以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照しながら説明する。
(駐車管理システム)
図1および図2は、本発明の実施形態による駐車管理システムの概観を示し、図3はその電気的構成を示している。図4は当該駐車管理システムにおける給電コネクタが車両の給電口に接続された状態を示している。
図1において、本発明の実施形態による駐車管理システム1は、車両給電システムとしての構成を含んでおり、車両給電に関する諸機能を有している。すなわち、駐車管理システム1は、車載のバッテリから供給される電力により電動モータを駆動して走行する電気自動車等の車両に給電を行い、バッテリの充電を行う機能を有している。また、駐車管理システム1は、車両の給電口に接続された給電機13の給電コネクタ72の位置を検出することで、一の駐車スペース3に駐車した車両に給電するために設置されている給電機13の給電コネクタ72が当該一の駐車スペース3に駐車している車両の給電口に接続されているときに給電を行い、そうでないときには給電を行わないようにする機能を備えている。さらに、駐車管理システム1は、給電後に、給電機13の給電コネクタ72が給電コネクタ保管部84に装着されるまで精算処理を行わないことで、利用者に給電コネクタ72を給電コネクタ保管部84に確実に装着させ、これにより給電コネクタ72の適切な管理を行う機能を備えている。
駐車管理システム1が設置された駐車場2には、図2に示すように、複数の駐車スペース3が連続して一列に並んでおり、1つの駐車スペース3に1台の車両(例えば車両200)を駐車することができる。各駐車スペース3には、駐車スペース番号が割り当てられている。また、各駐車スペース3において、車両が進入する側を手前側とし、その反対側を奥側とすると、各駐車スペース3の奥側には車両止め4が設けられている。
駐車管理システム1は、フラップ装置5、車両センサ7、料金精算機11、受信機12および給電機13を備えている。フラップ装置5は複数設けられ、各駐車スペース3内に配置されている。各フラップ装置5は、料金精算機11による制御に従って、車両を駐車スペース3内に拘束しない車両解放状態と車両を駐車スペース3内に拘束する車両拘束状態とを切り替えることができる。具体的には、各フラップ装置5は、フラップ板6を寝かせることにより車両の駐車スペース3内に対する進退を許し(車両解放状態)、フラップ板6を立ち上げることにより、駐車スペース3内に駐車している車両の退出を阻止する(車両拘束状態)。なお、フラップ装置5は車両拘束装置の具体例であり、フラップ装置5に代えて他の車両拘束装置を採用することもできる。車両センサ7は複数設けられ、各駐車スペース3内に埋設されている。各車両センサ7は駐車スペース3内に車両が存在していることを検出する。
(料金精算機)
料金精算機11は、主として、各フラップ装置5を制御すると共に、駐車料金および給電料金の精算を行う。料金精算機11は例えば駐車場2の出入口近傍に設置されている。本実施形態における駐車管理システム1は1台の料金精算機11を有するが、管理を行う駐車場が大規模な場合には、駐車管理システム1に複数の料金精算機11を設けることができる。料金精算機11の前扉21に設けられたパネル板には、表示器22、操作キー23、紙幣挿入口24、硬貨投入口25、釣銭・領収証取出口26、スピーカ27等が設けられている。表示器22は、例えば小型液晶ディスプレイ装置を備え、ガイドメッセージ、駐車料金、給電料金、エラーメッセージ等を表示する。また、操作キー23は、例えば料金精算時等に利用者が駐車スペース番号を入力する等、料金精算機11の操作、情報入力等を行うための手段であり、図3に示すように、テンキー、精算キー等の種々のキーを備えている。
さらに、料金精算機11の内部には、料金精算機11の制御を行う制御部が設けられ、制御部には、図3に示すように、CPU(Central Processing Unit)31およびメモリ32が設けられ、両者はバス33を介して接続されている。メモリ32には、料金精算機11をはじめ、駐車管理システム1を構成する各装置を制御するためのプログラム、駐車データ、給電データ等が格納されている。CPU31は、メモリ32に格納されたプログラムやデータを読み取り、このプログラムを実行することにより、料金精算機11をはじめ、駐車管理システム1を構成する各装置を制御する。また、CPU31およびメモリ32には、バス33およびインターフェイス34を介し、表示器22、操作キー23、スピーカ27、扉開センサ35、領収証プリンタ36、コインセレクタ37、硬貨払い戻し装置38、紙幣リーダ39、フラップ装置制御部40、外部通信部41等が接続されている。フラップ装置制御部40は、駐車場2内に埋設された埋設配線14を介して各車両センサ7、各フラップ装置5に設けられたフラップ装置駆動部51、駆動センサ部52等に接続されている。
料金精算機11は、駐車スペース3に車両が駐車したとき、このことを車両センサ7により認識し、後述する所定の条件を満足した場合に、各フラップ装置5のフラップ装置駆動部51を制御し、フラップ板6を立ち上がらせる。これにより車両は駐車スペース3内から退出することができなくなる。一方、料金精算時に、利用者が操作キーを操作して、駐車スペース番号の入力等を行うと、駐車時間、駐車料金等が表示器22に表示される。これに応じて利用者が、紙幣を紙幣挿入口24に挿入し、硬貨を硬貨投入口25に投入すると、料金精算機11は、紙幣リーダ39、コインセレクタ37、硬貨払い戻し装置38、領収証プリンタ36等を動作させ、釣銭・領収証取出口26に領収証、釣銭等を出す。そして、料金精算が完了し、後述する所定の条件を満足した場合に、料金精算機11は、各フラップ装置5のフラップ装置駆動部51を制御し、フラップ板6を寝かせる。これにより車両は駐車スペース3から退出することが可能になる。ただし、車両駐車中に利用者が駐車車両に給電を行った場合には、後述するように、給電機13の給電コネクタ72を給電コネクタ保管部84に装着しない限り、料金精算機11は料金精算処理を行わない。
また、料金精算機11の外部通信部41は例えばシリアル通信回路を備えており、外部通信部41には、各受信機12に設けられた外部通信部66が埋設配線14(例えばシリアル通信線)を介してマルチドロップ状に接続されている。また、料金精算機11の外部通信部41には時計回路42が接続され、時計回路42により、料金精算機11の外部通信部41と各受信機12との通信タイミングが制御される。
(受信機)
受信機12は、後述するように給電機13の給電コネクタ72に設けられた右発信部94および左発信部95から発信された右信号RSおよび左信号LSを受信することにより、車両の給電口に接続された給電コネクタ72の位置を検出する機能を有する。また、受信機12は、右発信部94および左発信部95の発信動作を制御すると共に、給電コネクタ72に設けられた姿勢センサ96および給電接続センサ97の検出動作を制御する機能を有する。さらに、受信機12は、給電機13の給電動作を制御する機能を備えている。さらに、受信機12は給電時間を測定する機能を備えている。さらに、受信機12は、給電に関する各種情報を外部通信部66、41を介して料金精算機11に送信する機能を備えている。
