Bcに対応させて磁気突起20Bdが、永久磁石20Beに対応させて磁気突起20Bfがそれぞれ配置されている。それぞれの永久磁石からの磁力線を対峙する磁気突起で受け止めて、永久磁石と磁気突起との間の磁気抵抗を極力小さくするためと、永久磁石からの磁力線が磁性体を漏れなく通過できるようにするためである。
熱伝導部材配置板800は隙間を設けて磁性体配置板700を挟む磁気的に接続された2枚の平板で構成される。上側の円板800Aに配置されている永久磁石と下側の円板800Bに配置されている磁気突起は、上側の円板800Aと下側の円板800Bとの間で磁気回路を形成する。この磁気回路は磁気印加部を構成する。本実施形態では、磁気印加部に磁気を発生させる手段として永久磁石を用いた。しかし、永久磁石の使用に代えて、超伝導磁石や電磁石を使用することもできる。磁気回路を電磁石によって構成すると、磁性体に印加する磁気の大きさをある範囲で変更することができるので、磁気印加部に汎用性を持たせることができる。しかし、省エネルギーや実用性の観点からは、永久磁石の使用が望ましい。
なお、本実施形態では、上側の円板800Aに永久磁石を配置し、下側の円板800Bに磁気突起を配置しているが、これとは逆に、上側の円板800Aに磁気突起を配置し、下側の円板800Bに永久磁石を配置させることも可能である。また、本実施形態では、両円板を一体として回転させているが、両円板は磁気的に接続されていれば別々に設けても良い。上側の円板800Aと下側の円板800Bが磁気的に接続され、永久磁石と磁気突起が対峙して設けてあるので、永久磁石からの磁束を有効に活用でき、永久磁石の小型化、軽量化が可能である。
磁石/熱伝導部配置板800が備える全ての永久磁石には、図4、図5C、図6、図7に示すように、それぞれの外周側に熱伝導部材が取り付けられる。熱伝導部材は、各磁性体ユニットに発生する熱を低温側熱交換部から高温側熱交換部側に伝導させる。熱伝導部材は、磁性体と磁性体との間、磁性体と低温側熱交換部との間、磁性体と高温側熱交換部との間で、磁石/熱伝導部配置板800の回転方向に挿脱される。熱伝導部材が磁性体と磁性体との間に挿入されると磁性体間で熱が伝導する。また、熱伝導部材が磁性体と低温側熱交換部との間に挿入されると磁性体と低温側熱交換部との間で熱が伝導する。さらに、熱伝導部材が磁性体と高温側熱交換部との間に挿入されると磁性体と高温側熱交換部との間で熱が伝導する。
図5Cに示すように、熱伝導部材は、磁石/熱伝導部配置板800を形成する上側の円板800Aの片面(図6及び図7に示す円板800Aの図示下側)に、磁性体ユニット200A、200B、200C、…、200G、…、200Lのそれぞれに対し4箇所または3箇所に設けられる。図5Cに示すように、磁性体ユニット200Aの対応位置には、3つの熱伝達部材30Ab、30Ad、30Afが永久磁石20Aa、20Ac、20Aeの外周側に設けられる。磁性体ユニット200Bの対応位置には、4つの熱伝達部材30Ba、30Bc、30Be、30Bgが設けられる。熱伝達部材30Baは低温側熱交換部40Aに接する位置に設けられる。また、熱伝達部材30Bc、30Be、30Bgは永久磁石20Ba、20Bc、20Beの外周側に設けられる。
全ての熱伝導部材30Ab、30Ad、30Af、30Ba、30Bc、30Be、30Bg、…は熱を伝導させやすい固体の高熱伝導材料で構成する。高熱伝導材料としては、Cu、Alが望ましい。
熱伝導部材の径方向の厚みは、磁性体と磁性体との間、磁性体と低温側熱交換部40Aとの間、磁性体と高温側熱交換部40Bとの間の隙間にぴったりと収まる寸法か若干大きめに形成する。例えば、熱伝導部材30Ab、30Ad、30Af、30Ba、30Bc、30Be、30Bg、…の径方向の厚みは、磁性体10Aa−10Ab、10Ac−10Ad、10Ae−10Af、低温側熱交換部40A−磁性体10Ba、磁性体10Bb−10Bc、10Bd−10Be、磁性体10Bf−高温側熱交換部40B間のそれぞれの隙間に挿入されつつこれらの間で熱の伝導が可能な寸法である。また、熱伝導部材30Ab、30Ad、30Af、30Ba、30Bc、30Be、30Bg、…の形状は、磁性体10Aa−10Ab、10Ac−10Ad、10Ae−10Af、低温側熱交換部40A−磁性体10Ba、磁性体10Bb−10Bc、10Bd−10Be、磁性体10Bf−高温側熱交換部40B間のそれぞれの間の隙間の形状と一致した形状とすることが望ましい。
