JP5630607B2 - インクジェット捺染装置及びインクジェット捺染による捺染物の製造方法 - Google Patents
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Description
従来の捺染は、スクリーンや彫刻ロールを使用した製版を必要とする「スクリーン捺染」や「ローラー捺染」が主流であった。そして、印捺された被捺染材である布に溶融塊を発生させることなく、生地本体表面を平滑にして図柄等を描出させる技術として、下記の特許文献1に示すようなレーザー光線を使用した「布帛表面仕上法」という技術が開発されている。
この「インクジェット捺染方法」では、熱プレス機やアイロン等からなる加熱圧着手段を使用して被捺染材を加熱圧着させることで、生地本体表面に印捺された染料インクを蒸熱染着するようにしている。
また、「インクだま」は、生地本体表面から立ち上がっている毛羽に付いているため、本来インクが付着すべき染着位置である生地本体表面の位置より上方に位置することになる。そのため、前記「インクだま」の存在によって捺染物の品質を低下する問題がある。
上記した問題は、染料インクよりも色材粒子の大きな顔料インクにおいて顕著に現れる傾向が見られる。
前記毛羽を有する被捺染材に対する捺染においては、印捺された図柄や画像等が鮮明に捺染されているだけでなく、被捺染材の素材の持つ肌触りや風合といった感覚がそのまま維持されていることが捺染物の品質を評価する上で重要になってくる。
そして、このような種々の状態で供給される毛羽に対して付着する「インクだま」の付着部位は、毛羽の先端だけでなく、毛羽同士が交わっている部位や毛羽の根元等、多岐に及んでいる。
従って、このように一様でない毛羽の状態や多岐に及んでいる「インクだま」の付着部位の存在は、当該「インクだま」の除去を困難にしている大きな要因になる。
また、本発明のインクジェット捺染装置の他の態様は、搬送装置によって搬送される被捺染材の捺染側の面に向けてインク(ただし、インクが顔料インクの場合を除く)を吐出して所望の捺染を実行する捺染ヘッドを備えた捺染実行部と、前記捺染実行部の前記搬送方向における下流側に設けられ、前記被捺染材に印捺されたインクを固化させて定着するインク定着部と、生地本体表面の毛羽に接触して当該毛羽に付着しているインクを除去するインク除き部材を備えたインク除去装置と、前記インク除去装置による前記インクの除去に先立って、前記毛羽を立毛状態にする立毛作用部と、を備え、前記立毛作用部は前記捺染実行部の上流側に設けられていることを特徴とするものである。
さらに、本発明の第1の態様に係るインクジェット捺染装置は、搬送装置によって搬送される被捺染材の捺染側の面に向けてインクを吐出して所望の捺染を実行する捺染ヘッドを備えた捺染実行部と、前記捺染実行部の前記搬送方向における下流側に設けられ、前記被捺染材に印捺されたインクを固化させて定着するインク定着部と、生地本体表面の毛羽に接触して当該毛羽に付着しているインクを除去するインク除き部材を備えたインク除去装置と、前記インク除去装置による前記インクの除去に先立って、前記毛羽を立毛状態にする立毛作用部と、を備えていることを特徴とするものである。
また、「衣服その他の服飾製品」には、縫製後のTシャツ、ハンカチ、スカーフ、タオル、手提げ袋、布製のバッグ、カーテン、シーツ、ベッドカバー等のファニチャーの類の等の他、縫製前の状態のパーツとして存在する裁断前後の布地等も含まれる。
「毛羽」には、前記生地本体表面に起毛によって増やされた毛羽の他、前記織り加工等によって自然に発生する毛羽が含まれる。
すなわち、前記インク除き部材を毛羽に接触する際に、該毛羽を押し潰すような強い圧接力を作用させずに接触させることで、当該毛羽はインク除き部材との接触時に一時的に傾倒しても、直ぐに復元して当初の立毛状態に戻ることができる。その状態でインク硬化部によって被捺染材に印捺されたインクを硬化することによって、当該毛羽の立毛状態は最終的な捺染物においても維持される。
