図1は住宅に対する本発明による警報システムの設置状態を示した説明図である。図1の例にあっては、住宅24に設けられている居間、台所、子供部屋、主寝室、階段室のそれぞれに火災を検出して警報する無線式の住警器(住宅用火災警報器)10−1〜10−6が設置され、FM電波環境の良い廊下には緊急地震速報装置25と中継アダプタ26が設置されている。ここで、緊急地震速報装置25は特許請求の範囲に記載した地震速報装置に対応する。
住警器10−1〜10−6は、イベント信号を無線により相互に送受信する機能を備え、住宅全体の火災監視を行っている。いま住宅24の台所で万一、火災が発生したとすると、住警器10−2が火災を検出して警報を開始する。この火災を検出して警報を開始することを、住警器における「発報」という。住警器10−2が発報するとき、住警器10−2は連動元として機能し、連動先となる他の住警器10−1,10−3〜10−6に対し、火災発生を示すイベント信号を無線により送信する。他の住警器10−1,10−3〜10−6は、連動元の住警器10−2からの火災発生を示すイベント信号を受信した場合に、警報音と警報表示により連動先としての警報動作を行う。
住警器が検出する自己のイベント(警報器イベントという)としては、上述の火災発生だけでなく、火災復旧、警報停止操作、また緊急地震速報や緊急地震速報試験の停止等があり、また他の警報器や装置からの各種イベント信号受信も含まれる。これらについては後述する。
連動元となった住警器10−2の警報警報動作としては、例えば「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」といった音声メッセージによる警報音を出力する。一方、連動先の住警器10−1,10−3〜10−6にあっては、警報動作として「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」といった音声メッセージによる警報音を出力する。
また連動元となった住警器10−2の警報に伴う表示(警報表示という)としては、例えばLED22(後述)を点灯させる。一方、連動先の住警器10−1,10−3〜10−6にあっては、LED22を点滅させる。これによって、連動元警報と連動先警報におけるLED22による警報表示を区別できるようにしている。
なお、連動元のLED22を点滅とし、連動先のLED22を明滅としても良いし、連動元警報と連動先警報のいずれについても、同じLED22の明滅または点滅、点灯表示であっても良い。また例えば赤色LEDと黄色LEDを設け、連動元は赤色LEDを駆動し、連動先は黄色LEDを駆動するといった2色表示としても良い。もちろん、2つのLEDを一体として、赤色と黄色の両方を発光可能な2色LEDが採用できる。
住警器10−1〜10−6が警報音を出している状態で、警報停止スイッチ20(後述)を操作すると、警報音及び警報表示の停止処理が行われる。
このとき例えば、連動元である住警器10−2で警報停止操作が行われた場合には、全ての住警器10−1〜10−6(以下、住警器10−1〜10−6を区別しないで総称する場合には、住警器10という)の警報(警報音出力および/または警報表示出力)を停止し、連動先である住警器10−1,10−3〜10−6の何れかで警報停止操作が行われた場合には、住警器10−2の警報は停止せず、住警器10−1,10−3〜10−6の警報を停止するようにする。また、次に説明する緊急地震速報装置25や中継アダプタ26からも、同様に警報器の警報停止操作を行うことが出来るようにしても良い。
緊急地震速報装置25は、自己のイベントとして例えばFM放送による緊急地震速報信号を検出して再生出力すると共に移報信号線で接続された中継アダプタ26に移報信号を出力する。ここで、緊急地震速報装置25で検出するイベントは特許請求の範囲に記載した装置イベントに対応する。緊急地震速報装置が検出するイベントとしては、上述の緊急地震速報信号受信の他に操作部の操作、住警器10や中継アダプタ26(後述)等からのイベント信号や移報信号受信等がある。
緊急地震速報装置25は、FM放送による緊急地震速報信号を検出して再生出力すると共に移報信号線で接続された中継アダプタ26に緊急地震速報を示す移報信号を出力する。ここで、FM放送による緊急地震速報は「(チャイム音2回)緊急地震速報です。強い揺れに警戒してください。」を2回繰り返すようになっており、そこで緊急地震速報装置25は、例えば最初のチャイム音の信号を解析して緊急地震速報信号の受信を判定検出した場合に受信待機状態から再生動作に切り替わり、続く「緊急地震速報です。強い揺れに警戒してください。」を、自己のスピーカから設定音量で出力させる。
中継アダプタ26は緊急地震速報装置25から出力された移報信号に基づいて緊急地震速報を示すイベント信号を住警器10に無線送信する。ここで、中継アダプタ26が送信するイベント信号は、特許請求の範囲に於けるアダプタイベント信号に対応する。
本実施形態の住警器10は、緊急地震速報装置25及び中継アダプタ26の設置に伴い、中継アダプタ26から緊急地震速報を示すアダプタイベント信号を受信した場合に、緊急地震速報を示す情報を音声メッセージとして出力する。緊急地震速報を示す情報を示す音声メッセージとしては例えば「ピーピー 緊急地震速報です。強い揺れに警戒してください。」をとする。
また中継アダプタ26は住警器10から火災を示すイベント信号を受信すると、火災を示す移報信号を緊急地震速報装置25に出力する。緊急地震速報装置25は中継アダプタ26から火災を示す移報信号を受信すると、火災警報音を出力する。火災警報音は例えば「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」といった音声メッセージとする。また緊急地震速報装置25は火災警報音と共にLEDの点灯、点滅、明滅などにより火災を表示しても良い。
なお、イベント信号に住警器を特定する識別符号(ID)が含まれる場合には、緊急地震速報装置25でそれを解読し、住警器10の何れが火災警報を発したかが判る音声メッセージ内容や表示内容にすることができる。先述の通り、相互連動型の住警器システムは専用の受信機を持たないが、このようにすれば、緊急地震速報装置25を、所謂火災報知設備における火災受信機の役割を担う装置として利用することができ、住警器の火災監視網を一括管理することが可能になる。
また中継アダプタ26には試験スイッチが設けられており、試験スイッチを操作すると緊急地震速報試験を示すアダプタイベント信号を送信する。そしてこれを受信した住警器10から緊急地震速報試験を示す情報が音声メッセージ等で報知される。緊急地震速報試験を示す情報を報知する音声メッセージは例えば「ピーピー 緊急地震速報の試験です。」とする。
