JP5630608B2 - インクジェット捺染装置及びインクジェット捺染による捺染物の製造方法 - Google Patents
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Description
従来の捺染は、スクリーンや彫刻ロールを使用した製版を必要とする「スクリーン捺染」や「ローラー捺染」が主流であった。そして、印捺された被捺染材である布に溶融塊を発生させることなく、生地本体表面を平滑にして図柄等を描出させる技術として、下記の特許文献1に示すようなレーザー光線を使用した「布帛表面仕上法」という技術が開発されている。
この「インクジェット捺染方法」では、熱プレス機やアイロン等からなる加熱圧着手段を使用して被捺染材を加熱圧着させることで、生地本体表面に印捺された染料インクを蒸熱染着するようにしている。
また、「インクだま」は、生地本体表面から立ち上がっている毛羽に付いているため、本来インクが付着すべき染着位置である生地本体表面の位置より上方に位置することになる。そのため、前記「インクだま」の存在によって捺染物の品質を低下する問題がある。
上記した問題は、染料インクよりも色材粒子の大きな顔料インクにおいて顕著に現れる傾向が見られる。
前記毛羽を有する被捺染材に対する捺染においては、印捺された図柄や画像等が鮮明に捺染されているだけでなく、被捺染材の素材の持つ肌触りや風合といった感覚がそのまま維持されていることが捺染物の品質を評価する上で重要になってくる。
従って、前記毛羽に付着した「インクだま」をそのままにしてUV硬化させると、毛羽を有する被捺染材の肌触りの低下は前記水系や溶剤系インクの場合よりも大きいという問題がある。
また、前記毛羽に付着した「インクだま」をそのままにしてUV硬化させると、前記「インクだま」の後ろへの紫外線の到達が、当該「インクだま」の存在によって遮られる。その結果、紫外線が被捺染材の生地本体表面であって前記「インクだま」の後ろの部分には到達しづらくなり、UVインクの硬化不良の問題が生じる虞がある。
前記捺染実行部の前記搬送方向における下流側に設けられ、前記被捺染材に印捺された前記インクに紫外線又は電子線を照射して硬化する硬化線照射部を備えたインク硬化部と、
前記捺染実行部と前記インク硬化部との間に設けられ、生地本体表面の毛羽に接触する毛羽接触部材を備えた毛羽接触処理装置と、を備えていることを特徴とするものである。
また、本発明の第1の態様に係るインクジェット捺染装置は、搬送装置によって搬送される被捺染材の捺染側の面に向けてインクを吐出して所望の捺染を実行する捺染ヘッドを備えた捺染実行部と、前記捺染実行部の前記搬送方向における下流側に設けられ、前記被捺染材に印捺されたインクに紫外線又は電子線を照射して硬化する硬化線照射部を備えたインク硬化部と、前記捺染実行部と前記インク硬化部との間に設けられ、生地本体表面の毛羽に接触する毛羽接触部材を備えた毛羽接触処理装置と、を備えていることを特徴とするものである。
また、「衣服その他の服飾製品」には、縫製後のTシャツ、ハンカチ、スカーフ、タオル、手提げ袋、布製のバッグ、カーテン、シーツ、ベッドカバー等のファーニチャーの類等の他、縫製前の状態のパーツとして存在する裁断前後の布地等も含まれる。
「毛羽」には、前記生地本体表面に起毛によって増やされた毛羽の他、前記織り加工等によって自然に発生する毛羽が含まれる。
これに伴い、毛羽接触部材に接触した後、毛羽に残留している「インクだま」は元の大きさよりも小さくなっており、付着している「だま」の量も少なくなっている。
また、毛羽接触部材は毛羽に接触するだけで、該毛羽を押し潰すような強い圧接力を毛羽に作用させていないので、毛羽接触部材との接触時に一時的に毛羽を傾倒させても、当該毛羽は直ぐに復元して元の立毛状態に戻ることができる。従って、毛羽を有する被捺染材の素材の持つ肌触りや風合もそのまま維持される。
従って、毛羽の立毛状態を維持したまま当該毛羽に付着したUVインクを当該インク除き部材で除去する動作を行うことによって、毛羽を有する被捺染材の素材の持つ肌触りや風合を維持したまま、耐擦性低下による色移りの問題の発生を低減することができる。
尚、「毛羽の立毛状態を維持した状態で除去する」とは、立毛状態の毛羽を押し潰す作用を及ぼさずに捺染する意味で使われており、捺染工程で自重等によって毛羽が自然に傾いて立毛姿勢が崩れる程度は「毛羽の立毛状態を維持した状態」に含まれる。
