JP5627942B2 - 固体酸化物形燃料電池装置および固体酸化物形燃料電池スタック用燃焼器 - Google Patents
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Description
・火炎燃焼では,(1)不完全燃焼(COガス排出),(2)起動停止時の燃焼が,触媒燃焼では,(3)混合不足による不完全燃焼,(4)触媒耐久性が問題となる可能性がある。
(2)不活性ガスを使用できない燃料電池システムでは,起動,停止時に燃料電池の燃料極,改質触媒を保護するため,都市ガスを投入する必要がある。しかし,低温であるため,燃焼させるためには,ヒーターなどの着火源が必要で構造が複雑になる。
(3)発電後の空気残ガスと燃料残ガスをそのまま触媒に投入しても,混合不足のために,不完全燃焼する可能性がある。
(4)一般的な触媒は貴金属触媒(Pt,Pd)であるが,高温で使用すると焼結劣化や蒸発が起こり,触媒機能が低下する。また燃料電池は高温(例えば,700℃)で運転され,その排ガスを処理すると,触媒は部分的に極めて高温(例えば,1000℃以上)に達し,触媒の寿命が短くなる。
本発明は,COの排出が抑制された固体酸化物形燃料電池装置および固体酸化物形燃料電池スタック用燃焼器を提供することを目的とする。
・触媒燃焼の前に,火炎燃焼により可燃性ガスが低減することから,触媒の使用量が低減される(燃焼触媒の長寿命化)。
・火炎燃焼室で酸化剤ガスと燃料ガスが予混合されることで,触媒燃焼室でのスムーズな燃焼を確保できる。
・火炎燃焼で発生したCOを触媒燃焼で燃焼することでCOの排出を抑制できる。
・起動停止時でも触媒燃焼による発熱が可能である(触媒燃焼は火炎燃焼より燃焼開始温度を低温化できる)。
第1,第2の触媒燃焼室をそれぞれ第1,第2の主面に接触または近接して配置することで,触媒燃焼の発熱を燃料電池スタックに効率的に伝達できる。
火炎燃焼室を第2の主面に接触または近接して配置することで,火炎燃焼の発熱を燃料電池スタックに効率的に伝達できる。
火炎燃焼および触媒燃焼の発熱を改質器に効率的に伝達できる。
容積の比率をこの範囲とすることで,COの排出の抑制および燃焼触媒の耐久性の確保が可能となる。
・触媒燃焼の前に,火炎燃焼により可燃性ガスが低減することから,触媒の使用量が低減される(燃焼触媒の長寿命化)。
・火炎燃焼室で酸化剤ガスと酸化剤ガスが予混合されることで,触媒燃焼室でのスムーズな燃焼を確保できる。
・火炎燃焼で発生したCOを触媒燃焼で燃焼することでCOの排出を抑制できる。
・起動停止時でも触媒燃焼による発熱が可能である(触媒燃焼は火炎燃焼より燃焼開始温度を低温化できる)。
(実施例1)
本実施例の固体酸化物形燃料電池装置1は,燃料ガスと酸化剤ガスの供給を受けて発電する装置であり,図1に示す様に,燃料電池スタック10と,燃焼部20,30と,空気予熱器40と,燃料改質器50と,固定部材60〜69を有する。
枠部160は,後述の貫通孔70〜79を備える。なお,図3では貫通孔76,77のみを表している。
他の固定部材63,64,66〜68では,ガスが装置外に流出しないように閉塞された袋ナットを用いる。なお,固定部材60,61は,電極として使用するので,ガスの流通を考慮することなく,通常のナットを使用できる。
なお,燃焼部30の空間34の幅は,空間24の幅W0と同一とした。これは,後述の実施例2,3,比較例1〜7も同様である。
図8は,実施例2に係る固体酸化物形燃料電池装置1aを表す側面図であり,図2に対応する。
この例では,燃焼部20a内の空間24内が体積の等しい2つの空間26,27に区分される。空間26には燃焼触媒を配置せず,空間27,および燃焼部30内の空間34に燃焼触媒を配置する。即ち,燃焼部20a内で火炎燃焼および触媒燃焼を,燃焼部30内で触媒燃焼を順に行う。燃焼部20a内の空間26が火炎燃焼室として機能する。また,燃焼部20a内の空間27,燃焼部30内の空間34がそれぞれ,第1,第2の触媒燃焼室として機能する。
空間26内に仕切板25が配置され,空間26の幅W0に対する迂回流路の幅W1の比Rwを,「1/6」としている(ターン数:2)。その他の点では,実施例2は実施例1と同様なので,詳細な説明を省略する。
図9は,実施例3に係る固体酸化物形燃料電池装置1bを表す側面図であり,図2に対応する。
この例では,燃焼部20b内の空間24内に燃焼触媒を配置せず,燃焼部30の空間34内に燃焼触媒を配置する。空間24内に仕切板25が配置され,空間24の幅W0に対する迂回流路の幅W1の比Rwを,「1/2」としている(ターン数:1)。その他の点では,実施例3は実施例1と同様なので,詳細な説明を省略する。