また中継アダプタ26の試験スイッチを操作すると火災を示す試験移報信号が緊急地震速報装置25に出力され、警報報知の試験として例えば「ウーウー 火災試験です」といった音声試験メッセージを出力する。
つまり本実施の形態では、中継アダプタ26の試験スイッチを操作すると、住警器10に対しては緊急地震速報試験を示すアダプタイベント信号を送信し、緊急地震速報装置に対しては火災試験を示す移報信号が送信される。このようにすることで、中継アダプタ26からは警報器への緊急地震速報連動と緊急地震速報装置への火災警報連動の試験を一度に行うことが出来る。
試験スイッチによる試験の実施についてはこのような形態に限らず、試験スイッチを操作すると住警器と緊急地震速報装置両方に火災試験を示すアダプタイベント信号又は移報信号を送信しても良いし、同じく両方に緊急地震速報試験を示すアダプタイベント信号または移報信号を送信しても良い。もちろん、試験スイッチの押分操作によって火災試験と緊急地震速報試験を選択して行わせても良い。また火災試験を指示する試験スイッチと緊急地震速報試験を指示する試験スイッチを別々に設けても良い。
なお、緊急地震速報装置25を住警器10の何れかと同じ場所に設置した場合には、両方から緊急地震速報が音声出力されて聞き取り辛くなる。そこで本実施形態にあっては住警器10に緊急地震速報の出力を禁止する禁止モードをディップスイッチなどにより設定可能としており、緊急地震速報装置25と同じ場所(警報、報知範囲が重複する場所)に設置される住警器については禁止モードを設定しておくことで、中継アダプタ26から緊急地震速報を示すイベント信号を受信しても、緊急地震速報を示す情報は出力しないようにする。禁止モード設定機能は、同じ場所に複数の住警器が設置されている場合にも同じように利用することが出来る。
このように、禁止モード設定機能は住警器側に設けられても良いが、一般的には住警器のほうが緊急地震速報装置に比べて設置台数が多いことが想定されるので、システム機器の全体コスト等を考慮して、緊急地震速報装置25に設けるものとしても良い。このようにすれば、設置台数の多い住警器に禁止モード設定機能を搭載する必要が無くなり、システム機器の全体コストを抑えることが出来、禁止モード設定の有無を確認する場合も緊急地震速報装置のみについて行えば良いなど、運用が複雑になることを防ぐ効果がある。
また、緊急地震速報装置と住警器の重複報知と住警器同士の重複報知を併せて考慮する場合には、住警器と緊急地震速報装置の両方に禁止モード設定機能を設けて、設置状況等に応じてそれぞれに設定できるようにしても良い。このとき当然、同じ場所に緊急地震速報装置が複数設置される場合の、緊急地震速報装置同士の重複報知も回避するよう設定が可能となる。
もちろん、警報や報知音が重複して出力されるような設置状況であっても、必ずしも禁止モード設定を利用する必要は無く、利用者の判断で適宜に選択して設定する。
図2は本発明による無線式の住警器の外観を示した説明図であり、図2(A)に正面図を、図2(B)に側面図を示している。
図2において、本実施形態の住警器10の筐体はカバー12と本体14で構成されている。カバー12の中央には、周囲に複数の煙流入口を開口し、その内部には検煙部16が配置され、火災による煙が所定濃度に達したときに火災を検出するようにしている。
カバー12に設けた複数の開口部の内部には検煙部16を備え、検煙部16の左下側には音響穴18が設けられ、この背後にブザーやスピーカを内蔵し、警報音や音声メッセージを出力できるようにしている。検煙部16の下側には警報停止スイッチ20が設けられている。
警報停止スイッチ20は住警器10の機能点検を指示する点検スイッチとしての機能を兼ねている。たとえば、火災警報時に警報停止スイッチ20が操作されると警報を停止し、通常状態で警報停止スイッチ20が操作されると機能の自己点検を実施して結果を報知する。
警報停止スイッチ20は、半透明部材で形成されたスイッチカバーと、スイッチカバーの内部に配置されたタクトスイッチ(図示せず)とで構成されている。スイッチカバー内部のタクトスイッチ近傍には、点線で示すように警報表示を行うLED22が配置されており、LED22が点灯、点滅、明滅作動すると、作動光が警報停止スイッチ20のスイッチカバーの部分を透過してLED22の作動状態が外部から分かるようにしている。
また本体14の裏側上部には略中央部に挿通孔を有する取付フック15が設けられており、設置する部屋の壁にビスなどをねじ込み、この取付フック15の挿通孔にビスを通して引っかけることで、壁面に住警器10を所謂壁掛け状に固定設置することができる。
なお図1の住警器10にあっては、検煙部16を備え、火災による煙を検出する住警器を例に取っているが、これ以外に火災による熱を検出するサーミスタ等の温度検出素子を備えた住警器や火災に伴うその他の物理現象を検出する住警器、火災以外にガス漏れを検出する警報器、侵入者や地震その他の異常(異状)を検出する各種の警報器、これらを組み合わせて成る警報器についても、本発明の対象に含まれる。そして、本発明の警報システムは、これら各種の警報器を混在させて構成しても良い。
図3は図1の警報システムに設けた緊急地震放送受信機、中継アダプタ及び住警器の実施形態を示したブロック図であり、住警器は居間に設置した住警器10−1について示しているが、他の住警器10−2〜10−5についても同様の構成となる。
住警器10−1はワンチップCPUとして知られたプロセッサ28を備え、プロセッサ28に対してはアンテナ31を備えた無線通信部30、記録回路部(メモリ)32、センサ部34、報知部36、操作部38及び電池電源40を設けている。
無線通信部30には送信回路42と受信回路44が設けられ、他の住警器10−2〜10−5との間でイベント信号を無線により送受信できるようにし、更に中継アダプタへイベント信号を送信できるようにし、また中継アダプタ26からのアダプタイベント信号を受信できるようにしている。
無線通信部30としては、日本国内の場合には、例えば400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格として知られたSTD−30(小電力セキュリティシステム無線局の無線設備標準規格)またはSTD−T67(特定小電力無線局テレメータ用、テレコントロール用及びデータ伝送用無線設備の標準規格)に準拠した構成を備える。
もちろん無線通信部30としては、日本国内以外の場所については、その地域の割当無線局の標準規格に準拠した内容を持つことになる。
