JP5628120B2 - 発光素子モジュール - Google Patents
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Description
特許文献1の図1に開示されたレーザモジュールは、平面視矩形状のサブマウントと、サブマウント上に実装されたレーザチップと、サブマウントにおけるレーザチップが設置された部分の後方に設置されたフォトダイオード(PD)部とを備えている。つまり、サブマウントは、いわゆるPD付サブマウントである。
また、本発明の発光素子モジュールでは、前記フォトダイオードは、前記第1導電型層に接続された第1電極および前記第2導電型領域に接続された第2電極を含み、前記第1電極および前記第2電極は、前記サブマウントの前記表面側に形成されていることが好適である。
フォトダイオードの光電流と受光波長との間には、受光波長の増加に伴い光電流も増加し、受光波長がある値のときに光電流が最大となり(このときの波長をピーク受光波長という。)、その後は、受光波長の増加に伴い光電流は減少するとの関係がある。
発光素子モジュールとしてのレーザモジュール1は、たとえば熱アシスト方式の磁気ヘッドスライダに取り付けられるものである。
レーザモジュール1は、互いに隣り合う発光素子領域としてのレーザダイオード領域2およびフォトダイオード領域3を有し、平面形状が四角形状のサブマウント4と、レーザダイオード領域2に設けられた半導体レーザダイオード5と、フォトダイオード領域3に設けられたフォトダイオード6とを含む。サブマウント4は、図1の紙面における上下左右方向の長さがそれぞれ0.5mm以上である。
サブマウント4の表面7において半導体レーザダイオード5の側方には、LDアノード電極12、第1電極としてのPDアノード電極13および第2電極としてのPDカソード電極14が形成されている。LDアノード電極12と、PDアノード電極13およびPDカソード電極14とは、半導体レーザダイオード5を挟むように配置されている。つまり、LDアノード電極12は、半導体レーザダイオード5に対して同じ側(一方側)に配置され、PDアノード電極13およびPDカソード電極14は、半導体レーザダイオード5を挟んでLDアノード電極12の反対側(他方側)に配置されている。
図2は、図1のレーザモジュール1の模式的な断面図であって、図1の切断線A−Aでの断面を示している。なお、図2は、都合上、図1とは異なる縮尺で描かれている。
まず、レーザモジュール1の土台をなすサブマウント4は、この実施形態では、n型のSi基板からなり、その表面7がSiO2からなる表面絶縁膜19で被覆されている。前述のLDアノードパッド8、LDアノード電極12、PDアノード電極13およびPDカソード電極14は、表面絶縁膜19の上に設けられている。PDアノード電極13およびPDカソード電極14は、表面絶縁膜19を貫通するコンタクト17,18を介して、後述するPD−p型半導体層36およびPD−n型半導体層35にそれぞれ接続されている。これらの電極が表面絶縁膜19上に設けられているので、電極(パッド)間を互いに絶縁することができる。
III−V族半導体積層構造21は、発光層24と、LD−n型半導体層25と、LD−p型半導体層26とを備えている。LD−n型半導体層25は発光層24に対して基板20側に配置されており、LD−p型半導体層26は発光層24に対してp型電極23側に配置されている。こうして、発光層24が、LD−n型半導体層25およびLD−p型半導体層26によって挟持されていて、ダブルヘテロ接合が形成されている。発光層24には、LD−n型半導体層25から電子が注入され、LD−p型半導体層26から正孔が注入される。これらが発光層24で再結合することにより、光が発生するようになっている。
n型InGaAlPクラッド層27およびp型InGaAlPクラッド層30は、発光層24からの光をそれらの間に閉じ込める光閉じ込め効果を生じるものである。n型InGaAlPクラッド層27は、InGaAlPに、たとえばn型ドーパントとしてのSiをドープすることによってn型半導体とされている。また、p型InGaAlPクラッド層30は、InGaAlPに、たとえばp型ドーパントとしてのMgをドープすることによってp型半導体とされている。n型InGaAlPクラッド層27は、n型InGaAlPガイド層28よりもバンドギャップが広く、p型InGaAlPクラッド層308は、p型InGaAlPガイド層29よりもバンドギャップが広い。これにより、良好な閉じ込めを行うことができ、低閾値および高効率の半導体レーザダイオード5を実現できる。
発光層24は、この実施形態では、InGaP層からなる量子井戸層とInGaAlP層からなる障壁層(バリア層)とを交互に複数周期繰り返し積層して構成された多重量子井戸(InGaP/InGaAlP)構造を有している。
