JP5633420B2 - 電線保持構造 - Google Patents

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本発明は、電線保持構造に関する。
従来の電線保持構造が特許文献1に開示されている。このものは、電線を挿入可能な電線挿入孔が貫通して形成されたゴム製の電線保持具(同文献中、樹脂成型部と呼称)と、電線保持具を挿入可能な取付溝が開口して形成された金属製のブラケット(同文献中、金具と呼称)とを備えている。電線保持具が取付溝内に挿入されると、電線保持具の外周面が取付溝の溝面に弾性的に密着させられ、電線保持具がその弾性復元力によって取付溝内に保持されるようになっている。
特開2009−166702号公報
ところで、上記従来の電線保持構造によれば、電線保持具を取付溝内に挿入する際の作業負担を軽減するべく、電線保持具が比較的撓み変形し易い構造になっていた。しかし、そのような構造では、電線保持具が取付溝の溝面にしっかり保持されない懸念があった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、電線保持具の保持力を高めることを目的とする。
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、電線を挿入可能な電線挿入孔が貫通して形成されるゴム製の電線保持具と、一端に取付溝が開口して形成され、前記取付溝内に前記電線保持具を挿入可能とされるブラケットとを備えた電線保持構造であって、前記ブラケットにおける前記取付溝の溝面には、拡開強制部が形成され、前記電線保持具には、前記取付溝内において前記拡開強制部に当接して強制的に拡開させられることにより、前記取付溝の溝面に係止される拡開変形部が形成されているところに特徴を有する。
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記拡開強制部が前記取付溝の溝面に一体に形成され、前記電線保持具が前記取付溝内に挿入される過程で、前記拡開変形部が前記拡開強制部に当接するところに特徴を有する。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載のものにおいて、前記ブラケットにおける前記取付溝の溝面には、この溝面に係止された前記拡開変形部が嵌合される係止凹部が形成されているところに特徴を有する。
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のものにおいて、前記拡開強制部が、前記取付溝の溝奥に突出して形成され、前記拡開変形部が、前記取付溝に対する前記電線保持具の挿入方向前端部において二股に分かれて形成されているところに特徴を有する。
<請求項1の発明>
電線保持具がブラケットの取付溝内に挿入されると、拡開変形部が拡開強制部と当接して強制的に拡開させられ、これによって拡開変形部が取付溝の溝面に係止されるため、ブラケットに対する電線保持具の保持力を高く確保できる。
<請求項2の発明>
拡開強制部が取付溝の溝面に一体に形成され、電線保持具が取付溝内に挿入される過程で、拡開変形部が拡開強制部に当接するため、別体の拡開強制部が取付溝の溝面に後付けされるよりも、作業負担が軽減されるとともに、部品点数が削減される。
<請求項3の発明>
拡開変形部が係止凹部に嵌合係止されるため、電線保持具の保持力がより高められる。
<請求項4の発明>
拡開強制部が取付溝の溝奥に突出して形成され、拡開変形部が取付溝に対する電線保持具の挿入方向前端部において二股に分かれて形成されているため、全体の構成を比較的簡素にできる。
本発明の実施形態1に係る電線保持構造において、ブラケットの取付溝内に電線保持具が挿入される前の状態をあらわす正面図である。 電線保持具の断面図である。 ブラケットの取付溝内に挿入された電線保持具の断面図である。 参考例1に係る電線保持構造において、ブラケットの取付溝内に電線保持具が挿入される前の状態をあらわす正面図である。 ブラケットの側面図である。 電線保持具の平面図である。 ブラケットの取付溝内に挿入された電線保持具の断面図である。 参考例2に係る電線保持構造の正面図である。
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図3によって説明する。実施形態1に係る電線保持構造10は、自動車に装備されたABS(アンチロックブレーキシステム)の車輪速センサから延びる電線80を保持するための構造を例示するものであって、電線保持具20とブラケット40とを備えている。