熱伝導部材30Ab、…が磁性体10Aa、…、低温側熱交換部40A、高温側熱交換部40Bと接触して摺動する部分は、高熱伝導性を有するとともに熱磨耗性の高いコート層を形成しても良いし、高熱伝導性を有する潤滑材を介しても良い。例えば、カーボンナノチューブを熱伝導部材30Ab、…の表面に取り付けることによって、耐摩耗性と熱伝導性を向上させることが望ましい。また、例えば、磁性体10Baと低温側熱交換部40Aとの間に挿入される熱伝導部材30Ba及び磁性体10Bfと高温側熱交換部40Bとの間に挿入される熱伝導部材30Bgは、磁性体10Ba−10Bfに対して熱伝導を行う熱伝導部材30Bc、30Beとは異なる材質、構造のものを用いても良い。
なお、磁石/熱伝導部配置板800は、磁性体10Aa、…で発生した熱及び熱伝導部材30Aa、…で伝導する熱を逃がさないようにするために、熱抵抗の大きな低熱伝導材料を用いることが好ましい。
以上のような構成を有する磁石/熱伝導部配置板800が磁性体配置板700に対して回転すると、熱伝導部材30Ab、…は次のようにして熱を伝達させる。
まず、永久磁石と磁性体との位置関係が、図4及び図8に示す状態1にあるとき、磁性体ユニット200Aの対応位置では、熱伝導部材と磁性体との位置関係は図7Aに示すようになっている。
状態1の場合、図7Aに示すように、永久磁石20Aaが磁性体10Aaに、永久磁石20Acが磁性体10Acに、永久磁石20Aeが磁性体10Aeに、それぞれ位置する。このときには、磁性体10Aa、10Ac、10Aeに対して磁気が印加され、磁性体10Ab、10Ad、10Afには磁気が印加されておらず磁気が除去されている。このとき、磁性体10Aa、10Ac、10Aeは発熱する。そして同時に、熱伝導部材30Abが磁性体10Aaと10Abとの間に、熱伝導部材30Adが磁性体10Acと10Adとの間に、熱伝導部材30Afが磁性体10Aeと10Afとの間に、それぞれ挿入される。このため、各磁性体ブロック内の隣り合う磁性体との間の熱伝導が行われる。すなわち、磁性体10Aa、10Ac、10Aeが磁気熱量効果により発生した熱を磁性体10Ab、10Ad、10Afにそれぞれ移動する。また、このときには、低温側熱交換部40Aと磁性体10Aaとの間及び高温側熱交換部40Bと磁性体10Afとの間の熱の伝導は行わない。また、磁性体ブロック間の熱の伝導も行わない。
また、磁性体ユニット200Bの対応位置では、熱伝導部材と磁性体との位置関係は図7Bに示すようになっている。
図7Bに示すように、永久磁石20Baが磁性体10Bbに、永久磁石20Bcが磁性体10Bdに、永久磁石20Beが磁性体10Afに、それぞれ位置する。このときには、磁性体10Bb、10Bd、10Bfに対して磁気が印加され、磁性体10Ba、10Bc、10Beには磁気が印加されておらず磁気が除去されている。このとき、磁性体10Bb、10Bd、10Bfは発熱する。そして同時に、熱伝導部材30Baが低温側熱交換部40Aと磁性体10Baとの間に、熱伝導部材30Bcが磁性体10Bbと10Bcとの間に、熱伝導部材30Beが磁性体10Bdと10Beとの間に、熱伝導部材30Bgが磁性体10Bfと高温側熱交換部40Bとの間に、それぞれ挿入される。このため、隣り合う磁性体ブロック100Ba、100Bb、100Bcの隣り合う磁性体10Bb−10Bc、10Bd−10Be間の熱伝導が行われる。また、磁性体ユニット200Bの一端に位置する磁性体10Baと低温側熱交換部40Aとの間及び磁性体ユニット200Bの他端に位置する磁性体10Bfと高温側熱交換部40Bとの間で熱伝導が行われる。すなわち、10Ba、10Bc、10Beが磁気熱量効果により吸熱され、磁性体10Bb、10Bd、10Bf磁気熱量効果により発熱する。このため、低温側熱交換部40Aから磁性体10Baに、磁性体10Bbから磁性体10Bcに、磁性体10Bdから磁性体10Beに、磁性体10Bfから高温側熱交換部40Bに熱が移動する。
以上のように、磁石/熱伝導部材配置板800に配置されている複数の磁気印加部は、磁石/熱伝導部材配置板800と磁性体配置板700との相対移動によって、磁性体配置板700に配置されている複数の磁性体に近接離反して磁気熱量効果を発現させる。また、磁石/熱伝導部材配置板800に配置されている複数の熱伝導部材は、磁石/熱伝導部材配置板800と磁性体配置板700との相対移動によって、磁性体配置板700に配置されている磁性体と磁性体との間、低温側熱交換部40Aと磁性体との間、高温側熱交換部40Bと磁性体との間を挿脱されて、磁気熱量効果により発生した熱を伝導させる。