尚、「毛羽の立毛状態を維持した状態で除去する」とは、立毛状態の毛羽を押し潰す作用を及ぼさずに捺染する意味で使われており、捺染工程で自重等によって毛羽が自然に傾いて立毛姿勢が崩れる程度は「毛羽の立毛状態を維持した状態」に含まれる。
従って、毛羽の立毛状態を維持したまま当該毛羽に付着したインクを当該インク除き部材で除去する動作を行うことによって、毛羽を有する被捺染材の素材の持つ肌触りや風合を維持したまま、耐擦性低下による色移りの問題の発生を低減することができる。
また、前記毛羽に付着したインクだまの除去は、前記毛羽を立毛状態にした後に行われるため、インクだまの除去が容易になり、捺染実行品質が向上する。
すなわち、新たな装置等を付加することなく少ない部品点数で安価に毛羽を立毛状態にすることができるようになって、捺染品質の向上を図ることができる。また、凸曲面部を複数設けた場合には、被捺染材に無理をかけることなく毛羽を段階的に立毛状態にしたり、複数の個所で毛羽の立毛状態を形成することが可能になる。
ここで、「被捺染材の捺染側の面が下向きになる経路」とは、該捺染側の面が真下を向く水平反転搬送経路と、斜め下方を向く傾斜反転搬送経路の両方を含む意味で使われている。
また、前記除かれたインクは、インク除き部材を伝って下方に流れ落ちることができるため、当該インクの回収が容易になり、インク除き部材のインク除去作用面におけるインクの残留やインクの固着等が防止される。
毛羽の量が少なめの被捺染材においては、吐出されたインクは毛羽にその進行を邪魔されることが少なくなって殆んどのインクは生地本体表面に到達するようになることが期待できる。従って、捺染品質を向上できると共に、毛羽に付着してできるインクだまの数が少なくなり、インク除き部材によるインク除去の負荷も小さくなり、インク除去効果が一段と向上する。
尚、以下の説明では、最初に図1に基づいて本発明のインクジェット捺染装置1の全体構成の概略について説明し、次いで本発明の特徴的構成であるインク除去装置2と立毛作用部5の構成と作動態様について前述した実施例1〜9の9つの実施例を例にとって順番に説明して行く。
図示のインクジェット捺染装置1は、ロール状に巻かれた長尺な布地等の被捺染材Tに対応した構成になっており、搬送方向Aの上流位置に繰出しローラー4を備えた繰出し機構部3、搬送方向Aの下流位置に巻取りローラー14を備えた巻取り機構部13が設けられている。
そして、その下流位置には、前記しわ取りが実行された被捺染材Tを、該被捺染材Tの捺染領域17及び印捺されたインクCの乾燥領域19に向けて搬送する搬送ベルト8を備えた搬送装置7が配設されている。
また、前記印捺されたインクCの乾燥領域19には、被捺染材Tの生地本体25の表面26に付着したインクCを乾燥させて定着させるインク定着部11を成すアフターヒーター12が配設されている。
尚、前記インクだまDは、図4及び図13に示すように生地本体25の表面26に達する前に該表面26から伸びている毛羽27の毛先部等に付着したインクCが「だま」になった部分であり、捺染後の「色移り」の要因になっている。
本発明に係るインクジェット捺染による捺染物の製造方法は、被捺染材Tの捺染領域17に供給された被捺染材Tの捺染側の面に向けて顔料インクCを吐出して所望の捺染を実行する捺染実行工程を有する。このように、捺染後のインクCの定着力が強く、色落ちの少ない顔料インクCを使用することによって捺染された画像等の鮮明さが長期に亘って持続される。
顔料インクCは、染料インクに比べてインクだまDになり易い性質を有しているが、本発明では当該インク除去工程を有することによって当該インクだまDは固化前の段階で除去される。
顔料インクCは乾燥されることで捺染強度が増す。そして、毛羽27に付着していたインクだまDは既に前工程で取り除かれているので、捺染実行品質及び手触り風合の良い捺染物が効率良く製造される。
実施例1に係るインクジェット捺染装置1Aでは、前記被捺染材Tの捺染領域17の下流位置に立毛作用部5Aが設けられており、該立毛作用部5の下流位置にインク除去装置2Aが設けられている。