従って、立毛状態にある毛羽の急激な傾倒が防止されて該毛羽は緩やかに無理なく連続的に傾倒姿勢を変化するようになるので、毛羽接触処理後も毛羽の立毛状態はそのまま維持される。また、この接触強度の変化によって毛羽に付着したインクを効果的に分散乃至除去することができる。
また、毛羽接触部材を成す駆動ローラーの回転方向を被捺染材の搬送方向と同じにすることによって被捺染材に搬送抵抗をかけることなく円滑な搬送を行っている状態で毛羽接触処理を行うことが可能になる。
また、前記駆動ローラーの回転速度を増減することで該駆動ローラーの毛羽への接触強度を適宜調整することが可能になる。
ここで、「被捺染材の捺染側の面が下向きになる経路」とは、該捺染側の面が真下を向く水平反転搬送経路と、斜め下方を向く傾斜反転搬送経路の両方を含む意味で使われている。
また、前記除かれたインクは、毛羽接触部材を伝って下方に流れ落ちる構造にすることができるため、当該インクの回収が容易になり、毛羽接触部材の接触作用面におけるインクの残留やインクの固着等が防止される。
また、上記の通りインク吸収位置が更新されつつ毛羽に接触するので、柔軟性シートを毛羽に軽く接触する状態でUVインクを吸収除去することが可能となり、以って毛羽の立毛状態を維持することができる。
毛羽の量が少なめの被捺染材においては、吐出されたUVインクは毛羽にその進行を邪魔されることが少なくなって殆んどのUVインクは生地本体表面に到達するようになることが期待できる。従って、捺染品質を向上できると共に、毛羽に付着してできるインクだまの数が少なくなり、毛羽接触部材による接触処理の負荷も小さくなり、その処理効果が一段と向上する。
尚、以下の説明では、最初に図1に基づいて本発明のインクジェット捺染装置1の全体構成の概略について説明し、次いで本発明の特徴的構成である毛羽接触処理装置2の構成とその作動態様について前述した実施例1〜9の9つの実施例を例にとって順番に説明して行く。
図示のインクジェット捺染装置1は、ロール状に巻かれた長尺な布地等の被捺染材Tに対応した構成になっており、搬送方向Aの上流位置に繰出しローラー4を備えた繰出し機構部3、搬送方向Aの下流位置に巻取りローラー14を備えた巻取り機構部13が設けられている。
そして、その下流位置には、前記しわ取りが実行された被捺染材Tを、該被捺染材Tの捺染領域17及び印捺されたインクCの硬化領域19に向けて搬送する搬送ベルト8を備えた搬送装置7が配設されている。
尚、前記UVインクCは、UV光(紫外線)Lを照射することによって硬化、定着するインクで、ヒーター加熱によって溶媒を蒸発させることによって硬化、定着する溶剤系インクに比べて硬化後のインクだまDの体積変動が格段に小さいという特長を有している。また、UVインクCは、溶剤成分を含んでいないため環境に優しく、UV光(紫外線)Lを照射することによって瞬時に硬化するためインク吸収性の低い被捺染材Tにも印捺することができるという特性を有している。
また、前記印捺されたインクCの硬化領域19には、被捺染材Tの生地本体25の表面26に付着したUVインクを硬化させる紫外線照射部(硬化線照射部)12を備えたインク硬化部11が配設されている。
尚、ここで、インクだまDとは、図4及び図13に示すように被捺染材Tの生地本体25の表面26に達する前に該表面26から伸びている毛羽27の毛先部等に付着したインクCが「だま」になって残留した部分であり、捺染後の「色移り」の要因になっている。また、UVインクの場合は、硬化したインクだまDは被捺染材Tの肌触りを溶剤系インクよりも低下させる原因にもなっている。
本発明に係るインクジェット捺染による捺染物の製造方法は、被捺染材Tの捺染領域17に供給された被捺染材Tの捺染側の面に向けてUVインクを吐出して所望の捺染を実行する捺染実行工程を有する。このように、捺染後のインクCの定着力が強く、色落ちの少ないUVインクCを使用することによって捺染された画像等の鮮明さが長期に亘って持続される。
UVインクCは、染料インクに比べてインクだまDになり易い性質を有しているが、本発明では当該毛羽接触処理工程程を有することによって当該インクだまDは硬化前の段階で分散乃至除去される。