上記の状態1は図8Aに示す通りである。磁性体ユニット200Aの対応位置では、各磁性体ブロック内の隣り合う磁性体との間で熱を伝導させ、磁性体ユニット200Bの対応位置では、隣り合う磁性体ブロックの隣り合う磁性体との間並びに磁性体ユニット200Bの一端に位置する磁性体と低温側熱交換部40Aとの間及び磁性体ユニット200Bの他端に位置する磁性体と高温側熱交換部40Bとの間で熱を伝導させる。
永久磁石と磁性体との位置関係が、図8に示す状態1にあるとき、磁性体ユニット200Aの対応位置では、熱伝導部材と磁性体との位置関係は図7Aに示すものと等価になっている。同時に、磁性体ユニット200Bの対応位置では、熱伝導部材と磁性体との位置関係は図7Bに示すものと等価になっている。
次に、磁石/熱伝導部配置板800を30°時計方向に回転し、永久磁石と磁性体との位置関係が、図8に示す状態2にあるとき、磁性体ユニット200Aの対応位置では、熱伝導部材と磁性体との位置関係は図7Bに示すものと等価になっている。同時に、磁性体ユニット200Bの対応位置では、熱伝導部材と磁性体との位置関係は図7Aに示すものと等価になっている。状態2における永久磁石と磁性体との位置関係は、状態1における永久磁石と磁性体との位置関係を、隣り合う磁気ユニット間で逆にしたものである。
上記の状態2は図8Bに示す通りである。磁性体ユニット200Aの対応位置では、隣り合う磁性体ブロックの隣り合う磁性体との間並びに磁性体ユニット200Aの一端に位置する磁性体と低温側熱交換部40Aとの間及び磁性体ユニット200Aの他端に位置する磁性体と高温側熱交換部40Bとの間で熱を伝導させ、磁性体ユニット200Bの対応位置では、各磁性体ブロック内の隣り合う磁性体との間で熱を伝導させる。
以上のように、磁石/熱伝導部材配置板800の熱伝導部材は、状態1のときには、隣り合う一方の磁性体ユニットの各磁性体ブロック内の隣り合う磁性体との間で熱を伝導させ、他方の磁性体ユニットの隣り合う磁性体ブロックの隣り合う磁性体との間並びに前記他方の磁性体ユニットの一端に位置する磁性体と前記低温側熱交換部との間及び前記他方の磁性体ユニットの他端に位置する磁性体と前記高温側熱交換部との間で熱を伝導させる。また、状態2のときには、前記隣り合う他方の磁性体ユニットの各磁性体ブロック内の隣り合う磁性体との間で熱を伝導させ、一方の磁性体ユニットの隣り合う磁性体ブロックの隣り合う磁性体との間並びに前記一方の磁性体ユニットの一端に位置する磁性体と前記低温側熱交換部との間及び前記一方の磁性体ユニットの他端に位置する磁性体と前記高温側熱交換部との間で熱を伝導させる。
図6及び図7に示す駆動部は、磁性体配置板700と磁石/熱伝導部材配置板800を磁性体ユニットの配置方向に相対的に移動させるために、磁性体配置板700または磁石/熱伝導部材配置板800のいずれか一方を回転させるものである。駆動部は、磁性体配置板700、磁石/熱伝導部材配置板800を回転させることができるものであれば、あらゆる種類の電気モータを用いることができる。本実施形態では、磁石/熱伝導部材配置板800をその中心部を回転軸として回転させている。
低温側熱交換部40A及び高温側熱交換部40Bは、例えば室内の空気などの外部環境との熱交換ができる機構を備えている。例えば、外部から冷媒を供給し、その冷媒を介して外部環境との熱交換ができるようにした機構を採用しても良い。
以上のように構成されている本実施形態に係る磁気冷凍機500は次のようにして磁気冷凍を行う。
まず、駆動部を作動させて磁石/熱伝導部材配置板800を時計または反時計方向に回転させると、30°回転するごとに、それぞれの磁性体ユニットにおいて、図1Aと図1Bの状態、すなわち図7Aと図7Bの状態を繰り返すことになる。つまり、状態1と状態2を繰り返す。この繰り返しによって、それぞれの磁気ユニットにおいて、低温側熱交換部40Aから高温側熱交換部40Bに熱が移動する。最終的には、図2に示すグラフのように、低温側熱交換部40Aの温度を下げ、高温側熱交換部40Bの温度を上げることができ、低温側熱交換部40Aと高温側熱交換部40Bとの間に温度差を生じさせることができる。なお、以上の状態1と状態2を繰り返す動作によって、低温側熱交換部40Aと高温側熱交換部40Bとの間の温度差が拡大していく原理は、図3に基づいて説明した原理と同一である。
実際に冷凍能力の大きな磁気冷凍機を構成する場合には、直列に配列する磁性体ブロックの数を増やして、低温側熱交換部40Aと高温側熱交換部40Bに接続する。直列に配列する磁性体ブロックの数を増やすことによって、低温側熱交換部40Aと高温側熱交換部40Bとの間の温度差をより大きくすることができる。
