JP5817353B2 - 磁気冷暖房装置 - Google Patents

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Description

本発明は、磁気冷暖房装置に係り、特に、磁気熱量効果を発現する磁性体の熱を、当該磁性体に作用させる磁気により熱伝導を制御する熱伝導部を利用して輸送する磁気冷暖房装置に関する。
従来用いられている室温域の冷凍機、例えば、冷蔵庫、冷凍庫、エアコンなどの冷凍機の大半は、フロンガスや代替フロンガスなどの気体冷媒の相変化を利用している。最近では、フロンガスの排出に伴うオゾン層破壊の問題が露呈し、さらに、代替フロンガスの排出に伴う地球温暖化への影響も懸念されている。このため、フロンガスや代替フロンガスなどの気体冷媒を用いた冷凍機に代わる、クリーンでかつ熱輸送能力の高い、革新的な冷凍機の開発が強く望まれている。
このような背景から、最近になって注目されるようになった冷凍技術が磁気冷凍技術である。磁性体の中には、その磁性体に印加する磁界の大きさが変化すると、その変化に応じて自身の温度を変化させる、いわゆる磁気熱量効果を発現するものがある。この磁気熱量効果を発現する磁性体を利用して熱を輸送する冷凍技術が磁気冷凍技術である。
磁気冷凍技術を応用した冷凍機としては、例えば、下記特許文献1に記載されているような、固体物質の熱伝導を利用して熱を輸送する磁気冷凍機がある。この磁気冷凍機は以下のような構成によって熱を伝導させる。
磁気を印加すると温度が上昇する正の磁性体と、磁気を印加すると温度が下降する負の磁性体とを、所定の間隔で交互に複数一方向に並べて配置する。正負一対の磁性体で1つの磁性体ブロックを形成する。一方向に並ぶ複数の磁性体ブロックを環状に複数配置して磁性体ユニットを形成する。この磁性体ユニットと同心で内径と外径が略等しいハブ状の回転体に永久磁石を配置して磁気印加除去部を形成する。正負の磁性体との間を挿脱する熱伝導部材を正負の磁性体との間で摺動自在となるように配置する。
永久磁石が配置されている回転体を磁性体ユニットと対向するように配置して磁性体ユニットに対し相対的に回転させる。正負の磁性体との間で挿脱される熱伝導部材を磁性体ユニットに対し相対的に回転させる。この回転体の回転によって正負の磁性体に同時に磁気が印加されまた除去される。また、熱伝導部材が回転方向に並ぶ正負の磁性体との間で挿脱される。永久磁石と熱伝導部材が回転することで、磁気熱量効果により磁性体が発生する熱を磁性体が配置される一方向に熱伝導部材を介して輸送する。
特開2007−147209号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載されている発明の場合、磁性体が発生する熱を輸送するときに、熱伝導部材が正負の磁性体との間で挿脱される。熱伝導部材は正負の磁性体との間で摺動を繰り返すことから、熱伝導部材に耐久性を持たせる必要がある。また、熱伝導部材の摺動に伴い、磁性体との間で生じる摩擦により機械的な損失が発生する。
さらに、熱伝導部材は正負の磁性体との間で摺動を繰り返すことから、実際には、構造上一方向にのみ熱を輸送することはできず、熱の輸送に際して熱的な損失が発生する。
熱的な損失は次のような理由から発生する。
熱伝導部材が熱伝導部材を挟む磁性体間にあるときには、熱伝導部材を挟む磁性体間でのみ熱が輸送される。ところが熱伝導部材が回転方向に隣り合う磁性体とまたがる位置にあるときには、熱伝導部材を挟む磁性体間だけでなく、回転方向に隣り合う磁性体間にも熱が輸送される。回転方向に隣り合う磁性体に輸送される熱は損失となり、磁気冷凍機の熱輸送能力及び熱輸送効率の低下を招く。
本発明は、上記の問題を解決するために成されたものであり、摺動の耐久性を持たせる必要がなく、機械的および熱的な損失が極めて小さく、熱輸送能力及び熱輸送効率を向上させることができる、磁気冷暖房装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係る磁気冷暖房装置は、熱輸送器、低温側熱交換部、高温側熱交換部及び磁気印加除去部を有する。
熱輸送器は、磁気熱量効果を有する磁性体と当該磁性体の熱を輸送する熱伝導部とを交互に配置する。低温側熱交換部は、前記熱輸送器の一端に前記熱伝導部を介して配置する。高温側熱交換部は、前記熱輸送器の他端に前記熱伝導部を介して配置する。磁気印加除去部は、前記熱輸送器の各磁性体に選択的に磁気を印加し除去する。各熱伝導部は、磁気印加除去部が各磁性体に印加し除去する磁気を利用して各磁性体との並び方向に伸縮し、各磁性体との熱伝導を断続する。
本発明に係る磁気冷暖房装置によれば、各熱伝導部は、磁気印加除去部が各磁性体に印加し除去する磁気を利用して伸縮するので、磁性体、低温側熱交換部、高温側熱交換部に対して摺動させずに熱を輸送させることができる。このため、各熱伝導部に摺動の耐久性を持たせる必要がなく、各熱伝導部の信頼性が向上する。また、摩擦による機械的な損失をなくすことができる。
また、各熱伝導部は各磁性体との並び方向にのみ熱を輸送できるので、熱の輸送に際して熱的な損失が小さくできる。各熱伝導部は磁気印加除去部の磁気を利用して伸縮するので、熱伝導を制御する専用の装置を設ける必要がなく、磁気冷暖房装置の構成を簡素化できる。
さらに、各熱伝導部は、伸縮に応じて、磁性体間、磁性体と低温側熱交換部との間、磁性体と高温側熱交換部との間を、全ての接触面を使って接続するので、熱輸送能力及び熱輸送効率を向上させることができる。
本発明に適用する磁気冷暖房の原理図である。 本発明の磁気冷暖房の効果を示すグラフである。 図1の原理図において熱が移動していく様子を説明するための図である。 本実施形態に係る熱伝導部の構造図である。 本実施形態に係る磁気冷暖房装置の固定部の構成図である。 本実施形態に係る磁気冷暖房装置の回転部の構成図である。 本実施形態に係る磁気冷暖房装置の断面図である。 本実施形態に係る磁気冷暖房装置の制御系のブロック図である。 図8の空調情報入力部のさらに具体的な制御系のブロック図である。 本実施形態に係る磁気冷暖房装置の動作フローチャートである。
