図1は本発明による無線通信部のオンオフ機能を備えた住警器(住宅用火災警報器)の外観を示した説明図であり、図1(A)に正面図を、図1(B)に側面図を示している。
図1において、本実施形態の住警器10の筐体はカバー12と本体14で構成され、この内部に各種機能部品が内蔵されている。カバー12の中央には、周囲に煙流入口を開口し、その内部には検煙部16が配置され、火災による煙が所定濃度に達したときに火災を検出するようにしている。
カバー12に設けた検煙部16の左下側には音響孔18が設けられ、この背後にブザーやスピーカを内蔵し、音声合成回路や音声アンプを介して警報音や音声メッセージを出力できるようにしている。検煙部16の下側には警報停止スイッチ20が設けられている。警報停止スイッチ20は住警器の機能点検を指示する点検スイッチとしての機能を兼ねている。たとえば、火災警報時に警報停止スイッチ20が操作されると警報を停止し、通常状態で警報停止スイッチ20が操作されると所定の機能点検を実施して結果を報知する。
警報停止スイッチ20は、半透明部材で形成されたスイッチカバーと、スイッチカバーの内部に配置されたタクトスイッチ(図示せず)とで構成されている。スイッチカバー内部のタクトスイッチ近傍には、点線で示すように警報表示を行うLED22が配置されており、LED22が点灯すると、警報停止スイッチ20のスイッチカバーの部分を透過してLED22の点灯状態が外部から分かるようにしている。
また本体14の裏側上部には取付フック15が設けられており、例えば設置する部屋の壁にビスなどをねじ込み、この取付フック15をビスに通すことで、壁面に住警器10を設置することができる。
なお図1の住警器10にあっては、検煙部16を備えた火災による煙を検出する住警器を例に取っているが、これ以外に火災による熱を検出するサーミスタ等の温度検出素子を備えた住警器や火災に伴うその他の物理現象を検出する住警器、火災以外にガス漏れを検出する警報器、侵入者や地震その他の異常を検出する各種の警報器、これらを組み合わせて成る警報器についても、本発明の対象に含まれる。
図2は住宅に対する本実施形態の警報システムの設置状態を示した説明図である。図2の例にあっては、住宅24に設けられている台所、居間、主寝室、子供部屋のそれぞれに本実施形態の火災を検出して警報する住警器10−1〜10−4が設置され、更に屋外に建てられたガレージ26にも住警器10−5が設置されている。
住警器10−1〜10−5は、無線通信部をオンする連動モードを設定することによりイベント信号を無線により相互に送受信して連動警報する機能を備え、住宅全体の火災監視を行っている。
住警器10−1〜10−5は無線通信部をオフする単独モードを設定することにより、設置場所の火災のみを監視・警報することもでる。住警器10−1〜10−5を連動モードに設定するか、単独モードに設定するかは、設置する建物や施設、設置場所の状況により選択することになる。また一部を連動モードとして連動させ、残りを単独モードとして単独動作させることも出来る。
ここでは、住警器10−1〜10−5を全て連動モードに設定して連動型の警報システムとした場合を例にとって監視動作を説明する。
いま住宅24の子供部屋で万一、火災が発生したとすると、住警器10−4が火災を検出して火災警報(異常警報)を開始する。この火災を検出して火災警報を開始することを、住警器における「発報」という。住警器10−4が発報すると、住警器10−4は連動元として機能し、連動先となる他の住警器10−1〜10−3,10−5に対し、火災を示すイベント信号を無線により送信する。他の住警器10−1〜10−3,10−5、連動元の住警器10−4からの火災を示すイベント信号を受信した場合に、警報音と警報表示により連動先としての火災警報動作を行う。
ここで連動元となった住警器10−4の警報音としては、例えば音声メッセージにより「ウーウー 火事です 火事です」を出力する。一方、連動先の住警器10−1〜10−3,10−5にあっては、「ウー ウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」といった音声メッセージを出力する。