記憶部としてのメモリ32には、イベント信号の順番を示す連続番号である連番48、各住警器を特定するID(自己の識別子)となる送信元符号50、図1のように住宅に設置した住警器10−1〜10−6で連動警報を行う連動グループを構成するためのグループ符号52が格納されている。
連番48は警報器間の、特に無線通信に於いてイベント信号の中継処理等を管理するためのものであるが、本発明に直接関係しないので詳細な説明を省略する。
送信元符号50としては、国内に提供される住警器の何れとも同一符号として重複しないように、例えば26ビットの符号コードとし、住警器のシリアル番号等を利用している。
グループ符号52は連動グループを構成する複数の住警器に共通に設定される符号であり、無線通信部30で受信した他の住警器からのイベント信号に含まれるグループ符号がメモリ32に登録しているグループ符号52に一致したときに、このイベント信号を有効な信号として処理することになるので、近隣の住宅等に設置された、連動を要しない他のグループに属する警報器との不要な連動を回避出来る。
グループ符号52は各住警器について必ずしも同一の符号である必要は無く、これを元に演算等を行うことによって自己が属するグループと他の住警器が属するグループが同じか否かを判定できるものであれば良い。
センサ部34には、煙を検出して信号を出力する検煙部16を設けている。前述のように、センサ部34には検煙部16に代えて、火災による温度を検出するサーミスタ等の温度検出素子や、火災に伴うその他の物理現象変化を検出する各種素子を設けてもよい。
報知部36には警報音等を出力するスピーカ56と警報表示等を行うLED22が設けられている。スピーカ56は、図示しない音声合成回路部から、自己が保持している各種の音声メッセージや警報音等を、図示しない増幅部を介して出力する。LED22は点滅や明滅、点灯などにより、火災などの異常その他を表示する。スピーカ56に代えて、ブザー等を用いても良い。またLED22に代え、2色LEDや液晶表示器等を設けても良い。もちろん、LEDと液晶表示器を併設するなどしても良い。
操作部38には警報停止スイッチ20が設けられている。警報停止スイッチ20は、報知部36からスピーカ56により火災や障害の警報音を出力しているとき又はLED22により警報表示を行っているときにのみ警報停止スイッチとして機能する。例えば連動元を示す警報中に警報停止スイッチ20を操作すると、警報音及び警報表示は停止され、一方、連動先を示す警報中に警報停止スイッチ20を操作すると、警報音は停止するが、警報表示は停止または所定時間後に停止するといった警報停止処理が行われる。
一方、連動元または連動先を示す警報を行っていない通常監視状態においては、警報停止スイッチ20は点検スイッチとして機能し、この状態で警報停止スイッチ20を操作すると、所定の自己点検動作が実行されて報知部36のスピーカ56から点検結果を示す音声メッセージなどが出力される。
なお、障害警報中に警報停止スイッチ20が操作された場合には、所定の自己点検動作を実施して結果を報知した後に障害警報停止処理を行うようにしても良い。このようにすれば、例えばセンサ故障等を再チェックした後に障害警報停止処理が行われるので、ユーザに対し、故障状態をより明確に認知させることが出来る。そして、このとき障害状態が解消している場合には、例えば「障害は解消しました」等のメッセージを出力して、障害停止処理に移行しても良い。
更に操作部38にはモードスイッチ21が設けられている。モードスイッチ21は本体裏面などに設けたディップスイッチ等であり、緊急地震速報の報知禁止モードをオン、オフ設定することができる。モードスイッチ21のオンにより禁止モードを設定(オン)すると、中継アダプタ26から緊急地震速報を示すアダプタイベント信号を受信しても、報知部36からの緊急地震速報を示す情報出力は行われない。
この機能を利用して、例えば緊急地震速報装置が設置されている部屋に住警器も設置されているような場合や、同じ部屋に住警器が複数台設置されている場合等に、必要に応じてその部屋の所定機器だけに情報出力させることが出来るので、複数の機器で重複しての情報出力を避けることが出来、この場合例えば禁止設定された住警器の電池消耗を抑制することが出来る等の効果が得られる。
電池電源40は、例えば所定セル数のリチウム電池やアルカリ乾電池を使用しており、電池容量としては住警器10−1における無線通信部30を含む回路部全体の低消費電力化により、例えば10年の電池寿命を保証している。
プロセッサ28にはプログラムの実行により実現される機能として、イベント検出部58、送信処理部60、受信処理部62、警報処理部64、及び緊急地震速報処理部66の機能が設けられている。
イベント検出部58は、センサ部34による異常(ここでは火災)検出、操作部38による警報停止、センサ部34の異常検出がなくなる異常復旧等のイベントを検出する。またイベント検出部58は受信処理部62を介して他の住警器10−2〜10−6からのイベント信号及び中継アダプタ26からのアダプタイベント信号の解読結果として得られたイベント内容を検出する。
送信処理部60は、イベント検出部58によりセンサ部34による異常検出、操作部38による警報停止、センサ部34の異常検出がなくなる異常復旧等の自己のイベントを検出した時に、検出イベントを示すイベント信号を、無線通信部30から連動先の住警器や中継アダプタに送信させる。受信処理部62は、他の住警器10−2〜10−6からのイベント信号及び中継アダプタ26からのアダプタイベント信号を、無線通信部30を介して受信解読する。
なお、アダプタイベント信号の種類としては、緊急地震速報装置からの緊急地震速報を示す信号や、緊急地震速報装置25に設けた操作部78(後述)の操作によって住警器10−1〜10−6の火災警報等を停止させる場合の、当該警報停止を示す信号、中継アダプタに設けた試験スイッチ90(後述)の操作による緊急地震速報試験を示す信号等がある。
なお、緊急地震速報装置25の操作部や中継アダプタ26の試験スイッチ操作によって中継アダプタから送信される警報停止を示すアダプタイベント信号を受信した住警器10は、自身が連動元である場合には警報を継続し、連動先である場合には警報を停止するようにしても良い。
警報処理部64は、イベント検出部58で自己の異常として火災を検出した場合にスピーカ56から連動元を示す警報音を出力すると共に、LED22を駆動して連動元を示す警報表示を行い、更に、火災を示すイベント信号を他の住警器10−2〜10−6や中継アダプタに送信する。