このうちインク除去装置2Aは、被捺染材Tの生地本体25の表面26の毛羽27に接触して当該毛羽27に付着しているインクだまDを除去するインク除き部材31Aを被捺染材Tの捺染側の面に作用するように設けることによって基本的に構成されている。
インク除去装置2Aを備えるインクジェット捺染装置1において、搬送装置7、捺染実行部9、立毛作用部5A、インク除去装置2A及びインク定着部11の動作を制御する制御部5を備えている。そして、前記制御部5は、被捺染材Tが生地本体表面26に毛羽27を有するものである場合に、該インク除去装置2Aによるインク除去の動作を「実行する」「実行しない」のいずれかを選択可能に構成されている。
先ず捺染実行部9において被捺染材Tに捺染が実行される(ステップS1)。続いて被捺染材Tが毛羽27を有するものであるか否か決定される(ステップS2)。この決定は、制御部5の図示しない情報入力部にユーザーが入力した被捺染材Tに関する情報に基づいて行われる。
従って、被捺染材Tが毛羽27を有するものか否かはユーザーの主観で決定できるようになっており、客観的には毛羽27がある被捺染材Tであっても、例えばユーザーがその毛羽27による前記肌触りや風合を維持する捺染を必要としない、或いは耐擦性を高く求めない場合は、「毛羽なし(No)」としてその後のフローを進めることができるようになっている。
次いで、毛羽27に付着したインクに対して、インク除去の動作を「実行する」「実行しない」のいずれかが選択されるようになっている(ステップS5)。これも、制御部5の前記情報入力部にユーザーが入力した選択情報に基づいて行われる。
一方、ステップS5でインク除去の動作を「実行しない」が選択されたときは、インク除去装置2Aによるインク除去が実行されずに(ステップS8)、インク定着部11によるインク定着処理(ステップS7)に進む。
また、本実施例では、前記インク除き部材31Aは、ブレード様の形状をしたワイパー55によって構成されている。該ワイパー55の下方には、被捺染材Tと前記搬送ベルト8とを挟んで、インクだまDを除去する際の被捺染材Tの下方への撓みを防止する支持部材53の一例である支持ローラ53Aが配置されている。
そして、前記ワイパー55は、被捺染材Tの生地本体25の表面26に非接触で、前記毛羽27のインクだまDの付着部位に接触するように設けられている。
尚、前記生地本体25は、生地の性状から多少のうねりを有し、表面26には必然的に小さい凹凸が存在する。従って、前述した「非接触」の語には、駆動ローラー35が前記表面26に完全に接触していない状態の他、被捺染材Tの搬送抵抗とならない範囲で僅かに接触しているような状態も含まれている。
また、このようなワイパー55の材料としては、硬質、軟質の合成樹脂、合成樹脂発泡体、ゴム、金属、木材等やこれらの複合材料が適用でき、更に、当該ワイパー55の周囲に吸インク性を有するフェルトやその他の布地等を貼設したものであってもよい。
一方、立毛作用部5Aは、前記インク除去装置2によるインクだまDの除去に先立って、倒れていたり、絡み合っている毛羽27を立毛状態にする立毛処理を実行する装置である。
そして、本実施例の立毛作用部5Aは、被捺染材Tに静電気を帯電させることによって前記毛羽27を電気的に立毛状態にする帯電装置41採用されている。
また、上記帯電装置41にも一例としてステンレス製の電極42が設けられており、この電極42と前記電極板43は、共にアースGND(0V)に接続されている。
次に、前記印捺された被捺染材Tは、立毛作用部5Aの帯電装置41が設けられている立毛処理領域78に送られ、帯電装置41から放電される静電気を帯びる。そして、倒れていたり、絡み合っていた毛羽27は、前記静電気の作用によって、毛羽27に触れることなく立毛状態に移行する。
更に、インクだまDが除去された被捺染材Tは、下流の乾燥領域19に送られてアフターヒーター12によって捺染されたインクCの硬化定着が実行される。
