JP5628014B2 - 遮水壁構造 - Google Patents

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Description

本発明は、地中における地下水流を制御するための遮水壁構造に関する。
汚染地下水の流出防止、地下水位WLの低下防止、盤ぶくれやボイリング等の地中水圧(揚圧力110)の上昇防止などの対策として、地中に遮水壁101を設ける場合がある(図6(a)参照)。
この遮水壁101の種類としては、ソイルセメント固化壁、粘土壁、コンクリート壁、樹脂製壁、シートパイルや鋼管パイル等の鋼製壁等がある。
ソイルセメント固化壁、粘土壁およびコンクリート壁は、比較的安価に構築できる反面、他の遮水壁と比較して水密性が低く、透水係数にして概ね10−7cm/secのオーダーである。
一方、樹脂製壁や鋼製壁は、材料そのものは止水性を確保できるものの、継手部においては水の浸透を防ぐことが難しく、継手部を含めた遮水壁全体としての透水係数は概ね10−8cm/secのオーダーである。また、樹脂製壁や鋼製壁は比較的高価であった。
参考までに、厚生省令の廃棄物最終処分場の構造基準によれば、遮水壁の厚さ50cm以上の場合での透水係数は1×10−6cm/sec以下と定められている。
ところが、同構造基準の規定に基いて構築された遮水壁について、遮水壁を浸透する地下水の浸透量を算出すると、動水勾配を1とした場合の浸透量が約0.86L/日・mとなり、地下水の流出防止等の対策としては大きかった。
そのため、例えば汚染地下水対策等のように、地下水の流出を可能な限り抑制する場合には、別途対策工を講じる必要があった。例えば、図6(b)に示すように、汚染領域PAを囲むように遮水壁201を形成した後、汚染領域PAの地下水を揚水井202を介してポンプアップすることで当該汚染領域PA内の地下水位WLを周辺地域の地下水位WLよりも下げる場合がある(図6(b)の地下水位WL’参照)。これにより、動水勾配が逆向きとなるため、遮水壁外への汚染地下水の流出を防止することができる(非特許文献1参照)。
また、特許文献1には、内壁と外壁との間に砕石等のドレーン材を充填してなる中空空間を備えた遮水壁が開示されている。この遮水壁は、中空空間内の水位を周囲よりも高く維持することで、汚染地下水の流出を防止している。
特開平9−47738号公報
特定非営利活動法人最終処分場技術システム研究協会、「廃棄物最終処分場新技術ハンドブック」、環境産業新聞社、平成18年12月1日、第155頁、第177頁
しかしながら、ポンプアップによる汚染地下水対策は、汚染領域PAが大きく、さらに明確な帯水層(透水性の良い連続した地層)がない場合には、常時動水勾配を逆向きにすることは困難であった。
また、ポンプアップされた汚染地下水は無害化処理する必要があるため、汚染地下水の無害化処理に要する手間や費用、メンテナンス等に要するコスト、設備投資等により高価になるという問題があった。
一方、特許文献1の遮水壁は、汚染領域側の壁体(内壁)と中空空間が接しており、かつ、中空空間内の透水性が高いため、中空空間内の水位や流れが周辺地盤の地下水に敏感に影響する。そのため、特に汚染領域と非汚染領域との間に水頭差があるような場合には、中空空間内の水位を少し高くするだけでは汚染領域からの地下水の流出を防止できない。一方、中空空間内の水位を高くしすぎると、中空空間から汚染領域へ多量の水が流入し、汚染領域の水位が高くなり問題となる。したがって、特許文献1の遮水壁は中空空間内の水位管理に手間を要する。
また、特許文献1の遮水壁は、地盤を掘削することにより形成された1つの溝に対して、内壁と中空空間と外壁とからなる3層構造を構築する必要があるため、施工が複雑で、手間を要し、施工費も高い。