具体的に説明すると、警報処理部64は、センサ部34に設けた検煙部16の煙検出信号に基づきイベント検出部58で火災を検出したときに、報知部36のスピーカ56から連動元を示す警報音例えば「ウーウー 火事です 火事です」を繰り返し出力させると共に、LED22を点灯して連動元を示す警報表示を行い、更に、送信処理部64および送信回路42を介して火災を示すイベント信号を無線通信部30の送信回路42によりアンテナ31から他の住警器10−2〜10−6や中継アダプタ26に向けて送信させる。
また警報処理部64は、他の住警器10−2〜10−5の何れかから火災を示すイベント信号を無線通信部30の受信回路44により受信し、受信処理部62で有効となったときに、報知部36のスピーカ56から連動先を示す警報音例えば「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」となる警報音を繰り返し出力させ、同時にLED22を点滅して連動先を示す警報表示を行う。
中継アダプタ26で住警器からの火災を示すイベント信号が受信された後、変換送信された移報信号を受信した緊急地震速報装置25では、スピーカ74(後述)から例えば「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」の音声メッセージを出力する。
ここで、イベント検出部58はセンサ障害とローバッテリー障害を検出する。センサ障害の検出は、所定の測定時間間隔T1、例えばT1=1秒間隔でセンサ部34の検煙部16から出力される煙検出信号をA/D変換により読み込んでメモリ32のバッファ領域に保持し、例えば所定の時間間隔T2=10分毎に、メモリ32のバッファ領域に保持している10分間ぶんの検出データの平均値を求め、この平均値が所定の基準レベル(零点レベルという)を下回った時に出力停止状態である等としてセンサ部34の障害と判定する。
このように煙濃度検出信号の10分間平均値が零点レベルを下回る原因は、検煙部16に設けている受光素子の断線、受光アンプの停止などの障害が発生したことによるものである可能性が高い。なお、センサ部16にサーミスタなどの温度検出素子を設けた場合にも、各種の処理により、同様にセンサ障害を検出することが出来る。
ローバッテリー障害の検出は、所定の測定時間間隔T3、例えばT3=4時間間隔で電池電源40の電源電圧をA/D変換により読み込んで所定の閾値電圧と比較し、この閾値電圧以下の時にローバッテリー障害と判定し、更にローバッテリー障害との判定が連続して所定回数続いたときにローバッテリー障害を確定する。
警報処理部64は、イベント検出部58でセンサ障害又はローバッテリー障害を検出した時に、報知部36のスピーカ56からの警報音とLED22の表示により連動元を示すセンサ障害又はローバッテリー障害警報を出力させる。また警報処理部64は、センサ障害又はローバッテリー障害を示すイベント信号を他の住警器10−2〜10−6や中継アダプタ26に送信して住警器10−2〜10−5に、また中継アダプタ26経由で緊急地震速報装置25に連動先を示すセンサ障害又はローバッテリー障害警報を警報音および/または表示で行わせる。
更に警報処理部64は、受信回路44および受信処理部62を介して他の住警器10−2〜10−6の何れかからセンサ障害又はローバッテリー障害を示すイベント信号を受信した時に、報知部36のスピーカ56からの警報音と、LED22の表示とにより連動先を示すセンサ障害又はローバッテリー障害警報を出力させる。
警報処理部64は、イベント検出部58でセンサ障害を検出した場合、報知部36のスピーカ56から連動元(障害元)を示すセンサ障害の警報音として例えば「ピッ 故障です」を複数回連続出力し、同時にLED22を例えば点灯し、その後は一定時間毎に「ピッ 故障です」の音声出力とLED22による表示を複数回行う処理を繰り返す。
また警報処理部64は、送信処理部60および送信回路42を介してセンサ障害を示すイベント信号を他の住警器10−2〜10−6や中継アダプタ26に送信することで、連動先を示すセンサ障害警報を出力させる。このとき、警報音として例えば「ピッ 別の警報器が故障です」や「ピッ 警報器が故障です」を出力さると共に連動元とは異なる点滅表示を行わせる。
また警報処理部64は、イベント検出部58でローバッテリー障害を検出した場合、報知部36のスピーカ56から連動元(障害元)を示すローバッテリー障害の警報音としてたとえば「ピッ 電池切れです」を複数回連続出力すると共にLED22を例えば点灯し、その後は、一定時間毎に「ピッ 電池切れです」の音声出力とLED22による表示を複数回行う処理を繰り返す。
また警報処理部64は、ローバッテリー障害を示すイベント信号を他の住警器10−2〜10−6や中継アダプタ26に送信することで、連動先を示すローバッテリー障害警報を警報音として例えば「ピッ 別の警報器が電池切れです」や「ピッ 警報器が電池切れです」を出力させると共に連動元とは異なる点滅表示を行わせる。
また警報処理部64は連動元を示す火災警報または連動先を示す火災警報音の出力中に、警報停止スイッチ20の操作を検出した場合、又は他の住警器10−2〜10−6の何れか又は中継アダプタ26から警報停止を示すイベント信号受信又はアダプタイベント信号受信を検出した時場合、スピーカ56からの音声メッセージとLED22の警報表示による火災警報の出力を停止する。このときはLED22による警報表示については、所定時間継続した後に停止しても良い。なお、連動元を示す火災警報中には、警報停止を示すイベント信号及びアダプタイベント信号受信があっても、少なくとも警報音の出力は継続させるようにしても良い。
更に警報処理部64は、連動元を示すセンサ障害又はローバッテリー障害警報の出力中に操作部38に設けた警報停止スイッチ20の警報停止操作を検出した場合、自己の連動元を示す警報音を停止すると共に障害表示を所定時間継続させた後に停止し、更に連動先を示す障害警報出力中の他の住警器10−2〜10−6、中継アダプタ26に警報停止を示すイベント信号を送信して、住警器10−2〜10−6および緊急地震速報装置25の障害警報音と障害表示を停止させる。
緊急地震速報処理部66は、受信回路44および受信処理部62を介して中継アダプタ26から緊急地震速報を示すアダプタイベント信号を受信した時に、緊急地震速報を示す情報としての音声メッセージを報知部36のスピーカ56から出力させると共にLED22を点灯、点滅又は明滅させる。
また、緊急地震速報処理部66は、中継アダプタ26から緊急地震速報試験を示すアダプタイベント信号を受信した時に、緊急地震速報試験を示す情報としての音声メッセージを報知部36のスピーカ56から出力させると共にLED22を点灯、点滅又は明滅させる。