また、立毛作用部5Aによって、印捺後の被捺染材Tに触れることなく前記毛羽27の立毛処理が実行できるため、捺染されたインクCに触れることによって生ずる捺染不良を防止し、インクだまDの除去を容易にして捺染品質の向上が図られる。
実施例2に係るインクジェット捺染装置1Bの基本的な構成は、前記実施例1に係るインクジェット捺染装置1Aと同様であり、前記ワイパー55に対して静電気を利用したインクだまDの吸引機能を付加した点において相違する。
従って、ここでは前記実施例1と相違するインク除去装置2Bの構成と作動態様とを中心にして説明する。
実施例3に係るインクジェット捺染装置1Cの基本的な構成は、前記実施例1に係るインクジェット捺染装置1Aと同様であり、前記電極板43に代えてその形状を異ならせた他の電極板45を採用した点において相違する。
従って、ここでは前記実施例1と相違する電極板45の構成と作動態様とを中心にして説明する。
この湾曲に伴って、当該凸曲面部15aを通過する際に前記毛羽27は、被捺染材Tが前記凸曲面部15aから機械的な力を受けて立毛状態になる。
実施例4に係るインクジェット捺染装置1Dは、立毛作用部5Dの構成が前記実施例1に係るインクジェット捺染装置1Aの立毛作用部5Aと相違しており、インク除き部材31Dであるワイパー55の配置を前記実施例1と異ならせている。
尚、その他の構成については、前記実施例1に係るインクジェット捺染装置1Aと同様であるので、ここでは前記実施例1と相違する立毛作用部5Dの構成とワイパー55の配置及びこれらの作動態様を中心に説明する。
尚、前記第1ガイドローラー16Aの設置部位では、被捺染材Tの搬送経路15の一部に曲率半径の小さな凸曲面部15bが形成されるため、当該凸曲面部15bを通過する被捺染材Tはワイパー55側に湾曲させる力を受ける。
そして、当該部位にはワイパー55が配設されているため、同じ位置で前記毛羽27の立毛処理と前記ワイパー55によるインクだまDの除去とが同時に実行される。
実施例5に係るインクジェット捺染装置1Eの基本的な構成は、前記実施例4に係るインクジェット捺染装置1Dと同様であり、立毛処理領域78を搬送方向Aのずれた位置に2個所設け、これら2個所において前記毛羽27の立毛処理と前記毛羽27に付着しているインクだまDの除去とを2回に分けて実行するようにした点において前記実施例4と相違している。
従って、ここでは前記実施例4と相違する立毛作用部5E及びワイパー55の配置とこれらの作動態様を中心に説明する。
一方、第2ワイパー55Bは、前記水平搬送経路15Aの下流に連接されている傾斜搬送経路15Bの下流端に位置する第2ガイドローラー16Bの設置部位に配置されている。
また、これらの凸曲面部15b、15cを被捺染材Tが通過すると、前記毛羽27の立毛処理と前記毛羽27に付着したインクだまDの除去とが2回に亘って実行されるようになる。
実施例6に係るインクジェット捺染装置1Fの基本的な構成は、前記実施例5に係るインクジェット捺染装置1Eと同様であり、単一のワイパー55を使用し、該単一のワイパー55の配設位置を異ならせた点において前記実施例5と相違している。
従って、ここでは前記実施例5と相違するワイパー55の配設位置と、該配設位置に伴なう作動態様を中心に説明する。
具体的には、前記傾斜搬送経路15Bに連接する傾斜反転搬送経路15Cに対して先端面55aを上にして前記ワイパー55が設けられており、被捺染材Tと搬送ベルト8を挟んだ上方に支持部材53の一例である平板状の支持板53Bが配設されることによってインク除去装置2Fが構成されている。
実施例7に係るインクジェット捺染装置1Gは、前記捺染実行部9の上流側に、被捺染材Tの有する毛羽27を立毛状態にする立毛処理部5Gを備えている。
具体的には、本実施例では立毛処理部5Gが前記捺染領域17の上流位置に設けられており、前記毛羽27に直接作用して前記毛羽27を立毛状態にする、一例として図示のような回転ブラシ様の構造を有する立毛処理部材79を備えることによって当該立毛作用部5Gが構成されている。