まず、本発明の実施形態の説明をする前に、本発明に適用する磁気冷暖房の原理を図面に基づいて詳細に説明する。
(磁気冷暖房の原理)
図1は、本発明に適用する磁気冷暖房の原理図である。磁性体10A−10Fには、発現される磁気熱量効果の種類が同じ同一材料の磁性体として正の磁性体を用いる。
磁気印加除去部20A、20B、磁気印加除去部20C、20D、磁気印加除去部20E、20Fは、磁性体10A−10Fを挟むようにして、磁性体10A−10Fの間で往復移動する。つまり、図1Aの状態から、磁気印加除去部20A、20Bが磁性体10Aから10Bに、磁気印加除去部20C、20Dが磁性体10Cから10Dに、磁気印加除去部20E、20Fが磁性体10Eから10Fに、一斉に移動して、図1Bの状態になる。
次に、図1Bの状態から、磁気印加除去部20A、20Bが磁性体10Bから10Aに、磁気印加除去部20C、20Dが磁性体10Dから10Cに、磁気印加除去部20E、20Fが磁性体10Fから10Eに、一斉に移動して、磁気印加除去部と磁性体の位置関係が図1Aの状態に戻る。したがって、磁気印加除去部が往復移動すると、図1Aと図1Bの状態が交互に繰り返される。
本実施形態では、磁性体10A−10Fには正の磁性体を用いている。しかし、負の磁性体を用いても良い。正の磁性体は磁気印加除去部20A−20Fで磁気を印加すると発熱し除去すると吸熱する。一方、負の磁性体は磁気印加除去部20A−20Fで磁気を印加すると吸熱し除去すると発熱する。このように、正の磁性体と負の磁性体とでは、発現される磁気熱量効果が正反対であり、磁気熱量効果の種類が異なる。本実施形態の場合、負の磁性体に比較して安価で発熱量が大きい正の磁性体を用いる。負の磁性体は希少な磁性材料から製造しなければならないのでコスト高になり、また、負の磁性体の磁気熱量効果の大きさが正の磁性体の磁気熱量効果の大きさよりも小さいからである。
磁気印加除去部20A−20Fには永久磁石を用いる。磁気印加除去部20A、20B、磁気印加除去部20C、20D、磁気印加除去部20E、20Fは、それぞれが一体となって、図示左右方向に往復移動する。したがって、磁気印加除去部20A−20Fは磁性体10A−10Fに個別に磁気を印加する。
熱伝導部30A−30Gは、磁性体10A−10Fが磁気熱量効果により発生した熱を低温側熱交換部40Aから高温側熱交換部40Bに向けて伝達する。熱伝導部30A−30Gは、微小な力を加えただけで伸縮する特性を持つ材料を用いて形成する。この材料の一端は各磁性体10A−10Fの一端に接着して取り付ける。この材料の他端には磁気印加除去部20A−20Fの磁気を受けて吸引反発する材料を接着して取り付ける。
図1Aに示すように、磁気印加除去部20A、20C、20Eは、磁性体10A−10Fに対峙する側の極性をN極に、磁気印加除去部20B、20D、20Fは、磁性体10A−10Fに対峙する側の極性をS極に、それぞれ着磁する。また、熱伝導部30A、30C、30Eに取り付ける材料の磁気印加除去部20A、20C、20Eに対峙する側の極性をS極に、磁気印加除去部20B、20D、20Fに対峙する側の極性をN極に、それぞれ着磁する。熱伝導部30B、30D、30F、30Gに取り付ける材料の磁気印加除去部20A、20C、20Eに対峙する側の極性をN極に、磁気印加除去部20B、20D、20Fに対峙する側の極性をS極に、それぞれ着磁する。
熱伝導部30A−30Gは、図1A、Bに示すように、磁気印加除去部20A−20Fの位置に応じて、磁気印加除去部20A−20Fが各磁性体10A−10Fに磁気を印加し除去するタイミングと同期して伸縮し、磁性体10A−10Fとの並び方向に寸法が小さくなったり戻ったりする。このため、熱伝導部30A−30Gは、磁気印加除去部20A−20Fの位置に応じて磁性体10A−10Fに接触したり、接触しなかったりし、磁性体の並び方向に向けて効率的に熱を伝達させることができる。
熱伝導部30Aは、低温側熱交換部40Aとこれと隣り合う磁性体10Aとの間で伸縮して両者を機械的に断続する。熱伝導部30Bは、磁性体10Aと10Bとの間で伸縮して両者を機械的に断続する。同様に、熱伝導部30C、30D、30E、30Fは、磁性体10Bと10Cとの間、磁性体10Cと10Dとの間、磁性体10Dと10Eとの間、磁性体10Eと10Fとの間で伸縮して両者を機械的に断続する。熱伝導部30Gは、磁性体10Fと高温側熱交換部40Bとの間で伸縮して両者を機械的に断続する。
熱伝導部30B、30D、30Fは、同じタイミングで、磁性体10Aと10Bとの間、磁性体10Cと10Dとの間、磁性体10Eと10Fとの間で伸縮し両者を機械的に断続する。また、熱伝導部30A、30C、30E、30Gも、同じタイミングで、低温側熱交換部40Aと磁性体10Aとの間、磁性体10Bと10Cとの間、磁性体10Dと10Eとの間、磁性体10Fと高温側熱交換部40Bとの間で伸縮し両者を機械的に断続する。熱伝導部30B、30D、30Fと熱伝導部30A、30C、30E、30Gとは交互に伸縮を繰り返す。
図1Aに示すように、磁気印加除去部20A、20Bが磁性体10Aに、磁気印加除去部20C、20Dが磁性体10Cに、磁気印加除去部20E、20Fが磁性体10Eに、それぞれ位置する。このときには、磁性体10A、10C、10Eに対して磁気が印加され、磁性体10B、10D、10Fには磁気が印加されておらず磁気が除去されている。したがって、磁性体10A、10C、10Eは発熱する。そして同時に、熱伝導部30Bが磁性体10Aと10Bとの間を、熱伝導部30Dが磁性体10Cと10Dとの間を、熱伝導部30Fが磁性体10Eと10Fとの間を、それぞれ接続する。