UVインクCは硬化することで捺染強度が増す。そして、毛羽27に付着していたインクだまDは既に前工程で取り除かれているので、捺染実行品質及び手触り風合の良い捺染物が効率良く製造される。
本実施例では、前記毛羽接触処理装置2が被捺染材Tの生地本体25の表面26における毛羽27に接触する毛羽接触部材31を備えることによって構成されている。
〔毛羽接触部材〕
そして、実施例1に係るインクジェット捺染装置1Aでは、毛羽接触処理装置2A(他の実施例と区別する場合に「2A」と記し、区別しない場合は単に「2」と記す)の毛羽接触部材31Aとして、前記毛羽27に付着しているインクだまDに接触した後、インクだまDをかき取って除去する、インク除き部材としての機能も有するブレード状のワイパー55が採用されている。
そして、前記ワイパー55は被捺染材Tの生地本体25の表面26に非接触で、前記毛羽27のインクだまDの付着部位に接触するように設けられている。
尚、これは前記生地本体25には生地の性状から必然的に多少のうねりが存在し、その表面26には微少な凹凸が形成されていることに起因するものである。
また、このようなワイパー55の材料としては、硬質、軟質の合成樹脂、合成樹脂発泡体、ゴム、金属、木材等やこれらの複合材料が適用でき、更に、当該ワイパー55の周囲に吸インク性を有するフェルトやその他の布地等を貼設したものであってもよい。
捺染画像が形成された被捺染材Tは、下流に送られ、捺染領域17の下流に設けられている毛羽接触処理装置2Aの毛羽接触部材31Aの一例であるワイパー55に接触することで、当該毛羽27に付着していた硬化前のインクだまDは、かき取られる処理が実行される。
そして、このようにして構成される本実施例に係るインクジェット捺染装置1Aによれば、毛羽27を押し潰すような強い圧接力を毛羽27に作用させることなく、「色移り」の生じない鮮明な画像を被捺染材Tの素材の持つ肌触りや風合を損なわせることなく捺染することが可能になる。
更に、前記毛羽27からは、インクだまDが除去されているから体積の大きなインクだまDを硬化することによって生じる肌触りの低下も防止できる。
毛羽接触処理装置2Aを備えるインクジェット捺染装置1Aにおいて、搬送装置7、捺染実行部9、毛羽接触処理装置2A及びインク硬化部11の動作を制御する制御部5を備えている。そして、前記制御部5は、被捺染材Tが生地本体表面26に毛羽27を有するものである場合に、該毛羽接触処理装置2AによるインクだまDの分散ないし除去の毛羽接触処理動作を「実行する」「実行しない」のいずれかを選択可能に構成されている。
従って、被捺染材Tが毛羽27を有するものか否かはユーザーの主観で決定できるようになっており、客観的には毛羽27がある被捺染材Tであっても、例えばユーザーがその毛羽27による前記肌触りや風合を維持する捺染を必要としない、或いは耐擦性を高く求めない場合は、「毛羽なし(No)」としてその後のフローを進めることができるようになっている。
一方、ステップS3で毛羽接触処理動作を「実行しない」が選択されたときは、毛羽接触処理装置2Aによる毛羽接触処理が実行されずに(ステップS6)、インク硬化部11によるインク硬化処理(ステップS5)に進む。
実施例2に係るインクジェット捺染装置1Bの基本的な構成は、前記実施例1に係るインクジェット捺染装置1Aと同様であり、毛羽接触部材31Bとして駆動ローラー35を適用した点で前記実施例1と相違する。
従って、ここでは前記実施例1と相違する毛羽接触部材31Bの構成と作動態様とを中心にして説明する。
そして、このような駆動ローラー35を採用することによって、該駆動ローラー35の前記毛羽27に対する接触作用高さHは、図5(B)に示したように、接触開始点Oから駆動ローラー35下端の最大接触接点Pに向けて徐々に大きくなり、最大接触点Pから接触終了点Qに向けて徐々に小さくなるように設定される。
従って、毛羽27の急激な傾倒が防止されて毛羽27は緩やかに無理なく連続的に傾斜姿勢を変化させるようになるので、インクだまDの除去後も毛羽27の立毛状態はそのまま維持される。
また、駆動ローラー35の材料としては、前記ワイパー55と同様の材料が適用できる。
〔毛羽接触部材〕
実施例3に係るインクジェット捺染装置1Cの基本的な構成は、前記実施例1に係るインクジェット捺染装置1Aと同様であり、毛羽接触部材31Cとして回転ブラシ状のブラシ体41Aを適用した点で前記実施例1と相違する。