ブラケット40は金属製の板材であって、図1に示すように、その上縁に取付溝41が開口して形成されている。ブラケット40の取付溝41内には上方から電線保持具20が挿入される。取付溝41の開口側の幅方向両側縁には、一対の係止部42が内向きに突出して形成されている。取付溝41の開口側の幅寸法は、両係止部42によって奥側の幅寸法よりも小さくされている。両係止部42の上面は、電線保持具20の挿入方向となる下向きに傾斜する案内面43とされ、両係止部42の下面は、ほぼ水平(電線保持具20の挿入方向と直交する方向)に沿った係止面44とされている。
ブラケット40における取付溝41の下面(奥面)には、拡開強制部45が一体に形成されている。拡開強制部45は、略三角形状をなし、取付溝41の下面の幅方向中央部から上方(開口側)へ向けて突出する形態とされている。
また、ブラケット40における取付溝41の下面には、拡開強制部45を挟んだ両側に、幅方向両端へ向けて上り勾配となる左右一対の第1斜面46が形成されている。そして、ブラケット40における取付溝41の両側面には、取付溝41の下端部から下方へ向けて取付溝41の溝幅を広げるように拡開する左右一対の第2斜面47が形成されている。両第2斜面47の下端は両第1斜面46の上端に連なり、両第1斜面46の下端は拡開強制部45の下端に連なっている。
そして、ブラケット40における取付溝41の奥側の溝面には、第1、第2斜面46、47によって区画されてなる左右一対の係止凹部48が凹み形成されている。両係止凹部48は、電線保持具20に形成された拡開変形部25(後述する)が拡開されたときに、この拡開変形部25が嵌合するような拡開状に形成されている。
続いて電線保持具20について説明すると、電線保持具20はゴム製であって、前後両面がほぼ平坦な扁平ブロック状をなしている。電線保持具20の略中央部には、電線80を挿入可能な小円形の電線挿入孔21が前後に貫通して形成されている。電線80は電線挿入孔21内に弾性的に保持されるようになっている。
電線保持具20の前後方向中央部(厚み方向中央部)には、ブラケット40の取付溝41内に挿入される挿入本体部22が形成されている。挿入本体部22は、ブラケット40と対応する厚みをもった板状をなし、図2に示すように、その上端両角部に、左右一対の被係止部23が凹み形成されている。両被係止部23は、断面矩形状をなし、電線保持具20の上端に開口するとともに、電線保持具20の側縁に開口する形態とされている。
また、電線保持具20の下端部(取付溝41に対する電線保持具20の挿入方向前端部)には、その幅方向中央部に、高さ方向(取付溝41内への電線保持具20の挿入方向)に延びて下端に開口するスリット24が形成され、かつスリット24を挟んだ両側に、左右一対の拡開変形部25が二股に分かれて形成されている。両拡開変形部25は、スリット24の開口幅を広げる向きに拡開変形可能とされている。両拡開変形部25が自然状態にあるときに、電線保持具20のスリット24は、下端に向けて極僅かに拡幅する形態とされ、その下端の開口幅が拡開強制部45の裾幅よりも小さくされている。なお、電線保持具20及び取付溝41は、いずれも幅方向中央を挟んで左右対称な形状とされている。
次に、ブラケット40に電線保持具20を装着する際の動作を具体的に説明する。
図1に示すように、ブラケット40の取付溝41の上方に電線保持具20を正対して配置する。その状態で電線保持具20を引き下げて取付溝41内に挿入する。挿入の過程では、挿入本体部22の両側面が両係止部42の案内面43を摺動して弾性的に撓み変形させられる。挿入の終盤段階では、電線保持具20のスリット24に下方から拡開強制部45が進入して、スリット24が拡幅させられる。同時に、両拡開変形部25が拡開強制部45の両側外縁を摺動しつつ幅方向両側へ強制的に拡開させられ、図3に示すように、両拡開変形部25の先端角部が両係止凹部48内に嵌合される。こうして電線保持具20が取付溝41内に正規挿入されると、両係止凹部48の第2斜面47が両拡開変形部25の両側外面に斜め上方から当接可能に配置される。また、電線保持具20が取付溝41内に正規挿入されると、電線保持具20の両被係止部23内にブラケット40の両係止部42が弾性的に嵌合され、両係止部42の係止面44が両被係止部23の内下面に上方から当接可能に配置される。これらによって電線保持具20が取付溝41内から抜け出るのが確実に防止される。なお、電線保持具20がブラケット40の取付溝41内に正規挿入された状態では、挿入本体部22の略全体が取付溝41内にほぼ密嵌されるようになっている。