また連動元となった住警器10−4の火災警報に伴う表示としては、例えばLED22を点灯させる。一方、連動先の住警器10−1〜10−3,10−5にあっては、LED22を点滅させる。これによって、連動元警報と連動先警報におけるLED50による警報表示を区別できるようにしている。
なお、連動元のLED22を点滅とし、連動先のLED22を明滅としても良いし、連動元警報と連動先警報のいずれについても、同じLED22の明滅または点滅、点灯表示であっても良い。
住警器10−1〜10−5が火災の警報を出している状態で、警報停止スイッチ20を操作すると、警報音及び警報表示の停止処理が行われる。このとき、警報停止処理についても他の住警器と連動するようにしても良い。
また住警器10−1〜10−5は、センサ障害や電池の電池電圧が低下してバッテリー切れに近付くローバッテリー障害を監視している。
例えば住警器10−1でセンサ障害を検出した場合は、連動元を示すセンサ障害の警報音としてスピーカから「ピッ、故障です」を所定回数連続出力し、その後は一定時間ごとに「ピッ、故障です」を所定回数出力する処理を繰り返す。またセンサ障害を検出した状態で警報停止スイッチ20による点検操作を検出すると、「ピッ、故障です 販売店に連絡して下さい」を1回出力する。また連動元を示す障害警報音に同期してLED22の点灯、点滅、明滅による表示を行う。
住警器10−1で検出されたセンサ障害は、例えば連動元でセンサ障害警報を出力する毎にイベント信号により他の住警器10−2〜10−5に送られ、連動先を示すセンサ障害の警報音としてスピーカから「ピッ 別の警報器が故障です」を出力する。また連動先を示す警報音に同期して連動元の駆動とは異なるLED22の点灯、点滅、明滅による表示を行う。
また住警器10−1で電池のローバッテリー障害を検出した場合は、連動元を示すローバッテリー障害の警報音としてスピーカから「ピッ、電池切れです」を所定回数連続出力し、その後は一定時間ごとに「ピッ、電池切れです」を所定回数出力する処理を繰り返す。また電池切れを検出した状態で警報停止スイッチ20による点検操作を検出すると、「ピッ、電池切れです 電池を交換して下さい」を1回出力する。また連動元を示すローバッテリー障害の警報音に同期してLED22の点灯、点滅、明滅による表示を行う。
住警器10−1で検出されたローバッテリー障害は、例えば連動元でローバッテリー障害警報を出す毎にイベント信号により他の住警器10−2〜10−5に送られ、連動先を示すローバッテリー障害の警報音としてスピーカから「ピッ 別の警報器が電池切です」を出力する。
住警器10−1〜10−5が障害警報を出している状態で、警報停止スイッチ20を操作すると、警報音及び警報表示の停止処理が行われる。このとき、警報停止処理についても他の住警器と連動するようにしても良い。
次に、例えばガレージ26に設置した住警器10−5を単独モードに設定した場合について動作を説明する。ガレージ26で万一、火災が発生したとすると、住警器10−5が火災を検出して発報する。住警器10−5が発報すると、警報音としては、例えば音声メッセージにより「ウーウー 火事です 火事です」を出力し、LED22を点灯させる。
住警器10−5が火災の警報を出している状態で、警報停止スイッチ20を操作すると、警報音及び警報表示の停止処理が行われる。
また住警器10−5は、センサ障害や電池の電池電圧が低下してバッテリー切れに近付くローバッテリー障害を監視しており、センサ障害を検出した場合は、センサ障害の警報音としてスピーカから「ピッ、故障です」を所定回数連続出力し、その後は一定時間ごとに「ピッ、故障です」を所定回数出力する処理を繰り返す。またセンサ障害を検出した状態で警報停止スイッチ20による点検操作を検出すると、「ピッ、故障です 販売店に連絡して下さい」を1回出力する。また障害警報音に同期してLED22の点灯、点滅または明滅による表示を行う。