この例では,燃焼部20内の空間24,燃焼部30内の空間34いずれにも燃焼触媒を配置しない。即ち,燃焼部20,30内で火炎燃焼を行う。空間24内に仕切板25が配置され,空間26の幅W0に対する迂回流路の幅W1の比Rwを,「1/6」としている(ターン数:5)。その他の点では,比較例1は実施例1と同様なので,詳細な説明を省略する。
この例では,燃焼部20内の空間24,燃焼部30内の空間34いずれにも燃焼触媒を配置する。即ち,燃焼部20,30内で触媒燃焼を行う。空間24内に仕切板25が配置され,空間26の幅W0に対する迂回流路の幅W1の比Rwを,「1/6」としている(ターン数:5)。その他の点では,比較例2は実施例1と同様なので,詳細な説明を省略する。
図10は,比較例3に係る固体酸化物形燃料電池装置1x3を表す側面図であり,図2に対応する。
この例では,燃焼部20x3内の空間24内が1/3,2/3の体積を有する2つの空間26,27に区分されている。空間26には燃焼触媒を配置せず,空間27,燃焼部30内の空間34には燃焼触媒を配置する。即ち,燃焼部20x3内で火炎燃焼および触媒燃焼を,燃焼部30内で触媒燃焼を行っている。空間26内に仕切板25が配置され,空間26の幅W0に対する迂回流路の幅W1の比Rwを,「1/2」としている(ターン数:1)。その他の点では,比較例3は実施例1と同様なので,詳細な説明を省略する。
図11は,比較例4に係る固体酸化物形燃料電池装置1x4を表す側面図であり,図2に対応する。
この例では,燃焼部20x4内の空間24内に燃焼触媒を配置せず,燃焼部内の空間34に燃焼触媒を配置する。即ち,燃焼部20,30それぞれ内で火炎燃焼,触媒燃焼を行う。空間24内に仕切板を配置せず,迂回流路を形成しない。即ち,空間24の幅W0に対する迂回流路の幅W1の比Rwを,「1」としている(ターン数:0)。その他の点では,比較例4は実施例1と同様なので,詳細な説明を省略する。
図12は,比較例5に係る固体酸化物形燃料電池装置1x5を表す側面図であり,図2に対応する。
この例では,燃焼部20x5内の空間24x5内が体積の等しい2つの空間26,27に区分される。空間26に燃焼触媒を配置せず,空間27,燃焼部30内の空間34に燃焼触媒を配置する。即ち,燃焼部20x5内で火炎燃焼および触媒燃焼を,燃焼部30内で触媒燃焼を行っている。空間26内に仕切板25が配置され,空間24の幅W0に対する迂回流路の幅W1の比Rwを,「1/12」としている(ターン数:5)。その他の点では,比較例5は実施例1と同様なので,詳細な説明を省略する。
図13は,比較例6に係る固体酸化物形燃料電池装置1x6を表す側面図であり,図2に対応する。
この例では,燃焼部20x6内の空間24が体積の等しい2つの空間26,27に区分される。空間26には燃焼触媒を配置せず,空間27,34には燃焼触媒を配置する。即ち,燃焼部20x6内で火炎燃焼および触媒燃焼を,燃焼部30内で触媒燃焼を行っている。空間24内に仕切板が配置され,空間24の幅W0に対する迂回流路の幅W1の比Rwを,「1/2」としている(ターン数:1)。その他の点では,比較例6は実施例1と同様なので,詳細な説明を省略する。
この例では,燃焼部20,30を燃料電池スタック10に直接積層せず,離間した。
その他の点では,比較例6は実施例1と同様である。即ち,空間24内に燃焼触媒を配置せず,空間34内に燃焼触媒を配置する。即ち,燃焼部20,30それぞれ内で火炎燃焼,触媒燃焼を行う。図2に示すように,空間24内に仕切板25が配置され,空間24の幅W0に対する迂回流路の幅W1の比Rwを,「1/6」としている(ターン数:5)。
・比較例1では,排ガス中のCO濃度が高かった(3000ppm以上)。この理由として,燃焼部20,30中に燃焼触媒を配置しないことから(全て空間),火炎燃焼での不完全燃焼により発生するCOがそのまま排出されたものと考えられる。
火炎燃焼室の容積比Rvは,空間26,27,34それぞれの体積(容積)をV11,V12,V2とすると次のように表される。
Rv=V11/(V11+V12+V2)
=V11/(V1+V2)
ここで,V1:空間24の体積(V1=V11+V12)
まず,一般的な燃焼触媒のSV(空間速度)は40000h−1である。ここで,排ガスの流量を40.48L/minとして,次の式を用いて,SV:40000h−1を満たす触媒の最小体積Xを算出する。
SV(h−1)=ガス流量(L/min)/触媒体積(cc)
40000(h−1)=40.48*60*1000(cc/h)/X(cc)