したがって、磁性体10A、10C、10Eが磁気熱量効果により発生した熱は磁性体10B、10D、10Fにそれぞれ移動する。このときには、熱伝導部30B、30D、30Fの材料には磁気印加除去部20A−20Fの磁気との間で反発力が働く。この反発力は熱伝導部30B、30D、30Fの寸法を伸ばす。したがって、熱伝導部30B、30D、30Fは、磁性体10Aと10Bとの間、磁性体10Cと10Dとの間、磁性体10Eと10Fとの間を接続する。一方、熱伝導部30A、30C、30Eの材料には磁気印加除去部20A−20Fの磁気との間で吸引力が働く。この吸引力は熱伝導部30A、30C、30Eの寸法を縮める。熱伝導部30Gには磁気との力がほとんど働かないので、磁気を受けていないときの自然な寸法に戻る。したがって、熱伝導部30A、30C、30E、30Gは、低温側熱交換部40Aと磁性体10Aとの間、磁性体10Bと10Cとの間、磁性体10Dと10Eとの間及び高温側熱交換部40Bと磁性体10Fとの間を遮断する。
次に、図1Bに示すように、磁気印加除去部20A、20Bが磁性体10Bに、磁気印加除去部20C、20Dが磁性体10Dに、磁気印加除去部20E、20Fが磁性体10Fに、それぞれ位置する。このときには、磁性体10B、10D、10Fに対して磁気が印加され、磁性体10A、10C、10Eには磁気が印加されておらず磁気が除去されている。したがって、磁性体10B、10D、10Fは発熱する。そして同時に、熱伝導部30Aが低温側熱交換部40Aと磁性体10Aとの間を、熱伝導部30Cが磁性体10Bと10Cとの間を、熱伝導部30Eが磁性体10Dと10Eとの間を、熱伝導部30Gが磁性体10Fと高温側熱交換部40Bとの間を、それぞれ接続する。
このときには、磁性体10A、10C、10Eが磁気熱量効果により吸熱され、磁性体10B、10D、10Fが磁気熱量効果により発熱する。したがって、低温側熱交換部40Aから磁性体10Aに、磁性体10Bから磁性体10Cに、磁性体10Dから磁性体10Eに、磁性体10Fから高温側熱交換部40Bに熱が移動する。このときには、熱伝導部30B、30D、30Fの材料には磁気印加除去部20A−20Fの磁気との間で反発力が働く。この反発力は熱伝導部30B、30D、30Fの寸法を縮める。したがって、熱伝導部30B、30D、30Fは、磁性体10Aと10Bとの間、磁性体10Cと10Dとの間、磁性体10Eと10Fとの間を遮断する。一方、熱伝導部30C、30Eの材料には磁気印加除去部20A−20Fの磁気との間で吸引力が働く。この吸引力は熱伝導部30C、30Eの寸法を伸ばす。熱伝導部30Aには磁気との力がほとんど働かないので、磁気を受けていないときの自然な寸法に戻る。また、熱伝導部30Gには磁気印加除去部20E、20Fの磁気との間で反発力が働く。この反発力は熱伝導部30Gの寸法を伸ばす。したがって、熱伝導部30A、30C、30E、30Gは、低温側熱交換部40Aと磁性体10Aとの間、磁性体10Bと10Cとの間、磁性体10Dと10Eとの間及び高温側熱交換部40Bと磁性体10Fとの間を接続する。
以上のように、磁気印加除去部を図示左右方向に連動して往復移動させることによって、磁性体は発熱と吸熱を交互に繰り返す。さらに、磁気印加除去部の移動に連動して、熱伝導部30A−30Gは、低温側熱交換部40A、磁性体10A−10F、高温側熱交換部40Bそれぞれの間で断続を繰り返す。このため、磁気熱量効果により得られた磁性体の熱が低温側熱交換部40Aから高温側熱交換部40Bに移動する。
図2は、本発明の磁気冷暖房の効果を示すグラフである。このグラフに示すように、磁気冷凍機が動作を開始した後の比較的初期時には、低温側熱交換部40Aと高温側熱交換部40Bとの間の温度差は小さい。時間が経過するにしたがって低温側熱交換部40Aと高温側熱交換部40Bとの間の温度差が次第に大きくなっていき、最終的には、長時間経過後の直線で示すように、低温側熱交換部40Aと高温側熱交換部40Bとの間の温度差が最大になる。この状態で、低温側熱交換部40Aの熱を利用して、たとえば室内の温度を下げることができ、高温側熱交換部40Bの熱を利用して、たとえば室内の温度を上げることができる。
次に、図1のように、各磁性体ブロックに対応して設けた磁気印加除去部を図示左右方向に連動して往復移動させたときに熱が移動していく様子を図3の模式図に基づいて説明する。
まず前提として、全ての磁性体は同一材料で形成されており、全ての磁性体の磁気熱量効果が同一の種類であって、温度変化量が5℃のものを用いた場合を想定する。具体的には、全ての磁性体は、磁気を印加されると5℃温度が上昇し、磁気が除去されると5℃温度が下降する特性を持っていると想定する。
また、各熱伝導部30A−30Gの寸法は、磁気印加除去部20A−20Fの磁気の影響が全くないときには、図3の(0)のような自然な寸法になる。熱伝導部30Aは低温側熱交換部40Aと接触している状態が自然な寸法である。一方、熱伝導部30B−30Gは、隣接する磁性体10B、10D、10Fや高温側熱交換部40Bに接触しない状態が自然な寸法である。
図3の(1)に示すように、初期の状態では全ての磁性体10A−10Fが室温の20℃になっている。このときには、各熱伝導部30A−30Gは磁気印加除去部20A−20Fの磁気の影響を受けて、図示のように、その寸法が伸びたり縮んだりしている。なお、低温側熱交換部40Aと高温側熱交換部40Bとの間で、交互に配置する磁性体と熱伝導部は熱輸送器を形成する。
次に、図3の(2)に示すように、この状態で磁気印加除去部20A−20Fを一斉に右側に移動させ、右隣に位置する磁性体10B、10D、10Fに磁気を印加する。これにより、図3の(2)に示すように、熱伝導部30A、30C、30E、30Gにより、低温側熱交換部40Aと磁性体10Aとの間、磁性体10Bと10Cとの間、磁性体10Dと10Eとの間、磁性体10Fと高温側熱交換部40Bとの間で熱伝導が行われる。一方、熱伝導部30B、30D、30Fは、磁性体10Aと10Bとの間、磁性体10Cと10Dとの間、磁性体10Eと10Fとの間の熱伝導を遮断する。