本発明は、このような問題点を鑑みてなされたものであり、その目的は現地の地形や地質などにより定められる遮水壁構造に要求される性能を比較的低コストで任意にコントロールできる遮水壁構造を提供することである。
前記課題を解決するための遮水壁構造は、地下水が存在する第一領域と前記第一領域の地下水位よりも地下水位が低い第二領域との境界部に構築される遮水壁構造であって、原地盤に二重に設置された遮水壁と、前記遮水壁同士の間に形成された原地盤を含む幅が2〜20mの範囲内の離隔ゾーンと、前記離隔ゾーンに水を供給する保水位施設と、を備え、当該離隔ゾーンの水位が前記第一領域の地下水位と同等以上となるように前記保水位施設により調節され、前記離隔ゾーンの幅および水位は、前記第一領域側の前記遮水壁の地下水の浸透量を低減させるとともに、前記離隔ゾーンから前記第二領域に向かう地下水の流れを発生させるように設定されていることを特徴としている。
かかる遮水壁構造によれば、保水位施設により離隔ゾーンの水位をコントロールすることで、二重の遮水壁のうちの上流側に位置する遮水壁の地下水の浸透量を従来の遮水壁(一重の遮水壁)よりも大幅に低減させることができる。
このように、上流側に位置する遮水壁の地下水の浸透量を低減させたことで、当該遮水壁の上流側の地下水の流出量を大幅に低減させることができる。
そのため、例えば汚染地下水域の下流側に本発明の遮水壁構造を構築すれば、汚染地下水の拡散を防止することが可能となる。
なお、二重の遮水壁は、離隔ゾーンの原地盤を乱すことのない間隔であって、一方の遮水壁の施工により他方の遮水壁の施工に影響を及ぼすことのない間隔を有して形成する。
本発明に係る遮水壁構造の保水位施設は、離隔ゾーンの表面に形成された池であってもよいし、離隔ゾーン内に形成された注水井であってもよい。
保水位施設をこのように構成すれば、保水位施設に水(水道水等)を供給することで、離隔ゾーンの水位の調節を簡易に行うことができる。
また、前記離隔ゾーンに、前記保水位施設から供給された水を当該離隔ゾーンの下流側に導く導水部が形成されていれば、より効果的に上流側に位置する遮水壁の地下水の浸透量を低減させることが可能となる。
なお、導水部は、砂などの透水性の高い材料により形成し、下流側遮水壁に可能な限り近づけて形成するのが望ましい。
本発明の遮水壁構造によれば、遮水壁の目的と現地の地形や地質などにより定められる遮水壁に要求される性能を比較的低コストで任意にコントロールすることが可能となる。
第一の実施の形態に係る遮水壁構造を示す断面図である。 第二の実施の形態に係る遮水壁構造を示す断面図である。 (a)は第三の実施の形態に係る遮水壁構造を示す断面図、(b)は同遮水壁構造の変形例である。 (a)〜(d)は、実施例における遮水壁構造の各モデルを示す断面図である。 実施例における解析結果を示すグラフであって横軸は遮水壁同士の離隔幅、縦軸は換算透水係数または保水位施設への補給水量である。 (a)および(b)は従来の遮水壁構造を示す断面図である。
<第一の実施の形態>
第一の実施の形態に係る遮水壁構造1は、図1に示すように、汚染源Pを含む汚染領域(第一領域)PAと、汚染物質の濃度が基準値以下となるように管理される管理領域(第二領域)MAとの境界部に構築されるものであって、汚染領域PAの下流側に、地下水の流れを遮断するように二重に設置された遮水壁2,3と、遮水壁2,3の間に原地盤を残存させることで形成された離隔ゾーン4と、離隔ゾーン4の地表面に形成された保水位施設5とを備えて構成されている。
なお、本実施形態では、汚染領域PAの地下水位WLが、GL−0m〜GL−2m程度の地盤の場合であって、管理領域MAの地下水位WLが汚染領域PAの地下水位WLよりも低い場合について説明する。