本実施形態の磁気冷凍機は、室内の空調を行うエアコン、冷蔵庫、車室内の空調を行うエアコン、車両の冷凍装置などに適用させることができる。
本実施形態では、磁石/熱伝導部材配置板800に永久磁石、熱伝導部材及び磁気突起を配置した形態を例示した。このように永久磁石、熱伝導部材及び磁気突起を一体的に形成すると、磁石/熱伝導部材配置板800を小型化、軽量化できる。
さらに、本実施形態では、磁性体配置板700と磁石/熱伝導部材配置板800を円盤状にして両板を相対的に回転させるものを例示したが、磁性体配置板700と磁石/熱伝導部材配置板800を平板状にして両板を相対的に直線的に往復移動させるものであっても良い。
以上のように磁気冷凍機を構成すると、磁性体配置板700と磁石/熱伝導部材配置板800を磁性体ユニットの配置方向に相対的に移動させだけで、磁気冷凍を行うことができるので、磁気冷凍機の構成を単純化でき、小型化、軽量化、低コスト化が実現できる。
[実施形態2]
次に、実施形態2に係る磁気冷凍機の具体的な構成について、図5A−図5Cおよび図9を参照しながら説明する。実施形態2に係る磁気冷凍機は、実施形態1に係る磁気冷凍機の磁性体、磁気回路、熱伝導部材の寸法を回転中心側から外側に向けて異ならせ、より熱伝達の特性を良好にするものである。
次に、実施形態2に係る磁気冷凍機の具体的な構成について、図5A−図5Cおよび図9を参照しながら説明する。実施形態2に係る磁気冷凍機は、実施形態1に係る磁気冷凍機の磁性体、磁気回路、熱伝導部材の寸法を回転中心側から外側に向けて異ならせ、より熱伝達の特性を良好にするものである。
本実施形態では、図5B及び図9Aに示すように、磁性体配置板700において磁気ユニット200Aを形成する磁性体10Aa、10Ab、10Ac、10Ad、10Ae、10Afはそれぞれ同一体積となっている。磁性体配置板700の内周から外周に向かって、径方向に隣り合う磁性体の熱容量を同じくするためである。磁性体10Aa、10Ab、10Ac、10Ad、10Ae、10Afは、図5Bに示すように、扇を径方向に一定の幅で切り取ったような形状を有する。この形状の場合、全ての磁性体10Aa、10Ab、10Ac、10Ad、10Ae、10Afの径方向の厚みを同一とすると、それぞれの磁性体の体積が異なる。このため、磁気熱量効果によって得られる熱量が異なり、隣接する磁性体間で均一に熱を伝導できない。したがって、熱の輸送効率が低下する。例えば、隣り合う一方の磁性体の熱容量が他方の磁性体の熱容量よりも大きい場合には、熱容量が大きい磁性体から小さい磁性体へは熱が渡しきれない。この逆の場合には、熱容量が小さい磁性体から大きい磁性体へは熱がうまく渡せるものの、熱容量が異なっているので、熱を受け取った側の温度変化が不十分である。したがって、最も効率的に熱の受け渡しができるのは、隣接する磁性体間の熱容量が同一の場合、つまり体積が同一の場合である。本実施形態では、全ての磁性体の体積を同一にしているので、磁気冷凍機の熱伝達効率が向上し、磁気冷凍機の熱輸送能力及び熱輸送効率が向上する。
このような事情から、本実施形態では、図9Aに示してあるように、磁性体10Aa、10Ab、10Ac、10Ad、10Ae、10Afの径方向の厚みLM1、LM2、LM3、LM4、LM5、LM6はLM1>LM2>LM3>LM4>LM5>LM6の関係が成立する厚みとする。なおかつ、これらの厚みは、全ての磁性体10Aa、10Ab、10Ac、10Ad、10Ae、10Afの熱容量が同一となる寸法とする。磁性体10Aa、10Ab、10Ac、10Ad、10Ae、10Afは扇を径方向に切り取ったような形状となっているので、内周から外周に向けて、各磁性体の周方向の長さが長くなる。同一の体積にするためには、内周から外周に向けて、その径方向の厚みを薄くする。
以上は、図5Bに示した磁気ユニット200B、200C、…、200G、…、200Lにおいても同一である。
また、図9Aに示すように、磁石/熱伝導部材配置板800の上側の円板800Aに配置されている永久磁石20Aa、20Ac、20Aeの径方向の厚みは、円板800Aの内周から外周に向かって薄くし、磁性体10Aa、10Ac、10Aeの径方向の厚みと合わせている。また、下側の円板800Bに配置されている磁気突起20Ab、20Ad、20Afの径方向の厚みも、円板800Bの内周から外周に向かって薄くし、対峙する永久磁石20Aa、20Ac、20Aeの径方向の厚みと合わせている。なお、永久磁石とこれに対峙する磁気突起は、上記の通り磁気回路の一部を構成する。