また住警器10−5で電池のローバッテリー障害を検出した場合は、連動元を示すローバッテリー障害の警報音としてスピーカから「ピッ、電池切れです」を所定回数連続出力し、その後は一定時間ごとに「ピッ、電池切れです」を所定回数出力する処理を繰り返す。また電池切れを検出した状態で警報停止スイッチ20による点検操作を検出すると、「ピッ、電池切れです 電池を交換して下さい」を1回出力する。また連動元を示すローバッテリー障害の警報音に同期してLED22の点灯、点滅、または明滅による表示を行う。
住警器10−5が障害警報を出している状態で、警報停止スイッチ20を操作すると、警報音及び警報表示の停止処理が行われる。
図3は図2の警報システムに設けた住警器の実施形態を示したブロック図であり、図2に示した5台の住警器10−1〜10−5につき、その内の住警器10−1について回路構成を詳細に示している。他の住警器10−2〜10−5についても同様の構成となる。
住警器10−1と他の住警器10−2〜10−5を結ぶ矢印は、全てに連動モードを設定した場合に、それぞれが相互に通信することを示しているが、たとえば住警器10−2と住警器10−3なども相互に通信させるようにしている。
住警器10−1はワンチップCPUとして知られたプロセッサ28を備え、プロセッサ28に対してはアンテナ31を備えた無線通信部30、記録回路部(メモリ)32、センサ部34、報知部36、操作部38及び電池電源40を設けている。
無線通信部30には送信回路42と受信回路44が設けられ、他の住警器10−2〜10−5との間でイベント信号を無線により送受信できるようにしている。無線通信部30としては、日本国内の場合には、例えば400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格として知られたSTD−30(小電力セキュリティシステム無線局の無線設備標準規格)またはSTD−T67(特定小電力無線局テレメータ用、テレコントロール用及びデータ伝送用無線設備の標準規格)に準拠した構成を備える。
もちろん無線通信部30としては、日本国内以外の場所については、その地域の割当無線局の標準規格に準拠した内容を持つことになる。
また無線通信部30は操作部38に設けた無線オンオフスイッチ56の操作で連動モードを設定した場合は有効に動作するが、単独モードを設定した場合は動作を停止する。
記憶部としてのメモリ32には、イベント信号の順番を示す連続番号である連番48、各住警器を特定するID(識別子)となる送信元符号50及び図2のように住宅に設置した住警器10−1〜10−5で連動警報を行う連動グループを構成するためのグループ符号52が格納されている。連番48、送信元符号50及びグループ符号52は連動モードを設定した場合にのみ有効となる。即ち、他の警報器との間で信号の送受信を行わない場合には使用しない。
連番48は警報器間の通信に於いてイベント信号の中継処理等を管理するためのものであるが、本発明に直接関係しないので詳細な説明を省略する。
送信元符号50としては、国内に提供される住警器の数を予測し、例えば同一符号として重複しないように26ビットの符号コードが使用され、例えば、住警器のシリアル番号を利用する。
グループ符号52は連動グループを構成する複数の住警器に共通に設定される符号であり、無線通信部30で受信した他の住警器からのイベント信号に含まれるグループ符号がメモリ32に登録しているグループ符号52に一致したときに、このイベント信号を有効な信号として受信して処理することになるので、近隣の住宅等に設置された、連動を要しない他グループの警報器との不要な連動を回避出来る。
センサ部34には、煙を検出して信号を出力する検煙部16を設けている。センサ部34には検煙部16以外に、火災による温度を検出するサーミスタ等の温度検出素子や、火災に伴うその他の物理現象変化を検出する各種素子を設けてもよい。
報知部36には警報音を出力するスピーカ56と警報表示を行うLED22が設けられている。スピーカ56は、図示しない音声合成回路部からの音声メッセージや警報音を、図示しない増幅部を介して出力する。LED22は点滅や明滅、点灯などにより、火災などの異常を表示する。スピーカ56に代えて、ブザー等を用いても良い。