従って、ここでは前記実施例1と相違する毛羽接触部材31Cの構成と作動態様とを中心にして説明する。
そして、このような回転ブラシ状のブラシ体41Aを採用することによって、毛羽27に付着したインクだまDは、ブラシ体41Aに接触することによって上方に掃き上げられて被捺染材Tの生地本体25の表面26ないし外部に分散される。
実施例4に係るインクジェット捺染装置1Dの基本的な構成は、前記実施例3に係るインクジェット捺染装置1Cと同様であり、毛羽接触部材31Dとして平刷毛状のブラシ体41Bを適用した点で前記実施例3と相違する。
従って、ここでは前記実施例3と相違する毛羽接触部材31Dの構成と作動態様を中心にして説明する。
そして、このような平刷毛状のブラシ体41Bを採用することによって、毛羽27に付着したインクだまDは、ブラシ体41Bに接触することによって前後上方に交互に掃き上げられて被捺染材Tの生地本体25の表面26ないし外部に分散される。
実施例5に係るインクジェット捺染装置1Eの基本的な構成は、前記実施例1に係るインクジェット捺染装置1Aと同様であり、毛羽接触部材31Eであるワイパー55(インク除き部材の一例)の配置位置を異ならせた点において前記実施例1と相違している。
従って、ここでは前記実施例1と相違するワイパー55の配設位置と該配設位置に伴う作動態様とを中心に説明する。
具体的には、捺染ヘッド10が配置されている水平搬送経路15A、その下流の傾斜搬送経路15Bに連接している一例として図示のような左下がりの傾斜反転搬送経路15Cに対してワイパー55が設けられている。また、被捺染材Tと搬送ベルト8を挟んだワイパー55の対向位置には支持部材53の一例である平板状の支持板53Bが配設されており、前記ワイパー55と支持板53Bとを備えることによって毛羽接触処理装置2Eが構成されている。
実施例6に係るインクジェット捺染装置1Fの基本的な構成は、前記実施例1に係るインクジェット捺染装置1Aと同様であり、毛羽接触部材31Fとしてノズル59を適用し、毛羽接触処理装置2Fにクリーニング機構56を適用した点で前記実施例1と相違する。
従って、ここでは前記実施例1と相違する毛羽接触部材31Fの構成と、クリーニング機構56の構成と、これらの作動態様とを中心にして説明する。
該ノズル59は、先端部が基端部よりも小径に形成されている湾曲した偏平なパイプ材によって一例として構成されている。また、前記ノズル59の先端面59aは斜めにカットされていてインクだまDのかき取りが容易かつ確実に行えるように構成されている。
従って、前記ノズル59は、毛羽接触部材31Fとしての機能と、該毛羽接触部材31Fに付着したインクCを取り除くクリーニング機構56としての機能を併せ持った構成になっている。
従って、ノズル59の継続した使用が可能になり、ノズル59の洗浄や交換等のメンテナンスの回数も少なくて済むようになる。
実施例7に係るインクジェット捺染装置1Gの基本的な構成は、前記実施例1に係るインクジェット捺染装置1Aと同様であり、毛羽接触部材31Gであるかき取り片73の先端面73aと被捺染材Tの生地本体25の表面26との間の間隔Gを調整可能にする調整機構71が毛羽接触処理装置2Gに設けられている点で前記実施例1と相違する。
従って、ここでは前記実施例1と相違する毛羽接触部材31Gの構成と、調整機構71の構成と、これらの作動態様とを中心にして説明する。
該調整機構71は、毛羽接触部材31Gであるかき取り片73の一部に設けられているラック75と、該ラック75と噛合するピニオン76と、該ピニオン76を正逆転方向に回転駆動するモーター77と、を備えることによって一例として構成されている。
また、前記調整機構71の構成部材であるラック75は、前記湾曲したかき取り片73の基端部寄りの外周面に一例として形成されている。
実施例8に係るインクジェット捺染装置1Hでは、その毛羽接触処理装置2Fは、インク吸収性を有する柔軟性シート81と、該柔軟性シート81を前記被捺染材Tの毛羽27に接触しつつ該被捺染材Tの搬送方向Aに搬送するシート搬送装置62とを備えている。
尚、本実施例では、駆動ローラー35は毛羽27に直接接触しないので、インク除去機能の無い単なる案内ローラーであってもよい。