二重の遮水壁2,3は、所定の間隔をあけて形成されている。なお、遮水壁2,3同士の間隔の大きさに制限はないが、遮水壁2,3の間隔が1mを下回ると離隔ゾーン4による効果が低く、また、離隔ゾーン4の地盤が遮水壁2,3の構築時に乱されるおそれがある。また、遮水壁2,3の間隔が30mを上回ると、離隔ゾーン4(保水位施設5)として確保する用地が広く、不経済であった。そのため、遮水壁2,3の間隔は1〜30m程度、より好ましくは2〜20mの範囲内とするのが望ましい。
遮水壁2,3の上端は地表面GLに面していて、下端は透水層Sの下に存在する難透水層RCに所定長挿入された状態で形成されている。
本実施形態の遮水壁2,3は、ソイルセメント固化壁であって、壁厚55cm、一般的な遮水壁構造として用いた場合の透水係数が5×10−7cm/sec程度となるように構成されている。なお、上流側遮水壁2の構成は前記のものに限定されるものではなく、例えば、粘土壁、コンクリート壁、樹脂製壁、シートパイルや鋼管パイル等の鋼製壁により構成してもよい。また、透水係数等も、現地地盤の地山状況や地下水の流速、流量等に応じて適宜設定すればよい。
離隔ゾーン4は、上流側の遮水壁2(以下、「上流側遮水壁2」という)と下流側の遮水壁3(以下、「下流側遮水壁3」という)とにより挟まれた区域である。
離隔ゾーン4の地盤内には保水位施設5に貯留された水が自然浸透する。
保水位施設5は、離隔ゾーン4の表面(地表面)を覆うように形成された水深1m程度の池であって、離隔ゾーン4の地盤内へ水分が自然浸透するよう、池底は離隔ゾーン4の地表面に直接面している。
本実施形態では、保水位施設5の水位WLが、上流側遮水壁2の上流側(汚染領域PA側)の地下水位WLと同等以上となるように管理する。このようにすると、離隔ゾーン4内の動水勾配が極めて小さくなり、汚染領域PAから離隔ゾーン4に向かう地下水の流れが殆ど発生しない。
なお、離隔ゾーン4から管理領域MAに向かう地下水の流れが発生するが、離隔ゾーン4内の地下水は汚染されていないので、管理領域MAが汚染されることもない。
保水位施設5の水位WLは、離隔ゾーン4の地盤内にセンサーを設置して、上流側遮水壁2の地下水の浸透量を観測し、この浸透量が所定の量以下となるように、コントロールする。なお、保水位施設5の水位WLの調節方法はこれに限定されるものではない。
遮水壁構造1を構築するには、まず、汚染領域PAの下流側に上流側遮水壁2を形成する。
上流側遮水壁2の形成は、例えば、カッターチェーン等の掘削機により地盤を溝状に掘削するとともに、当該溝に固化材を投入して掘削土砂と固化材とを混合撹拌してソイルセメントを溝内で形成し、養生することにより行う。
なお、上流側遮水壁2の形成方法は限定されるものではなく、例えば、多軸オーガーで地盤を掘削するとともに固化材を撹拌混合することにより注列式に構築してもよい。また、上流側遮水壁2の施工方法は、遮水壁の構造(例えば、粘土壁、コンクリート壁、樹脂製壁、シートパイルや鋼管パイル等の鋼製壁)に応じて適宜変更すればよい。
次に、上流側遮水壁2の下流側(管理領域MA側)に、所定幅(1〜30m)の離隔ゾーン4を挟んで下流側遮水壁3を形成する。
なお、下流側遮水壁3の施工方法は、上流側遮水壁2と同様なため、詳細な説明は省略する。
保水位施設5は、離隔ゾーン4の地表面を掘削することにより所定の深さを確保できるように形成する。なお、保水位施設5の形成方法は、離隔ゾーン4の地山状況や地下水位等に応じて適宜行えばよい。
以上、遮水壁構造1によれば、保水位施設5の水位WLをコントロールすることにより、上流側遮水壁2の上流側から離隔ゾーン4内に流れ込む地下水を低減させることができ、単体の遮水壁では透水係数で5×10−7cm/secだったものを、上流側遮水壁2の地下水の浸透量を透水係数に換算して10−8cm/secのオーダーから略ゼロに至るまで低減させることができる。これは、従来の遮水壁と比較して地下水の浸透量を大幅に低減させることとなり、汚染地下水の流出防止に効果的である。