以上説明したように、本実施形態によれば、電線保持具20が取付溝41内に挿入されると、電線保持具20の拡開変形部25がブラケット40の拡開強制部45と当接して強制的に拡開させられ、これによって拡開変形部25が取付溝41の溝面に係止されるため、ブラケット40に対する電線保持具20の保持力を高く確保できる。
また、拡開強制部45が取付溝41の溝面に一体に形成され、電線保持具20が取付溝41内に挿入される過程で、拡開変形部25が拡開強制部45に当接するため、別体の拡開強制部45が取付溝41の溝面に後付けされるよりも、作業負担が軽減されるとともに、部品点数が削減される。
さらに、拡開変形部25が係止凹部48に嵌合係止されるため、電線保持具20の保持力がより高められる。しかも、拡開強制部45が取付溝41の溝奥に突出して形成され、拡開変形部25が取付溝41に対する電線保持具20の挿入方向前端部において二股に分かれて形成されているため、全体の構成を比較的簡素にできる。
<参考例1>
以下、参考例1を図4ないし図7によって説明する。参考例1に係る電線保持構造10Aは、実施形態1と同様、電線保持具20Aとブラケット40Aとを備えている。
ブラケット40Aは金属製の板材であって、図4に示すように、その上縁に取付溝41Aが開口して形成されている。取付溝41Aは、断面略U字状をなし、その内部に電線保持具20Aを挿入可能とされている。また、ブラケット40Aの上端部には、取付溝41Aを挟んだ幅方向両側に、片持ち梁状の一対の係止片51が撓み可能に突出して形成されている。両係止片51は、一端が取付溝41Aの両側縁に開口する略L字形のスリット52の内側に配置された板片部分を、ブラケット40Aの板厚方向へ鋭角(斜め下向き)に切り起こしてなる板バネとして構成される。ここでは、図5に示すように、両係止片51は、互いに逆方向に切り起こされ、ブラケット40Aの表裏両側に突出する形態とされている。
電線保持具20Aはゴム製であって、前後両面がほぼ平坦な扁平ブロック状をなしている。電線保持具20Aの略中央部には、図4に示すように、電線80を挿入可能な小円形の電線挿入孔21Aが前後に貫通して形成されている。電線80は電線挿入孔21A内に弾性的に保持されるようになっている。
そして、電線保持具20Aは、ブラケット40Aの取付溝41A内に挿入される挿入本体部22Aと、挿入本体部22Aを挟んだ前後両側に一体に連なる一対の対向板部26とを備えている。挿入本体部22Aは、断面略U字形をなし、取付溝41A内に挿入されてその外周縁が取付溝41Aの溝面に密着させられる。両対向板部26は、挿入本体部22Aよりも一回り大きい断面略U字形をなし、取付溝41Aの前後開口を覆うように取付溝41Aの開口縁部に沿って配置される。
両対向板部26の内面(対向面)には、両係止片51と対応する位置に、それぞれ係止受け部27が凹み形成されている。図6に示すように、両係止受け部27は、両対向板部26の内面及び取付溝41Aに開口する有底の角孔であって、図6に示すように、電線保持具20Aの軸芯を中心とする略点対称の位置に配置されている。
電線保持具20Aがブラケット40Aの取付溝41A内に挿入される過程では、両係止片51が両対向板部26の内面を摺動して撓み変形させられる。その後、電線保持具20Aが取付溝41A内に正規挿入されると、図7に示すように、両係止片51が両係止受け部27と対応する位置に至り、両係止片51が弾性的に復帰して両係止受け部27に嵌り込む。すると、両係止片51の先端が両係止受け部27の内下面に上方から当接可能に配置される。このため、電線保持具20Aが取付溝41Aから抜け出るのが防止される。なお、上記とは逆に、係止片51を電線保持具20Aに形成し、係止受け部27をブラケット40Aに形成することも可能である。
このように参考例1によれば、ブラケット40Aと電線保持具20Aのいずれか一方に、一対の係止片51が撓み可能に突出して形成され、他方に、一対の係止受け部27が凹み形成され、電線保持具20Aがブラケット40Aの取付溝41A内に挿入される過程では係止片51が他方と当接して撓み変形させられ、電線保持具20Aが取付溝41A内に正規挿入された状態では、係止片51が弾性的に復帰して係止受け部27内に嵌ってこれを係止する構成となっている。このため、電線保持具20Aがブラケット40Aの取付溝41A内に挿入される過程では、係止片51の撓み動作によって電線保持具20Aの挿入力を低減できる。一方、電線保持具20Aが取付溝41A内に正規挿入された状態では、係止片51が係止受け部27を弾性的に係止することで電線保持具20Aの保持力を高く確保することができる。
<参考例2>
以下、参考例2を図8によって説明する。参考例に係る電線保持構造10Bも、実施形態1と同様、電線保持具20Bとブラケット40Bとを備えている。