また、上記の通りインク吸収位置が更新されつつ毛羽27に接触するので、柔軟性シート81を毛羽27に軽く接触する状態でインクDを吸収除去することが可能となり、以って毛羽27の立毛状態を維持することができる。
実施例9に係るインクジェット捺染装置1Jの基本的な構成は、前記実施例1に係るインクジェット捺染装置1Aと同様であり、被捺染材Tの捺染領域17の上流位置に立毛処理領域78を設け、該立毛処理領域78に立毛処理部79が設けられている点で前記実施例1と相違する。
従って、ここでは前記実施例1と相違する立毛処理部79の構成と作動態様を中心にして説明する。
具体的には、図示のような回転ブラシ様の立毛処理部79が一例として採用可能であり、該立毛処理部79を一例として被捺染材Tの搬送方向Aと反対の方向に回転させることによって傾倒状態の毛羽27をかき起こすようにして立毛状態にする。
更に、本実施例の場合には、立毛処理部79によって被捺染材Tの有する毛羽27を立毛状態にする処理を行って、該毛羽27の立毛状態の不揃いが低減された状態で、被捺染材Tの捺染側の面に向けてインクを吐出することが可能となる。従って、毛羽27を有する被捺染材Tの捺染側の面に対するインク滴の着弾において、前記「不揃い」に基づく影響が小さくなる。すなわち、毛羽27及び生地本体表面26へのインク滴着弾の均一性を高めることができる。
本発明に係るインクジェット捺染装置1は、以上述べたような構成を有することを基本とするものであるが、本願発明の要旨を逸脱しない範囲内の部分的構成の変更や省略等を行うことも勿論可能である。
例えば、毛羽接触処理装置2は被捺染材Tの幅方向Bにおけるすべての捺染範囲Sに対応できるように配置する他、部分的な捺染画像を印捺するような場合には、前記捺染範囲Sの一部に毛羽接触処理装置2を配置することが可能である。
また、被捺染材Tに同一色で捺染したり、規則性を有しない漠然とした捺染画像を捺染する場合に、インクだまDを分散させる前記実施例3、実施例4に示すような毛羽接触部材31を採用し、別色のインクが混じると品質を損なう写真等や規則的な図柄、模様等を捺染する場合に、インクだまDを捕捉して除去する前記実施例1、実施例2に示すような毛羽接触部材31を採用するというように両者を使い分けることも可能である。
また、前記インクだまDを分散させるタイプの毛羽接触部材31と併用して、前記毛羽27に付着しているインクだまDに対してエアーを吹き付けて分散させるエアーブロー装置等を設けることも可能である。
4 繰出しローラー、7 搬送装置、8 搬送ベルト、9 捺染実行部、
10 捺染ヘッド、11 インク硬化部、 12 紫外線照射部(硬化線照射部)、
13 巻取り機構部、14 巻取りローラー、15 搬送経路、
16 ガイドローラー、17 捺染領域、19 硬化領域、21 支持部、
23 キャリッジ、25 生地本体、26 表面、27 毛羽、31 毛羽接触部材、
33 回転軸、35 駆動ローラー、37 支持フレーム、41 ブラシ体、
43 回転軸、45 揺動軸、53 支持部材、53A 支持ローラー、
53B 支持板、55 ワイパー、55a 先端面、56 クリーニング機構、
59 ノズル、59a 先端面、61 吸引路、71 調整機構、72 揺動軸、
73 かき取り片、73a 先端面、74 揺動ブラケット、75 ラック、
76 ピニオン、77 モーター、78 立毛処理領域、79 立毛処理部、
81 柔軟性シート、83 繰出しローラー、85 巻取りローラー、
87 ガイドローラー、T 被捺染材、A 搬送方向、B 幅方向、
C (UV)インク、D インクだま、L UV光(紫外線)、H 接触作用高さ、
O 接触開始点、P 最大接触点、Q 接触終了点、F 接触強度、S 捺染範囲、
G クリアランス
Claims (13)
- 搬送装置によって搬送される被捺染材の捺染側の面に向けて、紫外線又は電子線を照射することにより硬化するインクを吐出して所望の捺染を実行する捺染ヘッドを備えた捺染実行部と、
前記捺染実行部の前記搬送方向における下流側に設けられ、前記被捺染材に印捺された前記インクに紫外線又は電子線を照射して硬化する硬化線照射部を備えたインク硬化部と、
前記捺染実行部と前記インク硬化部との間に設けられ、生地本体表面の毛羽に接触する毛羽接触部材を備えた毛羽接触処理装置と、を備えていることを特徴とするインクジェット捺染装置。 - 請求項1に記載されたインクジェット捺染装置において、