操作部38には警報停止スイッチ20と無線オンオフスイッチ58が設けられている。警報停止スイッチ20は、報知部36からスピーカ56により火災や障害の警報音を出力しているとき又はLED22により警報表示を行っているときにのみ警報停止スイッチとして機能する。例えば連動元を示す警報中に警報停止スイッチ20を操作すると、警報音及び警報表示はそのまま継続され、一方、連動先を示す警報中に警報停止スイッチ20を操作すると、警報音は停止するが、警報表示は停止または継続し、所定時間後に停止するといった警報停止処理が行われる。
一方、連動元または連動先を示す警報を行っていない通常監視状態で警報停止スイッチ20は点検スイッチとして機能し、この状態で警報停止スイッチ20を操作すると、所定の点検動作が実行されて報知部36から点検結果を示す音声メッセージなどが出力される。
なお、障害警報中に警報停止スイッチ20が操作された場合には、所定の点検を実施して結果を報知した後に障害警報停止処理を行うようにしても良い。このようにすれば、例えばセンサ故障等を再チェックした後に障害警報停止処理が行われるので、ユーザに対し、故障状態をより明確に認知させることが出来る。そして、このとき障害状態が解消している場合には、例えば「障害は解消しました」等のメッセージを出力して、障害停止処理に移行しても良い。
無線オンオフスイッチ58は図1の本体14の裏側などに設置した例えばディップスイッチまたはその他の切替スイッチであり、住警器10を単独モードで動作させたい場合は、無線オンオフスイッチ58をオフ位置に操作し、一方、連動モードで動作させたい場合は、無線オンオフスイッチ58をオン位置に操作しておく。このように、無線オンオフスイッチは連動オンオフスイッチと言い換えることも出来る。
単独モードと連動モードの選択は必ずしもスイッチによる必要はなく、別に設けた設定装置との間でコマンドを通信させて選択設定するなど、適宜の手段に代えることが出来る。
電池電源40は、例えば所定セル数のリチウム電池やアルカリ乾電池を使用しており、電池容量としては住警器10−1における無線通信部30を含む回路部全体の低消費電力化により、例えば10年の電池寿命を保証している。
プロセッサ28にはプログラムの実行により実現される機能として、無線オンオフ処理部60、連動警報処理部62及び単独警報処理部64が設けられている。
連動警報処理部62には、イベント検出部66、送信処理部68、受信処理部70、連動警報制御部72の機能が設けられ、単独警報処理部64にはイベント検出部74、単独警報制御部76の機能が設けられている。
無線オンオフ処理部60は、無線オンオフスイッチ58のオンを検出した場合は、連動警報処理部62の機能を有効とし、単独警報処理部64の機能を無効とし、且つ無線通信部30に電池電源40から電源を供給して住警器10−2〜10−5との間でイベント検出に応じた無線信号を送受信し、連動モードでの動作を行わせる。
また無線オンオフ処理部60は、無線オンオフスイッチ58のオフを検出した場合は、連動警報処理部62の機能を無効とし、且つ無線通信部30に対する電池電源40からの電源供給を遮断して停止状態とし、更に、単独警報処理部64の機能を有効として、単独モードでの動作を行わせる。
連動モードの設定で有効となった連動警報処理部62のイベント検出部66は、センサ部34による異常(火災)検出、操作部38による警報停止、センサ部34の異常検出がなくなる異常復旧等のイベントを検出する。
送信処理部68は、イベント検出部66によりセンサ部34による異常検出、操作部38による警報停止およびモード切り替え、センサ部34の異常検出がなくなる異常復旧等の自己のイベントを検出したときに、検出イベントを示すイベント信号を、無線通信部30から連動先の住警器に送信させる。受信処理部70は、住警器10−2〜10−5からのイベント信号を、無線通信部30を介して受信解読する。