ブラケット40Bは金属製であって、その側縁に取付溝41Bが開口して形成されている。取付溝41Bは、略L字形に屈曲して延びる形態とされ、ブラケット40Bの側縁から略水平に延びる第1挿入路55と、第1挿入路55の延出端から略垂直に延びる第2挿入路56とを有している。取付溝41Bの両側内面には、第1挿入路55の入り口に、一対の第1掛止部57が内向きに突出して形成され、さらに第1、第2挿入路55、56の間に、一対の第2掛止部58が内向きに突出して形成されている。第2挿入路56は、両第2掛止部58で区画されることによって挿入本体部22Bの外周に沿った断面円弧状に形成されている。
電線保持具20Bはゴム製であって、その中心に電線80を挿入可能な電線挿入孔21Bが貫通して形成されている。そして、電線保持具20Bは、挿入本体部22Bと、挿入本体部22Bを挟んだ前後両側に一体に連なる一対の対向板部26Bとを備えている。挿入本体部22Bは、円板状をなし、取付溝41B内に挿入されてその外周縁が取付溝41Bの溝面に密着させられる。両対向板部26Bは、挿入本体部22Bよりも一回り大きい円板状をなし、取付溝41Bの前後開口を覆うように取付溝41Bの開口部に沿って配置される。なお、参考例2の場合、既存の電線保持具20Bを流用可能である。
ここで、電線保持具20Bは、両第1掛止部57を弾性的に乗り越えつつ略水平に移動させられて取付溝41Bの第1挿入路55の内奥にいったん収容される。次いで、電線保持具20Bは、両第2掛止部58を弾性的に乗り越えつつ略垂直に移動させられて取付溝41Bの第2挿入路56の内奥に収容される。第2挿入路56内に収容された電線保持具20Bは両第2掛止部58に掛け止められ、これによって電線保持具20Bの第1挿入路55側への戻り移動が規制される。参考例2によれば、電線保持具20Bを取付溝41B内から抜出させる場合に、電線保持具20Bの移動方向を途中で略直角に変更させねばならない。このため、電線保持具20Bが取付溝41B内から容易に抜け出るのが防止される。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)実施形態1では、ブラケットとは別体の拡開強制部が取付溝の溝面に後付けで装着されるものであってもよい。
(2)実施形態1では、係止部及び被係止部を省略することも可能である。係止部、被係止部を省略すれば、電線保持具が取付溝内に挿入される際にその挿入抵抗を小さく抑えることができる。
(3)実施形態1では、係止凹部を省略することも可能である。係止凹部を省略する場合、拡開変形部が拡開強制部で強制的に拡開されると、拡開変形部の先端部が取付溝の溝面に緊密に押し当てられ、その摩擦抵抗によって電線保持具の保持力が確保される。
(4)本発明は、電線を保持する電線保持構造に広く適用可能であり、例えば、自動車におけるスライドドア等の可動部に接続される電線を保持する際にも好適に用いることができる。
10…電線保持構造
20…電線保持具
21…電線挿入孔
25…拡開変形部
40…ブラケット
41…取付溝
45…拡開強制部
48…係止凹部
80…電線

Claims (4)

  1. 電線を挿入可能な電線挿入孔が貫通して形成されるゴム製の電線保持具と、
    一端に取付溝が開口して形成され、前記取付溝内に前記電線保持具を挿入可能とされるブラケットとを備えた電線保持構造であって、
    前記ブラケットにおける前記取付溝の溝面には、拡開強制部が形成され、
    前記電線保持具には、前記取付溝内において前記拡開強制部に当接して強制的に拡開させられることにより、前記取付溝の溝面に係止される拡開変形部が形成されていることを特徴とする電線保持構造。
  2. 前記拡開強制部が前記取付溝の溝面に一体に形成され、前記電線保持具が前記取付溝内に挿入される過程で、前記拡開変形部が前記拡開強制部に当接することを特徴とする請求項1記載の電線保持構造。
  3. 前記ブラケットにおける前記取付溝の溝面には、この溝面に係止された前記拡開変形部が嵌合される係止凹部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の電線保持構造。
  4. 前記拡開強制部が、前記取付溝の溝奥に突出して形成され、前記拡開変形部が、前記取付溝に対する前記電線保持具の挿入方向前端部において二股に分かれて形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載の電線保持構造。
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