そして、本実施例では搬送ベルト8上に供給された被捺染材Tの毛羽27が倒れていたり、他の毛羽27等と絡んでいるような場合に、捺染に先立って予め生地本体25の表面26の毛羽27を起こして本来の立毛状態にするという役割を担っている。
毛羽27の量が少なめの被捺染材Tにおいては、吐出されたインクCは毛羽27にその進行を邪魔されることが少なくなって殆んどのインクCは生地本体表面26に到達するようになることが期待できる。従って、捺染品質を向上できると共に、毛羽27に付着してできるインクだまDの数が少なくなり、インク除き部材31によるインク除去の負荷も小さくなり、インク除去効果が一段と向上する。
実施例8に係るインクジェット捺染装置1Hは、インク除去装置2Hにクリーニング機構56を適用した点で前記実施例1に係るインクジェット捺染装置1Aのインク除去装置2Aと相違しており、その他の構成については、前記実施例1に係るインクジェット捺染装置1Aと同様である。
従って、ここでは前記実施例1と相違するインク除去装置2Hの構成と作動態様を中心にして説明する。
該ノズル59は、先端部が基端部よりも小径に形成されている湾曲した偏平なパイプ材によって構成されており、該ノズル59の先端面59aは斜めにカットされていてインクだまDのかき取りが容易にできるようになっている。
従って、前記ノズル59は、インク除き部材31Hとしての機能と、該インク除き部材31Hに付着したインクCを取り除くクリーニング機構56としての機能を併わせ持った構成になっている。
従って、ノズル59の継続使用が可能になり、ノズル59の洗浄や交換等のメンテナンスの回数も少なくて済むようになる。
実施例9に係るインクジェット捺染装置1Iは、インク除き部材31Iであるかき取り片73の先端面73aと被捺染材Tの生地本体25の表面26との間の間隔Gを調整可能にする調整機構71がインク除去装置2Iに設けられている点で前記実施例1に係るインクジェット捺染装置1Aのインク除去装置2Aと相違している。
また、その他の構成は前記実施例1に係るインクジェット捺染装置1Aと同様であるので、ここでは前記実施例1と相違するインク除去装置2Iの構成と作動態様を中心にして説明する。
該調整機構71は、インク除き部材31Iの一部に設けられているラック75と、該ラック75に噛合するピニオン76と、該ピニオン76を正逆転方向に回転駆動するモーター77と、を備えることによって一例として構成されている。
また、前記ラック75は、前記湾曲したかき取り片73の基端部寄りの外周面に形成されている。
本発明に係るインクジェット捺染装置1は、以上述べたような構成を有することを基本とするものであるが、本願発明の要旨を逸脱しない範囲内の部分的構成の変更や省略等を行うことも勿論可能である。
例えば、インク除去装置2や立毛作用部5は、前述した単一の構造のものを一組ずつ設ける他、同じ構造あるいは違う構造のものを複数組設けることが可能である。
また、前記実施例9で採用した調整機構71の構成は種々の構成が採用でき、ラックピニオン機構に代えて、カム機構等を採用したり、手動操作で調整するネジ式の調整機構であってもよい。
この他、インク除去装置2の取付け位置は、捺染領域17の下流位置の左右の支持フレーム37L、37Rに限らず、捺染ヘッド10やキャリッジ23等に支持させる構成であってもよい。
4 繰出しローラー、5 立毛作用部、7 搬送装置、8 搬送ベルト、
9 捺染実行部、10 捺染ヘッド、11 インク定着部、12 アフターヒーター、
13 巻取り機構部、14 巻取りローラー、15 搬送経路、15a 凸曲面部、
15b 凸曲面部、15c 凸曲面部、16 ガイドローラー、17 捺染領域、
19 乾燥領域、21 支持部、23 キャリッジ、25 生地本体、26 表面、
27 毛羽、31 インク除き部材、37 支持フレーム、41 帯電装置、
42 電極、43 電極板、45 電極板、53 支持部材、53A 支持ローラ、
53B 支持板、55 ワイパー、55a 先端面、56 クリーニング機構、