さらに、図9A、図5B及び図5Cに示すように、永久磁石20Aa、20Ac、20Aeは、これらの永久磁石が向かい合う磁性体10Aa、10Ac、10Aeの対面方向の形状と同一の形状になっている。つまり、永久磁石20Aaと磁性体10Aaの向き合う方向の形状と寸法が同一になっている。永久磁石20Acと磁性体10Ac、永久磁石20Aeと磁性体10Aeもそれぞれの向き合う方向の形状と寸法が同一になっている。
また、磁石/熱伝導部材配置板800の上側の円板800Aに配置されている熱伝導部材30Ab、30Ad、30Afの径方向の厚みLTH2、LTH4、LTH6は円板800Aの内周から外周に向かって順次厚くする。これは、熱伝導部材30Ab、30Ad、30Afの機械的な強度を保つためである。円板800Aは内周側よりも外周側の方の速度が速いので、熱伝導部材の受ける遠心力は外周側の方が大きい。したがって、熱伝導部材30Ab、30Ad、30Afの径方向の厚みを厚くすることは機械的な強度を保つ上で好都合である。また、熱伝導部材30Ab、30Ad、30Afの周方向の長さは、円板800Aの内周から外周に向かって順次長くしている。これは、熱伝導部材30Ab、30Ad、30Afの径方向の熱抵抗を下げるためである。したがって、磁性体10Aa、10Ab、10Ac、10Ad、10Ae、10Afの配置間隔は熱伝導部材30Ab、30Ad、30Afの厚みによって決める。熱伝導部材30Ab、30Ad、30Afの形状は、磁性体10Aa−10Ab、10Ac−10Ad、10Ae−10Afのそれぞれの磁性体の隙間の形状に合わせる。
なお、熱伝導部材30Ab、30Ad、30Afの径方向の厚みが厚くなると、熱伝導部材としての径方向の熱抵抗が増えることになる。しかし、磁性体10Aa、10Ab、10Ac、10Ad、10Ae、10Afの周方向の寸法を内周から外周に向かって長くしてあるので、熱伝導部材30Ab、30Ad、30Afの径方向から見た断面積Aが大きくなり、熱伝導部材30Ab、30Ad、30Afそれぞれの熱抵抗をほぼ同一にすることができる。
このような事情から、本実施形態では、図9Aに示してあるように、熱伝導部材30Ab、30Ad、30Afの径方向の厚みLTH2、LTH4、LTH6はLTH2<LTH4<LTH6、の関係が成立する厚みとする。また、熱伝導部材30Ab、30Ad、30Afの周方向の長さを磁性体10Aa−10Ab、10Ac−10Ad、10Ae−10Afのそれぞれの磁性体の隙間の形状に合わせて円板800Aの内周から外周に向かって順次長くする。
以上のように、磁性体、磁気回路、熱伝達部材の寸法を回転中心側から外側に向けて異ならせると、図10に示すような形態の磁気冷凍機500となる。すなわち、磁性体10は内周から外周に向けて径方向の厚みが薄くなっており、全ての磁性体10が同一の熱容量すなわち体積を持つ。また、磁気回路を形成する永久磁石20と磁気突起(図示されていない)は、磁性体10と同様に内周から外周に向けて径方向の厚みが薄くなっており、全ての磁性体10に対して同一の発熱をさせるようにしている。さらに、熱伝達部材30は内周から外周に向けて径方向の厚みが厚くなっており、全ての磁性体10間、磁性体10と低温熱交換部40Aとの間、磁性体10と高温熱交換部40Bとの間で熱伝達が効率的に行われる。
以上のように構成されている本実施形態に係る磁気冷凍機500が磁気冷凍を行うことができる原理は、図3に基づいて説明した原理と同一である。
以上、本実施形態に係る磁気冷凍機によれば、各磁性体の熱容量を等しくし、各熱伝導部材の熱抵抗を下げたことによって、熱輸送能力を向上させることができ、冷凍能力が向上する(前述の従来技術に対して100%向上)。また、永久磁石の形状は各磁性体の形状に対応させているので、永久磁石に無駄な部分が生じず、磁気冷凍機の軽量化に役立てることができる。
また、熱伝導部材の径方向の厚みを外周側ほど厚くしているので、熱伝導部材の強度を向上させることができ、磁気冷凍機の信頼性が向上する。
さらに、負の磁性体に比較して磁気熱量効果が大きく安価な正の磁性体のみを用いているので、冷凍能力を向上させることができ、コストダウンにも寄与することができる。
[実施形態3]
次に、実施形態3に係る磁気冷凍機の具体的な構成について、図11を参照しながら説明する。実施形態3に係る磁気冷凍機は、磁性体の体積を実施形態2のように同一体積とするのではなく、磁性体の体積を回転中心側から外側に向けて小さくし、熱伝達ロスを小さくするものである。