連動警報制御部72は、イベント検出部66で異常として火災を検出したときにスピーカ56から連動元を示す警報音を出力すると共に、LED22を駆動して連動元を示す警報表示を行い、更に、異常火災を示すイベント信号を他の住警器に送信する。
具体的に説明すると、連動警報制御部72は、センサ部34に設けた検煙部16の煙検出信号からイベント検出部66で火災を検出したときに、報知部36のスピーカ56から連動元を示す警報音例えば「ウーウー 火事です 火事です」を繰り返し出力させると共に、LED22を点灯して連動元を示す警報表示を行い、更に、火災を示すイベント信号を無線通信部30の送信回路42によりアンテナ31から他の住警器10−2〜10−5に向けて送信させる。
また連動警報制御部72は、他の住警器10−2〜10−5のいずれかから火災を示すイベント信号を無線通信部30の受信回路44により受信し、受信処理部70で有効となったときに、報知部36のスピーカ56から連動先を示す警報音例えば「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」となる警報音を繰り返し出力させ、同時にLED22を点滅して連動先を示す警報表示を行う。
またイベント検出部66はセンサ障害とローバッテリー障害を検出する。センサ障害の検出は、所定の測定時間間隔T1、例えばT1=1秒間隔でセンサ部34の検煙部16から出力される煙検出信号をA/D変換により読み込んでメモリ32のバッファ領域に保持し、例えば所定の時間間隔T2=10分毎に、メモリ32のバッファ領域に保持している10分間ぶんの検出データの平均値を求め、この平均値が所定の基準レベル(零点レベルという)を下回った時に出力停止状態である等としてセンサ部16の障害と判定する。
このように煙濃度検出信号の10分間平均値が零点レベルを下回る原因は、検煙部16に設けている受光素子の断線、受光アンプの停止などの障害の発生したことによるものである可能性が高い。なお、センサ部16にサーミスタなどの温度検出素子を設けた場合には、その断線により検出信号の10分間平均値と所定の断線レベルを比較することでセンサ障害が試験結果として判定される。
ローバッテリー障害の検出は、所定の測定時間間隔T3、例えばT3=4時間間隔で電池電源40の電源電圧をA/D変換により読み込んで所定の閾値電圧と比較し、この閾値電圧以下のときにローバッテリー障害を判定し、更にローバッテリー障害の判定結果が連続して所定回数続いたときにローバッテリー障害を確定する。
連動警報制御部72は、イベント検出部66でセンサ障害又はローバッテリー障害を検出したときに、報知部36のスピーカ56からの警報音とLED22の第1の表示により連動元を示すセンサ障害又はローバッテリー障害警報を出力させる。また連動警報処理部72は、センサ障害又はローバッテリー障害を示すイベント信号を他の住警器10−2〜10−5に送信して連動先を示すセンサ障害又はローバッテリー障害警報を警報音と表示で行わせる。
更に連動警報制御部72は、他の住警器10−2〜10−5からセンサ障害又はローバッテリー障害を示すイベント信号を受信した時に、報知部36からの警報音と、LED22による第1の表示と異なる第2の表示による連動先を示すセンサ障害又はローバッテリー障害警報を出力させる。
連動警報制御部72は、イベント検出部66でセンサ障害を検出した場合、報知部36のスピーカ56から連動元(障害元)を示すセンサ障害の警報音としてたとえば「ピッ 故障です」を複数回連続出力し、同時にLED22を例えば点灯し、その後は一定時間毎に「ピッ 故障です」の音声出力とLED22による表示を複数回行う処理を繰り返す。
また連動警報制御部72は、センサ障害を示すイベント信号を他の住警器10−2〜10−5に送信することで、連動先を示すセンサ障害警報を警報音として「ピッ 別の警報器が故障です」を出力させ、同時にLED22により連動元とは異なる点滅表示を行わせる。
また連動警報制御部72は、イベント検出部66でローバッテリー障害を検出した場合、報知部36のスピーカ56から連動元(障害元)を示すローバッテリー障害の警報音としてたとえば「ピッ 電池切れです」を複数回連続出力し、同時にLED22を例えば点灯し、その後は、一定時間毎に「ピッ 電池切れです」とLED22による表示を複数回行う処理を繰り返す。