また、何らかの原因により一方の遮水壁2(3)による遮水機能が低下あるいは停止したとしても、他方の遮水壁3(2)により地下水の流出を制限した状態で補修することができる。
また、ポンプアップ等を要することなく、汚染地下水の流出を防止することができるため、ポンプアップをするための施設の設置やポンプアップに要する手間やメンテナンス、さらに、ポンプアップした汚染水の無害化処理に要する手間や費用を省略することができる。
また、遮水壁構造1は、従来の鋼製遮水壁や樹脂製遮水壁等からなる遮水壁構造と比較して、同等以下の費用で構築でき、かつ、従来よりも遮水性に優れている。
また、上流側遮水壁2の実質的な(換算)透水係数を10−8cm/secのオーダーから略ゼロに至るまで任意にコントロールすることが可能となる。
したがって遮水壁構造1によれば、遮水壁の目的と現地の地形や地質などにより定められる遮水壁構造1に要求される性能を、比較的低コストで任意にコントロールすることが可能である。
<第二の実施の形態>
第二の実施の形態に係る遮水壁構造1Aは、図2に示すように、離隔ゾーン4内に導水部6が形成されている点で、第一の実施の形態の遮水壁構造1と異なっている。
本実施形態の導水部6は、砂などの透水性に優れた材料により形成された柱状体であって、下流側遮水壁3に沿って形成されている。本実施形態では、直径0.8mの柱状体を0.8m〜1.5m間隔で複数並設することで導水部6を構成している。
導水部6は、上端が保水位施設5に面しているとともに、下端が難透水層RCに面した状態で形成されている。
なお、導水部6を構成する柱状体の直径は限定されるものではなく、適宜設定すればよい。また、導水部6は、柱状体同士を互いにラップさせたり当接させたりすることにより壁状に形成されていてもよい。また、導水部6は、必ずしも柱状体により形成する必要はなく、例えば地盤を掘削して溝を形成した後、この溝を砂で埋め戻すなど、形成方法は限定されるものではない。
この他の遮水壁構造1Aの構成は、第一の実施の形態で示した遮水壁構造1と同様なため、詳細な説明は省略する。
以上、遮水壁構造1Aによれば、導水部6により誘導された保水位施設5の水が下流側遮水壁3を浸透し、離隔ゾーン4の原地盤内の動水勾配が、第一の実施の形態で示した遮水壁構造1の場合よりさらに小さくなる。
その結果、上流側遮水壁2を通過する地下水の浸透量を、従来の遮水壁と比較して40分の1以下へと、大幅に低減させることができる。
この他の第二の実施の形態に係る遮水壁構造1Aの作用効果は、第一の実施の形態に係る遮水壁構造1と同様なため、詳細な説明は省略する。
<第三の実施の形態>
第三の実施の形態に係る遮水壁構造1Bは、図3(a)に示すように、保水位施設5が注水井により形成されている点で、保水位施設5が池により形成されていた第一の実施の形態の遮水壁構造1と異なっている。
遮水壁構造1Bは、地下水位WLが深い位置にある場合(例えばGL−2m以深)等、保水位施設5として、地下水位WLと同等の水位の池を構築するのが困難な場合に、好適なものである。遮水壁構造1Bでは、保水位施設5として、注水井を離隔ゾーン4内に形成し、離隔ゾーン4内の水位を調節する。
本実施形態では、地盤を鉛直方向に削孔することで形成された掘削孔に透水管等(例えばストレーナ管等)を埋設することにより保水位施設5(注水井)を形成するが、保水位施設5の形成方法はこれに限定されるものではない。
保水位施設5を構成する注水井の配置間隔や形状寸法等は、離隔ゾーン4内の平均水位が、上流側遮水壁2より上流の地下水位WLと同等以上となるように、地盤性状に応じて決定する。注水井は、難透水層RCまでは達しないものの、地下水位WLよりも下方にまで達している。