次に、実施形態3に係る磁気冷凍機の具体的な構成について、図11を参照しながら説明する。実施形態3に係る磁気冷凍機は、磁性体の体積を実施形態2のように同一体積とするのではなく、磁性体の体積を回転中心側から外側に向けて小さくし、熱伝達ロスを小さくするものである。
本実施形態では、図11に示すように、磁性体配置板700において磁性体10Aa、10Ab、10Ac、10Ad、10Ae、10Afの体積が、磁性体配置板700の内周から外周に向かって、小さくなるようにしている。磁性体の体積を内周から外周に向かって小さくするのは、磁性体の熱容量を内周から外周に向かって順次小さくし、熱伝達ロスを小さくするためである。
熱伝達ロスを小さくするため、本実施形態では、図11に示してあるように、磁性体10Aa、10Ab、10Ac、10Ad、10Ae、10Afの径方向の厚みLM1、LM2、LM3、LM4、LM5、LM6はLM1>LM2>LM3>LM4>LM5>LM6の関係が成立する厚みとする。なおかつ、これらの厚みは、全ての磁性体10Aa、10Ab、10Ac、10Ad、10Ae、10Afの熱容量QM1、QM2、QM3、QM4、QM5、QM6がQM1>QM2>QM3>QM4>QM5>QM6の関係が成立する厚みとする。したがって、本実施形態における磁性体10Aa、10Ab、10Ac、10Ad、10Ae、10Afの径方向の厚みLM1、LM2、LM3、LM4、LM5、LM6は、実施形態2における10Aa、10Ab、10Ac、10Ad、10Ae、10Afの径方向の厚みLM1、LM2、LM3、LM4、LM5、LM6よりも、径方向に向けて順次、さらに薄くなる。
以上は、図5Bに示した磁気ユニット200B、200C、…、200G、…、200Lにおいても同一である。
また、図11に示すように、磁石/熱伝導部材配置板800の上側の円板800Aに配置されている永久磁石20Aa、20Ac、20Aeの径方向の厚みは、円板800Aの内周から外周に向かって薄くし、磁性体10Aa、10Ac、10Aeの径方向の厚みと合わせている。また、下側の円板800Bに配置されている磁気突起20Ab、20Ad、20Afの径方向の厚みも、円板800Bの内周から外周に向かって薄くし、対峙する永久磁石20Aa、20Ac、20Aeの径方向の厚みと合わせている。なお、永久磁石とこれに対峙する磁気突起は、上記の通り磁気回路の一部を構成する。
さらに、図11、図5B及び図5Cに示すように、永久磁石20Aa、20Ac、20Aeは、これらの永久磁石が向かい合う磁性体10Aa、10Ac、10Aeの対面方向の形状と同一の形状になっている。つまり、永久磁石20Aaと磁性体10Aaの向き合う方向の形状と寸法が同一になっている。永久磁石20Acと磁性体10Ac、永久磁石20Aeと磁性体10Aeもそれぞれの向き合う方向の形状と寸法が同一になっている。
また、磁石/熱伝導部材配置板800の上側の円板800Aに配置されている熱伝導部材30Ab、30Ad、30Afの径方向の厚みLTH2、LTH4、LTH6は円板800Aの内周から外周に向かって順次厚くする。これは、熱伝導部材30Ab、30Ad、30Afの機械的な強度を保つためである。円板800Aは内周側よりも外周側の方の速度が速いので、熱伝導部材の受ける遠心力は外周側の方が大きい。したがって、熱伝導部材30Ab、30Ad、30Afの径方向の厚みを厚くすることは機械的な強度を保つ上で好都合である。また、熱伝導部材30Ab、30Ad、30Afの周方向の長さは、円板800Aの内周から外周に向かって順次長くしている。これは、熱伝導部材30Ab、30Ad、30Afの径方向の熱抵抗を下げるためである。したがって、磁性体10Aa、10Ab、10Ac、10Ad、10Ae、10Afの配置間隔は熱伝導部材30Ab、30Ad、30Afの厚みによって決める。熱伝導部材30Ab、30Ad、30Afの形状は、磁性体10Aa−10Ab、10Ac−10Ad、10Ae−10Afのそれぞれの磁性体の隙間の形状に合わせる。
なお、熱伝導部材30Ab、30Ad、30Afの径方向の厚みが厚くなると、熱伝導部材としての径方向の熱抵抗が増えることになる。しかし、磁性体10Aa、10Ab、10Ac、10Ad、10Ae、10Afの周方向の寸法を内周から外周に向かって長くしてあるので、熱伝導部材30Ab、30Ad、30Afの径方向から見た断面積Aが大きくなり、熱伝導部材30Ab、30Ad、30Afそれぞれの熱抵抗をほぼ同一にすることができる。