また連動害警報制御部72は、ローバッテリー障害を示すイベント信号を他の住警器10−2〜10−5に送信することで、連動先を示すローバッテリー障害警報を警報音として「ピッ 別の警報器が電池切れです」を出力させ、同時にLED22により連動元とは異なる点滅表示を行わせる。
更に連動警報制御部72は連動元を示すセンサ障害又はローバッテリー障害警報の出力中に操作部38に設けた警報停止スイッチ20の警報停止操作を検出した場合、自己の連動元を示す警報音を停止すると共に表示を所定時間継続させた後に停止し、更に連動先を示す障害警報出力中の警報器に警報停止信号を送信して警報音と表示を停止させる。
図4は本実施形態で連動モードを設定した場合に使用するイベント信号のフォーマットを示した説明図である。図4において、イベント信号46は連番48、送信元符号50、グループ符号52及びイベント符号54で構成されている。
連番48はイベント信号の順番を示す連続番号であり、イベント信号を送信する毎に1つずつ増加させる。また、連番48は住警器10−1〜10−5の各々で非同期に生成している。連番48は警報器間の通信に於いてイベント信号の中継処理等を管理するためのものであるが、本発明に直接関係しないので詳細な説明を省略する。
送信元符号50は例えば26ビットの符号である。グループ符号52は例えば8ビットの符号であり、同一グループを構成する例えば図1の住警器10−1〜10−5につき同じグループ符号が設定されている。
なおグループ符号52としては、同一グループの住警器に同一のグループ符号を設定する以外に、予め定めたグループを構成する住警器に共通な基準符号と、各住警器に固有な送信元符号との演算から求めた住警器ごとに異なるグループ符号であってもよい。
イベント符号54は、火災、ガス漏れなどのイベント内容を表す符号であり、本実施形態にあっては3ビット符号を使用しており、例えば「001」で火災、「010」でガス漏れ、「011」で盗難、「100」で警報停止、「101」で復旧、「110」でセンサ障害、「111」でローバッテリー障害としている。なおイベント符号42のビット数は、更に4ビット、5ビットと増加させることで、更に多くのイベント内容を表すことができる。
図5は単独モードの設定で有効に機能する部分を示した住警器10−1の説明図であり、有効に動作する部分を実線で示し、機能を停止する部分を破線で示している。
図5において、例えば操作部38に設けた無線オンオフスイッチ58をオフ位置に操作した状態で住警器10−1の電池電源40からの電源供給を開始すると、プロセッサ28の無線オンオフ処理部60が無線オンオフスイッチ58をオフを検出して単独モードを設定する。単独モードを設定すると、単独警報処理部64の機能が有効となり、連動警報処理部62の機能は破線で示すように停止する。また無線通信部30には電池電源40からの電源供給を遮断することで動作を停止する。更に、メモリ32に記憶している連番48、送信元符号50及びグループ符号52も記憶そのものは残っているが、単独制御からは無効化される。
単独モードの設定で有効となった単独警報処理部64のイベント検出部74は、イベント検出部66と同様にセンサ部34による異常検出、操作部38による警報停止、センサ部34の異常検出がなくなる異常復旧等のイベントを検出する。
単独警報制御部76は、イベント検出部74で自己の異常として火災を検出したときにスピーカ56から警報音例えば「ウーウー 火事です 火事です」を繰り返し出力させると共に、LED22を点灯して警報表示を行う。
また単独警報制御部76は、イベント検出部74でセンサ障害又はローバッテリー障害を検出したときに、報知部36のスピーカ56からの警報音とLED22の第1の表示によりセンサ障害又はローバッテリー障害警報を出力させる。