この他の遮水壁構造1Bの構成は、第一の実施の形態の遮水壁構造1と同様なため、詳細な説明は省略する。
以上、遮水構造1Bによれば、地下水位WLが深い場合であっても、第一の実施の形態に係る遮水壁構造1と同様の作用効果を得ることができる。
なお、遮水構造1Bについて、図3(b)に示す遮水壁構造1Cように、離隔ゾーン4内に導水部6を形成すれば、より効果的に上流側遮水壁2を浸透する地下水の浸透量を低減させることができる。
この場合において、導水部6は、下部を砂などの透水性に優れた材料により構成された柱状体6aにより形成し、上部に注水井6bを形成して水を供給することが可能に構成するのが望ましい。
このように構成すれば、導水部6への水の供給を簡易に行うことができるとともに、地表面まで柱状体6aを形成する手間と費用を省略することができる。
以上、本発明について、好適な実施形態について説明した。しかし、本発明は、前述の各実施形態に限られず、前記の各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、汚染地下水の拡散防止を目的として、汚染源の下流側に本発明の遮水壁構造を構築する場合について説明したが、遮水壁構造の設置目的はこれに限定されるものではない。例えば、汚染領域(第一領域)の周囲を囲むように本発明の遮水壁構造を形成してもよい。また、地下構造物を構築する際の土留壁等として採用し、第一領域の地下水位の低下防止や、地下構造物を構築する第二領域における盤ぶくれやボイリングの抑制等の対策に採用してもよい。
また、遮水壁構造において、導水部の有無、遮水壁同士の離隔幅、保水位施設の水位等は、適用地盤の性状、遮水目的、要求される遮水性能等に応じて浸透流解析を行い、適宜決定すればよい。
また、保水位施設の構成は、池や注水井に限定されるものではなく、適宜構成することが可能である。
保水位施設への水の供給方法は限定されるものではない。例えば、水道水を給水してもよいし、湖、河川、海、池等の水をポンプ等を介して給水してもよいし、また、雨水を給水してもよい。
以下、本発明の遮水壁構造について実施した解析結果について説明する。
本解析では、まず、図4(a)に示す遮水壁構造11ように、二重に遮水壁2,3を形成し、遮水壁2,3同士の間の離隔ゾーン4に、保水位施設5として池を形成した遮水壁構造11について、遮水壁2,3同士の離隔距離を0m(A1)、2m(A2)、5m(A3)、10m(A4)、20m(A5)に変化させた場合の上流側遮水壁2の地下水の浸透量について解析を行った。
また、同遮水壁構造11において、遮水壁2,3同士の離隔距離を5m(B1)と10m(B2)とした場合について、保水位施設5の水位を上流側の地下水位よりも50cm高くした場合についての解析も行った。
次に、図4(b)に示す遮水壁構造12ように、二重に遮水壁2,3を形成し、遮水壁2,3同士の間の離隔ゾーン4に、保水位施設5として池を形成し、さらに、離隔ゾーン4内に柱状の導水部6(設置間隔1000mm、直径D800mm)を形成した遮水構造1Aについて、遮水壁2,3の離隔距離を5m(C1)と10m(C2)にした場合の上流側遮水壁2の地下水の浸透量についてそれぞれ解析を行った。
さらに、図4(c)に示す遮水壁構造13ように、二重に遮水壁2,3を離隔幅5mで形成し、遮水壁2,3同士の間の離隔ゾーン4に、保水位施設5として池を形成し、さらに、離隔ゾーン4内に柱状の導水部6を形成して、保水位施設5の水位WLを上流側地下水位WLよりも50cm高くした場合における上流側遮水壁2の地下水の浸透量について解析を行った(D1)。
また、比較例(E1)として、図4(d)に示す遮水壁構造14ように、遮水壁2が一重の場合での遮水壁2の地下水の浸透量について解析した。