このような事情から、本実施形態では、実施形態2と同じく、図11に示してあるように、熱伝導部材30Ab、30Ad、30Afの径方向の厚みLTH2、LTH4、LTH6はLTH2<LTH4<LTH6、の関係が成立する厚みとする。また、熱伝導部材30Ab、30Ad、30Afの周方向の長さを磁性体10Aa−10Ab、10Ac−10Ad、10Ae−10Afのそれぞれの磁性体の隙間の形状に合わせて円板800Aの内周から外周に向かって順次長くする。
以上のように構成されている本実施形態に係る磁気冷凍機500が磁気冷凍を行うことができる原理は、図3に基づいて説明した原理と同一である。
以上、本実施形態に係る磁気冷凍機によれば、各磁性体の熱容量を、内周側から外周側に向けて径方向に順次小さくなるようにしたので、熱伝達ロスを小さくすることができる。
[実施形態4]
次に、実施形態4に係る磁気冷凍機の具体的な構成について、図12及び図13を参照しながら説明する。本実施形態に係る磁気冷凍機は、実施形態2、3に係る磁気冷凍機とは逆に、磁気冷凍機の磁気回路及び熱伝導部材を固定して磁性体を回転させている。
図12に示すように、本実施形態では、磁性体配置板700がその中心部を回転軸として低温側熱交換器40Aの周りを回転可能に支持される。磁性体配置板700は駆動部によって回転される。一方、磁石/熱伝導部材配置板800は高温側熱交換器40Bに固定されている。磁石/熱伝導部材配置板800(800A、800B)と高温側熱交換器40Bとの間には磁石/熱伝導部材配置板800、高温側熱交換器40B相互間の熱の移動を阻止する断熱材525Bを介在させる。なお、磁性体、磁気回路、熱伝達部材の形状などは実施形態2、3と同一である
以上のように構成されている磁気冷凍機500の磁性体配置板700が回転すると、図8のA−A断面である図13に示すように、磁性体10Aaから磁性体10Abに、磁性体10Acから磁性体10Adに、磁性体10Aeから磁性体10Afに、熱伝導部材30Ab、30Ad、30Afを介して熱が移動する。なお、各磁気ユニットにおける熱の移動状態は図11に示したものと同一である。
次に、実施形態4に係る磁気冷凍機の具体的な構成について、図12及び図13を参照しながら説明する。本実施形態に係る磁気冷凍機は、実施形態2、3に係る磁気冷凍機とは逆に、磁気冷凍機の磁気回路及び熱伝導部材を固定して磁性体を回転させている。
図12に示すように、本実施形態では、磁性体配置板700がその中心部を回転軸として低温側熱交換器40Aの周りを回転可能に支持される。磁性体配置板700は駆動部によって回転される。一方、磁石/熱伝導部材配置板800は高温側熱交換器40Bに固定されている。磁石/熱伝導部材配置板800(800A、800B)と高温側熱交換器40Bとの間には磁石/熱伝導部材配置板800、高温側熱交換器40B相互間の熱の移動を阻止する断熱材525Bを介在させる。なお、磁性体、磁気回路、熱伝達部材の形状などは実施形態2、3と同一である
以上のように構成されている磁気冷凍機500の磁性体配置板700が回転すると、図8のA−A断面である図13に示すように、磁性体10Aaから磁性体10Abに、磁性体10Acから磁性体10Adに、磁性体10Aeから磁性体10Afに、熱伝導部材30Ab、30Ad、30Afを介して熱が移動する。なお、各磁気ユニットにおける熱の移動状態は図11に示したものと同一である。
このように、本実施形態に係る磁気冷凍機によれば、磁気回路を構成する永久磁石と磁気突起、及び熱伝達部材を有する磁石/熱伝導部材配置板800を固定し、磁性体のみが形成されている磁性体配置板700を回転させるので、磁気冷凍機の起動時間が速くなる。磁性体配置板700の重量は磁石/熱伝導部材配置板800の重量に比較して軽いからである。
10Aa−10Af、10Ba−10Bf 磁性体、
20Aa−20Ae、20Ba−20Be 永久磁石、
20Ab−20Af 磁気突起、
30Ab−30Af、30Ba−30Bg 熱伝導部材、
40A 低温側熱交換部、
40B 高温側熱交換部、
500 磁気冷凍機、
600 熱交換部支持盤、
700 磁性体配置板、
800 磁石/熱伝導部材配置板。
20Aa−20Ae、20Ba−20Be 永久磁石、
20Ab−20Af 磁気突起、
30Ab−30Af、30Ba−30Bg 熱伝導部材、
40A 低温側熱交換部、
40B 高温側熱交換部、
500 磁気冷凍機、
600 熱交換部支持盤、
700 磁性体配置板、
800 磁石/熱伝導部材配置板。
Claims (10)