図3の(2)の状態では、磁気が除去された磁性体10A、10C、10Eの温度が15℃に低下し、磁気が印加された磁性体10B、10D、10Fの温度が25℃に上昇する。このため、図に示すように、熱伝導部を介して温度の高い方から温度の低いほうに熱が移動する。
この熱の移動によって、図3の(2)´に示すように、磁性体10Aと低温側熱交換部40Aの温度が17.5℃になり、磁性体10Fと高温側熱交換部40Bの温度が22.5℃になる。
次に、図3の(3)に示すように、磁気印加除去部20A−20Fを一斉に左側に移動させ、左隣に位置する磁性体10A、10C、10Eに磁気を印加する。これにより、図3の(3)に示すように、熱伝導部30B、30D、30Fにより、磁性体10Aと10Bとの間、磁性体10Cと10Dとの間、磁性体10Eと10Fとの間で熱伝導が行われる。一方、熱伝導部30A、30C、30E、30Gは、低温側熱交換部40Aと磁性体10Aとの間、磁性体10Bと10Cとの間、磁性体10Dと10Eとの間、磁性体10Fと高温側熱交換部40Bとの間の熱伝導を遮断する。
図3の(3)の状態では、磁気が印加された磁性体10A、10C、10Eの温度が図3の(2)´の状態の温度から5℃上昇し、磁気が除去された磁性体10B、10D、10Fの温度が図3の(2)´の状態の温度から5℃低下する。このため、図に示すように、熱伝導部を介し隣接する磁性体との間で温度の高い方から温度の低いほうに熱が移動する。
この熱の移動によって、図3の(3)´に示すように、低温側熱交換部40Aの温度が17.5℃になり、磁性体10A、10Bの温度が18.75℃になる。また、磁性体10C、10Dの温度が20℃になり、磁性体10E、10Fの温度が21.25℃になる。そして、高温側熱交換部40Bの温度が22.5℃になる。
以上のように、磁気印加除去部を磁性体に沿って左右に往復移動させることによって、
各熱伝導部材30A−30Gが磁性体10A−10Fとの並び方向に伸縮し、低温側熱交換部40Aから高温側熱交換部40Bに熱が移動していく。時間が経過するにしたがって、図2に示したように、低温側熱交換部40Aと高温側熱交換部40Bとの間の温度差が大きくなっていく。最終的には、低温側熱交換部40Aと高温側熱交換部40Bとの間の温度差が安定する。この状態で、低温側熱交換部40Aの熱を利用して、たとえば室内の温度を下げることができ、高温側熱交換部40Bの熱を利用して、たとえば室内の温度を上げることができる。
なお、図1及び図3の説明は、発現される磁気熱量効果の種類が同じ同一材料の磁性体として正の磁性体を用いた場合に当てはまる。発現される磁気熱量効果の種類が同じ同一材料の磁性体として負の磁性体を用いた場合には、熱の移動方向は図1及び図3に示した方向とは逆になる。したがって、負の磁性体を用いた場合、低温側熱交換部40Aと高温側熱交換部40Bの位置が図1及び図3とは逆になる。
以上が、本発明に適用する磁気冷暖房の原理である。以上では、2つの磁性体を1組として磁性体ブロックを形成し、この磁性体ブロックをさらに3つ一列に配列して磁性体ユニットを形成する形態について述べた。
しかし、本発明は、この形態には限られず、さらに多くの磁性体を一列に配列して磁性体ブロックを形成し、さらに多くの磁性体ブロックを一列に配列して磁性体ユニットを形成する形態にも適用できる。さらに、本発明は、磁性体ユニットを複数並列に環状に配置する形態にも適用できる。これらの形態の場合にも、磁性体ブロックごとに磁気印加除去部を設けるのは、上記の形態の場合と同一である。
(熱伝導部の構造)
次に、本実施形態に係る磁気冷暖房装置が採用する熱伝導部の具体的な構造について説明する。図4は本実施形態に係る熱伝導部の構造図である。
図1に示したように、熱伝導部30Aと30Bは磁性体10Aの対向する両面に、熱伝導部30Cと30Dは磁性体10Cの対向する両面に、熱伝導部30Eと30Fは磁性体10Eの対向する両面に、それぞれ設ける。熱伝導部30Gは磁性体10Fの高温側熱交換部40B側の片面に設ける。
図4では、磁性体10Aの対向する両面に取り付ける熱伝導部30Aと30Bを例示する。熱伝導部30A、30Bは、磁性体10Aの対向する両面に取り付ける。熱伝導部30Aは柔軟性材料34Aと磁性材料32Aで構成し、熱伝導部30Bは柔軟性材料34Bと磁性材料32Bで構成する。柔軟性材料34A、34Bは、微小な力を加えただけで伸縮する特性を持ち伸縮が容易で伸縮の周波数応答性が良好な材料で形成する。磁性材料32A、32Bは、磁気印加除去部10A−10Fの磁気を受けて吸引力と反発力を生じる材料で形成する。柔軟性材料34Aと34Bは磁性体10Aに接着剤で取り付ける。磁性材料32Aと32Bは、柔軟性材料34Aと34Bに接着剤で取り付ける。熱伝導部30A、30Bは、磁性体10Aに効率的に熱を伝達させなければならないので、柔軟性材料34A、34B、磁性材料32A、32Bには熱伝達率の高い材料を選定している。また、磁性材料32A、32Bは、磁性体10Aに効率的に熱を伝達させるだけでなく、磁気印加除去部20A、20Bの磁気で大きな吸引力と反発力を得ることができる材料を選定している。
柔軟性材料34Aの両面には接着剤を極薄く塗って、磁性体10Aと磁性材料32Aとを貼り付ける。柔軟性材料34Bの両面には接着剤を極薄く塗って、磁性体10Aと磁性材料32Bとを貼り付ける。接着剤は、磁性材料32Aと柔軟性材料34A、柔軟性材料34Aと磁性体10Aとの間、磁性材料32Bと柔軟性材料34B、柔軟性材料34Bと磁性体10Aとの間の熱伝導性を阻害しないようにする。このため、熱伝導性の接着剤を用いるか、熱伝導性の良好な銅やアルミなどの金属粉を接着性が保持される程度に混入した接着剤を用いる。