前記搬送装置、前記捺染実行部、前記インク硬化部、前記毛羽接触処理装置の動作を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記毛羽接触処理装置による処理動作を「実行する」「実行しない」を選択可能に構成されていることを特徴とするインクジェット捺染装置。 - 請求項1または2に記載されたインクジェット捺染装置において、
前記毛羽接触部材と被捺染材の生地本体表面との間隔は、マニュアル操作によって、又は前記制御部の制御信号によって調整可能に構成されていることを特徴とするインクジェット捺染装置。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載されたインクジェット捺染装置において、
前記毛羽接触部材は、前記毛羽に接触して当該毛羽に付着しているインクを除くインク除き部材で構成されていることを特徴とするインクジェット捺染装置。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載されたインクジェット捺染装置において、
前記毛羽接触部材は、前記毛羽に付着しているインクに接触することで当該インクを分散させるブラシ体で構成されていることを特徴とするインクジェット捺染装置。 - 請求項1から5のいずれか1項に記載されたインクジェット捺染装置において、
前記毛羽接触部材の前記毛羽に対する接触作用高さは、接触開始点から最大接触点に向けて徐々に大きくなり、最大接触点から接触終了点に向けて徐々に小さくなるように設定されていることを特徴とするインクジェット捺染装置。 - 請求項1から6のいずれか1項に記載されたインクジェット捺染装置において、
前記毛羽接触部材は、被捺染材の搬送方向と交差する向きに回転軸を有し、被捺染材の搬送方向に所定の回転速度で回転駆動される駆動ローラーによって構成されていることを特徴とするインクジェット捺染装置。 - 請求項1から7のいずれか1項に記載されたインクジェット捺染装置において、
前記毛羽接触部材は、被捺染材の捺染側の面が下向きになる経路に対して設けられていることを特徴とするインクジェット捺染装置。 - 請求項1から8のいずれか1項に記載されたインクジェット捺染装置において、
前記毛羽接触部材は、前記被捺染材の生地本体表面に非接触で、前記毛羽に接触するように設けられていることを特徴とするインクジェット捺染装置。 - 請求項1又は2に記載されたインクジェット捺染装置において、
前記毛羽接触処理装置は、インク吸収性を有する柔軟性シートと、該柔軟性シートを前記被捺染材の毛羽に接触しつつ該被捺染材の搬送方向に搬送するシート搬送装置と、を備えていることを特徴とするインクジェット捺染装置。 - 請求項1から10のいずれか1項に記載されたインクジェット捺染装置において、
前記捺染実行部の上流側に、被捺染材の有する毛羽を立毛状態にする立毛処理部を備えていることを特徴とするインクジェット捺染装置。 - 被捺染材の捺染領域に供給された被捺染材の捺染側の面に向けて、紫外線又は電子線を照射することにより硬化するインクを吐出して所望の捺染を実行する捺染実行工程と、
捺染が実行された被捺染材の生地本体表面の毛羽に毛羽接触部材を接触させる毛羽接触処理工程と、
前記毛羽接触処理工程後に行われる前記被捺染材に印捺された前記インクに紫外線又は電子線を照射して前記インクを硬化するインク硬化工程と、を有することを特徴とするインクジェット捺染による捺染物の製造方法。 - 搬送装置によって搬送される被捺染材の捺染側の面に向けてインクを吐出して所望の捺染を実行する捺染ヘッドを備えた捺染実行部と、
前記捺染実行部の前記搬送方向における下流側に設けられ、前記被捺染材に印捺されたインクに紫外線又は電子線を照射して硬化する硬化線照射部を備えたインク硬化部と、
前記捺染実行部と前記インク硬化部との間に設けられ、生地本体表面の毛羽に接触する毛羽接触部材を備えた毛羽接触処理装置と、を備え、
前記毛羽接触部材は、前記毛羽に付着しているインクに接触することで当該インクを分散させるブラシ体で構成されていることを特徴とするインクジェット捺染装置。
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