このような構成によって、n型電極22およびp型電極23を電源に接続し、LD−n型半導体層25およびLD−p型半導体層26から電子および正孔を発光層24に注入することによって、この発光層24内で電子および正孔の再結合を生じさせ、発光波長790nm〜845nmの光を発生させることができる。この光は、レーザ出射端面9と反対側端面10との間をガイド層に沿って往復しながら、誘導放出によって増幅される。そして、レーザ出射端面9から、より多くのレーザ出力が外部に取り出されることになる。
内蔵されたフォトダイオード6は、フォトダイオード領域3におけるサブマウント4(Si基板)からなる第2導電型領域としてのPD−n型半導体層35と、PD−n型半導体層35の表面部にウェル状に形成された第1導電型層としてのPD−p型半導体層36と、PD−n型半導体層35とPD−p型半導体層36との間に挟まれた、不純物濃度の低いPD−i型半導体層37とを含む。PD−n型半導体層35およびPD−p型半導体層36には、不純物が高濃度でドープされている。
そして、このPD−p型半導体層36の周囲および下方を取り囲み、サブマウント4の表面7の一部を形成するようにPD−i型半導体層37が形成されており、さらに、PD−i型半導体層37の周囲および下方を取り囲み、サブマウント4の表面7の一部を形成するようにPD−n型半導体層35が形成されている。サブマウント4の表面7を形成するPD−i型半導体層37およびPD−n型半導体層35は、表面絶縁膜19により被覆されている。
PD−p型半導体層36とPD−i型半導体層37との界面からは空乏層39が発生している。その空乏層39の厚さW(サブマウント4の表面7からの深さ)は、20μm〜45μmであることが好ましい。
フォトダイオード6の光電流と受光波長との間には、受光波長の増加に伴い光電流も増加し、受光波長がある値のときに光電流が最大となり(このときの波長をピーク受光波長という。)、その後は、受光波長の増加に伴い光電流は減少するとの関係がある。
集積回路40では、フォトダイオード6から受けるモニタ電流の大きさに基づいて、半導体レーザダイオード5のレーザ出射端面9から出射されるレーザ光(出力光)の発光量を検知する。そして、その検知量に基づいて、半導体レーザダイオード5の出力光を一定に保持するために、半導体レーザダイオード5の発光量をコントロールする。
図4は、一般的なフォトダイオードの温度特性を示すグラフである。
図4に示すように、一般的なフォトダイオードの受光感度は、正の温度係数を有しており、たとえば、温度が25℃のときの受光感度を100%とすると、温度が25℃よりも大きくなるに伴って大きくなる。そのため、レーザモジュール1のように、半導体レーザダイオード5の放熱板の役割も果すサブマウント4を用いてフォトダイオード6が形成されており、半導体レーザダイオード5の出力(発熱)によってサブマウント4の温度が上昇する環境下では、半導体レーザダイオード5の出力に伴って発生する熱が、サブマウント4を介してフォトダイオード6に伝わるので、温度との関係において、フォトダイオード6の受光感度を一定に保持することが難しい。
つまり、図5に示すように、Siのバンドギャップは、温度の増加に伴って小さくなる。フォトダイオード6では、PD−i型半導体層37のバンドギャップよりも大きなエネルギを有する光子が照射されたときに光吸収が起きるので、そうすると、サブマウント4の温度上昇に伴ってSiのバンドギャップが小さくなって光吸収が起き易くなれば、結果として、電子・正孔対の発生割合が増えて、フォトダイオード6の受光感度が増加することとなる。
図6を参照すると、25℃の受光感度(25℃時)と、25℃よりも高温になったときの受光感度(高温時)とを比べると、両者とも空乏層39の厚さWの増加に伴って、その光吸収率が増加しているが、空乏層39の厚さWが薄いと(たとえば、15μm程度)では、光吸収率に10%程度の差が生じている。一方で、この光吸収率の差は、W=15μm付近をピークに、厚さWの増加に伴って縮小していき、W=30μm以上ではほとんどなくなっている。
図8(a)に示すように、半導体レーザダイオード5の発光波長が温度の増加に伴って大きくなり、実施例では、0.3nm/℃の波長変化があった。一方、フォトダイオード6の受光感度が受光波長の変化に伴ってどのように変化するのかを調べたところ、図8(b)に示すように、ある一定の波長のときにピーク値(最大値)を持つ放物線状に変化することを確認できた。