磁気印加除去部20A、20Bは、磁性体10Aに対峙する側の極性をN極、S極に着磁してある。したがって、熱伝導部30Aに取り付ける磁性材料32Aの磁気印加除去部20Aに対峙する側の極性はS極に、磁気印加除去部20Bに対峙する側の極性はN極に着磁する。一方、熱伝導部30Bに取り付ける磁性材料32Bの磁気印加除去部20Aに対峙する側の極性はN極に、磁気印加除去部20Bに対峙する側の極性はS極に着磁する。
したがって、磁性体10Aに磁気印加除去部20A、20Bが位置すると、磁性材料32Aには磁気印加除去部20A、20Bの磁気との間で吸引力が働き、柔軟性材料34Aの寸法(厚み)が図4に示すように10%程度小さくなる。これによって、隣接する磁性体との間に空気層を形成することができる。隣接する磁性体との間の断熱性は20−30μmの空気層が確保できれば十分である。一方、磁性材料32Bには磁気印加除去部20A、20Bの磁気との間で反発力が働き、柔軟性材料34Bの寸法が図4に示すように伸びる。これによって、熱伝導部30A、30Bを、隣接する磁性体と機械的に断続することができ、磁気印加除去部20A、20Bの磁気を利用して断熱部材としてまたは熱伝導部材として機能させることができる。
このように、磁気の印加、除去によって伸縮する熱伝導部30A、30Bに用いると、隣接する磁性体に磁性材料32A、32Bが接触しまた離れるという動作だけで熱伝導を断続させることができる。このため、従来のように、熱伝導を断続させるために熱伝導部を磁性体間で摺動させる必要がなく、熱伝導部の耐久性が向上し、同時に信頼性も向上する。磁気冷暖房装置を車載するためには小型化が要求され、小型化するためには磁気冷暖房装置の高周波化が必要である。高周波化するためには、磁性体間の熱伝達を高速(例えば0.1秒程度)で行う必要がある。これには、柔軟性材料34A、34Bの伸縮の周波数応答性と耐久性を確保すればよい。これは磁性体間での摺動の耐久性を確保することに比較したら非常にたやすいことである。
次に、図5−図7を参照して本実施形態に係る磁気冷暖房装置の構成について説明する。本実施形態に係る磁気冷暖房装置は、図1に示した磁気冷暖房と同一の原理を用いる。図5は、本実施形態に係る磁気冷暖房装置の固定部の構成図である。図6は、本実施形態に係る磁気冷暖房装置の回転部の構成図である。図7は、本実施形態に係る磁気冷暖房装置の断面図である。
(磁気冷暖房装置の構成)
図5及び図7に示すように、磁気冷暖房装置の固定部100は円形状に形成する。固定部100の中心部分には円筒状の高温側熱交換部40Bを設け、高温側熱交換部40Bを取り囲むように円形状の低温側熱交換部40Aを設ける。低温側熱交換部40Aと高温側熱交換部40Bとの間の空間に1mm程度の厚みの熱輸送器配置板150(図7参照)をはめ込み、低温側熱交換部40Aと高温側熱交換部40Bとで固定する。
熱輸送器配置板150上の中心角30度の扇状の空間に、図5及び図7に示すように、磁気熱量効果を有する磁性体10A−10Fとこれらの磁性体の熱を輸送する熱伝導部30A−30Gとを交互に配置する。交互に配置した磁性体10A−10Fと熱伝導部30A−30Gで1つの熱輸送器50を構成する。したがって、図5に示すように、熱輸送器配置板150上には、中心角30度ごとに1つの扇状の熱輸送器50が配置され、熱輸送器配置板150上には、並列に合計12個の扇状の熱輸送器50が形成される。なお、12個の扇状の熱輸送器50のそれぞれの間には熱絶縁を図るための空間を形成してある。また、低温側熱交換部40Aは熱輸送器50の一端に熱伝導部30Aを介して配置される。さらに、高温側熱交換部40B熱輸送器50の他端に熱伝導部30Gを介して配置される。低温側熱交換部40Aと高温側熱交換部40Bの内部には、熱交換効率を向上させるためフィン41(図7参照)と42(図5参照)を設けている。
熱輸送器配置板150は、互いに独立して分離された12個の熱輸送器50を配置しているので、熱輸送器50が輸送している熱を奪わないように、熱輸送器配置板150は断熱性の高い材料で形成するか、熱輸送器配置板150と熱輸送器50との間に断熱性の高い材料を挟む。なお、熱輸送器配置板150は磁性体に印加される磁束を減少させてはならないので、透磁率の非常に高い鉄などの材料で形成することが好ましい。また、熱輸送器50は熱輸送器配置板150の上側に設けたが、熱輸送器配置板150の下側に設けても良い。また、熱輸送器配置板150は上下の熱輸送器配置板150に挟まれるように設けても良い。
磁性体10A−10Fは、本実施形態では同一材料で形成しており、同一材料として正の磁性体を用いる。正の磁性体は、磁気を印加していないときには常磁性状態(磁気スピンが無秩序の状態)となり、磁気を印加すると強磁性状態(磁気スピンが一方向に揃う状態)となる、常磁性状態と強磁性状態が可逆的に生じる材料を用いて製造する。
正の磁性体の材料としては、GdやGdをベースとした合金である、Gd−Y系、Gd−Dy系、Gd−Er系、Gd−Ho系、La(Fe,Si)13やLa(Fe,Al)13などの磁性材料を用いることができる。
一方、本実施形態では用いていないが、磁性体10A−10Fに同一材料として負の磁性材料を用いることもできる。負の磁性体は、磁気を印加していないときには強磁性状態(磁気スピンが一方向に揃う状態)となり、磁気を印加すると常磁性状態(磁気スピンが無秩序の状態)となる、強磁性状態と常磁性状態が可逆的に生じる材料を用いて製造される。
負の磁性体の材料としては、FeRh合金、CoMnSiGe系、NiMnSn系などの磁性材料を用いることができる。