更に、緊急地震速報処理部66は、モードスイッチ21の設定オン操作により緊急地震速報を示す情報の出力を禁止する禁止モードを設定している場合には、中継アダプタ26から緊急地震速報を示すアダプタイベント信号を受信しても、緊急地震速報試験を示す情報を音声メッセージの出力は行わない。
モードスイッチ21による音声メッセージの出力禁止は、緊急地震速報についても設定できるようにしても良い。
また、禁止モード設定スイッチを後に説明する緊急地震速報装置25の操作部78に設ける場合には、禁止モードスイッチの設定により緊急地震速報装置25からの火災警報出力を禁止するようにしても良い。
また、音声メッセージや音響出力を禁止した場合でも、表示だけは行うようにしても良く、その逆に表示だけを禁止しても良い。更にこれを別に指定できるようにしても良い。即ち、出力禁止の設定は、緊急地震速報と緊急地震速報試験、また音響出力と表示出力について、適宜選択設定できるようにすることが出来る。
このようにすれば、報知出力を行うイベントの種類に応じて、その報知方法を選択的に設定できるようになり、利用者の希望や機器の設置状況によって適宜の報知パターンとすることが出来るので、使い勝手が良い。
次に緊急地震速報装置25を説明する。緊急地震速報装置25は、プロセッサ68、アンテナ71を備えたFM受信部70、音声増幅部72、スピーカ74、表示部76、操作部78、移報送信部と移報受信部を備えた移報部80で構成され、プロセッサ68にはプログラムの実行で実現する機能として緊急地震速報解析部82と警報制御部84が設けられている。
FM受信部70は操作部78の操作で選局したFM局にチューナを同調してFMアンテナ71を介してFM放送電波を受信し、音声信号として復調して出力している。音声増幅部72は待機状態では動作を停止しており、そのためスピーカ74から受信されたFM放送の再生出力は行われない。プロセッサ68の解析処理により緊急地震速報信号が検出されると音声増幅部72が動作状態に切り替えられ、その時、FM受信部70から再生出力された緊急地震速報の放送内容を、増幅部72を介してスピーカ74から出力する。表示部76は受信待機表示、緊急地震速報受信表示、選局周波数表示、などのFM放送受信に必要な表示、更には火災警報表示などを行う。
プロセッサ68に設けた装置イベント検出部83は、緊急地震速報解析部82で緊急地震速報の最初に流れる2回のチャイム音を再生した放送音声信号を解析処理した結果を受けて緊急地震速報信号の受信を検出し、この時警報制御部84は音声増幅部72を所定時間動作してスピーカ74から緊急地震速報の再生出力を行わせる。緊急地震速報解析部82による緊急地震速報のチャイム音の解析は、例えば特許文献3に記載されたベクトル相関法などで行う。(図3の緊急地震速報装置のプロセッサ68内に「装置イベント検出部83」を追加して下さい。)
また装置イベント検出部83で緊急地震速報解析部82によるチャイム音の信号解析処理結果に基づいて緊急地震速報信号の受信を検出した場合、警報制御部84は移報部80の移報送信部を動作して、外部接続している中継アダプタ26に緊急地震速報を示す移報信号を出力する。
プロセッサ68に設けた警報制御部84は、移報部80に設けている移報受信部で中継アダプタ26から火災を示すイベント信号を受信した場合に、音声増幅部72を動作してスピーカ74から警報音を出力させると共に表示部76に火災を表示させる。
また警報制御部84は、移報部80の移報受信部で中継アダプタ26から警報停止を示す移報信号を受信した場合に、警報音と火災表示の出力を停止させる。
なお、移報部80の移報送信部としては例えば無電圧接点信号を移報信号として出力する(後述する中継アダプタ26のアダプタ移報部88におけるアダプタ移報送信部も同様)。この場合、移報信号の種別毎に移報信号線を設ける。また緊急地震速報装置25は例えば商用AC電源で動作する。
次に中継アダプタ26を説明する。中継アダプタ26は、プロセッサ85、無線通信部86、アダプタ移報部88及び試験スイッチ90で構成される。プロセッサ84にはプログラムの実行により実現される機能として、アダプタイベント検出部96と送信制御部98が設けられている。
無線通信部86には送信回路92と受信回路94が設けられ、アンテナ95から住警器10にアダプタイベント信号を無線送信できるようにしている。また、無線通信部86には受信回路94が設けられ、アンテナ95を介して住警器10からのイベント信号を受信できるようにしている。無線通信部30としては、住警器10−1と同様に、日本国内の場合には、例えば400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格として知られたSTD−30またはSTD−T67に準拠した構成を備える。
なお、図示しないメモリには、住警器10−1のメモリ32と同様に、イベント信号の順番を示す連続番号である連番、アダプタを特定するID(識別子)となる送信元符号、連動グループを構成するためのグループ符号が格納されている。送信元符号としては、中継アダプタや緊急地震速報装置のシリアル番号が利用できる。
移報部88はアダプタ移報受信部とアダプタ移報送信部を備えており、緊急地震速報装置25でFM放送による緊急地震速報信号を検出して再生した時に出力される移報信号を受信し、また、住警器10の何れかから火災を示すイベント信号を受信した時は火災を示す移報信号を緊急地震速報装置25に送信出力し、更に、緊急地震速報装置25から警報停止を示す移報信号を受信した場合には住警器10に警報停止を示すアダプタイベント信号を送信し、住警器10の何れかから警報停止又は復旧のイベント信号を受信した時は警報停止又は復旧を示す移報信号を緊急地震速報装置25に出力する。
プロセッサ85に設けたアダプタイベント検出部96は移報部88による緊急地震速報装置25からの移報信号受信、及び受信制御部100による他の住警器10−2〜10−6からのイベント信号受信、試験スイッチ90の操作等のイベントを検出する。このように中継アダプタ26のアダプタイベント検出部96が検出するイベントをアダプタイベントという。送信制御部98は、アダプタイベント検出部96で緊急地震速報装置25からの移報信号受信を検出した場合に、住警器10側に緊急地震速報を示すアダプタイベント信号を送信し、緊急地震速報を示す情報を出力させる。受信制御部100は、住警器10からのイベント信号を、アンテナ95および受信回路94を介して受信する。