なお、図4(a)〜(d)において、符号20は、地下水の流れる方向を模式的に示す矢印であって、当該矢印の長さは、地下水の流量が大きいほど長く示している。
本実施例において、各遮水壁2,3には、ソイルセメント固化壁を採用する。
解析結果を表1および図5に示す。
Figure 0005628014
地下水の浸透量の解析は、次式(式1)に示されるダルシーの法則を用いて行う。
Q=KAi ・・・(式1)
ここで、Q:浸透量(cm3/sec)
k:透水係数(cm/sec)
A:浸透断面積(cm2)
i:動水勾配(=h/L)
h:水頭差(cm)
L:浸透長(cm)
なお、透水係数kは、それぞれの物質固有の水の通し易さのまたは通し難しさを示す数値であって、砂地盤でk=1×10−2〜10−3cm/sec、粘土地盤でk=1×10−6〜10−7cm/sec、コンクリート(ひび割れのない状態)でk=1×10−10〜10−11cm/secである。
なお、土木地質における専門分野では、k=1×10−6cm/sec以下の地盤は実質的に不透水層として取り扱うが、厳密には透水係数がゼロでない限り、わずかな水が浸透するので、難透水層と表現し、状況によってはこの難透水層の浸透量を解析する場合がある。
本解析では、浸透対象地盤(透水層S)の水頭(WL)を20m、透水係数を1×10−4cm/sec(粘土と砂の中間的な値)、上流側の地下水位WLと下流側の地下水位WLとの水頭差hを5mとしている。
表1に示すように、解析A1と比較例E1とを比較すると、遮水壁2,3を二重に形成することにより、浸透量が1/2に低下する。
また、表1および図5の解析A2〜A5に示すように、保水位施設5の水位WLを上流側の水位WLと同等に保つという前提で、二次元浸透流解析を実施すると、上流側遮水壁2を通過する浸透量は、遮水壁水平延長方向1m当り(図4において奥行1m当り)9.55×10−3〜1.50×10−3/日、換算透水係数は1.3×10−7〜2.0×10−8cm/secとなり、従来の一般的な遮水壁と比較して、約4分の1〜25分の1程度に低減させる効果を得ることができることが実証された。
遮水壁構造1における上流側遮水壁2の浸透量は、離隔幅に逆比例する。また、解析A4に示すように、離隔幅が浸透対策地盤の深さの1/2程度で1重の遮水壁構造(比較例E1)の場合の10分の1以下になった。
一方、保水位施設5に対する水の給水量の増加量は、離隔幅の増加と比べて小さい結果となった。この給水量は、遮水壁水平延長100m当り(図4において奥行100m当り)で1〜4m/日の範囲内で収まるものである。一般家庭の水道量が一つの蛇口当りで約1m/時間であることと対比しても、保水位施設5への水の供給量によるコストは少ないことが実証された。
また、解析A3およびA4とB1およびB2を比較すると、保水位施設5の水位を上流側の地下水位よりも50cm高くするだけで上流側遮水壁2の浸透量を大幅に削減できることが証明された。
これは、離隔ゾーン4の水位を上流よりも高くすることで動水勾配が極めて小さく、あるいは逆向きになり、上流側遮水壁2を浸透して離隔ゾーン4に流入する地下水の量が制限されるためである。
また、解析C1,C2に示すように、離隔ゾーン4内に、下流側遮水壁3に沿って柱状の導水部6を設けると、上流側遮水壁2を通過する浸透量は、遮水壁水平延長1m当り(図4において奥行1m当り)0.84×10−3〜0.65×10−3/日、換算透水係数は1.1×10−8〜8.8×10−9cm/secとなり、従来の一列遮水壁と比較して約40分の1以下に低減できるという効果が得られた。
導水部6を設けた場合であっても、保水位施設5に対する給水量の増加はわずかであった。