受信機12は、図2に示すように、複数設けられ、駐車スペース3の奥側の近傍であって駐車スペース3外に配置されている。さらに、各受信機12は、原則として、互いに隣り合う駐車スペース3の境界に対応する位置に配置されている。ただし、駐車スペース3の手前側から奥側に向かって見たときに、駐車場2の右端側に配置された受信機12(これを「右端受信機12R」という場合がある。)は、駐車場2の右端側に配置された駐車スペースの右側に配置されている。また、駐車スペース3の手前側から奥側に向かって見たときに、駐車場2の左端側に配置された受信機12(これを「左端受信機12L」という場合がある。)は、駐車場2の左端側に配置された駐車スペースの左側に配置されている。
図3に示すように、右端受信機12R以外の受信機12は、CPU61、メモリ62、バス63、インターフェイス64、受信部65、外部通信部66および給電制御部67を備えている。CPU61およびメモリ62はバス63を介して接続され、これらはさらにインターフェイス64を介して受信部65および外部通信部66と接続されている。メモリ62には、上述した受信機12の各機能を実現するためのプログラムが記憶され、CPU61はこれらのプログラムをメモリ62から読み取って実行することにより、受信機12の上記機能を実現する。外部通信部66は例えばシリアル通信回路を備え、料金精算機11の外部通信部41と通信を行うことができる。
受信部65は、受信機12内に設けられ、または受信機12の外面に取り付けられている。受信部65は、給電コネクタ72に設けられた右発信部94および左発信部95からそれぞれ発信される右信号RSおよび左信号LSを受信し、受信した右信号RSおよび左信号LSを例えば増幅等してCPU61に出力する。受信部65は例えば広い角度にわたり高い受信感度を有するアンテナを備えている。すなわち、受信部65の受信範囲は広く、例えば、駐車場2内のいずれの駐車スペース3内のいずれの位置に給電コネクタ72が位置していようとも、当該給電コネクタ72に設けられた右発信部94から発信された右信号RSの発信方向が受信機12に向いている限り、受信機12は右信号RSを受信することができる。当該給電コネクタ72に設けられた左発信部95から発信される左信号LSの受信についても同様である。
給電制御部67は、駐車スペース3の手前側から奥側に向かって見たとき、受信機12のすぐ右側に配置された給電機13に接続されている。具体的には、給電制御部67は、埋設配線14等を介し、当該給電機13の給電機本体71に設けられた給電部82、検知スイッチ86およびロック制御部88等に接続されている。また、給電制御部67は、埋設配線14および給電ケーブル73等を介し、当該給電機13の給電コネクタ72に設けられた右発信部94、左発信部95、姿勢センサ96および給電接続センサ97に接続されている。そして、給電制御部67は、主に、CPU61と、これら給電制御部67に接続された当該給電機13の上記構成要素との間で送受信される制御信号、検出信号等を中継する。
右端受信機12Rは、給電制御部67が設けられておらず、いずれの給電機13とも接続されていない。この点を除き、右端受信機12Rは右端受信機12R以外の受信機12と同じ構成を有する。
(給電機)
図5は給電機13の外観を示している。図6は給電機13の給電コネクタ保管部84内に設けられたロック機構87を示している。図7は給電機13の給電コネクタ72を示している。
給電機13は、駐車スペース3に駐車した車両に給電する装置である。給電機13は、図2に示すように、複数設けられ、駐車スペース3ごとに1台ずつ設けられている。給電機13は、駐車スペース3の奥側の近傍であって駐車スペース3外に配置されている。さらに、給電機本体71は、例えば、受信機12との間、または駐車スペース3の幅方向中間位置に対応する位置に配置されている。
給電機13は、図5に示すように、給電機本体71、給電コネクタ72および給電ケーブル73を備えている。給電機本体71の筐体81内には、図3に示すように、給電部82が設けられている。給電部82は、電力の供給を行う電力供給回路または電源回路を備えている。また、給電機本体71の筐体81の前面側には、図5に示すように、例えば2つの表示ランプ83が設けられている。一方の表示ランプ83は当該給電機13により給電可能か否かを示すランプであり、他方の表示ランプ83は給電中か否かを示すランプである。
また、給電機本体71の筐体81の側面側には、給電コネクタ保管部84が設けられている。給電コネクタ保管部84は、給電時でないときに給電コネクタ72を保管する機構である。給電コネクタ保管部84は、給電機本体71の側方に向けて開口した保管口84Aを有し、給電時でないときに給電コネクタ72の先端部を保管口84Aに着脱可能に装着することにより給電コネクタ72を保持する。
また、給電コネクタ保管部84内には、検知スイッチ86、ロック機構87およびロック制御部88が設けられている。検知スイッチ86は、給電コネクタ72が給電コネクタ保管部84に装着されているか否か検出する。検知スイッチ86は、図6(1)に示すように、保管口84Aの近傍に設けられている。検知スイッチ86は例えば給電コネクタ72が保管口84Aに装着されていない間にはOFFとなり、給電コネクタ72が保管口84Aに装着されている間にはONとなるスイッチである。なお、検知スイッチ86を接触センサまたは位置センサ等により構成してもよい。検知スイッチ86は、検知スイッチ86のON、OFFの状態を示す検知信号を出力する。この検知信号は、受信機12の給電制御部67を介してCPU61に送信される。そして、CPU61は検知信号に基づいて給電コネクタ72が保管口84Aに装着されているか否かを判断し、この判断の結果を料金精算機11等に送信する。
ロック機構87は、保管口84Aに装着された給電コネクタ72を保管口84Aから取り外し不能にロックする機構である。ロック制御部88はロック機構87の第1のソレノイド126および第2のソレノイド136への電圧印加を制御する手段であり、例えば電圧印加回路を備えている。また、ロック制御部88は受信機12の給電制御部67を介してCPU61に接続されている。
ロック機構87は、駐車スペース3内に車両が進入したときにロック解除動作し、駐車スペース3から車両が退出したときにロック動作する。また、駐車スペース3に駐車した車両に給電が行われた場合、ロック機構87は、給電終了後、給電コネクタ72が保管口84Aに装着されたときにロック動作する。具体的には、駐車スペース3内に車両が進入したことを料金精算機11が車両センサ7により認識したとき、料金精算機11は当該駐車スペース3に対応する受信機12にロック解除指令を送信する。そして、このロック解除指令を受信した受信機12のCPU61は、ロック制御部88にロック解除制御信号を送信する。これに応じてロック制御部88は、後述するように第2のソレノイド136に電圧を印加し、これによりロック機構87は給電コネクタ72のロックを解除する。一方、駐車スペース3から車両が退出したことを料金精算機11が車両センサ7により認識したとき、料金精算機11は当該駐車スペース3に対応する受信機12にロック指令を送信する。そして、このロック指令を受信した受信機12のCPU61は、ロック制御部88にロック制御信号を送信する。これに応じてロック制御部88は、後述するように第1のソレノイド126に電圧を印加し、これによりロック機構87は給電コネクタ72をロックする。また、給電終了後、給電コネクタ72が保管口84Aに装着され、検知スイッチ86がONになったとき、受信機12のCPU61は、検知スイッチ86から出力される検知信号に基づいて、給電終了後に給電コネクタ72が保管口84Aに装着されたことを認識し、ロック制御部88にロック制御信号を送信する。これに応じてロック制御部88は、後述するように第1のソレノイド126に電圧を印加し、これによりロック機構87は給電コネクタ72をロックする。