一般的に、正の磁性体と負の磁性体は、磁気の印加に対して、熱発生が、発熱するか、吸熱するか反対なので、正の磁性体と負の磁性体の磁気熱量効果による温度変化の大きさは相違する。したがって、本実施形態のように、正か負のどちらか一方の磁性体を用いた場合には、全ての磁性体の磁気熱量効果による温度変化の大きさが同一になる。したがって、磁気冷暖房装置全体として安定した熱伝達特性が得られ熱輸送効率が向上する。また、正の磁性体の磁気熱量効果に比較して負の磁性体の磁気熱量効果の方が小さいので、熱輸送効率を考慮すると、正の磁性体を用いることが好ましい。さらに、負の磁性体の材料は正の磁性体の材料に比較して希少な材料を用いることになるので、コストの面でも正の磁性体を用いることが好ましい。
本実施形態では、磁性体10A−10F及び熱伝導部30A−30Gの形状を、扇を径方向に一定の幅で切り取ったような形状とした。しかし、これ以外の形状、例えば、球状、楕円体状、立方体状、円柱状、楕円柱状などの形状を採用しても良い。
熱輸送器50の各磁性体10A−10Fに選択的に磁気を印加し除去する磁気印加除去部20A−20Fは、図6、図7に示す回転部200A、200Bに形成する。
回転部200A、200Bはその中心部が開口し、その中心部にはベアリング210A、210Bを設けてある。また、回転部200A、200Bの外周部にはベアリング220A、220Bを設けてある。ベアリング210A、210B、ベアリング220A、220Bは、回転部200A、200Bを固定部100の上下面で回転自在に支持する。したがって、回転部200A、200Bは高温側熱交換部40Bを回転軸として図示矢印方向(図6参照)に回転する。
回転部200A、200Bの一方の面の外周にはリングギア230A、230Bを取り付ける。リングギア230A、230Bは、サーボモータ300A、300Bのギア310A、310Bに噛み合う。サーボモータ300Aが回転すると、ギア310Aと噛み合うリングギア230Aが自転して回転部200Aが回転する。また、サーボモータ300Bが回転すると、ギア310Aと噛み合うリングギア230Aが自転して回転部200Aが回転する。サーボモータ300Aと300Bを同期して回転させると、回転部200Aと200Bが一体となって回転する。
本実施形態では、サーボモータ300A、300Bを同期して回転させる。したがって、回転部200Aと200Bは高温側熱交換部40Bを中心に、固定部100を挟むようにして同一の回転速度で回転する。回転部200Aと200Bを同期させて回転するには、回転部200Aと200Bの基準位置とサーボモータ300A、300Bの回転位置を検出することが必要である。そのため、図7に示すように、回転部200Aと200Bの基準位置を検出するための基準位置検出センサ250A、250Bを設けてある。また、サーボモータ300Aと300Bの回転位置を検出するための回転位置検出センサをサーボモータ300Aと300Bに内蔵してある。
図6及び図7に示すように、回転部200Aの片面とその面に対向する回転部200Bの片面に、環状かつ放射状に永久磁石を配置する。回転部200Aと回転部200Bの永久磁石はN極とS極とが対峙するように極性を考慮して配置する。回転部200Aの片面に配置した永久磁石と回転部200Bの片面に配置した永久磁石は、常に対峙した状態となるように、回転部200Aと200Bは同期して回転させる。図7に示すように、回転部200Aの永久磁石20A、20C、20Eと回転部200Bの永久磁石20B、20D、20Fは、回転部200Aと200Bが回転中または停止中にかかわらず常に対峙した状態である。なお、本実施形態では、磁気印加除去部に永久磁石を用いたが、電磁石を用いても良い。電磁石を用いた場合には、回転部200A及び200Bの構造が複雑になる。回転した状態で、電磁石への給電ができるようにしなければならないからである。したがって、本実施形態では、永久磁石を用いている。
なお、図7に示すように、固定部100に回転部200Aと回転部200Bを取り付けた状態で、固定部100、回転部200A、回転部200Bで囲まれた内部空間は減圧または真空に近い環境にする。内部空間を減圧または真空に近い環境にすれば、各熱輸送器50は、真空内、または減圧下の環境内で設置されることになって、内部の空気への放熱が防止され、また、永久磁石が回転することによる空気抵抗が減少されるからである。
回転部200Aと200Bが回転すると、30度回転するごとに、固定部100の各熱輸送器50の磁性体は、1つおきに交互に磁気が印加または除去される。つまり、各熱輸器50において、図1Aのように磁性体10A、10C、10Eに磁気が印加される状態と図1Bのように磁性体10B、10D、10Fに磁気が印加される状態とが交互に起こる。このため、回転部200Aと200Bが30度回転するごとに、各熱輸器50の磁性体が発熱と吸熱を繰り返す。磁性体の単位時間当たりの発熱量は、回転部200Aと200Bの回転速度によって変化する。発熱量を大きくしたければ回転部200Aと200Bの回転速度を速くする。大きな発熱量が必要なければ200Aと200Bの回転速度を遅くする。
各熱輸送器50の磁性体が発熱しまた吸熱するときの熱を、低温側熱交換器40Aから高温側熱交換器40Bに伝達させ、要求される熱量が得られるようにするためには、200Aと200Bの回転速度を最適化しなければならない。200Aと200Bの回転速度の最適化を制御するものが、図8以降に示す制御系である。
図8は、本実施形態に係る磁気冷暖房装置の制御系のブロック図である。また、図9は、図8の空調情報入力部のさらに具体的な制御系のブロック図である。
図8に示すように、本実施形態に係る磁気冷暖房装置の制御系は、基準位置検出センサ250A、基準位置検出センサ250B、空調情報入力部260、サーボモータ300A、サーボモータ300B、サーボモータ制御部350、空調制御部400を有する。サーボモータ300A、サーボモータ300Bは、自身の回転位置を検出する回転位置検出センサ320A、320Bを備えている。