試験スイッチ90が操作されると住警器10側で緊急地震速報を示す情報の出力試験を行う。即ち、試験スイッチ90を操作すると、アダプタイベント検出部96により試験スイッチ90の操作が検出され、これに基づき送信制御部98が住警器10側に緊急地震速報試験を示すアダプタイベント信号を送信して試験報知動作させる。
一方、送信制御部98はアダプタイベント検出部96による試験スイッチ90の操作検出に基づき移報部88のアダプタ移報送信部により火災警報の試験を示す移報信号を緊急地震速報装置25に出力し、緊急地震速報装置25の警報制御部84に火災を示す警報音および表示による試験報知を行わせるようにしている。
中継アダプタ26の電源は商用AC電源であっても良いし、電池としても良い。また、緊急地震速報装置から電源供給を受けても良い。
図4は本実施形態で連動警報に使用するイベント信号及びアダプタイベント信号のフォーマットを示した説明図である。図4において、イベント信号46は連番48、送信元符号50、グループ符号52及びイベント符号54で構成されている。
連番48はイベント信号の順番を示す連続番号であり、イベント信号を送信する毎に1つずつ増加させる。また、連番48は住警器10及び中継アダプタ26の各々で非同期に生成している。連番48は警報器間の、主に無線通信に於いてイベント信号の中継処理等を管理するためのものであるが、本発明に直接関係しないので詳細な説明を省略する。
送信元符号50は例えば26ビットの符号であり、住警器10や中継アダプタ26又は緊急地震速報装置25のシリアル番号等を利用している。グループ符号52は例えば8ビットの符号であり、同一グループを構成する例えば図1の住警器10−1〜10−6及び中継アダプタ26につき同じグループ符号が設定されている。
なおグループ符号52としては、同一グループの住警器に同一のグループ符号を設定する以外に、例えば予め定めたグループを構成する住警器に共通な基準符号と各住警器に固有な送信元符号との演算から求めた住警器ごとに異なるグループ符号であってもよい。
イベント符号54は、火災、ガス漏れ(例えばガス漏れ警報器やガス漏れ検出機能を併せ持つ住警器等の場合)などのイベント内容を表す符号であり、本実施形態にあっては4ビット符号を使用しており、例えば
0001=火災
0010=ガス漏れ
0011=警報停止
0100=復旧
0101=センサ障害
0110=ローバッテリー障害
0111=緊急地震速報
1000=緊急地震速報試験
としている。ここで、0000はイベント検出を伴わない、例えば定期通報に使用する。
なおイベント符号42のビット数は5ビット、6ビットと増加させることで、更に多くのイベント内容を表すことができる。例えば、復旧のイベント符号は火災復旧と障害復旧に分けても良い。
また、火災以外の異常を検出する警報器では、上記の0001を検出対象となる異常イベントに置き換えても良いし、検出対象となる異常イベントの種類を、例えば上記に追加しても良い。このようにして、例えば同じグループ内に、検出対象とする異常種別の異なる警報器を混在させることもできる。
図5及び図6は図3の住警器10−1における監視処理の例を示したフローチャートである。他の住警器10−2〜10−6についても同じ処理となる。図5において、住警器10−1の電池電源40による電源供給が開始されると、ステップS1で初期化、自己診断、禁止モードの設定の有無を含む各種設定の読み込みを実行し、異常がなければステップS2に進み、火災を監視している。センサ部34から出力された煙検出信号が所定の火災レベルを超えるとステップS2で火災を判別してステップS3に進み、連番、送信元符号、グループ符号、火災を示すイベント符号を含むイベント信号を他の住警器及び中継アダプタ26に無線送信した後、ステップS4で報知部36のスピーカ56から音声メッセージやブザー音等の警報音とLED22の点灯による警報表示とにより連動元を示す火災警報を出力する。
続いて、ステップS5でセンサ部34からの煙検出信号が低下して火災状態が解消する火災復旧の有無を判別しており、火災復旧を判別するとステップS6で連番、送信元符号、グループ符号、火災復旧を示すイベント符号を含むイベント信号を他の住警器及び中継アダプタ26に送信した後、ステップS7でスピーカ56からの警報音とLED22の点灯による警報表示とによる連動元を示す火災警報を停止する。なお、LED22による警報表示は所定時間経過後に消灯しても良い。
続いてステップS8で警報停止スイッチ20の操作の有無を判別し、スイッチ操作が判別されるとステップS9で警報中の有無を判別する。ステップS9で警報中が判別されると、ステップS10に進んで連番、送信元符号、グループ符号、警報停止を示すイベント符号を含むイベント信号を他の住警器及び中継アダプタ26に送信し、ステップS11に進んでスピーカ56からの連動元を示す警報音出力を停止し、LED22の点灯による警報表示を消灯する。なお、LED22は所定時間経過後に消灯しても良い。
ステップS9で警報中でないと判別した場合には、所定の点検動作を実施して結果を報知するようにしているが、図示を省略している。
続いて図6のステップS12に進み、他の住警器からの火災を示すイベント信号受信の有無を判別している。他の住警器からの火災を示すイベント信号受信を判別すると、ステップS13に進んで連動先を示す火災警報としてスピーカ56から警報音を出力し、LED22の点滅による警報表示を行う。
次にステップS14で他の住警器からの火災復旧を示すイベント信号受信の有無を判別しており、火災復旧を示すイベント信号を受信すると、ステップS15に進んで連動先の警報として行っているスピーカ56からの警報音出力とLED22の点滅による警報表示を停止する。
次にステップS16で他の住警器からの警報停止を示すイベント信号の又は中継アダプタ26からの警報停止を示すアダプタイベント信号受信の有無をチェックしており、警報停止を示すイベント信号又はアダプタイベント信号の受信を判別すると、ステップS17に進んで警報中の有無を判別し、警報中を判別するとステップS18に進んで連動先としての警報音出力を停止し、警報表示も停止させる。
続いてステップS19で緊急地震速報の禁止モード設定の有無を判別し、禁止モードの設定が無ければステップS20に進んで緊急地震速報を示すイベント信号受信の有無をチェックしており、中継アダプタ26からの緊急地震速報を示すアダプタイベント信号の受信を判別するとステップS21で緊急地震速報メッセージを報知部36のスピーカ56から出力し、同時にLED22を例えば点灯する。
ステップS19で緊急地震速報の禁止モード設定を判別した場合はステップS20、S21はスキップし、緊急地震速報を示すアダプタイベント信号の受信を判別しても緊急地震通報メッセージを出力しない。これは図1のように住警器10−1が緊急地震速報装置25と同じ部屋に設置されている場合である。