ここで、ロック機構87の動作についてより具体的に説明する。図6(1)は給電コネクタ72が保管口84Aに装着される前のロック機構87の状態を示している。図6(2)は給電コネクタ72が保管口84Aに装着された後のロック機構87の状態を示している。図6(1)に示すように、略円筒凹形状の保管口84Aの奥側にはスリット部84Bが設けられ、スリット部84B内には、給電コネクタ保管部84内部に固定されたシャーシ121から突出した第3の支軸143を中心に回動可能に支持された第3のレバー142(検知レバー)の先端部142Bが位置している。第3のレバー142は第3の引張バネ144で図6(1)中の反時計方向の回動方向に付勢されているが図に示した姿勢にてスリット部84Bの右端に当接して停止している。また、この姿勢では第3のレバー142の基端部142Aはシャーシ121に固定された検知スイッチ86のアクチュエータ86Aには当接せず、検知スイッチ86はOFFの状態となっている。また、シャーシ121にそれぞれ固定された第1の支軸123、第2の支軸133には、第1のレバー122と第2のレバー132が回動可能に支持され、かつ第1の引張バネ124、第2の引張バネ134でそれぞれ付勢されて図の姿勢となっている。さらにシャーシ121には第1のソレノイド126と第2のソレノイド136が固定され、それぞれが第1のレバー122と第2のレバー132にプランジャ127、137を介して接続されている。図6(1)の状態はまだ給電コネクタ72が装着される前であるが、この状態では第1のレバー122は第1の引張バネ124によって付勢されて図6(1)中の反時計方向に回動する方向に付勢されているが第1の引張バネ124のバネ掛け部のピン125がストッパーとなり、図の姿勢で停止している。また、その際に第1のソレノイド126は解放状態であり、プランジャ127は第1のレバー122の基端部122Aに引っ張られて突出した状態となっている。さらに第2のレバー132は第2の引張バネ134で図6(1)中の時計方向に回動する方向に付勢されているが、第1のレバー122の基端部122Aの先端に対して第2のレバー132の端部132Aが当接して停止した状態となっている。この際に第2のソレノイド136は解放状態であり、プランジャ137は第2のレバー132に引っ張られて突出した状態となっている。
このような図6(1)に示す状態において、給電コネクタ72が挿入されると、まず、第3のレバー142の先端部142Bが給電コネクタの先端に押下されて図6(1)中の時計方向に回動させられ、図6(2)の状態になって停止する。その際には第3のレバー142の基端部142Aは検知スイッチ86のアクチュエータ86Aを押圧する位置に回動しており、検知スイッチ86はONとなる。検知スイッチ86がONになると、ロック制御部88は上述したロック制御信号に応じて第1のソレノイド126に電圧を印加し、プランジャ127を矢示A方向に吸引するように第1のソレノイド126を動作させる。すると第1のレバー122は図6(2)の姿勢に回動して先端部122Bが給電コネクタ72の先端溝部99に係合する。さらに第1のレバー122の姿勢が回動して図6(2)の位置に移行したために、第2のレバー132の端部132Aと第1のレバー122の基端部122Aとの位置関係が変化し、図6(2)で示すように、第2のレバー132の端部132Aの切欠部に第1のレバー122の基端部122Aが係止された状態となる。この状態で、先に電圧印加して吸引動作した第1のソレノイド126は、電圧印加を終了させてプランジャ127の吸引状態を解放しても、第1のレバー122は第2のレバー132の端部132Aの切欠部に係止されて元の姿勢に戻ることはできず、図6(2)の姿勢を維持する。ロック機構87のロック動作は以上のように、検知スイッチ86のONによって、一時的に第1のソレノイド126を電圧印加して吸引状態にするも、その後一定時間後に電圧印加を停止し、その後は図6(2)の状態が維持される。これにより給電コネクタ72を取り外し不能にロックして維持することが可能であり、その間には一切の電圧印加の必要もない。
一方、ロック解除は、図6(2)の状態から、第2のソレノイド136に電圧印加して吸引状態にすることで成される。すなわち、図6(2)の状態から第2のソレノイド136に電圧印加してプランジャ137を矢印B方向に吸引すると、第2のレバー132が第2の引張バネ134の付勢力に抗して図6(2)中の反時計方向に回動する。すると第2のレバー132の端部132Aの切欠部に係止されていた第1のレバー122が第1の引張バネ124の付勢力によって図6(2)中の反時計方向に回動する。その後一定時間後に第2のソレノイド136の電圧印加を停止しても、すでに第1のレバー122は図6(1)の状態の姿勢に移行しており、第2のレバー132は図6(1)の状態まで回動して停止する。これにより、給電コネクタ72をロック解除して取り外し可能な状態を維持することが可能であり、その間には一切の電圧印加の必要もない。
一方、給電機本体71の筐体81の側面側には、ケーブル収納部85が設けられている。ケーブル収納部85は給電ケーブル73を収容する機構であり、ケーブル収容部85内には、給電ケーブル73を巻き取るためのケーブルリール(図示せず)が設けられている。
他方、給電コネクタ72は、駐車スペース3に駐車された車両に給電を行うために、車両の給電口(例えば図4中の車両200の給電口201)に着脱可能に接続されるコネクタである。図7(1)は、給電コネクタ72が車両の給電口に接続された状態を示し、図7(2)は、給電コネクタ72が車両の給電口に接続されていない状態を示している。図7(2)に示すように、給電コネクタ72は、接続胴部91と、接続胴部91の基端側に設けられたハンドル部92と、接続胴部91の先端側に設けられたソケット部93とから全体的に見てL字状に形成されている。給電コネクタ72は、給油ノズルと似た形状をしており、燃料を供給するという点では給油ノズルと似ているので、給電ノズルと呼んでもよい。接続胴部91とハンドル部92とは互いに固定され、または一体形成されている。ソケット部93は接続胴部91に対して容易に(少ない摩擦力でスムーズに)回転することができる。ソケット部93の先端内側には、給電用の接続端子が設けられている。ソケット部93の先端外側には、ロック機構87の第1のレバー122と係合する先端溝部99が形成されている。また、ハンドル部92の基端側(下端側)には給電ケーブル73が接続されている。給電を行うときには、給電コネクタ72のソケット部93を、車両の給電口と接続する。これにより、ソケット部93内側の接続端子が、車両給電口内の接続端子と接触し、これにより、給電機本体71(給電部82)が例えば車両のバッテリ充電回路等と電気的に接続され、給電が可能になる。接続胴部91に対してソケット部93は容易に回転するので、ソケット部93が給電口に接続されたときには、接続胴部91に対して屈曲して伸びるハンドル部72とその基端側に接続された給電ケーブル73の重みにより、ハンドル部92の基端側が下向きとなるように接続胴部91およびハンドル部92等が、給電口に接続されて不動になったソケット部93に対して回転し、給電コネクタ72の姿勢が図5の上部に示す姿勢(以下、これを「給電接続姿勢」という。)に自然と定まる。