- 同一材料の磁性体を複数列状に間隔を設けて配置した磁性体ユニットを前記磁性体の配置方向と交差する方向に間隔を設けて複数隣り合わせて配置した磁性体配置板と、
前記磁性体配置板の各磁性体ユニットの一端に位置する磁性体と間隔を設けて隣り合う低温側熱交換部と、
前記磁性体配置板の各磁性体ユニットの他端に位置する磁性体と間隔を設けて隣り合う高温側熱交換部と、
前記磁性体配置板と対峙し、前記磁性体配置板に配置した各磁性体ユニットの磁性体に対し個別に磁気を印加する磁気印加部、および、前記各磁性体ユニットに発生する熱を前記低温側熱交換部から高温側熱交換部側に伝導させる熱伝導部材、を配置した磁石/熱伝導部材配置板と、
前記磁性体配置板と前記磁石/熱伝導部材配置板を前記磁性体ユニットの配置方向に相対的に移動させるために前記磁性体配置板または前記磁石/熱伝導部材配置板の少なくともいずれか一方を駆動する駆動部と、
を有することを特徴とする磁気冷凍機。 - 前記同一材料の磁性体は、磁気を印加すると発熱し除去すると吸熱する正の磁性体、又は、磁気を印加すると吸熱し除去すると発熱する負の磁性体、のいずれか一方の磁性体であることを特徴とする請求項1に記載の磁気冷凍機。
- 前記磁石/熱伝導部材配置板に配置されている複数の磁気印加部は、前記磁石/熱伝導部材配置板と前記磁性体配置板との相対移動によって、前記磁性体配置板に配置されている複数の磁性体に近接離反して磁気熱量効果を発現させ、前記磁石/熱伝導部材配置板に配置されている複数の熱伝導部材は、前記磁石/熱伝導部材配置板と前記磁性体配置板との相対移動によって、前記磁性体配置板に配置されている磁性体と磁性体との間、前記低温側熱交換部と磁性体との間、前記高温側熱交換部と磁性体との間を挿脱されて、前記磁気熱量効果により発生した熱を伝導させることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気冷凍機。
- 前記磁石/熱伝導部材配置板は隙間を設けて前記磁性体配置板を挟む磁気的に接続された2枚の平板で構成され、
前記磁気印加部は、前記2枚の平板と、前記2枚の平板のうちの一方の平板に取り付けた永久磁石と、前記2枚の平板のうちの他方の平板に形成した磁気突起と、によって形成される磁気回路を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の磁気冷凍機。 - 前記磁性体配置板及び前記磁石/熱伝導部材配置板は中心部が開口した中空円板であり、
前記低温側熱交換部または前記高温側熱交換部は前記磁性体配置板及び前記磁石/熱伝導部材配置板の中心部に配置され、
前記高温側熱交換部または前記低温側熱交換部は前記磁性体配置板及び前記磁石/熱伝導部材配置板の外周部に配置され、
前記駆動部は、前記磁石/熱伝導部材配置板をその中心部を回転軸として回転させることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の磁気冷凍機。 - 前記磁性体配置板及び前記磁石/熱伝導部材配置板は中心部が開口した中空円板であり、
前記低温側熱交換部または前記高温側熱交換部は前記磁性体配置板及び前記磁石/熱伝導部材配置板の中心部に配置され、
前記高温側熱交換部または前記低温側熱交換部は前記磁性体配置板及び前記磁石/熱伝導部材配置板の外周部に配置され、
前記駆動部は、前記磁性体配置板をその中心部を回転軸として回転させることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の磁気冷凍機。 - 前記磁性体配置板に配置する複数の磁性体は、前記磁性体配置板の内周から外周に向かって、同一体積または順次体積が小さいことを特徴とする請求項5または6に記載の磁気冷凍機。
- 前記磁性体配置板に配置する複数の磁性体は、前記磁性体配置板の内周から外周に向かって、径方向の厚みを順次薄くし、周方向の長さを順次長くすることを特徴とする請求項7に記載の磁気冷凍機。
- 前記磁石/熱伝導部材配置板に配置する複数の熱伝導部材は、前記磁石/熱伝導部材配置板の内周から外周に向かって、径方向の厚みを順次厚くし、周方向の長さを順次長くすることを特徴とする請求項8に記載の磁気冷凍機。
- 前記磁石/熱伝導部材配置板に配置する複数の永久磁石は、前記磁石/熱伝導部材配置板の内周から外周に向かって、径方向の厚みを順次薄くし、周方向の長さを順次長くすることを特徴とする請求項請求項7から9のいずれかに記載の磁気冷凍機。
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