なお、ステップS19とステップS20は順番を入れ替えても良い。
続いてステップS22に進んで緊急地震速報の試験を示すイベント信号の受信の有無をチェックしており、緊急地震速報の試験を示すイベント信号の受信を判別するとステップS23で緊急地震速報の試験メッセージを報知部36のスピーカ56から出力し、同時にLED22を例えば点灯する。以上の処理を電源オフによる動作停止指示が判別されるまで繰り返す。
なお、図5および図6のフローチャートでは、緊急地震速報装置25の操作部78または中継アダプタ26の試験スイッチ90の操作による緊急地震速報または緊急地震速報試験の報知停止処理は省略しているが、緊急地震速報や緊急地震速報試験の報知中に、報知停止を示すアダプタイベント信号の受信有無を判別し、受信があった場合に報知を停止するようにすれば良い。
また、緊急地震速報または緊急地震速報試験の報知中に警報停止スイッチ20の操作有無を判別し、操作があった場合に、他の警報器や中継アダプタ26へ警報停止(または報知停止)を示すイベント信号を送信し、他の警報器や緊急地震速報装置(この場合中継アダプタ26を介して)での報知を停止させるようにすることができる。
図7は図3に示した緊急地震速報装置25の処理例を示したフローチャートである。図7において、緊急地震速報装置25の電源を投入するとステップS31で初期化及び自己診断を行い、エラーが無ければステップS32に進んで操作部78の選局操作によりFM局の選局処理を行う。
続いてステップS33の受信待機動作に移行する。受信待機動作はFM受信部70を動作してFM放送電波を受信再生しているが、音声増幅部72の動作は停止してスピーカ74から放送を流していない状態である。
続いてステップS34で緊急地震速報のチャイム音受信有無を緊急地震速報解析部82の解析処理を通じて判別しており、チャイム音受信を判別するとステップS35に進み、音声増幅部72を動作することで、そのとき受信している緊急地震速報の放送をスピーカ74から充分に大きな音量で出力する。
次にステップS36で移報部80の移報送信部を動作し、中継アダプタ26に緊急地震速報を示す移報信号を出力する。続いてステップ37で所定時間の経過を待ってステップS38に進み、音声増幅部72の動作を停止することで、放送音の出力を停止する。
なお、スピーカ74からの緊急地震速報放送音出力中に操作部78による報知停止指示を検出した場合、又は移報部80の移報受信部で報知停止の移報信号を受信した場合には、緊急地震速報放送音出力を中断する(図示省略)。
続いてステップS39に進み、中継アダプタ26からの火災を示す移報信号受信の有無を判別している。ステップS39で火災を示す移報信号受信を判別すると、ステップS40に進んで火災警報としてスピーカ74からの警報音出力と表示部76の警報表示による警報報知を行う。
次にステップS41で操作部78の操作による警報停止指示の有無と併せて中継アダプタ26からの復旧又は警報停止を示す移報信号受信有無をチェックしており、復旧又は警報停止を示す操作指示又は移報信号の受信を判別すると、ステップS42に進んで警報中の有無を判別し、警報中を判別するとステップS43進んで警報音を停止し、警報表示も停止させる。なお、操作部78の操作指示に基づいて警報を停止する場合には、移報部80の移報送信部から中継アダプタ26に対して警報停止を示す移報信号を出力する(図示省略)。以上の処理をステップS44で電源オフによる動作停止指示が判別されるまで繰り返す。
図8は図3の中継アダプタ26の処理例を示したフローチャートである。図8において、中継アダプタ26の電源を投入するとステップS51で初期化及び自己診断を実行し、エラーが無ければステップS52に進んで緊急地震速報を示す移報信号受信の有無を判別している。ステップS52で緊急地震速報を示す移報信号受信を判別するとステップS53に進み、図4のフォーマットに従った緊急地震速報を示すアダプタイベント信号を生成して住警器側に無線送信する。
またステップS54では試験スイッチ90の操作の有無を判別しており、試験スイッチ90の操作を判別すると、ステップS55に進んで図4のフォーマットに従った緊急地震速報の試験を示すアダプタイベント信号を生成して住警器10側に無線送信すると共に、火災試験を示す移報信号を緊急地震速報装置25へ送信する。
続いてステップS56に進み、住警器10からの火災を示すイベント信号受信の有無を判別している。ステップS56で住警器からの火災を示すイベント信号受信を判別すると、ステップS57に進んで火災を示す移報信号を緊急地震速報装置25に出力する。
次にステップS58で住警器からの火災復旧を示すイベント信号または警報停止を示すイベント信号の受信、又は緊急地震速報装置25からの警報停止を示す移報信号受信、または試験スイッチ90操作の有無をチェックしており、火災復旧または警報停止を示すイベント信号の受信を判別すると、警報中の有無を判別し(図示省略)、警報中を判別するとステップS59に進んで復旧又は警報停止を示す移報信号を緊急地震速報装置25に出力する。
また、試験スイッチ90操作有りを判別した場合には、警報停止を示す移報信号と併せて警報停止を示すアダプタイベント信号を送信する。なお、警報停止を示す移報信号を受信した緊急地震速報装置25側で警報中の有無を判別して処理するようにし、警報停止を示すアダプタイベント信号を受信した住警器10側で警報中の有無を判定して処理するようにしている場合には、中継アダプタ26では警報停止中の有無判定を省略しても良い。以上の処理を電源オフによる動作停止指示が判別されるまで繰り返す。
図8のフローチャートでは緊急地震速報や緊急地震速報試験報知中に於ける中継アダプタ26の試験スイッチ90操作による緊急地震速報や緊急地震速報試験の停止指示に基づく処理を省略したが、基本的に火災警報中に於ける試験スイッチ90操作による警報停止処理と同じになる。
緊急地震速報装置の他の実施形態として、緊急地震速報装置に住警器の機能を設け、緊急地震速報装置で火災等の異常を検知して連動元として警報すると共に他の住警器にイベント信号を送信して連動先として警報させても良い。
なお、上記の実施形態は火災を検出して警報する住警器を例にとるものであったが、ガス漏れ警報器、CO警報器、各種の防犯用警報器を配置した警報システムやそれら各種の警報器を混在させて配置した警報システムについても同様に適用できる。