給電コネクタ72には、右発信部94、左発信部95、姿勢センサ96、給電接続センサ97および表示ランプ98が設けられている。右発信部94および左発信部95はそれぞれ、給電コネクタ72の内部に設けられ、または給電コネクタ72の外面に取り付けられている。右発信部94は、図7(1)に示すように、給電コネクタ72が車両の給電口に接続され、給電接続姿勢を取っているときに、給電口に向かって右側の方向に右信号RSを発信するように配置されている。左発信部95は、給電コネクタ72が車両の給電口に接続され、給電接続姿勢を取っているときに、給電口に向かって左側の方向に左信号LSを発信するように配置されている。例えば、給電コネクタ72が車両の給電口に接続され、給電接続姿勢を取っている状態で、右発信部94はハンドル部92の右側周部に取り付けられ、左発信部95はハンドル部92の左側周部に取り付けられている。
給電開始時において、右発信部94は右信号RSを発信し、左発信部95は左信号LSを発信する。右信号RSおよび左信号LSはいずれも指向性を有する電磁波、電波、音波、超音波または赤外線であることが望ましく、例えばマイクロ波が望ましい。右信号RSと左信号LSとは相互に異なる。例えば、右信号RSと左信号LSは互いに周波数が異なる。例えば、右信号RSの周波数が300MHzである場合、左信号LSの周波数が450MHzである。受信機12は、例えばフィルタ回路等を備え、右信号RSの周波数と左信号LSの周波数との相違に基づいて右信号RSと左信号LSとを識別することができる。また、上述したような右発信部94および左発信部95の配置により、給電コネクタ72が車両の給電口に接続されて給電接続姿勢を取っているときに、給電口に向かって右側の方向に右信号RSが発信され、左側の方向に左信号LSが発信される。すなわち、両信号の発信方向ないし伝搬方向は互いにおよそ180度異なる。
また、右信号RSおよび左信号LSの双方には、駐車スペース識別情報が重畳されている。上述したように、駐車管理システム1が有する複数の給電機13は、駐車場2に設けられた複数の駐車スペース3に一対一に対応している。そして、複数の駐車スペース3にはそれぞれ異なる駐車スペース番号が割り当てられている。駐車スペース識別情報は、複数あり、複数の駐車スペース番号にそれぞれ対応している。すなわち、複数の給電機13のそれぞれには、それぞれ異なる駐車スペース識別情報が割り当てられており、各給電機13の給電コネクタ72に設けられた右発信部94および左発信部95からそれぞれ発信される右信号RSおよび左信号LSには、当該給電機13に割り当てられた駐車スペース識別情報が重畳される。つまり、給電機13が異なれば、右信号RSおよび左信号LSに重畳される駐車スペース識別情報は異なるが、同一の給電機13において右信号RSに重畳される駐車スペース識別情報と左信号LSに重畳される駐車スペース識別情報は同一である。これにより、複数の給電機13の給電コネクタ72に設けられた右発信部94から右信号RSが同時に発信された場合でも、受信機12は、右信号RSに重畳された駐車スペース識別情報に基づいて、受信した右信号RSがいずれの給電機13の給電コネクタ72に設けられた右発信部94から発信されたかを認識することができる。複数の給電機13の給電コネクタ72に設けられた左発信部95から左信号LSが同時に発信された場合も同様である。
姿勢センサ96は、給電コネクタ72が車両の給電口に接続されたときに給電コネクタ72の姿勢を検出するセンサである。姿勢センサ96は、車両の給電口に接続された給電コネクタ72が給電接続姿勢をとっているか否かを調べるために用いられる。姿勢センサ96は、図7(1)に示すように、給電コネクタ72の接続胴部91またはハンドル部92の内部に設けられている。姿勢センサ96として、例えば、加速度センサ、または重力や浮力によって移動する検出子(例えば小さな球体等)を用いることができる。
給電接続センサ97は、給電コネクタ72が車両の給電口に接続されたか否かを検出するセンサである。給電接続センサ97は、例えばソケット部93等に設けられている。さらに、給電コネクタ72の外面には、給電中に点灯し、そうでないときに消灯する表示ランプ98が設けられている。
給電ケーブル73は、給電機本体71と給電コネクタ72とを接続するケーブルである。給電が行われず、給電コネクタ72が給電機本体71の給電コネクタ保管部84に装着されているときには、給電ケーブル73はケーブル収納部85に設けられたケーブルリールに巻き取られている。一方、給電を行うときには、利用者は、給電コネクタ72を手に持って軽く引っ張ることにより、その力によりケーブルリールが回転し、給電ケーブル73が引き出される。図4に示すように、車両の側面に設けられた給電口に給電コネクタ72が接続されるときには、給電ケーブル73の引き出し量が大きくなる。一方、図11に示すように、車両の前側または後ろ側に設けられた給電口に給電コネクタ72が接続されるときには、給電ケーブル73の引き出し量は小さい。
(給電コネクタの位置検出と給電条件)
図8、図9および図11は、一の駐車スペース3に駐車した車両に給電するために設置されている給電機13の給電コネクタ72が当該一の駐車スペース3に駐車している車両の給電口に接続されている状態を示している。これは正常な状態である。一方、図10および図12は、一の駐車スペース3に駐車した車両に給電するために設置されている給電機13の給電コネクタ72が他の駐車スペース3に駐車している車両の給電口に接続されている状態を示している。これは誤った状態、あるいは不正が行われている状態である。
まず、図8に示す正常な状態について説明する。図8において、一の駐車スペース3(例えば図8中の中央の駐車スペース3)に駐車した車両に給電するために設置されている給電機13は、当該一の駐車スペース3の奥側において当該一の駐車スペース3と対応する位置に配置されている。図8では、この給電機13の給電機本体71にハッチングを付している。また、当該給電機13の給電コネクタ72の位置検出を主に行う受信機12は、当該一の駐車スペース3の手前側から奥側に向かってすぐ右側に配置された受信機12と、当該一の駐車スペース3の手前側から奥側に向かってすぐ左側に配置された受信機12である。図8では、これらの受信機12にハッチングを付している。図8に示すように、当該一の駐車スペース3内には車両200が駐車しており、当該車両200の給電口には、当該一の駐車スペース3に駐車した車両に給電するために設置されている給電機13の給電コネクタ72が接続され、この給電コネクタ72は給電接続姿勢をとっている。車両200の給電口は、当該一の駐車スペース3の手前側から奥側に向かって右側の方向に開口しているので、この給電口に接続された給電コネクタ72は、当該一の駐車スペース3の手前側から奥側に向かって右側に位置している。