基準位置検出センサ250Aは回転部200A(図7参照)に設定した基準位置を検出する。基準位置は回転部200Aの外周に設ける。例えば、光を反射する反射体を回転部200Aの外周に取り付けた場合には、その反射体の取り付け位置が基準位置となる。この場合、基準位置検出センサ250Aには受発光素子を用い、反射体が受発光素子からの光を反射すると、基準位置が検出される。
基準位置検出センサ250Bは回転部200Bに設定した基準位置を検出する。その他は基準位置検出センサ250Aと同一である。
回転部200Aと回転部200Bに設ける基準位置は、回転部200Aと回転部200Bの永久磁石が固定部100を介して正しく向き合うように(図7に示すように)、正確な位置に設定する。したがって、回転部200Aと回転部200Bは、基準位置検出センサ250Aと基準位置検出センサ250Bが、基準位置を常に同時に検出するように、同一の速度で同期して回転する。
空調情報入力部260は空調に必要な情報を入力する。空調に必要な情報は、設定温度、低温側熱交換部入口温度、低温側熱交換部出口温度、高温側熱交換部入口温度、高温側熱交換部出口温度である。空調情報入力部260の具体的な説明については、後述の図9に基づいて行う。
サーボモータ300A、サーボモータ300Bは、熱輸送器50の各磁性体に選択的に磁気を印加し除去するため磁気印加除去部を駆動するモータである。具体的には、サーボモータ300Aは、図6に示したように永久磁石が配置してある回転部200Aを回転させる。また、サーボモータ300Bは、図6に示したように永久磁石が配置してある回転部200Bを回転させる。サーボモータ300A、サーボモータ300Bには、それぞれのサーボモータの回転位置を検出する回転位置検出センサ320A、320Bを設けてある。回転位置検出センサ320A、320Bで検出した回転位置は、サーボモータ300A、サーボモータ300Bの回転速度を同期させるために用いる。
サーボモータ制御部350は、回転位置検出センサ320A、320Bで検出した回転位置と、基準位置検出センサ250A、250Bで検出した基準位置を用いて、サーボモータ300A、300Bの回転を制御する。サーボモータ制御部350は、運転条件に応じてサーボモータ300A、300Bの回転速度を制御する。ここで、運転条件とは、熱輸送器50の要求熱量、低温側熱交換部40Aと高温側熱交換部との間の温度差である。
空調制御部400は、本実施形態に係る磁気冷暖房装置の動作を総括的に制御する。空調制御部400の具体的な説明については、後述の図9に基づいて行う。
図9に示すように、空調情報入力部260は、温度設定部262、低温側熱交換部入口温度センサ264、低温側熱交換部出口温度センサ266、高温側熱交換部入口温度センサ268、高温側熱交換部出口温度センサ270を有する。
温度設定部262は、磁気冷暖房装置が空調する車室内の温度を設定するコントローラである。低温側熱交換部入口温度センサ264は、図5に示した固定部100の低温側熱交換部40Aに供給される冷媒の温度を検出する。低温側熱交換部入口温度センサ264は、低温側熱交換部40Aの冷媒入口部分に設ける。
低温側熱交換部出口温度センサ266は、図5に示した固定部100の低温側熱交換部40Aから排出される冷媒の温度を検出する。低温側熱交換部出口温度センサ266は、低温側熱交換部40Aの冷媒出口部分に設ける。高温側熱交換部入口温度センサ268は、図5または図7に示した高温側熱交換部40Bに供給される冷媒の温度を検出する。高温側熱交換部入口温度センサ268は、高温側熱交換部40Bの冷媒入口部分に設ける。高温側熱交換部出口温度センサ270は、高温側熱交換部40Bから排出される冷媒の温度を検出する。高温側熱交換部出口温度センサ270は、高温側熱交換部40Bの冷媒出口部分に設ける。
温度設定部262、低温側熱交換部入口温度センサ264、低温側熱交換部出口温度センサ266、高温側熱交換部入口温度センサ268、高温側熱交換部出口温度センサ270を設けるのは、固定部100でどの程度の熱量を低温側熱交換部40Aから高温側熱交換部40Bに移動させなければならないかを知るためである。移動させなければならない熱量がわかれば、サーボモータ300A、300Bの回転速度を調整することができる。
空調制御部400は、設定温度、低温側熱交換部入口温度、低温側熱交換部出口温度、高温側熱交換部入口温度、高温側熱交換部出口温度を用いて、サーボモータ300A、300Bの回転速度を調整する。
次に、本実施形態に係る磁気冷暖房装置の動作を、図10のフローチャートに基づいて詳細に説明する。図10は、本実施形態に係る磁気冷暖房装置の動作フローチャートである。
(磁気冷暖房装置の動作)
まず、操作者は、温度設定部262から車室内の設定温度を入力する。設定温度が入力されると、空調制御部400は、要求熱量と要求温度差を入力する(S1)。空調制御部400は、車室内の空間容量、現在の車室内の温度、車室内の設定温度を参照して、車室内を設定温度にするために必要な要求熱量を求める。また、低温側熱交換部40Aと高温側熱交換部40Bとの温度差を求める。この求めた値を、要求熱量、要求温度差として入力する。
次に、空調制御部400は、入力した要求熱量と要求温度差をあらかじめ記憶しているマップと照合して磁気印加周波数fを取得する(S2)。
空調制御部400は磁気冷暖房装置を運転する(S3)。つまり、空調制御部400は、求めた磁気印加周波数fを実現するために、サーボモータ制御部350に回転数の指示を出す。磁気印加周波数は、1つの磁性体に対して1秒間に何回磁気の印加除去をするかを示すものである。例えば、磁気印加周波数fが6Hzであったとすると、図5から図7に示す構成の磁気冷暖房装置の場合、回転部200A、200Bが1秒間に1回転すると6回磁気の印加除去が行われるので、回転部200A、200Bに要求される回転数は60rpmである。サーボモータ制御部350には、回転部200A、200Bが60rpmで回転するために必要なサーボモータ300A、300Bの回転数を指示する。