また、警報器同士は必ずしも連動するものでなくても良く、所定の警報器が緊急地震速報装置と連携できるものであれば良い。一部の警報器は連動し、他の警報器は連動しないものとしても良い。更に、警報器は1台であることを妨げない。一方で、中継アダプタや緊急地震速報装置を複数台設けても良い。このとき、緊急地震速報装置間、中継アダプタ間でも相互に連携連動できるようにしても良い。
また、警報器や緊急地震速報装置25、中継アダプタ26間の各連携は無線通信によるものでなくても良く、有線通信によっても、また有線と無線を適宜混在させるものであっても良い。緊急地震速報装置25と中継アダプタ26との移報通信は、無電圧接点の開閉によるものに限らず、他の手段が採用できる。
また、中継アダプタ26は、緊急地震速報装置25に内蔵しても良い。この場合、緊急地震速報装置25の移報部80及び中継アダプタ26のアダプタ移報部88は、適宜の連絡手段に置き換えることが出来る。なお、中継アダプタは緊急地震速報装置25と住警器10との間で信号の中継を行う機能を有するものであれば良く、その他の機能を複合的に備えるものであっても良い。
また、上記の実施形態で警報停止スイッチ20、試験スイッチ90として示した操作手段は、必ずしもスイッチである必要は無く、リモコン装置等を使用して外部からの通信によって警報履歴出力を指示するもの等、どのような手段や方法を適用しても良い。禁止モード設定用のディップスイッチや緊急地震速報装置25の操作部78についても同様である。
また、上記の実施形態にあっては、中継アダプタ26で住警器10からの火災を示すイベント信号を受信して、中継アダプタ26からの火災移報を受けた緊急地震速報装置25が連動先として火災を報知出力する例を挙げたが、中継アダプタ26に報知部及びその制御部を設けて、連動先としての火災報知は中継アダプタ26で行うようにしても良い。また、中継アダプタ26でも、この報知を禁止させる禁止モードを設定可能としても良い。
即ち、中継アダプタ26にもブザーやスピーカ、表示部を有する報知部とその制御部を設けて、連動先としての警報を出力させるようにしても良い。このような構成を有する中継アダプタ26にあっては、もちろん、緊急地震速報装置25からの移報信号を受けて住警器に中継送信するだけでなく、自己においても緊急地震速報を報知出力するようにしても良い。そして、このような中継アダプタ26に、自己からの異常警報(例えば火災警報)出力や緊急地震速報出力を、それぞれに又は一括で禁止させる禁止モード設定機能を設けることも出来る。
もちろん、火災試験や緊急地震速報試験についても適宜同様に処理することができる。このようにすれば、中継アダプタ26が単なる信号の中継を行うだけでなく、火災警報や緊急地震速報等を出力する装置としても適宜利用できるようになり、必要に応じて報知範囲を拡大することが出来るなど、システムとしての使い勝手が向上する。
また、中継アダプタ26の近隣に設置されている住警器からの緊急地震速報出力を禁止することも出来るので、例えば図1において、緊急地震速報装置25は廊下に、中継アダプタ26は台所に設置されているような場合(有線接続の配線を延長して離れた場所に配置されているような場合)には、緊急地震速報装置25および中継アダプタ26から緊急地震速報を音声および表示出力させることで、住警器10−1および10−2からの緊急地震速報出力を禁止することが出来、システム内で電池消耗を抑制できる住警器の数が増すといった効果も得られる。中継アダプタの電源は商用電源若しくは緊急地震速報装置から有線で供給される電源とすれば、より好ましい。
また、住警器(住宅用火災警報器)の警報出力機能を禁止することは規格上出来ないが、住警器以外の適宜の警報器を使用する場合には、警報器側の異常警報を禁止させるモード設定機能を設けることも出来る。このようにすれば、例えば緊急地震速報装置25や中継アダプタ26からの異常(住警器の場合の火災にあたる)警報を出力させる代わりに、緊急地震速報装置25や中継アダプタ26の近隣に設置されている警報器からの異常警報を禁止させるパターンを採ることも出来る。
また、住警器から中継アダプタや緊急地震速報装置への異常警報(火災警報等)の連動出力は、表示のみで行わせるようにしても良い。例えば、ブザー音や音声メッセージ等の音響警出力は住警器だけで充分足りるが、電力消費の大きなフラッシュライト等を用いて異常発生の視覚的な報知効果を高めたいといった場合には、商用電源や専用電源等を使用していることで電力消費を抑える必要性が比較的低い緊急地震速報装置や中継アダプタに当該フラッシュライト等の表示装置を設けて、住警器の異常(火災)警報に連動して動作させて表示報知の効果を高めても良い。
また上記の実施形態におけるフローチャートは処理の概略例を説明したもので、処理の順番等はこれに限定されない。また各処理や処理と処理の間に必要に応じて遅延時間を設けたり、他の判定を挿入する等が出来る。
また、上記実施の形態で示した各機器のプロセッサは、その機能の一部又は全部を、例えばワイヤードロジック等による他の手段に代えることが出来る。プロセッサを含め他の電気的、機能的構成は適宜に統廃合することもできる。
また、緊急地震速報装置は、FM放送の緊急地震速報を上記実施の形態のように直接受信しても良いし、別の装置や設備を介して間接的に受信しても良い。
また、上記実施の形態では、緊急地震速報装置25と中継アダプタ26との移報通信線は移報種別毎に設けることとしたが、他の通信方法により1つ(1組)の通信線で行っても良い。
また上記の実施形態で述べた「受信がある」、「受信が無い」、「受信した場合」、「受信を判別」等は、受信した信号が有効なものとして認識されたか否かの判定も含んでいる。
また、警報器の規格等によっては、上記実施形態のLEDによる表示が「警報」と認められない場合があるが、本発明では規格上「警報」に含まれるか否かに関わらず、警報表示、警報に伴う表示、または単に表示として記載している。本発明の目的を達成できるものであれば、どのような表示手段を用いても構わない。そして、表示部は警報器と別体に設けられていても良い。
緊急地震速報装置25、中継アダプタ26、住警器10(警報器)の表示部は、異常(上記実施の形態では火災)警報用表示部と緊急地震速報報知用表示部とをそれぞれ個別に設けても良い。
また、上記の実施形態では、電池電源によって動作する住警器を例に取ったが、電池電源以外の電源で動作するものにも本発明を適用できる。
また、上記の実施形態は住宅用に限らずビルやオフィス用など各種用途の警報器にも適用できる。
また、上記の実施形態は警報器にセンサ部と警報出力処理部を一体に設けた場合を例にとるが、他の実施形態として、センサ部と警報出力処理部を別体とした警報器であっても良い。
また本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。