X=60(cc)
ここで,(火炎燃焼室+触媒燃焼室)の合計容積(V1+V2):400cc
とすると,「1−(60/400)=17/20」となる。
この値から,余裕を見ると,18/20=9/10となる。
本発明の実施形態は上記の実施形態に限られず拡張,変更可能であり,拡張,変更した実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
図14に,積層の順番を変更した変形例を示す。この変形例では,空気予熱器40,燃焼部30,燃料改質器50,燃焼部20,燃料電池スタック10の順に,要素が積層されている。即ち,燃料電池スタック10(燃料電池スタックの第1の主面)と燃料改質器50(改質器の第3の主面)との間に,燃焼部20が配置されている。
10 燃料電池スタック
11 固体酸化物形燃料電池装置
20,30 燃焼部
21-23,31-33 プレート
24,34 空間
26,27 空間
25 仕切板
40 空気予熱器
50 燃料改質器
60-69 固定部材
60a-69b ボルト
60b-69a ナット
70-79 貫通孔
81 流路
82 連通路
150 燃料電池セル
151,152 インターコネクタ
153 セル本体
154 空気流路
155 燃料ガス流路
156 固体電解質体
157 空気極
158 燃料極
159 集電体
160 枠部
161 空気極フレーム
162 絶縁フレーム
163 セパレータ
164 燃料極フレーム
Claims (7)
- 第1,第2の主面を有し,燃料ガスおよび酸化剤ガスによって発電し,第1の排ガスを排出する燃料電池スタックと,
前記第1の主面に接触または近接して配置され,前記第1の排ガスに含まれる可燃性ガスを火炎燃焼させて,第2の排ガスを排出する火炎燃焼室と,
前記第1の主面に接触または近接して配置され,前記第2の排ガスに含まれる可燃性ガスを触媒燃焼させて,第3の排ガスを排出する触媒燃焼室と,
を具備する固体酸化物形燃料電池装置。 - 前記第3の排ガスに含まれる可燃性ガスを触媒燃焼させる第2の触媒燃焼室を,更に具備し,
前記第2の触媒燃焼室が,前記第2の主面に接触または近接して配置される
請求項1記載の固体酸化物形燃料電池装置。 - 前記火炎燃焼室,前記触媒燃焼室,および前記第2の触媒燃焼室の全容積に対する,前記火炎燃焼室の容積の比率が,1/4以上,9/10以下である
請求項2に記載の固体酸化物形燃料電池装置。 - 第1,第2の主面を有し,燃料ガスおよび酸化剤ガスによって発電し,第1の排ガスを排出する燃料電池スタックと,
第3,第4の主面を有し,燃料ガスを改質し,前記燃料電池スタックに供給する改質器と,
前記第1の排ガスに含まれる可燃性ガスを火炎燃焼させて,第2の排ガスを排出する火炎燃焼室と,
前記第2の排ガスに含まれる可燃性ガスを触媒燃焼させる触媒燃焼室と,
を具備し,
前記触媒燃焼室の一部および前記火炎燃焼室が,前記第1,第3の主面の間,かつ前記第1,第3の主面に接触または近接して配置され,
前記触媒燃焼室の残部が,前記第4の主面に接触または近接して配置される,
固体酸化物形燃料電池装置。 - 前記火炎燃焼室および前記触媒燃焼室の全容積に対する,前記火炎燃焼室の容積の比率が,1/4以上,9/10以下である
請求項4に記載の固体酸化物形燃料電池装置。 - 第1,第2の主面を有する固体酸化物形燃料電池スタックの前記第1の主面に接触または近接して配置され,前記固体酸化物形燃料電池スタックから排出される第1の排ガスに含まれる可燃性ガスを火炎燃焼させて,第2の排ガスを排出する火炎燃焼室と,
前記第1の主面に接触または近接して配置され,前記第2の排ガスに含まれる可燃性ガスを触媒燃焼させて,第3の排ガスを排出する触媒燃焼室と,
を具備する
固体酸化物形燃料電池スタック用燃焼器。 - 第1,第2の主面を有する固体酸化物形燃料電池スタックの前記第1の主面と,第3,第4の主面を有し燃料ガスを改質し前記燃料電池スタックに供給する改質器の前記第3の主面との間,かつ前記第1,第3の主面に接触または近接して配置され,固体酸化物形燃料電池スタックから排出される第1の排ガスに含まれる可燃性ガスを火炎燃焼させて,第2の排ガスを排出する火炎燃焼室と,
一部が前記第1,第3の主面の間,かつ前記第1,第3の主面に接触または近接して配置され,残部が前記第4の主面に接触または近接して配置され,前記第2の排ガスに含まれる可燃性ガスを触媒燃焼させる触媒燃焼室と,を具備する
固体酸化物形燃料電池スタック用燃焼器。
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