このような状態で給電が開始されるとき、給電口に接続された給電コネクタ72に設けられた右発信部94から右信号RSが発信され、左発信部95から左信号LSが発信される。右信号RSは、給電口に向かって右側の方向に発信される。一方、左信号LSは、給電口に向かって左側の方向に発信される。これにより、右信号RSが十分な強度をもって伝搬される範囲は、図8中の一点鎖線で囲った範囲となり、左信号LSが十分な強度をもって伝搬される範囲は、図8中の破線で囲った範囲となる。この場合、当該一の駐車スペース3の手前側から奥側に向かってすぐ右側に配置された受信機12は右信号RSを受信する。また、この受信機12が、何らかの物体に反射した左信号LSを受信することがある。この結果、この受信機12において、右信号RSの受信強度が左信号LSの受信強度よりも大きくなる。一方、当該一の駐車スペース3の手前側から奥側に向かってすぐ左側に配置された受信機12は、何らの物体に反射した右信号RS、左信号LSを受信する可能性はあるが、受信したとしてもそれらの受信強度は極めて小さいので、右信号RSも左信号LSも実質的にみて受信していないといってよい。
以上より、一の駐車スペース3の手前側から奥側に向かってすぐ右側に配置された受信機12において、右信号RSの受信強度が左信号LSの受信強度よりも大きく、かつ当該一の駐車スペース3の手前側から奥側に向かってすぐ左側に配置された受信機12が右信号RSも左信号LSも実質的にみて受信していないときには、図8に示すように、当該一の駐車スペース3に駐車した車両に給電するために設置されている給電機13の給電コネクタ72が、当該一の駐車スペース3に駐車している車両の給電口に接続された正常な状態であると判断できる。ここで、一の駐車スペース3の手前側から奥側に向かってすぐ右側に配置された受信機12において、右信号RSの受信強度が左信号LSの受信強度よりも大きく、かつ当該一の駐車スペース3の手前側から奥側に向かってすぐ左側に配置された受信機12が右信号RSも左信号LSも実質的にみて受信していないことを「給電条件1」という。
次に、図9に示す正常な状態について説明する。図9において、一の駐車スペース3に駐車した車両に給電するために設置されている給電機13、および当該給電機13の給電コネクタ72の位置検出を主に行う受信機12は、図8の示す場合と同じであり、図9中においてもハッチングを付して明示している。図9に示すように、当該一の駐車スペース3内には車両300が駐車しており、当該車両300の給電口には、当該一の駐車スペース3に駐車した車両に給電するために設置されている給電機13の給電コネクタ72が接続され、この給電コネクタ72は給電接続姿勢をとっている。車両300の給電口は、当該一の駐車スペース3の手前側から奥側に向かって左側の方向に開口しているので、この給電口に接続された給電コネクタ72は、当該一の駐車スペース3の手前側から奥側に向かって左側に位置している。
このような状態で給電が開始されるとき、給電口に接続された給電コネクタ72に設けられた右発信部94から右信号RSが発信され、左発信部95から左信号LSが発信される。右信号RSは給電口に向かって右側の方向に発信され、左信号LSは給電口に向かって左側の方向に発信される。これにより、右信号RSが十分な強度をもって伝搬される範囲は、図9中の一点鎖線で囲った範囲となり、左信号LSが十分な強度をもって伝搬される範囲は、図9中の破線で囲った範囲となる。この場合、当該一の駐車スペース3の手前側から奥側に向かってすぐ左側に配置された受信機12は左信号LSを受信する。また、この受信機12が、何らかの物体に反射した右信号RSを受信することがある。この結果、この受信機12において、左信号LSの受信強度が右信号RSの受信強度よりも大きくなる。一方、当該一の駐車スペース3の手前側から奥側に向かってすぐ右側に配置された受信機12は、何らの物体に反射した左信号LS、右信号RSを受信する可能性はあるが、受信したとしてもそれらの受信強度は極めて小さく、それゆえ、左信号LSも右信号RSも実質的にみて受信していないといってよい。
以上より、一の駐車スペース3の手前側から奥側に向かってすぐ左側に配置された受信機12において、左信号LSの受信強度が右信号RSの受信強度よりも大きく、かつ当該一の駐車スペース3の手前側から奥側に向かってすぐ右側に配置された受信機12が左信号LSも右信号RSも実質的にみて受信していないときには、図9に示すように、当該一の駐車スペース3に駐車した車両に給電するために設置されている給電機13の給電コネクタ72が、当該一の駐車スペース3に駐車している車両の給電口に接続された正常な状態であると判断できる。ここで、一の駐車スペース3の手前側から奥側に向かってすぐ左側に配置された受信機12において、左信号LSの受信強度が右信号RSの受信強度よりも大きく、かつ当該一の駐車スペース3の手前側から奥側に向かってすぐ右側に配置された受信機12が左信号LSも右信号RSも実質的にみて受信していないことを「給電条件2」という。
次に、図10に示す、誤った状態あるいは不正行為が行われている状態について説明する。図10において、一の駐車スペース3に駐車した車両に給電するために設置されている給電機13、および当該給電機13の給電コネクタ72の位置検出を主に行う受信機12は、図8の示す場合と同じであり、図10中においてもハッチングを付して明示している。図10に示すように、当該一の駐車スペース3内には車両200が駐車している。また、当該一の駐車スペース3の右隣の他の駐車スペース3内には車両300が駐車している。そして、車両300の給電口には、当該一の駐車スペース3に駐車した車両に給電するために設置されている給電機13の給電コネクタ72が接続され、この給電コネクタ72は給電接続姿勢をとっている。車両300の給電口は、当該他の駐車スペース3の手前側から奥側に向かって左側の方向に開口しているので、この給電口に接続された給電コネクタ72は、当該一の駐車スペース3の手前側から奥側に向かって右側に位置し、かつ、当該他の駐車スペース3の手前側から奥側に向かって左側に位置している。
このような状態で給電が開始されるとき、給電口に接続された給電コネクタ72に設けられた右発信部94から右信号RSが発信され、左発信部95から左信号LSが発信される。右信号RSは給電口に向かって右側の方向に発信され、左信号LSは給電口に向かって左側の方向に発信される。これにより、右信号RSが十分な強度をもって伝搬される範囲は、図10中の一点鎖線で囲った範囲となり、左信号LSが十分な強度をもって伝搬される範囲は、図10中の破線で囲った範囲となる。この場合、当該一の駐車スペース3の手前側から奥側に向かってすぐ右側に配置された受信機12は左信号LSを受信する。また、この受信機12が、何らかの物体に反射した右信号RSを受信することがある。この結果、この受信機12において、左信号LSの受信強度が右信号RSの受信強度よりも大きくなる。一方、当該一の駐車スペース3の手前側から奥側に向かってすぐ左側に配置された受信機12は、何らの物体に反射した左信号LS、右信号RSを受信する可能性はあるが、受信したとしてもそれらの受信強度は極めて小さく、それゆえ、左信号LSも右信号RSも実質的にみて受信していないといってよい。
以上より、一の駐車スペース3の手前側から奥側に向かってすぐ右側に配置された受信機12において、左信号LSの受信強度が右信号RSの受信強度よりも大きく、かつ当該一の駐車スペース3の手前側から奥側に向かってすぐ左側に配置された受信機12が左信号LSも右信号RSも実質的にみて受信していないときには、図10に示すように、当該一の駐車スペース3に駐車した車両に給電するために設置されている給電機13の給電コネクタ72が、右隣の他の駐車スペース3に駐車している車両の給電口に接続された誤った状態または不正な状態であると判断できる。