さらに、表1の解析D1に示すように、保水位施設5の水位を、上流側遮水壁2よりも上流側の地下水位より50cmだけ高くすることにより、図4(d)に示すように、離隔ゾーン4の導水部6より上流側の地下水は上流方向に浸透することになる。
つまり、保水位施設5の水位を上流側の地下水位よりもわずかに高くするだけで、上流側遮水壁2を浸透して離隔ゾーン4に浸透する地下水がなくなり、完全に遮水することができる結果となった。
このように、上流側の地下水位WLと離隔ゾーン4との水位WLとの差が0〜50cmの間では、上流側遮水壁2に浸透流が発生しない水位差が存在することが実証された。よって、離隔ゾーン4の水位WLを調節すれば、実質的に上流側遮水壁2の透水係数をゼロの状態にすることができる。
つまり、本発明に係る遮水壁構造によれば、上流側遮水壁2の地下水の浸透量を10−8cm/secのオーダーからゼロに至るまで任意にコントロールすることが可能となる。
また、保水位施設5(離隔ゾーン4)の水位WLを上流側の地下水位WLと同等あるいは少し高くなるように維持するための保水位施設5への補給水量は、遮水壁水平延長100m当り(図4において奥行100m当り)にして最大2.97m/日程度であって、維持コストとしては安価である。なお、導水部6を設けた場合には、保水位施設5への補給水量は最大3.46m/日程度である。
また、保水位施設5への補給水量は、表1に示すように、1m当りに換算すると1×10−3〜7×10−3/日であって、通常の降雨量に匹敵する量である。したがって、降雨量に応じて保水位施設5への給水を調整することも可能である。
このように、ダルシーの法則に基いて、有限要素法により二次元浸透流解析を実施した結果、遮水壁を二重に配置した場合の方が、従来の遮水壁が一重の遮水壁構造と比較して、離隔ゾーンの動水勾配が小さくなり、上流側遮水壁を通る地下水の浸透量が格段に少なくなる結果となった。
1 遮水壁構造
2 上流側遮水壁
3 下流側遮水壁
4 離隔ゾーン
5 保水位施設
6 導水部
PA 汚染領域(第一領域)
MA 管理領域(第二領域)
WL,WL,WL 水位

Claims (4)

  1. 地下水が存在する第一領域と前記第一領域の地下水位よりも地下水位が低い第二領域との境界部に構築される遮水壁構造であって、
    原地盤に二重に設置された遮水壁と、
    前記遮水壁同士の間に形成された原地盤を含む幅が2〜20mの範囲内の離隔ゾーンと、
    前記離隔ゾーンに水を供給する保水位施設と、を備え、
    当該離隔ゾーンの水位が前記第一領域の地下水位と同等以上となるように前記保水位施設により調節され
    前記離隔ゾーンの幅および水位は、前記第一領域側の前記遮水壁の地下水の浸透量を低減させるとともに、前記離隔ゾーンから前記第二領域に向かう地下水の流れを発生させるように設定されていることを特徴とする、遮水壁構造。
  2. 前記保水位施設が、前記離隔ゾーンの表面に形成された池であることを特徴とする、請求項1に記載の遮水壁構造。
  3. 前記保水位施設が、前記離隔ゾーン内に形成された注水井であることを特徴とする、請求項1に記載の遮水壁構造。
  4. 地下水が存在する第一領域と前記第一領域の地下水位よりも地下水位が低い第二領域との境界部に構築される遮水壁構造であって、
    二重に設置された遮水壁と、
    前記遮水壁同士の間に形成された原地盤を含む離隔ゾーンと、
    前記離隔ゾーンに水を供給する保水位施設と、を備え、
    記離隔ゾーンに、前記保水位施設から供給された水を当該離隔ゾーンの下流側に導く導水部が形成されており、
    当該離隔ゾーンの水位が前記第一領域の地下水位と同等以上となるように前記保水位施設により調節されることを特徴とする、遮水壁構造。
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