59 ノズル、59a 先端面、61 吸引路、71 調整機構、72 揺動軸、
73 かき取り片、73a 先端面、74 揺動ブラケット、75 ラック、
76 ピニオン、77 モーター、78 立毛処理領域、79 立毛処理部材、
T 被捺染材、A 搬送方向、B 幅方向、C (顔料)インク、D インクだま、
H 接触作用高さ、S 捺染範囲、G 間隔、GND アース
Claims (15)
- 搬送装置によって搬送される被捺染材の捺染側の面に向けてインクを吐出して所望の捺染を実行する捺染ヘッドを備えた捺染実行部と、
前記捺染実行部の前記搬送方向における下流側に設けられ、前記被捺染材に印捺されたインクを固化させて定着するインク定着部と、
生地本体表面の毛羽に接触して当該毛羽に付着しているインクを除去するインク除き部材を備えたインク除去装置と、
前記インク除去装置による前記インクの除去に先立って、前記毛羽を立毛状態にする立毛作用部と、を備え、
前記立毛作用部は前記捺染実行部の下流側に設けられていることを特徴とするインクジェット捺染装置。 - 搬送装置によって搬送される被捺染材の捺染側の面に向けてインク(ただし、インクが顔料インクの場合を除く)を吐出して所望の捺染を実行する捺染ヘッドを備えた捺染実行部と、
前記捺染実行部の前記搬送方向における下流側に設けられ、前記被捺染材に印捺されたインクを固化させて定着するインク定着部と、
生地本体表面の毛羽に接触して当該毛羽に付着しているインクを除去するインク除き部材を備えたインク除去装置と、
前記インク除去装置による前記インクの除去に先立って、前記毛羽を立毛状態にする立毛作用部と、を備え、
前記立毛作用部は前記捺染実行部の上流側に設けられていることを特徴とするインクジェット捺染装置。 - 搬送装置によって搬送される被捺染材の捺染側の面に向けてインクを吐出して所望の捺染を実行する捺染ヘッドを備えた捺染実行部と、
前記捺染実行部の前記搬送方向における下流側に設けられ、前記被捺染材に印捺されたインクを固化させて定着するインク定着部と、
生地本体表面の毛羽に接触して当該毛羽に付着しているインクを除去するインク除き部材を備えたインク除去装置と、
前記インク除去装置による前記インクの除去に先立って、前記毛羽を立毛状態にする立毛作用部と、
前記搬送装置、前記捺染実行部、前記インク定着部、前記インク除去装置、前記立毛作用部の動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記立毛作用部による立毛作用動作を「実行する」「実行しない」、及び前記インク除去装置によるインク除去の動作を「実行する」「実行しない」を選択可能に構成されていることを特徴とするインクジェット捺染装置。 - 搬送装置によって搬送される被捺染材の捺染側の面に向けてインクを吐出して所望の捺染を実行する捺染ヘッドを備えた捺染実行部と、
前記捺染実行部の前記搬送方向における下流側に設けられ、前記被捺染材に印捺されたインクを固化させて定着するインク定着部と、
生地本体表面の毛羽に接触して当該毛羽に付着しているインクを除去するインク除き部材を備えたインク除去装置と、
前記インク除去装置による前記インクの除去に先立って、前記毛羽を立毛状態にする立毛作用部と、を備え、
前記立毛作用部は、被捺染材に静電気を帯電させて前記毛羽を電気的に立毛状態にする帯電装置であることを特徴とするインクジェット捺染装置。 - 搬送装置によって搬送される被捺染材の捺染側の面に向けてインクを吐出して所望の捺染を実行する捺染ヘッドを備えた捺染実行部と、
前記捺染実行部の前記搬送方向における下流側に設けられ、前記被捺染材に印捺されたインクを固化させて定着するインク定着部と、
生地本体表面の毛羽に接触して当該毛羽に付着しているインクを除去するインク除き部材を備えたインク除去装置と、
前記インク除去装置による前記インクの除去に先立って、前記毛羽を立毛状態にする立毛作用部と、を備え、