これと同様に、一の駐車スペース3の手前側から奥側に向かってすぐ左側に配置された受信機12において、右信号RSの受信強度が左信号LSの受信強度よりも大きく、かつ当該一の駐車スペース3の手前側から奥側に向かってすぐ右側に配置された受信機12が左信号LSも右信号RSも実質的にみて受信していないときには、当該一の駐車スペース3に駐車した車両に給電するために設置されている給電機13の給電コネクタ72が、左隣の他の駐車スペース3に駐車している車両の給電口に接続された誤った状態または不正な状態であると判断できる。
次に、図11に示す正常な状態について説明する。図11において、一の駐車スペース3に駐車した車両に給電するために設置されている給電機13、および当該給電機13の給電コネクタ72の位置検出を主に行う受信機12は、図8の示す場合と同じであり、図11中においてもハッチングを付して明示している。図11に示すように、当該一の駐車スペース3内には車両400が駐車しており、当該車両400の給電口には、当該一の駐車スペース3に駐車した車両に給電するために設置されている給電機13の給電コネクタ72が接続され、この給電コネクタ72は給電接続姿勢をとっている。車両400の給電口は、当該一の駐車スペース3の奥側に向かって開口しているので、この給電口に接続された給電コネクタ72は、当該一の駐車スペース3の奥側に位置している。
このような状態で給電が開始されるとき、給電口に接続された給電コネクタ72に設けられた右発信部94から右信号RSが発信され、左発信部95から左信号LSが発信される。右信号RSは、給電口に向かって右側の方向に発信される。一方、左信号LSは、給電口に向かって左側の方向に発信される。この場合、当該一の駐車スペース3の手前側から奥側に向かってすぐ右側に配置された受信機12は左信号LSを受信する。また、この受信機12が、何らかの物体に反射した右信号RSを受信することがある。この結果、当該一の駐車スペース3の手前側から奥側に向かってすぐ右側に配置された受信機12において、左信号LSの受信強度が右信号RSの受信強度よりも大きくなる。これと同時に、当該一の駐車スペース3の手前側から奥側に向かってすぐ左側に配置された受信機12は右信号RSを受信する。また、この受信機12が、何らかの物体に反射した左信号LSを受信することがある。この結果、当該一の駐車スペース3の手前側から奥側に向かってすぐ左側に配置された受信機12において、右信号RSの受信強度が左信号LSの受信強度よりも大きくなる。
以上より、当該一の駐車スペース3の手前側から奥側に向かってすぐ右側に配置された受信機12において、左信号LSの受信強度が右信号RSの受信強度よりも大きく、かつ当該一の駐車スペース3の手前側から奥側に向かってすぐ左側に配置された受信機12において、右信号RSの受信強度が左信号LSの受信強度よりも大きいときは、図11に示すように、当該一の駐車スペース3に駐車した車両に給電するために設置されている給電機13の給電コネクタ72が、当該一の駐車スペース3に駐車している車両の給電口に接続された正常な状態であると判断できる。ここで、一の駐車スペース3の手前側から奥側に向かってすぐ右側に配置された受信機12において、左信号LSの受信強度が右信号RSの受信強度よりも大きく、かつ当該一の駐車スペース3の手前側から奥側に向かってすぐ左側に配置された受信機12において、右信号RSの受信強度が左信号LSの受信強度よりも大きいことを「給電条件3」という。
次に、図12に示す、誤った状態または不正な状態について説明する。図12において、一の駐車スペース3に駐車した車両に給電するために設置されている給電機13、および当該給電機13の給電コネクタ72の位置検出を主に行う受信機12は、図8の示す場合と同じであり、図12中においてもハッチングを付して明示している。図12に示すように、当該一の駐車スペース3には車両400が駐車しており、当該一の駐車スペース3の右隣の他の駐車スペース3内には車両500が駐車しており、当該車両500の給電口には、前記一の駐車スペース3に駐車した車両400に給電するために設置されている給電機13の給電コネクタ72が接続され、この給電コネクタ72は給電接続姿勢をとっている。車両500の給電口は、当該他の駐車スペース3の奥側に向かって開口しているので、この給電口に接続された給電コネクタ72は、当該他の駐車スペース3の奥側に位置している。
このような状態で給電が開始されるとき、給電口に接続された給電コネクタ72に設けられた右発信部94から右信号RSが発信され、左発信部95から左信号LSが発信される。右信号RSは、給電口に向かって右側の方向に発信される。一方、左信号LSは、給電口に向かって左側の方向に発信される。この場合、当該一の駐車スペース3の手前側から奥側に向かってすぐ右側に配置された受信機12は右信号RSを受信する。また、この受信機12が、何らかの物体に反射した左信号LSを受信することがある。この結果、当該一の駐車スペース3の手前側から奥側に向かってすぐ右側に配置された受信機12において、右信号RSの受信強度が左信号LSの受信強度よりも大きくなる。これと同時に、当該一の駐車スペース3の手前側から奥側に向かってすぐ左側に配置された受信機12も右信号RSを受信する。また、この受信機12が、何らかの物体に反射した左信号LSを受信することがある。この結果、当該一の駐車スペース3の手前側から奥側に向かってすぐ左側に配置された受信機12においても、右信号RSの受信強度が左信号LSの受信強度よりも大きくなる。
以上より、当該一の駐車スペース3の手前側から奥側に向かってすぐ右側に配置された受信機12において、右信号RSの受信強度が左信号LSの受信強度よりも大きく、かつ当該一の駐車スペース3の手前側から奥側に向かってすぐ左側に配置された受信機12においても、右信号RSの受信強度が左信号LSの受信強度よりも大きいときは、図12に示すように、当該一の駐車スペース3に駐車した車両に給電するために設置されている給電機13の給電コネクタ72が、当該一の駐車スペース3の右隣の他の駐車スペース3に駐車している車両の給電口に接続された誤った状態または不正な状態であると判断できる。
同様に、当該一の駐車スペース3の手前側から奥側に向かってすぐ左側に配置された受信機12において、左信号LSの受信強度が右信号RSの受信強度よりも大きく、かつ当該一の駐車スペース3の手前側から奥側に向かってすぐ右側に配置された受信機12においても、左信号LSの受信強度が右信号RSの受信強度よりも大きいときは、当該一の駐車スペース3に駐車した車両に給電するために設置されている給電機13の給電コネクタ72が、当該一の駐車スペース3の左隣の他の駐車スペース3に駐車している車両の給電口に接続された誤った状態または不正な状態であると判断できる。
このように、駐車管理システム1では、車両の給電口に接続された給電コネクタ72の位置を検出することで、給電コネクタ72の車両給電口への接続が正常か否かを判断しているが、この検出・判断の処理において、当該一の駐車スペース3の手前側から奥側に向かってすぐ右側およびすぐ左側に配置された2機の受信機12は、当該一の駐車スペース3と対応する位置に配置された給電機13の給電コネクタ72に設けられた右発信部94および左発信部95から発信された右信号RSおよび左信号LSについて、受信強度の上記検出または判断を行う。これは、当該右信号RSおよび左信号LSに重畳されている駐車スペース識別情報に基づいて、当該右信号RSおよび当該左信号LSを、他の給電コネクタ72に設けられた右発信部94および左発信部95から発信された他の右信号RSおよび他の左信号LSから識別することにより実現している。また、受信機12は、右信号RSの周波数と左信号LSの周波数との相違に基づいて右信号RSと左信号LSとを識別している。