次に、空調制御部400は、空調動作を終了する指示が成されたか否かを判断する(S4)。空調動作の終了が指示されなければ(S4:NO)、ステップS3に戻り、空調動作の終了が指示されると(S4:YES)、処理を終了する。
以上のように、本実施形態に係る磁気冷暖房装置では、永久磁石が配置されている回転体200A、200Bを回転させるだけで、低温側熱交換器から高温側熱交換器に向けて熱を移動させることができる。
本実施形態に係る磁気冷暖房装置では、以下のような効果を得ることができる。
各熱伝導部30A−30Gは、磁気印加除去部20A−20Fが各磁性体10A−10Fに印加し除去する磁気を利用して伸縮するので、磁性体10A−10F、低温側熱交換部40A、高温側熱交換部40Bに対して摺動させずに熱を輸送させることができる。このため、各熱伝導部30A−30Gに摺動の耐久性を持たせる必要がなく、各熱伝導部30A−30Gの信頼性が向上する。また、摩擦による機械的な損失をなくすことができる。
また、各熱伝導部30A−30Gは各磁性体10A−10Fとの並び方向にのみ熱を輸送できるので、熱の輸送に際して熱的な損失が小さくできる。各熱伝導部30A−30Gは磁気印加除去部20A−20Fの磁気を利用して伸縮するので、熱伝導を制御する専用の装置を設ける必要がなく、磁気冷暖房装置の構成を簡素化できる。
さらに、各熱伝導部30A−30Gは、伸縮に応じて、磁性体間10B−10E、磁性体10Aと低温側熱交換部40Aとの間、磁性体10Fと高温側熱交換部40Bとの間を、全ての接触面を使って接続するので、熱輸送能力及び熱輸送効率を向上させることができる。
各熱伝導部30A―30Gは、磁気印加除去部20A−20Fが各磁性体10A−10Fに磁気を印加し除去するタイミングと同期して伸縮するので、低温側熱交換部40Aから高温側熱交換部40Bに熱を効率的に輸送させることができる。
各熱伝導部30A―30Gは、伸縮が容易で伸縮の周波数応答性が良好な柔軟性材料34A、34Bと磁気印加除去部20A−20Fの磁気を受けて吸引力と反発力を生じる磁性材料32A、32Bとで構成した。このため、磁気印加除去部20A−20Fの動きに応答して磁性体間の熱伝導が行われ、低温側熱交換部40Aから高温側熱交換部40Bに熱を効率的に輸送させることができる。
熱輸送器50の要求熱量、低温側熱交換部40Aと高温側熱交換部40Bとの間の温度差の少なくともいずれかの運転条件に応じてサーボモータ300A、300Bの回転速度を制御している。このため、磁気冷暖房装置の要求熱力に応じた最適な回転数でサーボモータ300A、300Bを回転させることができ、運転条件に適合させて、最大限の効率で低温側熱交換部40Aから高温側熱交換部40Bに熱を輸送させることができる。
真空内、または減圧下の環境内に熱輸送器50を設置すると、熱輸送器50を構成する磁性体10A−10Fと熱伝導部30A−30Gの断熱性を向上させることができる。そのため、低温側熱交換部40Aから高温側熱交換部40Bに効率的に熱を輸送させることができ磁気冷暖房装置の高出力化及びコンパクト化を達成することができる。
10A−10F 磁性体、
20A−20F 永久磁石、
30A−30G 熱伝導部、
40A 低温側熱交換部、
40B 高温側熱交換部、
50 熱輸送器、
32A、32B 磁性材料、
34A、34B 柔軟性材料、
100 固定部、
200A、200B 回転部(磁気印加除去部)、
300A、300B サーボモータ(モータ)、
250A、250B 基準位置検出センサ。

Claims (7)

  1. 磁気熱量効果を有する磁性体と当該磁性体の熱を輸送する熱伝導部とを交互に配置する熱輸送器と、
    前記熱輸送器の一端に前記熱伝導部を介して配置する低温側熱交換部と、
    前記熱輸送器の他端に前記熱伝導部を介して配置する高温側熱交換部と、
    前記熱輸送器の各磁性体に選択的に磁気を印加し除去する磁気印加除去部と、を有し、
    各熱伝導部は、前記磁気印加除去部が各磁性体に印加し除去する磁気を利用して前記各磁性体との並び方向に伸縮し、各磁性体との熱伝導を断続することを特徴とする磁気冷暖房装置。
  2. 前記各熱伝導部は、前記磁気印加除去部が各磁性体に印加し除去する磁気から生じる吸引力と反発力とによって前記各磁性体との並び方向に伸縮することを特徴とする請求項1に記載の磁気冷暖房装置。
  3. 前記各熱伝導部は、前記磁気印加除去部が各磁性体に磁気を印加し除去するタイミングと同期して伸縮することを特徴とする請求項1または2に記載の磁気冷暖房装置。
  4. 前記各熱伝導部は、伸縮が容易で伸縮の周波数応答性が良好な柔軟性材料と前記磁気印加除去部の磁気を受けて吸引力と反発力を生じる磁性材料とで構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の磁気冷暖房装置。
  5. 前記熱輸送器の各磁性体に選択的に磁気を印加し除去するため前記磁気印加除去部を駆動するモータと、
    運転条件に応じて前記モータの回転速度を制御するモータ制御部と、
    を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の磁気冷暖房装置。
  6. 前記運転条件は、前記熱輸送器の要求熱量、前記低温側熱交換部と前記高温側熱交換部との間の温度差の少なくともいずれかであることを特徴とする請求項5に記載の磁気冷暖房装置。
  7. 少なくとも前記熱輸送器は、真空内、または減圧下の環境内設置されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の磁気冷暖房装置。
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