前記立毛作用部は、被捺染材の搬送経路に設けられた凸曲面部を備え、被捺染材が該凸曲面部を通過する際に湾曲されて毛羽が機械的に立毛状態に移行するように構成されていることを特徴とするインクジェット捺染装置。 - 搬送装置によって搬送される被捺染材の捺染側の面に向けてインクを吐出して所望の捺染を実行する捺染ヘッドを備えた捺染実行部と、
前記捺染実行部の前記搬送方向における下流側に設けられ、前記被捺染材に印捺されたインクを固化させて定着するインク定着部と、
生地本体表面の毛羽に接触して当該毛羽に付着しているインクを除去するインク除き部材を備えたインク除去装置と、
前記インク除去装置による前記インクの除去に先立って、前記毛羽を立毛状態にする立毛作用部と、を備え、
前記インク除去装置は、前記インク除き部材に静電気を帯電させて前記毛羽に付着したインクを吸着除去するように構成されていることを特徴とするインクジェット捺染装置。 - 請求項1、2、4〜6のいずれか1項に記載されたインクジェット捺染装置において、
前記搬送装置、前記捺染実行部、前記インク定着部、前記インク除去装置、前記立毛作用部の動作を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記立毛作用部による立毛作用動作を「実行する」「実行しない」、及び前記インク除去装置によるインク除去の動作を「実行する」「実行しない」を選択可能に構成されていることを特徴とするインクジェット捺染装置。 - 請求項1〜3、5、6のいずれか1項に記載されたインクジェット捺染装置において、
前記立毛作用部は、被捺染材に静電気を帯電させて前記毛羽を電気的に立毛状態にする帯電装置であることを特徴とするインクジェット捺染装置。 - 請求項1〜4、6のいずれか1項に記載されたインクジェット捺染装置において、
前記立毛作用部は、被捺染材の搬送経路に設けられた凸曲面部を備え、被捺染材が該凸曲面部を通過する際に湾曲されて毛羽が機械的に立毛状態に移行するように構成されていることを特徴とするインクジェット捺染装置。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載されたインクジェット捺染装置において、
前記インク除去装置は、前記インク除き部材に静電気を帯電させて前記毛羽に付着したインクを吸着除去するように構成されていることを特徴とするインクジェット捺染装置。 - 請求項1〜10のいずれか1項に記載されたインクジェット捺染装置において、
前記インク除去部材と被捺染材の生地本体表面との間隔は、マニュアル操作によって、又は前記制御部の制御信号によって調整可能に構成されていることを特徴とするインクジェット捺染装置。 - 請求項1〜11のいずれか1項に記載されたインクジェット捺染装置において、
前記インク除き部材は、前記被捺染材の生地本体表面に非接触で、前記毛羽に接触するように設けられていることを特徴とするインクジェット捺染装置。 - 請求項1〜11のいずれか1項に記載されたインクジェット捺染装置において、
前記インク除き部材は、被捺染材の捺染側の面が下向きになる経路に対して設けられていることを特徴とするインクジェット捺染装置。 - 請求項3〜6のいずれか1項に記載されたインクジェット捺染装置において、
前記捺染実行部の上流側に、被捺染材の有する毛羽を立毛状態にする立毛処理部を備えていることを特徴とするインクジェット捺染装置。 - 被捺染材の捺染領域に供給された被捺染材の捺染側の面に向けてインクを吐出して所望の捺染を実行する捺染実行工程と、
捺染が実行された被捺染材の生地本体表面の毛羽を立毛状態にする立毛作用工程と、
前記立毛作用工程後に行われる、前記被捺染材の前記毛羽に接触して当該毛羽に付着している固化前のインクを除去するインク除去工程と、
前記インク除去工程後に行われる、前記被捺染材に付着したインクを固化させて定着するインク定着工程と、を有することを特徴とするインクジェット捺染による捺染物の製造方法。」
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