また、駐車管理システム1では、車両の給電口に接続された給電コネクタ72の位置を、給電口に向かって右側の方向に発信する右信号RSと、給電口に向かって左側の方向に発信する左信号LSとを用いて検出しているが、この検出は、車両の給電口に接続された給電コネクタ72が給電接続姿勢をとっていることを前提としている。本実施形態のように、給電コネクタ72の接続胴部91およびハンドル部92が給電口に接続されたソケット部93に対して自由に回転し、ハンドル部92や給電ケーブル73の重みにより自然に給電接続姿勢になる構成の場合には、ソケット部93を給電口に接続した状態で、接続胴部91およびハンドル部92を重力に抗して180度回転させることができてしまう。このように給電コネクタ72が給電接続姿勢から180度回転すると、受信機12に対する右発信部94と左発信部95との配置関係を逆になり、右信号RSと左信号LSとが相互に置き換わってしまう。この結果、図10や図12に示すような不正な接続状態であっても、上記給電条件1、2または3を満足させることができてしまう。しかし、駐車管理システム1では、このような不都合を、後述するように、姿勢センサ96により阻止する。
(駐車管理および給電の動作)
図13は、駐車管理システム1における料金精算機11の動作を示している。図13において、空車の駐車スペース3に車両が進入すると、当該駐車スペース3に埋設された車両センサ7がその旨を検出してONとなり(ステップS1:Y)。これに応じ、料金精算機11は駐車時間の計測を開始する。続いて、料金精算機11は、当該駐車スペース3に対応する受信機12にロック解除指令を送信する。これにより、ロック解除指令を受信した受信機12からロック制御部88へロック解除制御信号が送信され、ロック機構87による給電コネクタ72のロックが解除される(ステップS2)。これにより利用者は、給電コネクタ72を保管口84Aから取り外すことができるようになる。続いて、料金精算機11は、駐車時間の計測を開始してから入庫サービス時間が経過したか否かを判断する(ステップS3)。入庫サービス時間は、駐車スペース3に進入した後、極めて短時間で当該駐車スペース3から退出する車両があることを考慮し、駐車時間の計測を開始してからフラップ板6を立ち上げずに待機する時間であり、例えば3分ないし5分程度である。入庫サービス時間が経過したとき(ステップS3:Y)、料金精算機11は当該駐車スペース3に設けられたフラップ装置5を制御し、フラップ板6を上昇させて立ち上げる(ステップS4)。その後、当該駐車スペース3に駐車した車両について利用者が精算を行うのを待つ。そして、利用者による精算が完了したときには(ステップS5:Y)、料金精算機11は当該駐車スペース3に設けられたフラップ装置5を制御し、フラップ板6を下降させて寝かせる(ステップS6)。続いて、車両が当該駐車スペース3を退出すると、当該駐車スペース3に埋設された車両センサ7がその旨を検出してOFFとなる(ステップS7:Y)。続いて、この時点でロック機構87により給電コネクタ72がロックされていない場合には(ステップS8:N)、料金精算機11は、当該駐車スペース3に対応する受信機12にロック指令を送信する。これにより、ロック指令を受信した受信機12からロック制御部88へロック制御信号が送信され、ロック機構87により給電コネクタ72がロックされる(ステップS9)。これにより、処理は終了するが、その後直ちに、ステップS1から処理が再び始まる。
一方、フラップ板6が下降したにもかかわらず、車両が当該駐車スペース3から退出せず、出庫制限時間を経過した場合には(ステップS7:N、ステップS10:Y)、処理がステップS4に戻り、料金精算機11は再びフラップ板6を上昇させる。出庫制限時間は、精算完了後、車両が長時間駐車を継続した場合には再び課金をする必要があることを考慮して、一旦フラップ板6を下降させてから再びフラップ板6を上昇させるまでの時間であり、例えば5分ないし10分程度である。
また、ステップS2で駐車時間の計測が開始されてから、入庫サービス時間が経過するまでの間に、利用者が当該駐車スペース3に対応する給電機13の給電コネクタ72を、給電機本体71に設けられた給電コネクタ保管部84から取り外して車両の給電口に接続した場合には、当該給電コネクタ72に設けられた給電接続センサ97がその旨を検出してONになり(ステップS11:Y)、これに応じ、料金精算機11は当該駐車スペース3に設けられたフラップ装置5を制御し、フラップ板6を上昇させる(ステップS4)。そして、処理はステップS5およびS12を介してステップS21に移行する。また、入庫サービス時間経過後、精算前に、利用者が当該給電コネクタ72を、給電機本体71に設けられた給電コネクタ保管部84から取り外して車両の給電口に接続した場合にも、当該給電コネクタ72に設けられた給電接続センサ97がその旨を検出してONになり(ステップS12:Y)、処理はステップS21に移行する。
当該駐車スペース3に対応する給電機13の給電コネクタ72が車両の給電口に接続され、その旨が給電接続センサ97により検出されると、車両の給電口に接続された給電コネクタ72の位置が検出され、給電コネクタ72の接続が正常か否か判断される。すなわち、まず、給電接続センサ97の上記検出に応じて、当該給電コネクタ72の位置検出を行う受信機12が給電制御部67を介して当該給電コネクタ72に設けられた右発信部94および左発信部95を制御し、これら右発信部94および左発信部95から右信号RSおよび左信号LSをそれぞれ発信させる。そして、当該受信機12は、受信部65により受信された右信号RSおよび左信号LSの受信強度を測定し、上述した給電条件1、2および3のいずれかを満足するか否かを判断する。続いて、受信機12は、当該給電コネクタ72に設けられた姿勢センサ96の検出結果を受け取り、この検出結果に基づいて、当該給電コネクタ72が給電接続姿勢をとっているか否かを判断する(ステップS22)。そして、給電条件1、2および3のいずれかを満足し、かつ当該給電コネクタ72が給電接続姿勢をとっている場合には(ステップS22:Y)、受信機12は、右発信部94および左発信部95を制御して右信号RSおよび左信号LSの発信を停止させた後(ステップS23)、当該給電機13の給電機本体71内に設けられた給電部82を制御して給電を開始させる(ステップS24)。これと同時に、受信機12は給電時間の測定を開始する。なお、ステップS23で右信号RSおよび左信号LSの発信を停止させなくてもよいが、停止させることでエネルギーの消費を抑えることができると共に、他の駐車スペース3での給電コネクタ72の位置検出処理におけるノイズ軽減を図ることができる。完全に停止させるのではなく、一定の間隔で発信停止と発信とを繰り返してもよい。
続いて、車両のバッテリが満充電となったとき(ステップS25:Y)、あるいは利用者が給電コネクタ72を車両の給電口から外し、給電接続センサ97がその旨を検出したとき(ステップS32:Y)、受信機12は、給電部82を制御して給電を停止させる(ステップS26)。