レーザ光の波長依存を適正にすべく、本発明者は、半導体レーザダイオード5の波長とフォトダイオード6のピーク波長との関係を3つの場合で考えた。具体的には、25℃における半導体レーザダイオード5の波長範囲を、その温度変化の影響も考慮して790nm〜845nmと設定し、(1)ピーク受光波長<発光波長の最小値、(2)発光波長の最小値≦ピーク受光波長≦発光波長の最大値、(3)発光波長の最大値<ピーク受光波長の3パターンに分けた。(1)〜(3)のパターンを、図9(a)〜図9(c)にそれぞれ示す。図9(a)〜図9(c)において、半導体レーザダイオード5の波長範囲にハッチングを施している。
これに対し、図9(b)の場合のように、発光波長の最小値≦ピーク受光波長≦発光波長の最大値とすれば、光電流の大きさが、その最大値となるピーク受光波長(820nm付近)を境に、短波長側および長波長側に振り分けられるため、当該発光波長の範囲における光電流の最大値と最小値との差が小さくなることを確認できた。つまり、図9(b)に示した条件を設定することにより、半導体レーザダイオード5の波長変動による影響が小さくなることを確認できた。とりわけ、フォトダイオード6のピーク受光波長が、半導体レーザダイオード5の発光波長の中央値の±5%以内であることが好適であることを確認した。
そして、これら3パターンのうち、フォトダイオード6の温度変化率の縮小効果を享受できる30μmの場合について、PD−p型半導体層36の深さD1を2μm、6μmの2パターンに分けて、フォトダイオード6のピーク受光波長がどのように変化するのかを調べたところ、PD−p型半導体層36の深さD1を浅く(薄く)すれば、短波長側の光吸収率が上昇して、ピーク受光波長付近の形状が平坦化できることを確認できた。結果を図11に示す。
そして、このレーザモジュール1のフォトダイオード6の温度特性を調べた結果、周波数特性を掛け合わせても、図13に示すように平坦化された温度特性が得られることを確認できた。
たとえば、フォトダイオード6において、各半導体部分の導電型を反転した構成が採用されてもよい。たとえば、p型の部分がn型であり、n型の部分がp型であってもよい。また、i型半導体層は省略することもできる。
また、サブマウント4に搭載する発光素子は、半導体レーザダイオード5に限らず、発光ダイオード(LED)であってもよい。その場合、発光ダイオードは、光取出し面が上方に向く姿勢で配置されることが好ましい。
また、この明細書および図面の記載から、抽出される参考発明の特徴を以下に示す。
参考発明のフォトダイオード内蔵サブマウントは、フォトダイオード領域を有する半導体からなるサブマウントであって、前記サブマウントを用いて形成され、前記フォトダイオード領域における前記サブマウントの表面部に配置され、前記サブマウントの表面からなる受光面を形成する第1導電型層と、前記第1導電型層の直下で前記第1導電型層と対向するように配置された第2導電型領域とを有し、発光素子が出射した光を当該受光面から受け入れて光電流に変換するフォトダイオードとを含み、前記フォトダイオードの光電流が最大となるときのピーク受光波長が、前記発光素子の発光波長の最小値以上、最大値以下であることを特徴としている。
また、参考発明のフォトダイオード内蔵サブマウントでは、前記フォトダイオードのピーク受光波長が、前記発光素子の発光波長の中央値の±5%以内であることが好適である。
また、参考発明のフォトダイオード内蔵サブマウントでは、前記フォトダイオードは、発光波長が790nm〜845nmの発光素子が出射した光を受け入れるものであり、前記第1導電型層から発生する空乏層の厚さが、20μm〜45μmであることが好適である。
また、参考発明のフォトダイオード内蔵サブマウントでは、前記第1導電型層の深さが、1μm〜5μmであることが好適である。
また、参考発明のフォトダイオード内蔵サブマウントでは、前記フォトダイオードは、前記第1導電型層と前記第2導電型領域との間に介在されたi型半導体層を含むことが好適である。
また、参考発明のフォトダイオード内蔵サブマウントでは、前記第2導電型領域は、前記第1導電型層の周囲および下方を取り囲み、前記サブマウントの前記表面の一部を形成していることが好適である。
また、参考発明のフォトダイオード内蔵サブマウントでは、前記フォトダイオードは、前記第1導電型層に接続された第1電極および前記第2導電型領域に接続された第2電極を含み、前記第1電極および前記第2電極は、前記サブマウントの前記表面側に形成されていることが好適である。
また、参考発明のフォトダイオード内蔵サブマウントでは、前記サブマウントが、Siからなることが好適である。
また、参考発明の発光素子モジュールは、参考発明のフォトダイオード内蔵サブマウントと、前記フォトダイオード領域に隣り合う部分に発光素子領域において、前記サブマウントの前記表面に固定された発光素子とを含むことを特徴としている。
また、参考発明の発光素子モジュールでは、前記発光素子は、レーザ出射端面および当該レーザ出射端面に対向する反対側端面を有するレーザダイオードを含み、前記レーザダイオードは、前記反対側端面が前記受光面に対向する姿勢で配置されていることが好適である。