即ち、単独警報制御部76は、イベント検出部74でセンサ障害を検出した場合、報知部36のスピーカ56からセンサ障害の警報音としてたとえば「ピッ 故障です」を複数回連続出力し、同時にLED22を例えば点灯し、その後は一定時間毎に「ピッ 故障です」の音声出力とLED22による表示を複数回行う処理を繰り返す。
また単独警報制御部76は、イベント検出部74でローバッテリー障害を検出した場合、報知部36のスピーカ56からローバッテリー障害の警報音としてたとえば「ピッ 電池切れです」を複数回連続出力し、同時にLED22を例えば点灯し、その後は、一定時間毎に「ピッ 電池切れです」とLED22による表示を複数回行う処理を繰り返す。
更に単独報制御部76はセンサ障害又はローバッテリー障害警報の出力中に操作部38に設けた警報停止スイッチ20の警報停止操作を検出した場合、警報音を停止すると共に表示を所定時間継続させた後に停止させる。
図6は図3の住警器10−1における基本的な処理を示したフローチャートである。図6において、住警器10−1の電池電源40による電源供給が開始されると、ステップS1で初期化および自己診断を実行し、異常がなければステップS2に進み、無線オンオフスイッチ58のオン又はオフを判別し、無線オンを判別するとステップS3に進み、連動モードを設定して連動警報処理を実行する。一方、ステップS2で無線オフを判別した場合はステップS4に進み、単独モードを設定して単独警報処理を実行する。
図7及び図8は図6のステップS3における連動警報処理の一例を示したフローチャートであり、プロセッサ28のプログラムの実行による処理となる。
図7において、連動警報処理は、ステップS11で火災を監視しており、センサ部34から出力された煙検出信号が所定の火災レベルを超えると火災を判別してステップS12に進み、連番、送信元符号、グループ符号、火災を示すイベント符号を含むイベント信号を他の住警器に無線により送信した後、ステップS13でスピーカ56からの警報音とLED22の点灯による警報表示とにより連動元を示す火災警報を出力する。
続いて、ステップS14でセンサ部34からの煙検出信号が低下して火災状態が解消する火災復旧の有無を判別しており、火災復旧を判別するとステップS15で連番、送信元符号、グループ符号、火災復旧を示すイベント符号を含むイベント信号を他の住警器に送信した後、ステップS16でスピーカ56からの警報音とLED22の点灯による警報表示とにより連動元を示す火災警報を停止する。
続いてステップS17で警報停止スイッチ20の操作の有無を判別し、スイッチ操作が判別されるとステップS18で警報中の有無を判別する。ステップS18で警報中が判別されると、ステップS19に進んで連番、送信元符号、グループ符号、警報停止を示すイベント符号を含むイベント信号を他の住警器に送信し、ステップS20に進んで連動元を示すスピーカ56からの警報音を停止し、LED22の点灯による警報表示を消灯する。
またステップS18で警報中でなかった場合には、これは通常状態であることからステップS21に進んで連番、送信元符号、グループ符号、点検を示すイベント符号を含むイベント信号を他の住警器に送信し、ステップS22に進んで連動元を示すスピーカ56からのその時の住警器の状態を示す点検メッセージを出力させる。
続いて図8のステップS23で他の住警器からの火災を示すイベント信号受信の有無を判別している。他の住警器からの火災を示すイベント信号受信を判別すると、ステップS24に進んで連動先を示す火災警報としてスピーカ56からの警報音とLED22の点滅による警報表示を行う。
次にステップS25で他の住警器からの火災復旧を示すイベント信号受信の有無を判別しており、火災復旧を示すイベント信号を受信すると、ステップS26に進んで連動先の警報として行っているスピーカ56からの警報音とLED22の点滅による警報表示を停止する。
次にステップS27で他の住警器からの警報停止を示すイベント信号の受信の有無をチェックしており、警報停止を示すイベント信号の受信を判別すると、ステップS28に進んで警報中の有無を判別し、警報中を判別するとステップS29に進んで連動元または連動先の警報音を停止し、警報表示も停止させる。