一方、給電条件1、2および3のいずれも満足しない場合、または給電コネクタ72の姿勢が給電接続姿勢でない場合には(ステップS22:N)、受信機12は、例えばエラーメッセージを表示する旨を要求する指令等を料金精算機11に送信する。これに応じ、料金精算機は、給電がされない旨等を告げるエラーメッセージを表示器22に表示する。また、給電条件1、2および3のいずれも満足しない状態、または給電コネクタ72の姿勢が給電接続姿勢でない状態が所定の給電開始前制限時間継続した場合には(ステップS30:Y)、受信機12は右信号RSおよび左信号LSの発信を停止させる(ステップS31)。
他方、ステップS26で給電が停止した後、またはステップS30で給電が開始されないまま給電開始前制限時間経過した後、料金精算機11は当該給電コネクタ72が給電コネクタ保管部84の保管口84Aに装着されたか否かを判断する(ステップS27)。具体的には、上述したように、検知スイッチ86から出力される検知信号に基づいて受信機12が、当該給電コネクタ72の装着の有無を判断し、この判断結果を料金精算機11に送信し、これに基づいて、料金精算機11が当該給電コネクタ72の装着の有無を判断する。
利用者が当該給電コネクタ72を用いて給電を行った後、または当該給電コネクタ72を保管口84Aから取り外したものの、給電を行わなかったときには、利用者は、当該給電コネクタ72を保管口84Aに装着して、当該給電コネクタ72を元の保管位置に戻さなければ、駐車料金または給電料金の精算を行うことができない。利用者が当該給電コネクタ72を保管口84Aに装着した場合には、料金精算機11は、当該給電コネクタ72が保管口84Aに装着されたと判断し(ステップS27:Y)、受信機12にロック指令を送信する。これにより、ロック指令を受信した受信機12からロック制御部88へロック制御信号が送信され、ロック機構87により給電コネクタ72がロックされる(ステップS28)。その後、処理はステップS5に移行する。
一方、利用者が給電コネクタ72を保管口84Aに装着することなく精算を行おうとした場合には、料金精算機11がその旨を認識し(ステップS27:N、ステップS33:Y)、例えば「給電コネクタが返却されていません」といったエラーメッセージを表示部22に表示し、あるいはスピーカ28から音声出力する(ステップS34)。
他方、入庫サービス時間が経過する前に、車両が当該駐車スペース3から退出した場合には、料金精算機11はその旨を車両センサ7により検出し(ステップS13:N)、受信機12にロック指令を送信する。これにより、給電コネクタ72がロックされる(ステップS14)。これにより、処理は終了するが、その後直ちに、ステップS1から処理が再び始まる。
以上説明した通り、駐車管理システム1によれば、給電終了後等に、給電コネクタ72が給電コネクタ保管部84の保管口84Aに装着されないと精算処理を行わないので、精算を行うために利用者は給電コネクタ72を保管口84Aに戻すこととなる。この結果、給電コネクタ72が駐車スペース3内の地面や、駐車スペース3の近傍に放置されることを防止でき、放置された給電コネクタ72に車両が乗り上げて給電コネクタ72が破損することを防止できる。また、利用者に給電コネクタ72を保管口84Aに戻させるためには、給電コネクタ72を保管口84Aに戻していない利用者に対し、精算終了後に警報等を発しつつ、給電コネクタ72を保管口84Aに戻すまでフラップ板6を下降させない方法も有効であるが(図14参照)、この場合、利用者が警報に気が付かずに車両を動かし、車両がフラップ板6に衝突して、車両やフラップ板6が傷付くおそれがある。これに対し、本実施形態によれば、給電コネクタ72を保管口84Aに戻していない利用者は精算ができないので、利用者は給電コネクタ72を保管口84Aに戻していないことに確実に気が付き、車両とフラップ板6との衝突を防止できる。また、給電が行われない期間は、給電コネクタ72が保管口84Aに装着された状態でロックされるので、給電コネクタ72の脱落や、悪戯や不正行為目的による取り外しを防止できる。また、ロックおよびロック解除が自動的に行われるので、ロックし忘れや、利用者がロック解錠方法を知らないために給電を行えないといった不都合がない。
なお、上述した実施形態では、給電終了後等に、給電コネクタ72が給電コネクタ保管部84の保管口84Aに装着されないと精算処理を行わない場合を例にあげたが、本発明はこれに限らない。図14に示すように、給電コネクタ72が保管口84Aに装着されているか否かに拘わらず精算処理を行い、精算処理が完了した後に、給電コネクタ72が保管口84Aに装着されているか否かを判断し(ステップS41)、給電コネクタ72が保管口84Aに装着されるまで(ステップS41:N)、「給電コネクタが返却されていません」といったエラーメッセージの表示や警報音の出力を行うと共に(ステップS42)、フラップ板6を立ち上げた状態を維持する構成としてもよい。この場合、給電コネクタ72が保管口84Aに装着された後に(ステップS41:Y)、フラップ板6を下降させ(ステップS43)、車両が駐車スペース3から退出したことを車両センサ7により検出した後に(ステップS44:Y)、保管口84Aに装着された給電コネクタ72をロック機構87によりロックする(ステップS45)。また、フラップ板6を下降させてから駐車車両が退出せずに上記出庫制限時間が経過したときには(ステップS46:Y)、処理をステップS4に移行させる。
また、上述した実施形態では、複数の給電機13を複数の駐車スペース3ごとに1機ずつ配置する場合を例にあげたが、本発明はこれに限らない。例えば2つ以上の駐車スペース3に1機の給電機13を配置する構成としてもよい。この場合には、受信機12、右発信部94、左発信部95等を用いて行う給電コネクタ72の位置検出として他の方法を採用するか、この位置検出を排除してもよい。
また、上述した実施形態では、給電コネクタ72のロックについて、車両が駐車スペース3内に進入したときロックを解除し、車両が駐車スペース3から退出したとき、あるいは給電終了後等に給電コネクタ72が保管口84Aに装着されたときにロックする場合を例にあげたが、本発明はこれに限らない。ロック解除またはロックを別のタイミングで行ってもよい。また、ロック解除またはロックを手動で行うようにしてもよい。
さらに悪質な例として、給電コネクタ72を放置してフラップ装置5のフラップ板6を立ち上げた状態でもフラップ板6を乗り越えて出庫する車両があった場合など、フラップ装置5は車両センサ7の検知信号が一定時間OFFが継続したことで、不正な出庫を判断して復帰(フラップ板6を寝かせて、駐車時間や給電時間をリセット)させる事は可能であるが、依然として給電コネクタ72は駐車スペース3の近傍に放置される事になる。その様な場合には、前述の給電コネクタ72上の表示ランプ98を点滅させることで他の利用者に気付き易くさせることも有効である。加えて、給電コネクタ72や給電ケーブル73は目に付きやすい蛍光色や蓄光色とするとか、別途給電ケーブル73上にも発光点滅手段を設けるのも有効な手段である。
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う車両給電システムおよび駐車管理システムもまた本発明の技術思想に含まれる。