また、参考発明の発光素子モジュールでは、前記発光素子は、光取出し面を有する発光ダイオードを含み、前記発光ダイオードは、前記光取出し面が上方に向く姿勢で配置されていることが好適である。
参考発明によれば、フォトダイオードの光電流が最大となるときのピーク受光波長が、発光素子の発光波長の最小値以上、最大値以下である(発光波長の最小値≦ピーク受光波長≦発光波長の最大値)。
フォトダイオードの光電流と受光波長との間には、受光波長の増加に伴い光電流も増加し、受光波長がある値のときに光電流が最大となり(このときの波長をピーク受光波長という。)、その後は、受光波長の増加に伴い光電流は減少するとの関係がある。
そのため、参考発明のように、発光波長の最小値≦ピーク受光波長≦発光波長の最大値であれば、光電流の大きさが、その最大値となるピーク受光波長を境に、短波長側および長波長側に振り分けられる。したがって、当該発光波長の範囲における光電流の最大値と最小値との差を小さくすることができる。その結果、温度変化に起因して発光素子の発光波長が所定の範囲で変動しても、フォトダイオードの受光感度の変動幅を小さくすることができる。
2 レーザダイオード領域
3 フォトダイオード領域
4 サブマウント
5 半導体レーザダイオード
6 フォトダイオード
7 (サブマウントの)表面
8 LDアノードパッド
9 レーザ出射端面
10 反対側端面
11 受光面
12 LDアノード電極
13 PDアノード電極
14 PDカソード電極
15 (LDアノードの)配線
16 (PDアノードの)配線
17 (PDアノードの)コンタクト
18 (PDカソードの)コンタクト
19 表面絶縁膜
20 基板
21 III−V族半導体積層構造
22 n型電極
23 p型電極
24 発光層
25 LD−n型半導体層
26 LD−p型半導体層
27 n型InGaAlPクラッド層
28 n型InGaAlPガイド層
29 p型InGaAlPガイド層
30 p型InGaAlPクラッド層
31 p型電極下地層
32 (前面側の)端面絶縁膜
33 (後面側の)端面絶縁膜
34 発光中心
35 PD−n型半導体層
36 PD−p型半導体層
37 PD−i型半導体層
38 反射防止膜
39 空乏層
40 集積回路
Claims (6)
- フォトダイオード領域を有する半導体からなるサブマウントと、
前記フォトダイオード領域に隣り合う発光素子領域において、前記サブマウントの表面に固定され、−10℃〜90℃の温度範囲で発光波長が変動するレーザダイオードと、
前記サブマウントを用いて形成され、前記フォトダイオード領域における前記サブマウントの表面部に配置され、前記サブマウントの前記表面からなる受光面を形成する1μm〜5μmの深さを有する第1導電型層と、前記第1導電型層の直下で前記第1導電型層と対向するように配置された第2導電型領域とを有し、前記レーザダイオードが出射した光を当該受光面から受け入れて光電流に変換するフォトダイオードとを含み、
前記フォトダイオードの光電流が最大となるときのピーク受光波長が、前記レーザダイオードの前記温度範囲における発光波長の最小値以上、最大値以下であり、
前記レーザダイオードは、レーザ出射端面および当該レーザ出射端面に対向する反対側端面を有し、前記反対側端面が前記受光面に対向する姿勢で配置されており、
前記フォトダイオードは、発光波長が790nm〜845nmのレーザダイオードが出射した光を受け入れるものであり、
前記第1導電型層から発生する空乏層の厚さが、20μm〜45μmである、発光素子モジュール。 - 前記フォトダイオードのピーク受光波長が、前記温度範囲におけるレーザダイオードの発光波長の中央値の±5%以内である、請求項1に記載の発光素子モジュール。
- 前記フォトダイオードは、前記第1導電型層と前記第2導電型領域との間に介在されたi型半導体層を含む、請求項1または2に記載の発光素子モジュール。
- 前記第2導電型領域は、前記第1導電型層の周囲および下方を取り囲み、前記サブマウントの前記表面の一部を形成している、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発光素子モジュール。
- 前記フォトダイオードは、前記第1導電型層に接続された第1電極および前記第2導電型領域に接続された第2電極を含み、
前記第1電極および前記第2電極は、前記サブマウントの前記表面側に形成されている、請求項4に記載の発光素子モジュール。 - 前記サブマウントが、Siからなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の発光素子モ
ジュール。
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