次にステップS30で他の住警器からの点検を示すイベント信号の受信の有無をチェックしており、点検を示すイベント信号の受信を判別すると、ステップS31に進んで住警器の状態を示す点検結果メッセージをスピーカ56から出力させる。
図9は図6のステップS4における単独警報処理の一例を示したフローチャートであり、プロセッサ28のプログラムの実行による処理となる。
図9において、単独警報処理は、ステップS41で火災を監視しており、センサ部34から出力された煙検出信号が所定の火災レベルを超えると火災を判別してステップS42に進み、スピーカ56からの警報音とLED22の点灯による警報表示とにより火災警報を出力する。
続いて、ステップS43でセンサ部34からの煙検出信号が低下して火災発報がなくなる火災復旧の有無を判別しており、火災復旧を判別するとステップS44でスピーカ56からの警報音とLED22の点灯による警報表示を停止させる。
続いてステップS45で警報停止スイッチ20の操作の有無を判別し、スイッチ操作が判別されるとステップS46で警報中の有無を判別する。ステップS46で警報中が判別されると、ステップS47に進んで連動元を示すスピーカ56からの警報音を停止し、LED22の点灯による警報表示を消灯する。
またステップS46で警報中でなかった場合には、これは通常状態であることからステップS48に進んでスピーカ56からのその時の住警器の状態を示す点検結果メッセージを出力させる。
なお、図4のイベント信号に連動モード/単独モードを示すイベント符号を設けて送受信することも出来るし、イベント符号とは別に連動オンオフ(無線オンオフ)を示すビットを設けて送受信するようにしても良い。そして、例えば無線オンオフスイッチの操作によりモードが切り替えられたときには、その旨を他の住警器に送信するようにし、連動関係にある住警器を再認識するようにし、通信エラー等の誤判定を避けるようにすることも出来る。
また、上記の実施形態は親機と子機の区別がないシステムを例に取るものであったが、住警器10−1を親機としてその他を子機とし、図3の矢印の経路でのみ通信させるようにしたシステムにおいても、本発明を適用できる。このとき、親機を除く他の子機は、無線オンオフスイッチ58の操作によって単独モードで動作させることが出来るようになる。親機を単独モードとしたときには、残りの全ての子機も単独モードにしておく必要がある。
また、上記の実施形態は火災を検出して警報する住警器を例にとるものであったが、ガス漏れ警報器、CO警報器、各種の防犯用警報器を配置した警報システムについても同様に適用できる。
また上記の実施形態におけるフローチャートは処理の概略例を説明したもので、処理の順番等はこれに限定されない。また各処理や処理と処理の間に必要に応じて遅延時間を設けたり、他の判定を挿入する等が出来る。
また上記の実施形態で述べた「受信がある」、「受信が無い」、「受信した場合」、「受信を判別」等は、受信した信号が有効なものとして認識されたか否かの判定も含んでいる。
また、警報器の規格等によっては、上記実施形態のLEDによる表示が「警報」と認められない場合があるが、本発明では規格上「警報」に含まれるか否かに関わらず、警報表示、警報に伴う表示、または単に表示として記載している。本発明の目的を達成できるものであれば、どのような表示手段を用いても構わない。そして、表示部は警報器と別体に設けられていても良い。
また、上記の実施形態では、電池電源によって動作する住警器を例に取ったが、電池電源以外の電源で動作するものにも本発明を適用できる。
また、上記の実施形態では、センサ障害とローバッテリー障害を例に取ったが、その他の障害についても同様に実施できる。
また、上記の実施形態は住宅用に限らずビルやオフィス用など各種用途の警報器にも適用できる。
また、上記の実施形態は警報器にセンサ部と警報出力処理部を一体に設けた場合を例にとるが、他の実施形態として、センサ部と警報出力処理部を別体とした警報器であっても良い。
また本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。